JP3939395B2 - パンチプレスにおけるリポジショニング装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パンチプレスにおいてワークのつかみ換え時にワークを押えるパンチプレスにおけるリポジショニング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、図４に示されているように、パンチプレスとしてのタレットパンチプレス１０１における門型フレームの上部，下部フレーム１０３，１０５には、回転軸１０７，１０９が回転自在に支承されている。この回転軸１０７，１０９には上部，下部タレット１１１，１１３が設けられている。下部タレット１１１，１１３の円周上には適宜な間隔で複数のパンチＰ，ダイＤが相対応して装着されている。
【０００３】
上記構成により、図示省略のワーククランプでクランプされたワークＷの所望位置が加工位置に移動位置決めされて加工位置におけるパンチＰとダイＤとの協働でワークＷにパンチング加工が行われるものである。
【０００４】
ワークＷが大きい場合にはワーククランプでクランプした状態でワークＷのすべての範囲をパンチング加工をすることができない。そのために、ワークＷのつかみ替えを行うためのリポジショニング装置が前記上部，下部フレーム１０３，１０５に設けられている。
【０００５】
すなわち、図４において上部，下部タレット１１１，１１３を挟んで両側にフロント，リポジショニング装置１１５，１１７が設けられている。このフロント，リアリポジショニング装置１１５，１１７としては、上部フレーム１０３にはフロント，リアリポジショニング１１９、１２１が設けられており、このフロント，リアリポジショニングシリンダ１１９，１２１に装着されたピストンロッド１２３，１２５の下端にはワーク押え１２７，１２９が設けられている。
【０００６】
また、前記下部フレーム１０５にはフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３が設けられており、このフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３に装着されたピストンロッド１３５，１３７の上端にはリポジショニングベース１３９，１４１が設けられている。
【０００７】
上記構成により、リポジショニングシリンダ１１９，１２１，リポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３をそれぞれ作動せしめることにより、ワークＷはワーク押え１２７，１２９とリポジショニングベース１３９，１４１とでクランプされる。この状態でワーククランプをワークＷからアンクランプし、ワーククランプを別の位置へ移動位置決めした後、ワークＷをクランプすると共に、ワーク押え１２７，１２９、リポジショニングベース１３９，１４１をワークＷからアンクランプせしめることによってワークＷにつかみ換えが行われる。
【０００８】
前記フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３を作動せしめる油圧回路１４３が図５に示されている。図５においてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３には上部シリンダ室１４５，１４７、下部シリンダ室１４９，１５１が設けられており、この上部シリンダ室１４５と上部シリンダ室１４７とが配管１５３で接続されていると共に、下部シリンダ室１４９と下部シリンダ室１５１とが配管１５５で接続されている。
【０００９】
前記配管１５３，１５５の途中には配管１５７，１５９の一端が接続されていると共に、この配管１５７，１５９の他端は切換弁１６１に接続されている。切換弁１６１にはポンプ１６３が接続されている。また、前記配管１５７，１５９の途中にはスピードコントローラ１６５，１６７が設けられている。
【００１０】
上記構成により、リポジショニングベース１３９，１４１を下降させる場合には、ポンプ１６３より切換弁１６１を経て油圧を配管１５７に送ってスピードコントローラ１６５で油圧の速度を調整して配管１５３を経て上部シリンダ室１４５，１４７へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース１３９，１４１が下降される。
【００１１】
また、リポジショニングベース１３９，１４１を上昇せしめる場合には、ポンプ１６３より切換弁１６１を経て油圧を配管１５９に送ってスピードコントローラ１６７で油圧の速度を調整して配管１５５を経て下部シリンダ室１４９，１５１へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース１３９，１４９が上昇されることになる。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のリポジショニング装置において、リポジショニング終了後、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３の下降時にフロント，リアリポジショニングシリンダ１１９，１２１の上昇によりワーク押え１２７，１２９が上昇するよりも、リポジショニングベース１３９，１４１が先に下降すると、加工製品を曲げてしまうので、スピードコントローラ１６５を相当絞ってフロント、リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，３３３を遅く下降させている。
【００１３】
このため、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３の摩擦抵抗の違いにより、フロントリポジショニング浮上シリンダ１３１とリアリポジショニング浮上シリンダ１３３の下降時の速度が違ってくる。その結果、ワーククランプのワークずれや遅い方のリポジショニング浮上シリンダに合わせる為、生産性が落ちてしまうという問題があった。
