JP3584489B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の植物由来の生薬の抽出物を含有してなる美白効果及び老化防止効果に優れた皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚外用剤において、皮膚の色黒、シミ、ソバカスの防止などの美容効果を得るためのものとして、アスコルビン酸、グルタチオン、コロイドイオウ等が配合された美白化粧料が知られている。
また、最近生薬等の天然物を化粧料に配合し、美白効果を得ようとする試みがなされている(特開昭53−88333号、特開昭54−2344号、特開昭57−163307号、特開昭60−104005号、フレグランスジャーナル臨時増刊No.6(1986)P164〜166等)。
一方、化粧品等の皮膚外用剤には、肌荒れ改善や、皮膚老化防止の機能も求められており、そのような作用を有する薬効成分としては、アラントイン、アロエ抽出物、人参抽出物、胎盤抽出物、牛血液除蛋白物、発酵代謝物等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アスコルビン酸は酸化されやすいため、一定の効果の発現が期待しにくいばかりか、化粧料自身が変色してしまうことがあるという問題があった。また、グルタチオンやコロイドイオウは特有の異臭及び剤型によっては沈澱等が生じるという欠点を有している。
また生薬は安全性が高いことからその有用性が期待されているものの、その美白効果は未だ不十分であった。
さらに上記薬効成分を配合した皮膚外用剤は、肌荒れ改善や皮膚老化防止に対して実際上充分な効果を発揮できず、より優れた作用を有する皮膚外用剤の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
斯かる実情に鑑み、本発明者等は生薬抽出物の美白作用、肌荒れ改善作用、皮膚老化防止作用等につき鋭意研究した結果、ヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハの抽出物が高いチロシナーゼ活性阻害作用及び活性酸素除去効果を併せ持っており、これらを配合した皮膚外用剤が美白効果、肌あれ改善効果、及び皮膚老化防止効果に共に優れ、しかも安全性、安定性に優れていることを見い出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明はヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハから選ばれる生薬の抽出物の一種又は二種以上を含有することを特徴とする美白用及び老化防止用の皮膚外用剤を提供するものである。
【0006】
本発明で用いられるヤコウトウとは、タデ科のツルドクダミ(Polygonum multiflorum Thunb.)の蔓性茎をいい、ヤシャジツとは、カバノキ科のオオバヤシャブシ(Alnus sieboldiana Matsum.)、ヤシャブシ(Alnus firma Sieb.et Zucc.)、ケヤマハンノキ(Alnus hirsuta Turcz.)、及び同属植物の果実をいい、ユズリハとは、ユズリハ科のユズリハ(Daphniphyllum macropodum Miq.)、エゾユズリハ(Daphniphyllum humile Maxim.)、及び同属植物の樹皮又は葉をいう。
【0007】
本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤に用いる、ヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハから得られる生薬抽出物(以下、「生薬抽出物」と略称する)の調製法は特に限定はないが、例えば種々の適当な溶媒を用い、室温〜加温下で抽出する方法が挙げられる。抽出溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級一価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;酢酸エチル等の低級アルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類等が例示され、その一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。就中、水又は水溶性溶媒、特に水、エチルアルコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0008】
また抽出条件としては、生薬に対し容量比で1〜1000倍量、特に5〜100倍量の溶媒を用い、4℃以上、特に15〜30℃の温度で1時間以上、特に1〜3日間行うのが好ましい。
【0009】
以上のような条件で得られる生薬抽出物は、抽出された溶液のまま本発明の皮膚化粧料に配合しても良いが、さらに必要により濃縮、濾過等の処理をしたものを適宜使い分けて配合することもできる。
【0010】
