JP3933588B2 - エステル縮合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エステル縮合物の製造方法に関し、より詳しくは、エステル縮合物を製造した後、回収した触媒を反復して使用し、収率よくエステル縮合物を得ることができ、環境破壊を抑制することができるエステル縮合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境に優しい化学プロセスの開発は現代の最重要課題であって、グリーンケミストリーの観点から国際社会の認めるところであり、(例えば、非特許文献1参照。)、その点においても有機合成の最も基本的な反応であるエステル化反応は利用価値の高い重要な反応である。エステル化反応については既に膨大な数の報告例があるが、基質に対し1当量以上の縮合剤あるいは活性化剤を用いるケースが多く、反応後には大量の副生成物が生じるため煩雑な分離精製操作が必要となる等、グリーンケミストリー及びアトムエフィシェンシーの観点から基質の過剰な使用は本来避けるべきである。一方、等モル量のカルボン酸とアルコールから直接、エステル化を行うことができれば理想的なプロセスとなる。しかし、大抵の場合、カルボン酸とアルコールのどちらか一方を過剰に用いなければ効率よくエステルを得ることができない(例えば、特許文献1、非特許文献2〜6参照。)。
【0003】
従来、重合触媒として、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムの群から選ばれた一種以上の金属化合物と、Ar−O−(Arはアリール基を表す)等の構造を有するポリエステル重合触媒(例えば、特許文献2参照。)や、触媒活性が高く、原料である酸とアルコールをほぼ等モルで使用しても高収率でエステルが合成でき、しかも低温でも反応速度が速く、副反応が極めて少ない優れたエステルの製法として、チタン族金属のハライド類、硝酸塩類、カルボン酸塩類、アルコラート類およびアセチルアセトン型錯体からなる群から選ばれるチタン族金属化合物を活性成分の少なくとも一つとして含有するエステル化触媒を用いるカルボン酸とアルコールとからのエステル製造方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【0004】
また、アルコール又はチオールとカルボン酸から、温和な条件下で、効率的にカルボン酸エステル又はカルボン酸チオエステルを製造する方法として、アルコール又はチオール、或いはそのシリル誘導体と、当量もしくは小過剰のカルボン酸又はカルボン酸シリルエステルを反応させ、カルボン酸エステル又はカルボン酸チオエステルを製造する際に、一般式(R6CO)2O(式中、R6は置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるカルボン酸無水物と触媒量のカチオン性触媒を共存させる方法(例えば、特許文献4参照。)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭52−75684号公報
【特許文献2】
特開2000−154241
【特許文献3】
特開平8−71429号公報
【特許文献4】
特開平5−286894号公報
【非特許文献1】
P. T. Anastas and J. C. Wamer著「Green Chemistry: Theory and Practice」Oxford UniversityPress, Oxford出版1998年
【非特許文献2】
「Synthesis」1978年p.929
【非特許文献3】
「Chem. Lett」1977年p.55
【非特許文献4】
「Chem. Lett.」1981年p.663
【非特許文献5】
「Tetrahedron. Lett. 28」1987年p.3713
【非特許文献6】
「J. Org. Chem. 56」1991年p.5307
【非特許文献7】
「Tetrahedron. Lett. 58」2002年p.8179−8188
【0006】
しかしながら、上記エステル化反応に使用される触媒として、使用量が少量であり、簡単な処理により再利用を可能とし反復して利用することにより使用量の低減を図り、グリーンケミストリーを実現できる触媒はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ますます複雑な構造を持つ化合物が医薬品等に用いられており、等モル量のカルボン酸とアルコール又はチオールから円滑に進行するエステル又はチオエステルの製造方法が医薬品等の合成上望まれている。本発明の課題は、等モル量のカルボン酸とアルコールとの反応や、カルボン酸と等モル量又は少し過剰のチオールとの反応によって特定の構造を有するエステル縮合物を、副生成物の生成を抑制し収率よく大量に合成することを可能とし、工業的方法として適用できるエステル縮合物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、塩化ジルコニウム(IV)や、塩化ハフニウム(IV)、特に塩化ハフニウム(IV)・(THF)2やハフニウム(IV)t−ブドキシドに代表される四価のハフニウム化合物が、等モル量のカルボン酸とアルコール又はカルボン酸と等モル量若しくは小過剰のチオールの直接縮合物生成触媒として極めて優れた活性を備えていることを見い出し、かかる触媒が幅広い基質適用範囲を有することを確認し、四価のハフニウム化合物を触媒とするエステル縮合物の製造方法について既に発明した(特開2002−121170号)。更に、四価のハフニウム化合物は、空気、水等に対する触媒の安定性の点で優れた縮合触媒活性を有するものであるが、四価のジルコニウム化合物は空気中の水分によって水和物を経由して加水分解され、触媒活性のない二酸化ジルコニウム(IV)等の酸化物へと変化するため、空気中の水分による変質を阻止し得る形態を有することが必要であり、そのために、四価のジルコニウム化合物を予め錯体とすることにより、特に、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2とすることにより、四価のジルコニウム化合物が水と接触するのを防止し、経時的なエステル化反応の触媒活性の低減、消失を抑制できる触媒について発明した(特願2002−101668号)。
