JP3934869B2 - 回路形成用銅微粉末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回路形成用銅微粉末に関し、より詳しくは、導電ペースト中での充填性が優れており且つ粒度分布がシャープである銅微粉末であって、そのような銅微粉末を含有する導電ペーストを用いることにより膜密度の高い塗膜を形成することができ、回路を形成するのに適している導電銅ペースト用の銅微粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線板、電子部品用の電気回路(配線導体)等を形成する方法として、金、銀、パラジウム、銅、アルミニウム等の導電性金属粉末と、樹脂、溶剤等からなるビヒクルと、任意成分のガラスフリット等とを混合してペースト状にした導電ペーストを絶縁基板表面に塗布又は印刷し、焼成して厚膜形成を行う、いわゆる焼成型ペースト法、並びにそれらの導電性金属粉末と樹脂及び硬化剤とを混合してペースト状にした無溶剤型熱硬化導電性ペーストを絶縁基板表面に塗布又は印刷し、或いはバイアホールに充填し、加熱硬化させる熱硬化型ペースト法が一般的に知られている。
【0003】
銅粉末は比較的低価格であって、導電性、耐マイグレーション性等に優れているという利点を有することから、近年、金、銀、パラジウム等の貴金属粉末に代わって導電ペースト用の材料として多用されるようになってきた。
導電ペースト用の銅粉末に要求される要件としては、粒子径の揃った銅微粒子で構成されており、凝集体を含まないか又は低凝集度(高分散性)であって導電ペースト中での充填性に優れていること等が挙げられる。
【0004】
このような銅粉末としては、一般的には、粒子径10μm以下の銅微粒子で構成される銅微粉末が要求されており、最近では電子機器の小型化や高配線密度化への対応として、粒子径1μm以下の更に微細な銅微粒子で構成される銅微粉末の要求が強くなってきている。
【0005】
従来から、銅微粉末の製造方法として、銅塩等の水溶液をヒドラジン等の還元剤で処理して銅塩等を還元する方法、銅塩や銅酸化物を還元性雰囲気中で加熱還元する方法、銅の塩化物蒸気を還元性ガスで処理して銅の塩化物を還元する方法等が知られている。これらの方法のうち、ヒドラジンによる還元法は、大気圧下で処理できる等の点で非常に生産性に優れた方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術により得られる銅微粉末については、粒子径のバラツキが大きかったり、粒子径のバラツキが小さくても、導電ペーストを調製する際に導電ペースト中での銅微粉末の充填性が低い等の欠点があり、導電ペースト用の銅微粉末に要求される要件に対して十分に満足できるものではなかった。
また、従来技術による銅微粉末においては、平均粒子径が小さくなるにつれてタップ密度は低くなり、従って、導電ペースト中での充填性が低くなり、高配線密度化に対応する上で、微粉末は使用しにくいという問題を抱えていた。
【0007】
上記で説明したように、配線板、電子部品用の電気回路(配線導体)等を形成するための、いわゆる導電ペースト等の原料となり得る回路形成用銅微粉末においては、導電ペースト中での銅微粉末の充填性が高く、且つシャープな粒度分布を有することが重要である。
本発明は、上記のような導電ペースト中での充填性に優れ、且つシャープな粒度分布を有する回路形成用銅微粉末を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を達成する為に種々の試験データを解析し、鋭意検討した結果、平均粒子径に比較してタップ密度が相対的に高く、特定の粒度分布を有する特定の銅微粉末であれば、前記課題を解決できることを知見し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の回路形成用銅微粉末は、SEM観察による平均粒子径が0.1〜10μmであり、SEM観察による平均粒子径をx(μm)とし、粒子径の標準偏差をσとするとき、タップ密度(g/cm3 )と平均粒子径xとは下記の式(1)を満足しており、且つ下記の式(2)により求められる変動係数CVが40%以下であることを特徴とする。
(タップ密度)≧4.83−1.99exp(−0.29x) ‥‥(1)
CV(%)=(σ/x)×100‥‥(2)
また、本発明の回路形成用銅微粉末は、湿式反応で得られる銅微粉末に解粒処理を施して得られる銅微粉末であって、SEM観察による平均粒子径が0.1〜10μmであり、SEM観察による平均粒子径をx(μm)とし、粒子径の標準偏差をσとするとき、タップ密度(g/cm 3 )と平均粒子径xとは上記の式(1)を満足しており、且つ上記の式(2)により求められる変動係数CVが40%以下であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の回路形成用銅微粉末においては、タップ密度と平均粒子径xとは下記の式(1)を満足していることが必要である。