【００１４】
この発明の目的は、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダを単独に下降スピードを調整し、同じスピードで下降できるようにしたパンチプレスにおけるリポジショニング装置を提供することにある。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、パンチプレスの上部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニングシリンダに装着されたピストンロッドの下端にワーク押えを設けると共に、パンチプレスの下部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニング浮上シリンダに装着されたピストンロッドの上端にリポジショニングベースを設け、前記各ワーク押えと各リポジショニングベースとでワークを押えてワークのつかみ換えを行うパンチプレスにおけるリポジショニング装置において、前記フロント，リア用リポジショニング浮上シリンダを作動せしめる流体圧回路の、前記各リポジショニングベースを下降せしめる回路に個々のスピードコントローラを設けてなり、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管は、前記各浮上シリンダを駆動するための切換弁から出た後で枝分かれして前記各浮上シリンダにつながっており、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管は、前記各浮上シリンダを出た後で１本に合流して前記切換弁につながっており、
前記スピードコントローラは、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管であって前記枝分かれをする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記各浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第１のスピードコントローラと、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第２のスピードコントローラと、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第３のスピードコントローラとで構成されているパンチプレスにおけるリポジショニング装置である。
【００１６】
したがって、ワーククランプでワークのつかみ換えを行う際には、フロント，リアリポジショニングシリンダとフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめて、各ワーク押えと各リポジショニングベースとの協働でワークを押える。この状態でワーククランプをアンクランプして所望の位置へ移動位置決めした後、ワーククランプでワークをクランプすることにより、つかみ換えが行われる。
【００１７】
ワークのつかみ換え終了すなわちリポジショニング終了後、各リポジショニングベースを下降せしめる回路に設けた個々のスピードコントローラより、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダの下降速度をそれぞれ同一にしてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダが下降されると共に、下降速度が早くなる。
【００１８】
而して、製品にリポジショニング時の曲げがなくなると共にワークつかみ換え時のワークずれがなくなる。しかも、加工タクトが上る。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
【００２０】
図３を参照するに、パンチプレスとしての例えばタレットパンチプレス１は、門型形状のフレーム３を備えており、このフレーム３は上部フレーム３Ｕ，下部フレーム３Ｄおよびサイドフレームとで構成されている。この上部フレーム３Ｕ，下部フレーム３Ｄにはそれぞれ回転軸５Ｕ，５Ｄが回転自在に支承されていると共に、この回転軸５Ｕ，５Ｄには上部タレット７，下部タレット９が取付けられている。この上部タレット７，下部タレット９の円周上には適宜な間隔で複数ののパンチＰ，ダイＤが装着されている。
【００２１】
上記構成により、回転軸５Ｕ，５Ｄが回転されると、上部タレット７，下部タレット９も例えば同方向へ同期して回転し、加工位置Ｋへ所望のパンチＰ，ダイＤが割出されて位置決めされることになる。
【００２２】
前記下部タレット９の前側図３において右側にはセンタテーブル１１が固定して設けられていると共にこのセンタテーブル１１の前後（図３において上下）にはフロント，リアテーブル１３，１５が設けられている。このフロント，リアテーブル１３，１５上の図３において右側にはＸ軸方向（図３において上下方向）へ延伸したキャレッジベース１７が設けられており、このキャレッジベース１７はＹ軸駆動モータ１９の駆動により回転されるボールねじ２１によってＹ軸方向（図３において左右方向）へ移動されるものである。
【００２３】
前記キャレッジベース１７上にはＸ軸方向へ移動自在なキャレッジ２３が設けられていると共に、このキャレッジ２３はキャレッジベース１７に設けられたＸ軸駆動モータ２５の駆動により回転されるボールねじ２７によってＸ軸方向へ移動されるものである。しかも、前記キャレッジ２３には複数のワーククランプ２９が備えられている。
【００２４】
上記構成により、ワーククランプ２９にクランプされたワークＷはＸ軸方向、Ｙ軸方向へ移動されることにより、ワークＷの所望位置が加工位置Ｋに移動位置決めされる。この状態で加工位置Ｋの上部フレーム３Ｕに設けられた例えば油圧シリンダなどによりラムが上下動されてパンチＰとダイとの協働でワークＷにパンチング加工が行われることになる。
【００２５】
