JP3936763B2 - 印刷機における枚葉紙搬送システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は前置された枚葉紙搬送胴と後置された枚葉紙搬送胴との間に位置する空気吹き付け装置と渡し胴を有し、渡し胴がそのくわえ爪列の間に閉じたもしくは基本的に閉じた面を備えており、枚葉紙案内装置渡し胴の下部領域で、くわえ爪列の運動路に沿って、前置された枚葉紙搬送胴から後置された枚葉紙搬送胴まで延びている枚葉紙搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
枚葉紙印刷機の場合、枚葉紙は胴によって印刷機内を搬送される。その際、枚葉紙の前端は一つのくわえ爪列から次のくわえ爪列へと引き渡される。すぐれた印刷品質を確保するためには、印刷された面が汚されることのない、正確にして、枚葉紙のばたつきを生じない枚葉紙の搬送が重要てある。
【0003】
ドイツ出願公開明細書第43 42 203号により、冒頭に述べたたぐいの枚葉紙搬送システムを、前置された胴から渡し胴に引き渡される枚葉紙に空気吹き付け装置によって上方から、つまり枚葉紙引渡し方向に向かって空気が吹き付けられるように構成することが提案されている。さらに枚葉紙を乾燥させるための熱風ドクターが前置された胴に配置される。後置された胴に枚葉紙を引き渡した後、枚葉紙搬送のためさらに別の空気ドクターを配置することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上方から下方に向かって搬送される枚葉紙に作用する空気吹き付け装置にあっては、空気の吹き付けが重力と一体となって枚葉紙を折り畳んでしまう危険が存在している。こうした現象は、特に、やわらかくて折り曲がりやすい印刷物の場合に発生し、枚葉紙が折り曲げられ畳まれてしまうこととなる。この空気吹き付け装置の乾燥効果はわずかでしかないことから、乾燥用の補助的な熱風ドクターが設けられる。またさらに、後置された胴領域においてもすぐれた枚葉紙搬送を保証するために、後置された胴に対応した空気ドクターが必要とされる。この枚葉紙搬送システムの場合、空気の吸い込みは枚葉紙搬送胴の下方に配置された吸引ボックスによって行なわれる。だがこれによって枚葉紙と吸引ボックス案内面との間にすべり摩擦が生じ得ることとなり、枚葉紙裏側に掻き傷が発生する。これは、特に、枚葉紙の表裏両側に印刷が行なわれる場合に短所となる。空気吸引口は、渡し胴が回転する際に二つのくわえ爪列が互いに水平に向かいあう毎に、いつも渡し胴によって閉じられることとなる。これに加えて、枚葉紙は常に吸引口の大部分を覆っており、こうしたことから連続的な空気流が発生することは不可能である。枚葉紙から奪われた水分は空気中に蓄積され、印刷機内部に滞留する。吹き込まれた空気は渦流化され、水分で過飽和し、むしろ偶然によって印刷機外に排出されるにすぎない。したがって、所期の物質流(空気、水分、溶剤等)が発生し得ないことから、乾燥結果と枚葉紙搬送とは偶然的な要因に左右され続けることとなる。
【0005】
上述した枚葉紙搬送システムはその他にも非常にコストが高くつくと共に高いエネルギー消費を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、所期の物質流により枚葉紙搬送と、印刷ユニットの間で乾燥が行なわれる場合には枚葉紙乾燥とが、わずかなエネルギー消費で改善される、簡潔な構成を有する冒頭に述べたたぐいの枚葉紙搬送システムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的は本発明によれば、渡し胴の上方にくわえ爪列の運動路からわずかな間隔を保って導風部材が配置され、導風部材が、導風部材と前置された枚葉紙搬送胴の間の空気流出口を除いて、前置された枚葉紙搬送胴から後置された枚葉紙搬送胴まで延びる、実質的に密閉された空気空間の上方限界をなし、
空気吹き付け装置は前記空気空間に後置された枚葉紙搬送胴の方向に空気を吹き込み、枚葉紙案内装置は枚葉紙を空気クッション上で案内する浮揚案内装置として構成されていることによって達成される。
【0008】
