JP3940628B2 - 樹脂筒の嵌め込み方法及びそのためのダイス、繊維含有樹脂筒の成形方法及びその成形装置、繊維含有樹脂筒、並びに該樹脂筒を有する防振成形体 - Google Patents

樹脂筒の嵌め込み方法及びそのためのダイス、繊維含有樹脂筒の成形方法及びその成形装置、繊維含有樹脂筒、並びに該樹脂筒を有する防振成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂筒の嵌め込み方法及びそのためのダイス装置、繊維含有樹脂筒の成形方法及びその成形装置、繊維含有樹脂筒、並びに該樹脂筒を有する防振成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のサスペンションやエンジンマウント等に使用される弾性ブッシュに関し、この弾性ブッシュの外筒を合成樹脂製とし、これを取付相手方である筒状部材に圧入することは知られている。すなわち、この圧入によって、外筒の径を弾性的に縮小させ、それによって弾性ブッシュのゴム弾性体に予圧縮を与える、というものである。
【0003】
例えば、実公昭54−29437号公報には、上記外筒の端部外周縁に面取り部を設けるとともに、上記筒状部材の端部内周縁に面取り部を設け、この面取り部同士の案内によって、弾性ブッシュの外筒を縮小させて筒状部材に圧入することが記載されている。また、特開2001−74080号公報には、上述の如き圧入型弾性ブッシュの外筒を、ガラス短繊維が配合されたポリアミドによって形成することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の如き面取り部の案内で圧入する方式では、上記外筒は、取付相手方である筒状部材の面取り部を通過するときに径が急激に絞られる(縮められる)から、この径の急変によって割れ易い。特に、上述の如くガラス短繊維を含有する外筒の場合、ガラス短繊維が縮径時の抵抗となって割れを生じ易い。
【0005】
そこで、本発明は、合成樹脂によって形成された樹脂筒を、その外径よりも孔径が小さい取付相手方の取付孔に対して、割れを招くことなく嵌め込むことができるようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、樹脂筒を該樹脂筒の外径よりも孔径が小さい取付相手方の取付孔に嵌め込む方法であって、
上記樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、
上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されており、
入口径は上記樹脂筒の外径よりも大きく、出口径は上記取付孔の孔径よりも小さく、且つ当該入口から出口に向かって径が漸次小さくなったダイスの出口を、上記取付相手方の取付孔に対して同心になるように対向させ、
上記樹脂筒を、上記ダイスに通し、該ダイスを通過した部分から上記取付孔に挿入していき、
上記樹脂筒を上記ダイスから押し出すことによって上記取付孔に嵌め込むことを特徴とする。
【0007】
すなわち、上記樹脂筒は、上記ダイスに通されることによって、先端にいくに従って外径が漸次縮小した先細形状になされ、この先細になって上記ダイスを通過した部分から上記取付孔に順次挿入されていく。従って、樹脂筒は、取付孔に挿入されるときに、外径が急激に絞られることがなくなり、つまり、樹脂筒に対して局部的に応力が集中することがなくなり、その割れが防止される。そうして、樹脂筒の全長が上記ダイスを通過すると、該樹脂筒はその弾性復元力によって外径が拡大し上記取付孔に対して密嵌状態となる。
【0008】
そうして、本発明とは違って、樹脂材料を例えばキャビティの一端又は該一端近傍の周 方向に間隔をおいた複数箇所から該キャビティに注入すると、この樹脂材料の一部はキャビティ内を周方向に流れることから、短繊維の配向方向が乱れる。さらに、キャビティ内において樹脂材料の流れが2つ以上生ずるから、それらの流れの融合部にウェルド(樹脂材料同士が完全に融合しないときに生ずる線状のむら)を生じ易い。短繊維の配向が乱れた場合、樹脂筒を縮径させるとき、一部の短繊維が抵抗になって樹脂筒の割れを招き易くなり、また、ウェルドの部分も強度的弱点となり、縮径時の割れの原因になる。
【0009】
これに対して、本発明では、上述の如き短繊維の配向の乱れを防止するとともに、上記ウェルドの発生を防止するために、キャビティの全周囲から樹脂材料を注入するようにしたものである。
