JPH11340056A - 電力用変圧器 - Google Patents

電力用変圧器

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JPH11340056A
JPH11340056A JP14140498A JP14140498A JPH11340056A JP H11340056 A JPH11340056 A JP H11340056A JP 14140498 A JP14140498 A JP 14140498A JP 14140498 A JP14140498 A JP 14140498A JP H11340056 A JPH11340056 A JP H11340056A
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JP
Japan
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tank
eddy current
shield
winding
magnetic flux
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Application number
JP14140498A
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English (en)
Inventor
Yoshiya Higuchi
佳也 樋口
Makoto Koizumi
眞 小泉
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第二の周回渦電流と第三の周回渦電流とによ
る損失を低減すること。 【解決手段】 第一シールド手段8と第二シールド手段
15とを用いるので、周回渦電流6aと6bとによる損
失を低減できるのに加え、第一シールド手段により大域
的循環渦電流10が増加したり、また第二シールド手段
によりタンク天井面,底面での渦電流損が増加したりす
るのを防止できる。即ち、双方のシールド手段を用いる
ことにより、個々に設けた場合に起こり得る悪影響をも
取り除くことができ、これにより、タンク4における渦
電流による損失及び発熱を大幅にかつ確実に低減でき、
従って、第一の実施例と第二の実施例とを組み合わせた
構成をとるのが最も良好となり、特に局所的発熱が好ま
しくない電力用変圧器においては極めて有益となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力用変圧器に係
り、特に、鉄製タンクの内部に、鉄心の周囲に互いに同
心上に巻回して収容されている高圧巻線と低圧巻線の間
隙より漏洩する磁束により、タンクの内壁に発生する渦
電流を低減するのに好適な変圧器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、増大する電力需要に対して、電力
用変圧器の大容量化が余儀なくされている。電力用変圧
器の多くは、巻線の内部に鉄心を含む内鉄型で、低圧側
の一次巻線,高圧側の二次巻線を対にして一つの鉄心に
同心上に配置する構成をとっている。タンク内に油が封
入されている油絶縁・冷却の変圧器にあっては、三相の
同心巻線を三相三脚もしくは三相五脚の鉄心に配置し、
これを一つの長型タンクに収めることが多い。また、大
都市の地下変電所向けに不燃化が要請されていることか
ら、タンク内に六フッ化硫黄などの不燃ガス、またはパ
ーフロロカーボンなどの不燃液体を封入して絶縁・冷却
の役割をさせる変圧器もある。これらは各相毎に単独の
タンクに収めることが多い。
【0003】このような変圧器において、タンクに発生
する渦電流による損失及び発熱を低減する手段として、
従来は、各相の巻線の側面に鋼板シールド,ケイ素積層
鋼板シールドなどのシールド装置を設置している。以下
に従来技術の具体例を示す。即ち、第一の従来技術とし
て、特開平1−89409号公報に記載のように、磁束
