JP3941157B2 - アクリルゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性と架橋速度とのバランスに優れ、かつ金属腐食や金属汚染のおそれが極めて低い架橋可能なアクリルゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリルゴムは、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とするエラストマー状(共)重合体で、耐油性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、圧縮永久歪等が良好であり、該ゴムを含有するゴム組成物は、従来からパッキング、ガスケット等を含むシール材や、各種成形品として使用されている。
このようなアクリルゴムは、例えば、ハロゲン系、エポキシ系、ジエン系等からなる架橋点を有しており、各架橋点に応じた架橋剤、架橋促進剤等を配合してゴム組成物に調製されている。
特にハロゲン含有アクリルゴムに対する架橋剤としては、脂肪酸金属石鹸と硫黄または硫黄供与体とからなる系、トリアジン誘導体とジチオカルバミン酸誘導体とからなる系等が知られているが、これらのうち、脂肪酸金属石鹸系架橋剤は、架橋速度、圧縮永久歪、耐水性が劣っており、トリアジン誘導体系架橋剤も、架橋速度が不十分で、耐スコーチ性、貯蔵安定性が低く、また架橋時における金属腐食や金属汚染も問題となっている。
このような問題を解決するため、脂肪酸金属石鹸系架橋剤については、例えば特公昭55−39181号公報に、(イ)有機カルボン酸アルカリ金属塩、(ロ)硫黄または硫黄供与体および(ハ)尿素類、チオ尿素類、イミダゾリン類あるいはアミノ酸類からなる系が提案されているが、該架橋剤は、架橋速度が低く、また圧縮永久歪の面でも十分とはいえない。
トリアジン誘導体系架橋剤については、例えば特開昭58−180539号公報に、(イ)トリチオシアヌール酸と(ロ)有機カルボン酸アルカリ金属塩とからなる系が、例えば特開平5−320456号公報に、(イ)トリアジンチオール化合物、(ロ)第四級アンモニウム塩および(ハ)有機カルボン酸アルカリ金属塩からなる系、あるいは(ニ)トリアジンチオール化合物と第四級アンモニウム塩との反応生成物からなる系がそれぞれ提案されているが、これらの架橋剤は、貯蔵安定性、耐スコーチ性、架橋速度等の面で不十分である。また特公平5−82413号公報には、トリアジントリチオール架橋剤を含有するハロゲン含有ゴム組成物に、pHが約2〜7の補強剤および/または充填剤を添加することにより、耐スコーチ性が改良されることが開示されているが、該組成物は、架橋速度の点で満足できない。
さらに、架橋時の金属腐食を防止する方法に関して、ハロゲン含有アクリルゴムにハイドロタルサイト類を配合する方法(例えば特開平2−150409号公報参照)や、ハロゲン含有アクリルゴムにシリカ系補強性充填剤とハイドロタルサイト類とを配合する方法(例えば特開平7−228746号公報参照)等が提案されているが、これらのゴム組成物も、特に貯蔵安定性と架橋速度とのバランスの点で不十分である。
即ち、従来のハロゲン含有アクリルゴム組成物はいずれも、貯蔵安定性、架橋速度、圧縮永久歪、金属腐食や金属汚染等を総合した特性バランスの点では、未だ満足すべきレベルに達しているとはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前記問題点を背景としてなされたもので、その課題は、貯蔵安定性と架橋速度とのバランスに優れ、かつ金属腐食や金属汚染のおそれが極めて低く、しかも引張強度、圧縮永久歪、耐水性等にも優れた、架橋可能なハロゲン含有アクリルゴム組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、第一に、
(1)ハロゲン含有アクリルゴムに、(2)トリアジンチオール化合物、(3)ジチオカルバミン酸誘導体および/またはチウラムスルフィド化合物、(4)ハイドロタルサイト化合物および/または有機錫化合物、(5)芳香族カルボン酸化合物および/またはその酸無水物、(6)pHが2〜10の範囲にある成分のみからなる白色充填剤、並びに(7)シランカップリング剤を、成分(1)100重量部に対して、成分(2)0.05〜5重量部、成分(3)0.1〜10重量部、成分(4)0.1〜10重量部、成分(5)0.05〜5重量部、成分(6)20〜200重量部、並びに成分(7)0.1〜10重量部の配合量で配合してなる架橋可能なアクリルゴム組成物、
からなる。
本発明の要旨は、第二に、
(8)アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とするポリマー(但し、架橋点を有するアクリルゴムを除く。)と請求項1に記載の成分(2)および/または成分(4)とを予め混合した混合物に、請求項1に記載の成分(1)、成分(3)、成分(5)、成分(6)および成分(7)を、成分(2)および成分(4)のうち予め混合されない成分と共に配合してなり、成分(2)〜(8)の配合量が成分(1)100重量部に対して、成分(2)0.05〜5重量部、成分(3)0.1〜10重量部、成分(4)0.1〜10重量部、成分(5)0.05〜5重量部、成分(6)20〜200重量部、成分(7)0.1〜10重量部、並びに成分(8)0.1〜10重量部である架橋可能なアクリルゴム組成物、
