JP3075988B2 - 溶接缶用ラミネート鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接缶用ラミネート鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の飲料缶、美
術缶、18リットル缶、エアゾール缶等々の溶接缶用材
料として一般に使用されている塗装した電気ぶりき、T
FS(ティンフリースチール;薄クロムめっき鋼板)等
の塗装鋼板に代えて使用できる溶接缶用の樹脂複合鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】飲料、魚肉、塗料、化学薬品等の各種内
容物の容器として金属板が多く使用されており、これら
缶用の材料として電気ぶりき、TFS、その他の表面処
理鋼板の塗装品が多く使用されている。近年、こうした
塗装鋼板に代わって、同じく電気ぶりき、TFS、その
他の表面処理鋼板に熱可塑性のポリエチレン(以下、P
Eという、)ポリプロピレン(以下、PPという)、ポ
リエチレンテレフタレート(以下、PETという)等の
熱可塑性樹脂をラミネートした鋼板(以下、ラミネート
鋼板という)が使用されるようになっている。これは、
従来の塗装鋼板は、塗装時に有機溶剤の拡散があり、大
気汚染の問題から、環境問題の少ないラミネート鋼板の
使用が多くなっている。
【0003】ラミネート鋼板を用いて缶材料を製缶する
場合は、樹脂の自己融着性を利用して缶の接着を行うも
の、接着剤を用いてラミネート層同士を融着するものが
あるが、ラミネート鋼板を溶接缶用素材として適用する
には、通電加熱により接合溶接できるよう、缶の種類に
よって異なるが、ラミネート鋼板の両端部に3〜9mm
幅程度の非ラミネート部を確保する必要があった。
【0004】ラミネート鋼板を製造する方法としては、
予め成形された熱可塑性樹脂フィルムを熱圧着により表
面処理鋼板(以下、鋼板という)に接着させる熱ラミネ
ート法、溶融熱可塑性樹脂をTダイより一般には予熱さ
れている鋼板に直接接着させる、すなわち、一対のロー
ルで圧接された予熱してある鋼板と一方のロールの界面
近傍にTダイより溶融した熱可塑性樹脂を流下し、鋼板
にラミネートする押出ラミネート法とがある。熱ラミネ
ート法では、フィルムの幅を制約することにより、容易
に非ラミネート部を確保することができ、フィルムの価
格は押出ラミネート法で使用する樹脂価格よりも高額と
なるが、溶接缶用ラミネート鋼板の製造が可能である。
【0005】一方、押出ラミネート法においては、Tダ
イのスリット状開口から流下する溶融状態の熱可塑性樹
脂膜は開口から流下するに従って幅狭まり(ネックイ
ン)が生じ、開口下方の樹脂膜における幅方向の単位長
さ当たりの樹脂流量は、中央部が均一であるが、中央部
に比べて両端部は大きくなっており、樹脂流量の大きな
両端部の幅は、樹脂の種類、エアーギャップで異なる
が、20〜50mm程度となっている。このため熱可塑
性樹脂膜を鋼板の幅よりも狭くして鋼板の両端部に非ラ
ミネート部を確保しようとすると、得られたラミネート
鋼板の幅方向のラミネート樹脂の厚みが不均一となって
しまうので、樹脂流量の均一な幅方向の中央部で、少な
くとも鋼板の幅方向の両端部のラミネート不要部を除く
鋼板の中央部をラミネートし、その後鋼板の両端部のラ
ミネート不要部にラミネートされたラミネート樹脂を除
去することで非ラミネート部を確保していた。
【0006】ラミネート鋼板に使用される熱可塑性樹脂
は、PE、PP、PET等であるが、これらの樹脂に
は、そのままで表面処理鋼板と接着するものや、鋼板と
の接着性を持たせるために酸成分などで一部変性したも
のがある。製缶に対する加工性や種々の内容物に対する
耐蝕性の観点からは、これらの熱可塑性樹脂は鋼板と十
分に密着している必要があり、一旦ラミネートした樹脂
を除去することは容易ではない。
【0007】そこで、従来、非ラミネート部の確保のた
めの鋼板両端部のラミネート樹脂の除去を容易に行う方
法として、次の方法が提案されている。 (1)熱可塑性樹脂が被覆された鋼板の端部にウオータ
ージェット(以下、WJという)を吹き付けて端部の樹
脂を除去する方法(特開平6−64127号公報)、 (2)ロールの圧接幅を鋼板の板幅よりも狭くして、圧
接していない部分の樹脂膜(鋼板に密着していない樹脂
膜)を下流のカッターナイフ、ウオータージェットナイ
フ等の切断装置で切断する方法(特開平6−64061
号公報)、
【0008】(3)圧着直前の予熱された鋼板の両端部
およびまたは中央部のラミネート不要部の表面に、例え
ば、溶剤系または、水分散系の接着剤を塗布して、0.
