JP3936817B2 - 鉄蓋の連結装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マンホール,点検口等の開口部を遮蔽する鉄蓋の連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マンホール,点検口等の開口部を遮蔽する鉄蓋は、開口部内周に配設された蓋受枠に被着されるが、いたずらや盗難等による鉄蓋の紛失を防止するために、該鉄蓋を蓋受枠に連結する連結装置を備えたものがある。従来の連結装置は、図11イに示すように、鉄蓋aの周縁下面に支軸bを介して略S字形のロックレバーcを垂持する一方、蓋受枠dの内周縁に係止部eを突成し、該係止部eに形成された径方向の長孔fに前記ロックレバーcを挿通させるとともに、その下端に固着した両側方に突出する抜け止め杆gによって長孔fからの抜け出しを不能とし、これによって鉄蓋aを蓋受枠dに連結するようにしている。
【0003】
また、該ロックレバーcには、その自重による垂下状態で、係止部eの係止面hに下方から対向する突起kが突成されており、鉄蓋aのロックレバーcの直上位置周辺を持ち上げても、突起kが係止面hに当接して、正規の開放操作以外の操作による開放を防止するようにしている。
【0004】
そして、鉄蓋aの正規の開放手順により、図11ロに示すように、鉄蓋aが蓋受枠dから外された場合には、ロックレバーcの抜け止め杆gが係止部eの下面に当接して蓋受枠dとの連結状態を維持するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような、従来の連結装置にあって、鉄蓋aを開放するには、まず、鉄蓋aの周縁で連結装置の反対側に形成されている操作口に専用バールを差込み、その先端を操作口の口縁下面に形成された凹部に係合して、鉄蓋aの一端を持ち上げ、次にそのまま鉄蓋aを外方に引っ張って、図11ロに示すように、抜け止め杆gが係止部eの下面に当接するまでロックレバーcを上方に引出す。これにより、鉄蓋aが旋回可能な状態となる。そして、鉄蓋aの一端を持ち上げた状態で、ロックレバーcが戻らないように、鉄蓋aを外方に引っ張りながら略180°旋回させることにより、鉄蓋aの開放を行う。また、鉄蓋aを閉じる場合にも、ロックレバーcが戻らないように、鉄蓋aを外方に引っ張りながら旋回させるのであるが、このように、従来の連結装置にあっては、鉄蓋aの旋回操作時に、鉄蓋aを外方に引っ張ってロックレバーcを常に上方に引出した状態に維持しなければならず、さらに、鉄蓋aの連結装置側の端部は、周囲の地面上を引き摺られることにより摺動抵抗を受けるため、特に長方形や大口径の鉄蓋aの場合には、その開閉に多大の労力を要するという問題点がある。
【0006】
また、従来の連結装置にあっては、図11イに示すように、ロックレバーcの下部が蓋受枠dの下方から突出しているため、施工前における製品の運搬や保管時に、床に置くとロックレバーcによって鉄蓋aが押し上げられて、蓋受枠dから外れた状態で傾斜してしまう。このため、製品の積み重ねが困難で取扱い性が悪いという問題点がある。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点を解消し得る鉄蓋の連結装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、蓋受枠に被着される鉄蓋の周縁下面に球面受溝を形成する一方、上端に球状頭部を備え、該球状頭部を前記球面受溝に回動可能に嵌合してなるレバー杆を、蓋受枠の内周縁に突成された支承部に起倒可能に枢結し、その起立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持することを特徴とする鉄蓋の連結装置である。
【0009】
かかる構成にあって、鉄蓋をレバー杆の起立回動方向に引っ張って、レバー杆を起立させることにより、鉄蓋が蓋受枠より浮揚した状態で支持される。これにより、鉄蓋の連結装置側の重量がレバー杆の球状頭部によって支えられることとなり、該球状頭部を中心にして鉄蓋を簡単に旋回させることができる。
【0010】
また、レバー杆が起倒可能であり、横倒状態で蓋受枠内に収まるため、製品の積み重ねが可能となり、取扱い性に優れたものとなる。
【0011】
また、前記構成にあって、レバー杆を、回動死点を越えた自立位置に位置決めする回動規定手段を設け、該自立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持するようにしてもよい。このように、回動規定手段によってレバー杆を自立可能とすることにより、レバー杆を起立状態に保持する力が不要となり、鉄蓋を、球状頭部を中心として旋回させるだけでよいため、開閉作業時の労力を大幅に軽減し得るものとなる。この回動規定手段として、レバー杆の回動死点を越えた上方回動位置で該レバー杆に当接して回動規定する回動規定縁を支承部に形成して、該回動規定縁によるレバー杆の回動規定によってレバー杆を自立させる構成が好適な実施態様として提案され得る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を、図1〜図9について説明する。