がタンク側面に侵入する位置に鋼板などの低抵抗部材を
設けて該部材上に渦電流を発生させ、これによる反磁界
で鉄製のタンクに磁束が侵入するのを抑制し、渦電流に
よる損失を低減するものがある。
【0004】また、第二の従来技術は、特開昭63−1
17412号公報,同62−73703号公報,同62
−37919号公報に記載のように、磁束が侵入するタ
ンク側面に渦電流が発生しにくい積層鋼板を設け、これ
によって磁束がタンクに侵入しないようにするものがあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者等
は磁性体の特性を考慮した三次元渦電流解析技術を用
い、一つのタンクに三相変圧器を収める構造において渦
電流分布を検討した結果、以下の知見を得た。
【0006】即ち、巻線間隙から発生した漏洩磁束は透
磁率の高い鋼鉄製のタンク側壁面に侵入する。またこの
漏洩磁束の一部は、巻線の軸と対向するタンク底面及び
天井面にも吸引される。これにより、タンク内面ではこ
れらの漏洩磁束を囲むような渦電流が発生する。漏洩磁
束がタンク表面に侵入する部位では、タンクに対して垂
直な磁束の成分を直接タンク面上で囲むように局所的な
周回渦電流が発生することとなる。
【0007】この局所的な周回渦電流のうち、第一の周
回渦電流の経路としては、二つの楕円型周回路をとる互
いに電流が逆となる渦電流の対が、タンク側壁面に上下
に並んで発生する。また、第二の周回渦電流の経路とし
ては、タンク底面及びタンク天井面においては円周経路
をもつ巻線の映像渦電流が発生する。
【0008】一方、タンクの板厚内に侵入した磁束に対
しては、タンクの内周を大域的に周回する経路をとらな
いとこの磁束を囲むことができない。従って、タンクの
板厚内に侵入した磁束によって駆動される渦電流は、タ
ンクの内周を大域的に周回する第三の周回渦電流の経路
をとって流れる。この場合、巻線対がタンク内に一対し
かない単相単巻線対の変圧器においては、この大域的周
回渦電流の経路はタンク内壁を巻線方向に一周するよう
な経路となる場合が多い。また、巻線が三対ある三相変
圧器においては、以下のような大域的な周回渦電流経路
になる。
【0009】即ち、三相変圧器において互いに隣接する
二対の巻線は位相差のため互いに励磁方向が逆になる瞬
間がある。このとき二対の巻線が発生する漏洩磁束によ
る渦電流は、タンク内壁をそれぞれ逆方向に周回するこ
とになる。二対の巻線が隣接する部位では、渦電流の方
向が対向するようになるため、タンクの上下に分かれて
流れ、タンクの上部または下部に回った渦電流は、反対
側の側面で再び巻線方向に周回し、出発点に戻って一周
経路を形成する。但し、商用周波数の三倍の周波数をも
つ第三調波成分の漏洩磁束により発生する渦電流は、三
相の巻線対の発生する漏洩磁束の位相が揃うため、単相
の場合と同様なタンクを巻線方向に一周する経路をと
る。
【0010】ところが、上述した従来技術は何れも、第
一の周回渦電流経路としてのタンク側面の局所的な渦電
流を抑制するのに効果があるものの、タンクの底面及び
天井面に発生する巻線の映像渦電流,またタンク側面の
板厚内に侵入した磁束が駆動する周回渦電流及び三相変
圧器における第三調波成分の大域的な周回渦電流に対し
て考慮されておらず、従って、第二,第三の周回渦電流
による損失を低減することについて配慮されていなかっ
た。
【0011】本発明の目的は、前記従来技術の問題点に
鑑み、第二の周回渦電流と第三の周回渦電流とによる損
失を低減し、渦電流に対する影響をより確実に低減する
ことができる電力用変圧器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、鉄心と、該
鉄心の周囲に同心上に配置された低圧巻線,高圧巻線か
らなる巻線対とを鉄製のタンクに収容した電力用変圧器
において、タンク内に、タンクより低抵抗導体で形成さ
れ、かつ巻線対の上下部と対向する位置に配置された第