本発明はわずかな機械技術的コストで冒頭に挙げた空気吹き付け装置の空気が多重利用されるとの利点を有する。同空気は、先ず、後置された枚葉紙搬送胴に引き渡された枚葉紙への吹き付けに利用され、次いでこの吹き付け空気は前置された枚葉紙搬送胴の方向に誘導され、同所においても確実な枚葉紙搬送が達成される。これに加えてさらに前置された枚葉紙搬送胴の牽引流の作用が利用される。その後なお一部の吹き付け空気は渡し胴によって運搬される枚葉紙を搬送するための支持空気として利用される。
【0009】
導風部材の配置により、渡し胴がその面によってロータリーピストンに類似した作用を実現し、これにより前記の空気吹き付けが強化されることとなる。この場合、渡しプロセスは以下の空気援用枚葉紙搬送の4行程に細分することができる。
I. 空気の吹き込みと枚葉紙上方の空気の圧縮。
II.空気吹き込み室の開放および吹き込まれた空気と溢流する空気との間の平衡状態形成による圧力レベルの保持。
III.排気口に向かって逃げ去る排気流と胴空間内を循環する支持空気流とへの空気の分配。
IV.胴内における支持空気流による支えを利用した枚葉紙の運搬と胴の回転による排気流の同時排出。
【0010】
これにより単一の空気吹き付け装置により、前置された枚葉紙搬送胴、渡し胴および後置された枚葉紙搬送胴の各領域における確実で良好な枚葉紙搬送を実現することができる。さらにその他に、枚葉紙搬送のために吹き込まれる空気が加熱され、前記の各行程から空気、水分および溶解成分から成る物質流が発生し、同物質流が枚葉紙との間に常に湿度勾配を保持し、枚葉紙から水分を奪い取って同水分を搬送空気を介して印刷機外に排出し、こうして枚葉紙が乾燥した状態で渡し胴を離れるように構成することにより二つの印刷ユニットの間における枚葉紙の乾燥を実現することが可能である。
【0011】
渡し胴部において枚葉紙はばたつき運動が阻止されるかもしくは少なくとも振動が強く抑止されるようにして支持空気によって下支えされる。これは渡し胴の面と枚葉紙とが閉じた室を形成し、同室内で空気が圧縮されることによって実現される。したがって、枚葉紙搬送システム領域では常に一定の力が枚葉紙の印刷面に作用し、これにより確実な枚葉紙搬送が達成される。
【0012】
これらの利点に加えてさらに、前置された枚葉紙搬送胴部に必要に応じて高い乾燥効果を有する逆流領域が発生させられる。湿潤空気は流出させられ、より乾燥した空気が枚葉紙支持空気として利用され、同空気は渡し胴領域における確実な枚葉紙搬送を行なうと同時に枚葉紙のさらなる乾燥を行なう。後置された枚葉紙搬送胴に枚葉紙が引き渡されると共に新鮮空気の吹き込みが行なわれ、支持空気と新鮮空気との渦が形成され、これによって再び高い乾燥効果が達成される。空気吹き付け装置の配置によりもっぱら乾燥した空気を印刷機外から吸い込むことができる。これらの有利な作用は図に基づいて詳細に説明される。
【0013】
空気吹き付け装置は、それが枚葉紙搬送方向とは逆向きに、後置された枚葉紙搬送胴の方向に吹き込みを行なうように配置されるのが合理的てある。このため空気吹き付け装置を導風部材に配置することができるが、その際、空気吹き付け装置を後置された枚葉紙搬送胴に整合させることができるよう同装置を調節可能とすればいっそう有利である。こうした方法で空気吹き付け方向を被印刷物に合わせて最適化することが可能である。ただし空気吹き付け装置を別様に配置することも考えられることは言うまでもない。たとえば、渡し胴に空気吹き付け装置を配置することも可能てある。この場合には、空気の吹き付けは渡し胴の姿勢位置と相関した機械サイクルで行なわれることとなる。
【0014】
渡し胴の下側領域に、前置された枚葉紙搬送胴から後置された枚葉紙搬送胴まで延びる枚葉紙案内装置をくわえ爪列の運動路に沿って設けることにより、渡し胴領域における枚葉紙搬送のいっそうの向上を実現することができる。この枚葉紙案内装置は閉じたもしくはほぼ閉じた案内板として形成することができる。ただし、枚葉紙案内装置に空気流入口を設け、こうした方法で枚葉紙の浮上搬送を実現することも可能である。これにより、枚葉紙が枚葉紙案内装置の案内面に接触することを、扱いにくい被印刷物の場合にあっても確実に防止することができる。
【0015】
