JP3935048B2 - 被覆電線検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆電線の端部の状態を検査する検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被覆電線の端部芯線に圧着端子を圧着するために、被覆電線の端部被覆を剥ぎとった場合、被覆電線の端部に芯線切れや芯線曲がり等といった不良が発生する場合がある。
【0003】
従来、このような不良を検知するために、被覆電線の長手方向に垂直な方向に配置された光源から被覆電線の端部に対して所定の光を照射し、光源に対向して配置された受光部にて被覆電線の端部が遮光されたシルエット画像を取得してその画像を分析するものが存在する(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−19819号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術では被覆電線端部の不良を正確に検出することができない。例えば、図8に示すように被覆電線の端部被覆を剥ぎとった際に、一部の芯線が切れた場合、その芯線切れ部分95が光源から影になる位置(若しくは受光部から影になる位置)に存在すると、受光部において得られるシルエット画像は正常な画像と相違するところがない。このため、芯線切れの生じる部分によっては正確な不良検出ができなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、被覆電線の端部に芯線切れやその他の不良が生じてもそれを良好に検知することの可能な検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被覆電線の端部の状態を検査する被覆電線検査装置であって、被覆がストリップ加工された前記被覆電線の端面に対向して配置され、前記被覆電線の端面画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段から得られる前記端面画像を分析することにより、前記被覆電線の端部の状態を検査する分析手段と、を備え、前記撮影手段の焦点位置が前記被覆のストリップ長が正常な場合の前記被覆電線の端面位置に設定されていることを特徴としている。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の被覆電線検査装置において、複数の方向から前記被覆電線の端面を照明する照明手段をさらに備えて構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態にかかる被覆電線検査装置1の構成を示す図である。被覆電線90の端部は、被覆91が所定の長さ剥ぎ取られ、芯線92が露呈した状態にストリップ加工されるが、本被覆電線検査装置1はこのストリップ加工された被覆電線90の端部の状態を検査するように構成される。
【0012】
被覆電線検査装置1は、被覆電線90の端部を撮影する撮影カメラ10と、撮影カメラ10によって得られる画像を分析し、被覆電線90の端部の不良を検出する分析ユニット20と、撮影カメラ10及び分析ユニット20を制御し、被覆電線90の端部の状態を検査するための動作を統括制御する制御部30と、被覆電線90の端部を照明するための照明部40と、検査対象となる被覆電線90の端部が撮影位置に配置されたことを検知する検知センサ50とを備えて構成される。
【0013】
撮影カメラ10の撮影光軸Lと被覆電線90の中心線とはほぼ一致する状態に配置されている。つまり、撮影カメラ10は検査対象となる被覆電線90の端面に対向して配置され、被覆電線90の端面画像を撮影することが可能なように配置されている。
【0014】
また、撮影カメラ10はレンズ系11と撮像素子12とを備えて構成され、被覆電線端部の画像はレンズ系11を介して撮像素子12に結像される。レンズ系11は、被覆電線90のストリップ部(被覆皮剥部)の長さが正常である場合、その焦点位置が芯線92の端面位置にほぼ一致するように構成される。つまり、レンズ系11の焦点距離fは、ストリップ長が適正長である場合、レンズ系11と芯線92との端部との距離にほぼ一致するように構成される。また、レンズ系11の被写界深度はなるべく浅くすることが好ましい。そして撮像素子12は、CCD二次元センサ等で構成され、被覆電線90の端面画像を電子的な画像データとして出力するように構成される。
【0015】
