JP3935635B2 - 電気機器の渦電流シールド装置 - Google Patents

電気機器の渦電流シールド装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の渦電流シールド装置に係り、特に、電力用機器の内部に渦電流シールド装置を設け、機器の組み立てもしくは操作上の制約により、渦電流の経路が分断される構造において、導通を確保した電気機器の渦電流シールド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、増大する電力需要に対して、電力用変圧器の大容量化が余儀なくされている。電力用変圧器の多くは、巻線の内部に鉄心を含む内鉄型で、1次巻線、2次巻線を対にして1つの鉄心に同心状に配置する構成を採っている。タンク内に油が封入されている油絶縁・冷却の変圧器は、3相の同心巻線を3相3脚もしくは3相5脚の鉄心に配置し、1つの長型タンクに収めるものが多い。
【0003】
通常、3相変圧器においては隣接する2対の巻線は位相差のため互いに励磁方向が逆になる瞬間がある。このとき2対の巻線が発生する漏洩磁束による渦電流はタンク内壁をそれぞれ逆方向に周回することになる。2対の巻線が隣接する部位では、渦電流の方向が対向するようになるため、タンクの上下に分かれて流れ、タンクの上部または下部に回った渦電流は、反対側の側面で再び巻線方向に周回し、出発点に戻って1周経路を形成する。
【0004】
このような変圧器においてタンクに発生する渦電流による損失および発熱を低減する第1の従来手段として、特願平09−025281号公報に記載の発明によれば、変圧器を封入するタンクの内側壁面上に、巻線対の間付近からタンク内壁面に沿って鉄心の上部と下部とを迂回し、鉄心とは鎖交しないように縦方向に周回する2個のシールド手段を設け、さらに3対の巻線を囲み、巻線方向に沿って横方向に1周するシールド手段を設けて各一周するシールド手段が重なる部分で電気的に接続し、それぞれのシールド手段に流れる電流が他のシールド手段に渡ることができるようにこれを一体化した周回シールドが構成されている。これにより両端の巻線間隙の漏洩磁束によってタンク内壁に作用していた起電力は前記周回シールドに作用するようになり、周回シールド上に誘導渦電流が誘起せられる。この誘導渦電流により両端の巻線間隙の漏洩磁束を打ち消すような反磁界が発生するため、タンク内の磁束は低減され、その結果、タンク内壁に作用していた起電力も低減されてタンク内壁上の渦電流が抑制される。
【0005】
しかし一般にタンクは内部に変圧器を収納するために上部または下部で分割される構造になっており、タンクの変圧器搬入時に上下に分割し、変圧器搬入後は、タンク辺縁部に設けられたフランジ部で上下タンクを合せボルトで巻き締めて結合している。この時、内部の渦電流シールドにおいて前記の従来手段を実現するためには、鉄心の上部と下部とを迂回して縦方向に周回する渦電流シールドをタンク分割部のフランジ部内壁側で電気的に接続する技術が必要である。これを簡便に実現する第2の従来手段として、実願昭51−259号公報に記載の発明によれば、弾性体に銅板を巻いた部材を上下のフランジ部のシールドで挟み、この弾性体の反発力で上下のフランジ部のシールドに圧着して導通を図っている。。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第2の従来手段は第1の従来手段を実施するために必要な技術の一つではあるが、第2の従来手段はもともと第1の従来手段のような周回シールドを想定したものではないため、通過する電流量が大きい場合には次に説明するような接触抵抗の問題がある。即ち、導体の圧着による接触抵抗は表面の凹凸などにより実効的な接触面積が左右され、施工時にこれを把握し制御することは困難である。また接触抵抗は表面に形成される絶縁性の酸化膜などによって経時変化を受けやすい。特に電流の通過量が大きい場合、接触抵抗によって接触面間に電位差が生じ、その電界によりさらに酸化等の腐食が進むことも考えられる。従って、第2の従来手段は通過電流量の小さなシールドには効果があるが、第1の従来手段のような通過電流量の大きなシールドに対しては十分に安定した効果が期待できない。このためタンクの接続部であるフランジ部において局所的な発熱が発生する可能性があり、また、フランジ部には、タンク内部に充填した油、ガスなどをシールするためゴム製のOリングが設けられるため、このフランジ部における発熱はOリングの変質、劣化を早めるという問題を引き起こす。