前置された枚葉紙搬送胴における枚葉紙搬送の改良は、導風部材下方のくわえ爪列の運動路と前置された枚葉紙搬送胴との間に同搬送胴の方向に整列された導風装置を配置することによって実現される。これは導風部材に平行に並ぶ板で構成され、薄板格子または案内格子ないし案内路として形成することができる。これにより乱れのない層状の空気流が作り出され、同空気流により前置された枚葉紙搬送胴に枚葉紙が確実に載せられて搬送されることとなる。導風装置の水平に延びた板の端部に前置された枚葉紙搬送胴側に向いた屈曲部が設けられる場合には、枚葉紙への空気吹き付けはさらに強化される。この種の屈曲部は導風部材の端部にも設けることができ、そうした場合にも同一の効果がもたらされる。
【0016】
前置された枚葉紙搬送胴上にある枚葉紙への特に集中的な空気吹き付けと集中的な乾燥用空気供給のため、導風部材下方のくわえ爪列の運動路と前置された枚葉紙搬送胴との間に同搬送胴の方向に向けられた補助的な空気吹き付け装置を配置することができる。
【0017】
前置された枚葉紙搬送胴部における空気吹き付けの別途強化は空気流出口を空気流出路として形成することによって達成することができる。これにより吹き付け用の空気はさらに圧縮され、前置された枚葉紙搬送胴への空気吹き付け領域がさらに拡大されることとなる。
【0018】
この空気流出路内に集中的乾燥を行なう乾燥機を配置することができる。この乾燥機は紫外線もしくは赤外線を放射する放射線乾燥機または枚葉紙に補助的な乾燥空気、場合によっては温風も吹き付ける乾燥機として構成することができる。また、双方の方式を相互に組み合わせることも可能であることは言うまでもない。
【0019】
導風部材が上方限界を成す空間はできるかぎり閉じられていることが重要である。このため、渡し胴ならびに前後配置された搬送胴と印刷機側壁との間隔をできるかぎりわずかなものとし、あるいはまた、渡し胴に側方密閉板を装備して前記空間の密閉性を向上させることができる。場合により、補助的な壁面部材を設けるかまたは印刷機側壁を高くし、これらが側方密閉板と連携して部品の回転に要されるわずかな隙間のみを備えた相対的に密な空間を形成するようにすることもできる。
【0020】
空気を循環させるため空気出口と空気取り入れ口とを互いに連結するという別途の実施可能性も有する。ただし、枚葉紙の乾燥を行なう必要がある場合には、空気出口と空気取り入れ口との間に空気湿分を奪い取る手段を配置するのが合理的である。この種の構成は、水分の他になお、作業室空間内に排出されることが好ましくない溶剤をも含んだインキが使用される場合に特に必要となろう。
【0021】
湿潤空気の除去とできるだけ乾燥した空気の供給とをさらに向上させるため、空気吹き付け装置に至る空気取り入れ口が印刷機内に通じ、空気流出口に後置された空気出口が印刷機外に通じる他の構成が利用される。この場合、空気取り入れ口と空気出口とは、たとえば踏み板に設けられた開口、好ましくは格子の形の開口によって形成することができる。多色印刷機の印刷ユニットの間に配置されているようなこの種の踏み板は、同時に導風部材としても利用することができる。
【0022】
ただし、空気出口から排出される流れが作業室空間内に排出されるのではなく、作業室空間外に排出されるようにすることも可能である。こうした方法で排気の除去を管理することは装置によって形成される空間が密閉性を有していることによって可能である。こうした方法で作業室空間の衛生条件を向上させ、排気を排気浄化装置に供給することができることからして、これは本発明のさらなる大きな利点である。
【0023】
枚葉紙乾燥を行なう場合には、枚葉紙搬送のために吹き込まれる空気が加熱されもしくは枚葉紙搬送が熱風によって行なわれるのが特に有利であることが判明している。このために熱風を供給することも印刷機内での枚葉紙搬送空気の加熱と同様に可能てある。
【0024】
枚葉紙搬送に熱風を使用することにより枚葉紙渡し胴領域は乾燥区間の役割を引き受けることができ、これによりたとえば2基のニス引きユニットの間の補助的な乾燥ユニットを不要とし、よりコンパクトな構造とそれと結びついたコスト削減を実現することができる。
【0025】
導風部材はヒンジによって印刷機に取り付け、しかも上方に向かって開けて取り外すことができるようにすることができる。これにより渡し胴へのアクセスが容易となる。このことは印刷機の保守と清掃との向上をもたらすこととなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
複数の実施例と具体的な機能とを明らかにする図面に基づいて、以下に本発明を詳細に説明する。また、その他の長所、別途構成ならびにその他の実施可能性も明らかにする。