1〜20μm厚みの熱可塑性樹脂との密着性に優れ、鋼
板表面との密着性に劣る接着性樹脂膜を形成し、熱可塑
性樹脂ラミネート、冷却後に接着性樹脂のエッジ部の熱
可塑性樹脂を、例えばレーザー等で切断し、接着性樹
脂と熱可塑性樹脂を鋼板表面より容易に剥離除去する方
法、鋼板の端部の接着性樹脂と熱可塑性樹脂について
はウオータージェットで切断と同時に吹き飛ばし除去す
る方法(特開平6−155618号公報)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の方法は、
WJ設備投資が大きいことが問題であり、また(3)に
示されるような鋼板の幅方向の両端部以外の中央部に非
ラミネート部を形成することは出来ないという問題があ
る。また上記(2)の方法は、切断装置がカッターの場
合は、鋼板の疵付き防止のため、カッター刃先先端位置
の調整にミクロンオーダーの精度を有する特殊な装置が
必要となり、WJを用いた切断の場合は、前記のように
WJ設備投資が大きいという問題がある。
【0010】更に上記(3)の方法は、複数台の接着剤
塗布装置以外に、複数台のレーザー等の切断装置および
またはウオータージェット装置等の特殊で高価な付帯装
置が必要であり、非ラミネート部形成コストが大きくな
るという問題がある。本発明は、上記特殊で高価な装置
を用いることなく、鋼板の幅方向の両端部、これに加え
て中央部のラミネート不要部分に非ラミネート部を形成
したラミネート鋼板を得る方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の通
りである。巻付ロールに巻き付き通過する予熱してある
表面処理鋼板に、圧延ロールを圧接し、圧接ロールと鋼
板の界面近傍に、押出機を経てTダイより溶融した熱可
塑性樹脂膜を流下して表面処理鋼板に熱可塑性樹脂膜を
ラミネート後、冷却するようにしたラミネート鋼板の製
造方法において、上記圧接ロールの圧接並びに熱可塑性
樹脂の流下を行う前に、上記圧接位置よりも鋼板上流側
に設けた払出リールから払い出した二軸延伸熱可塑性樹
脂フィルムを、上記圧接位置よりも下流側に設けた巻取
リールに掛け渡して、このフィルムが上記圧接位置で鋼
板幅方向の端部のラミネート不要部(溶接代)と鋼板幅
方向の端部の外側の巻付ロールの表面とを覆うようにし
ておき、続いて上記圧接ロールの圧接並びに上記溶融熱
可塑性樹脂膜の流下を行い、熱可塑性樹脂膜の幅方向の
中央部の膜厚均一部を表面処理鋼板上に、また幅方向の
端部の膜厚不均一部を二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム上
にラミネートすると共に、巻取リールにより二軸延伸熱
可塑性フィルムを弛みなく張力付加状態で巻き取ること
により、フィルムがフィルム表面にラミネートされた熱
可塑性樹脂膜部と共に鋼板表面から剥離すると共に、鋼
板表面にラミネートされた熱可塑性樹脂膜部を剥離する
ことなく、フィルムエッジ位置で熱可塑性樹脂膜が切断
され、鋼板表面にラミネートされた熱可塑性樹脂膜部が
剥離することなく、フィルム表面にラミネートされた熱
可塑性樹脂膜部がフィルムと共に除去され、鋼板幅方向
の端部に非ラミネート部を有するラミネート鋼板を得る
ことを特徴とする溶接缶用ラミネート鋼板の製造方法に
ある。
【0012】上記表面処理鋼板としては、錫めっき鋼板
(電気ぶりき)、薄クロムめっき鋼板(ティンフリース
チール;TFS)等を用いることができるが、電気ぶり
きは高価であり、またTFSは安価であるが、めっき層
の導電性が低いため溶接に際してそれを研削しなけれ
ば、溶接できない。そこで、導電性を改善し、そのまま
溶接でき、しかも安価な溶接缶用表面処理鋼板として、
本出願人が特公平6−96790号公報で提案した、鋼
板表面に粒状錫が散在し、この粒状錫上および鋼板表面
の露出部に金属クロム層を有し、その上にクロム水和酸
化物層を有する溶接缶用表面処理鋼板(商品名:キャン
エクセル)を用いるのが、製造コスト上、望ましい。
【0013】上記鋼板にラミネートする樹脂としては鋼
板側に接着層を有するポリエチレン(以下、PEとい
う)、ポリプロピレン(以下、PPという)、ポリエチ
レンテレフタレート(以下、PETという)を使用で
き、上記二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムとしては二軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸
ナイロンフィルムを使用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1、2は、本発明法を実施する
装置の一例を示したものである。ラミネート鋼板の製造
