JP3936216B2 - 反転現像用非磁性黒トナー - Google Patents

反転現像用非磁性黒トナー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる反転現像用非磁性黒トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トナー用の黒色着色剤としてはカーボンブラックが使用されているが、カーボンブラックは体積固有抵抗値が低く、現像に必要な帯電量を保持することが出来ず十分な黒色度が得られ難いという欠点を有しており、また、安全衛生上の問題も指摘されていて、カーボンブラックに代わる黒色着色剤として、各種複合酸化物が提案されている(特開2000−10344号公報、特開平9−25126号公報等)。
【0003】
一方、近年、複写機(PPC)の普及と同様に、レーザープリンター(LBP)もまた、目覚ましく進歩している。PPCの場合、感光体上に電荷を有する静電潜像を形成し、画像階調は光源の強さを変えることにより表面電位を変えて行っている(正規現像) のに対し、LBPの場合、オン/オフの二段階のみで電荷を持たない潜像を形成することから、網点の数による面積階調を行っている(反転現像) 。そのため、反転現像法では、微細な網点の転写性が画像の鮮明性を左右することになり、特に画像転写性の向上が望まれている。
【0004】
従来、画像転写性の改善策としては、ワックスの添加量等によりぬれ性が調整されたトナー(特開平7−104503号公報) や大粒径シリカが添加されたトナー(特開平7−271087号公報)等が知られているが、前者ではトナーのフィルミングが起こりやすく、後者ではシリカがトナーに埋没して耐久性が低下しやすいという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、反転現像法に有用な黒色着色剤を含有した反転現像用非磁性黒トナー、すなわち、十分な黒色度を有し、体積固有抵抗値が高く、かつ画像転写性にも優れた反転現像用非磁性黒トナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び黒色着色剤を含有してなる反転現像用非磁性黒トナーであって、前記結着樹脂として、ポリエステル及び/又はポリエステル成分と付加重合系樹脂成分とが部分的に化学結合した樹脂を含有してなり、前記黒色着色剤として、単位面積当たりの吸油量が0.001〜0.02ml/m 2 ある、2種以上の金属の複合酸化物を含有し、カーボンブラックを含有していない反転現像用非磁性黒トナーに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、特定の吸油量を有する複合酸化物が黒色着色剤として含有されている点に大きな特徴を有する。複合酸化物の吸油量を調整することにより、複合酸化物と結着樹脂との親和性が調整され、複合酸化物の分散性を高めることができる。複合酸化物の分散性の向上により、トナーの小粒径化が可能になり、またトナーの均一帯電性及び経時安定性とともに転写性も向上する。従って、複合酸化物の単位面積当たりの吸油量は、0.07ml/m2 以下、好ましくは0.0001〜0.05ml/m2 、より好ましくは0.001〜0.02ml/m2 である。なお、本発明において、前記吸油量(ml/m2 )は、JIS K5101の方法により測定される吸油量(ml/100g)と、比表面積(m2 /100g)との値を用い、次式より求める。
【0008】
【数1】
Figure 0003936216
【0009】
複合酸化物の吸油量は、その組成にもよるが、特に粒径への依存が大きい。小粒径化により比表面積が大きくなると吸油量も大きくなり、大粒径化により比表面積が小さくなると吸油量も小さくなる。また、二次凝集による毛細管現象を利用して吸油量を高めることもできる。
【0010】
複合酸化物の平均粒径は、吸油量及び隠蔽力の観点から、5nm〜1μmが好ましく、5〜500nmがより好ましく、5〜200nm特に好ましい。
【0011】
本発明において、複合酸化物は、トナーの黒色度の観点から、少なくとも2種、好ましくは3種の金属により構成されている。特に、その少なくとも1種、好ましくは2種、より好ましくは3種が元素周期表の第3周期の2族もしくは13族又は第4周期の3〜11族に属する金属により構成されているのが好ましい。元素周期表の第3周期の2族及び13族には、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)が属しており、元素周期表の第4周期の3〜11族には、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)が属しており、これらの中では、Mg、Al、Ti、Mn、Fe及びCuが好ましく、Mg、Al、Mn、Fe及びCuが特に好ましい。複合酸化物における金属の組成比は特に限定されない。
【0012】
複合酸化物の含有量は、トナーの黒色度及び比重の観点から、トナー中、好ましくは4〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%、特に好ましくは7〜15重量%である。
【0013】
複合酸化物の製造方法としては、主酸化物を芯粒子とし、その表面に他の酸化物を付着させる方法(特開2000−10344号公報)、数種の酸化物を焼成して複合酸化物にする方法(特開平9−25126号公報) 等が挙げられるが、特に限定されない。
【0014】
本発明において好適な複合酸化物の市販品としては、「ダイピロキサイドブラックNo.1」、「ダイピロキサイドブラックNo.2」(以上、大日精化工業社製)、「HSB−603Rx」、「HSB−605」(以上、戸田工業社製)、「ETB−100」(チタン工業社製)、MCシリーズ(三井金属鉱業製)等が挙げられる。