図面において、1はマンホール,点検口等の開口部の内周に配設される蓋受枠であって、該蓋受枠1には鉄蓋2が被着される。鉄蓋2は平面視において長方形を呈する矩形状に形成されており、蓋受枠1も鉄蓋2の外周形状と略等しい矩形枠状となっている。この蓋受枠1の一辺を成す内周縁の略中間位置には、本発明に係る連結装置Aを構成する支承部3が内方に向けて突成されている。該支承部3は、図3,図4に示すように、先端に軸受孔4を夫々備えた左右一対の軸受壁5,5と、該軸受壁5,5間に差し渡された水平状の連繋壁6とからなり、該連繋壁6の内方前端に後述のレバー杆7を回動規定する回動規定縁8が形成されている。
【0013】
前記レバー杆7は、図5,図6に示すように、所定長さの主杆部7aと、該主杆部7aの上端に小径の頚部7bを介して連成された球状頭部7cとからなり、主杆部7aの下部に挿通孔9が形成されている。そして、該挿通孔9に遊嵌した支軸10の両端部を、前記軸受壁5,5の軸受孔4,4に嵌着することにより、レバー杆7を支承部3に対して起倒可能に枢結するようにしている。また、主杆部7aの下端には係止突起11が突成されており、該係止突起11がレバー杆7の起立位置で前記支承部3の回動規定縁8に当接するようにしている。そして、この係止突起11と回動規定縁8とによってレバー杆7の回動量を規定する回動規定手段が構成されている。また、レバー杆7は、図2に示すように、球状頭部7cが支軸10の垂直延長線上にある回動死点を越える位置まで上方回動するように前記回動規定手段によって起立位置が設定されており、これによってレバー杆7の重心を内方に偏位させて、レバー杆7を自立させるようにしている。
【0014】
一方、蓋受枠1に被着される鉄蓋2の周縁下面には、前記レバー杆7に対応する位置に球面受溝12が形成されている。該球面受溝12は、図7,図8に示すように、鉄蓋2を構成する天壁2aと外周壁2bとのコーナー部分に、左右側壁2c,2cと底壁2dを連成してなる袋状筺体部13の内部に設けられており、さらに該袋状筺体部13の内端側には嵌装口14が開口され、かつ底壁2dにはレバー杆7の頚部7bが挿通する挿通路15が前記嵌装口14に連通させて開口されている。また、球面受溝12の嵌装口14寄り位置には、その上下位置に抜止め段縁16a,16bが夫々突成されている。
【0015】
そして、嵌装口14からレバー杆7の球状頭部7cを嵌入することにより、該球状頭部7cを球面受溝12に回動可能に嵌合するようにしている。この嵌合状態にあって、球状頭部7cは、抜止め段縁16a,16bによって球面受溝12からの離脱が規制され、該球面受溝12内に保持される。また、このように球面受溝12に球状頭部7cが嵌合されたレバー杆7は、その起立状態で鉄蓋2を蓋受枠1より浮揚させて支持することができ、かつ、鉄蓋2を蓋受枠1に被着したとき、球状頭部7cが球面受溝12との嵌合状態を維持したまま横倒し得る長さに設定されている。これにより、鉄蓋2を蓋受枠1に連結する連結装置Aが構成されている。また、図9に示すように、鉄蓋2の周縁で、連結装置Aの反対側には操作口17が開口されており、該操作口17の口縁下面には専用バールxの先端を係合し得る凹部18が形成されている。
【0016】
かかる構成にあって、蓋受枠1に被着されている鉄蓋2を開放する場合には、図9に示すように、先端にL形の鉤部を備えた専用バールxを鉄蓋2の操作口17に差込み、その先端の鉤部を操作口17の凹部18に係合して、鉄蓋2の一端を持ち上げ、そのまま連結装置Aと反対側の外方に引っ張って鉄蓋2を蓋受枠1から離脱させる。ここで、このように鉄蓋2を外方に引っ張っると、該鉄蓋2の球面受溝12に球状頭部7cが嵌合されているレバー杆7が、図1に示す横倒状態から次第に引き起されて上方に回動する。そして、該レバー杆7が回動死点を越える起立位置まで上方回動すると、図2に示すように、レバー杆7の係止突起11が支承部3の回動規定縁8に当接し、この状態でレバー杆7の重心が内方に偏位することにより、該レバー杆7が自立する。そして、このように自立したレバー杆7により、鉄蓋2が蓋受枠1より浮揚する状態で支持されることとなり、鉄蓋2が旋回可能な状態となる。
【0017】
そして、操作口17の凹部18に係合した専用バールxにより、鉄蓋2の一端を持ち上げて、球状頭部7cを中心として鉄蓋2を略180°旋回させることにより、該鉄蓋2を開放することができる。しかしてこの時、鉄蓋2の他端側の重量がレバー杆7により支えられているため、鉄蓋2の旋回操作を簡単に行うことができる。さらに、レバー杆7が自立していることにより、該レバー杆7を起立状態に保持する力が不要であるため、その労力が大幅に軽減され得る。
【0018】
