JPH0451250B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、薄板自動穴あけ装置に係り、特に自
動車のオイルパンのように多数の穴あけが必要な
薄板のワークにバリのないきれいな穴を自由に打
ち分けることができ、しかもプレス型やその段取
替を必要としない薄板自動穴あけ装置に関する。

従来技術 従来、例えば自動車のオイルパンのように多数
の穴あけ加工を必要とする薄板のワークの該あけ
加工は、多軸ボール盤等のドリル加工により行わ
れていたが、この方法によると、ドリルを案内す
るための治具が必要となり、しかもこの治具は、
ワークの種類が変わると穴位置や穴数が変わるた
め、ワークごとに別のものを用意しなければなら
ず、その段取替作業にも多くの工数が必要となる
欠点があつた。またドリル加工によると、ドリル
が抜け出る際にバリが発生し、きれいな穴が一度
で得られないという欠点があつた。また別の方法
としては、プレスによる打抜き加工法があるが、
従来はワークの種類ごとに別のプレス型を作り、
種類が変わるごとにプレス型を交換する必要があ
つたので、段取替が必要である上、プレス型製作
のための投資が必要でコスト高となり、しかも遊
休のプレス型の保管場所にかなりのスペースが必
要となる等の欠点があつた。

また特開昭58−68434には、シリアルパンチプ
レスが開示されているが、該従来例は、ワークを
Ｘ軸方向に移動させながら、その方向の位置決め
を行うようにしたもので、ワークは全く固定状態
で加工が行われる本発明とは構成が全く異なるも
のである。またワークをクランプしたままＸ軸方
向に動かしてその都度位置決めし、シリアルパン
チユニツトをＹ軸方向に移動させてその方向の位
置決めを行うものであるから、ワークの重量が大
きくなるとシリアルパンチユニツトには非常に大
きな力と強度が要求されるという欠点があつた。
また特開昭58−44992には、パンチプレス機が開
示されているが、該従来例と同様に、工作物を一
方向にのみ動かすようにして、これと直角方向に
は、プレス加工部を移動させることにより、重量
の大きな加工物でも加工できるようにしたもので
あるが、やはり加工物を加工箇所が異なるごとに
動かす点で本発明とはその構成が全く異なり、重
量が大きい加工物では、相当の困難が伴なうこと
は明らかであり、各部の強度を非常に大きく設定
しておく必要があるという欠点があつた。

目 的 本発明は、上記した従来技術の欠点を除くため
になされたものであつて、その目的とするところ
は、薄板の穴あけ加工には、パンチとダイによる
打ち抜き加工法を採用し、このパンチとダイの穴
あけ加工ユニツトの駆動には高圧ラム及び高圧の
油圧ポンプを用い、この穴あけ加工ユニツトを上
下方向、回転方向、前後方向及び左右方向に自由
に移動させかつ停止させる自由割出装置をマイク
ロコンピユータを組み込んだ制御装置で制御され
るステツピングモータ及びエアシリンダ等で作動
させることにより、一種類の薄板のワークごとに
所定のプログラムを作成しておき、ワークの種類
が変わつた場合にはそのプログラムを交換するだ
けで済むようにし、プレス型の不要化を図ること
であり、またこれによつて段取替作業の容易化
と、穴あけ加工コストの低減を図ると共に、遊休
プレス型の置場を不要化し、工場スペースの有効
利用化を図ることである。また他の目的は、打抜
き加工を採用することによつて、薄板にバリのな
いきれいな穴を自由に打ち分け得るようにするこ
とである。更に他の目的は、ワークのクランプ装
置を伸縮自在に構成することによつて、ワークの
種類が変つても、同一のクランプ装置が使用でき
るようにすることである。

概 要 要するに本発明は、薄板のワークの穴あけ加工
部を支持する複数のクランプ部材を設けたワーク
クランプ装置と、該ワーククランプ装置を一方向
に往復動させるワーク移動装置と、油圧シリンダ
により駆動されるパンチとダイを備え該パンチと
ダイとにより前記ワークに穴あけ加工を施す穴あ
け加工ユニツトと、該穴あけ加工ユニツトを上下
方向、回転方向、左右方向及び前後方向に移動さ
せて任意の位置に停止させるように、前後方向の
移動台上に固定された上下方向移動用のエアシリ
ンダと該前後方向の移動台上に取り付けられた回
転用のエアシリンダと該前後方向の移動台を移動
させるように左右方向の移動台上に取り付けられ
たモータ及び及び送りねじと該左右方向の移動台
を移動させるように基台上に取り付けられたモー
タ及び送りねじとからなる自由割出装置と、これ
らの各装置の作動を所定のプログラムによつて制
御する制御装置とを備えたことを特徴とするもの
である。

