JP3939209B2 - ウェハー用めっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる噴流型のめっき装置によるめっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から被めっき物やガラス基板、プリント配線板等の被めっき物に対し、めっき処理を行う方法として、いわゆる噴流型のめっき手法が知られている。この噴流型のめっき方法とは、めっき槽上部に被めっき物のめっき対象面を下方にして支持し、そのめっき対象面に向けてめっき槽底部に設けられた液供給口から上昇流でめっき液を供給しながらめっき処理するものである。
【0003】
この噴流型のめっき方法は、被めっき物のめっき対象面だけにめっき液を接触させることで処理が行えることから、めっき液に被めっき物を浸漬してめっきする処理、いわゆる浸漬型のめっき方法に比べ、小ロットの生産を行う場合やめっき処理工程の自動化に好適である。そのため、この噴流型のめっき方法は、ウェハーやガラス基板、プリント配線板等の被めっき物をめっき処理する際に広く利用されている。
【0004】
ところで、この噴流型のめっき方法では、めっき液の供給をめっき槽底部中央からめっき対象面に向けて上昇流で供給、即ち、めっき槽上部に載置した被めっき物のめっき対象面中央に向けてめっき液を噴流することが多い。このようにめっき対象面中央に向けてめっき液を上昇流で供給すると、めっき対象面中央に到達しためっき液はめっき対象面の周辺方向に広がる流れを形成する。この噴流型のめっき方法では、このようなめっき液流動をさせることにより、めっき対象面全面に均一なめっき処理を実現しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この噴流型のめっき方法により、微細な回路やバンプ形成のめっき処理、或いは大面積のめっき対象面にめっき処理を施すと、均一なめっき処理が施せない場合が指摘されている。噴流型のめっき方法においては、めっき対象面中央から周辺方向へ広がる流れを形成するようにしてめっき処理をするため、めっき対象面中央付近と周辺部分でめっき処理状態に若干の相違を生じる傾向がある。
【0006】
近年におけるめっき処理は、ウェハーなどのように非常に微細な回路やバンプ等を形成することが要求されており、また、製品歩留まりの向上の観点から大面積のめっき対象面をめっき処理することが多くなっている。そのため、微細な回路やバンプ等の形成のためのめっき処理、或いは大面積なめっき対象面に対するめっき処理であっても、噴流型のめっき方法によってめっき対象面全面的に均一となるめっき処理可能な技術の要求が強い。
【0007】
本発明は、以上のような事情を背景の下になされたものであり、噴流型のめっき処理において、微細な回路やバンプ等をめっき対象面全面で均一に形成することが可能で、大面積のめっき対象面であってもその中央付近と周辺部分とにおけるめっき処理状態を同じにし、全面的に均一な処理が可能となるめっき技術を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者は、噴流型のめっき方法について、その液流動状態を検討したところ、このめっき方法によるとめっき処理に不均一が生じる原因はめっき対象面中央に向けて噴流されためっき液がその中央に到達して周辺方向に広がる液流動によると推測した。
【0009】
下方から噴流されためっき液がめっき対象面の中央に到達して周辺方向に広がる流れは、めっき対象面の近傍では、中央付近は集中的に速い流動が生じており、めっき対象面に到達しためっき液はその衝突の反動で、めっき対象面から離れるようになりながら周辺へ広がるように流動する。そして、めっき対象面の下方位置に設けられた液流出路へ流れていくことになる。つまり、めっき対象面中央付近と周辺方向とにおいてめっき対象面近傍の液流動を比較すると、中央付近は速い流動で、周辺では中央付近よりも緩やかな(遅い)流動状態となるのである。即ち、噴流型のめっき方法で、めっき液を噴流供給する際の流量を固定しておくと、めっき対象面中央とその周辺部分とにおいて、その流動状態が若干相違する状態が連続的に維持されることになることから、めっき対象面中央とその周辺とのめっき処理に若干の相違を生じるのである。その結果、噴流型のめっき方法では、めっき対象面全面でより均一なめっき処理を実現することが難しく、微細な回路やバンプ形状を均一に形成することが難しくなると推測された。
【0010】