(タップ密度)≧4.83−1.99exp(−0.29x) ‥‥(1)
タップ密度が右辺の式により計算した値よりも小さい場合には、銅微粉末は平均粒子径に比較してタップ密度が相対的に低く、凝集度が相対的に高い(分散性が相対的に低い)ために導電ペースト中での充填性に劣り、かかる銅微粉末を含有する導電ペーストを使用すると膜密度の相対的に低い塗膜が形成され、その結果として焼成時の焼成密度が相対的に低くなり、回路形成上不都合である。
【0011】
逆にいえば、タップ密度が右辺の式により計算した値よりも高いか等しい場合には、銅微粉末は平均粒子径に比較してタップ密度が相対的に高く、凝集度が相対的に低い(分散性が相対的に高い)ために導電ペースト中での充填性に優れ、かかる銅微粉末を含有する導電ペーストを使用すると膜密度の相対的に高い塗膜が形成され、その結果として焼成時の焼成密度が相対的に高くなり、回路形成上好都合である。
【0012】
上記のように本発明の銅微粉末は凝集度が相対的に低い(分散性が相対的に高い)ので導電ペースト中での充填性が優れており、その結果として導電ペーストとした時の粘度が低い。即ち、本発明の銅微粉末は従来の銅微粉末と比較して、銅微粉末の充填濃度を同一とした時には導電ペーストの粘度が低くなり、逆に導電ペーストの粘度が同一である時には銅微粉末の充填濃度を高くすることができる。このように粘度の低い導電ペーストはバイアホールへの充填性に優れているので、特に多層プリント配線板用樹脂基板のバイアホールの形成に適しており、また充填濃度の高い導電ペーストは非焼成により回路を形成する場合に特に有用である。
なお、本発明の回路形成用銅微粉末においては、タップ密度と平均粒子径xとは下記の式(3)を満足することが好ましい。
(タップ密度)≧4.81−1.60exp(−0.49x) ‥‥(3)
【0013】
また、本発明の回路形成用銅微粉末においては、SEM観察による平均粒子径をx(μm)とし、粒子径の標準偏差をσとするとき、下記の式(2)により求められる変動係数CVが40%以下であることが必要である。
CV(%)=(σ/x)×100 ……………(2)
このCVが40%を超える場合には、粒度分布がよりブロードで、粒度にバラツキがあることから、かかる銅微粉末を含有する導電ペーストはファインパターンの形成、高配線密度化には適さない。
【0014】
逆にいえば、このCVが40%以下である場合には、粒度分布がよりシャープで、粒度のバラツキが小さいことから、かかる銅微粉末を含有する導電ペーストはファインパターンの形成、高配線密度化に好適である。
このCVが小さい程粒度分布がシャープであり、35%以下であることが好ましく、30%以下であることが一層好ましい。
【0015】
また、本発明の回路形成用銅微粉末においては、SEM観察による平均粒子径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜7μmであることが一層好ましく、このような銅微粉末を含有する導電ペーストは回路形成用導電ペーストとして特に適している。
【0016】
また、本発明の回路形成用銅微粉末においては、粒子表面が有機化合物で被覆されていることが好ましい。この被覆に用いられる有機化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、高分子量ポリエステル酸のアマイドアミン塩やアミン塩、リン酸エステル系界面活性剤、ポリエーテルリン酸エステルのアミン塩等が挙げられる。
【0017】
このように粒子表面が有機化合物で被覆されている銅微粉末においては、有機化合物の被覆量が増加するにつれて、そのような被覆された銅微粉末のタップ密度が相対的に高くなり、導電ペースト中での銅微粉末の充填性が相対的に高まると共に銅微粉末の酸化が防止され、導電ペーストを調製する際の銅微粉末とビヒクル等とのなじみが改善される。また、そのように被覆された銅微粉末を含有する導電ペーストを用いることにより膜密度の相対的に高い塗膜を形成することができ、その結果として焼成により焼成密度を相対的に高くすることができ、またファインパターンを形成し、高配線密度化することが容易になる。
【0018】
上記のような追加の効果は、有機化合物の被覆量が銅の質量基準で0.01質量%以上となった時に明確に現れ、0.05質量%以上になった時に顕著に現れる。しかし、有機化合物の被覆量を更に多くしていき、そのように有機化合物の被覆量を増大させた銅微粉末を用いてペーストを調製すると、銅微粉末の分散性が阻害され、ペーストの粘度が増大するので好ましくない。従って、有機化合物の被覆量が銅の質量基準で0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることが一層好ましい。