構 成 以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明す
る。本発明に係る薄板自動穴あけ装置１は、ワー
ククランプ装置２と、ワーク移動装置３と、穴あ
け加工ユニツト４と、自由割出装置５と、制御装
置（図示せず）とを備えている。

ワーククランプ装置２は、第１図及び第３図に
示すように、薄板のワーク６（図示のものはエン
ジンのオイルパン）の穴あけ加工部６ａを支持す
る複数のクランプ部材８を設けたものであり、各
クランプ部材８の上端部８ａにはワーク６のフラ
ンジ部６ｂの折曲部６ｃが係合するクランプ溝９
を形成するためのクランプ片１０がボルト１１に
より固着され、固定側のクランプ部材８Ａと移動
側のクランプ部材８Ｂとに分かれる。固定側のク
ランプ部材８Ａは、基台１２に固定されたエアシ
リンダ１３のピストンロツド１４に取り付けられ
２本の案内ロツド１５により摺動自在に構成され
たワーク移動台１６に固着されており、移動側の
クランプ部材８Ｂはワーク移動台１６に固定され
たエアシリンダ１８のピストンロツド１９に固着
されたブラケツト２０に固着されていて、ワーク
６の長さが変わつた場合にはこれに対応できるよ
うになつている。

ワーク移動装置３は、ワーククランプ装置２を
一方向に往復動させるようにしたもので、上記し
た基台１２と、エアシリンダ１３と、ワーク移動
台１６とからなり、ワーク６のセツト位置（第１
図中右方向の端部）及びワーク６の加工位置（第
１図に示すような左方向端部）とにワーク６を自
動的に移動させることができるようになつてい
る。

穴あけ加工ユニツト４は、第１図、第２図及び
第５図に示すように、油圧シリンダ２１と、パン
チ２２と、ダイ２３とからなり、油圧シリンダ２
１はオイルパイプ２４を介して高圧油圧ポンプ２
５に接続され、そのピストンロツド２６にパンチ
２２が固着され、本体２８は回転中心３０まわり
に回動自在かつ上下方向に摺動自在な加工ユニツ
ト台３１に固定され、ダイ２３も同様に該加工ユ
ニツト台３１に固定されている。

自由割出装置５は、穴あけ加工ユニツト４を上
下方向（第１図中Ｚ方向）、回転方向、左右方向
（第１図中Ｘ方向）及び前後方向（第１図中Ｙ方
向）に移動させて任意の位置に停止させることが
できるようにしたもので、上下方向移動用のエア
シリンダ３２と、回転用のエアシリンダ３３と、
左右方向移動用のステツピングモータ３４及び送
りねじ３５と、前後方向移動用のステツピングモ
ータ３６及び送りねじ３８とを主要部とする。

上下方向移動用のエアシリンダ３２は、加工ユ
ニツト台３１に固定されており、ピストンロツド
３９が固定台４０に回動自在に嵌挿され、該ピス
トンロツドが回転中心３０を構成している。固定
台４０は前後方向の移動台４１上に固着されてい
る。

回転用のエアシリンダ３３は、前後方向の移動
台４１にピン４２により揺動自在に枢着されてお
り、そのピストンロツド４３はピン４４により加
工ユニツト台３１のアーム３１ａに枢着されてい
る。

左右方向移動用のステツピングモータ３４は、
案内レール４５を有する基台４６にブラケツト４
８を介して固定され、その回転軸４９に送りねじ
３５が固着されており、送りねじ３５は左右方向
の移動台５０のめねじ部（図示せず）に螺合して
いる。また送りねじ３５の一端３５ａには該送り
ねじによる移動台５０の送り量の異常を検出する
ための風車状の回転板５１が固着され、基台４６
にはこの回転板５１の回転数の異常値を計測し、
制御装置に入力するフオトセンサ５２が対向して
固着されている。