分析ユニット20はメモリ21と分析部22とを備え、撮影カメラ10から得られる被覆電線90の端面画像を入力して画像分析を行うように構成されている。メモリ21は撮像素子12から得られる画像データを一時的に記憶するために設けられ、分析部22はメモリ21に格納された端面画像を分析して被覆電線端部の不良を検出する。
【0016】
照明部40は、例えば撮影光軸Lの周囲に配置される複数の光源41,42を備え、撮影カメラ10の撮影時に複数の方向から被覆電線90の端部を照明するように構成される。複数の方向から被覆電線90の端部を照明することにより、被覆電線90の端部に影が生じる部分を低減することができ、端面画像による不良検出の精度を高めることができる。
【0017】
検知センサ50は、検査対象となる被覆電線90の存在を検知するために、投光部51と受光部52とが対向配置された構成となっている。投光部51は、その出射光53が被覆電線90の配置されるべき空間を通過するようにように設置されている。そのため、受光部52において投光部51からの出射光53が受光されている場合、被覆電線90は撮影カメラ10によって撮影可能な位置には存在しないことになる。これに対し、投光部51からの出射光53が被覆電線90によって遮光され、受光部52において出射光53を受光しなくなった場合には、被覆電線90が撮影カメラ10によって撮影可能な位置に配置されたことになる。このような検知センサ50は1個に限られず、複数個の検知センサを設けて正確に位置検出を行うようにしてもよい。また、後述する位置決めを行う際の検知センサとして使用することもできる。
【0018】
制御部30は、検知センサ50において被覆電線90が撮影位置に配置されたことが検知された際に、撮影カメラ10の撮影タイミングを指示したり、各光源41,42の点灯を制御したり、分析ユニット20に対して端面画像の分析を指示するように構成される。つまり、制御部30は、検知センサ50、撮影カメラ10、照明部40、及び、分析ユニット20が連繋して被覆電線端部の検査動作を行うように制御する。
【0019】
以上のような構成の被覆電線検査装置1において、被覆電線90の端部の検査動作について説明する。
【0020】
図2は、正常な被覆電線端部を撮影する際の撮影状態を示す図である。例えば、被覆電線90の位置決めは、被覆91の端部91aの位置が撮影カメラ10の焦点位置から距離dだけ撮影カメラ10から離れた位置となるようにして行われる。ただし、距離dは、正常な被覆電線90のストリップ長(適正長)にほぼ一致するように設定される。このような位置決めが行われることにより、正常な被覆電線90において芯線92の端部92aは撮影カメラ10の焦点位置に配置される。
【0021】
そして被覆電線90の位置決めが行われ、かつ、撮影位置に被覆電線90が配置されたことが検知センサ50によって検知されると、制御部30が撮影カメラ10に対して撮影指示を行い、撮影カメラ10による撮影が行われる。
【0022】
図2に示す正常な被覆電線90の端部を撮影して得られる端面画像を図3に示す。ただし、図3では、ピントの合った画像部分を実線で示し、ピントのぼけた画像部分を破線で示している(図5においても同じ。)。正常な被覆電線90を撮影カメラ10が撮影した場合、芯線92の画像はピントの合った画像となり、被覆91の画像はぼけた画像となる。したがって、被覆電線検査装置1において、図3に示すような端面画像が得られた場合には電線端部の加工は良好であると判断できるのに対し、図3とは異なる端面画像が得られた場合には不良であると判断できる。
【0023】
次に、図4は各種不良の被覆電線端部を撮影する際の撮影状態を示す図であり、図5は図4の撮影状態によって得られる被覆電線90の端面画像を示す図である。
【0024】
まず、図4(a)は芯線引掛が生じている場合の不良状態を示しており、芯線92の一部が適正長よりも長く、かつ、外側に広がった状態となっている。この場合、撮影カメラ10によって得られる端面画像は図5(a)に示すような画像となり、芯線92の一部の画像がぼけた状態となり、かつ、被覆部分から外側に突出した状態となる。
【0025】
また、図4(b)は芯線ばらけが生じている場合の不良状態を示しており、芯線92の多くが外側に広がった状態となっている。この場合、撮影カメラ10によって得られる端面画像は図5(b)に示すような画像となり、各芯線92の画像にピントが合っているにもかかわらず、外側部分の芯線92が被覆部分から外側に突出した状態となる。
【0026】