前記上部タレット７，下部タレット９の両側における上部フレーム３Ｕと下部フレーム３Ｄとにフロント，リアリポジショニング装置３１，３３が設けられている。このフロント，リアリポジショニング装置３１，３３としては、図２に示されているように、上部フレーム３Ｕにはフロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７が設けられており、このフロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７に装着されたピストンロッド３９，４１の下端にはワーク押え４３，４５が設けられている。
【００２６】
また、前記下部フレーム３Ｄにはフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９が設けられており、このフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９に装着されたピストンロッド５１，５３の上端にはリポジショニングベース５５，５７が設けられている。
【００２７】
上記構成により、フロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７、リポジショニング浮上シリンダ４７，４９をそれぞれ作動せしめることにより、ワークＷはワーク押え４３，４５とリポジショニングベース５５，５７とでクランプされる。この状態でワーククランプ２９をワークＷからアンクランプし、ワーククランプ２９を別の位置へ移動位置決めした後、ワークＷをクランプすると共に、ワーク押え４３，４５、リポジショニングベース５５，５７をワークＷからアンクランプせしめることによってワークＷにつかみ換えが行われる。
【００２８】
前記フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９を作動せしめる油圧回路５９が図１に示されている。図１においてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９には上部シリンダ室６１，６３、下部シリンダ室６５，６７が設けられており、この上部シリンダ室６１と上部シリンダ室６３とが配管６９で接続されていると共に、下部シリンダ室６５と下部シリンダ室６７とが配管７１で接続されている。この配管７１にはスピードコントローラ７３，７５が直列して設けられている。
【００２９】
前記配管６９の途中には配管７７の一端が、また前記スピードコントローラ７３と７５の途中の配管７１には配管７９の一端が接続されていると共に、配管７７，７９の他端は切換弁８１に接続されている。切換弁８１にはポンプ８３が接続されている。また、配管７７の途中にはスピードコントローラ８５が設けられている。
【００３０】
上記構成により、リポジショニングベース５５，５７を下降させる場合には、ポンプ８３より切換弁８１を経て油圧を配管７７に送ってスピードコントローラ８５で油圧の速度を調整して配管６９を経て上部シリンダ室５１，５３へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース５５，５７が下降される。
【００３１】
このとき、下部シリンダ６５，６７に入っている油圧はそれぞれスピードコントローラ７３，７５によってスピードが調整されると共に配管７１を経て排出されることになる。
【００３２】
また、リポジショニングベース５５，５７を上昇せしめる際には、ポンプ３から切換弁８１を経て油圧が配管７９に送られて下部シリンダ室６５，６７に供給されることにより、リポジショニングベース５５，５７が上昇されると共に上部シリンダ室６１，６３の油圧は配管７７を経て排出されることになる。
【００３３】
したがって、フロント，リアリポジショニングシリンダ４７，４９の摩擦抵抗が変わっても、この各シリンダ４７，４９の下降速度を同一にすることができると共に従来の速度より早い速度で下降されるから、製品にリポジショニング時の曲げをなくすることができる。また、ワークＷのつかみ換え時のワークずれをなくすることができると共に、ワークＷのつかみ換え時の加工タクトを上げることができる。
【００３４】
なお、この発明は、前述した発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【００３５】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態より理解されるように請求項１の発明によれば、ワーククランプでワークのつかみ換えを行う際には、フロント，リアリポジショニングシリンダとフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめて、各ワーク押えと各リポジショニングベースとの協働でワークを押える。この状態でワーククランプをアンクランプして所望の位置へ移動位置決めした後、ワーククランプでワークをクランプすることにより、つかみ換えが行われる。
【００３６】
ワークのつかみ換え終了すなわちリポジショニング終了後、各リポジショニングベースを下降せしめる回路に設けた個々のスピードコントローラにより、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダの下降速度をそれぞれ同一にしてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを従来の速度よりも早い速度で下降せしめることができると共に、下降速度を速くすることができる。
【００３７】
而して、製品にリポジショニング時の曲げをなくすることができると共にワークつかみ換え時のワークずれをなくすることができる。しかも、加工タクトを上ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめる油圧回路図である。
【図２】この発明のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダの正面図である。
