JP3942465B2 - 留置カテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液排出及び栄養剤・薬液注入の目的で主に鼻腔より胃や腸管内に挿入留置されるカテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小腸閉塞等のために胃や腸管内に貯留した体液、ガスや内容物を排出する目的や、脳障害等で口から栄養補給が行えないために栄養剤や薬液を注入する目的で、カテーテルを鼻腔等より挿入して胃や腸管内にカテーテル先端を押し進め、数日間に亘って留置しながら前記の排出、注入といった処置がなされる。
【0003】
このような用途に使用されている従来の留置カテーテルの構造は、先端部位にカテーテルの挿入を容易化する複数個の金属球やリング等の錘を数珠状に柔軟性樹脂に埋め込んだ誘導部を設置し、カテーテル本体先端近傍には複数個の側孔と流体注入によって膨張するバルーンが付設され、カテーテル本体の後端には各ルーメンに連通する分岐チューブが接続されており、更に本分岐チューブの端末にはコネクターを設置した構造となっている。
【0004】
カテーテル本体は一般に3つのルーメン(内腔)を有している。胃や腸管内の内容物等を体外に排出したり、栄養剤等を導入するための通路となる第一のメインルーメン、バルーンの膨張収縮用の流体を導通(出し入れ)するための第二のバルーンルーメン、更に胃壁や腸壁に対する過度の吸引を防止するために外気を導入させたり、栄養剤の注入により胃や腸管内に内圧がかかりすぎて食道内に栄養剤が流入することを防止するために内圧を逃がしたりするための通路となる第三のサンプルーメンとから構成されている。
【0005】
カテーテルは主に鼻腔より挿入して目的の位置まで先端を押し進め留置完了となるが、バルーンの使い方により種々の留置手段がとれる。例えばX線を使用せずに胃内にカテーテル先端を留置する方法として、バルーンを胃内で膨張させ胃の入り口でバルーンを把持することにより、カテーテルの先端を盲目的に感触にて位置決めを行うものである。また、腸管内の奥深くまで挿入する方法として、可能な限りカテーテルを押し進め、そこでバルーンを膨張させて後は腸の蠕動運動によって目的の部位まで導入する方法である。いずれも目的どおりにカテーテルが位置決めできればバルーンは必ずしも膨張させておく必要はない。
【0006】
以上に述べた製品構造、使用方法が一般的であり、鼻腔等から挿入するため、カテーテルは細いほど患者の違和感を軽減でき望ましい。しかし前述の如く種々の機能を有する3つのルーメンが必要であり、かつそれぞれの機能に必要な大きさが確保される従来のカテーテルのサイズより細経化を計ることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の留置カテーテルのこのような問題点を解決することを目的とするもので、メインルーメン、バルーンルーメンおよびサンプルーメンの3つの機能を有するカテーテルであって、それぞれの機能を低下させることなく、より細径化がなされうる留置カテーテルを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
(1)カテーテルとスタイレットとから構成され、該カテーテルはカテーテルの先端から後端まで開口しているメインルーメンとサブルーメンとを有し、先端側近傍にはメインルーメン内と連通する複数の側孔と、サブルーメン内に連通するバルーンが設置され、更にサブルーメン内のバルーン設置部よりも先端側には封止受部が設置され、それぞれのルーメンの後端にはコネクターが設置されており、該スタイレットには先端に封止部、後端にはシリンジが気密装着可能なコネクターが設置されており、予め該カテーテルのサブルーメン内に該スタイレットが挿入してあり、先端側ではカテーテルの封止受部とスタイレットの封止部が気密嵌合し、後端側ではカテーテルとスタイレットのコネクターが気密嵌合しており、後にカテーテルからスタイレットを引き抜くことが可能である留置カテーテル、
(2)スタイレットの後端に設置されたコネクターがシリンジを装着した際にのみ開口する封止弁である第(1)項記載の留置カテーテル、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による留置カテーテルは、従来の技術に示したとおり一般の留置カテーテルに求められる3つの機能を発揮するための、メインルーメン、バルーンルーメン及びサンプルーメンが設置された3ルーメンカテーテルを、バルーンルーメンとサンプルーメンを一つのルーメンに統合し、スタイレットの出し入れにより機能を切り替えることにより2ルーメンカテーテルで3つの機能を発揮させることにより留置カテーテルの細径化を図るというものである。
【0010】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施例となる留置カテーテルの構造を示す。
カテーテル本体(1)の構造はメインルーメン(2)とサブルーメン(3)から成る2つのルーメンを有するカテーテルであり、2つのルーメンは共にカテーテル本体(1)の先端から後端まで開口している。カテーテル本体(1)の先端近傍にはメインルーメン(2)内と外部に通ずる複数の側孔(4)と、サブルーメン(3)内と連通口(6)を介して通ずるバルーン(5)が気密的に設置されている。また、必ずしも限定されないがカテーテル本体(1)の先端には複数個の金属球やリング等の錘を柔軟性樹脂に埋め込んだ誘導部を設置することも望ましい実施例の一つである。メインルーメン(2)の後端側には吸引機、または注入機等のラインと接続するためのコネクターA(8)が設置されており、サブルーメン(3)の後端側には、後述するコネクターC(13)と着脱可能なコネクターB(9)が設置されている。更にサブルーメン(3)内のバルーン(5)内との連通口(6)よりも先端側には後述する封止部(12)を内嵌合せしめる封止受部(7)が設置されている。なお、封止受部(7)は気密性確保の観点より略円筒形状が望ましい。