からなる。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)ハロゲン含有アクリルゴム
本発明におけるハロゲン含有アクリルゴムは、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とし、ハロゲン系架橋点を有するエラストマー状(共)重合体である。
本発明において、ハロゲン含有アクリルゴム中のハロゲン系架橋点は、好ましくは、架橋反応に関与しうる活性ハロゲン原子を有する単量体(以下、「ハロゲン含有単量体」という。)を、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートと共重合することにより導入されるが、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とする(共)重合体が活性ハロゲン原子をもたない場合、例えば、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートのみからなる(共)重合体あるいはこれらのアクリレートと架橋反応に関与しうるハロゲン原子を含有しない他の単量体との共重合体の場合は、これらの(共)重合体をハロゲン化することによっても導入することができる。本発明におけるハロゲン系架橋点としては、特に塩素原子が好ましい。また、本発明におけるハロゲン含有アクリルゴムは、場合によりハロゲン系架橋点以外の架橋点、例えばエポキシ系、カルボン酸系、ヒドロキシル系、ジエン系等の架橋点を有することもできる。
【0006】
ハロゲン含有アクリルゴムにおいて、アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等を挙げることができ、特にエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
これらのアルキルアクリレートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、アルコキシアルキルアクリレートとしては、例えば、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−プロポキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、4−メトキシブチルアクリレート等を挙げることができ、特に2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが好ましい。
これらのアルコキシアルキルアクリレートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0007】
次に、ハロゲン含有単量体としては、例えば、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリル等のハロゲン含有飽和カルボン酸と不飽和アルコールとのエステル類;クロロメチル(メタ)アクリレート、1−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジクロロエチル(メタ)アクリレート、2−クロロプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジクロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート類;クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテル等のハロゲン含有不飽和エーテル類;2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトン等のハロゲン含有不飽和ケトン類;2−(クロロアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(クロロアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(クロロアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のハロアシロキシアルキル(メタ)アクリレート類;p−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレン、ビス(クロロメチル)スチレン等のハロメチル基含有芳香族ビニル化合物;N−クロロメチル(メタ)アクリルアミド、N−(クロロアセトアミドメチル)(メタ)アクリルアミド等のハロゲン含有不飽和アミド類;2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロアセテート等のハロアセチル基含有不飽和単量体類等を挙げることができる。
これらのハロゲン含有単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0008】
さらに、前記ハロゲン含有単量体以外のハロゲン系架橋点を導入しうる単量体として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の重合性不飽和基と活性ハロゲン原子とを含有するシラン化合物あるいはシリコーン化合物も1種以上使用することもできる。
