JP3939865B2 - 電動自転車用モータ駆動ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪のハブ内にモータを装備した電動自転車用モータ駆動ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車軸の近傍にモータを配設した電動自転車用モータ駆動ユニットとしては、例えば特開平9−39872号公報に開示されたものがある。この公報に示されたモータ駆動ユニットは、モータと遊星歯車減速機とを車幅方向に並べ、車体フレームに固定した1本の車軸に同軸状になるように支持させており、モータの出力軸の回転を遊星歯車減速機で減速してハブに伝達する構造を採っている。前記ハブは、遊星歯車機構の周囲を覆う形状に形成し、車軸に回転自在に支持させている。このハブの側方にモータを配設している。
【0003】
前記モータは、ハウジングを車体フレームに固定し、車軸を貫通させるために筒状に形成した出力軸を遊星歯車減速機に向けて突出させている。
前記遊星歯車減速機は、遊星歯車機構を車幅方向に2個直列に並べた構造を採っている。すなわち、モータ側に位置する遊星歯車機構の太陽歯車がモータの出力軸とともに回転し、この太陽歯車の回転が他方の遊星歯車機構の外周歯車に減速されて伝達される構成を採っている。前記外周歯車にハブを接続しており、ハブがモータの動力で回転する構造を採っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上述したように構成した従来の電動自転車用モータ駆動ユニットは、車体フレームに固定する両端部の間にモータとハブとを車幅方向に並ぶように配設しているため、ハブの車幅方向の長さが短くなり、スポークを接続する二つのフランジの間隔が狭くなって車輪の剛性が低くなるという問題があった。
【0005】
発明者らは、ハブの内側にモータを収容してハブを車幅方向に長く形成し、上述した従来のモータ駆動ユニットの不具合を解消することを考えている。
しかしながら、ハブの内側にモータを収容すると、モータの周囲がハブによって囲まれてしまうことから、モータの放熱性が悪くなるという新たな問題が生じた。
さらに、コンパクト化の要求の下にモータのサイズは小さいことが必要とされ、その定格以上の過負荷で使われることから、その発生する熱の対策が重要になってきた。
【0006】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、ハブ内にモータを収容する構造を採りながら、モータの放熱性を高くすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットは、ハブ内の車幅方向の一端部にモータを配設し、他端部に遊星減速機を配設した電動自転車用モータ駆動ユニットであって、前記モータを、モータハウジングの軸心部に固定したステータの周囲をロータの磁極部が回転し出力軸が軸心部に位置する構造とし、前記遊星減速機を、前記モータの出力軸の回転が太陽歯車から遊星歯車およびハブに接続された外周歯車を介してハブに伝達される構造とし、前記モータハウジングと、遊星減速機の遊星歯車支持用キャリアとを互いに結合してなる組立体によって前記車軸を構成し、前記モータハウジングにおけるステータを支持する軸心部を、モータハウジング内に延在してその外周にステータを固定したアルミニウム合金よりなる円筒部と、この円筒部に嵌合する車体フレーム連結用の鋼材よりなる連結部材とから形成し、前記出力軸は前記円筒部内に軸受を介して支持されているものである。
【0008】
本発明によれば、モータのコイルが発する熱は、モータハウジングの軸心部に伝達され、このモータハウジングを介して車体フレームに伝達されて放散する。モータハウジングは、車軸の一部を構成しており、軸心部を車体フレームに固定するから、前記熱が車体フレームに伝達されるまでの距離が最短になり、熱伝達系の熱抵抗を小さくすることができる。
【0010】