【0009】
また、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジアセトアミド及びN−アセト−2−ケトオキサゾリジン等のアミド配位子や、2以上のエーテル酸素原子を有するエーテル配位子が配位した塩化ジルコニウム(IV)錯体や、塩化ハフニウム(IV)錯体は、水に対して極めて安定であり、反応の進行に伴い発生する水によっても触媒活性の低減が抑制され、保管時においても空気中の水等による変質により触媒活性の失活が生じにくく、反応副生成物の生成を抑制できるエステル縮合物の製造に有効な触媒についても既に発明している(特願2002−249654号)。
【0010】
本発明らは、エステル化反応の触媒について研究を推進し、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2や、塩化ハフニウム(IV)・(THF)2を触媒として種々のエステル化反応を行ない、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との反応においても、少量で期待される相応の速度でエステル化反応が進行することや、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸は芳香族カルボン酸の溶媒に対する不溶性と芳香族ジオールの低求核反応性のため、重縮合反応は生じないにもかかわらず、セミ芳香族ポリエステルへの重縮合反応は効率よく進行することを明らかにした(例えば、非特許文献7参照)。
【0011】
また、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2や、塩化ハフニウム(IV)・(THF)2を触媒としたとき、塩化チタン(IV)では選択的でないのに対し、第二級アルコール存在下で、第一級アルコールが選択的にカルボン酸と反応し、特に、アダマンタンカルボン酸は第一級アルコールと選択的に反応し、また、芳香族アルコール存在下で、第一級脂肪族アルコールが選択的に反応することを明らかにした。これは、塩基又は求核条件下において、脂肪族アルコールの存在により芳香族アルコールの大部分がアシル化されているためである。
【0012】
更に、塩化ハフニウム(IV)・(THF)2を触媒として、第一級ヒドロキシ基と、第二級ヒドロキシ基間の距離が異なる種々のジオールと1−アダマンタンカルボン酸との反応を行なった結果、表1に示すように、距離が大きい程、第一級ヒドロキシ基に選択的にエステル化反応が生じ、ジエステルの生成が減少することが確認されたが、これは、1−アダマンタンカルボン酸より嵩高くない4−フェニル酪酸との反応において選択性が低下することからも、嵩高い1−アダマンタンカルボン酸が分子内でのアシル転移を抑制していることがわかる。また、塩化ハフニウム(IV)とその固定された立体構造のため2座配位でキレートが形成されないベツリンとシクロヘキシルカルボン酸との反応や、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノールと4−フェニル酪酸との反応では、第一級モノエステルが高収率で生成されることを明らかにした。
【0013】
【表1】
【0014】
更に、本発明者らはグリーンケミストリー推進を目指し、鋭意研究した結果、これらの、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2や塩化ハフニウム(IV)・(THF)2等のジルコニウム(IV)錯体や、ハフニウム(IV)錯体等を用いてエステル化反応を行なった後、使用した触媒を回収して簡単な処理により新たな化合物とし、これを複数回再利用してもエステル縮合物を高収率を維持して生成することができ、触媒の消費量の顕著な低減を図ることができるエステル化反応の触媒を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、ジルコニウム(IV)錯体及び/又はハフニウム(IV)錯体を含有する触媒を用いてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮し て得られる二塩化酸化ジルコニウム8水和物及び/又は二塩化酸化ハフニウム8水和物を含有する触媒を用いて、エステル化反応を行なうことを特徴とするエステル縮合物の製造方法(請求項1)や、ジルコニウム(IV)錯体が、ジルコニウム(IV)にエーテル配位子又はアミド配位子が配位した錯体であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法(請求項2)や、ジルコニウム(IV)錯体が、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2であることを特徴とする請求項2記載のエステル縮合物の製造方法(請求項3)や、二塩化酸化ジルコニウム8水和物が、これを触媒としてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮した再生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項4)や、エステル化反応後、塩酸抽出によって得られた水溶液の濃縮操作が、固体が水和物として析出した時点で停止されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項5)や、ハフニウム(IV)錯体が、ハフニウム(IV)にエーテル配位子又はアミド配位子が配位した錯体であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法(請求項6)や、ハフニウム(IV)錯体が、ハフニウム(IV)・(THF)2であることを特徴とする請求項6記載のエステル縮合物の製造方法(請求項7)や、二塩化酸化ハフニウム8水和物が、これを触媒としてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮した再生物であることを特徴とする請求項1、6または7のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項8)や、加熱が、水分が消失した時点で停止されることを特徴とする請求項1または6〜8のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項9)や、溶媒を用いて加熱還流を行い、共沸する水を反応系から除去することを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項10)や、溶媒として、非極性溶媒又は低極性溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項11)や、非極性溶媒又は低極性溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソールから選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項11記載のエステル縮合物の製造方法(請求項12)や、反応終了後、t−アミルアルコールを反応溶液に加えることを特徴とする請求項1〜12記載のエステル縮合物の製造方法(請求項13)や、エステル化反応が、カルボン酸とアルコールとの反応又はカルボン酸とチオールとの反応であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項14)や、エステル化反応が、カルボン酸と第二級アルコールとの反応であるとき、触媒に対し3倍モル量以上のピナコールを添加することを特徴とする請求項1〜14のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法(請求項15)に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のエステル縮合物の製造方法は、二ハロゲン化酸化ジルコニウム8水和物及び/又は二ハロゲン化酸化ハフニウム8水和物を含有する触媒を用いて、エステル化反応を行なう方法であれば、特に限定されるものではない。
【0017】
本発明のエステル縮合物の製造方法のエステル化反応としては、カルボン酸とアルコールとの反応、カルボン酸とチオールとの反応、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応、多価カルボン酸と多価チオールとの反応等を挙げることができる。かかるエステル化反応に使用されるカルボン酸としては、モノカルボン酸として、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等を例示することができ、多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマール酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等のジカルボン酸や、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸等のトリカルボン酸や、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0018】
本発明におけるエステル化に用いられるアルコールは、第一級アルコール、第二級アルコールであってもよく、直鎖状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基や、アリール基等の置換基を有するものであってもよい。かかるアルコールとしては、例えば、一価のアルコールとして、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサ−1−オール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、ステアリルアルコール、4−フェノール等の脂肪族第一級アルコールや、ベンジルアルコール等の芳香族第一級アルコール、また、イソプロパノール、1−メチルヘキサ−1−オール、1−sec−ブタノール等の脂肪族第二級アルコール、シクロヘキサノール、2−アダマンチロール等の脂環式第二級アルコール、t−ブチノ−ル、1−アダマンチロール、フェノール、3,5−ジメチルフェノール等の第三級アルコールを挙げることができる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール等を具体的に挙げることができる。これらのアルコールは、1種又は2種以上を適宜選択することができ、例えば、第一級ヒドロキシ基と、第二級ヒドロキシ基とを有する多価アルコールにおいては、嵩高いカルボン酸と第一級ヒドロキシ基との縮合反応を選択的に生じさせ、また、第一級ヒドロキシ基と第二級ヒドロキシ基の距離が離れている程、第一級ヒドロキシ基との縮合反応を選択的に生じさせ得る等、化学選択的にエステル縮合物を生成することもできる。