また、場合により使用されるハロゲン系架橋点以外の架橋点を与える単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル等のカルボキシル基含有単量体あるいはカルボン酸無水物基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール等の水酸基含有単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタジエニルエチル(メタ)アクリレート等の(非)共役ジエン系単量体を挙げることができる。
これらのハロゲン系架橋点以外の架橋点を与える単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0009】
アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートと共重合させうる前記以外の単量体(以下、「他の単量体」という。)としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリエステルのオリゴ(メタ)アクリレート類、水酸基含有ポリエーテルのオリゴ(メタ)アクリレート類等の(メタ)アクリル酸エステル類;クロトン酸メチル、けい皮酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル等の他の不飽和カルボン酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、エタクリルアミド等の不飽和アミド類やそれらの誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等の不飽和アルコールのエステル類;アリル(メタ)アクリレート、メタクリル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸と不飽和アルコールとのエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ジメチルアミノスチレン、p−アセトキシスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;エチレンや、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の重合性不飽和基を1個以上有するシラン化合物あるいはシリコーン化合物等を挙げることができる。
これらの他の単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0010】
ハロゲン含有アクリルゴムを、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートとハロゲン含有単量体とを、場合により他の単量体とともに、共重合することにより製造する場合、これらの単量体混合物中におけるアルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートの含有率は、通常、30〜99.9重量%、好ましくは75〜99.5重量%であり、ハロゲン含有単量体の含有率は、通常、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。また、場合により使用される他の単量体の含有率は、通常、0〜55重量%である。
ハロゲン含有アクリルゴムを製造するためのアルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートの(共)重合は、例えばラジカル重合開始剤を使用して、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合方法で実施することができ、また重合形式は、連続式でもバッチ式でもよい。
【0011】
(2)トリアジンチオール化合物
本発明におけるトリアジンチオール化合物としては、例えば、1,3,5−トリアジンのジチオール誘導体あるいはトリチオール誘導体等を挙げることができる。
トリアジンチオール化合物の具体例としては、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジ−n−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジ−イソプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジ−n−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−n−ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−n−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール等を挙げることができる。
これらのトリアジンチオール化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるトリアジンチオール化合物の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。この場合、トリアジンチオール化合物の配合量が0.05重量部未満では、架橋速度や架橋度が低下するおそれがあり、また5重量部を超えると、ゴム組成物の貯蔵安定性が低下したり、架橋密度が高くなりすぎて、架橋ゴムが脆くなるおそれがある。
【0012】
(3)ジチオカルバミン酸誘導体およびチウラムスルフィド化合物