また、図4(c)は芯線切れが生じている場合の不良状態を示しており、芯線92の下部一本が切れた状態となっている。この場合、撮影カメラ10によって得られる端面画像は図5(c)に示すような画像となり、芯線下部の一本について画像がぼけた状態となる。
【0027】
また、図4(d)は芯線の引き抜けが生じている場合の不良状態を示しており、芯線92の一部が適正長よりも長い状態になっている。この場合、撮影カメラ10によって得られる端面画像は、図5(d)に示すような画像となり、一部の芯線92について画像がぼけた状態となる。
【0028】
さらに、図4(e)はストリップ長が適正長よりも短い場合の不良状態を示し、図4(f)はストリップ長が適正長よりも長い場合の不良状態を示している。これらの場合、撮影カメラ10によって得られる端面画像は図5(e)に示すような画像となり、芯線92の全てがぼけた状態となる。
【0029】
このように各種不良状態の被覆電線90を撮影カメラ10にて撮影した場合に得られる端面画像は、正常な端面画像(図3参照)とは異なった画像となる。したがって、分析部22において画像処理を行うことによって、撮影カメラ10で得られる端面画像から被覆電線90の端部の状態を判定することができる。
【0030】
ここで、分析部22における分析処理の一例を説明する。図6は分析処理の処理シーケンスを示すフローチャートであり、図7は各ステップにおける画像処理の概念を示す図である。
【0031】
まず、分析ユニット20は分析処理を開始すると、撮影カメラ10から被覆電線90の端面画像を入力する(ステップS1)。ここでは、撮影カメラ10から入力する端面画像を仮に図7(a)に示すような画像であるとする。
【0032】
次に、分析部22はメモリ21から端面画像を取得し、濃淡処理を実行する(ステップS2)。具体的には、図7(b)に示すように、端面画像を水平方向及び垂直方向に走査して各方向についての濃度分布特性が求められる。この濃度分布特性から端面画像の画像平面において濃度の高い部分と低い部分とを特定することによって濃淡処理が行われる。
【0033】
そして濃度分布特性に基づいて端面画像の二値化処理が行われ、図7(c)に示すような二値化画像を生成する(ステップS3)。図7(c)の二値化画像において斜線部分が芯線92の端面として認識される部分である。一般に、端面画像においてピントの合った部分の画像は濃淡処理の結果、濃度の高い部分と認識され、ピントのぼけた部分の画像は濃度の低い部分と認識される。このため、図7(c)の二値化画像において芯線92の端面として認識される部分は、撮影カメラ10から得られる端面画像においてピントの合った部分、すなわち適正長の芯線92を示すことになる。
【0034】
次に、射影処理が実行され(ステップS4)、検査対象となる被覆電線90に対応して予め記憶された被覆部分の画像を二値化画像に重ね合わせる。この状態が図7(d)に示す画像であり、円状の枠画像が被覆部分の画像に相当する。このとき、二値化画像において芯線92と認識される部分の重心と、被覆部分の画像の中心とが一致するように位置合わせが行われる。
【0035】
そして、被覆部分の枠画像内部において、芯線92と認識された部分の面積がいくらであるかを計算によって求める(ステップS5)。正常な端面画像の場合、被覆部分の枠画像内部には通常一定の割合(例えば90%等)で芯線92の画像部分が存在するが、不良状態の端面画像の場合にはこの割合は減少する。このため、面積比較を行うことによって、被覆電線90の端部の良否を検査する(ステップS6)。具体的には、被覆部分の枠内において芯線92の占める割合が所定割合よりも大きい場合には良品と判定され、小さい場合には不良品と判断される。図7(d)の場合、芯線切れ等により、芯線92と認識された部分の面積が少なくなるので、不良と判定されることになる。
【0036】
以上のような処理を行うことにより、撮影カメラ10によって得られる端面画像から被覆電線90の端部の良否を判定することが可能である。ただし、分析部22においては、上述したような画像処理以外にも種々の画像処理を行うことで分析処理を行うことができることは勿論である。
【0037】
以上のように、本実施形態の被覆電線検査装置1においては、撮影カメラ10が被覆電線90の端面に対向して配置され、被覆電線90の端面画像を撮影するように構成され、分析ユニット20はその撮影カメラ10から得られる端面画像を分析することにより、被覆電線90の端部の状態を検査するように構成されるので、被覆電線の端部の状態を良好かつ正確に検査することができる。特に、芯線92の一部が芯線切れを生じてもそれを良好に検知することが可能である。