【0019】
本発明に用いられるチオールとしては、一価のチオールとして、例えば、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、シクロヘキサンチオール等の脂肪族チオールや、チオフェノール、4−クロロチオフェノール、2−アニリンチオール等の芳香族チオールを例示することができる。また、本発明に用いられる多価のチオールとして、1,2−エタンジチオール、2,2′−オキシジエタンチオール、2,2′−チオジエタンチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ペンタエリスリチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、2,4−トルエンジチオール、α,α′−o−キシリレンジチオール、α,α′−m−キシリレンジチオール、α,α′−p−キシリレンジチオール、1,2,6−ヘキサントリチオール等の多価チオールを挙げることができる。
【0020】
本発明のエステル縮合物の製造方法のエステル化反応においては、等モルのカルボン酸とアルコールを用いればよく、かかるカルボン酸とアルコールとして、それぞれ一価のカルボン酸とアルコールを用いると、単量体エステルが得られ、α,ω−脂肪族ジカルボン酸等の多価カルボン酸と、α,ω−脂肪族ジオール等の多価アルコールとを用いると、ポリエステルを合成することができる。また、カルボン酸とアルコールとして、1分子内に水酸基とカルボキシ基とを両末端にそれぞれ有するω−ヒドロキシカルボン酸を用いてもポリエステルを合成することができ、かかるω−ヒドロキシカルボン酸として、ω−ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、4−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、3−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、4−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、3−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸等を例示することができる。
【0021】
また、本発明のエステル縮合物の製造方法のエステル化反応においては、カルボン酸と等モル量又は少し過剰のチオールを用いればよく、かかるカルボン酸とチオールとして、それぞれ一価のカルボン酸とチオールを用いると、単量体チオエステルが得られ、上記多価カルボン酸と多価チオールとを用いると、ポリチオエステルを合成することができる。
【0022】
本発明のエステル縮合物の製造方法に用いられる触媒に含有される二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物は、Zr(IV)X2O・nH2Oの構造式で表され、式中、Xはハロゲン原子を表し、nは整数を表し、Zr(IV)X2Oに結合する水分子の数は6以上であり、好ましくは8である。かかる二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物としては、二フッ化酸化ジルコニウム水和物、二塩化酸化ジルコニウム水和物、二臭化酸化ジルコニウム水和物、二ヨウ化酸化ジルコニウム水和物等を挙げることができ、二塩化酸化ジルコニウム水和物を好ましい具体例として挙げることができる。
【0023】
かかる二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物を製造するには、例えば、トルエン等の溶媒中に四価のジルコニウム化合物、例えば、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2等を塩酸水溶液と混合し、濃縮することにより製造することができる。このとき、塩酸水溶液を濃縮していくと固体が析出してくるので、固体が析出したら濃縮操作を直ぐに停止する。この時点で停止させることにより二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物(6水和物以上、好ましくは8水和物)を得ることができ、濃縮超過すると、さらに水分子が二ハロゲン化酸化ジルコニウムから除去されてしまい低活性なアモルファス状の固体になっていくため、必要な水分子の除去が生じない時点で濃縮操作を停止することが重要である。
【0024】