本発明におけるジチオカルバミン酸誘導体としては、例えば、下記式(I)で表される化合物を挙げることができる。
【0013】
【化1】
Figure 0003941157
【0014】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基もしくはシクロアルキル基を示すか、または相互に結合して形成された複素環の構成単位を示し、Mはx価の金属を表し、xは1〜3の整数である。
式(I)において、R1およびR2の炭素数は、それぞれ1〜12が好ましく、またMの金属の具体例としては、亜鉛、銅、カドミウム、鉛、ビスマス、鉄、コバルト、マンガン、テルル、セレン等を挙げることができる。
このようなジチオカルバミン酸誘導体の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−オクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジエチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛等を挙げることができる。
これらのジチオカルバミン酸誘導体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
また、前記チウラムスルフィド化合物としては、例えば、下記式(II) で表される化合物を挙げることができる。
【0016】
【化2】
Figure 0003941157
【0017】
式中、R1〜R4は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基もしくはシクロアルキル基を示すか、またはR1とR2とが相互に結合して形成された複素環の構成単位および/またはR3とR4とが相互に結合して形成された複素環の構成単位を示し、nは1〜8の整数である。
式(II)において、R1〜R4の炭素数は、それぞれ1〜12が好ましい。
このようなチウラムスルフィド化合物の具体例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラ−n−ブチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラ−n−ブチルチウラムジスルフィド、テトラ−n−ヘキシルチウラムジスルフィド、テトラ−n−オクチルチウラムジスルフィド、テトラ−n−デシルチウラムジスルフィド、テトラ−n−ドデシルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジベンジルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジシクロヘキシルチウラムジスルフィド、ジ(ペンタメチレン)チウラムジスルフィド等を挙げることができる。これらのチウラムスルフィド化合物のうち、特にR1〜R4の炭素数がいずれも4個である化合物が好ましい。
これらのチウラムスルフィド化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるジチオカルバミン酸誘導体および/またはチウラムスルフィド化合物の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0018】
(4)ハイドロタルサイト化合物および有機錫化合物
本発明におけるハイドロタルサイト化合物としては、天然ハイドロタルサイト類でも合成ハイドロタルサイト類でもよい。
代表的なハイドロタルサイト化合物の構造式は、
Mg6Al2(OH)16CO3 ・ 4H2O
M(II)x Al2(OH)yA(n) ・ mH2O
で表される。
ここで、M(II)はMgまたはZnを示し、A(n) はn価のアニオンを示し、xは2以上の数、nは1または2、zは2以上の数で、y=(2x+6-nz) であり、mは正の数である。
これらのハイドロタルサイト化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記有機錫化合物としては、例えば下記式(III) で表される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化3】
Figure 0003941157
【0020】
式中、R5〜R8は、それぞれ独立にアルキル基を示し、Y1およびY2は、それぞれ独立にラウリン酸、マレイン酸、メルカプタンまたはメルカプトカルボン酸の残基を示し、Xは2価の基を表し、nは0〜5の整数である。
式(III) において、R5〜R8のアルキル基の炭素数は、それぞれ1〜12が好ましく、Xの2価の基の具体例としては、-O- 、-S- 、-OCOCH=CHCOO- 等を挙げることができる。
このような有機錫化合物の具体例としては、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジマレエート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、ジ−n−ブチル錫マレエートポリマー、ジ−n−オクチル錫マレエートポリマー、ジ−n−ブチル錫ジ−n−ブチルメルカプチド、ジ−n−オクチル錫ジ−n−オクチルメルカプチド、ジ−n−オクチル錫ジイソオクチルメルカプチド、ジ−n−オクチル錫−S,S’−ビス(イソオクチルメルカプト・アセテート)、ジ−n−ブチル錫オキシド、ジ−n−オクチル錫オキシド、ジ−n−ブチル錫スルフィド、ジ−n−オクチル錫スルフィド等を挙げることができる。