また、開放した鉄蓋2を再び閉じる場合には、球状頭部7cを中心として鉄蓋2を逆方向に略180°旋回させた後、鉄蓋2を連結装置A側に押圧することにより、その押圧操作に伴なってレバー杆7が横倒方向に回動して、蓋受枠1に鉄蓋2を被着することができる。この場合にあっても、開放時と同様に、鉄蓋2の他端側の重量がレバー杆7により支えられていることにより、鉄蓋2の旋回操作を簡単に行うことができ、レバー杆7が自立していることにより、該レバー杆7を起立状態に保持する力が不要である。
【0019】
尚、上記実施例にあっては、レバー杆7の主杆部7aの下端に突成した係止突起11と、支承部3の連繋壁6の内方前端に形成した回動規定縁8とによって、レバー杆7の回動規定手段を構成するようにしているが、該回動規定手段は、レバー杆7の回動量を規定して、回動死点を越えた自立位置にレバー杆7を位置決めし得るものであればよい。図10は、その一例を示し、これは支承部3の軸受壁5,5の内方前端に回動規定縁8’を差し渡して設け、該回動規定縁8’にレバー杆7の主杆部7aを当接させるようにしたものである。このような構成によっても、レバー杆7を、回動死点を越えた自立位置に位置決めすることが可能である。
【0020】
また、上記実施例では、矩形状に形成された鉄蓋について説明したが、円形の鉄蓋に対しても本発明に係る連結装置Aを適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、蓋受枠に被着される鉄蓋の周縁下面に球面受溝を形成する一方、上端に球状頭部を備え、該球状頭部を前記球面受溝に回動可能に嵌合してなるレバー杆を、蓋受枠の内周縁に突成された支承部に起倒可能に枢結し、その起立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持するようにしたから、鉄蓋をレバー杆の起立回動方向に引っ張って、レバー杆を起立させることにより、鉄蓋を蓋受枠より浮揚させた状態で支持することができる。これにより、鉄蓋の連結装置側の重量がレバー杆の球状頭部によって支えられることとなり、該球状頭部を中心にして鉄蓋を簡単に旋回させることができる。
【0022】
また、レバー杆が起倒可能であり、横倒状態で蓋受枠内に収まるため、製品の保管時や運搬時における積み重ねが可能となり、取扱い性に優れたものとなる。
【0023】
また、前記構成にあって、レバー杆を、回動死点を越えた自立位置に位置決めする回動規定手段を設け、該自立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持するようにすれば、レバー杆を起立状態に保持する力が不要となり、鉄蓋を、球状頭部を中心として旋回させるだけでよいため、従来構成のものと比較して開閉作業時の労力を大幅に軽減し得る等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる鉄蓋の連結装置を示し、鉄蓋が蓋受枠に被着された施工状態の側断面図である。
【図2】同上の連結装置の作用状態を示す側断面図である。
【図3】蓋受枠に形成された支承部の構成を示す側断面図である。
【図4】同上の支承部の構成を示す平面図である。
【図5】レバー杆の側面図である。
【図6】レバー杆の正面図である。
【図7】鉄蓋に形成された球面受溝の構成を示す側断面図である。
【図8】同上の球面受溝の構成を示す底面図である。
【図9】鉄蓋に形成された操作口部分の構成を示す側断面図である。
【図10】レバー杆の回動規定手段の他の構成を示す側断面図である。
【図11】イは従来構成の側断面図、ロはその作用状態の側断面図である。
【符号の説明】
A 連結装置
1 蓋受枠
2 鉄蓋
3 支承部
7 レバー杆
7c 球状頭部
8 回動規定縁(回動規定手段)
11 係止突起(回動規定手段)
12 球面受溝
Claims (2)
- 蓋受枠に被着される鉄蓋の周縁下面に球面受溝を形成する一方、上端に球状頭部を備え、該球状頭部を前記球面受溝に回動可能に嵌合してなるレバー杆を、蓋受枠の内周縁に突成された支承部に起倒可能に枢結し、かつ、レバー杆に、回動死点を越えた自立位置に位置決めする回動規定手段を設け、該自立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持することを特徴とする鉄蓋の連結装置。
- 蓋受枠に被着される鉄蓋の周縁下面に球面受溝を形成する一方、上端に球状頭部を備え、該球状頭部を前記球面受溝に回動可能に嵌合してなるレバー杆を、蓋受枠の内周縁に突成された支承部に起倒可能に枢結し、かつ、レバー杆の回動死点を越えた上方回動位置で該レバー杆に当接して回動規定する回動規定縁を支承部に形成して、該回動規定縁によるレバー杆の回動規定によってレバー杆を自立させ、その自立位置で鉄蓋を蓋受枠より浮揚させて支持することを特徴とする鉄蓋の連結装置。
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