JP3941147B2 - 真空排気装置及びそのメンテナンス方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空排気装置とそのメンテナンス方法に係り、特にドライ真空ポンプを含む真空排気装置とそのメンテナンス方法に関する。
【0002】
ドライ真空ポンプは排気室に油を一切使用しない機械式真空ポンプであり、油逆流汚染のないクリーンな真空が得られるから、近年、半導体ウェーハを反応性のプロセスガスを用いて処理する装置等に付帯する真空排気装置に、多く採用されている。
【0003】
【従来の技術】
従来の真空排気装置の一例を図5を参照しながら説明する。図5は従来の真空排気装置の構成図である。同図において、1はこの真空排気装置の排気対象となる反応容器であり、この中にプロセスガスを導入して例えば半導体ウェーハの表面に薄膜を成長させる。2は排気配管、3はバルブ、4はブースタポンプ、5はドライ真空ポンプ、6は排気トラップ、11及び12はN2 パージ配管、13は冷却水配管である。
【0004】
この真空排気装置の主ポンプはドライ真空ポンプ5であり、前段には必要に応じてブースタポンプ4が設けられるが、後段に補助ポンプは設けられていない。このドライ真空ポンプ5は多段ルーツ型である。このポンプは圧縮熱の発生が大きく、かつ真空下の熱伝達が悪いため、内部は後段ほど高温になってロータがケーシングに接触するおそれがある。これを防ぐために水冷部を有しており(図示は省略)、これに冷却水配管13が接続されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の真空排気装置では、ドライ真空ポンプを冷却水で冷却することによりポンプ内部に反応生成物や未反応ガスが固形化した生成物が付着してそのポンプが故障することが多く、その結果、この真空排気装置を備えた処理装置の稼働率が低下する、という問題があった。また、この生成物付着の抑制には、N2 パージ配管から多量のN2 ガスをポンプ内に導入して未反応ガスを希釈することが有効であるが、ポンプの排気能力の点から、N2 ガスを多量に流すことはできなかった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決して、ドライ真空ポンプ内の生成物付着を防止することで装置稼働率を向上させることが可能な真空排気装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は請求項1では、ドライ真空ポンプと、該ドライ真空ポンプの後段に位置する補助ポンプと、該補助ポンプの排気性能を変化させる調節手段とを有する真空排気装置としている。
【0008】
更に、記ドライ真空ポンプの温度を検出する温度センサと、前記調節手段を含み該ドライ真空ポンプを所定の温度に維持するように制御する制御手段とを有する真空排気装置としている。
更に、請求項では、前記補助ポンプを回転式真空ポンプとしている。
更に、請求項では、前記回転式真空ポンプを水封ポンプとしている。
【0009】
即ち、ドライ真空ポンプを冷却水で冷却するのではなく、補助ポンプを設けることでドライ真空ポンプでの発熱を減らしている。補助ポンプの排気性能を変化させることによりドライ真空ポンプの背圧が変化し、この背圧に応じてドライ真空ポンプ内の発熱量が変化するから、ポンプ内温度の制御が容易である。これにより、ドライ真空ポンプの内部温度を、過熱によるロータ接触を引き起こさない範囲で高温に維持することで、生成物の付着を防止することができ、その結果、装置稼働率が向上する。また、補助ポンプを設けることで排気能力に余力を生じるから、ドライ真空ポンプ内に比較的多量のN2 ガスを導入することができるようになる。
【0010】
この補助ポンプが回転式真空ポンプであれば、モータの回転数を変化させることによりそのポンプの排気性能が変化するから、制御が容易である。この回転式真空ポンプが水封ポンプであれば、水封ポンプが生成物をトラップするから、ドライ真空ポンプと補助ポンプとの距離が短い場合等ではこの間の排気トラップを省略することが可能となる。
【0011】
また、請求項では、ドライ真空ポンプと、該ドライ真空ポンプの後段に位置する補助ポンプと、該ドライ真空ポンプと該補助ポンプとの間に位置する排気トラップと、該補助ポンプのモータ回転数を変化させる調節手段とを有する真空排気装置のメンテナンス方法において、該ドライ真空ポンプが所定の温度に維持されている状態での該補助ポンプのモータ回転数の長期的な変化を監視し、該モータ回転数に基づいて該排気トラップの交換を行うようにしている。
【0012】
即ち、排気トラップへの生成物捕捉量の増加して排気抵抗が増加すると、それに応じて補助ポンプのモータ回転数が増加するから、このモータ回転数を監視することにより、排気トラップの交換時期を的確に判断することができ、従って長期間の使用が可能となり、その結果、装置稼働率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の真空排気装置の実施の形態を図1、図2、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態を示す装置構成図である。同図において、1はこの真空排気装置の排気対象となる反応容器であり、この中にプロセスガスを導入して例えば半導体ウェーハの表面に薄膜を成長させる。2は排気配管、3及び7はバルブ、4はブースタポンプ、5はドライ真空ポンプ、6は排気トラップ、8は補助ポンプ、9は温度センサ、10は制御ユニット(制御手段)、11及び12はN2 パージ配管である。
