JP3941576B2 - 樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および製造装置 - Google Patents

樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Tダイから流下させた溶融樹脂から連続的に製膜される押出し樹脂フィルムを金属板にラミネートする樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および製造装置において、金属板が無駄にされることが無く、またラミネートされない樹脂が装置内に蓄積されることが無く処理される、生産効率と経済性とに優れた樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tダイから流下させた溶融樹脂を直接金属板に被覆する直接ラミネート技術は、樹脂フィルムの製造コストを省略できるため樹脂被覆の低コスト化に有効である。
【0003】
このような樹脂被覆金属板の製造方法として、特開平2−241737号公報には、溶融した熱可塑性樹脂を予熱した金属板にTダイより流下し、ニップロールで圧接して樹脂被覆金属板を得る方法が提示されている。また特開平6−305024号公報には、被覆前の樹脂フィルムを二軸延伸することにより、フィルム幅方向の膜厚変動を防止する方法が提示されている。しかしこの方法では、二軸延伸設備に多大の費用を要すること、また製膜開始からフィルム膜厚が安定するまで時間を要するにも拘らず、その間も金属板にラミネートを行なうため、金属板の損失大きいという問題点があった。
【0004】
これらの方法に対し、特開平10−309775号公報には、Tダイから流下させた溶融樹脂をフィルム形成冷却ロールを通過させることによって樹脂フィルムを製膜し、固化した樹脂フィルムの厚みが、目的とする膜厚範囲内であることを確認するまで該固化樹脂フィルムを固化樹脂フィルム巻取り装置に巻取り、固化樹脂フィルムの厚みが目的とする膜厚範囲内であることを確認後、金属板巻戻しリールから金属板を連続的に巻戻し、加熱された金属板の表面に該固化樹脂フィルムをラミネートロールにより圧着し、連続的にラミネートする方法が提示されている。この方法では、フィルム膜厚が安定してから金属板へのラミネートを開始するため金属板を無駄に消費することが無い。
【0005】
しかしこの方法では、フィルムラミネート途中で樹脂交換を行なう場合や、また何らかの要因でフィルム膜厚が不安定になったためにラミネートを一時中断して、樹脂を連続的に流しながら新しいフィルムが安定して製膜されるのを待つ場合に、冷却ロールによって冷却固化されたフィルムを再度設備内に通し直す必要があり、またその時に大量の樹脂が無駄に捨てられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、金属板および樹脂の無駄が生じず、生産効率的に優れ、経済的に優位な樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、押出し機を用いてTダイから流下させた溶融樹脂を、回転する冷却ロール上で固化させることにより製膜した樹脂フィルムを、連続的に金属板にラミネートする樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法であって、樹脂フィルムを金属板にラミネートする工程と樹脂フィルムをラミネートせずに巻取る工程とが交互に移行できることを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法が提供される。
【0008】
本発明においては、前記樹脂フィルムを金属板にラミネートするときにのみ、金属板を巻戻し装置より連続的に巻戻し、所定温度に加熱された金属板に樹脂フィルムをラミネートロールを用いて連続的に圧着することにより、容易で経済的なラミネートができる。
【0009】
また本発明においては、製膜された樹脂フィルムを金属板の一方の面のみにラミネートしても良いし、前記樹脂フィルム製膜装置および樹脂フィルム巻取り装置を金属板の両側に設けて、金属板の両面に樹脂フィルムをラミネートしても良い。その際、両面にラミネートする樹脂フィルムの樹脂組成または被膜構成はそれぞれ、異なっていても良いし同じでも良いし、要求特性に応じて決定できる。
【0010】
すなわち本製造方法においては、押出し機とTダイと冷却ロールとを用いた樹脂フィルムの製膜を金属板の両側にて行ない、各々の該樹脂フィルムを金属板の両面にラミネートして、両面樹脂被覆の樹脂フィルムラミネート金属板を得る。
【0011】