【0027】
図1は印刷機用の枚葉紙搬送システムの第一の実施例を示している。同システムは前置された枚葉紙搬送胴2と後置された枚葉紙搬送胴3との間に位置する渡し胴1に配置されている。本例においては枚葉紙搬送胴2と3は圧胴の場合である。ただし、渡し胴1はその他の胴の間、たとえば、ニス引き胴または枚葉紙の転送に用いられる胴の間に位置していてもよい。また、ターニング装置に同システムを配置することも考えることができる。本実施例において枚葉紙搬送胴2と3は圧胴としてゴム胴24と協働し、双方の胴の間の隙間で枚葉紙12、12’、12”の印刷が行なわれる。
【0028】
渡し胴1は二列のくわえ爪列4を備えている。ただし、枚葉紙搬送システムはこの種の渡し胴1にのみ限定されるわけではなく、三列、四列もしくはそれ以上の列のくわえ爪列4が備わっていてもよい。重要な点はくわえ爪列4の間に閉じたもしくはほぼ閉じた面5が存在していることである。これらの面はロータリーピストンの作用に類似した作用を実現するために必要である。胴2、3および24ならびに渡し胴1のそれぞれの回転方向は矢印47によって示されている。渡し胴1の上方には導風部材8が位置しており、同部材はくわえ爪列4の運動路7からわずかな間隔を保って配置されている。この間隔はいかなる場合にも渡し胴1が導風部材と衝突することなく運動することができる寸法となされていなければならない。導風部材8は前置された枚葉紙搬送胴2から後置された枚葉紙搬送胴3にまで延びている。ただし同部材は必ずしも前記の胴2または3のいずれかまでで終る必要はなく、たとえば二つのゴム胴24のいずれかにまで達していてもよい。重要な点は、その際、胴2、3、胴1、導風部材8および図示されていないその他の側壁によってほぼ囲まれている、前置された枚葉紙搬送胴2から後置された枚葉紙搬送胴3にまで及ぶ空間9が形成されることである。この空間9は、前置された枚葉紙搬送胴2の側の導風部材8の端部に位置する空気流出口10を除いて、ほぼ密閉されていることが必要てある。導風部材8の他方の端部は本実施例にあっては空気吹き付け装置6によって形成されており、同吹き付け装置は可動式の密封継手25によって旋回可能に導風部材8に配置されている。空気吹き付け装置6のこうした旋回可能配置により、吹き込まれた空気34の吹き付け方向を調節することができる。こうして吹き込まれた空気34は後置された枚葉紙搬送胴3の作用領域27に向けられる。この空気はこの搬送胴3における安定したばたつきのない枚葉紙搬送を実現するのに役立つ。導風部材8にとって重要な点は、それが空気流出口10を除いて空間9を上方に対してできるかぎり十分に密閉することである。ただしその際、衝突のない運動のために必要な可動部材との間の間隔が遵守されなければならない。側方に対する密閉は導風部材8を側壁にできるかぎり密に寄せることによって行なうことができる。胴2、3および24についてもそれらをできるかぎり側壁に寄せることにより密閉性を確保することができる。これは渡し胴1についても、それに側方密閉板が配置されている場合を別として、同様である。側方密閉板はくわえ爪列4の運動路7に対応させるかもしくはそれよりもわずかに大きなサイズで構成することができる。また、側壁の一部、たとえば回転部材の間にある側壁部分を高く伸ばし、こうした方法でさらにすぐれた密閉性を確保することも可能である。
【0029】
その他に、側壁に固定される、厚板、薄板等の補助的な側面構造部材によっても密閉性を確保することが可能である。
【0030】
図1に示した実施例において、渡し胴1の下方には枚葉紙案内装置11が配置されており、同案内装置は、枚葉紙12、12’、12”ができるかぎり同装置と接触することなく同装置に沿って案内されるように、くわえ爪列4の運動路7の外側に位置している。枚葉紙案内装置11は閉じた案内板もしくは浮上案内装置として形成することができる。これを浮上案内装置として形成する場合には、枚葉紙12、12’、12”を空気クッションで支えて搬送するノズル板とすることができる。こうした実施形態は、特に、枚葉紙の表裏両面に印刷が行なわれ、したがっていかなる場合にも枚葉紙の外面の接触が回避される必要がある場合に合理的である。
【0031】