前後方向移動用のステツピングモータ３６は、
左右方向の移動台５０に固定された案内レール５
３を有する移動基台５４にブラケツト５５を介し
て固定され、送りねじ３８は前後方向の移動台４
１のめねじ部（図示せず）に螺合し、その一端
（図示せず）には回転体５１と同様の回転体（図
示せず）が固着されている。そして移動台４１は
案内レール５３に、移動台５０は案内レール４５
に夫々摺動自在に嵌合している。

また第１図及び第２図に示すように、穴あけ加
工ユニツト４及び自由割出装置５は、ワーク６を
中心にして同一のものが対照に二組設けられてお
り、ワーク６の対角線を境にして作業を分担し、
同一作業を並行して行うことができるようになつ
ている。

制御装置は、マイクロコンピユータ（図示せ
ず）を備えており、上記各装置の作動を所定のプ
ログラムによつて制御するようになつている。

作 用 本発明は、上記のように構成されており、以下
その作用について説明する。薄板自動穴あけ装置
１は、その始動前においては、ワーククランプ装
置２がワーク６のセツト位置に来ている。そこで
ワーク６の長さに応じてエアシリンダ１８を作動
させてピストンロンド１９を動かし、移動側のク
ランプ部材８Ｂを適宜な位置にセツトする。そし
てワーク６をクランプ部材８の上に載置すると、
そのフランジ部６ｂの折曲部６ｃがクランプ片１
０との間のクランプ溝９に係合してしつかりと支
持される。

そこで制御装置の始動ボタン（図示せず）を押
せば、ワーク移動装置３のエアシリンダ１３が作
動してそのピストンロツド１４が突出し、ワーク
移動台１６が第１図中左方に移動し、ワーククラ
ンプ装置２及びワーク６がその加工位置まで移動
して第１図に示す位置に停止する。

このとき自由割出装置５は、第１図において手
前側の穴あけ加工ユニツト４のパンチ２２及びダ
イ２３がワーク６の穴あけ加工部６ａの手前側ス
タート位置５５に、向う側の穴あけ加工ユニツト
４のパンチ２２及びダイ２３が向う側スタート位
置１５５に夫々位置するように割出しを行う。

この割出しが完了すると、穴あけ加工ユニツト
４は、加工ユニツト台３１がエアシリンダ３２の
作動により適宜上下して上下位置が定められ、そ
こで油圧シリンダ２１が高圧油圧ポンプ２５から
供給される圧油によつて作動し、ピストンロツド
２６が下降してパンチ２２がダイ２３と協働して
ワーク６のフランジ部６ｂに所定の直径の穴をあ
ける。加工後の穴にはバリがなく後の修正加工は
不要で一度できれいな穴あけ加工が終了する。

次にステツピングモータ３６が回転して送りね
じ３８が移動台４１を後退させると共に、ステツ
ピングモータ３４が回転して送りねじ３５が移動
台５０を左方へ移動させる。そしてこれらの移動
量の異常は回転板５１及びフオトセンサ５２によ
り検出され、異常があればステツピングモータ３
６、３４は停止する。また異常がなければ定めら
れた回転数だけ回転して第２番目位置５６，１５
６に対応する回転数に達するとステツピングモー
タ３６，３４が停止し、各穴あけ加工ユニツト４
は第２番目位置５６，１５６に割り出される。そ
して同様にして穴あけ加工が行われる。

以下手前側においては、第３番目位置５７から
第７番目位置６１まで及び向う側においては、第
３番目位置１５７までは、夫々ステツピングモー
タ３４が回転するのみで直線状の割出しが行われ
て行く。しかし手前側においては、第８番目位置
６２に移動する際にはクランプ部材８Ａが障害と
なり、向う側においては第４番目位置１５８に移
動する際にクランプ部材８Ａが障害となるので、
夫々のステツピングモータ３６が回転して送りね
じ３８が移動台４１をして穴あけ加工ユニツト４
を一旦後退させ、クランプ部材８Ａを通過後再び
前進させる。

以下同様にして、手前側においては第９番目位
置６３から第15番目位置６９まで、向う側におい
ては第５番目位置１５９から第15番目位置１６９
まで穴あけ加工ユニツト４のエアシリンダ３３は
作動しないまま、即ち加工ユニツト４は回転しな
いで同一向きのまま割出し及び穴あけ加工が進行
する。

そして手前側においては、第16番目位置７０に
移動する際、向う側においても第16番目位置１７
０に移動する際に初めてエアシリンダ３３が作動
してそのピストンロツド４３により加工ユニツト
台３１が回転中心３０まわりに第１図中時計方向
に90゜回転し、以下同様にして割出し及び穴あけ
加工が夫々最後の第18番目位置７２，１７２まで
進行し、穴あけ加工がすべて完了する。