これらの有機錫化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるハイドロタルサイト化合物および/または有機錫化合物の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。この場合、ハイドロタルサイト化合物および/または有機錫化合物の配合量が0.1重量部未満では、ゴム組成物の金属腐食や金属汚染の抑制効果、架橋速度の改良効果等が低下する傾向があり、また10重量部を超えると、前記効果が特に改善されるわけではないので、経済的に不利である。
【0021】
(5)芳香族カルボン酸化合物およびその酸無水物
本発明における芳香族カルボン酸化合物およびその酸無水物としては、例えば、安息香酸、サリチル酸等の芳香族モノカルボン酸類;オルソフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸(酸無水物)類;トリメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸(無水物)類;ピロメリット酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸(無水物)類や、それらの核置換誘導体等を挙げることができる。これらの芳香族カルボン酸化合物およびその酸無水物のうち、特に芳香族ジカルボン酸(無水物)類が好ましい。
これらの芳香族カルボン酸化合物およびその酸無水物は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における芳香族カルボン酸化合物および/またはその酸無水物の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。この場合、芳香族カルボン酸化合物および/またはその酸無水物の配合量が0.05重量部未満でも5重量部を超えても、ゴム組成物の貯蔵安定性と架橋速度とのバランスが低下する傾向がある。
【0022】
(6)白色充填剤
本発明における白色充填剤は、pHが2〜10の範囲にある成分のみからなるものである。この場合、白色充填剤のpHが2より低いと、架橋速度が遅くなり、また10より高いと、スコーチを生じやすくなる。
このような白色充填剤としては、例えば、ホワイトカーボン(シリカ)、セライト、タルク、クレー、焼成クレー、炭酸マグネシウム、メタけい酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等を挙げることができる。これらのうち、ホワイトカーボンが、高い架橋密度が得られる点で好ましい。また、前記白色充填剤は、シランカップリング剤、アルコール類、アミン類等で表面改質して用いることもできる。
これらの白色充填剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における白色充填剤の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部である。この場合、白色充填剤の配合量が20重量部未満では、強度が低下する傾向があり、また200重量部を超えると、加工性が低下する傾向がある。
【0023】
(7)シランカップリング剤
本発明におけるシランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−〔β−(N−ビニルベンザルアミノ)エチル〕−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等を挙げることができる。
これらのシランカップリング剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるシランカップリング剤の配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部である。この場合、シランカップリング剤の配合量が0.1未満では、得られる架橋ゴムの引張特性、圧縮永久歪等が不十分となるおそれがあり、また10重量部を超えると、架橋ゴムの常態物性が低下して、ゴム弾性が損なわれるおそれがある。
【0024】
(8)アクリレート系ポリマー
本発明におけるアルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とするポリマー(但し、架橋点を有するアクリルゴムを除く。)(以下、「アクリレート系ポリマー」という。)は、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とし、場合により他の単量体を含有する(共)重合体である。
アクリレート系ポリマーにおけるアルキルアクリレートおよびアルコキシアルキルアクリレートとしては、例えば、前記(1)ハロゲン含有アクリルゴムについて例示したものと同様の化合物を挙げることができる。
これらのアルキルアクリレートおよびアルコキシアルキルアクリレートは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートと共重合させうる他の単量体としては、例えば、前記(1)ハロゲン含有アクリルゴムについて例示した他の単量体と同様の化合物を挙げることができる。
これらの他の単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