本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤において、生薬抽出物の含有量は、乾燥固形分に換算して0.0001〜10.0重量%程度とすることが好ましく、特に0.01〜5.0重量%の範囲がより好ましい。生薬抽出物の含有量が0.0001重量%未満であると効果が十分に発揮されず、また、含有量が10.0重量%を超えると効果はほぼ一定となる。
【0011】
本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤は、上記必須成分としての生薬抽出物の他、通常化粧品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、粉末、界面活性剤、油剤、保湿剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することにより調製される。
【0012】
本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤の剤型は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、軟膏、分散液、洗浄料等種々の剤型とすることができる。
【0013】
また、本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤は、必要により更に公知の薬剤を添加しても良い。この薬剤としては、例えば、アスコルビン酸、プラセンタエキス、当帰エキス、桑白皮エキス、アロエエキス等の美白効果を有する薬剤;グリチルレチン酸及びその誘導体、インドメタシン等の抗炎症剤;ウロカニン酸、ベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸、桂皮酸及びこれらそれぞれの誘導体等の紫外線吸収剤;ビタミンE、ローズマリーエキス、茶エキス等の酸化防止剤等が挙げられる。これら薬剤は単独でも二種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
【実施例】
次に試験例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
試験例1 チロシナーゼ活性阻害試験
表1に示した乾燥した各生薬の細切20重量部に、エチルアルコールまたは50%(V/V)エチルアルコール水溶液80重量部を加え、室温で時々攪拌しながら3日間抽出し、濾過して各生薬抽出液を得た。これら各生薬抽出液を試料とし、下記測定方法によりチロシナーゼ活性阻害率を測定した。この結果を表1に示す。
【0016】
[測定方法]
各試料0.1〜0.2mlに酵素溶液(シグマ社製、2,800units/mgのチロシナーゼ10mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)20mlに溶解したもの)0.1mlを加え、更に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)を加え4mlとし、これを25℃にて10分間インキュベートした。これに、あらかじめ25℃に保っておいた基質溶液(L−DOPA(東京化成)198.0mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)100mlに溶解したもの)1.0mlを加え、10分間反応せしめた。次いで475nmにおける吸光度(ODS)を測定した。さらに加熱失活させた前記酵素を用いて同様に反応させた吸光度(ODEE)及び試料無添加の時の吸光度(ODB)を測定し、次式よりチロシナーゼ活性の阻害率を算出した。
【0017】
【式1】
【0018】
【表1】
【0019】
表1の結果より明らかな如く、本発明に用いるヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハの各抽出物は、チロシナーゼを抑制し、ドーパクロームの生成を低下させ、高い美白効果を有していた。
【0020】
試験例2 活性酸素除去効果試験
表2に示す乾燥した各生薬の細切20重量部にエチルアルコール、50%(V/V)エチルアルコール水溶液又は水80重量部を加え、室温で、時々攪拌しながら3日間抽出し、濾過して各生薬抽出液を得た。これらの各生薬抽出液を試料とし、下記測定方法により、活性酸素除去率を測定した。この結果を表2に示す。
【0021】
[測定方法]
0.05M炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mlに基質溶液(3.0mMキサンチン(0.05M炭酸ナトリウム緩衝液に溶解))0.1ml、3.0mM EDTA0.1ml、0.15%(W/V)ウシ血清アルブミン0.1ml、0.75mMニトロブルーテトラゾリウム0.1ml及び各試料を0.1ml混合し、25℃で10分間放置した後、酵素溶液(キサンチンオキシダーゼ溶液(精製水にて約0.04units/mlに希釈))0.1mlを加えて、反応を開始する。25℃で20分間インキュベートした後、6mMCuCl20.1mlを加えて反応を停止する。次いで560nmにおける吸光度(A)を測定する。対照には、試料のかわりに精製水を加えた吸光度(B)、また各試料のブランクには、6mMCuCl20.1mlを加えて反応停止後に、キサンチンオキシダーゼ0.1mlを添加した吸光度(C)を測定し、次式より活性酸素除去率を算出した。