【0010】
すなわち、本発明では、樹脂筒を、ダイスに対して短繊維の配向が軸方向に揃った先端側から挿入していくため、その挿入時に外径が絞られても、樹脂筒の割れを生じ難い。これは、短繊維が絞りに対して抵抗になることが避けられるからである。
【0011】
上記課題を解決する請求項2に係る発明は、樹脂筒を該樹脂筒の外径よりも孔径が小さい取付相手方の取付孔に嵌め込むためのダイスであって、
上記樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、
上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されており、
入口径は上記樹脂筒の外径よりも大きく、出口径は上記取付孔の孔径よりも小さく、且つ当該入口から出口に向かって径が漸次小さくなっており、上記取付孔と同心になるように該取付相手方に対向させて配置され、上記樹脂筒を上記取付孔に嵌め込むために通過させることを特徴とする。
【0012】
従って、このようなダイスであれば、樹脂筒を取付相手方の取付孔に対して、該樹脂筒の割れを招くことなく、スムースに嵌め込むことができる。
【0013】
上記課題を解決する請求項3に係る発明は、取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒の成形方法であって、
上記樹脂筒を成形するための筒形状のキャビティに対して、上記樹脂筒の上記取付孔に対する嵌め込み方向の先端とは反対側の基端に対応する当該キャビティの一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料を同時に注入することを特徴とする。
【0014】
従って、キャビティではその一端近傍から他端に向かって樹脂材料が流れ、その際に短繊維は樹脂材料の流れ方向に、つまり、樹脂筒の軸方向に配向されるとともに、ウェルドの発生が避けられる。
【0015】
すなわち、本発明とは違って、樹脂材料を例えばキャビティの一端近傍の周方向に間隔をおいた複数箇所から該キャビティに注入すると、この樹脂材料の一部はキャビティ内を周方向に流れることから、短繊維の配向方向が乱れる。さらに、キャビティ内において樹脂材料の流れが2つ以上生ずるから、それらの流れの融合部にウェルド(樹脂材料同士が完全に融合しないときに生ずる線状のむら)を生じ易い。短繊維の配向が乱れた場合、樹脂筒を縮径させるとき、一部の短繊維が抵抗になって樹脂筒の割れを招き易くなり、また、ウェルドの部分も強度的弱点となり、縮径時の割れの原因になる。
【0016】
本発明では、上述の如き短繊維の配向の乱れを防止するとともに、上記ウェルドの発生を防止するために、キャビティの全周囲から樹脂材料を同時に注入するようにしたものである。
【0017】
そうして、キャビティに対してその一端近傍から樹脂材料を注入すると、キャビティの一端と注入口との間では短繊維の配向が乱れる。つまり、得られる樹脂筒の基端部では短繊維の配向が乱れる。しかし、この樹脂筒は、取付孔に対して短繊維の配向が軸方向に揃った先端側から取付孔に挿入されるため、その挿入時に外径が絞られても、樹脂筒の割れを生じ難い。これは、短繊維が絞りに対して抵抗になることが避けられるからである。
【0018】
また、上述のダイスを用いて樹脂筒を取付孔に嵌め込む場合でも、樹脂筒をダイスに対して基端側から挿入していくと、この基端側では短繊維の配向が乱れているから、樹脂筒の割れを招き易い。しかし、樹脂筒をその先端からダイスに挿入していくと、最終的には短繊維の配向が乱れた基端部の外径も絞られるものの、それまでに樹脂筒の大部分が無理なく絞られているから、当該基端部も大きな抵抗なく絞られ、樹脂筒の割れを招くことが避けられる。
【0019】
しかも、樹脂材料をキャビティの一端から注入した場合、得られる樹脂筒の一端(基端)にバリを生ずるが、そのバリを除去して端面をきれいに仕上げることは難しい。これに対して、キャビティの一端近傍、すなわち、キャビティの内周側又は外周側から樹脂材料を注入するのであれば、バリを生じても、得られる樹脂筒の内面研削又は外面研削によってバリを簡単に除去することができ、仕上げが容易になる。
【0020】
上記課題を解決する請求項4に係る発明は、取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒の成形金型であって、
上記樹脂筒を成形するための筒形状のキャビティと、