また本発明においては、金属板を介して設置された一対のラミネートロールを用いて、金属板の一方の面に、前記Tダイより流下させた溶融樹脂から冷却ロールを用いて製膜した樹脂フィルムを圧着するとともに、同時に、金属板の他方の面に、既製樹脂フィルム巻戻しロールから巻戻した既製の樹脂フィルムを圧着してラミネートすることによって、金属板の両面に樹脂フィルムをラミネートしても良い。
【0012】
すなわち本製造方法においては、両面樹脂被覆の樹脂フィルムラミネート金属板における片面の樹脂被覆は押出し機とTダイと冷却ロールを用いて製膜した樹脂フィルムにより行ない、他面の樹脂被覆は既製の樹脂フィルムにより行なう。
【0013】
また本発明によれば、このような樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置として、金属板を連続的に巻戻す金属板巻戻し装置と、前記金属板を所定温度に加熱する加熱装置と、溶融樹脂をTダイから流下させる押出し機と、流下させた溶融樹脂を固化させて樹脂フィルムを製膜する冷却ロールと、非ラミネート時に金属板から離れて位置し、ラミネート時に樹脂フィルムを加熱された金属板に圧着させるためのラミネートロールと、金属板に樹脂フィルムが圧着された樹脂フィルムラミネート金属板を連続的に巻き取る装置と、ラミネートロールの上流側に位置し、非ラミネート時に樹脂フィルムを巻き取るための樹脂フィルム巻取り装置と、樹脂フィルムを両面から挟み、ラミネートロールの上流側から下流側へ移動可能なフィルム引取りロールと、非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときに、フィルム引取りロールを金属板とラミネートロールとの間を通して移動させて、樹脂フィルムを樹脂フィルム巻取り装置から引き離して金属板とラミネートロールとの間に通した後、ラミネートロールを金属板へ押し付けて樹脂フィルムの圧着を開始する制御手段とを具備し、ラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールの上流側で切断された樹脂フィルムを、樹脂フィルム巻取り装置が巻き取ることを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置が提供される。
【0014】
また本発明によれば、金属板を連続的に巻戻す金属板巻戻し装置と、前記金属板を所定温度に加熱する加熱装置と、溶融樹脂をTダイから流下させる押出し機と、流下させた溶融樹脂を固化させて樹脂フィルムを製膜する冷却ロールと、非ラミネート時に金属板から離れて位置し、ラミネート時に樹脂フィルムを加熱された金属板に圧着させるためのラミネートロールと、金属板に樹脂フィルムが圧着された樹脂フィルムラミネート金属板を連続的に巻き取る装置と、樹脂フィルムを両面から挟み、ラミネートロールの上流側から下流側へ移動可能なフィルム引取りロールと、ラミネートロールの下流側に位置し、非ラミネート時に金属板とラミネートロールとの間を通過した樹脂フィルムを巻き取るための樹脂フィルム巻取り装置と、非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールを金属板へ押し付けて、両者の間を通過する樹脂フィルムの金属板への圧着を開始し、ラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールを金属板から離した後、フィルム引取りロールを金属板とラミネートロールとの間を通して移動させて、フィルム引取りロールによって樹脂フィルムを金属板から引き離し、離れた樹脂フィルムを下流側の樹脂フィルム巻取り装置で巻き取らせる制御手段とを具備することを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置が提供される。
【0015】
また金属板の両面に、押出しされた溶融樹脂から製膜された樹脂フィルムを巻き取ること無くラミネートするためには、押出し機と、Tダイと、フィルム製膜用冷却ロールと、フィルム引取りロールと、樹脂フィルム巻取り装置とをそれぞれ、前記金属板の両側に設置する必要がある。なお金属板を介するように設置される一対のラミネートロールについては、金属板の両面へのラミネート用として2組設置しても良いし、1組だけ設置して金属板の両面に固化樹脂フィルムを同時にラミネートしても良い。
【0016】