【0007】
本発明の目的は、上記の種々の問題点に鑑みて、鉄心の上部・下部を迂回して縦方向に周回するシールド電流を、タンク分割部において制御しにくい接触低抵抗などの課題を被ることなく接続することを可能にした電気機器の渦電流シールド装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
【0009】
電気機器から発生する動磁束と交鎖する低抵抗導体を設けて、該低抵抗導体上に誘導渦電流を発生させ、該低抵抗導体以外における誘導渦電流の発生を抑制するとともに、前記低抵抗導体が前記誘導渦電流の経路上で2以上に分割可能に設けられた電気機器の渦電流シールド装置において、前記分割された低抵抗導体は、分割された低抵抗導体毎に分割箇所同士を結合して周回する周回低抵抗導体を設け、前記分割された低抵抗導体の結合時、前記周回抵抗導体間の相互インダクタンスによる電磁的結合により、前記分割された低抵抗導体間の前記誘導渦電流の経路を形成することを特徴とする。
【0010】
また、時間的に変化する動磁束を発生する電気機器と、該電気機器を取り囲む筐体と、該筐体内面に前記電気機器から発生する動磁束と交鎖する低抵抗導体を設け、前記低抵抗導体上に誘導渦電流を発生させて前記低抵抗導体以外における誘導渦電流の発生を抑制するとともに、2以上に分割される前記筐体の分割とともに前記低抵抗導体が前記誘導渦電流の経路上で分割される電気機器の渦電流シールド装置において、前記分割された低抵抗導体は、分割された低抵抗導体毎に分割箇所同士を結合して周回する周回低抵抗導体を設け、前記分割された筐体および低抵抗導体の結合時、前記周回抵抗導体間の相互インダクタンスによる電磁的結合により、前記分割された低抵抗導体間の前記誘導渦電流の経路を形成することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の電気機器の渦電流シールド装置において、前記筐体は前記低抵抗体よりも高抵抗な部材で構成されていることを特徴とする。
また、請求項1ないしは請求項3のいずれか1つの請求項に記載の電気機器の渦電流シールド装置において、前記電気機器は、鉄心を巻回した巻線対から構成され、前記動磁束は前記巻線対から発生していることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2ないしは請求項3のいずれか1つの請求項において、前記電気機器は、鉄心と該鉄心の周囲に互いに同心状に巻回された低圧巻線と高圧巻線からなる巻線対を備える変圧器またはリアクトルから構成されるとともに、前記筐体は分割されたタンクと分割された前記タンクの結合時に結合されるタンクフランジ部から構成され、前記各周回低抵抗導体は前記各タンクフランジ部に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2ないしは請求項3のいずれか1つの請求項に記載の電気機器の渦電流シールド装置において、前記電気機器は前記変圧器または前記リアクトルに接続されるケーブルから構成されるとともに、前記筐体は前記変圧器または前記リアクトルのタンクに接続され前記ケーブルを囲む分割されたダクトと分割された前記ダクトの結合時に結合されるダクトフランジ部から構成され、前記各周回低抵抗導体は前記ダクトフランジ部に設けられることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1および図2を用いて説明する。
【0016】
図1は本実施形態に係わる渦電流シールド装置を備えた電力用機器の斜視図であり、図2は本実施形態の作用原理を説明するための渦電流シールド装置を備えた電力用機器の斜視図である。なお、図1では作用を理解しやすくするために筐体21(a),21(b)は省略されている。
【0017】