上記キャビティに短繊維を含有する樹脂材料を供給するランナとを備え、
上記ランナのゲートは、上記樹脂筒の上記取付孔に対する嵌め込み方向の先端とは反対側の基端に対応する上記キャビティの一端近傍の全周囲より該キャビティに上記樹脂材料が注入されるようにフィルムゲート形状に形成されていることを特徴とする。
【0021】
従って、短繊維を含有する樹脂材料は、キャビティの一端近傍の全周囲より該キャビティに上記樹脂材料が注入されることになり、一端近傍(基端近傍)から他端(先端)に至る間の短繊維が軸方向に配向された樹脂筒が得られ、また、ウェルドの発生が防止される。
【0022】
上記課題を解決する請求項5に係る発明は、取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒であって、
筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料該キャビティに注入されて形成され、
上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されていることを特徴とする。
【0023】
従って、この樹脂筒を上記取付孔に外径を縮小させて嵌め込む際の樹脂筒の割れが防止される。
【0024】
上記課題を解決する請求項6に係る発明は、請求項5に記載されている繊維含有樹脂筒の筒内に防振ゴムが設けられていることを特徴とする防振成形体である。
【0025】
従って、この防振成形体を上記取付孔に樹脂筒の外径を縮小させて嵌め込む際の樹脂筒の割れが防止され、また、この嵌め込みにより、防振ゴムに予圧縮を与えることができる。
【0026】
上記各発明において、キャビティに対する樹脂材料の注入位置は、キャビティの一端からキャビティ全長の1/3程度までの範囲に設けること、さらには1/4程度までの範囲に設けることが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されたものであり、該樹脂筒の外径よりも大きい入口から取付孔の孔径よりも小さい出口に向かって径が漸次小さくなったダイスの出口を上記取付孔に対して同心になるように対向させ、上記樹脂筒を、上記ダイスに通すことにより、該樹脂筒の外径を先細形状となるように縮小させ、該ダイスを通過した部分から上記取付孔に挿入していき、該樹脂筒の全長が上記ダイスを通過した後の該樹脂筒の弾性的復元力により該樹脂筒を上記取付孔に対して密嵌状態とするようにしたから、樹脂筒を取付孔に対して、割れを招くことなく、外径を縮小させて嵌め込むことができる。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されたものであり、該樹脂筒を該樹脂筒の外径よりも孔径が小さい取付孔に嵌め込むためのダイスは、樹脂筒の外径よりも大きい入口から取付孔の孔径よりも小さい出口に向かって径が漸次小さくなっているから、樹脂筒を取付孔に対して、割れを招くことなく、外径を縮小させて嵌め込むことができる。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、短繊維を含有する樹脂材料を筒形状のキャビティに対して該キャビティの一端近傍の全周囲より同時に注入するようにしたから、ウェルドの発生を招くことなく短繊維が一端近傍(基端近傍)から他端(先端)に至る間で軸方向に配向された樹脂筒を得ることができ、割れを招くことなく外径を縮小させて取付孔に嵌め込む上で有利になるとともに、バリを簡単に除去することができ、仕上げが容易になる。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、筒形状のキャビティと、該キャビティに短繊維を含有する樹脂材料を供給するランナとを備え、該ゲートは、キャビティの一端近傍の全周囲より該キャビティに当該樹脂材料が注入されるようにフィルムゲート形状に形成されているから、ウェルドの発生を招くことなく短繊維が一端近傍(基端近傍)から他端(先端)に至る間で軸方向に配向された樹脂筒を得ることができ、割れを招くことなく外径を縮小させて取付孔に嵌め込む上で有利になるとともに、バリを簡単に除去することができ、仕上げが容易になる。
【0031】