【0015】
この真空排気装置の主ポンプはドライ真空ポンプ5であり、その前段には必要に応じてブースタポンプ4(例えばメカニカルブースタポンプ)が設けられ、後段には補助ポンプ8が設けられている。このドライ真空ポンプ5は多段ルーツ型であり、補助ポンプ8は水封ポンプ又は油回転ポンプである。
【0016】
ルーツ型ポンプは図2に示すように、平行する二本の軸21,22にそれぞれ固定された三葉(又は二葉)のロータ23,24がケーシング25内を僅かの隙間を保ちながら互いに逆方向に回転して排気するものである。多段ルーツ型ポンプの例を図3に示す。この例ではケーシング25内でロータが五段に配設されており、吸気を一段目から順次圧縮して五段目から排気する。二乃至四段目にはN2 パージ配管11が接続されており、それぞれ、管路にオリフィスを挿入する等して、適宜の流量でN2 ガスを導入することができる。尚、多段ルーツ型ポンプは、通常、圧縮熱を排除するために水冷部を有しているが、本発明では水冷しない。但し、ポンプ付属のモータ5aが水冷キャンドモータである場合にはこれを水冷する必要がある。
【0017】
温度センサ9はドライ真空ポンプ5の温度(例えばケーシングの排気口付近)を測定する。制御ユニット10はインバータにより補助ポンプ8付属のモータ8aの電源周波数を変化させてその回転数を変える調節手段を有し、温度センサ9の出力値に応じてインバータを制御し、モータ8aの回転数を変えることで補助ポンプ8の排気能力を調整し、温度センサ9の出力値が所望の範囲内となるように制御する。これにより、ドライ真空ポンプ5の内部温度を、過熱によるロータ接触を引き起こさない範囲で高温に維持することで、生成物の付着を防止することができる。
【0018】
排気トラップ6はドライ真空ポンプ5の排気側の排気配管2が生成物で閉塞するのを防止するためのものであり、使用中、徐々に生成物が溜まって次第に排気抵抗が増加するから、時々これを交換しなければならない。本発明の真空排気装置では、この排気抵抗が増加してドライ真空ポンプ5の温度が上昇し、温度センサ9の出力が増加すると、制御ユニット10は補助ポンプ8のモータ回転数を上げてドライ真空ポンプ5の温度を設定値まで下げる。従って、モータ8aの回転数(又はその電源周波数)を監視することにより、一つの排気トラップ6を、モータ8aの回転数が許容される上限値に達する程度まで使用することができる。モータ8aの回転数(又はその電源周波数)が一定値に達することによりアラームを発するようにしてもよい。
【0019】
図4は本発明の他の実施形態を示す装置構成図である。同図において、図1と同じものには同一の符号を付与した。ここでは、補助ポンプ8は水封ポンプに限る。ドライ真空ポンプ5の後に排気トラップを設けず、補助ポンプ8(水封ポンプ)に生成物を捕捉させる。補助ポンプ8をドライ真空ポンプ5の近くに(排気配管2内に生成物が付着しない程度に)配置できる場合等に、このような構成が可能である。
【0020】
本発明は以上の例に限定されることなく、更に種々変形して実施することができる。例えば、ドライ真空ポンプとして、ルーツ型に代えてクロー型、スクリュー型、ターボ型、又はスクロール型とした場合であっても、本発明は有効である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドライ真空ポンプ内の生成物付着を防止することで装置稼働率を向上させることが可能な真空排気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す装置構成図である。
【図2】 ルーツ型真空ポンプの説明図である。
【図3】 多段ルーツ型真空ポンプの説明図である。
【図4】 本発明の他の実施形態を示す装置構成図である。
【図5】 従来例の真空排気装置の構成図である。
【符号の説明】
1 反応容器
2 排気配管
3,7 バルブ
4 ブースタポンプ
4a,5a モータ
5 ドライ真空ポンプ
6 排気トラップ
8 補助ポンプ
8a モータ
9 温度センサ
10 制御ユニット(制御手段)
11,12 N2 パージ配管
13 冷却水配管
21,22 軸
23,24 ロータ
25 ケーシング

Claims (4)

  1. ドライ真空ポンプと、該ドライ真空ポンプの後段に位置する補助ポンプと、
    該補助ポンプの排気性能を変化させる調節手段と、前記ドライ真空ポンプの温度を検出する温度センサと、前記調節手段を含み該ドライ真空ポンプを所定の温度に維持するように該補助ポンプの排気性能を変化させる制御手段と、を有することを特徴とする真空排気装置。
  2. 前記補助ポンプが回転式真空ポンプであり、前記調節手段が該補助ポンプのモータ回転数を調節するものであることを特徴とする請求項記載の真空排気装置。
  3. 前記回転式真空ポンプが水封ポンプであることを特徴とする請求項記載の真空排気装置。
  4. ドライ真空ポンプと、該ドライ真空ポンプの後段に位置する補助ポンプと、該ドライ真空ポンプと該補助ポンプとの間に位置する排気トラップと、該補助ポンプのモータ回転数を変化させる調節手段と、を有する真空排気装置のメンテナンス方法であって、
    該ドライ真空ポンプが所定の温度に維持されている状態での該補助ポンプのモータ回転数の長期的な変化を監視し、該モータ回転数に基づいて該排気トラップの交換を行うことを特徴とする真空排気装置のメンテナンス方法。
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