【0011】
スタイレットの構造は、スタイレット本体(11)の先端側に封止部(12)が設置されており、後端側にコネクターC(13)が設置されている。封止部(12)は略円柱形であり前記カテーテル本体(1)のサブルーメン(3)内を容易に出し入れできるよう一回り細い寸法であり、カテーテル本体(1)の封止受部(7)内に気密的に嵌合することができる。コネクターC(13)は端末にシリンジが装着可能であり、装着時のみ開口する封止弁をなしており、更にカテーテル本体(1)のコネクターB(9)と着脱可能であり接続時は気密性が保持される。スタイレット本体(11)は、先端側で封止部(12)とカテーテル本体(1)に設置された封止受部(7)を嵌合させ、後端側でコネクターC(13)とコネクターB(9)を接続させたときにカテーテル本体(1)のサブルーメン(3)内で撓みが発生しない長さであることが重要である。
【0012】
すなわち留置カテーテルのサブルーメン(3)内にスタイレットを挿入した状態ではサブルーメン(3)先端側の封止受部(7)が封止部(12)により閉鎖されているため、コネクターC(13)からシリンジ等で流体を注入することでバルーン(5)を膨張せしめることが可能になっている。そして留置カテーテルからスタイレットを引き抜くとサブルーメン(3)はコネクターB(9)から先端まで開口する構造になっている。
【0013】
本発明に使用される材質として、カテーテル本体(1)、バルーン(5)は体内挿入、留置の観点よりポリウレタン樹脂、塩化ビニール樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。スタイレット本体(11)は、留置カテーテルへの挿入性、保持性の観点よりステンレス鋼、ナイロン樹脂等が望ましく、また、コネクター類(8)、(9)、(13)の材質も特に限定されないが、硬質塩化ビニール樹脂やポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、シリコーンゴム等を使用するのが良い。封止受部(7)と封止部(12)の材質はお互いに嵌合して気密性を確保しつつ、引き抜きが可能であることと、バルーン(5)を膨張させた際の内圧により脱落しないという観点よりポリウレタン樹脂、塩化ビニール樹脂、シリコーンゴム等が望ましいが、特に限定されるものではない。
【0014】
次に本発明による留置カテーテルの使用方法を説明する。予めスタイレット(11)をサブルーメン(3)内に挿入した留置カテーテルを患者の鼻腔より胃又は腸管内まで挿入し、コネクターC(13)にシリンジを装着してバルーン(5)を膨張させる。目的の部位に留置カテーテルが位置したことを確認後、コネクターC(13)とコネクターB(9)を分離し、スタイレットのみを留置カテーテルより引き抜く。これによりバルーン(5)は収縮され、留置中はサブルーメン(3)は先端まで開口しており、従来の技術に記載したサンプルーメンとしての機能を発揮することとなる。
【0015】
【発明の効果】
本発明による留置カテーテルは、2つのルーメンでメイン、バルーン、サンプの3つの機能を有するカテーテルであり、従来の3つのルーメンを有するカテーテルに比較し細径化がなされるため、より患者に対して違和感の少ない優しい留置を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる留置カテーテルの構造を示す図で、留置カテーテルのサブルーメンにスタイレットを挿入して一体化した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例となる留置カテーテルの構造を示す図で、留置カテーテルからとスタイレットを引き抜き分離した(a)留置カテーテル、(b)スタイレットそれぞれの断面図である。
【符号の説明】
1 カテーテル本体
2 メインルーメン
3 サブルーメン
4 側孔
5 バルーン
6 連通口
7 封止受部
8 コネクターA
9 コネクターB
11スタイレット本体
12封止部
13コネクターC
Claims (2)
- カテーテルとスタイレットとから構成され、該カテーテルはカテーテルの先端から後端まで開口しているメインルーメンとサブルーメンとを有し、先端側近傍にはメインルーメン内と連通する複数の側孔と、サブルーメン内に連通するバルーンが設置され、更にサブルーメン内のバルーン設置部よりも先端側には封止受部が設置され、それぞれのルーメンの後端にはコネクターが設置されており、該スタイレットには先端に封止部、後端にはシリンジが気密装着可能なコネクターが設置されており、予め該カテーテルのサブルーメン内に該スタイレットが挿入してあり、先端側ではカテーテルの封止受部とスタイレットの封止部が気密嵌合し、後端側ではカテーテルとスタイレットのコネクターが気密嵌合しており、後でカテーテルからスタイレットを引き抜くことが可能であることを特徴とする留置カテーテル。
- スタイレットの後端に設置されたコネクターがシリンジを装着した際にのみ開口する封止弁である請求項1記載の留置カテーテル。
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