また、本発明によれば、モータのコイルの熱がモータハウジングの熱伝導率が相対的に高いアルミニウム合金よりなる円筒部に広い範囲にわたって伝達され、この円筒部と連結部材との接触部分の全域から連結部材に伝達される。また、鋼材よりなる連結部材によって車体フレームとの連結部分を強固に形成することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットは、請求項1に記載した電動自転車用モータ駆動ユニットにおいて、モータをブラシレスDCモータによって構成し、モータハウジングにおける車幅方向の一端部で径方向に延在する側壁に、モータコントローラ用の電子部品を接触させたものである。
【0012】
この発明によれば、前記電子部品が発する熱は、モータハウジングの側壁から外周部を介して遊星減速機の遊星部材支持用キャリアに至る熱伝達系と、前記側壁からモータハウジングの軸心部に至る熱伝達系とに伝達される。
【0013】
請求項3に記載した発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットは、請求項1または請求項2に記載した電動自転車用モータ駆動ユニットにおいて、ハブの内面にフィンを多数設けたものである。
【0014】
この発明によれば、走行時にハブのフィンがモータハウジングとハブとの間の空間の空気を撹拌し、ハブ内で空気が滞留することを阻止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットの一実施の形態を図1ないし図4によって詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットの断面図、図2はモータ駆動ユニットのモータ側端部を示す側面図、図3は図1における遊星ローラ減速機のIII−III線断面図、図4は図1における遊星歯車減速機のIV−IV線断面図である。
【0017】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による電動自転車用モータ駆動ユニットである。このモータ駆動ユニット1は、前輪の軸心部に装着し、図1中に符号2で示すフロントフォークに取付ける構造を採っている。すなわち、このモータ駆動ユニット1は、内部にブラシレスDCモータ3と遊星減速機4とを車幅方向に並ぶように配設し、これらのモータ3および遊星減速機4を覆うようにハブ5を回転自在に設けている。なお、このモータ駆動ユニット1を装着する自転車は、ペダルを踏込むことによってチェーンを介して後輪が駆動される従来周知の構造のものである。
【0018】
前記モータ3は、モータハウジング6と、このモータハウジング6の軸心部に固着したステータ7と、このステータ7の周囲を磁極部8が回転する構造のロータ9と、モータハウジング6内の反出力側部に収容したモータコントローラ10とから構成している。
【0019】
前記モータハウジング6は、図1において右側に位置する有底円筒状のハウジング本体11と、このハウジング本体11の開口を閉塞する蓋体12と、この蓋体12の軸心部の外端面に固定用ボルト13によって固定したフロントフォーク連結用の連結部材14とから構成している。この実施の形態では、前記蓋体12は、ステータ7やモータコントローラ10が発する熱が放散し易いように熱伝導率が高い材料、すなわちアルミニウム合金によって形成し、連結部材14は、フロントフォーク2との連結部分を強固に形成することができるように、鋼材によって形成している。
【0020】
前記蓋体12は、軸心部の円筒部15と、この円筒部15の軸線方向(車幅方向)の途中から径方向の外側に延在する円板部16とを一体に形成し、円筒部15におけるハウジング本体11内に延びる部分に前記ステータ7を固定している。なお、ステータ7は、コイル17を装着した鉄心18を前記円筒部15に固定している。
【0021】
前記ロータ9は、磁極19を有する有底円筒状の前記磁極部8と、この磁極部8の軸心部分に固着した出力軸20とから構成している。この出力軸20は、前記蓋体12の円筒部15に軸受21,22を介して回転自在に支持させている。
【0022】
前記連結部材14は、前記蓋体12の外端面に固定した円形のフランジ23と、このフランジ23の軸心部から前記円筒部15側に突出し、この円筒部15の内周面に嵌合させた円筒24と、前記フランジ23の軸心部から車体外側に向けて突出させたボルト25とから構成している。