これらの図において、21(a)、21(b)は磁性体からなり上部および下部に分割され内部に少なくともコイル22を備えた電力用機器を収納し合体される筐体、22は下部筐体21(a)に水平に設置されたコイル、23はコイル22に交流電流が通電されることにより筐体21(a),21(b)に侵入する磁界、24(a),24(b)は磁界23によって誘導される誘導渦電流の一周経路に沿って周回するように設置され、渦電流による損失および過熱を防止するために筐体21(a)、21(b)内面に貼られた低抵抗の銅板などからなる渦電流シールド、11は渦電流シールド24(a),24(b)に流れるシールド電流、12は筐体21(a)と筐体21(b)を結合するためのフランジ部である。
【0018】
図2において、コイル22の交流電流による磁界23は筐体21(a),21(b)と交鎖し、筐体21(a),(b)に誘導渦電流(図示せず)が発生する。この誘導渦電流は一般に筐体21(a),(b)の底面から側面、天井面と周回し、側面に戻る一周経路を通る。この誘導渦電流の経路に沿って渦電流シールド24(a)を設けらると、シールド電流を最も良く発生させることができ、渦電流シールドとして効果的に作用させることができる。
【0019】
ところで、図2に示すように、筐体21(a),21(b)は蓋などで上下に分割される構造となっている場合は、筐体21(a),21(b)内面のシールド電流11が本来の電流経路上で下部筐体21(a)の渦電流シールド24(a)と上部筐体21(b)の渦電流シールド24(b)とに分断されるため、誘導されたシールド電流11が渦電流シールド24(a),(b)上を上下方向に渡ることが出来ず、渦電流シールドとして効果的に作用させることができない。
【0020】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、渦電流シールド24(a),(b)を筐体21(a),21(b)のフランジ部12の内側にまで連続して貼るように構成されている。このように構成することにより、下部筐体21(a)のフランジ部渦電流シールド15(a)および上部筐体21(b)のフランジ部渦電流シールド15(b)にはそれぞれ図示するようなリターン電流が流れる。上部筐体21(b)および下部筐体21(a)はフランジ部12,12において互いに結合されるので、フランジ部渦電流シールド15(b)には、フランジ部渦電流シールド15(a)のシールド電流11に対して逆向きの電流が相互インダクタンスによって誘導渦電流が発生し、この誘導渦電流は図示するように循環するため、結果的に下部筐体の渦電流シールド24(a)と上部筐体の渦電流シールド24(b)とが連結された場合と同等の経路で流すことができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態を図3から図9を用いて説明する。
【0022】
図3および図9は本実施形態に係わる変圧器タンクが省略された渦電流シールド装置を備えた変圧器の斜視図であり、図4から図8は本実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための図である。
【0023】
図3において、2は内鉄型の3相3脚鉄心、1(a),(b),(c)は3脚鉄心の各相に巻回された1次巻線および2次巻線からなる巻線対、16(a),16(b)は誘導渦電流の一周経路に沿って周回するように、渦電流による損失および過熱を防止するために省略されたタンク内面に貼られた低抵抗の銅板などからなる渦電流シールド、11は渦電流シールド16(a),16(b)に流れるシールド電流である。なお、省略されたタンクは、第1の実施形態と同様に、磁性体から構成され上部および下部に分割され内部に3相変圧器を収納し合体される。
【0024】
次に、本実施形態に係わる変圧器タンクに誘導される誘導渦電流の発生を図4および図5を用いて説明する。
【0025】
図4は変圧器の鉄心脚における断面図であり、同図において、2は変圧器鉄心、2(a)は鉄心脚、3は変圧器鉄心、1次巻線、2次巻線を収納するとともに図示されていない絶縁・冷却用の油が充填されているタンク、4および5はそれぞれ鉄心脚2(a)に同心状に巻回された1次巻線および2次巻線、7は1次巻線4と2次巻線5間の巻線間隙、8は巻線間隙7から漏洩した漏洩磁束の一部であってタンク壁3に吸引され壁面内を貫通して再び巻線間隙7に戻る漏洩磁束、10は漏洩磁束8によって誘導される誘導渦電流である。
【0026】