【0038】
また、正常な被覆電線90を検査する場合、撮影カメラ10の焦点位置が被覆電線90の端面位置となるように設定されるので、芯線92が適正長さである場合にはピントの合った画像が得られるのに対し、適正長さでない場合にはピントのぼけた画像が得られる。このため、比較的簡単な画像処理を行うことで全ての芯線92について芯線の長さも同時に検査することが可能である。
【0039】
さらに、撮影カメラ10が端面画像を撮影する際に、複数の方向から被覆電線90の端面を照明するように構成されているため、被覆電線90の端部に影が生じる部分を低減し、端面画像による不良検出の精度を高めている。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0041】
例えば、撮影カメラ10による撮影の前に、検査対象の被覆電線の先端部に対して所定色の塗料を塗る工程を介在させる場合、画像処理によって塗料の塗られた面積を計算することによって良否を検査することも可能である。この場合、撮影カメラ10はカラー撮影可能なものを用いればよく、焦点位置に関する上述した条件は大きな問題とならない。ただし、その場合でも焦点位置を上述した条件に設定し、色判定と画像のぼけ状態の判定との双方の観点から分析処理を進めることでより高精度な判定が可能になる。
【0042】
また、上記説明においては、複数の方向から被覆電線90の端部を照明する場合を例示したが、被覆電線90のほぼ正面位置から一の光源を使って照明することにより、良好な端面画像を撮影可能な場合はそのような構成を採用してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、撮影手段が、被覆がストリップ加工された被覆電線の端面画像を撮影するように、被覆電線の端面に対向して配置されており、その撮影手段から得られる端面画像を分析することによって被覆電線の端部の状態を検査するように構成されているため、被覆がストリップ加工された被覆電線の端部の状態を良好かつ正確に検査することができる。特に、芯線の一部が芯線切れを生じてもそれを良好に検知することが可能である。
【0044】
しかも、撮影手段の焦点位置が被覆のストリップ長が正常な場合の被覆電線の端面位置に設定されているため、端面画像から芯線の長さ等も良好に検査することが可能である。
【0045】
請求項に記載の発明によれば、複数の方向から被覆電線の端面を照明する照明手段により、被覆電線の端部に影が生じる部分を低減し、端面画像による不良検出の精度を高めている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる被覆電線検査装置の構成を示す図である。
【図2】正常な被覆電線端部を撮影する際の撮影状態を示す図である。
【図3】正常な端面画像を示す図である。
【図4】各種不良の被覆電線端部を撮影する際の撮影状態を示す図である。
【図5】各種不良状態の端面画像を示す図である。
【図6】分析処理の処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図7】分析処理における画像処理の一概念を示す図である。
【図8】芯線の一部において芯線切れが生じた被覆電線を示す図である。
【符号の説明】
1 被覆電線検査装置
10 撮影カメラ(撮影手段)
20 分析ユニット(分析手段)
30 制御部
40 照明部(照明手段)
90 被覆電線
91 被覆
92 芯線
f 焦点距離

Claims (2)

  1. 被覆電線の端部の状態を検査する検査装置であって、
    被覆がストリップ加工された前記被覆電線の端面に対向して配置され、前記被覆電線の端面画像を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段から得られる前記端面画像を分析することにより、前記被覆電線の端部の状態を検査する分析手段と、
    を備え
    前記撮影手段の焦点位置が前記被覆のストリップ長が正常な場合の前記被覆電線の端面位置に設定されていることを特徴とする被覆電線検査装置。
  2. 請求項1に記載の被覆電線検査装置において、
    複数の方向から前記被覆電線の端面を照明する照明手段をさらに備えることを特徴とする被覆電線検査装置。
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