【0023】
連結部材14の円筒24と、前記蓋体12の円筒部15との嵌合代は、連結部材14の円筒24の先端がステータ固定部分の近傍に位置するように設定している。なお、この嵌合部分には、熱伝達性を高くするためにシリコングリスを塗布している。
【0024】
また、この連結部材14のフランジ23には、モータハウジング6がロータ8の反力によって回転するのを阻止するためのストッパー23a(図2参照)を突設している。このストッパー23aは、フロントフォーク2の前縁と後縁に係合するようにフランジ23の二箇所に形成している。また、このフランジ23の外周部、すなわち前記ストッパー23aより径方向の外側に、ハブ5の車幅方向の一端部を回転自在に支持するための軸受26を嵌合させている。
【0025】
さらに、前記フランジ23における前記軸受26より径方向の内側であって、図2に示すように側面視においてフロントフォーク2の下端と対向する部位には、モータ3用の配線27(図1参照)を通すための配線用孔28を穿設している。この配線用孔28には、前記配線27を通すための丸穴29を形成したゴム部材30が固着してある。
【0026】
前記モータコントローラ10は、前記蓋体12の円筒部15に固定した基板31と、この基板31に実装した電子部品32などによって構成している。電子部品32は、ロータ9の磁極19の位置を検出するためのホール素子33と、このモータ3の電子整流機構のスイッチング素子34(FET)と、スイッチングノイズ除去用のコンデンサ(図示せず)などである。
【0027】
前記スイッチング素子34は、熱が前記蓋体12に伝導されるように、パッケージをねじ35によって蓋体12の円板部16に密着させている。この構成を採ることによって、モータ3で駆動するときに発熱するスイッチング素子34をモータハウジング6によって冷却することができる。このスイッチング素子34が請求項2に係る発明における電子部品を構成している。前記円板部16が請求項2に記載した発明に係る側壁を構成している。
【0028】
前記遊星減速機4は、この実施の形態では、遊星ローラ減速機41と遊星歯車減速機42とを動力伝達系においてこの順に直列に接続し、減速段数が2段になるように構成している。動力伝達系の上流側に遊星ローラ減速機41を配設したのは、下記の理由による。
【0029】
すなわち、遊星ローラ減速機41は、回転を摩擦によって伝達することから騒音が相対的に小さいので、高速で回転するモータ3のロータ9の回転を減速するときに発生する騒音を小さくすることができるからである。また、ロータ9の回転が減速されていない部位、すなわち動力伝達系においてトルクが相対的に小さい部位に遊星ローラ減速機41を配設することによって、伝達できるトルクが小さい遊星ローラ減速機がもつ欠点を克服することができるからである。
【0030】
また、動力伝達系の下流側に遊星歯車減速機42を配設したのは、ロータ9の回転が遊星ローラ減速機41で減速されて伝達されるために、騒音が相対的に大きい遊星歯車減速機の欠点を克服することができるからである。しかも、遊星ローラ減速機41に較べて軸線方向の幅が小さくても大きなトルクを伝達できるから、モータ駆動ユニット1の小型化を達成し易いからである。すなわち、この遊星歯車減速機42の代わりに遊星ローラ減速機を用いる場合には、大きなトルクを伝達しなければならないことからローラの転動面の幅(軸線方向の幅)を遊星歯車減速機より大きく設定しなければならず、モータ駆動ユニットが大型化してしまう。
【0031】
遊星ローラ減速機41は、図3に示すように、モータ3の前記出力軸20にセレーションによって結合させた太陽ローラ43と、この太陽ローラ43に添接する4個の遊星ローラ44と、これらの遊星ローラ44を自転および公転自在に支持するキャリア45と、遊星ローラ44が添接する外周リング46とから構成している。
【0032】
前記キャリア45は、図1に示すように、軸心部に遊星歯車減速機42の太陽歯車47を一体に形成している。また、前記外周リング46は、前記モータハウジング6のハウジング本体11の外周部にスペーサ48を介して固定用ボルト49によって固定している。なお、この固定用ボルト49は、後述する遊星歯車減速機42のキャリア50もモータハウジング6に固定している。