同図においては、タンク3の外壁面3(a)が囲む内部領域内では、入出力する等量の磁束が往復するのみで外壁面3(a)が囲む領域内には正味の鎖交磁束は存在しない。そのため外壁面3(a)上には巻線間隙7から漏洩した漏洩磁束8による誘導渦電流は発生しない。しかし内壁面3(b)が囲む内部領域では、巻線間隙7を通過する漏洩磁束がこの領域と鎖交するため、これを打ち消す方向に誘導渦電流10が発生する。この誘導渦電流10は、図示するように、筐体3の側面を水平方向に流れる。
【0027】
図5は変圧器の斜視図であり、同図において、9(a),9(b)はそれぞれ、巻線対1(a)と巻線対1(b)間および巻線対1(b)と巻線対1(c)間に、巻線位相差によって隣接巻線間に発生する相間渡り磁束である。その他構成は図4に示すものと略同一であるので説明を省略する。
【0028】
同図においては、各相巻線が隣接する部位において隣接巻線同志を結ぶような相間渡り磁束9(a),9(b)が水平方向に発生するため、これによって誘導される渦電流は垂直方向に発生する。従って、誘導渦電流は水平方向から垂直方向へと向きを変え、タンク3の天井部または底部を通って反対側の面に回り、再び戻る経路を流れる。
【0029】
図6は、図4および図5において説明した誘導渦電流の一周経路に沿って周回するように設置され、渦電流による損失および過熱を防止するために設けられる低抵抗の銅板などからなる渦電流シールドを設けた変圧器の斜視図である。
【0030】
図7は、磁性体からなり上部および下部に分割され内部に変圧器本体を収納する上部タンク3(b)および下部タンク3(a)のそれぞれの内壁に、図6において説明した渦電流シールド14(a),14(b)が貼り付けられた状態を示す図である。
【0031】
同図に示すように、変圧器本体をタンク3に収納するためには、タンク3をフランジ部12で上下に2分割されるので、渦電流シールド14も、渦電流シールド14(a)と渦電流シールド14(b)とに、上部タンク3(a),下部タンク3(b)とともに上下に分断される。分断された渦電流シールド14は組み立て過程でタンク3内部で何らかの接続工作を施す必要がある。
【0032】
図8は、図7に示す渦電流シールドの接続の問題を電磁作用により解決した渦電流シールド装置を備えた変圧器タンクの斜視図である。
【0033】
同図に示すように、変圧器本体を上部から収納する下部タンク3(a)の内壁側に、3対の巻線をそれぞれ囲み巻線方向、即ち、横方向に一周する周回渦電流シールド14(a−3)と、鉄心2の下部を迂回し巻線間隙において縦方向に半周する半周渦電流シールド14(a−1),14(a−2)とを互いに重なる部位で電気的に接続した一体型渦電流シールドを配置する。
【0034】
また上部タンク3(b)との接続面である下部フランジ部12(a)においては、フランジ面渦電流シールド15(a)を全周に渡って貼り、フランジ面渦電流シールド15(a)と半周渦電流シールド14(a−1),14(a−2)とを電気的に接続する。
【0035】
一方、上部タンク3(b)では、上記と同様に、フランジ面渦電流シールド15(b)を上部フランジ部12(b)全周に渡って貼り、タンク内壁において鉄心2の上部を迂回し巻線間隙上部を縦方向に半周して設置した半周渦電流シールド14(b−1),14(b−2)とフランジ面渦電流シールド15(b)とを電気的に接続する。
【0036】
次に、本実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用を図3を用いて説明する。
【0037】
同図は、下部渦電流シールド16(a)全体と上部渦電流シールド16(b)全体とが結合された状態を示している。下部渦電流シールド16(a)および上部渦電流シールド16(b)にはある位相時に矢印に示すようなシールド電流11が流れる。先に説明したように、巻線対1(a)〜1(c)から発生する漏洩磁束8(a),8(b),8(c)は周回渦電流シールド14と鎖交するため、横方向一周シールド14(a)上に誘導渦電流11が矢印のように発生する。誘導渦電流11の向きは巻線対1(a)〜1(c)の位相差により互いに逆方向になる場合があるが、誘導渦電流11は巻線対1(a)〜1(c)の間で上下方向に向きを変え、鉄心の下部を渡って反対側の半周渦電流シールド14(a−1),14(a−2)を流れる電流と、フランジ面渦電流シールド15(a)に流れる電流とに別れる。この際、フランジ面渦電流シールド15(a)に流れる電流は横方向一周シールド14(a)上に流れる電流と逆向きになる。