図示した実施例にあっては、導風部材8の下方においてくわえ爪列4の運動路7と前置された枚葉紙搬送胴2との間の領域に、導風装置13が配置されている。導風装置13は、たとえば、導風部材8に平行に並ぶ薄板14で構成することができ、同薄板は前置された枚葉紙搬送胴2の方向に層状の空気流を作り出すように、同方向に向いている。この装置につき、たとえば案内路、格子薄板もしくは固定案内羽根等の別途構成を考えることができることは言うまでもない。
【0032】
空気流出口10は図1に示した空気流出路18として形成されているのが好ましく、同流出路は前置された枚葉紙搬送胴2の表面とほぼ平行に搬送胴2の回転方向47とは反対向きに延びている。この空気流出路18はよどみ作用を作り出すのに利用され、同よどみ作用の圧力が前置された枚葉紙搬送胴2における良好な枚葉紙搬送を結果することとなる。よどみ作用は空気流出路18から流出する排気33が前置された枚葉紙搬送胴2の牽引流37とぶつかり合うことによって発生する。空気流出路18にはさらに乾燥機19を配置しておくことができる。同乾燥機は枚葉紙12、12’、12”の方向に紫外線または赤外線を放射する放射線乾燥機とすることができ、あるいは乾燥機19を吹き付け空気、予熱された吹き付け空気または放射線と吹き付け空気とともに運転する装置とすることもできる。
【0033】
枚葉紙搬送システムの全領域において、枚葉紙12、12’、12”の印刷されたての面51は吹き付け空気領域内もしくは支持空気領域内にあり、これにより印刷隙間50と50′との中間における枚葉紙12、12’、12”の良好な搬送と乾燥が実現される。
【0034】
図2〜5は枚葉紙搬送システムの機能を説明するものであり、これらの図中に第二の実施例が示されている。同実施例は、導風部材8が屈曲部16を備え、導風部材8に平行に位置している薄板14が屈曲部15を備えている点で第一の実施例と相違している。これらの屈曲部15と16は前置された枚葉紙搬送胴2の表面に対してほぼ垂直に向く角度αをなしている。これらの屈曲部は案内羽根もしくは増圧羽根の機能を果たし、枚葉紙12、12’、12”が前置された枚葉紙搬送胴2上にある際の枚葉紙への空気吹き付けに利用される。
【0035】
図2は渡し胴1の左側部分で既述の行程Iを示しており、同行程において渡し胴1は図示した位置で空気吹き付け装置6、ゴム胴24および後置された枚葉紙搬送胴3と共に空気吹き込み室28を形成している。下方向の閉鎖は枚葉紙12によって行なわれるかもしくは、枚葉紙案内装置11が設けられている場合には、同案内装置によっても行なわれる。空気吹き付け装置6はこの空気吹き込み室28に新しく補給された、好ましくは乾燥した、場合により加熱された空気34を吹き込むが、その際、空気流は枚葉紙12が位置している後置された枚葉紙搬送胴3の作用領域27に向けられている。この空気流は枚葉紙12の搬送方向とは逆に向けられているのが好ましい。この空気吹き込み室28において、吹き込まれた空気34と、枚葉紙12と面5との間に閉じこめられた枚葉紙支持空気35とが互いにぶつかり合い、渦流36が発生する。空気はこれによって室内で圧縮され、その結果、枚葉紙に作用する高い圧力が渡し胴1と後置された枚葉紙搬送胴3との間の枚葉紙引渡し領域ならびに印刷隙間50までにおよぶ領域において発生する。これにより搬送胴3上での良好な枚葉紙の載置が実現される。さらにその他に、吹き込まれた空気34が乾燥した空気または加熱された空気もしくはそれら双方の性質を備えた空気であれば、混合された空気によって枚葉紙12のさらなる乾燥を行なうことができる。
【0036】
図3は工程Iよりさらに回転した位置における渡し胴1を示しており、上方部分が先に述べた工程IIに対応する。この位置において空気吹き込み室28は空気排出室29に向かって開放され、これにより空気吹き込み室28の空気の一部は空気排出室29の方向に向かって流出する。この流出する空気49は導風装置13により前置された枚葉紙搬送胴2の作用領域26に誘導され、同所において枚葉紙12”の良好な搬送を実現する。この枚葉紙12”は同じくその前端が図3には図示されていないくわえ爪列によってくわえられており、空気流出路18を通って流出する排気33により後方に向かって伸ばされると同時に搬送胴に押し当てられることとなる。
【0037】