また、本発明のエステル縮合物の製造方法に触媒として使用される二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物は、ジルコニウム(IV)錯体を含有する触媒を用いてエステル化反応を行ない、エステル化反応終了後、触媒を塩酸水溶液で抽出し、洗浄後、濃縮、乾燥することにより得ることができる。更に、得られた二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物を触媒としてエステル化反応を行ない、エステル化反応終了後、縮合物を除去した後、触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮、乾燥して得られる再生物として、二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物を得ることができる。この場合も、塩酸水溶液を濃縮していくと固体が析出してくるので、固体が析出したら濃縮操作を直ぐに停止させ、この時点で停止させることにより二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物を得ることができ、濃縮超過すると、さらに水分子が二ハロゲン化酸化ジルコニウムから除去されてしまうため、必要な水分子の除去が生じない時点で濃縮を停止することが重要である。
【0025】
かかるエステル化反応としては、上記のカルボン酸と、アルコール又はチオールとのエステル化反応を挙げることができ、脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコール又は脂肪族チオールの場合、乾燥不活性ガス雰囲気下、溶媒中に脂肪族カルボン酸と等モル量の脂肪族アルコール又は脂肪族チオールと共に触媒を添加し、加熱還流下120〜160℃で1〜24時間反応を行うことができ、他方、芳香族カルボン酸と芳香族アルコール又は芳香族チオールの場合、乾燥不活性ガス雰囲気下、溶媒中に芳香族カルボン酸とこれと等モル量の芳香族アルコール又は芳香族チオールと共に触媒を添加し、加熱還流下120〜250℃、特に150〜200℃で24〜72時間反応を行うことができる。
【0026】
また、エステル化反応において、第二級アルコールを使用する場合、予め触媒に対し3倍モル量以上のピナコールを添加剤として加え、エステル化を行うことにより、回収した触媒は、再利用に伴い触媒活性が除々に低下するのを抑制することができ、十分な活性を維持することができる。ピナコールは反応毎に添加することが好ましい。
【0027】
エステル反応終了後、使用した触媒から二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物を得るには、エステル反応を進行させた触媒に塩酸水溶液を添加して攪拌し、ジルコニウム(IV)錯体触媒を塩酸水溶液を添加して攪拌し、ジルコニウム(IV)錯体を塩酸水溶液に抽出し、ジエチルエーテル等の有機溶媒によりエステル縮合物を分離し、塩酸水溶液を更にジエチルエーテルで必要に応じて複数回、例えば2回洗浄した後、水層を加熱し水分を除去する。加熱は過剰の水分が消失した時点で停止し、二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物(6水和物以上、好ましくは8水和物)から必要量の水が脱離するのを防止し、その後、減圧乾燥して、二ハロゲン化酸化ジルコニウム水和物(6水和物以上、好ましくは8水和物)の薄黄色固体を得ることができる。また、エステル化反応終了後、触媒に塩酸水溶液を添加する前に、t−アミルアルコールを反応溶液に加えることが好ましい。t−アミルアルコールの添加により、触媒の溶解性が上がり、その後の回収操作が簡便に行なうことができる。
【0028】
かかるエステル化反応に使用されるジルコニウム(IV)錯体としては、特に限定されるものではなく、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2、フッ化ジルコニウム(IV)・(THF)2、臭化ジルコニウム(IV)・(THF)2、ヨウ化ジルコニウム(IV)・(THF)2等のジルコニウム(IV)ハロゲン化物またはそのエーテル錯体や、ジルコニウム(IV)t−ブトキシド、ジルコニウム(IV)メトキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)プロポキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド等のジルコニウム(IV)アルコキシド化合物またはそのエーテル錯体や、ジシクロペンタジエニルジルコニウム(IV)ジクロリド等のアルキルジルコニウム(IV)化合物や、ジルコニウム(IV)アセテートヒドロキシド等のジルコニウム塩や、上記の異なる配位子を複数含む化合物を挙げることができ、このうち特に塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2を好ましい具体例として例示することができる。
【0029】
また、かかるエステル化反応に使用するジルコニウム(IV)錯体として、一般式(I)
R1CONR2R3 (1)
で表されるアミド配位子が結合したジルコニウム(IV)のアミド錯体を挙げることができる。ここで、一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基を表し、R2、R3は独立して水素原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基を示し、R1〜R3は相互に結合して環を形成してもよく、一般式(I)で表さる化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジアセトアミド、N−アセト−2−ケトオキサゾリジン等を挙げることができる。