【0038】
一方、上部タンク3(b)側に設置されたフランジ面渦電流シールド15(b)は下部タンク3(a)側に設置されたフランジ面渦電流シールド15(a)とは僅少のギャップを介して対面しているため、これらは互いに電磁的な結合(相互インダクタンス)を持つ。従って、下部タンク3(a)側に設置されたフランジ面渦電流シールド15(a)に電流が流れると、これと反対方向の電流が上部タンク3(b)側に設置されたフランジ面渦電流シールド15(b)に誘導される。この電流は鉄心2の上部を迂回し巻線間隙上部を縦方向に半周して設置した半周渦電流シールド14(b−1),14(b−2)を流れ反対側のフランジ面渦電流シールド15(b)の電流と連結する。下部タンク14(a)および上部タンク14(b)のフランジ面渦電流シールド15(a),15(b)の電流は互いに逆向きのため磁気的にはキャンセルされ、渦電流の経路は全体としてタンク分割を考えない図6に示した渦電流シールド14の経路と等価になる。この渦電流11の経路は各相の漏洩磁束8(a)、8(b)、8(c)と相間渡り磁束9(a)、9(b)をそれぞれ打ち消す方向の磁界を発生するので、結果として、タンク3に掛かる磁束が低減され、タンク3上の渦電流の発生を抑制することができる。
【0039】
図9は、本実施形態に係わる3相5脚の変圧器の斜視図であり、図3に示す3相3脚の変圧器より大型の3相5脚の変圧器を示す。
【0040】
同図において6はサイドヨークである。その他の構成は図3に示すものと略同一であり、また、作用も図3に示すものと本質的に変わらないので説明を省略する。
【0041】
次に、本発明の第3の実施形態を図10から図13を用いて説明する。
【0042】
図10および図11は、本実施形態に係わる変圧器に接続されるケーブル用ダクトのフランジ部に渦電流シールドを設けたダクトの斜視図、図12および図13は本実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための図である。
【0043】
図10はタンク側ダクトを示し、図11はタンク側ダクトとケーブル側ダクトが結合された状態を示している。これらの図において、17(a)は変圧器のタンク等に接続されるタンク側ダクト、17(b)はケーブル側ダクト、18はダクト17(a),17(b)内に設けられる3相導体、19(a)はタンク側ダクト17(a)内壁に設けられたタンク側ダクト渦電流シールド、19(b)はケーブル側ダクト17(b)内壁に設けられたケーブル側ダクト渦電流シールド、20はタンク側ダクト17(a)およびケーブル側ダクト17(b)を結合するために設けられたフランジ部、21はそれぞれのダクト17(a),17(b)に設けられたフランジ部20に設けられたフランジ渦電流シールド、11はシールド電流である。
【0044】
図12および図13は、それぞれ図10および図11に対応し、フランジ部20にフランジ渦電流シールドが設けられていない点で、図10および図11に示すものと相違し、その他の構成は略同一である。
【0045】
通常、変圧器タンクとこれに接続されるケーブル用のダクトは輸送の都合上、分割されており、両者は組み立て時にフランジ部を介して結合される。図12に示すように、タンク側ケーブル用ダクト17(a)内には変圧器に投入または変圧器から出力される3相のケーブル18が配置されている。ケーブル18に通電される電流によりダクト内に渦電流が誘導されるため、渦電流発熱を低減する渦電流シールド19(a)が内部に貼られることが多い。しかし、図13に示すように、フランジ部20では渦電流シールド19(a)と渦電流シールド19(b)とが分断されるため、シールド電流の多くは隣り合う相の電流と合流して循環電流となるが、一部は渦電流シールドから鉄製のダクト17(a),17(b)とフランジ20を介して流れ、フランジ部接続面で局所加熱を起こす。
【0046】