図4において渡し胴1はさらに回転を続行し、上方では先に述べた行程IIIを示し、下方ではさらに180°回転した後に達成される行程IVを示している。枚葉紙12は印刷隙間50の方向に向かって空気吹き込み室28を離れ、空気吹き込み装置6によって吹き込まれた空気34ならびに同空気と混じり合った枚葉紙支持空気35は流出空気49として空気排出室29の方向に向かって空気吹き込み室28を離れる。空気排出室29において第一の部分流31が形成され、同部分流は枚葉紙支持空気35として枚葉紙12”と渡し胴1との間に入り込む。第二の部分流32は導風装置13によって誘導され、なお前置された枚葉紙搬送胴2上にある枚葉紙12”の一部に吹き付けられる。
【0038】
図5は渡し胴1がさらに回転を続行した状態を示しており、これによって第一の部分流31が強化されて枚葉紙支持空気35が形成される。第一の部分流31と第二の部分流32との形成に際しては好適な空気分配が行なわれるが、それはより乾燥した空気がより高い密度を有し、第一の部分流31として枚葉紙支持空気35を形成するからである。これに対して湿潤した空気は第二の部分流32を形成し、同部分流は枚葉紙12”への吹き付けに利用された後、排気33として排出される。前置された枚葉紙搬送胴2上にある枚葉紙12”はなおかなりの水分を有していることから、第二の部分流32の空気は湿潤しているとはいえ、なおその枚葉紙12”から水分を奪い取ることができる。その際、同空気が枚葉紙12”の運動に対して反対向きの逆流領域44を形成するのが非常に有利であり、これによって高い乾燥効果が達成される。空気流出路18から流出した後、排気33は前置された枚葉紙搬送胴2の牽引流37とぶつかり合う。双方の流れのぶつかり合いにより再度の圧力上昇が生じ、搬送胴への枚葉紙12”の押し当てが行なわれる。その後に排気33は印刷機を離れる。
【0039】
渡し胴1がさらに回転を続行すると、すでに図3と図4の下側に示したような行程IVとして表わされた位置が再び生ずることとなる。第一の部分流31の空気は枚葉紙12’と面5とによって形成される枚葉紙支持室30内にあり、同空気は同室において枚葉紙支持空気35として枚葉紙12’の確実な搬送に利用される。その際、枚葉紙支持空気35の大部分は空気吹き込み装置によって吹き込まれた前述した高い乾燥性を有した空気34であることから、枚葉紙12’のさらなる乾燥が行なわれることとなる。密閉された室30内で圧縮された空気は、さらに、枚葉紙に対して振動抑制作用をもたらすが、それは枚葉紙がその運動にあたって圧縮された空気を押し潰さなければならないからである。これにより枚葉紙は安定させられ、接触のない枚葉紙搬送が実現される。枚葉紙支持チャンバ30は渡し胴1が回転を続行して図4に示した位置に至っても枚葉紙案内装置11によって依然として密閉されており、これにより、圧縮された空気の支持効果が引き続いて維持され、枚葉紙の末端も確実に案内されることとなる。
【0040】
図6は枚葉紙搬送システムの第四の実施例を示している。この実施例においては、導風部材8の下方のくわえ爪列4の運動路7と前置された枚葉紙搬送胴2との間に補助的な空気吹き付け装置17が配置されている。この空気吹き付け装置17は枚葉紙搬送胴2の方向に向けられており、たとえば横断方向に配置された一連の送風機でそれを構成することが可能である。この装置は溢流空気の圧力をさらに高める役割を有する。同装置は導風装置13に代替することができ、あるいは同装置と協働して前置された枚葉紙搬送胴2上にある枚葉紙12’に空気を吹き付けることも可能である。本実施例では空気吹き付け装置17は導風部材の平行な薄板14と協働しており、同薄板は屈曲部15を備えている。また導風部材8も同じくそうした屈折部16を備えている。排気33は空気流出路18を通って流れ、同流出路には乾燥機19が配置されている。排気33は乾燥機の後方で、踏み板22の開口23によって形成されている空気出口21に達する。開口23は格子として形成されている。さらに踏み板22には空気取り入れ口20が設けられており、吹き込まれる空気34は同取り入れ口を通って空気吹き付け装置6に達する。空気取り入れ口20も格子として形成されている。
【0041】
なお、導風部材8が踏み板22によって形成され、したがって、図1に示した空気流出口10が直接踏み板に設けられ、空気吹き付け装置6も同踏み板に配置されている別途の実施形態を考えることもできる。
【0042】
図7は、空気流出口10から流出する空気の少なくとも一部が空気吹き付け装置6に供給され、循環空気流38が生じる構造の第四の実施例を示している。
【0043】