装置は、巻出リール(図示せず)より払い出され、予熱
装置(図示せず)で予熱され、ターンダウンロール2を
経て、巻付ロール3に巻き付き通過する表面処理鋼板1
に圧接ロール4を圧接し、圧接ロール4と表面処理鋼板
1の界面近傍に、押出機5を経てTダイ6より溶融した
熱可塑性樹脂膜7を流下して表面処理鋼板1に熱可塑性
樹脂をラミネートさせ、巻付ロール3下流の、例えば水
スプレーノズルを採用してなる冷却装置8にて冷却して
ターンアップロール9、ターンダウンロール10を経
て、ラミネート鋼板を巻取リール(図示せず)に巻き取
るように構成されている。上記予熱温度は、鋼板1と熱
可塑性樹脂の密着性を確保するために、100〜200
℃の範囲で、熱可塑性樹脂の種類に応じて設定される。
【0015】また上記冷却装置8は、熱可塑性樹脂がポ
リプロピレンの場合、ラミネートされたポリプロピレ
ン、詳しくは変性ポリプロピレン層(鋼板側の接着層)
とポリプロピレン層からなるラミネート層の結晶化を抑
制し、耐マイクロクラック性、耐ストレスクラック性を
付与するための冷却速度30℃/secを確保する上で
必要である(特開平6−8368号公報参照)。なお、
鋼板側に接着層(変性ポリエチレン層)を有するポリエ
チレン層をラミネートしたものや、ポリエチレンテレフ
タレートをラミネートしたものは、そのまま徐冷しても
差し支えないが、製造ライン長を短縮する意味がある。
【0016】図1、2において、11は圧接位置よりも
上流に設けた二軸延伸されたポリエチレンテレフタレー
ト、ナイロン等の熱可塑性樹脂フィルム12の払出リー
ル、13は上記圧接位置よりも下流に設けた二軸延伸熱
可塑性樹脂フィルム12の巻取リールである。図1にお
いて、14は二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム12のガイ
ドロールである。
【0017】図1、2のラミネート鋼板の製造装置によ
れば、上記圧接ロール4の圧接並びに熱可塑性樹脂膜7
の流下を行う前に、圧接位置よりも上流側に設けた払出
リール11から払い出した二軸延伸熱可塑性樹脂フィル
ム12を、上記圧接位置よりも下流側に設けた巻取リー
ル13に、図1の装置ではガイドロール14を介して、
また図2の装置では冷却装置8内を通しターンダウンロ
ール10を介して、掛け渡す。
【0018】更に、このフィルム12が、図3に示すよ
うに、上記圧接位置で鋼板1の幅方向の端部のラミネー
ト不要部(溶接代)と鋼板1の幅方向の端面の外側の巻
付ロール3の表面とを覆うようにしておく。続いて圧接
ロール4の圧接並びに溶融熱可塑性樹脂膜7の流下を行
い、図3に示すように、熱可塑性樹脂膜7の幅方向の中
央部の膜厚均一部を表面処理鋼板1の上に、また幅方向
の端部の膜厚不均一部を二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム
12の上にラミネートする。同時に、巻取リール13に
より二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム12を弛みなく張力
付加状態で巻き取る。
【0019】これにより、フィルム12がその表面にラ
ミネートされた熱可塑性樹脂膜部と共に鋼板1の表面よ
り剥離すると共に、鋼板1の表面にラミネートされた熱
可塑性樹脂膜部を剥離することなく、フィルム12のエ
ッジ位置で熱可塑性樹脂膜7が切断され、鋼板1の表面
にラミネートされた熱可塑性樹脂膜部を剥離することな
く、フィルム12の表面にラミネートされた熱可塑性樹
脂膜部がフィルム12と共に除去され、鋼板1の幅方向
の端部に非ラミネート部を有するラミネート鋼板が得ら
れる。
【0020】鋼板1の幅方向の端部に非ラミネート部を
有するだけでなく、鋼板1の幅方向の中央部にも非ラミ
ネート部を有するラミネート鋼板を得るには、払出リー
ル11と巻取リール13に掛け渡すフィルム12の条数
を増やし、例えば図4のように、圧接位置で鋼板1の幅
方向の中央部のラミネート不要部を覆うようにすれば良
い。この場合、鋼板1の幅方向の中央部に1条の非ラミ
ネート部と2条の熱可塑性樹脂のラミネート部を有し、
両端部に非ラミネート部を有するラミネート鋼板を得る
ことができ、鋼板1の中央部の非ラミネート部をスリッ
トすることで、2条の鋼板1の幅方向の端部に非ラミネ
ート部を有するラミネート鋼板を得ることができる。
【0021】
【実施例】次に本発明のラミネート鋼板の製造方法を実
施例に基づいて説明する。 (実施例1)図1のラミネート鋼板の製造装置を用い
た。圧接ロール4として、外径300mmのゴムライニ
ングロールを、また、巻付ロール3として外径が300
mmのゴムライニングロールを用いた。表面処理鋼板1
として、厚さ0.2mm、幅900mmの鋼板の表面に