【0033】
前記遊星歯車減速機42は、図4に示すように、前記遊星ローラ減速機41のキャリア45に設けた前記太陽歯車47と、この太陽歯車47に噛合する3個の遊星歯車51と、これらの遊星歯車51を自転自在に支持する前記キャリア50と、前記遊星歯車51が噛合する外周歯車52とから構成している。
【0034】
前記キャリア50は、遊星歯車51より遊星ローラ減速機41側に位置する環状板50aと、この環状板50aに遊星歯車用支軸50bを介して結合したキャリア本体50cと、このキャリア本体50cに一体に形成したボルト50dとから構成しており、一端部、すなわち環状板50aの外周部を前記モータハウジング6のハウジング本体11に前記固定用ボルト49によって固定するとともに、他端部のボルト50dをフロントフォーク2の一方のエンドブラケット2aに固定している。
【0035】
前記外周歯車52は、図1中に符号53で示す一方向クラッチの内輪を構成しており、この一方向クラッチ53を介してハブ5に接続している。この一方向クラッチ53は、外輪54をハブ5に固定用ボルト55によって固定しており、動力が外周歯車52からハブ5のみに伝達される構造を採っている。
【0036】
前記ハブ5は、この実施の形態では、スポーク(図示せず)を接続するフランジ56を外周部に形成した有底円筒状のハブ本体57と、このハブ本体57の開口部に螺着させた蓋体58とから構成し、ハブ本体57の軸心部を前記軸受26によってモータハウジング6のフランジ23に回転自在に支持させ、蓋体58の軸心部に形成したボス58aを前記遊星歯車減速機42のボルト50dに軸受59を介して回転自在に支持させている。
【0037】
前記蓋体58に前記一方向クラッチ53の外輪54を固定し、遊星歯車減速機42から動力が伝達される構造を採っている。なお、ハブ本体57と蓋体58を結合するねじの方向は、蓋体58に遊星歯車減速機42から動力が伝達されるとねじが締まる方向に形成している。
【0038】
また、前記ハブ本体57の内周面と、車幅方向の一端部、すなわち有底円筒状に形成したハブ本体57の内側底面には、それぞれフィン61,62をハブ5の周方向に間隔をおいて多数形成している。このフィン61,62は、主面がハブ5の回転方向と直交するように形成している。
【0039】
モータ3や遊星減速機4の組付けは、ハブ5の蓋体58に対して行う。すなわち、先ず、蓋体58に一方向クラッチ53を組付け、次に、モータ3と遊星減速機4とからなる組立体を、遊星歯車減速機42の遊星歯車51が一方向クラッチ53の内輪(外周歯車52)に噛合するとともに、遊星歯車減速機42のボルト50dが蓋体58側の軸受59に嵌合するように蓋体58に組付ける。
【0040】
このように蓋体58にハブ5内の全ての部材を組付けた後、モータ3をハブ本体57の開口に挿入し、モータハウジング6の連結部材14のフランジ23をハブ本体57側の軸受26に嵌合させるとともに蓋体58をハブ本体57に螺着することによって、このモータ駆動ユニット1の組立が終了する。
【0041】
組立が終了した前記モータ駆動ユニット1は、モータハウジング6のボルト25および遊星歯車減速機42のキャリア50のボルト50dをフロントフォーク2に固定することによって、モータ3の動力による走行が可能な状態になる。なお、人力駆動系の途中に人力検出手段を設け、主コントロールユニットによりモータ3の動力を人力の大きさに比例するように増減させることによって、モータ3の動力と人力とによって走行することができ、モータ3の動力を人力の大きさとは別に制御することによって、モータ3の動力のみによって走行することができる。
【0042】
電動走行時には、モータ3の出力軸20の回転が遊星ローラ減速機41の太陽ローラ43から→遊星ローラ44→キャリア45からなる動力伝達系によって減速されて遊星歯車減速機42の太陽歯車47に伝達され、さらに、太陽歯車47→遊星歯車51→外周歯車52→一方向クラッチ53からなる動力伝達系によって更に減速されてハブに伝達される。
【0043】