請求項5に係る発明によれば、取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒であって、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料を該キャビティに注入されて形成され、短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されているから、上記取付孔に外径を縮小させて嵌め込む際の樹脂筒の割れを防止する上で有利になる。
【0032】
請求項6に係る発明によれば、請求項5に記載されている繊維含有樹脂筒の筒内に防振ゴムが設けられている防振装置であるから、上記取付孔に樹脂筒の外径を縮小させて嵌め込む際の樹脂筒の割れが防止される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
<防振装置>
図1及び図2に示すエンジンのラバーマウント装置において、1は小取付孔2と大取付孔3とが平行に設けられた金属製ブラケット(取付相手方)である。小取付孔2にはパワープラント(エンジン又はトランスミッション)に結合される内筒4が挿入されていて、小取付孔2の内面と内筒4とは防振ゴム5によって結合されている。大取付孔3には防振成形体6が嵌め込まれている。防振成形体6は、短繊維を含有する樹脂筒7と、この樹脂筒7に挿入された内筒9と、この樹脂筒7と内筒9とを結合する防振ゴム10とによって構成されている。内筒9は自動車の車体(フレーム)に結合される。
【0035】
樹脂筒7のマトリックス樹脂には種々の合成樹脂を採用することができるが、本実施形態ではナイロン樹脂を採用している。短繊維にも種々の有機又は無機の短繊維を採用することができるが、本実施形態ではガラス短繊維を採用している。短繊維の配合量はマトリックス樹脂の量の例えば10〜40質量%程度とすればよく、本実施形態では30質量%としている。樹脂筒7の一端近傍から他端に至るまでの短繊維は該樹脂筒7の軸方向(筒長方向)に配向されている。
【0036】
短繊維は、樹脂筒7を補強する働きをするとともに、ガラス短繊維の場合は樹脂筒7の吸水率を低下させる働きをする。すなわち、樹脂筒7は、湿度の高い環境下に置かれたり、雨水、塩水と接触したりすると、吸水して劣化するとともに、防振ゴム10との接着力が低下する。例えば、ナイロン樹脂の場合、吸水率は7%程度になる。これに対して、樹脂筒7にガラス短繊維を含有させると、その含有量に応じて樹脂筒7の吸水率が低下し、ガラス短繊維含有量が30%程度になると、樹脂筒7の耐水性及びゴムとの接着性が良好になる。
【0037】
<樹脂筒の成形>
上記樹脂筒7は、図3に示す金型を用いて製造することができる。この金型において、11は貫通孔を有する固定プレート、12は固定プレート11に突き合わされた同じく貫通孔を有するストリッパプレートである。固定プレート11の貫通孔に一方から固定側コアピン13が嵌められている。固定側コアピン13とは反対側から可動側コアピン14がストリッパプレート12の貫通孔に嵌められて、固定プレート11の貫通孔に突出している。これら固定プレート11、ストリッパプレート12及びコアピン13,14によって上記樹脂筒7を成形するための円筒状キャビティ15が形成されている。
【0038】
固定側コアピン13は貫通孔を有し、この貫通孔にランナ部材16が嵌められている。ランナ部材16にはスプル17及びランナ部18が形成されている。このランナ部18は、固定側コアピン13と可動側コアピン14との間の一定幅の隙間によって形成されたランナ部19に続いている。このランナ部19の周縁が上記キャビティ15の一端近傍の内周側に全周にわたって開口したフィルムゲート20になっている。フィルムゲート20の開口幅は例えば0.2〜0.5mmとすればよい。なお、図3において、21は固定側コアピン13を固定プレート11に保持する保持プレートである。
【0039】
樹脂筒7の成形にあたっては、短繊維を含有する溶融樹脂(樹脂材料)を上記スプル17からランナ部18,19に加圧供給し、フィルムゲート20からキャビティ15に供給する。
【0040】
従って、キャビティ15には、その一端近傍の内周側から溶融樹脂が全周にわたって同時に供給されることになるため、ウェルドの発生が避けられるとともに、溶融樹脂はキャビティ15の全周において上記一端近傍から他端に向かって軸方向に流れるから、この一端近傍から他端に至る間では短繊維が軸方向に配向されることになる。なお、上記一端近傍からキャビティ15の一端に至る間では短繊維は必ずしも軸方向には配向されない。
【0041】