錫粒の占める面積百分率が12〜18%(鋼板表面の露
出部82〜88%)となるように0.5〜1.0μmの
錫粒が散在し、この錫粒および鋼板表面露出部上に65
〜110mg/m2 の金属クロム層、この上にクロムと
して7〜18mg/m2のクロム水和酸化物層を有する
溶接缶用表面処理鋼板を用い、その予熱温度は140℃
とした。
【0022】Tダイ6として2層Tダイを用い、樹脂温
度260℃の変性ポリプロピレン、ポリプロピレンを共
押出しして、鋼板1側を変性ポリプロピレン層、圧接ロ
ール4側をポリプロピレン層とした二層構造の熱可塑性
樹脂膜7を流下するようにした。また押出量を調整し
て、樹脂膜の被覆幅を、その幅方向の中央部の900m
mの膜厚が30μm(変性ポリプロピレン層厚10μ
m、ポリプロピレン層20μm)一定で、両端部の30
mmの膜厚が30μ以上で不均一な、960mmとし
た。二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム12として、厚み1
5μm、幅50mmで、その引っ張り強さが22kg/
mm2 の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
を用い、このフィルムの幅方向の端部と鋼板の幅方向の
端部とが圧接位置で5mmラップするようにした。フィ
ルム巻取リール13の巻取張力は1.0kg/mm2
した。ラインスピードは20m/sec、冷却装置8で
冷却後のラミネート鋼板の温度は50℃とした。
【0023】以上の条件のもとで得られた、ラミネート
鋼板のラミネート樹脂層の幅方向の端面状況を調査した
ところ、図5に示したように、丸みを帯びた端面となっ
ており、品質上の問題がないことを確認した。また、変
性ポリプロピレン、ポリプロピレンを、各々変性ポリエ
チレン、ポリエチレンに変えて、前記と同一の条件のも
とに、ラミネート鋼板を得、ラミネート樹脂層端面の状
況を調査したところ、図5に示したように、樹脂表面角
隅が丸みを帯びた端面となっており、品質上の問題がな
いことを確認できた。また、フィルム12の厚みを10
〜30μmに変更するとともに、巻取張力を0.9〜
1.5kg/mm2 に変更したが、同様であった。さら
に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを引
っ張り強さが22kg/mm2 の二軸延伸ナイロンフィ
ルムに変えても同様であった。
【0024】(実施例2)図2のラミネート鋼板の製造
装置を用いた。圧接ロール4として、外径300mmの
ゴムライニングロールを、また、巻付ロール3として外
径が300mmのゴムライニングロールを用いた。表面
処理鋼板1として、厚さ0.2mm、幅900mmの鋼
板の表面に錫粒の占める面積百分率が12〜18%(鋼
板表面の露出部82〜88%)となるように0.5〜
1.0μmの錫粒が散在し、この錫粒および鋼板表面露
出部上に65〜110mg/m2 の金属クロム層、この
上にクロムとして7〜18mg/m2のクロム水和酸化
物層を有する溶接缶用表面処理鋼板を用い、その予熱温
度は180℃とした。
【0025】Tダイ6から、樹脂温度280℃のポリエ
チレンテレフタレートを押出し、流下するようにした。
また押出量を調整して、樹脂膜の被覆幅を、その幅方向
の中央部の900mmの膜厚が30μm一定で、両端部
の30mmの膜厚が30μ以上で不均一な、960mm
とした。二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム12として、厚
み15μm、幅50mmで、その引っ張り強さが22k
g/mm2 の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを用い、このフィルムの幅方向の端部と鋼板の幅方
向の端部とが圧接位置で5mmラップするようにした。
フィルム巻取リール13の巻取張力は1.0kg/mm
2 とした。ラインスピードは20m/sec、冷却装置
で冷却後のラミネート鋼板の温度は50℃とした。フィ
ルム12の剥離位置(ターンダウンロール10の位置)
における鋼板温度は48℃であった。
【0026】以上の条件のもとで得られた、ラミネート
鋼板のラミネート樹脂層の幅方向の端面状況を調査した
ところ、図6に示したように、樹脂表面角隅が数μm程
度ケバだった端面となっていたが、品質上の問題がない
ことを確認した。また、二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを、厚15μm、幅50mmの二軸延伸
ナイロンフィルムに変えて、前記と同一の条件のもと
に、ラミネート鋼板を得、ラミネート樹脂層端面の状況
を調査したところ、図6に示したように、樹脂表面角隅