【図３】この発明のリポジショニング装置を備えたタレットパンチプレスの平面図である。
【図４】従来のリポジショニング装置の正面図である。
【図５】従来のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめる油圧回路図である。
【符号の説明】
１ タレットパンチプレス（パンチプレス）
３Ｕ 上部フレーム
３Ｄ 下部フレーム
２９ ワーククランプ
３１ フロントリポジショニング装置
３３ リアリポジショニング装置
３５ フロントリポジショニングシリンダ
３７ リアリポジショニングシリンダ
４３，４５ ワーク押え
４７ フロントリポジショニング浮上シリンダ
４９ リアリポジショニング浮上シリンダ
５５，５７ リポジショニングベース
６１，６３ 上部シリンダ室
６５，６７ 下部シリンダ室
６９，７１，７７，７９ 配管
７３，７５，８５ スピードコントローラ
８１ 切換弁
【発明の属する技術分野】
この発明は、パンチプレスにおいてワークのつかみ換え時にワークを押えるパンチプレスにおけるリポジショニング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、図４に示されているように、パンチプレスとしてのタレットパンチプレス１０１における門型フレームの上部，下部フレーム１０３，１０５には、回転軸１０７，１０９が回転自在に支承されている。この回転軸１０７，１０９には上部，下部タレット１１１，１１３が設けられている。下部タレット１１１，１１３の円周上には適宜な間隔で複数のパンチＰ，ダイＤが相対応して装着されている。
【０００３】
上記構成により、図示省略のワーククランプでクランプされたワークＷの所望位置が加工位置に移動位置決めされて加工位置におけるパンチＰとダイＤとの協働でワークＷにパンチング加工が行われるものである。
【０００４】
ワークＷが大きい場合にはワーククランプでクランプした状態でワークＷのすべての範囲をパンチング加工をすることができない。そのために、ワークＷのつかみ替えを行うためのリポジショニング装置が前記上部，下部フレーム１０３，１０５に設けられている。
【０００５】
すなわち、図４において上部，下部タレット１１１，１１３を挟んで両側にフロント，リポジショニング装置１１５，１１７が設けられている。このフロント，リアリポジショニング装置１１５，１１７としては、上部フレーム１０３にはフロント，リアリポジショニング１１９、１２１が設けられており、このフロント，リアリポジショニングシリンダ１１９，１２１に装着されたピストンロッド１２３，１２５の下端にはワーク押え１２７，１２９が設けられている。
【０００６】
また、前記下部フレーム１０５にはフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３が設けられており、このフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３に装着されたピストンロッド１３５，１３７の上端にはリポジショニングベース１３９，１４１が設けられている。
【０００７】
上記構成により、リポジショニングシリンダ１１９，１２１，リポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３をそれぞれ作動せしめることにより、ワークＷはワーク押え１２７，１２９とリポジショニングベース１３９，１４１とでクランプされる。この状態でワーククランプをワークＷからアンクランプし、ワーククランプを別の位置へ移動位置決めした後、ワークＷをクランプすると共に、ワーク押え１２７，１２９、リポジショニングベース１３９，１４１をワークＷからアンクランプせしめることによってワークＷにつかみ換えが行われる。
【０００８】
前記フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３を作動せしめる油圧回路１４３が図５に示されている。図５においてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３には上部シリンダ室１４５，１４７、下部シリンダ室１４９，１５１が設けられており、この上部シリンダ室１４５と上部シリンダ室１４７とが配管１５３で接続されていると共に、下部シリンダ室１４９と下部シリンダ室１５１とが配管１５５で接続されている。
【０００９】
前記配管１５３，１５５の途中には配管１５７，１５９の一端が接続されていると共に、この配管１５７，１５９の他端は切換弁１６１に接続されている。切換弁１６１にはポンプ１６３が接続されている。また、前記配管１５７，１５９の途中にはスピードコントローラ１６５，１６７が設けられている。
【００１０】
上記構成により、リポジショニングベース１３９，１４１を下降させる場合には、ポンプ１６３より切換弁１６１を経て油圧を配管１５７に送ってスピードコントローラ１６５で油圧の速度を調整して配管１５３を経て上部シリンダ室１４５，１４７へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース１３９，１４１が下降される。
【００１１】
また、リポジショニングベース１３９，１４１を上昇せしめる場合には、ポンプ１６３より切換弁１６１を経て油圧を配管１５９に送ってスピードコントローラ１６７で油圧の速度を調整して配管１５５を経て下部シリンダ室１４９，１５１へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース１３９，１４９が上昇されることになる。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のリポジショニング装置において、リポジショニング終了後、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３の下降時にフロント，リアリポジショニングシリンダ１１９，１２１の上昇によりワーク押え１２７，１２９が上昇するよりも、リポジショニングベース１３９，１４１が先に下降すると、加工製品を曲げてしまうので、スピードコントローラ１６５を相当絞ってフロント、リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，３３３を遅く下降させている。