本発明者は、このような噴流型のめっき方法における液流動の特殊性を検討した結果、本発明のめっき方法を想到した。本発明は、めっき槽上部に載置した被めっき物のめっき対象面に、めっき槽底部中央に設けられた液供給口から上昇流でめっき液を供給するとともにめっき槽に設けられた液流出路からめっき液を排出することで、めっき対象面中央から周辺方向へ広がる流れを形成するようにしてめっき処理を行うものであるめっき方法において、上昇流で供給されるめっき液の流量を増減させることを特徴とする。
【0011】
めっき対象面中央に向けて、めっき液を上昇流で供給する際、そのめっき液の流量を増減させると、上述しためっき対象面中央とその周辺において生じる液流動状態が変更される。つまり、流量を固定にした場合のめっき対象面近傍の液流動は中央とその周辺とで若干相違する状態のままとなるが、本発明のめっき方法のように、めっき液の流量を増減すると、めっき対象面近傍で生じている液流動状態は固定化されずに変化し、めっき対象面全面におけるめっき処理の均一性をより向上させることが可能となる。
【0012】
本発明のめっき方法において上昇流で供給されるめっき液の流量を増減させる場合、流量の増減は周期的に連続して行うことが好ましい。流量増減を周期的に制御することで、めっき対象面近傍のめっき液流動は周期的に変更されることになり、より均一なメッキ処理をめっき対象面全面で実現することが容易となる。
【0013】
上記した本発明のめっき方法を実施するには、被めっき物のめっき対象面を下方にして被めっき物を載置する被めっき物支持部を有し、めっき液をめっき対象面中央に向けて上昇流で供給する液供給口と、載置した被めっき物のめっき対象面の下方位置からめっき液を排出する液流出路とを有するめっき槽と、液供給口からめっき液を供給するための液供給手段とを、備えるめっき装置において、液供給手段は、めっき槽内に供給するめっき液流量を制御可能な流量調整手段を備えためっき装置を用いることが好ましい。本発明のめっき装置における液供給手段は特に制限ないが、例えば、液供給口に接続される供給用ポンプ出力を制御したり、液供給口に繋がる配管に開口率制御可能な可動バルブを取り付け、バルブの開口度を制御する手法が採用できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。図1は本実施形態におけるめっき装置のめっき槽断面の概略を示したものである。図1で示す本実施形態のめっき装置1は、カップ状のめっき槽2の上部開口に沿って被めっき物3を載置するための支持部4が設けられており、被めっき物3のめっき対象面5を下方にして被めっき物の周縁がこの支持部4に載置される。この支持部4には、被めっき物3のめっき対象面5の周縁に接触する、めっき電流供給用のカソード電極(図示せず)が配置され、このカソード電極の下に、めっき液の漏洩防止用のシールパッキン6が配置されている。
【0015】
めっき槽2には底部中央に液供給口7が設けられている。そして、めっき対象面下方位置には、載置された被めっき物3のめっき対象面5中央に向けて上昇流(矢印)で供給されためっき液をめっき槽2外部に排出する液流出口8が設けられている。また、めっき槽2底部には、載置された被めっき物3のめっき対象面5と対向するようにアノード電極9が設置されている。図示していないカソード電極及びアノード電極9は、めっき電流供給用の電源(図示せぬ)に接続されている。さらに、液供給口7に繋がる配管には供給用ポンプ10が設置され、ポンプ出力制御器11によりポンプ出力が制御できるようにしてある。尚、図示は省略しているが、支持部4に載置した被めっき物は押し圧手段により、支持部4に押し圧されることでめっき槽に固定され、めっき処理が行われるものである。
【0016】
ここで、図1に示すめっき装置において、供給されるめっき液の流動状態について説明する。図2は、液供給口から上昇流で供給しためっき液の定常的な流れを太線で強調して表している。尚、この液流動状態を表す太線は、めっき対象面に影響すると思われるものを概略的に示しており、めっき槽内全ての液流動状態を示したものではない。
【0017】
一定の供給量(流量)で供給されるめっき液はめっき対象面5に到達すると周辺方向に広がるように流動する。その際、めっき対象面5に到達しためっき液は、図2に示すようにめっき対象面5に到達した際の衝突する反動で、めっき対象面5から離れながら周辺方向に広がる流動をして液流出口8へ向かうことになる。一定の流量でめっき液を供給することは、図2で示すような液流動状態が連続して維持されることになる。このとき、めっき対象面近傍では、その中央付近(被めっき物の幅方向におけるA領域)では比較的速いめっき液流動が生じており、周辺側(被めっき物の幅方向におけるB領域)では中央付近と比べて緩やかな液流動が生じている。
【0018】