それに対して、本実施形態によれば、図10に示すように、タンク側ダクト17(a)に貼られたダクト側渦電流シールド19(a)をフランジ部20面に貼られたフランジ渦電流シールド25と連結し一体構造の渦電流シールドにする。その結果、シールド電流11は主にフランジ部20のフランジ渦電流シールド25上を流れて隣り合う相の電流に合流し循環電流となる。このとき対面するケーブル側ダクト17(b)のフランジ部20のフランジ渦電流シールド25上に反対向きの電流が誘導される。そのため、ケーブル側ダクト17(b)のケーブル側渦電流シールド19(b)にも図11に示すような電流経路が形成され、両者が結合された場合に近い電流がタンク側ダクト17(a)からケーブル側ダクト17(b)に流れる。
【0047】
なお、フランジ部20に渦電流シールドを設けない場合でも、図13に示すように、タンク側ダクト17(a)とケーブル側ダクト側17(b)のそれぞれの誘導起電力によって同様の経路の電流26が流れるが、経路全体のインダクタンスが大きいため、ダクト内の渦電流シールドに十分な電流を流すことはできない。このためタンク側ダクト17(a)とケーブル側ダクト17(b)間に働く誘導起電力をシールド電流で吸収することができず、電流26はシールドの途切れた部分で鉄製の部材を渡るフランジ渡り電流26になる。それに対して、本実施形態によれば、フランジ部20のフランジ渦電流シールド25同志が対面することで相互インダクタンスが大きくなり、その分が自己インダクタンスから差し引かれるため経路全体のインダクタンスが小さくなって、ダクト側渦電流シールド19(a)とケーブル側渦電流シールド19(b)間に十分な電流を渡すことができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の渦電流シールド装置によれば、渦電流の発生を抑制する渦電流シールドが誘導渦電流の経路上で分割されるようなことがあっても、分割された渦電流シールド間の誘導渦電流を電磁作用により非接触で流通させることができ、さらに、分割部での機器の発熱を抑えて信頼性を向上させることができるとともに、損失を低減させて効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる渦電流シールド装置を備えた電力用機器の斜視図であり、
【図2】第1の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための電力用機器の斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係わる渦電流シールド装置を備えた変圧器の斜視図である。
【図4】第2の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器の鉄心脚における断面図である。
【図5】第2の実施形態に係わるの渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器の斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器の斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器の斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係わる渦電流シールドを備えた変圧器タンクの斜視図である。
【図9】第2の実施形態に係わる渦電流シールドを備えた3相5脚の変圧器にの斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係わるに渦電流シールド装置を備えた変圧器タンク用ダクトのフランジ部の斜視図である。
【図11】第3の実施形態に係わる渦電流シールド装置を備えた変圧器のタンク用ダクトおよびケーブル用ダクトの斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器タンク用ダクトのフランジ部の斜視図である。
【図13】第3の実施形態に係わる渦電流シールド装置の作用原理を説明するための変圧器のタンク用ダクトおよびケーブル用ダクトの斜視図である。
【符号の説明】
1(a),1(b),1(c) 巻線対
2 鉄心
2(a) 鉄心脚
3 タンク
3(a) タンク外壁面
3(b) タンク内壁面
4 1次巻線
5 2次巻線
6 サイドヨーク
7 巻線間隙