アクリレート系ポリマーを製造する際のアルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とする単量体成分の(共)重合は、例えばラジカル重合開始剤を使用して、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合方法で実施することができ、また重合形式は、連続式でもバッチ式でもよい。
アクリレート系ポリマーを製造する際の単量体成分中のアルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートの含有率は、通常、30〜100重量%、好ましくは75〜100重量%であり、他の単量体の含有率は、通常、0〜70重量%、好ましくは0〜25重量%である。
本発明におけるアクリレート系ポリマーの配合量は、(1)ハロゲン含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
また、アクリレート系ポリマーを前記成分(2)および/または成分(4)と予め混合する際の各成分の含有率は、アクリレート系ポリマーを前記成分(2)および成分(4)と混合する場合、アクリレート系ポリマーが好ましくは10〜60重量%、成分(2)が好ましくは10〜80重量%、成分(4)が好ましくは10〜80重量%であり(但し、アクリレート系ポリマーと成分(2)と成分(4)との合計量を100重量%とする。)、アクリレート系ポリマーを前記成分(2)のみと混合する場合、アクリレート系ポリマーが好ましくは10〜80重量%、成分(2)が好ましくは20〜90重量%であり、アクリレート系ポリマーを前記成分(4)のみと混合する場合、アクリレート系ポリマーが好ましくは10〜80重量%、成分(4)が好ましくは20〜90重量%である。また、アクリレート系ポリマーを前記成分(2)および/または成分(4)と予め混合する際には、前記成分(3)および成分(5)〜成分(7)以外の添加剤、例えば、ステアリン酸等の滑剤、可塑剤を同時に混練りすることもできる。
【0025】
本発明のアクリルゴム組成物には、必要に応じて、前記成分(1)〜(8)以外の添加剤、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、架橋遅延剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤等を配合することができる。
また、アクリルゴム組成物の特性を損なわない限り、他のゴム・エラストマーあるいは樹脂成分、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマー、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等を配合することもできる。
【0026】
本発明のアクリルゴム組成物は、請求項1記載の組成物の場合、前記成分(1)〜(7)を、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合等の適宜の混合方法により配合することによって調製することができる。この場合の各成分の配合順は特に限定されない。
また、請求項2記載の組成物の場合は、前記成分(8)と前記成分(2)および/または成分(4)とを予め混合した混合物に、前記成分(1)、成分(3)、成分(5)、成分(6)および成分(7)を、成分(2)および成分(4)のうち予め混合されない成分と共に配合することにより調製される。この場合の混合方法も、例えば、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合等の適宜の方法を採用することができ、また成分(8)と成分(2)および/または成分(4)との混合物に配合される各成分の配合順は特に限定されない。このように成分(8)と成分(2)および/または成分(4)とを予め混合したのち、他の成分を配合することにより、組成物の分散性が良好となる。
【0027】
本発明のアクリルゴム組成物を架橋させる際の条件は、加熱温度が、通常、150℃以上、好ましくは150〜200℃であり、また全架橋時間が、通常、数分〜数時間程度である。また、架橋時の加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱等の適宜の方法を採用することができるが、通常、所定形状でプレス加熱して架橋させたのち、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱等により後架橋される。
本発明のアクリルゴム組成物は、例えば、自動車等の輸送機械、一般機器・装置、電子・電気、建築等の幅広い分野において、O−リング、オイルシール、ベアリングシール等のシール材のほか、緩衝・保護材、電線被覆材、工業用ベルト類、ホース類、シート類等として有用である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
アクリルゴム組成物の未架橋物性と架橋物性の評価は、JIS K6301に準拠して、下記のようにして行なった。
貯蔵安定性試験は、試料を、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿槽内に1カ月放置したのち、ムーニースコーチ試験ML1-150℃におけるVmax の変化率により評価した。
