JP3940509B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肌荒れ改善作用に優れた皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
肌荒れの一因として紫外線等による皮膚炎症があり、その炎症を沈め、肌荒れを改善する皮膚外用剤が望まれている。その治療法の一つとして、炎症時に生じる起炎物質であるヒスタミンの遊離を抑制する方法がある。しかしながら、従来のヒスタミンの遊離を抑制する作用をもつ皮膚外用剤は、ステロイド剤等の化学合成で得られた物質を含有するものがほとんどであり、副作用の危険性もあるため、安全性が高く、効果の優れた天然物由来の皮膚外用剤が望まれている。一方、ビール酵母やパン酵母として知られるサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母抽出物に肌荒れ改善作用があることは公知であり、これを配合した皮膚外用剤は広く用いられているが、特有の強い刺激臭があるため、製品への配合量が制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)の酵母熱水抽出物を含有した皮膚外用剤は、優れたヒスタミンの遊離を抑制する作用(抗炎症作用)を示し、酵母特有の刺激臭がないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
即ち、本発明の目的は、肌荒れ改善作用に優れた皮膚外用剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、クルイベロミセス属の酵母熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【0006】
クルイベロミセス属の酵母は一般に食品の風味改善剤や保水剤として用いられ、その他の利用としては特開昭61-236727に抗う蝕乃至抗菌周症剤が開示されている。
【0007】
本発明で用いるクルイベロミセス属の酵母熱水抽出物とは、酵母又は酵母を乾燥粉末化したものを溶媒抽出、酸加水分解、酵素分解、自己消化等の適当な条件下で抽出、可溶化、精製等を行ったものが挙げられる。また、抽出する溶媒としては、水が良い。
【0008】
また、クルイベロミセス属の酵母抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過等の処理をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。中でも、市販されている酵母の乾燥粉末及びその抽出物が扱い易く、また容易に入手できるので好ましい。
【0009】
本発明で用いるクルイベロミセス属の酵母の菌体種としては特に問わないが、例えば、クルイベロミセス・アフリカヌス(Kluyveromyces africanus)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・ファフィー(Kluyveromyces phaffii)、クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイベロミセス・ウォルティ(Kluyveromyces waltii)、クルイベロミセス・ウィッカーラミ(Kluyveromyces wickerhamii)、クルイベロミセス・ヤロウィ(Kluyveromyces yarrowii)等が挙げられ、一般の微生物保存機関等から自由に入手することができる。これらの酵母は単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。好ましくは、クルイベロミセス・フラジリス及びクルイベロミセス・ラクティスを用いるのが良い。また、この2種の酵母の混合乾燥粉末が食用酵母として雪印食品株式会社より「protibel」という商品名で市販されており、これを用いることができる。。
【0010】
本発明の皮膚外用剤にはクルイベロミセス属の酵母熱水抽出物の効果を損なわない範囲内で、通常の皮膚外用剤に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美容成分、キレート剤等の成分を配合することができる。
【0011】
本発明の皮膚外用剤は医薬品、医薬部外品、化粧品のいずれにも用いることができ、その剤型としては、例えば、化粧水、クリ−ム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデ−ション、打粉、口紅等の皮膚に適用されるものが挙げられる。
【0012】
本発明に用いるクルイベロミセス属の酵母熱水抽出物の配合量は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、乾固物に換算して0.001重量%以上、好ましくは0.05〜10重量%の配合が良い。0.001重量%未満では十分な効果は望めない。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強はなく不経済である。また、添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0013】
【実施例】
次に本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例に示す配合量の部とは重量部を、%とは重量%を示す。
【0014】
製造例1 クルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物
クルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスの酵母混合粉末(雪印食品株式会社製、商品名「protibel」)20gに400mlの精製水を加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してクルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物を0.43 g得た。
【0016】
製造例3 クルイベロミセス・ラクティスの酵母熱水抽出物
クルイベロミセス・ラクティスの酵母粉末20gに400mlの精製水を加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してクルイベロミセス・ラクティスの酵母熱水抽出物を0.41 g得た。
【0017】
製造例4 クルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物
クルイベロミセス・フラジリスの酵母粉末20gに400mlの精製水を加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してクルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物を0.32 g得た。
【0018】
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0019】
比較例1 従来の化粧水1
実施例1において、クルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来の化粧水1とした。
【0020】
比較例2 従来の化粧水2
実施例1において、クルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスの酵母熱水抽出物をビール酵母熱水抽出物(製造例1においてクルイベロミセス・ラクティス及びクルイベロミセス・フラジリスを市販のビール酵母に置き換えて製造したもの)に置き換えたものを従来の化粧水2とした。
【0024】
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分 1及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0025】
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0026】
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分 1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0027】
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0029】
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【0030】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【0031】
実験例1 ヒスタミンの遊離を抑制する作用(抗炎症作用)
雄性Spraque-Dawley系ラットの腹腔内から採取した肥満細胞を用いてヒスタミンの遊離を抑制する作用を測定した。すなわち、1μg/mlのコンパウンド48/80による肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑制する作用を遊離抑制率として求めた。肥満細胞はSullivanらの方法〔J. Immunology,114(5),1473(1975)〕で採取し、ヒスタミンの定量はMayらの方法〔J. Allergy,46,12(1970)〕で行った。実験の結果を表1に示した。その結果、クルイベロミセス属の酵母抽出物は優れたヒスタミンの遊離を抑制する作用を示した。
【0032】
【0033】
実験例2 使用試験
実施例1の化粧水及び従来の化粧水1を用いて、肌荒れに悩む女性15人(21〜46才)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。使用後、肌荒れの改善効果をアンケートにより判定した。その結果を表2に示した。その結果、クルイベロミセス属の酵母熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤は優れた肌荒れの改善作用を示した。
【0034】
【表2】
【0035】
実験例3 においの官能評価
実施例1の化粧水及び比較例2の従来の化粧水2を用いて、女性15人(21〜46才)を対象に使用試験を行った。使用後、酵母特有のにおいが気になるかどうかをアンケートにより判定した。その結果を表3に示した。その結果、クルイベロミセス属の酵母熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤には酵母特有の刺激臭がないことが示された。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例3の乳液、実施例4のゲル剤、実施例5の軟膏、実施例6のパック、実施例8の浴用剤についても同様に使用試験を行ったところ、優れた肌荒れの改善作用を示し、酵母特有の刺激臭もなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上示したように、本発明のクルイベロミセス属の酵母熱水抽出物は優れたヒスタミンの遊離を抑制する作用を有し、さらに、クルイベロミセス属の酵母熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤は優れた肌荒れの改善作用を示し、酵母特有の刺激臭がなかった。
Claims (2)
- クルイベロミセス属の酵母熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- クルイベロミセス属の酵母がクルイベロミセス・ラクティス及び/又はクルイベロミセス・フラジリスであることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
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