このように構成したモータ駆動ユニット1において、モータ3、遊星減速機4およびハブ5のフロントフォーク2への支持は、モータハウジング6と、遊星ローラ減速機41の外周リング46および遊星歯車減速機42のキャリア50とを互いに結合してなる組立体によって行っている。すなわち、前記組立体が車軸を構成するようになる。
【0044】
また、電動走行時にモータ3のコイル17が発する熱は、モータハウジング6の蓋体12の円筒部15に伝達され、この円筒部15から連結部材14を介してフロントフォーク2に伝達されて放散される。モータハウジング6は、上述したように車軸の一部を構成しており、軸心部をフロントフォーク2に固定するから、コイル17とフロントフォーク2との距離、すなわちコイル17の熱がフロントフォーク2に伝達されるまでの距離が最短になり、前記熱伝達系の熱抵抗を小さくすることができる。
【0045】
したがって、ハブ5の内側にモータ3を収容する構造を採りながら、ステータ7のコイル17の熱をフロントフォーク2に効率よく伝達させてモータ3の放熱性を高くすることができる。
【0046】
さらに、このモータ駆動ユニット1は、モータ3のステータ7を固定する円筒部15および円板部16を熱伝導率が高いアルミニウム合金によって形成しているので、コイル17およびスイッチング素子34等の熱が前記円筒部15に効率よく伝達され、この円筒部15と熱伝導率の低い連結部材14との嵌合部をできるだけ長くとっているため、熱は接触部分の全域から効率よく連結部材14に伝達される。しかも、連結部材14を鋼材によって形成しており、この連結部材14によってフロントフォーク2との連結部分が強固に形成されるから、前記円筒部15を熱伝導率が高い材料によって形成することに起因してこの円筒部15の剛性が相対的に低くなったとしても、このモータ駆動ユニット1は、フロントフォーク1に強固に取付けることができる。
【0047】
さらにまた、この実施の形態では、モータハウジング6の蓋体12をアルミニウム合金によって形成しているので、モータコントローラ10のスイッチング素子34が発する熱は、蓋体12の円板部16を介してハウジング本体11に伝達され易い。ハウジング本体11に伝達された熱は、遊星ローラ減速機41の外周リング46および遊星歯車減速機42のキャリア50にも伝導によって伝達されるようになる。すなわち、車軸を構成する部材の全てにモータの熱が伝達されるから、熱容量を大きくとることができる。このため、モータ3の発熱量が急増したとしても、車軸を構成する部材に熱を放散させてモータ3を冷却することができる。
【0048】
加えて、このモータ駆動ユニット1は、走行時にハブ5のフィン61,62がモータハウジング6とハブ5との間の空間の空気を撹拌するから、モータハウジング6に接触して昇温した空気がハブ5内の一箇所に滞留することがなく、ハブ5内の全域に拡散される。
【0049】
このため、前記昇温した空気をハブ5の内面に広い範囲にわたって接触させることができるから、ハブ5内の空気を媒体としてモータ3の熱をハブ5に伝達し、ハブ5から大気中に放散させることができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態ではモータ駆動ユニット1を前輪に装着する例について説明したが、このモータ駆動ユニット1は後輪に装着することもできる。この構成を採る場合には、ハブ5の蓋体58を後輪用のものと交換することによって簡単に実施することができる。後輪用の蓋体58は、ボス58aを軸方向に長く形成し、このボス58aにフリーホイールを取付ける。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、モータのコイルが発する熱は、モータハウジングの軸心部に伝達され、このモータハウジングを介して車体フレームに伝達されて放散する。モータハウジングは、車軸の一部を構成しており、軸心部を車体フレームに固定するから、前記熱が車体フレームに伝達されるまでの距離が最短になり、前記熱伝達系の熱抵抗を小さくすることができる。
【0052】
したがって、ハブの内側にモータを収容する構造を採りながら、モータのコイルの熱を車体フレームに効率よく伝達させてモータの放熱性を高くすることができる。
【0053】