また金属板の一方の面に、Tダイから流下させた溶融樹脂から製膜した樹脂フィルムをラミネートし、他方の面に、既製の樹脂フィルムをラミネートすることを同一工程で行なうためには、金属板の一方の側に、前記押出し機と、Tダイと、フィルム製膜用冷却ロールと、フィルム引取りロールと、樹脂フィルム巻取り装置とを設置し、他方の側には、既製の樹脂フィルムを巻き戻すための既製樹脂フィルム巻戻し装置を少なくとも設置することが必要である。なお金属板を介するように設置される一対のラミネートロールについては、前述と同様に、金属板の両面へのラミネート用として2組設置しても良いし、1組だけ設置して金属板の両面に固化樹脂フィルムを同時にラミネートして良い。
【0017】
なお上述した既製樹脂フィルム巻戻し装置は、単にフィルムを巻戻す機能だけでなく、金属板にラミネートする際のフィルムテンションコントロール機能を有していることが好ましい。
【0018】
さらに前述した装置の他に、ラミネートロールの前および/または後にフィルム切断装置を設置することにより、樹脂フィルムを金属板にラミネートする工程と樹脂フィルムをラミネートせずに巻取る工程との間の交互の移行がよりスムーズとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法においては、押出し機とTダイと冷却ロールとを用いて製膜した樹脂フィルムの品質が安定するまで、この樹脂フィルムをフィルム巻取り装置に通して巻き取る。そして樹脂フィルムの品質が安定した後、金属板巻戻し装置から連続的に巻戻され所定温度に加熱された金属板に、ラミネートロールにより該樹脂フィルムを圧着して連続的にラミネートし、樹脂フィルムラミネート金属板を得る。必要に応じて、樹脂フィルムの両端をスリットしてトリミングした後、該金属板に圧着する。フィルムのトリミングは、樹脂破断を避けるために、樹脂フィルムの温度がガラス転移温度より下がる前に行なうことが好ましい。
【0020】
本発明では、樹脂フィルムの金属板へのラミネートを開始したのちラミネートを中断するときに、樹脂フィルムを冷却ロールから設備内に通したまま再び巻き取ることができる。そのため樹脂フィルムを再度設備内に通す必要がなく、樹脂を無駄に捨てることもない。言い換えれば本発明では、ラミネート開始前に樹脂フィルムを巻取る非ラミネート状態から、樹脂フィルムを金属板にラミネートするラミネート状態へ移行した後、ラミネート中断時に、再び樹脂フィルムを巻取る非ラミネート状態へ移行することができる。
【0021】
図1〜6に、本発明の樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置の一例を示す概略図を示す。図1はラミネート開始前のフィルムを巻き取る非ラミネート状態の装置を示す。図2および3は、図1の非ラミネート状態から図4のラミネート状態へ移行する際の装置の動作を示す部分図である。図4はラミネート開始後のフィルムをラミネートするラミネート状態の装置を示す。図5および6は、図4のラミネート状態から図1のラミネート状態へ移行する際の装置の動作を示す部分図である。
【0022】
図1において、押出し機1によってTダイ2から流下した溶融樹脂3は、回転する冷却ロール4上で固化して樹脂フィルム5を形成する。形成された樹脂フィルム5は、必要に応じてトリミング用スリッター6を通った後、互いに向かい合う一対のフィルム引取りロール31の間を通る。図1の非ラミネート状態では、引取りロール31を通った樹脂フィルム5は、一対のフィルム引取り可動ロール32の間を通った後、案内ロール33によって案内されて、フィルム巻取りロール34に導かれ巻き取られる。なお後述するように、ラミネート状態では、引取りロール31を通った樹脂フィルム5は一対のラミネートロール7の間を通る。
【0023】
一方、金属板巻戻し装置21からは金属板22が巻き戻される。巻き戻された金属板22は、加熱装置23で所定の温度に加熱された後、ラミネートロール7の間に移送され、そこで樹脂フィルム5がラミネートされる。図1の非ラミネート状態では、巻き戻し装置21から巻き戻された金属板22は、ラミネートロール7の間で停止しており、ラミネートロール7は金属板22から離れている。
【0024】
図1の非ラミネート状態から図4のラミネート状態への移行は、図2および図3に示すように行なわれる。
まず図2(a)〜(c)のように、フィルム引取り可動ロール32が、樹脂フィルム5を両面から保持したまま、ラミネートロール7と金属板22との間を通過しながら移動する。可動ロール32の移動によって、樹脂フィルム5はフィルム巻取りロール34から引き離されて、ラミネートロール7と金属板22との間に導かれる。その際、ロール32から落下する樹脂フィルム5は吸引されて、巻取りロール34に導かれる。また案内ロール33は、樹脂フィルム5がフィルム巻取りロール34およびラミネートロール7に接触しないように、可動ロール32の動きに連動して移動する。図2(c)のように、樹脂フィルム5がラミネートロール7と金属板22との間に導かれたら、金属板22を所定速度で動かし、同時にラミネートロール7を金属板22の方へ動かす。