【0030】
これらジルコニウム(IV)錯体は市販品や常法により合成したものを用いることができるが、トルエン等の溶媒に四価のジルコニウム化合物と、これらの配位子となるアミド又はエーテルとを添加し、室温で攪拌混合する等の方法によることができ、エステル化又はチオエステル化縮合触媒として、上記方法等により予め調製したものを用いてもよいが、エステル化縮合反応を行なう溶媒中に、直接、四価のジルコニウム化合物とアミド又はエーテルを添加して触媒となる錯体を生成させ、その後、かかる触媒の存在する溶媒中に、カルボン酸とアルコール若しくはチオールを添加して縮合反応を行なってもよい。アミド又はエーテルの添加量は、四価のジルコニウム化合物1当量に対して2当量を添加することができる。触媒使用量は特に制限されるものではないが、カルボン酸とアルコールからエステルを合成する場合、0.1〜1.0mol%、好ましくは0.1〜0.4mol%を挙げることができ、また、カルボン酸とチオールからチオエステルを合成する場合、1〜20mol%、好ましくは1〜10mol%を挙げることができる。
【0031】
また、本発明のエステル縮合物の製造方法に用いられる触媒に含有される二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物は、Hf(IV)X2O・nH2Oの構造式で表され、式中、Xはハロゲン原子を表し、nは整数を表し、Hf(IV)X2Oに結合する水分子の数は6以上であり、好ましくは8である。かかる二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物としては、二フッ化酸化ハフニウム水和物、二塩化酸化ハフニウム水和物、二臭化酸化ハフニウム水和物、二ヨウ化酸化ハフニウム水和物等を挙げることができ、二塩化酸化ハフニウム8水和物を好ましい具体例として挙げることができる。
【0032】
かかる二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物を製造するには、例えば、トルエン等の溶媒中に四価のジルコニウム化合物、例えば、塩化ハフニウム(IV)・(THF)2等を塩酸水溶液と混合し、濃縮し、乾燥することにより製造することができる。このとき、加熱により塩酸水溶液が濃縮されると固体が析出してくるので、固体が析出したら加熱を直ぐに停止させ、この時点で停止させることにより二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物(6水和物以上)を得ることができ、濃縮超過すると、さらに水分子が二ハロゲン化酸化ハフニウムから除去されてしまうため、必要量の水分子の除去が生じない時点で濃縮を停止することが重要である。
【0033】
また、本発明のエステル縮合物の製造方法に触媒として使用される二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物は、ハフニウム(IV)錯体を含有する触媒を用いてエステル化反応を行ない、エステル化反応終了後、触媒を塩酸に溶解し、濃縮することにより得ることができる。また、得られた二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物を触媒としてエステル化反応を行ない、エステル反応終了後、触媒を塩酸水溶液で抽出し、洗浄後、濃縮して得られる再生物として、二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物(6水和物以上)を得ることができる。この場合も、塩酸水溶液を濃縮していくと固体が析出してくるので、固体が析出したら加熱を直ぐに停止させ、この時点で停止させることにより二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物(6水和物以上)を得ることができ、濃縮超過すると、さらに水分子が二ハロゲン化酸化ハフニウムから除去されてしまうため、必要量の水分子の除去が生じない時点で濃縮操作を停止することが重要である。
【0034】
かかるエステル化反応としては、上記のカルボン酸と、アルコール又はチオールとを上記の条件によるエステル化反応を挙げることができる。エステル反応終了後、使用した触媒から二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物を得るには、ハフニウム(IV)錯体触媒を塩酸水溶液を添加して攪拌し、ハフニウム(IV)錯体を塩酸水溶液に抽出し、ジエチルエーテル等の有機溶媒によりエステル縮合物を分離し、塩酸水溶液を更にジエチルエーテルで必要に応じて複数回、例えば2回洗浄した後、水層を加熱し水分を除去する。加熱は固体が析出した時点で停止し、二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物(6水和物以上)からさらに水が脱離するのを防止し、その後、減圧乾燥して、二ハロゲン化酸化ハフニウム水和物(6水和物以上、好ましくは8水和物)の薄黄色固体を得ることができる。
【0035】