溶融樹脂がキャビティ15において冷却固化した後、可動側コアピン14をストリッパプレート12と共に後退させて、樹脂筒7を固定プレート11から離型させ、さらに可動側コアピン14をストリッパプレート12に対して相対的に後退させることにより、樹脂筒7を可動側コアピン14から離型させる。しかる後に樹脂筒7に内面研削を施してバリを除去する。
【0042】
<防振成形体のブラケットへの嵌め込み>
防振成形体6のブラケット1の大取付孔3への嵌め込みは、図4に示すように金属製ダイス22を用いて行なう。
【0043】
防振成形体6の樹脂筒7及び大取付孔3は、それぞれその全長にわたって同一径になるように形成されており、しかも自由状態(外力が作用していない状態)では、樹脂筒7の外径がブラケット1の大取付孔3の孔径よりも大きく形成されている。例えば、樹脂筒7は外径(直径)が68mmになるように形成され、大取付孔3の孔径は65mmに形成されている。また、樹脂筒7の厚さは1.5〜3mmである。
【0044】
そこで、ダイス22を用いて防振成形体6の樹脂筒7の外径を縮小させて大取付孔3に嵌め込むようにしている。大取付孔3もダイス22は、その入口23の径が樹脂筒7の外径よりも大きく(例えば直径70mm)、その出口24の径が大取付孔3の孔径よりも小さく(例えば直径64mm)、且つ入口から出口に向かって径が漸次小さくなっている。
【0045】
当該嵌め込みにあたっては、図4(a)に示すように、ダイス22とブラケット1とを、ダイス22の出口24が大取付孔3と同心になるように対向させる。本実施形態では両者1,22を当接させている。そうして、図4(b)に示すように、防振成形体6をダイス22にその入口23から挿入し、出口24に向かって押し込んでいく。この挿入にあたっては、樹脂筒7は、キャビティ15の他端で成形された部位が先端となるようにする。つまり、その短繊維の配向が軸方向になった側の端が挿入方向の先端となるようにする。
【0046】
防振成形体6の樹脂筒7は、ダイス22に通されることにより、先細となるように外径が縮小される。そうして、防振成形体6のダイス22の出口24を通過した部分はそのまま大取付孔3に挿入されていく。
【0047】
樹脂筒7は、ダイス22に通されることにより、外径が縮小するが、それは樹脂筒7の先端から漸次小さくなっていくというものであるから、つまり、外径が急激に絞られるのではないから、樹脂筒7の割れを招くことが避けられる。また、樹脂筒7の先端が先に絞られていくが、この先端は、短繊維の配向が軸方向に揃っているから、この短繊維が当該絞りの大きな抵抗になることはなく、樹脂筒7の割れを招くことが避けられる。また、最終的には樹脂筒7の短繊維の配向が乱れた基端部も先端と同様に絞られるが、それまでに樹脂筒7の大部分が無理なく絞られているから、当該基端部も大きな抵抗なく絞られ、樹脂筒7の割れを招かない。
【0048】
本実施形態の場合、樹脂筒7は、ダイス22を通過するときに外径が最大で6%程度縮小されるが、ガラス短繊維含有量がマトリックス樹脂量の10〜40質量%程度であれば、外径を9%程度縮小しても樹脂筒7の割れを招かない。すなわち、樹脂筒7の外径を4〜9%程度縮小させて取付孔に嵌め込むことに有効である。
【0049】
ダイス22の出口24の径は大取付孔3の孔径よりも小さいから、図4(c)に示すように、樹脂筒7は抵抗なく大取付孔3に入る。図4(d)に示すように、防振成形体6の樹脂筒7は、その全長がダイス22を通過すると、該ダイス22による外力が解除されるから、その弾性的復元力によって外径が拡大し、大取付孔3に密嵌された状態となる。但し、樹脂筒7の外径は、自由状態にあるときよりも縮小されている。これにより、防振成形体6の防振ゴム10に所定の防振特性を得るための予圧縮が付与されている。
【0050】
<別の実施形態>
図5及び図6は、本発明に係る別の実施形態を示す。すなわち、同図に示す防振成形体6は、自動車のプロペラシャフト(取付相手方)の筒孔(取付孔)に嵌め込んで、その振動を低減させるダイナミックダンパーとして働くものである。この防振成形体6は、樹脂筒7と、この樹脂筒7の内部に設けられたマス25と、このマス25を樹脂筒7に揺動自在に結合する防振ゴム10とによって構成されている。樹脂筒7は、ガラス短繊維を含有するナイロン樹脂によって形成され、また、先の実施形態と同様にフィルムゲートを有する金型によって成形されている。
【0051】
この防振成形体6の樹脂筒7は、自由状態での外径がプロペラシャフトの筒孔径よりも大きい。そのため、先の実施形態と同様に防振成形体6は、入口から出口に向かって口径が漸次小さくなったダイスに通してプロペラシャフトの筒孔に嵌め込むようにしている。