が数μm程度ケバだった端面となっていたが、品質上の
問題がないことを確認できた。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、特殊で
高価な装置を用いることなく、鋼板の幅方向の両端部、
これに加えて中央部のラミネート不要部分に非ラミネー
ト部を形成したラミネート鋼板を簡単、確実に得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置例の説明図、
【図2】本発明を実施する他の装置例の説明図、
【図3】圧接位置における鋼板、フィルム、熱可塑性樹
脂膜の位置関係の説明図、
【図4】圧接位置における鋼板、フィルム、熱可塑性樹
脂膜の他の位置関係の説明図、
【図5】本発明法によって得たラミネート鋼板のラミネ
ート樹脂層の幅方向端面の形状の説明図、
【図6】本発明法によって得た他のラミネート鋼板のラ
ミネート樹脂層の幅方向端面の形状の説明図である。
【符号の説明】
1 表面処理鋼板 2 ターンダウンロール 3 巻付ロール 4 圧接ロール 5 押出機 6 Tダイ 7 溶融熱可塑性樹脂膜 8 冷却装置 9 ターンアップロール 1 0 ターンダウンロール 1 1 払出リール 1 2 二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム 1 3 巻取リール 1 4 フィルムガイドロール

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻付ロールに巻き付き通過する予熱して
    ある表面処理鋼板に、圧延ロールを圧接し、圧接ロール
    と鋼板の界面近傍に、押出機を経てTダイより溶融した
    熱可塑性樹脂膜を流下して表面処理鋼板に熱可塑性樹脂
    膜をラミネート後、冷却するようにしたラミネート鋼板
    の製造方法において、上記圧接ロールの圧接並びに熱可
    塑性樹脂の流下を行う前に、上記圧接位置よりも鋼板上
    流側に設けた払出リールから払い出した二軸延伸熱可塑
    性樹脂フィルムを、上記圧接位置よりも下流側に設けた
    巻取リールに掛け渡して、このフィルムが上記圧接位置
    で鋼板幅方向の端部のラミネート不要部と鋼板幅方向の
    端部の外側の巻付ロールの表面とを覆うようにしてお
    き、続いて上記圧接ロールの圧接並びに上記溶融熱可塑
    性樹脂膜の流下を行い、熱可塑性樹脂膜の幅方向の中央
    部を表面処理鋼板上に、また幅方向の端部を二軸延伸熱
    可塑性樹脂フィルム上にラミネートすると共に、巻取リ
    ールにより二軸延伸熱可塑性フィルムを弛みなく張力付
    加状態で巻き取ることにより、鋼板幅方向の端部に非ラ
    ミネート部を有するラミネート鋼板を得ることを特徴と
    する溶接缶用ラミネート鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Tダイが多層Tダイであり、鋼板表面と
    接触する側が変性ポリプロピレン、圧接ロールと接触す
    る側がポリプロピレンである二層構造の熱可塑性樹脂膜
    を流下するようにすると共に、二軸延伸熱可塑性樹脂フ
    ィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
    ルムまたは二軸延伸ナイロンフィルムを使用することを
    特徴とする請求項1に記載の溶接缶用ラミネート鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 Tダイが多層Tダイであり、鋼板表面と
    接触する側が変性ポリエチレン、圧接ロールと接触する
    側がポリエチレンである二層構造の熱可塑性樹脂膜を流
    下するようにすると共に、二軸延伸熱可塑性樹脂フィル
    ムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
    または二軸延伸ナイロンフィルムを使用することを特徴
    とする請求項1に記載の溶接缶用ラミネート鋼板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレ
    ートであり、二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムが二軸延伸
    ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ナ
    イロンフィルムであることを特徴とする請求項1に記載
    の溶接缶用ラミネート鋼板の製造方法。
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