そこで、図1で示すポンプ出力制御器11によりインバータ制御することで、めっき液の供給流量を増減すると、図2での流動状態がその増減に従って変化することになる。具体的には、図2でのA領域、B領域が変動することになり、A領域、B領域の中における液流動状態も若干変動することになる。
【0019】
続いて、上記した本実施形態のめっき装置によって、ウェハーの表面にバンプ形成のめっき処理を行った結果について説明する。被めっき物として、シード金属として銅が被覆されためっき対象面を有するウェハー(直径200mm)を用い、そのめっき対象面にφ50μmの円柱状バンプ(高さ30μm)を形成するめっき処理を行った。めっき液には、硫酸銅溶液を用いた。めっき装置は、めっき槽容量3L、液供給口径20mmのものを使用した。
【0020】
めっき条件は、予めレジストをめっき対象面に被覆し、上記バンプ形状のパターンをレジストに形成した後、流量20L/minの定常流の試験(比較例)と、流量20L/minの定常流で所定時間めっき処理後、10秒毎に流量25L/min及び14L/minにポンプ出力が周期的に増減するように制御を行った試験(実施例)をした。評価は、めっき処理したウェハーのめっき対象面の各領域で、形成されたバンプ高さを測定することにより行った。具体的には、図3に示すようにめっき処理したウェハー3のめっき対象面5において、中央部a、その中央部aのやや周辺部b、及び周縁部cの各領域に形成されたバンプ高さを測定した。
【0021】
その結果、定常流でバンプ形成を行った比較例の場合、中央部aにおいては、ほぼ30μm高さの円柱バンプが形成されており、周辺部bでも同様なバンプが形成されていた。そして、周縁部cでは、目標の高さ(30μm)よりも一割程度高さの低い円柱バンプが形成されていることが確認された。めっき対象面全面で見た場合、周縁から20〜30mm付近に形成されるバンプが目標高さ(30μm)より低い高さとなる傾向が判明した。この比較例のめっき条件では、中央部aと周縁部cとでめっき液流動の相違があり、その結果、めっきの不均一が生じると考えられた。一方、周期的に流量を増減した実施例では、領域a,b,cのどの場所においても、目標高さ(30μm)の円柱バンプが形成されていることが確認された。
【0022】
上述した実施例では被めっき物として円状のウェハーを例に説明しているが、図3の点線で示すような矩形状の被めっき物、例えば、プリント配線板やガラス基板などをめっき処理する場合、本発明によるめっき方法が特に有効なものである。図3のように、例えば正方形状のめっき対象面に対してめっき処理する場合、めっき対象面中央に噴流させるめっき方法では、円状のめっき対象面に比較して、四隅の角部分(X領域)は更に液流動が異なるものとなる。そこで、本発明のめっき方法により、流量を増減させてめっき処理を行うと、このX領域の部分も含めて、矩形状のめっき対象面であっても、より均一なめっき処理を全面的に施すことが可能となる。尚、この矩形状のめっき対象面を有する被めっき物を処理する場合には、めっき槽開口形状も矩形のめっき装置を採用する。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のめっき方法によれば、微細な回路やバンプ等をめっき対象面全面において均一に形成することが可能となり、大面積のめっき対象面であってもその中央付近と周辺部分とにおけるめっき処理状態を同一にすることができ、全面において均一なめっき処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるめっき装置の断面概略図。
【図2】めっき槽内の液流動状態を示した断面概念図。
【図3】めっき処理したウェハーのめっき対象面を示す概略図。
【符号の説明】
1 めっき装置
2 めっき槽
3 被めっき物
4 支持部
5 めっき対象面
6 シールパッキン
7 液供給口
8 液流出口
9 アノード電極
10 供給用ポンプ
11 ポンプ出力制御器
Claims (2)
- めっき槽上部に載置した、ウェハーのめっき対象面に、めっき槽底部中央に設けられた液供給口から上昇流でめっき液を供給するとともにめっき槽に設けられた液流出路からめっき液を排出することで、めっき対象面中央から周辺方向へ広がる流れを形成するようにしてめっき処理を行うものであるめっき方法において、
上昇流で供給されるめっき液の流量を増減することにより、めっき対象面中央とその周辺において生じる液流動状態を変更させ、めっき対象面全面におけるめっき処理の均一性をより向上させることを特徴とするウェハー用めっき方法。 - 流量の増減を周期的に連続して行うことを特徴とする請求項1に記載のめっきウェハー用めっき方法。
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