【0015】
なお、本発明のトナーには、着色剤として前記複合酸化物以外の公知の着色剤が適宜含有されていてもよいが、カーボンブラックは含有されていないのが好ましい。
【0016】
本発明における結着樹脂としては、ポリエステル、ハイブリッド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられ、特に限定されないが、これらの中では、着色剤の分散性及び転写性の観点から、ポリエステル及びハイブリッド樹脂が好ましく、ポリエステルがより好ましい。ポリエステル又はハイブリッド樹脂の含有量は、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましく、100重量%が特に好ましい。
【0017】
なお、ハイブリッド樹脂とは、ポリエステル等の縮重合系樹脂成分とビニル系樹脂等の付加重合系樹脂成分とが部分的に化学結合した樹脂をいい、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーから得られたものであっても、さらに2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0018】
ポリエステルの原料モノマーとしては、2価以上の多価アルコールと2価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
【0019】
2価の多価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、1,2 −プロピレングリコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0020】
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0021】
また、2価のカルボン酸化合物としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、テトラプロペニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0022】
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0023】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分、カルボン酸成分等を不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0024】
ポリエステルの酸価は、着色剤の分散性及び転写性の観点から、0.5〜60mgKOH/gが好ましく、水酸基価は、1〜60mgKOH/gが好ましい。
【0025】
また、ポリエステルの軟化点は、80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。
【0026】
本発明のトナーには、結着樹脂及び着色剤に加えて、荷電制御剤、離型剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
【0027】
本発明のトナーの製造方法は、混練粉砕法、重合法、乳化転相法等の従来より公知のいずれの方法であってもよいが、例えば、混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒子径は、3〜15μmが好ましい。さらに、トナーの表面には、疎水性シリカ等の流動性向上剤等が外添剤として添加されていてもよい。
【0028】
本発明の非磁性黒トナーは、複合酸化物の分散性の向上により、トナーの小粒径化が可能になり、またトナーの均一帯電性及び経時安定性とともに転写性も向上するため、微細な網点の転写が容易となり、反転現像用トナーとして用いられるが、帯電量を安定に維持することができることから、非磁性一成分現像法にも好適に用いることができる。なお、本発明において、非磁性トナーとは、常磁性体、反磁性体、又は飽和磁化が10Am2 /kg以下、好ましくは2.5Am2 /kg以下の強磁性体をいう。
【0029】
さらに、本発明の反転現像用非磁性黒トナーは、イエロー、シアン、マゼンタ等の着色剤の抵抗と類似しているために、フルカラー画像の形成にも好適に用いられる。
【0030】
【実施例】
〔複合酸化物の平均粒径〕
電子顕微鏡写真より実測し、数平均の粒子径を求める。
【0031】
〔複合酸化物の吸油量(ml/100g)〕
JIS K5101の方法により、アマニ油吸油量を測定する。
【0032】
〔複合酸化物の比表面積(m2 /100g)〕
窒素吸着法(BET法)により測定する。
【0033】
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0034】
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0035】
〔樹脂の重量平均分子量〕
テトラヒドロフラン(THF)可溶分を、GPC法(カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)、標準試料:単分散ポリスチレン、溶媒:THF)により、重量平均分子量として測定する。
【0036】
樹脂製造例1