一シールド手段と、巻線対を包囲するように配置された
第二シールド手段とを有することを特徴とするものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1乃至
図12により説明する。図1〜図3は本発明の電力用変
圧器を単相変圧器に適用した第一実施例を示している。
実施例の電力用変圧器は、図3に示すように、一本の鉄
心脚1aとサイドヨーク1bとを有する一脚型鉄心1が
形成され、その鉄心脚1aの周囲に一次(低圧)巻線2
と二次(高圧)巻線3とが同心上に配置された内鉄型を
形成し、これら鉄心1,一次巻線2,二次巻線3により
変圧器本体が構成されている。そして、この変圧器本体
が冷却と絶縁のため油などを満たした鉄製のタンク4に
収容されることにより変圧器が構成され、本例では前記
巻線2,3が一対だけ設置された単相変圧器をなしてい
る。これ以外の変圧器としては、例えば図7に示すよう
に三相三脚のもの、或いは図9に示すような三相五脚の
大容量のものもある。
【0014】このような構成の電力用変圧器は、電圧を
印加した場合、図4に示すように、一次巻線2と二次巻
線3との間隙5から磁束が矢印の如く漏洩し、その漏洩
した磁束6の一部が、磁性体であるタンク4に吸引さ
れ、その側壁面内を貫通して再び巻線間隙5に戻る。こ
のとき、タンク4側壁面内を貫通して戻る漏洩磁束6の
経路としては、鉄心脚1aや鉄心締め金具22を経由し
てからタンク4の天井面及び底面に吸引される漏洩磁束
6aと、タンク4側壁に直接吸引される漏洩磁束6bと
がある。なお、それ以外の漏洩磁束として、鉄心脚1a
内に吸引されて再び巻線間隙6に戻る経路もあるが、こ
れはタンク4の渦電流を発生させるほどのものではない
ので、ここでは問題としていない。
【0015】そして、上記漏洩磁束6のうち、タンク4
の天井面及び底面に吸引される漏洩磁束6aは、タンク
4の天井面及び底面に図2及び図4に示す如くこの部分
を取り囲むように周回する上・下の周回渦電流(映像渦
電流)7を発生させ、該周回渦電流7による損失と発熱
とが増加することとなる。この渦電流7の発生の様子を
図2に模式的に表している。
【0016】そこで、本発明の第一実施例においては、
一次巻線2と二次巻線3との巻線対の上・下部に第一シ
ールド手段8が設けられている。該第一シールド手段8
としては、鉄製のタンク4より低抵抗導体からなる銅も
しくはアルミ等によって環状に形成され、図1に示すよ
うにタンク4内において巻線対の底面部と対向する位置
に配置された底面シールド板8aと、また巻線対の上面
部と対向する位置に配置された上面シールド板(図示せ
ず)とからなっている。
【0017】実施例は上述の如く、タンク4内において
一次巻線2,二次巻線3からなる巻線対の上・下面部と
対向する位置に第一シールド手段8を配置すると、巻線
間隙5からの漏洩磁束6が底面シールド板8aに作用
し、該シールド板8a上で周回渦電流7が発生すること
になる。この結果、第二の周回渦電流について考慮して
いない従来技術と異なり、漏洩磁束6がタンク4の上・
下面部まで侵入するのを抑えることができるので、タン
ク4に周回渦電流6aが発生するのを抑制し、それだけ
渦電流によるタンク4の損失及び発熱を確実に低減する
ことができる。この損失及び発熱の低減効果は、媒質の
抵抗値に比例するので、タンク4よりも一桁抵抗の低い
銅製のシールド板にすると、問題にならない程度に小さ
くすることができるものである。
【0018】本実施例の第一シールド手段8の底面シー
ルド板8a,上面シールド板として、周回渦電流7の発
生密度及び経路の形状に合わせて前述の如く環状に形成
した例を示したが、これに限らず、中心部に穴を設けな
い単なる円盤形状でもほぼ同様の作用効果を得ることが
できる。また、他の構造物との干渉を考慮した場合、渦
電流の周回経路が同等であれば、巻線対の大きさに匹敵
するような他の形状、例えば四角形状に形成しても同様
の効果を得ることができる。
【0019】以下に、四角形状にした場合の変形例を図