【0022】
【式2】
【0023】
【表2】
【0024】
表2の結果より明らかな如く、本発明に用いるヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハの各抽出物は活性酸素を除去し、高いSOD様抗酸化活性を有していた。
【0025】
*6:ヤコウトウ抽出物(試験例1のもの)を乾燥固形分として約8%含有したもの
【0026】
(製法)
A.(3)〜(6)及び(9)〜(12)を混合溶解する。
B.(1)、(2)、(7)、(8)及び(13)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にする。
【0027】
【0028】
(製法)
A.(1)〜(7)、(9)及び(10)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.(8)、(11)及び(12)を混合し、加熱して70℃に保つ。
C.BにAを加えて均一に乳化し、30℃まで冷却する。
【0029】
【0030】
(製法)
A.(1)〜(4)、(6)及び(9)を混合し、70℃に加熱し攪拌しながら溶解せしめる。
B.(5)、(7)及び(8)を混合する。
C.AにBを加え、混合した後、冷却する。
【0031】
【0032】
(製法)
A.(6)〜(8)及び(13)を加熱・混合し、70℃に保つ。
B.(1)〜(5)、(9)及び(10)を加熱・混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加え、混合し、さらに(11)を加えて均一に混和した後、(12)を加え、均一に乳化し、30℃まで冷却する。
【0033】
試験例3 使用効果試験
本発明の皮膚外用剤の美白効果につき、使用テストにより試験を行った。使用テストは、それぞれ30〜40才の20名の女性をパネルとし、2週間にわたって毎日、朝と夜の2回、洗顔後に試料を適量顔面に塗布することにより行った。試料としては実施例2のクリーム及び実施例4の乳液を用い、対照としては実施例2のクリームから成分(8)ヤシャジツ抽出液を除き、これを精製水で補正したものを用いた。この結果を表3に示す。
なお、評価は次の基準で行った。
【0034】
[美白効果]
有 効:シミ・ソバカスがほとんど目立たなくなった。
やや有効:シミ・ソバカスがあまり目立たなくなった。
無 効:変わらない。
【0035】
【表3】
【0036】
表3の結果より明らかなように、実施例2のクリーム及び実施例4の乳液の使用によりシミ、ソバカスが目立たなくなり、優れた美白効果が得られた。
また、実施例1の化粧水及び実施例3のパックについても、ほぼ同様の使用テストを行った結果、同様の効果が得られた。
【0037】
実施例5
成分(8)としてヤコウトウの50%エチルアルコール水溶液抽出液(ヤコウトウ抽出物を乾燥固形分として約7%含有するもの)を0.5%配合する以外は実施例1と同様にして化粧水を得た。
【0038】
実施例6
成分(8)としてユズリハの水抽出液(ユズリハ抽出物を乾燥固形分として約6%含有するもの)を3.0%配合する以外は実施例2と同様にしてクリームを得た。
【0039】
実施例7
成分(4)としてユズリハの1,3−ブチレングリコール抽出液(ユズリハ抽出物を乾燥固形分として約6%含有するもの)を3.0%配合する以外は実施例3と同様にしてパックを得た。
【0040】
実施例8
成分(7)としてヤコウトウの50%酢酸エチル水溶液抽出物 (乾燥固形分)0.1%を配合する以外は実施例4と同様にして乳液を得た。
【0041】
試験例4 使用効果試験
本発明の皮膚外用剤の皮膚老化防止効果及び肌荒れ改善効果につき、使用テストにより試験を行った。
使用テストは、30〜55才の20名の女性をパネルとして、12週間にわたって毎日、朝と夜の2回、洗顔後に試料を適宜顔面に塗布することにより行った。試料としては、実施例6のクリーム、実施例8の乳液及び実施例6のクリームから成分(8)ユズリハ水抽出液を除き、精製水で補正した対照品を用いた。この結果を表4に示す。
なお、評価は次の基準で行った。
【0042】
[皮膚老化防止効果]
有 効:肌のはり、つやが改善された。
やや有効:肌のはり、つやがやや改善された。
無 効:変わらない。
[肌荒れ改善効果]
有 効:肌のかさつきやあれが改善された。
やや有効:肌のかさつきやあれがやや改善された。
無 効:変わらない。
【0043】
【表4】
【0044】
表4の結果より明らかなように、実施例6のクリーム及び実施例8の乳液は皮膚の老化防止及び肌荒れに対し有効であった。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の美白用及び老化防止用の皮膚外用剤は、美白効果、肌荒れ防止効果、皮膚老化防止効果に優れたものである。さらに本発明の皮膚外用剤は、安定で、しかも安全であるため、安心して使用することができるものである。
Claims (1)
- ヤコウトウ、ヤシャジツ、ユズリハから選ばれる生薬の抽出物の一種又は二種以上を含有することを特徴とする美白用及び老化防止用の皮膚外用剤。
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