【0025】
こうして図3(a)に示すように、ラミネートロール7によって樹脂フィルム5を金属板22へ押し付けて圧着させる。前述したように金属板22が加熱装置23によって加熱されているため、図3(b)に示すように樹脂フィルム5は金属板22に強固に圧着される。
【0026】
以上のようにして、図4に示すラミネート状態へ移行する。ラミネート状態では、金属板22に樹脂フィルム5がラミネートされた樹脂フィルムラミネート金属板24が、連続して製造される。
【0027】
図4のラミネート状態を中断したときには、例えば図5および図6に示すようにして、再び図1に示すような樹脂フィルム5を巻き取る非ラミネート状態へ移行する。まず可動ロール32をラインから引抜く(紙面に垂直な方向に動かす)形でラミネートロール上流側に移動させ(図5(a))、その位置でフィルム引取りを開始する(図5(b))。その後、ラミネートロール7を金属板22から離すと同時にフィルム5を切断する(図5(c))。そして図6(a)に示すように、可動ロール32を移動させ、フィルム巻取りロール34にフィルム5を導き、巻き付けを開始する。その後、図6(b)に示すように、可動ロール32を図1の位置まで移動させて、図1の非ラミネート状態への移行が完了する。
こうして、図1の樹脂フィルムをラミネートせずに巻き取る非ラミネート状態と、図4の樹脂フィルムを金属板にラミネートするラミネート状態との間で、連続して交互に移行することができる。
【0028】
このように本発明では、樹脂フィルム5の金属板22へのラミネートを中断した際、樹脂フィルム5を設備内(冷却ロール4からフィルム引取りロール31)へ通したまま巻き取ることができる。そのため、樹脂フィルムを再度設備内に通す必要がなく、その時に樹脂を無駄に捨てることもないため、生産効率的に優れ、経済的に優位である。
【0029】
なお図1〜6に示す装置においては、金属板22に樹脂フィルム5が連続的にラミネートされた樹脂フィルムラミネート金属板24を冷却する冷却装置25、および冷却された樹脂フィルムラミネート金属板24を巻き取る樹脂フィルムラミネート金属板巻取り装置26が設けられていることが好ましい。
【0030】
図7〜10は、本発明の樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置の他の例を示す概略図である。図7はラミネート開始前のフィルムを巻き取る非ラミネート状態の装置、図8はラミネート開始後のフィルムをラミネートするラミネート状態の装置を示す。図9および10は、図8のラミネート状態からラミネートを中断して、図7と同様の非ラミネート状態へ移行する際の装置の動作を示す部分図である。なお図1〜6に示す装置との違いを中心に説明する。
【0031】
図7の非ラミネート状態では、必要に応じてトリミング用スリッター6を通った樹脂フィルム5は、フィルム引取り可動ロール32の間を通り、フィルムラミネートロール7と金属板22との間を通った後、互いに向かい合う一対のフィルム引取りロール31の間を通って、フィルム巻取り装置34に導かれて巻き取られる。
【0032】
図7の非ラミネート状態から図8のラミネート状態へ移行するためには、まず金属板22を所定速度で動かし、同時にラミネートロール7を金属板22の方へ動かして樹脂フィルム5を金属板22へ押し付けて圧着させる。金属板22は加熱装置23によって加熱されているため、樹脂フィルム5は金属板22へ強固に圧着される。こうして図8に示すラミネート状態へ移行する。ラミネート状態では、金属板22に樹脂フィルム5がラミネートされた樹脂フィルムラミネート金属板24が、連続して製造される。
【0033】
図8のラミネート状態を中断したときには、図9および図10のようにして、再び樹脂フィルムを巻き取る非ラミネート状態へ移行する。まず図9(a)および(b)のように、ラミネートロール7が金属板22より離れると同時に、ラミネートロール7の前に設置されたフィルム引取り可動ロール32が、樹脂フィルム5を保持したままラミネートロール7と金属板22との間を通過しながら移動して、フィルム5を金属板22から引き離す。それから可動ロール32は、図9(c)に示すようにラミネートロール7の後に設置されたフィルム引取りロール31を通過して、図10(a)に示すようにフィルム巻取り装置34まで達する。その後、フィルム引取りロール31が閉じて樹脂フィルム5を引取り始め、図10(b)のように樹脂フィルム5をフィルム巻取り装置34に巻き取る。こうして再び、図7と同様の樹脂フィルム5を巻き取る非ラミネート状態へ移行する。ただしフィルム引取り可動ロール32は、図7に示すようにラミネートロール7の上流側にあるのではなく、図10(b)に示すようにラミネートロール7の下流側のフィルム巻取り装置34付近に移動している。また図7と同様の非ラミネート状態へ移行した後、ラミネートロール7を再び金属板22の方へ動かして樹脂フィルム5を圧着させる等により、再度ラミネート状態へ移行することができる。