5〜図7に示す。これらの図は鉄心1に設けられた三本
の鉄心脚1aに、一次巻線2,二次巻線3からなる三個
の巻線対1A〜1Cがそれぞれ設けられた三相三脚変圧
器に適用した例を示し、四角形状の底面シールド板8a
は、タンク4内の底部に図5の如く設置された台座9の
上に取付けられたものである。台座9は、タンク4内に
変圧器本体を載置するためのものであり、通常では図6
に示すように、枕木状のもので複数横置されている。そ
して、この台座9に跨るように底面シールド板8aを折
曲加工し、これを一次巻線2,二次巻線3からなる巻線
対の底面とほぼ向かい合うよう、図5に示す如く台座9
の上に取付ければ良く、或いは図6に示す如く真ん中を
四角にくり抜いた四角形状のものを同様にして取付けて
も良く、何れにしろ、巻線対からの漏洩磁束5によって
周回渦電流7を発生させ得る形状であればよい。なお、
底面シールド板8aのみ図示しているが、図示しない上
面シールド板は、タンク4の天井面部に取付けられるの
で、通常では他の構造物と干渉するおそれがないので、
図1のような環状のものでもよいが、勿論四角形状のも
のであってもよい。
【0020】次に、図8は本発明の電力用変圧器を三相
五脚鉄心に適用した第二実施例を示し、図9は三相五脚
鉄心を有する大容量タイプの変圧器を示す。この場合
は、前述した漏洩磁束6aと漏洩磁束6bとのうち、磁
束がタンク4の側壁に吸引される漏洩磁束6bによる影
響を低減できるようにしたものである。
【0021】まず、この漏洩磁束6bについて具体的に
述べると、図4に示すように、タンク4の外壁面4aが
囲む内部領域では、等量の磁束が往復するのみで外壁面
4aが囲む正味の鎖交磁束は存在しない。このため、外
壁面4a上には巻線間隙5から漏洩した磁束6bによっ
て渦電流が発生することはない。
【0022】一方、タンク4の内壁面4bが囲む内部領
域では、巻線間隙5を通過する磁束6bが正味の鎖交磁
束として存在するため、これを打ち消す方向に渦電流1
0が発生する。この渦電流10は図4に示すように、巻
線近傍においてタンク4の周面を水平方向に流れる。
【0023】ところがこの場合、図9に示す三相五脚の
変圧器にあって各相の巻線対が隣接する部分では、該巻
線対間の位相差のために極性が反転しているため、隣接
巻線対同士を結ぶような相関渡り磁束21a,21bを
上下部位で発生させるので、この相関渡り磁束21a,
21bにより渦電流10が垂直方向に誘導される。
【0024】従って、三相五脚の変圧器の場合、渦電流
10は図9に示す如くタンク4において、各巻線対1A
〜1C間の周囲では水平方向に発生するが、両巻線対1
A〜1Cの隣接する部分では水平方向から垂直方向に向
きを変え、タンク4の天井面部及び底面部を通って反対
側の面に周り、再び水平方向に向きが戻る大域的経路と
なる。
【0025】この実施例においては、前述の如く水平方
向から垂直方向に、また垂直方向から水平方向に向きを
変えるモードの渦電流10を低減するためのものであ
り、図8に示す如き第二シールド手段15を有してい
る。
【0026】該第二シールド手段15としては、前記第
一シールド手段8と同様低抵抗導体により形成され、タ
ンク4内において、図8に示すように、各巻線対1A〜
1Cの周囲を横方向に沿って包囲するように配置された
横方向一周シールド板15aと、各巻線対1A〜1Cの
隣接する部分,及びそれに対応する鉄心1の上下部分,
並びに鉄心締め金具22の周囲を縦方向に沿って包囲す
るように配置された縦方向一周シールド板15bとを有
している。この場合、本例では該縦方向一周シールド板
15bと横方向一周シールド板15aとを一体的に形成
しているが、それぞれ別個に形成してもよい。
【0027】上記の如く構成した変圧器は、図8に示す
ように、巻線対1A〜1Cの各巻線間隙5から漏洩磁束
6が発生すると共に、各巻線対1A〜1C間で相関渡り
磁束21a,21bが発生するので、大域的循環渦電流
10が発生しようとする。しかしこの場合、タンク側壁