【0019】
次に、本発明の回路形成用銅微粉末の好ましい製造方法について述べる。
本発明の回路形成用銅微粉末は、銅塩水溶液に水酸化アルカリを加えて酸化第二銅を生成させ、次いで還元糖を加えて酸化第一銅を析出させてスラリーとし、このスラリーから酸化第一銅を濾過し、洗浄した後、水に分散させて再度スラリーとし、このスラリーにヒドラジン系還元剤を加えて銅微粉末を生成させ、得られた銅微粉末に特定の解粒処理装置で解粒処理を施すことにより製造することができる。
【0020】
本発明の回路形成用銅微粉末の製造方法においては、解粒処理を施す銅微粉末として湿式反応で得た銅微粉末を用いることが重要である。一般的には、銅微粉末の製造方法としては、銅塩や銅酸化物を還元性雰囲気中で加熱還元する方法、銅の塩化物蒸気を還元性ガスで処理して銅の塩化物を還元する方法等に代表される乾式反応法もあるが、乾式反応で得られる銅微粉末は粒度分布がブロードであるため、そのような粒度分布がブロードな銅微粉末に解粒処理を施しても本発明の銅微粉末を得ることは極めて困難である。
【0021】
また、上記の好ましい製造方法においては、工程途中の酸化第一銅スラリーから酸化第一銅を濾過し、洗浄した後、水に分散させてスラリーとする操作は重要であり、この操作により酸化第一銅粒子の凝集を少なくし、ヒドラジン系還元剤での還元時の凝集を抑制でき、その結果として、銅微粉末の低凝集度(分散性)を一層改善することができる。なお、銅微粉末の粒子径制御については、銅塩水溶液の濃度や、酸化第一銅生成時の還元糖の添加速度や、還元反応時のヒドラジン系還元剤の添加速度を適宜調整することにより行うことができる。
【0022】
また、本発明の回路形成用銅微粉末の製造方法においては、特定の解粒処理装置で解粒処理を施すことが重要である。この特定の解粒処理装置で解粒処理を施すことにより、凝集粒子の凝集度を減少させることができると同時に、導電ペースト中での銅微粉末の充填性を改善することができる。
【0023】
上記の特定の解粒処理装置での解粒処理としては、銅微粉末を高速で回転している回転部に衝突させて粉砕させる高速回転式衝突粉砕処理、銅微粉末を含むスラリーをビーズ等と共に攪拌して粉砕させるメディア攪拌式粉砕処理、銅微粉末を含むスラリーを高水圧で2方向から衝突させて粉砕させる高水圧式粉砕処理、噴流衝合処理等を挙げることができる。分類としては、高速動体衝突式気流型粉砕機、衝撃式粉砕機、ケージミル、媒体攪拌形ミル、軸流ミル、噴流衝合装置等を使用することができる。具体的には、スーパーハイブリッドミル(石川島播磨重工製)、ジェットミル(セイシン企業製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業製)、ビーズミル(入江商会製)、アルティマイザー(スギノマシン製)、NCミル(石井粉砕機械制作所製)、ディスインテグレータ(大塚鉄工製)、ACMパルベライザ(ホソカワミクロン製)、ターボミル(マツボー製)、スーパーミクロン(ホソカワミクロン製)、マイクロス(奈良機械製)、ニューコスモスマイザー(奈良機械製)、ファインビクトルミル(ホソカワミクロン製)、エコブレックス(ホソカワミクロン製)、CFミル(宇部興産製)、ハイブリタイザ(奈良機械製)、ビンミル(アルピネー製)、圧力ホモジナイザ(日本精機製作所製)、ハレルホモジナイザ(国産精工製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン製)等が挙げられる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
硫酸銅(五水塩)100Kgを温水に溶解して200Lの水溶液とし、これを60℃に維持した。この水溶液に25質量%水酸化ナトリウム水溶液125Lを添加し、60℃に維持しながら1時間攪拌し、反応させて酸化第二銅を生成させた。
【0025】
上記の反応物を60℃に維持しながら、これに濃度450g/Lのグルコース水溶液80Lを20分間にわたって定量的に添加して酸化第一銅スラリーを生成させた。このスラリーを濾過し、洗浄した後、温水を加えて再度スラリー化し、320Lのスラリーとした。このスラリーにアミノ酢酸1.5Kg及びアラビアゴム0.7Kgを添加し、攪拌し、温度を50℃に保持した。このスラリーに20%水加ヒドラジン50Lを1時間にわたって定量的に添加して銅微粉末を生成させた。得られた銅微粉末スラリーを濾過し、純水で充分に洗浄し、濾過し、乾燥して銅微粉末を得た。なお、グルコース水溶液の添加時間、スラリー洗浄の有無、ヒドラジンの添加時間、解粒処理の有無、及び有機化合物被覆の有無を第1表にまとめて示す。
【0026】