【0034】
このように図7〜10に示す本発明の装置においても、樹脂フィルム5の金属板22へのラミネートを中断した際、フィルムを設備内(冷却ロール4からフィルム引取りロール31)に通したまま巻き取ることができる。そのため、樹脂フィルムを再度設備内に通す必要がなく、その時に樹脂を無駄に捨てることもないため、生産効率的に優れ、経済的に優位である。
【0035】
なお図7〜10に示す装置においても、図1〜6に示す装置と同様に、冷却装置25、樹脂フィルムラミネート金属板巻取り装置26が設けられていることが好ましい。
【0036】
また図1〜10に示す装置においては、金属板巻戻し装置21、樹脂フィルムラミネート金属板巻取り装置26、冷却ロール4、ラミネートロール7、フィルム引取りロール31は完全に同調している必要がある。また状況によっては、樹脂フィルムラミネート金属板24は冷却前にロールタッチすると表面外観を損なうことがあるため、樹脂フィルムラミネート金属板24の冷却は必要に応じて、ロールタッチ前に設置される冷却装置(図示せず)を併用して行なうか、またはこのような冷却装置だけで行なっても良い。さらに溶融樹脂冷却ロール4の数を増やしたり、冷却ロール4に溶融樹脂3を押し付けてTダイ2と冷却ロール4との間のエアーギャップを狭めるための装置、たとえばバキューム装置またはエアーチャンバー装置11、静電ピンニング装置、ニップロール等を設置しても良い。またフィルムの静電除去装置やコロナ放電処理装置等を設置しても良い。さらにフィルムや金属板のパスラインロールについても、必要に応じて設置する。
【0037】
また本発明においては、金属板を樹脂融点に対し、融点−70℃〜融点+30℃の温度に加熱して、樹脂フィルムが溶融圧着される。加熱温度が樹脂融点−70℃を下回ると樹脂が溶融しないため金属板に融着せず、融点+30℃を上回ると金属板に接触した樹脂が熱分解するため、好ましくない。
【0038】
また、加熱された金属板22の温度と同様にラミネートロール7の温度もラミネート性や樹脂フィルムラミネート金属板の特性に大きく影響する。従って、ラミネートロール表面温度の調整機能を有するロール(図示せず)を、該ラミネートロール7に接触させ、ラミネートロール7の回転に同調して回転させることによって、ラミネートロール7の表面温度を調整することが好ましい。
【0039】
なお本発明に用いられる樹脂の種類は、押出し製膜できて金属板に熱融着可能であれば特に制限されるものでなく、要求特性に応じて選択される。例えば、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、マレイン酸変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂とポリ4メチル−1ペンテン樹脂やアイオノマー樹脂等の変性ポリオレフィン系樹脂とのブレンド樹脂、前記樹脂にさらにポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドした樹脂、さらにそれらのブレンド体、押し出し機二台とマルチマニホールドダイスまたはコートハンガーダイ等のダイスを用いて、前記樹脂を組合せた二層被覆構成の被層樹脂、押し出し機三台とマルチマニホールドダイまたはコートハンガーダイ等のダイを用いて、前記樹脂を組合せた三層被膜構成の複層樹脂等が挙げられる。
【0040】
また、樹脂被膜には単層あるいは複層の各々の層に、必要に応じて、顔料、安定剤、防錆剤、酸化防止剤等の添加剤が含入されていても良い。
【0041】
一方、金属板についても特に限定されるものではないが、本発明に使用する金属板の例としては、表面アルマイト処理、脱脂酸洗等の表面清浄化処理、表面エッチング処理、表面浸漬クロム酸処理や電解クロム酸処理を行なったアルミニウム板、あるいは無処理、Sn、Ni、Zn等のめっき処理を行なった後に浸漬クロム酸処理や電解クロム酸処理を行なった鋼板等が挙げられる。
【0042】
<実施例>
図1〜6に示す装置により、IV=0.65のホモPET樹脂を用いた両面樹脂フィルムラミネート金属板を製造した。その結果、従来の方法に比べて、生産効率とリサイクル効率が大きく向上した。従来方法に比べ、ラミネート状態と非ラミネート状態間の相互の移行が可能となり、ラミネート中断時から再ラミネートまでの時間ロスが無くなり、全体の作業量を20%削減することができた。さらに、再ラミネート時に無駄になる樹脂が無くなる事により非ラミネート樹脂の回収率が高まり、リサイクル効率が10%向上した。