キュラスト試験は、キュラストメーター(日本合成ゴム(株)製JSR5型) を用い、170℃、測定時間20分の条件で実施し、t' c (90)(分)を架橋速度の指標として評価した。
耐水試験は、試料を100℃の蒸留水に70時間浸漬したのち、評価した。
金属腐食試験は、圧縮永久歪測定用試料(厚さ12.7mm) を冷間圧延鋼板(SUS)で鋏み、175℃のオーブン中に72時間放置したのち、試料を取出し、鋼板表面の腐食度を、目視にて、
◎:優、 ○:良、 △:可、 ×:不可
の4段階で評価した。
金属汚染試験は、図2に示す治具(熱板:SUS製、表面をクロムメッキ)を用い、各回の架橋条件を180℃、5分として、100回加熱架橋したのち、試料の汚染度を、目視にて、
◎:優、 ○:良、 △:可、 ×:不可
の4段階で評価した。図2において、1および2は熱板、3は試料、4は試料に設けた穴(4個)である。
【実施例】
実施例1〜13
ハロゲン含有アクリルゴム(商品名JSR AREX117)100重量部に対して、白色充填剤80重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤(商品名ノクラックCD)2重量部およびシランカップリング剤1重量部を、バンバリーミキサーで混練りしたのち、表1(実施例1〜9)または表2(実施例10〜13)に示す他の成分を配合し、オープンロールで混練りして、アクリルゴム組成物を調製した。次いで、170℃の加硫プレスで10分間架橋したのち、180℃のオーブンで1時間後架橋した。
得られたアクリルゴム組成物の未架橋物性と架橋物性の評価結果を、表1(実施例1〜9)および表2(実施例10〜13)に示し、また実施例4のキュラスト試験におけるキュラストカーブの様子を、図1に示す。
その結果、これらのアクリルゴム組成物は耐スコーチ性および貯蔵安定が優れ、図1に示すように架橋速度が大きく、かつ機械的特性(引張特性、圧縮永久歪)および耐水性に優れており、しかも金属腐食および金属汚染も著しく少なく、優れた特性バランスを有している。
【0029】
実施例14
ハロゲン含有アクリルゴム(商品名JSR AREX117)100重量部に対して、アクリレート系ポリマー(商品名JSR AREX295)0.8重量部とトリアジンチオール化合物(商品名ジスネットF)0.8重量部とのマスターバッチ、白色充填剤80重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤(商品名ノクラックCD)2重量部およびシランカップリング剤1重量部を、バンバリーミキサーで混練りしたのち、表2に示す他の成分を配合し、オープンロールで混練りして、アクリルゴム組成物を調製した。次いで、170℃の加硫プレスで10分間架橋したのち、180℃のオーブンで1時間後架橋した。
得られたアクリルゴム組成物の未架橋物性と架橋物性を評価結果を、表2に示す。
その結果、このアクリルゴム組成物は、耐スコーチ性および貯蔵安定が優れ、架橋速度が大きく、かつ機械的特性(引張特性、圧縮永久歪)および耐水性に優れており、しかも金属腐食および金属汚染も著しく少なく、優れた特性バランスを有している。
【0030】
実施例15
ハロゲン含有アクリルゴム(商品名JSR AREX117)100重量部に対して、アクリレート系ポリマー(商品名JSR AREX295)1重量部とトリアジンチオール化合物(商品名ジスネットF)0.8重量部とハイドロタルサイト化合物(商品名DHT−4A−2)1重量部とのマスターバッチ、白色充填剤80重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤(商品名ノクラックCD)2重量部およびシランカップリング剤1重量部を、バンバリーミキサーで混練りしたのち、表2に示す他の成分を配合し、オープンロールで混練りして、アクリルゴム組成物を調製した。次いで、170℃の加硫プレスで10分間架橋したのち、180℃のオーブンで1時間後架橋した。
得られたアクリルゴム組成物の未架橋物性と架橋物性の評価結果を、表2に示す。
その結果、このアクリルゴム組成物は、耐スコーチ性および貯蔵安定が優れ、架橋速度が大きく、かつ機械的特性(引張特性、圧縮永久歪)および耐水性に優れており、しかも金属腐食および金属汚染も著しく少なく、優れた特性バランスを有している。
【0031】
比較例1〜7
ハロゲン含有アクリルゴム(商品名JSR AREX117)100重量部に対して、白色充填剤80重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤(商品名ノクラックCD)2重量部およびシランカップリング剤1重量部を、バンバリーミキサーで混練りしたのち、表1(実施例1〜9)または表2(実施例10〜13)に示す他の成分を配合し、オープンロールで混練りして、アクリルゴム組成物を調製した。次いで、170℃の加硫プレスで10分間架橋したのち、180℃のオーブンで1時間後架橋した。
得られたアクリルゴム組成物の未架橋物性と架橋物性を評価結果を、表3に示し、また比較例1および比較例2のキュラスト試験におけるキュラストカーブの様子を、図1に示す。
【0032】
表1〜表3に商品名で表示した各成分の内容は、下記のとおりである。
(商品名:内容)
成分(1)
JSR AREX117:ハロゲン含有アクリルゴム(日本合成ゴム(株))
成分(8)
JSR AREX295:アクリレート系ポリマー(日本合成ゴム(株))
成分(2)
ジスネットF :トリアジンチオール(三協化成工業(株))
成分(3)