図8は枚葉紙12、12’、12”の湿度41の変化ならびに空気の相対湿度42の変化を表わしたグラフを示している。水平方向には枚葉紙12が通過する搬送路上の位置が示され、垂直方向には湿度が示されており、図の上方には図2〜5に対応するその都度の渡し胴の位置を示している。最初の図は渡し胴1の右側部分で枚葉紙12が渡し胴1に引き渡された後の位置(行程III)を示しており、同所において空気流は第一の部分流31と第二の部分流32に配分される。図8の逆流領域44において枚葉紙12に対する空気の吹き付けが行なわれ、つまり、空気は枚葉紙搬送方向とは逆方向に流れ過ぎる。第二の部分流32はこの吹き付けを行なった後に排気33となり、湿度の低い第一の部分流31は枚葉紙支持空気となる。向流領域44における枚葉紙12に対する空気の吹き付けにより、相対湿度42’にもかかわらず、同領域において湿度41を有した非常に湿った枚葉紙の乾燥が実現されるが、それは両者の間に十分な湿度勾配が存在しているからである。その後、枚葉紙は図3と図4の渡し胴1の下方部分に対応する行程IVの平滑流領域45に達する。相対湿度42を有した相対的に乾燥した枚葉紙支持空気35は、搬送作用の他に、枚葉紙12のさらなる乾燥を行なう。渡し胴1がさらに回転して図8の最後の位置に至ると渡し胴1の左側部分で空気吹き込み室28が形成され(行程I)、同所において吹き込まれた空気34による新鮮空気の混和43が行なわれ、これにより空気の相対湿度42が著しく低下する。この作用により空気の吸湿性は再び上昇し、その時までになお残存していた水分が枚葉紙から奪われる。こうして枚葉紙12は乾燥した状態で渡し胴領域を離れ、その後の印刷に供されることができる。湿度48を有した後続枚葉紙、枚葉紙12’が新たに渡し胴領域に進入してくると、前記のサイクルが再び最初から繰り返されることとなる。
【0044】
上記の記述は本発明の説明と機能の理解に資するものである。記述された実施例は典型的なものであり、前記の諸特徴のその他の組合せならびに構成も考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】枚葉紙搬送システムの第一の実施例の構成を示す図である。
【図2】第二の実施例に基づいた枚葉紙搬送システムの第一の位置を示す図である。
【図3】第二の実施例に基づいた枚葉紙搬送システムの第二の位置を示す図である。
【図4】第二の実施例に基づいた枚葉紙搬送システムの第三の位置を示す図である。
【図5】第二の実施例に基づいた枚葉紙搬送システムの第四の位置を示す図である。
【図6】枚葉紙搬送システムの第三の実施例を示す図である。
【図7】枚葉紙搬送システムの第四の実施例を示す図である。
【図8】図2〜ないし図5までの位置における枚葉紙の湿度と空気の相対湿度の変化を表わしたグラフである。
【符号の説明】
1 渡し胴
2 前置された枚葉紙搬送胴
3 後置された枚葉紙搬送胴
4 くわえ爪列
5 面
6 空気吹き付け装置
7 運動路
8 導風部材
9 空間
10 空気流出口
11 枚葉紙案内装置
12 枚葉紙
12’枚葉紙
12”枚葉紙
13 導風装置
14 薄板
15 屈曲部
16 屈曲部
17 空気吹き付け装置
18 空気流出路
19 乾燥機
20 空気取り入れ口
20’取り入れ空気
21 空気出口
22 踏み板
23 開口(格子)
24 ゴム胴
25 可動式の密封継手
26 作用領域
27 作用領域
28 空気吹き込み室
29 空気排出室
30 枚葉紙支持室
31 第一の部分流
32 第二の部分流
33 排気
34 供給される空気
35 枚葉紙支持空気
36 渦流
37 前置された枚葉紙搬送胴の牽引流
38 空気循環
39 紫外線または赤外線
40 湿度
41 枚葉紙の湿度
42 空気の相対湿度
42’空気の相対湿度
43 新鮮空気の混和
44 逆流領域
45 平滑流領域
46 混和領域
47 回転方向
48 後続枚葉紙の湿度
49 流出空気
50 印刷隙間
50’印刷隙間
51 枚葉紙の印刷面

Claims (18)

  1. 前置された枚葉紙搬送胴(2)と後置された枚葉紙搬送胴(3)との間に位置する空気吹き付け装置(6)と渡し胴(1)を有し、前記渡し胴(1)がそのくわえ爪列(4)の間に閉じたもしくはほぼ閉じた面(5)を備えており、枚葉紙案内装置(11)が前記渡し胴(1)の下部領域で、前記くわえ爪列(4)の運動路(7)に沿って、前記前置された枚葉紙搬送胴(2)から前記後置された枚葉紙搬送胴(3)まで延びている、印刷機における枚葉紙搬送システムにおいて、