と、各巻線対1A〜1C,鉄心1,鉄心締め金具22と
の間に第二シールド手段15が設けられ、漏洩磁束6に
対し第二シールド手段15の横方向一周シールド板15
aが鎖交すると共に、相関渡り磁束21a,21bに対
し第二シールド手段15の縦方向一周シールド板15b
が鎖交しているので、縦方向一周シールド板15b及び
横方向一周シールド板15a上に実線にて示す矢印の如
き互いに逆向きとなる誘導電流11が発生する。この誘
導電流11の向きは図8に示すように、巻線の位相差に
より互いに逆向きとなり、また巻線対1A〜1Cの間で
上下方向に向きを変え、鉄芯1の上下を渡って一周する
よう縦方向一周シールド板15b上を流れる。その際、
漏洩磁束6bと相関渡り磁束21a,21bとをそれぞ
れ打ち消す方向の磁界を発生するので、タンク4に作用
する磁束を低減でき、タンク4上での渦電流を抑制する
ことができる。
【0028】一方、横方向一周シールド板15a上に
は、商用周波数の三倍の周波数をもつ第三調波によるシ
ールド誘導電流12が図8に破線にて示す矢印の如く発
生し、該シールド誘導電流12は巻線対1A〜1C間で
位相差がないので、横方向一周シールド板15a上をそ
のまま流れることになる。その際、漏洩磁束6bをそれ
ぞれ打ち消す方向の磁界を発生させるので、タンク4に
かかる磁束を低減でき、タンク4上での渦電流を誘導電
流11の場合と同様抑制することができる。
【0029】従って、上記の如き構成の第二シールド手
段15を設けると、基本波としての誘導電流11と第三
調波によるシールド誘導電流12との双方による渦電流
を低減することができるので、第三の周回渦電流の発生
について考慮していない従来技術に比較し、タンク4に
対する磁束を低減でき、損失及び発熱を低減することが
できる。
【0030】また、前記第二シールド手段15は図9に
示した大域的循環渦電流10を低減するだけでなく、漏
洩磁束6bがタンク4に侵入する部位で発生する、もっ
と局所的な循環電流をも低減することができる。その理
由は、該第二シールド手段15は局所的循環渦電流20
の発生要因である、タンク4に入射する漏洩磁束6自体
を低減するからであり、磁束低減効果をいっそう高める
ことができる。このような磁束低減効果は、図8に示す
三相五脚鉄心の変圧器のみに限らず、図10に示すよう
に三相三脚鉄心を有する変圧器にあっても同様である。
【0031】図11及び図12は本発明の他の実施例を
示し、これまで述べた第一実施例と第二実施例とを組み
合わせたものである。即ち、この実施例では、タンク4
の上・下面部に周回渦電流6aが発生するのを抑制する
ための第一シールド手段8と、タンク4内で大域的循環
渦電流10が発生するのを抑制するための第二シールド
手段15とを設けたものである。この場合の第一シール
ド手段8は、図10に示すように、タンク4内で上,下
面部に配置される底面シールド板8a,上面シールド板
8bにより構成され、また第二シールド手段15は図8
にて前述した如き横方向一周シールド板15aにより構
成される。
【0032】前記第一実施例のような第一シールド手段
8のみを用いた場合、タンク4の天井面及び底面に吸引
される漏洩磁束6aの一部が、シールド板8a及び8b
の反磁界により跳ね返されてタンク側壁側に方向を変え
るので、結果的にタンク側壁に直接吸引される漏洩磁束
6bが増え、そのため、大域的循環渦電流10がその分
増加するおそれがある。また、前記第二の実施例のよう
な第二シールド手段15のみを用いた場合、タンク側壁
に直接吸引される漏洩磁束6bが第二シールド手段15
の反磁界で跳ね返されるので、漏洩磁束6bの一部がタ
ンク4の天井面及び底面に吸引され、結果的にタンク天
井面及び底面での渦電流損が増加するおそれがある。
【0033】本実施例では、上述の如く第一シールド手
段8と第二シールド手段15とを用いるので、周回渦電
流6aと6bとによる損失を低減できるのに加え、第一
シールド手段により大域的循環渦電流10が増加した