8,8(a),8(b),8(c) 漏洩磁束
9(a),9(b)相間渡り磁束
10 周回渦電流
11 シールド電流
12 フランジ部
14 周回渦電流シールド
14(a−3) 横方向一周渦電流シールド
14(a−1),14(a−2),14(b−1),14(b−2) 縦方向半周渦電流シールド
15(a) 下部フランジ渦電流シールド
15(b) 上部フランジ渦電流シールド
16(a) 下部渦電流シールド
16(b) 上部渦電流シールド
17(a) タンク側ダクト
17(b) ケーブル側ダクト
18 3相導体
19(a) タンク側ダクト渦電流シールド
19(b) ケーブル側ダクト渦電流シールド
20 フランジ部
21(a),21(b) 筐体
22 コイル
23 コイル磁界
24(a) 下部筐体渦電流シールド
24(b) 上部筐体渦電流シールド
25 フランジ渦電流シールド
26 フランジ渡り電流

Claims (6)

  1. 電気機器から発生する動磁束と交鎖する低抵抗導体を設けて、該低抵抗導体上に誘導渦電流を発生させ、該低抵抗導体以外における誘導渦電流の発生を抑制するとともに、前記低抵抗導体が前記誘導渦電流の経路上で2以上に分割可能に設けられた電気機器の渦電流シールド装置において、
    前記分割された低抵抗導体は、分割された低抵抗導体毎に分割箇所同士を結合して周回する周回低抵抗導体を設け、前記分割された低抵抗導体の結合時、前記周回抵抗導体間の相互インダクタンスによる電磁的結合により、前記分割された低抵抗導体間の前記誘導渦電流の経路を形成することを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
  2. 時間的に変化する動磁束を発生する電気機器と、該電気機器を取り囲む筐体と、該筐体内面に前記電気機器から発生する動磁束と交鎖する低抵抗導体を設け、前記低抵抗導体上に誘導渦電流を発生させて前記低抵抗導体以外における誘導渦電流の発生を抑制するとともに、2以上に分割される前記筐体の分割とともに前記低抵抗導体が前記誘導渦電流の経路上で分割される電気機器の渦電流シールド装置において、
    前記分割された低抵抗導体は、分割された低抵抗導体毎に分割箇所同士を結合して周回する周回低抵抗導体を設け、前記分割された筐体および低抵抗導体の結合時、前記周回抵抗導体間の相互インダクタンスによる電磁的結合により、前記分割された低抵抗導体間の前記誘導渦電流の経路を形成することを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
  3. 請求項2において、
    前記筐体は前記低抵抗体よりも高抵抗な部材で構成されていることを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
  4. 請求項1ないしは請求項3のいずれか1つの請求項において、
    前記電気機器は、鉄心を巻回した巻線対から構成され、前記動磁束は前記巻線対から発生していることを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
  5. 請求項2ないしは請求項3のいずれか1つの請求項において、
    前記電気機器は、鉄心と該鉄心の周囲に互いに同心状に巻回された低圧巻線と高圧巻線からなる巻線対を備える変圧器またはリアクトルから構成されるとともに、前記筐体は分割されたタンクと分割された前記タンクの結合時に結合されるタンクフランジ部から構成され、前記各周回低抵抗導体は前記各タンクフランジ部に設けられることを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
  6. 請求項2ないしは請求項3のいずれか1つの請求項において、
    前記電気機器は前記変圧器または前記リアクトルに接続されるケーブルから構成されるとともに、前記筐体は前記変圧器または前記リアクトルのタンクに接続され前記ケーブルを囲む分割されたダクトと分割された前記ダクトの結合時に結合されるダクトフランジ部から構成され、前記各周回低抵抗導体は前記ダクトフランジ部に設けられることを特徴とする電気機器の渦電流シールド装置。
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