また、本発明によれば、モータのコイルの熱が熱伝導率が相対的に高いアルミニウム合金よりなる円筒部に広い範囲にわたって伝達され、円筒部と連結部材との接触部分の全域から連結部材に伝達されるから、モータハウジングの熱伝達の効率を高くすることができる。また、鋼材よりなる連結部材によって車体フレームとの連結部分が強固に形成されるから、円筒部をアルミニウム合金によって形成することに起因して円筒部の剛性が相対的に低くなったとしても、このモータ駆動ユニットは車体フレームに強固に取付けることができる。
【0054】
このため、モータの放熱性が高くなるとともに車体フレームに強固に固定することができる電動自転車用モータ駆動ユニットを提供することができる。
【0055】
請求項2記載の発明によれば、コントローラの電子部品が発する熱は、モータハウジングの側壁から外周部を介して遊星減速機の遊星部材支持用キャリアに至る熱伝達系と、前記側壁からモータハウジングの軸心部に至る熱伝達系とに伝達される。
【0056】
このため、前記電子部品の温度が急上昇したときに熱の一部を遊星減速機側に放散させることができるから、モータの放熱性をより一層高くすることができるとともに、前記電子部品の信頼性を高くすることができる。なお、前記熱の残りは、前記側壁からモータハウジングの軸心部に伝達され、ステータの熱とともに車体フレームに放散される。
【0057】
請求項3記載の発明によれば、走行時にハブのフィンがモータハウジングとハブとの間の空間の空気を攪拌するから、モータハウジングに接触して昇温した空気がハブ内の一箇所に滞留することがなく、ハブの全域に拡散される。
【0058】
このため、前記昇温した空気をハブの内面に広い範囲にわたって接触させることができるから、ハブ内の空気を媒体としてモータの熱をハブに伝達し、ハブから大気中に放散させることができる。したがって、さらにモータの放熱性が高い電動自転車用モータ駆動ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電動自転車用モータ駆動ユニットの断面図である。
【図2】 モータ駆動ユニットのモータ側端部を示す側面図である。
【図3】 図1における遊星ローラ減速機のIII−III線断面図である。
【図4】 図1における遊星歯車減速機のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
1…電動自転車用モータ駆動ユニット、2…フロントフォーク、3…モータ、4…遊星減速機、5…ハブ、6…モータハウジング、7…ステータ、8…磁極部、9…ロータ、14…連結部材、15…円筒、16…円板、41…遊星ローラ減速機、42…遊星歯車減速機、50…キャリア、61,62…フィン。
Claims (3)
- 車輪の車軸に回転自在に支持させたハブ内の車幅方向の一端部に駆動用モータを配設し、他端部に遊星減速機を配設した電動自転車用モータ駆動ユニットであって、
前記モータを、モータハウジングの軸心部に固定したステータの周囲をロータの磁極部が回転し出力軸が軸心部に位置する構造とし、
前記遊星減速機を、前記モータの出力軸の回転が太陽歯車から遊星歯車およびハブに接続された外周歯車を介してハブに伝達される構造とし、
前記モータハウジングと、遊星減速機の遊星歯車支持用キャリアとを互いに結合してなる組立体によって前記車軸を構成し、
前記モータハウジングにおけるステータを支持する軸心部を、モータハウジング内に延在してその外周にステータを固定したアルミニウム合金よりなる円筒部と、この円筒部に嵌合する車体フレーム連結用の鋼材よりなる連結部材とから形成し、
前記出力軸は前記円筒部内に軸受を介して支持されていることを特徴とする電動自転車用モータ駆動ユニット。 - 請求項1記載の電動自転車用モータ駆動ユニットにおいて、モータをブラシレスDCモータによって構成し、モータハウジングにおける車幅方向の一端部で径方向に延在する側壁に、モータコントローラ用の電子部品を接触させたことを特徴とする電動自転車用モータ駆動ユニット。
- 請求項1または請求項2記載の電動自転車用モータ駆動ユニットにおいて、ハブの内面にフィンを多数設けたことを特徴とする電動自転車用モータ駆動ユニット。
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