り、また第二シールド手段によりタンク天井面,底面で
の渦電流損が増加したりするのを防止することができ
る。即ち、双方のシールド手段を用いることにより、個
々に設けた場合に起こり得る悪影響をも取り除くことが
でき、これにより、タンク4における渦電流による損失
及び発熱を大幅にかつ確実に低減することができる。従
って、第一の実施例と第二の実施例とを組み合わせた構
成をとるのが最も良好となり、特に局所的発熱が好まし
くない電力用変圧器においては極めて有益となる。な
お、第一シールド手段8の底面シールド板8aの取付け
については図6にて示したが、上面シールド板8bは図
11に示す如く、タンク4の天井面部に溶接などにより
直接取付けられ、また第二シールド手段15の横方向一
周シールド板15a及び縦方向一周シールド板15bも
タンク側壁に直接取付けられ、取付作業を容易とするの
が好ましい。但し、取付け上の作業性などを考慮しなけ
れば、特殊な取付手段を用いたりすることにより、タン
ク4の内壁面から空間を隔てた位置に取付けてもよい。
【0034】また、図12では本実施例を単相変圧器に
適用した例(タンク天井面のシールド板は図示せず)を
示したので、第二シールド手段15が巻線対の横方向の
周囲のみを包囲するように形成されているが、三相三脚
の変圧器,三相五脚の変圧器に適用した場合は、第二シ
ールド手段15が図8,図10に示す如く、各巻線対の
横方向の周囲を包囲すると共に、隣接する巻線対相互の
縦方向の周囲を包囲するよう、即ち、横方向一周シール
ド板15aと横方向一周シールド板15bとを有する形
状に形成し、これによって全ての巻線対1A〜1Cの周
囲を横方向に沿い包囲すると共に、各巻線対1A〜1C
の互いに隣接する部分の周囲を縦方向に沿い包囲するの
は勿論である。
【0035】さらに図示実施例では、第一シールド手段
8と第二シールド手段15とが別個に形成された例を示
したが、例えばタンク内部に収容される部材や鉄心の構
造上、第一シールド手段の底面シールド板,上面シール
ド板と第二シールド手段15の横方向一周シールド板,
立て方向一周シールド板とが干渉する場合には、それら
を一体的に形成してもよい。
【0036】以上説明したシールド手段の材料として例
えば銅を用いた場合、タンク4に用いる鉄に比べると1
/10程度の電器抵抗であるため、渦電流は10対1程
度の割合で大部分がシールド手段上を流れるようにな
り、鉄製タンク4上では10分の1に抑制することがで
きる。このような系列において渦電流の強さは、導体の
抵抗率よりもむしろインダクタンスに支配され、ほぼ鎖
交磁束を相殺する分だけ流れる。従って、シールド手段
を設けない場合や設けた場合は全電流はあまり変わらな
いこととなる。但し、渦電流損は抵抗率の一乗で、かつ
渦電流の二乗に比例する。このことからシールド手段を
設けた場合、全渦電流損を従来技術の1/11程度にで
きることになる。
【0037】以上の説明を表現すると、次式のようにな
る。なお、以下の数式において「=」はほぼ等しいとい
う意味である。
【0038】
【数1】 電器抵抗Rの関係は Rシールド=0.1×Rタンク
【0039】
【数2】 誘導電流Iの関係は 10×Iタンク(シールドあり)=Iシールド
【0040】
【数3】 Iタンク(シールドなし)=Iタンク(シー
ルドあり)
【0041】
【数4】 損失Wの関係は W(シールドなし)=Rタンク×(Iタンク(シールド
なし))2
【0042】
【数5】W(シールドあり)=Rタンク×(Iタンク
(シールドあり))2+Rシールド×(Iシールド)2
【0043】
【数6】 比率は W(シールドあり)/W(シールドなし)={Rタンク
×(Iタンク(シールドあり))2+Rシールド×(I
シールド)2}/{Rタンク×(Iタンク(シールドな
し))2}=1/11 (但し、上記数式(1)〜(3)を代入して整理し
た)。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、タ
ンク内に、タンクより低抵抗導体で形成され、かつ巻線