【0043】
【発明の効果】
本発明の樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法および装置においては、樹脂フィルムの金属板へのラミネートを中断した際、フィルムを設備内に通したまま再び巻き取ることができるため、樹脂フィルムを再度設備内に通す必要がなく、樹脂フィルムの無駄が生じない。その結果、本発明においては、生産効率が従来の方法に比べて10〜20%向上し、それに伴い経済性も大きく向上することが確認された。樹脂フィルムラミネート金属板の製造における本発明の適用効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置(非ラミネート状態)の一例を示す概略図。
【図2】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置の非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の一例を示す部分概略図。
【図3】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置の非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の一例を示す部分概略図。
【図4】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置(ラミネート状態)の一例を示す概略図。
【図5】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置のラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の一例を示す部分概略図。
【図6】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置のラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の一例を示す部分概略図。
【図7】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置(非ラミネート状態)の他の例を示す概略図。
【図8】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置(ラミネート状態)の他の例を示す概略図。
【図9】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置のラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の他の例を示す部分概略図。
【図10】本発明に係る樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置のラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときの装置の動作模様の他の例を示す部分概略図。
【符号の説明】
1…押出し機
2…Tダイ
3…溶融樹脂
4…溶融樹脂冷却ロール
5…樹脂フィルム
6…トリミング用スリッター
7…フィルムラミネートロール
9…樹脂フィルム破砕装置
10…フィルム側端部
11…バキュームまたはエアーチャンバー装置
21…金属板巻戻し装置
22…金属板
23…加熱装置
24…樹脂フィルムラミネート金属板
25…冷却装置
26…樹脂フィルムラミネート金属板巻取り装置
31…フィルム引取りロール
32…フィルム引取り可動ロール
33…案内ロール
34…フィルム巻取りロール

Claims (8)

  1. 押出し機を用いてTダイから流下させた溶融樹脂を、回転する冷却ロール上で固化させることにより製膜された樹脂フィルムを、連続的に金属板にラミネートする樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法であって、
    樹脂フィルムを金属板にラミネートする工程と樹脂フィルムをラミネートせずに巻取る工程とが交互に移行できることを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法。
  2. 前記樹脂フィルムを、金属板巻戻し装置より連続的に巻戻され所定温度に加熱された金属板に、ラミネートロールを用いて連続的に圧着することによりラミネートすることを特徴とする請求項1記載の樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法。