このようにして得られた銅微粉末を、ナイフ型ハンマを装備したパルベライザAP−1SH型(ホソカワミクロン製)に投入し、2500rpmで15分間解粒処理して銅微粉末を得た。
このようにして得られた銅微粉末について、下記の方法に従って諸特性を評価した。その結果は第2表に示す通りであった。
【0027】
(1)SEM観察による平均粒子径
試料を2000倍のSEMによって観察し、無作為に選んだ3視野の合計で500個の粒子のフェレ径をそれぞれ測定し、その平均値を求めた。
(2)タップ密度
試料200gを用い、パウダーテスターPT−E型(ホソカワミクロン製)により測定した。
【0028】
(3)CV
上記のSEM観察による平均粒子径xと、500個の粒子径データより求めた標準偏差σとを用いて、下記の式(2)によって算出した。
CV(%)=(σ/x)×100 ……………(2)
【0029】
上記の銅微粉末50質量部に、エチルセルロース3.5質量部及びテルピネオール46.5質量部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロールミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導電ペーストを380メッシュのテトロン製スクリーンマスクを用いてポリイミド(PI)フィルム(宇部興産製ユーピレックス:125μm)に印刷した(印刷パターンは4cm×4cm)。印刷したPIフィルムを室温で15分間レベリングした後、60℃に設定した熱風循環式恒温乾燥機中で30分間仮乾燥を行った。さらに120℃に設定した熱風循環式恒温乾燥機に移して60分間本硬化を行った。乾燥機から取り出し、室温まで放冷した後、膜密度(g/cm3 )を測定した。その結果は第2表に示す通りであった。
【0030】
また、上記の銅微粉末50質量部に、エチルセルロース3.5質量部及びテルピネオール46.5質量部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロールミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導電ペーストについて、JIS K 5400に準拠し、0−25μmつぶゲージを用い、密集したつぶが現れ始めた箇所を目分量で読み取ることによって、導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。その結果は第2表に示す通りであった。
【0031】
実施例2〜6
グルコース水溶液の添加時間、スラリー洗浄の有無、ヒドラジンの添加時間、解粒処理の有無、及び/又は有機化合物被覆の有無を第1表に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法で銅微粉末を得た。
【0032】
得られた銅微粉末について、実施例1で記載した方法に従って諸特性を評価した。また、それらの銅微粉末を含有する導電ペーストを用いて形成された膜密度及び導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。それらの結果は第2表に示す通りであった。
【0033】
実施例7
実施例2で得た銅微粉末25kgを、オレイン酸0.025kgを溶解させたメタノール25L中に投入し、充分に攪拌し、その後、吸引濾過により過剰の溶液を除去し、70℃で5時間乾燥させて、粒子表面がオレイン酸で被覆されている有機化合物被覆銅微粉末を得た。
【0034】
このようにして得られた有機化合物被覆銅微粉末について、実施例1で記載した方法に従って諸特性を評価した。また、それらの銅微粉末を含有する導電ペーストを用いて形成された膜密度及び導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。それらの結果は第2表に示す通りであった。
【0035】
実施例8
実施例5で得た銅微粉末を用いた以外は、実施例7と同様の方法で有機化合物被覆銅微粉末を得た。
このようにして得られた有機化合物被覆銅微粉末について、実施例1で記載した方法に従って諸特性を評価した。また、それらの銅微粉末を含有する導電ペーストを用いて形成された膜密度及び導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。それらの結果は第2表に示す通りであった。
【0036】
比較例1
日本アトマイズ加工(株)製の銅微粉末SFR−Cu3.5ミクロン品について、実施例1で記載した方法に従って諸特性を評価した。また、それらの銅微粉末を含有する導電ペーストを用いて形成された膜密度及び導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。それらの結果は第2表に示す通りであった。