すると穴あけ加工ユニツト４はワーク６から離
れ、ワーク６はワーク移動装置３によつてワーク
６のセツト位置に戻される。そこで作業者は未加
工のワーク６をワーク支持装置２に載置して始動
ボタンを押すと、上記と逆の順序で割出し及び穴
あけ加工が行われ、各穴あけ加工ユニツト４は第
18番目位置７２，１７２からスタート位置５５，
１５５まで順序穴あけ加工を行う。なおワーク６
の加工終了ごとに各穴あけ加工ユニツト４をスタ
ート位置５５，１５５に戻すようなプログラムと
してもようことは明らかである。

またワーク６の種類が変つた場合には、ワーク
クランプ装置２を伸縮させると共に、制御装置の
プログラムを変更するだけの作業で全く別の割出
し及び穴あけ加工を遂行することができ、多種の
ワーク６の穴あけ加工が容易に行い得るものであ
る。

効 果 本発明は、上記のように構成され、作用するも
のであるから、薄板の穴あけ加工には、パンチと
ダイによる打ち抜き加工法を採用し、このパンチ
とダイの穴あけ加工ユニツトの駆動には高圧ラム
及び高圧の油圧ポンプを用い、この穴あけ加工ユ
ニツトを上下方向、回転方向、前後方向及び左右
方向に自由に移動させかつ停止させる自由割出装
置をマイクロコンピユータを組み込んだ制御装置
で制御されるステツピングモータ及びエアシリン
ダ等で作動させるようにしたので、一種類の薄板
のワークごとに所定のプログラムを作成しておけ
ば、ワークの種類が変わつた場合には、そのプロ
グラムを交換するだけで済むことになり、プレス
型の不要化を図ることができ、この結果段取作業
の容易化と、穴あけ加工コストの低減を図ること
もでき、また遊休プレス型の置場も不要となるの
で、工場スペースの有効利用も図れる等多くの効
果が得られる。また打ち抜き加工を採用したの
で、薄板にバリのないきれいな穴を自由に打ち分
けることができる効果がある。更にはワークのク
ランプ装置を伸縮自在に構成したので、ワークの
種類が変つても、同一のクランプ装置が使用でき
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係り、第１図は薄板自
動穴あけ装置の斜視図、第２図は手前側の薄板自
動穴あけ装置の平面図、第３図はワーククランプ
装置とワークとの相互関係を示す縦断面図、第４
図はワークの穴あけ加工位置の割出しを示す平面
図、第５図は穴あけ加工ユニツトの側面図であ
る。 １は薄板自動穴あけ装置、２はワーククランプ
装置、３はワーク移動装置、４は穴あけ加工ユニ
ツト、５は自由割出装置、６はワーク、６ａは穴
あけ加工部、８，８Ａ，８Ｂはクランプ部材、２
１は油圧シリンダ、２２はパンチ、２３はダイ、
３２は上下方向移動用のエアシリンダ、３は回転
方向移動用のエアシリンダ、４１は前後方向の移
動台、３４，３６はモータの一例たるステツピン
グモータ、３５，３８は送りねじ、４６は基台、
５０は左右方向の移動台である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 薄板のワークの穴あけ加工部を支持する複数
   のクランプ部材を設けたワーククランプ装置と、
   該ワーククランプ装置を一方向に往復動させるワ
   ーク移動装置と、油圧シリンダにより駆動される
   パンチとダイを備え該パンチとダイとにより前記
   ワークに穴あけ加工を施す穴あけ加工ユニツト
   と、該穴あけ加工ユニツトを上下方向、回転方
   向、左右方向及び前後方向に移動させて任意の位
   置に停止させるように、前後方向の移動台上に固
   定された上下方向移動用のエアシリンダと該前後
   方向の移動台上に取り付けられた回転用のエアシ
   リンダと該前後方向の移動台を移動させるように
   左右方向の移動台上に取り付けられたモータ及び
   及び送りねじと該左右方向の移動台を移動させる
   ように基台上に取り付けられたモータ及び送りね
   じとからなる自由割出装置と、これらの各装置の
   作動を所定のプログラムによつて制御する制御装
   置とを備えたことを特徴とする薄板自動穴あけ装
   置。