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)714g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)663g、イソフタル酸518g、イソオクテニルコハク酸70g、トリメリット酸80g及びジブチル錫オキシド2gを、窒素気流下、210℃にて攪拌しつつ反応させた。ASTM E28−51Tに準じて測定した軟化点により重合度を追跡し、軟化点が130℃に達した時点で反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Aとする。樹脂Aは淡黄色の固体であり、ガラス転移点は65℃であった。また、樹脂Aの酸価は18mgKOH/g、水酸基価は35mgKOH/gであった。
【0037】
樹脂製造例2
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)12250g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM E28−67に準じて測定した軟化点により重合度を追跡し、軟化点が121℃に達した時点で反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Bとする。樹脂Bのガラス転移点は66℃、酸価は3.44mgKOH/g、水酸基価は23.4mgKOH/gであった。
【0038】
実施例1
樹脂A7000g、着色剤「ダイピロキサイドブラックNo.2」(大日精化工業社製)700g、ポリプロピレンワックス「NP−055」(三菱化学製)70g及び帯電制御剤「ボントロンS−34」(オリヱント化学工業製)70gをヘンシェルミキサーに投入し、槽内温度40℃で3分間攪拌混合して混合物を得た。得られた混合物を連続型二軸混練機により100℃で溶融混練を行い混練物を得、次いで、該混練物を空気中で冷却、粗粉砕、微粉砕した後、分級し、体積平均粒子径が8.5μmの黒色粉体を得た。
【0039】
得られた粉体1000gと疎水性シリカ「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製、平均粒径:16nm)8gをヘンシェルミキサーで3分間攪拌混合して黒トナーを得た。
【0040】
実施例2
着色剤を「ダイピロキサイドブラックNo.1」(大日精化工業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0041】
実施例3
着色剤を「MC−6」(三井金属鉱業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0042】
実施例4
着色剤を「HSB−605」(戸田工業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0043】
実施例5
着色剤を「ETB−100」(チタン工業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0044】
実施例6
樹脂Aを、スチレン(St)−ブチルアクリレート(BA)−メチルメタクリレート(MMA)共重合樹脂(重量平均分子量:130,000、St/BA/MMA(モル比)=82.0/16.5/1.5)7000gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0045】
実施例7
スチレン60重量部、アクリル酸ブチル40重量部及びアクリル酸8重量部からなるモノマー混合物を、水100重量部、ノニオン乳化剤「エマルゲン950」(花王社製)1重量部、アニオン乳化剤「ネオゲンR」(第1工業製薬社製)1.5重量部及び過硫酸カリウム0.5重量部からなる水溶液混合物に添加し、攪拌下、70℃で8時間重合させて固形分が50重量%の酸性極性基含有樹脂エマルジヨンを得た。エマルジョンに含有されている樹脂のガラス転移点は55℃、ゲル化度は5%、軟化点は148℃であった。
【0046】
得られた酸性極性基含有樹脂エマルジヨン120重量部、荷電制御剤「ボントロンS−34」(オリヱント化学工業社製)2重量部、着色剤「ダイピロキサイドブラック No.2」(大日精化工業社製)10重量部及び水380重量部の混合物をスラッシャーで分散攪拌しながら、約30℃で2時間保持した。その後、さらに攪拌しながら70℃に加温して3時間保持した。この間顕微鏡で観察して、樹脂粒子と着色剤粒子とのコンプレツクスが約7μmに生長するのが確認された。冷却して、得られた液状分散物をブフナー漏斗で濾過し、水洗し、50℃で10時間真空乾燥させ、平均粒径が9.5μmの粉体を得た。
【0047】
得られた粉体100重量部と疎水性シリカ「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製、平均粒径:16nm)0.8重量部をヘンシェルミキサーで3分間攪拌混合して黒トナーを得た。
【0048】
実施例8
樹脂Aを樹脂B7000gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0049】
実施例9
着色剤を「MC−10」(三井金属鉱業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0050】
比較例1
着色剤を「HSB−603」(戸田工業社製)700gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0051】
比較例2
着色剤をカーボンブラック「リーガル300R」(キャボット社製)を350gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0052】
比較例3