    前記渡し胴(1)の上方に前記くわえ爪列(4)の運動路(7)からわずかな間隔を保って導風部材(8)が配置され、該導風部材が、前記導風部材(8)と前記前置された枚葉紙搬送胴(2)の間の空気流出口(10)を除いて、前置された枚葉紙搬送胴(2)から後置された枚葉紙搬送胴(3)まで延びる、実質的に密閉された空気空間(9)の上方限界をなし、
    前記空気吹き付け装置(6)は前記空気空間(9)に前記後置された枚葉紙搬送胴(3)の方向に空気を吹き込み、
    前記枚葉紙案内装置(11)は枚葉紙(12、12'、12")を空気クッション上で案内する浮揚案内装置として構成されていることを特徴とする枚葉紙案内システム。
  2. 前記空気吹き付け装置(6)が導風部材(8)に配置されている、請求項1に記載の枚葉紙搬送システム。
  3. 前記空気吹き付け装置(6)が、後置された枚葉紙搬送胴(3)に前記空気吹き付け装置(6)によって供給される空気(34)の吹き付け方向が調節可能なように、後置された枚葉紙搬送胴(3)に対して位置調節可能である、請求項2に記載の枚葉紙搬送システム。
  4. 前記空気吹き付け装置(6)によって吹き込まれる枚葉紙搬送空気(34)がすぐれた乾燥効果を達成するために加熱される、請求項1から3のいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  5. 前記導風部材(8)の下方で、前記くわえ爪列(4)の運動路(7)と前置された枚葉紙搬送胴(2)との間に、該搬送胴の方向に揃えられた導風装置(13)が配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  6. 前記導風装置(13)が前記導風部材(8)に平行に並ぶ板で構成され、該板はその端部に前置された枚葉紙搬送胴(2)に向けられた屈曲部(15)を備えている、請求項に記載の枚葉紙搬送システム。
  7. 前記導風部材(8)の端部が前置された枚葉紙搬送胴(2)に向けられた屈曲部(16)を備えている請求項の1からのいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  8. 前記導風装置(13)が格子薄板として形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  9. 前記導風部材(8)の下方で、前記くわえ爪列(4)の運動路(7)と前置された枚葉紙搬送胴(2)との間に該搬送胴の方向に向けられた追加の空気吹き付け装置(17)が配置されている請求項1からのいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  10. 前記空気流出口(10)が空気流出路(18)として形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  11. 前記空気流出路(18)内に乾燥機(19)が配置されている、請求項10に記載の枚葉紙搬送システム。
  12. 前記乾燥機(19)が放射線乾燥機である、請求項11に記載の枚葉紙搬送システム。
  13. 前記乾燥機(19)が送風機を備えている、請求項11または12に記載の枚葉紙搬送システム。
  14. 枚葉紙搬送システムの上方に踏み板(22)が配置されている請求項1から13のいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
  15. 前記踏み板(22)が同時に導風部材(8)である、請求項14に記載の枚葉紙搬送システム。
  16. 前記空気吹き付け装置(6)に通ずる空気取り入れ口(20)が踏み板(22)に形成された開口(20)の形で設けられている、請求項14または15に記載の枚葉紙搬送システム。
  17. 前記空気流出口(10)に後置された空気出口(21)が踏み板(22)に形成された開口(23)の形で設けられている、請求項1415または16に記載の枚葉紙搬送システム。
  18. 前記空気流出口(10)から流出する空気が前記空気吹き付け装置(6)に供給される請求項1から17のいずれか一項に記載の枚葉紙搬送システム。
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