【００１３】
このため、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ１３１，１３３の摩擦抵抗の違いにより、フロントリポジショニング浮上シリンダ１３１とリアリポジショニング浮上シリンダ１３３の下降時の速度が違ってくる。その結果、ワーククランプのワークずれや遅い方のリポジショニング浮上シリンダに合わせる為、生産性が落ちてしまうという問題があった。
【００１４】
この発明の目的は、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダを単独に下降スピードを調整し、同じスピードで下降できるようにしたパンチプレスにおけるリポジショニング装置を提供することにある。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、パンチプレスの上部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニングシリンダに装着されたピストンロッドの下端にワーク押えを設けると共に、パンチプレスの下部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニング浮上シリンダに装着されたピストンロッドの上端にリポジショニングベースを設け、前記各ワーク押えと各リポジショニングベースとでワークを押えてワークのつかみ換えを行うパンチプレスにおけるリポジショニング装置において、前記フロント，リア用リポジショニング浮上シリンダを作動せしめる流体圧回路の、前記各リポジショニングベースを下降せしめる回路に個々のスピードコントローラを設けてなり、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管は、前記各浮上シリンダを駆動するための切換弁から出た後で枝分かれして前記各浮上シリンダにつながっており、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管は、前記各浮上シリンダを出た後で１本に合流して前記切換弁につながっており、
前記スピードコントローラは、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管であって前記枝分かれをする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記各浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第１のスピードコントローラと、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第２のスピードコントローラと、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第３のスピードコントローラとで構成されているパンチプレスにおけるリポジショニング装置である。
【００１６】
したがって、ワーククランプでワークのつかみ換えを行う際には、フロント，リアリポジショニングシリンダとフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめて、各ワーク押えと各リポジショニングベースとの協働でワークを押える。この状態でワーククランプをアンクランプして所望の位置へ移動位置決めした後、ワーククランプでワークをクランプすることにより、つかみ換えが行われる。
【００１７】
ワークのつかみ換え終了すなわちリポジショニング終了後、各リポジショニングベースを下降せしめる回路に設けた個々のスピードコントローラより、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダの下降速度をそれぞれ同一にしてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダが下降されると共に、下降速度が早くなる。
【００１８】
而して、製品にリポジショニング時の曲げがなくなると共にワークつかみ換え時のワークずれがなくなる。しかも、加工タクトが上る。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
【００２０】
図３を参照するに、パンチプレスとしての例えばタレットパンチプレス１は、門型形状のフレーム３を備えており、このフレーム３は上部フレーム３Ｕ，下部フレーム３Ｄおよびサイドフレームとで構成されている。この上部フレーム３Ｕ，下部フレーム３Ｄにはそれぞれ回転軸５Ｕ，５Ｄが回転自在に支承されていると共に、この回転軸５Ｕ，５Ｄには上部タレット７，下部タレット９が取付けられている。この上部タレット７，下部タレット９の円周上には適宜な間隔で複数ののパンチＰ，ダイＤが装着されている。
【００２１】
上記構成により、回転軸５Ｕ，５Ｄが回転されると、上部タレット７，下部タレット９も例えば同方向へ同期して回転し、加工位置Ｋへ所望のパンチＰ，ダイＤが割出されて位置決めされることになる。
【００２２】
前記下部タレット９の前側図３において右側にはセンタテーブル１１が固定して設けられていると共にこのセンタテーブル１１の前後（図３において上下）にはフロント，リアテーブル１３，１５が設けられている。このフロント，リアテーブル１３，１５上の図３において右側にはＸ軸方向（図３において上下方向）へ延伸したキャレッジベース１７が設けられており、このキャレッジベース１７はＹ軸駆動モータ１９の駆動により回転されるボールねじ２１によってＹ軸方向（図３において左右方向）へ移動されるものである。