【0037】
比較例2
実施例1で実施した「酸化第一銅スラリーを濾過し、洗浄した後、温水を加えて再度スラリー化する」工程及び解粒処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法で銅微粉末を得た。
【0038】
このようにして得られた銅微粉末について、実施例1で記載した方法に従って諸特性を評価した。また、それらの銅微粉末を含有する導電ペーストを用いて形成された膜密度及び導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)を測定した。それらの結果は第2表に示す通りであった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
第2表のデータから明らかなように、実施例1〜8の本発明の銅微粉末は、平均粒子径の小ささに係わらずタップ密度が高く、導電ペースト中での充填性に優れていることが分かる。取分け、実施例1や実施例4の銅微粉末は、平均粒子径がかなり小さいにもかかわらず、タップ密度が相対的に高く、実際に導電ペースト化して塗膜を形成した場合の膜密度も高く、高配線密度化に対応可能な回路形成用銅微粉末として好適である。また、CVが小さいことから、粒度分布がシャープであり、導電ペースト中での分散度(低凝集度)も充分であり、ファインパターン形成に好適である。
【0042】
一方、比較例1の市販の銅微粉末は変動係数CVが大きすぎるために、導電ペースト中の銅微粉末の分散度(銅微粒子の凝集度)の劣ったものであった。また比較例2の銅微粉末は式
(タップ密度)≧4.83−1.99exp(−0.29x)
の条件を満足していないために、膜密度の不十分なものであった。
【0043】
試験例1
実施例2で得られた銅微粉末81質量部に、エピコート806(油化シェル社製)12.2質量部及びエポメートB002(油化シェル社製)6.8質量部を加え、混合した後、ロールミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導電ペーストについて、東機産業社製粘度計RE−105Uを用い、0.5rpmで粘度を測定した。その結果は第3表に示す通りであった。
また、実施例2で得られた銅微粉末の代わりに比較例2で得られた銅微粉末を用いて上記と同様に導電ペーストを調製し、上記と同様に粘度を測定した。その結果は第3表に示す通りであった。
【0044】
【0045】
第3表のデータから明らかなように、本発明の銅微粉末を含む導電ペーストは粘度が低く、バイアホールへの充填性に優れており、非焼成により回路を形成する場合にも有用である。一方、比較例2で得られた銅微粉末を含む導電ペーストの粘度が高く、バイアホールへの充填には不適切である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の回路形成用銅微粉末は、平均粒子径に比較してタップ密度が相対的に高いという特徴を有することに起因して、導電ペースト中での充填性に優れており、さらに粒度分布がシャープであり、そのような銅微粉末を含有する導電ペーストを用いることにより膜密度の高い塗膜を形成することができ、その結果として焼成密度を高くすることができ、またファインパターンを形成し、高配線密度化することができ、更にそのような導電ペーストはバイアホールへの充填性に優れており、また非焼成により回路を形成するのにも有用である。
Claims (3)
- SEM観察による平均粒子径が0.1〜10μmであり、SEM観察による平均粒子径をx(μm)とし、粒子径の標準偏差をσとするとき、タップ密度(g/cm3 )と平均粒子径xとは下記の式(1)を満足しており、且つ下記の式(2)により求められる変動係数CVが40%以下であることを特徴とする回路形成用銅微粉末。
(タップ密度)≧4.83−1.99exp(−0.29x) ‥‥(1)
CV(%)=(σ/x)×100‥‥(2) - 湿式反応で得られる銅微粉末に解粒処理を施して得られる銅微粉末であって、SEM観察による平均粒子径が0.1〜10μmであり、SEM観察による平均粒子径をx(μm)とし、粒子径の標準偏差をσとするとき、タップ密度(g/cm 3 )と平均粒子径xとは下記の式(1)を満足しており、且つ下記の式(2)により求められる変動係数CVが40%以下であることを特徴とする回路形成用銅微粉末。
(タップ密度)≧4.83−1.99exp(−0.29x ) ‥‥(1 )
CV(%)=(σ/x)×100‥‥(2 ) - 粒子表面が有機化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載の回路形成用銅微粉末。
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