  3. 前記樹脂フィルムを前記金属板の両面にラミネートすることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法。
  4. 前記樹脂フィルムを前記金属板の一方の面のみにラミネートし、他方の面には巻戻しロールから巻戻された既製樹脂フィルムをラミネートロールを用いて圧着してラミネートすることによって、前記金属板の両面に樹脂フィルムをラミネートすることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法。
  5. 金属板を連続的に巻戻す金属板巻戻し装置と、
    前記金属板を所定温度に加熱する加熱装置と、
    溶融樹脂をTダイから流下させる押出し機と、
    流下させた溶融樹脂を固化させて樹脂フィルムを製膜する冷却ロールと、
    非ラミネート時に金属板から離れて位置し、ラミネート時に樹脂フィルムを加熱された金属板に圧着させるためのラミネートロールと、
    金属板に樹脂フィルムが圧着された樹脂フィルムラミネート金属板を連続的に巻き取る装置と、
    ラミネートロールの上流側に位置し、非ラミネート時に樹脂フィルムを巻き取るための樹脂フィルム巻取り装置と、
    樹脂フィルムを両面から挟み、ラミネートロールの上流側から下流側へ移動可能なフィルム引取りロールと、
    非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときに、フィルム引取りロールを金属板とラミネートロールとの間を通して移動させて、樹脂フィルムを樹脂フィルム巻取り装置から引き離して金属板とラミネートロールとの間に通した後、ラミネートロールを金属板へ押し付けて樹脂フィルムの圧着を開始する制御手段と
    を具備し、
    ラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールの上流側で切断された樹脂フィルムを、樹脂フィルム巻取り装置が巻き取ることを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置。
  6. 金属板を連続的に巻戻す金属板巻戻し装置と、前記金属板を所定温度に加熱する加熱装置と、溶融樹脂をTダイから流下させる押出し機と、流下させた溶融樹脂を固化させて樹脂フィルムを製膜する冷却ロールと、非ラミネート時に金属板から離れて位置し、ラミネート時に樹脂フィルムを加熱された金属板に圧着させるためのラミネートロールと、金属板に樹脂フィルムが圧着された樹脂フィルムラミネート金属板を連続的に巻き取る装置と、樹脂フィルムを両面から挟み、ラミネートロールの上流側から下流側へ移動可能なフィルム引取りロールと、ラミネートロールの下流側に位置し、非ラミネート時に金属板とラミネートロールとの間を通過した樹脂フィルムを巻き取るための樹脂フィルム巻取り装置と、非ラミネート状態からラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールを金属板へ押し付けて、両者の間を通過する樹脂フィルムの金属板への圧着を開始し、ラミネート状態から非ラミネート状態へ移行するときに、ラミネートロールを金属板から離した後、フィルム引取りロールを金属板とラミネートロールとの間を通して移動させて、フィルム引取りロールによって金属板から樹脂フィルムを引き離し、離れた樹脂フィルムを下流側の樹脂フィルム巻取り装置で巻き取らせる制御手段とを具備することを特徴とする樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置。
  7. 前記押出し機と、Tダイと、フィルム製膜用の冷却ロールと、フィルム引取りロールと、樹脂フィルム巻取り装置とを、前記金属板の両面へのラミネート用に1対づつ具備することを特徴とする請求項5または6に記載の樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置。
  8. 前記押出し機と、Tダイと、フィルム製膜用の冷却ロールと、フィルム引取りロールと、樹脂フィルム巻取り装置とを、前記金属板の一方の面へのラミネート用に具備し、既製の樹脂フィルムを巻き戻すための既製樹脂フィルム巻戻し装置を金属板の他方の面へのラミネート用にさらに具備することを特徴とする請求項5または6記載の樹脂フィルムラミネート金属板の製造装置。
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