【００２３】
前記キャレッジベース１７上にはＸ軸方向へ移動自在なキャレッジ２３が設けられていると共に、このキャレッジ２３はキャレッジベース１７に設けられたＸ軸駆動モータ２５の駆動により回転されるボールねじ２７によってＸ軸方向へ移動されるものである。しかも、前記キャレッジ２３には複数のワーククランプ２９が備えられている。
【００２４】
上記構成により、ワーククランプ２９にクランプされたワークＷはＸ軸方向、Ｙ軸方向へ移動されることにより、ワークＷの所望位置が加工位置Ｋに移動位置決めされる。この状態で加工位置Ｋの上部フレーム３Ｕに設けられた例えば油圧シリンダなどによりラムが上下動されてパンチＰとダイとの協働でワークＷにパンチング加工が行われることになる。
【００２５】
前記上部タレット７，下部タレット９の両側における上部フレーム３Ｕと下部フレーム３Ｄとにフロント，リアリポジショニング装置３１，３３が設けられている。このフロント，リアリポジショニング装置３１，３３としては、図２に示されているように、上部フレーム３Ｕにはフロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７が設けられており、このフロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７に装着されたピストンロッド３９，４１の下端にはワーク押え４３，４５が設けられている。
【００２６】
また、前記下部フレーム３Ｄにはフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９が設けられており、このフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９に装着されたピストンロッド５１，５３の上端にはリポジショニングベース５５，５７が設けられている。
【００２７】
上記構成により、フロント，リアリポジショニングシリンダ３５，３７、リポジショニング浮上シリンダ４７，４９をそれぞれ作動せしめることにより、ワークＷはワーク押え４３，４５とリポジショニングベース５５，５７とでクランプされる。この状態でワーククランプ２９をワークＷからアンクランプし、ワーククランプ２９を別の位置へ移動位置決めした後、ワークＷをクランプすると共に、ワーク押え４３，４５、リポジショニングベース５５，５７をワークＷからアンクランプせしめることによってワークＷにつかみ換えが行われる。
【００２８】
前記フロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９を作動せしめる油圧回路５９が図１に示されている。図１においてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダ４７，４９には上部シリンダ室６１，６３、下部シリンダ室６５，６７が設けられており、この上部シリンダ室６１と上部シリンダ室６３とが配管６９で接続されていると共に、下部シリンダ室６５と下部シリンダ室６７とが配管７１で接続されている。この配管７１にはスピードコントローラ７３，７５が直列して設けられている。
【００２９】
前記配管６９の途中には配管７７の一端が、また前記スピードコントローラ７３と７５の途中の配管７１には配管７９の一端が接続されていると共に、配管７７，７９の他端は切換弁８１に接続されている。切換弁８１にはポンプ８３が接続されている。また、配管７７の途中にはスピードコントローラ８５が設けられている。
【００３０】
上記構成により、リポジショニングベース５５，５７を下降させる場合には、ポンプ８３より切換弁８１を経て油圧を配管７７に送ってスピードコントローラ８５で油圧の速度を調整して配管６９を経て上部シリンダ室５１，５３へ油圧が供給されることにより、リポジショニングベース５５，５７が下降される。
【００３１】
このとき、下部シリンダ６５，６７に入っている油圧はそれぞれスピードコントローラ７３，７５によってスピードが調整されると共に配管７１を経て排出されることになる。
【００３２】
また、リポジショニングベース５５，５７を上昇せしめる際には、ポンプ３から切換弁８１を経て油圧が配管７９に送られて下部シリンダ室６５，６７に供給されることにより、リポジショニングベース５５，５７が上昇されると共に上部シリンダ室６１，６３の油圧は配管７７を経て排出されることになる。
【００３３】
したがって、フロント，リアリポジショニングシリンダ４７，４９の摩擦抵抗が変わっても、この各シリンダ４７，４９の下降速度を同一にすることができると共に従来の速度より早い速度で下降されるから、製品にリポジショニング時の曲げをなくすることができる。また、ワークＷのつかみ換え時のワークずれをなくすることができると共に、ワークＷのつかみ換え時の加工タクトを上げることができる。
【００３４】
なお、この発明は、前述した発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【００３５】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態より理解されるように請求項１の発明によれば、ワーククランプでワークのつかみ換えを行う際には、フロント，リアリポジショニングシリンダとフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめて、各ワーク押えと各リポジショニングベースとの協働でワークを押える。この状態でワーククランプをアンクランプして所望の位置へ移動位置決めした後、ワーククランプでワークをクランプすることにより、つかみ換えが行われる。
【００３６】
ワークのつかみ換え終了すなわちリポジショニング終了後、各リポジショニングベースを下降せしめる回路に設けた個々のスピードコントローラにより、フロント，リアリポジショニング浮上シリンダの下降速度をそれぞれ同一にしてフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを従来の速度よりも早い速度で下降せしめることができると共に、下降速度を速くすることができる。