ノクセラーBZ :ジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)
ノクセラーTBT−N:テトラ−n−ブチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業(株)
成分(4)
DHT−4A−2 :ハイドロタルサイト表面処理タイプ(協和化学工業(株))
DHT−4C :ハイドロタルサイト焼成タイプ(協和化学工業(株)
DHT−4A :DHT−4A−2の脱結晶水タイプ(協和化学工業(株)
アルカマイザー4−2:合成ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)
KS−41A−5 :ジ−n−ブチル錫ジメルカプタイドエステルタイプ(共同薬品(株))
KS−20 :ジ−n−ブチル錫ジラウレートタイプ(共同薬品(株))
成分(5)
スコノック5:無水フタル酸(大内新興化学工業(株))
成分(6)
ニップシールVN3 :湿式シリカ(pH=5.5〜6.5、日本シリカ(株)製)
トクシールGu :湿式シリカ(pH=8〜9、徳山曹達(株)製)
カープレックス1120:湿式シリカ(pH=10.6、シオノギ製薬(株)製)
サテントンNO.5 :焼成クレー(pH=5〜6、土屋カオリン工業(株)製)
トランスリンク555 :シラン処理クレー(pH=8.5〜9.5、土屋カオリン工業(株)製)
ニューロック321 :シラン改質クレー(pH=7〜8、三洋貿易(株)製)
成分(7)
TSL8350:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシラン(東芝シリコン(株)製)
TSL8320:γ−クロロプロピルトリメトキシラン(東芝シリコン(株)製)
TSL8370:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン(東芝シリコン(株)製)
TSL8380:γ−メルカプトプロピルトリメトキシラン(東芝シリコン(株)製)
(他の添加剤)
ノクラックCD :ジフェニルアミン(大内新興化学工業(株))
MgO#150 :酸化マグネシウム(協和化学工業(株))
サルファックスA :硫黄(鶴見化学工業(株))
ノンサールSN−1:ステアリン酸ナトリウム(日本油脂(株))
ノンサールSK−1:ステアリン酸カリウム(日本油脂(株))
【0033】
【表1】
Figure 0003941157
【0034】
【表2】
Figure 0003941157
【0035】
【表3】
Figure 0003941157
【0036】
【発明の効果】
本発明のアクリルゴム組成物は、特に貯蔵安定性と架橋速度とのバランスが優れ、かつ金属腐食および金属汚染が著しく少なく、しかも引張強度、圧縮永久歪、耐水性等の架橋物性にも優れており、架橋可能なアクリルゴム組成物として極めて高度の特性バランスを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】キュラスト試験におけるキュラストカーブの様子を例示する図である。
【図2】金属汚染試験に用いた治具および試料の形状と配置状態を説明する図である。
【符号の説明】
1 熱板
2 熱板
3 試料
4 穴

Claims (4)

  1. (1)ハロゲン含有アクリルゴムに、(2)トリアジンチオール化合物、(3)ジチオカルバミン酸誘導体および/またはチウラムスルフィド化合物、(4)ハイドロタルサイト化合物および/または有機錫化合物、(5)芳香族カルボン酸化合物および/またはその酸無水物、(6)pHが2〜10の範囲にある成分のみからなる白色充填剤、並びに(7)シランカップリング剤を、成分(1)100重量部に対して、成分(2)0.05〜5重量部、成分(3)0.1〜10重量部、成分(4)0.1〜10重量部、成分(5)0.05〜5重量部、成分(6)20〜200重量部、並びに成分(7)0.1〜10重量部の配合量で配合してなる架橋可能なアクリルゴム組成物。
  2. (8)アルキルアクリレートおよび/またはアルコキシアルキルアクリレートを主成分とするポリマー(但し、架橋点を有するアクリルゴムを除く。)と請求項1に記載の成分(2)および/または成分(4)とを予め混合した混合物に、請求項1に記載の成分(1)、成分(3)、成分(5)、成分(6)および成分(7)を、成分(2)および成分(4)のうち予め混合されない成分と共に配合してなり、成分(2)〜(8)の配合量が成分(1)100重量部に対して、成分(2)0.05〜5重量部、成分(3)0.1〜10重量部、成分(4)0.1〜10重量部、成分(5)0.05〜5重量部、成分(6)20〜200重量部、成分(7)0.1〜10重量部、並びに成分(8)0.1〜10重量部である架橋可能なアクリルゴム組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の架橋可能なアクリルゴム組成物の架橋物。
  4. 請求項2に記載の成分(8)と請求項1に記載の成分(2)および/または成分(4)とを予め混合した混合物に、請求項1に記載の成分(1)、成分(3)、成分(5)、成分(6)および成分(7)を、成分(2)および成分(4)のうち予め混合されない成分と共に配合することを特徴とする請求項2に記載の架橋可能なアクリルゴム組成物の調製方法。
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