スチレン−アクリル酸の共重合体樹脂(Mw=183000、Mn=8200、ガラス転移点:59℃)7000g、カーボンブラック「MA#8」(三菱化成工業社製)350g、酸化第二銅(和光純薬工業製、吸油量:15cc/g、平均粒径:4.0μm)420g、荷電制御剤「ボントロンS−34」(オリヱント化学工業製)280g及びポリプロピレンワックス「ビスコール330P」(三洋化成工業社製)210gをヘンシェルミキサーに投入し、槽内温度40℃で3分間攪拌混合して混合物を得た。得られた混合物を連続型二軸混練機により100℃で溶融混練を行い混練物を得、次いで、該混練物を空気中で冷却、粗粉砕、微粉砕した後、分級し、体積平均粒子径が12.0μmの黒色粉体を得た。
【0053】
得られた粉体1000gと疎水性シリカ「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製、平均粒径:16nm)3gをヘンシェルミキサーで3分間攪拌混合して黒トナーを得た。
【0054】
比較例4
樹脂Aを樹脂B7000gに、着色剤をカーボンブラック「リーガル300R」(キャボット社製)を350gに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒トナーを得た。
【0055】
実施例1〜9及び比較例1で使用した複合酸化物の物性を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003936216
【0057】
試験例1〔トナー転写性の評価〕
実施例8、比較例4以外の実施例1〜7、9及び比較例1〜3で得られた黒トナーを、反転現像の非磁性一成分レーザープリンタ「マイクロライン 703n」(沖データ社製)にそれぞれ実装し、黒率5%の印字を50枚行った後、黒べた印字を行い、べた印字の最中でプリンタの電源を落とし、感光体上の黒べた転写後の部分に残存したトナーをメンディングテープ(住友3M社製、CAT.NO.810-3-18 )で採取し、コピー用普通紙に貼り付けた際のブランクの白色度(ΔY)を測定し、以下の評価基準によりべた画像の転写性を評価した。
また、ライフエンドとして、黒率5%の印字を30000枚行った以外は、上記と同様にして、べた画像の転写性を評価した。
さらに、50枚目、30000枚目の5%黒率印字画像について、細線画像の転写性を目視により観察し、以下の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
【0058】
〔べた画像の転写性評価基準〕
◎:ΔYが1未満で、実使用上特に良好である。
○:ΔYが1以上、2未満で、実使用上良好である。
△:ΔYが2以上、5未満で、実使用上の最低ラインである。
×:ΔYが5以上で、実使用上好ましくない。
【0059】
〔細線画像の転写性評価基準〕
◎:細線が忠実に再現されており、実使用上特に良好である。
○:細線が再現されており、実使用上良好である。
△:細線がある程度再現されており、実使用上の最低ラインである。
×:細線の再現性が悪く、実使用上問題がある。
【0060】
試験例2
実施例8、比較例4で得られた黒トナーを、反転現像のフルカラー非磁性一成分レーザープリンタ「QMS MAZICOLOR2」(QMS社製)の黒の現像器に、それぞれ実装し、ライフエンドを6000枚とした以外は、試験例1と同様に、べた画像及び細線画像の転写性を評価した。なお、印字用紙には、XEROX4200紙を用いた。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0003936216
【0062】
実施例10
結着樹脂として、樹脂Aの代わりに、特開平10−87839号公報に記載の実施例1に記載の方法に従って製造した樹脂(ハイブリッド樹脂)7000gを使用し、ポリプロピレンワックスを使用しない以外は、実施例9と同様にして、黒トナーを得る。さらに、この黒トナーを用い、試験例1に記載の方法によりトナー転写性を評価すると、実施例9の黒トナーと同様にべた画像及び細線画像のいずれにおいても、耐刷後も実使用可能なレベルの転写性が得られる。
【0063】
以上の結果より、実施例のトナーは、樹脂やトナーの製造方法にかかわらず、着色剤として含有する複合酸化物の吸油量が小さいほど、べた画像及び細線画像のいずれにおいても、耐刷後も実使用可能なレベルの転写性を維持することができることが分かる。これに対し、吸油量が所定よりも大きい複合酸化物を含有した比較例1のトナー、カーボンブラックを含有した比較例2〜4のトナーはいずれも、耐刷後の転写が大幅に低下していることは分かる。
【0064】
【発明の効果】
本発明により、反転現像法に有用な黒色着色剤を含有する反転現像用非磁性黒トナー、すなわち、十分な黒色度を有し、体積固有抵抗値が高く、かつ画像転写性にも優れた網点による面積階調を行う反転現像用非磁性黒トナーを提供することができる。

Claims (5)

  1. 結着樹脂及び黒色着色剤を含有してなる反転現像用非磁性黒トナーであって、前記結着樹脂として、ポリエステル及び/又はポリエステル成分と付加重合系樹脂成分とが部分的に化学結合した樹脂を含有してなり、前記黒色着色剤として、単位面積当たりの吸油量が0.001〜0.02ml/m 2 ある、2種以上の金属の複合酸化物を含有し、カーボンブラックを含有していない反転現像用非磁性黒トナー。
  2. 2種以上の金属の複合酸化物を構成する金属の少なくとも1種が、元素周期表の第3周期の2族もしくは13族又は第4周期の3〜11族に属する金属である請求項1記載のトナー。
  3. 2種以上の金属の複合酸化物の平均粒径が5nm〜1μmである請求項1又は2記載のトナー。
  4. 非磁性一成分現像法に用いられる請求項1〜3いずれか記載のトナー。
  5. フルカラー画像の形成に用いられる請求項1〜4いずれか記載のトナー。
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