【００３７】
而して、製品にリポジショニング時の曲げをなくすることができると共にワークつかみ換え時のワークずれをなくすることができる。しかも、加工タクトを上ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめる油圧回路図である。
【図２】この発明のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダの正面図である。
【図３】この発明のリポジショニング装置を備えたタレットパンチプレスの平面図である。
【図４】従来のリポジショニング装置の正面図である。
【図５】従来のフロント，リアリポジショニング浮上シリンダを作動せしめる油圧回路図である。
【符号の説明】
１ タレットパンチプレス（パンチプレス）
３Ｕ 上部フレーム
３Ｄ 下部フレーム
２９ ワーククランプ
３１ フロントリポジショニング装置
３３ リアリポジショニング装置
３５ フロントリポジショニングシリンダ
３７ リアリポジショニングシリンダ
４３，４５ ワーク押え
４７ フロントリポジショニング浮上シリンダ
４９ リアリポジショニング浮上シリンダ
５５，５７ リポジショニングベース
６１，６３ 上部シリンダ室
６５，６７ 下部シリンダ室
６９，７１，７７，７９ 配管
７３，７５，８５ スピードコントローラ
８１ 切換弁
Claims (1)
- パンチプレスの上部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニングシリンダに装着されたピストンロッドの下端にワーク押えを設けると共に、パンチプレスの下部フレームに設けたフロント，リア用リポジショニング浮上シリンダに装着されたピストンロッドの上端にリポジショニングベースを設け、前記各ワーク押えと各リポジショニングベースとでワークを押えてワークのつかみ換えを行うパンチプレスにおけるリポジショニング装置において、前記フロント，リア用リポジショニング浮上シリンダを作動せしめる流体圧回路の、前記各リポジショニングベースを下降せしめる回路に個々のスピードコントローラを設けてなり、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管は、前記各浮上シリンダを駆動するための切換弁から出た後で枝分かれして前記各浮上シリンダにつながっており、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管は、前記各浮上シリンダを出た後で１本に合流して前記切換弁につながっており、
前記スピードコントローラは、前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダに流体を供給する側の配管であって前記枝分かれをする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記各浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第１のスピードコントローラと、
前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記フロント用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第２のスピードコントローラと、
前記各浮上シリンダを下降せしめるために前記各浮上シリンダからの流体を排出する側の配管であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダから出て前記合流をする前の配管に設けられた絞り弁と、この絞り弁に並列に設けられた逆止弁であって前記リア用リポジショニング浮上シリンダを上昇せしめる方向に流体が流れる場合にのみ流体を通過させる逆止弁とで構成された第３のスピードコントローラとで構成されていることを特徴とするパンチプレスにおけるリポジショニング装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14664897A JP3939395B2 (ja) | 1997-06-04 | 1997-06-04 | パンチプレスにおけるリポジショニング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14664897A JP3939395B2 (ja) | 1997-06-04 | 1997-06-04 | パンチプレスにおけるリポジショニング装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10328753A JPH10328753A (ja) | 1998-12-15 |
| JP3939395B2 true JP3939395B2 (ja) | 2007-07-04 |
Family
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14664897A Expired - Fee Related JP3939395B2 (ja) | 1997-06-04 | 1997-06-04 | パンチプレスにおけるリポジショニング装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3939395B2 (ja) |
-
1997
- 1997-06-04 JP JP14664897A patent/JP3939395B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10328753A (ja) | 1998-12-15 |
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