対の上下部と対向する位置に配置された第一シールド手
段と、巻線対を包囲する形状の第二シールド手段とを有
し、巻線対から発生する渦電流に有効に対処することが
でき、タンクに発生する渦電流よる損失及び発熱を確実
に低減し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力用変圧器を単相変圧器に適用した
第一実施例を示す周回渦電流と第一シールド手段との説
明用斜視図。
【図2】タンク底面に発生する渦電流の作用を示す説明
用斜視図。
【図3】単相変圧器を示す斜視図。
【図4】変圧器における磁束とタンクに発生する渦電流
との作用を示す説明断面図。
【図5】電力用三相三脚変圧器に第一シールド手段を適
用した状態を示す斜視図。
【図6】第一シールド手段の底面シールド板の取付け状
態を示す拡大斜視図。
【図7】三相三脚変圧器を示す一部破断の斜視図。
【図8】本発明を電力用三相五脚変圧器に適用した第二
実施例を示す作用説明の斜視図。
【図9】一般の電力用三相五脚変圧器に発生する周回渦
電流を示す説明用斜視図。
【図10】第二実施例を電力用三相三脚変圧器に適用し
た斜視図。
【図11】本発明を電力用単相変圧器に適用した他の実
施例を示す斜視図。
【図12】本発明の他の実施例の作用を示す説明用断面
図。
【符号の説明】
1…鉄心、1a…鉄心脚、1A〜1C…巻線対、2…一
次(低圧)巻線、3…二次(高圧)巻線、4…タンク、
5…巻線間隙、6a,6b…漏洩磁束、7…周回渦電
流、8…第一シールド手段、8a…底面シールド板、8
b…上面シールド板、15…第二周シールド手段、15
a…横方向一周シールド板、15b…縦方向一周シール
ド板、22…鉄心締め金具。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心と、該鉄心の周囲に同心上に配置さ
    れた低圧巻線,高圧巻線からなる巻線対とを鉄製のタン
    クに収容した電力用変圧器において、タンク内に、タン
    クより低抵抗導体で形成され、かつ巻線対の上下部と対
    向する位置に配置された第一シールド手段と、巻線対を
    包囲するように配置された第二シールド手段とを有する
    ことを特徴とする電力用変圧器。
  2. 【請求項2】 鉄心と、該鉄心の周囲に同心上に配置さ
    れた低圧巻線,高圧巻線からなる複数の巻線対とを鉄製
    のタンクに収容した電力用変圧器において、タンク内
    に、タンクより低抵抗導体で形成され、かつ各巻線対の
    上下部と対向する位置に配置された第一シールド手段
    と、複数の巻線対の周囲を横方向に沿い包囲すると共
    に、各巻線対の互いに隣接する部分の周囲を縦方向に沿
    い包囲するように配置された第二シールド手段とを有す
    ることを特徴とする電力用変圧器。
JP14140498A 1998-05-22 1998-05-22 電力用変圧器 Pending JPH11340056A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011035159A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Tokyo Electric Power Co Inc:The 静止誘導電器
CN105355400A (zh) * 2015-12-10 2016-02-24 西南交通大学 一种抑制漏磁提高交变磁场传输效率的构造

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JP2011035159A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Tokyo Electric Power Co Inc:The 静止誘導電器
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