【0052】
従って、防振成形体6では、樹脂筒7の外径が縮小することにより、防振ゴムに予圧縮が付与され、これにより、当該ダイナミックダンパーとしての共振周波数が調節されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る防振成形体の斜視図。
【図2】 同防振成形体の正面図。
【図3】 同防振成形体の樹脂筒を成形する金型を示す断面図。
【図4】 同防振成形体をブラケットの取付孔に嵌め込む各ステップを示す断面図。
【図5】 本発明の別の実施形態に係る防振成形体の正面図。
【図6】 図5のA−A線断面図。
【符号の説明】
1 ブラケット(取付相手方)
3 取付孔
6 防振成形体
7 樹脂筒
9 内筒
10 防振ゴム
15 キャビティ
18 ランナ部
19 ランナ部
20 フィルムゲート
22 ダイス
23 入口
24 出口

Claims (6)

  1. 樹脂筒を該樹脂筒の外径よりも孔径が小さい取付相手方の取付孔に嵌め込む方法であって、
    上記樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、
    上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されており、
    入口径は上記樹脂筒の外径よりも大きく、出口径は上記取付孔の孔径よりも小さく、且つ当該入口から出口に向かって径が漸次小さくなったダイスの出口を、上記取付相手方の取付孔に対して同心になるように対向させ、
    上記樹脂筒を、上記ダイスに通し、該ダイスを通過した部分から上記取付孔に挿入していき、
    上記樹脂筒を上記ダイスから押し出すことによって上記取付孔に嵌め込むことを特徴とする樹脂筒の嵌め込み方法。
  2. 樹脂筒を該樹脂筒の外径よりも孔径が小さい取付相手方の取付孔に嵌め込むためのダイスであって、
    上記樹脂筒は、筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料が該キャビティに注入されて形成され、
    上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されており、
    入口径は上記樹脂筒の外径よりも大きく、出口径は上記取付孔の孔径よりも小さく、且つ当該入口から出口に向かって径が漸次小さくなっており、上記取付孔と同心になるように該取付相手方に対向させて配置され、上記樹脂筒を上記取付孔に嵌め込むために通過させる樹脂筒嵌め込み用ダイス。
  3. 取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒の成形方法であって、
    上記樹脂筒を成形するための筒形状のキャビティに対して、上記樹脂筒の上記取付孔に対する嵌め込み方向の先端とは反対側の基端に対応する当該キャビティの一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料を同時に注入することを特徴とする繊維含有樹脂筒の成形方法。
  4. 取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒の成形金型であって、
    上記樹脂筒を成形するための筒形状のキャビティと、
    上記キャビティに短繊維を含有する樹脂材料を供給するランナとを備え、
    上記ランナのゲートは、上記樹脂筒の上記取付孔に対する嵌め込み方向の先端とは反対側の基端に対応する上記キャビティの一端近傍の全周囲より該キャビティに上記樹脂材料が注入されるようにフィルムゲート形状に形成されていることを特徴とする繊維含有樹脂筒の成形金型。
  5. 取付相手方の取付孔に外径を縮小させて嵌め込まれる繊維含有樹脂筒であって、
    筒形状のキャビティの一端の全周囲より又は該一端近傍の全周囲より、短繊維を含有する樹脂材料該キャビティに注入されて形成され、
    上記短繊維が樹脂筒一端より又は該一端近傍より他端に向かって上記取付孔に対する嵌め込み方向に配向されていることを特徴とする繊維含有樹脂筒。
  6. 請求項5に記載されている繊維含有樹脂筒の筒内に防振ゴムが設けられていることを特徴とする防振成形体。
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