かかるエステル化反応に使用されるハフニウム(IV)錯体としては、特に限定されるものではなく、塩化ハフニウム(IV)・(THF)2、フッ化ハフニウム(IV)・(THF)2、臭化ハフニウム(IV)・(THF)2、ヨウ化ハフニウム(IV)・(THF)2等のハフニウム(IV)ハロゲン化物またはそのエーテル配位錯体や、ハフニウム(IV)t−ブトキシド、ハフニウム(IV)メトキシド、ハフニウム(IV)エトキシド、ハフニウム(IV)プロポキシド、ハフニウム(IV)イソプロポキシド等のハフニウム(IV)アルコキシド化合物またはそのエーテル配位錯体や、ジシクロペンタジエニルハフニウム(IV)ジクロリド等のアルキルハフニウム(IV)化合物や、ジルコニウム(IV)アセテートヒドロキシド等のハフニウム塩や、上記の異なる配位子を複数含む化合物を挙げることができ、このうち特に塩化ハフニウム(IV)・(THF)2を好ましい具体例として例示することができる。
【0036】
また、かかるエステル化反応に使用するハフニウム(IV)錯体として、一般式(I)R1CONR2R3(1)
で表されるアミド配位子が結合したハフニウム(IV)のアミド錯体を挙げることができる。ここで、一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基を表し、R2、R3は独立して水素原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基を示し、R1〜R3は相互に結合して環を形成してもよく、一般式(I)で表さる化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジアセトアミド、N−アセト−2−ケトオキサゾリジン等を挙げることができる。
【0037】
これらハフニウム(IV)錯体は市販品や常法により合成したものを用いることができるが、トルエン等の溶媒に四価のハフニウム化合物と、これらの配位子となるアミド又はエーテルとを添加し、室温で攪拌混合する等の方法によることができ、エステル化又はチオエステル化縮合触媒として、上記方法等により予め調製したものを用いてもよいが、エステル化縮合反応を行なう溶媒中に、直接、四価のハフニウム化合物とアミド又はエーテルを添加して触媒となる錯体を生成させ、その後、かかる触媒の存在する溶媒中に、カルボン酸とアルコール若しくはチオールを添加して縮合反応を行なってもよい。アミド又はエーテルの添加量は、ハフニウム化合物1当量に対して2当量を添加することができる。触媒使用量は特に制限されるものではないが、カルボン酸とアルコールからエステルを合成する場合、0.1〜1.0mol%、好ましくは0.1〜0.4mol%を挙げることができ、また、カルボン酸とチオールからチオエステルを合成する場合、1〜20mol%、好ましくは1〜10mol%を挙げることができる。
【0038】
本発明のエステル縮合物の製造方法に用いられる溶媒としては特に制限されるものではなく、極性溶媒あるいは極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒、非極性溶媒を例示することができるが、非極性溶媒がエステル化反応により生成する水の反応系外への除去の容易さから好ましい。すなわち、トルエン等の非極性溶媒を用いて加熱還流を行い、共沸する水を反応系から簡便に除去することが好ましく、かかる水の除去方法としては、カルシウムヒドリドやモレキュラーシーブス等の公知の脱水剤を用いる方法を例示することができるがこれらに限定されるものではない。上記非極性溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン、m−ターフェニル、ベンゼン、エチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)を例示することができ、また、極性溶媒としては、アニソール、THF、1,4−ジオキサン等のエーテル類の他、N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、N−ブチル−2−ピロリジノン(N−ブチル−2−ピロリドン)、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−ピロリドン、クレゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、フェノール等を例示することができる。また、メタノール等の揮発性のアルコールを基質として用いる場合は、かかるアルコールは溶媒としての作用も合わせ有するので、別途溶媒を用いなくてもよい。
【0039】
本発明のエステル縮合物の製造方法のエステル化反応は、乾燥不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン又は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。アルゴン雰囲気は、アルゴンを流下しながら縮合反応を行うことが好ましく、反応中アルゴン雰囲気とすることで、脱水と脱酸素雰囲気が同時に達成できる。また、一価のカルボン酸と一価のアルコールとを縮合する縮合反応や、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールとを重縮合する重縮合反応等のエステル縮合反応や、一価のカルボン酸と一価のチオールとを縮合する縮合反応や、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価チオールとを重縮合する重縮合反応等のチオエステル縮合反応においては、加熱還流下100〜200℃、特に120〜160℃で1〜24時間反応を行うことが好ましく、他方、芳香族カルボン酸と芳香族アルコール又は芳香族チオールとを縮合する縮合反応や、重縮合する重縮合反応においては、加熱還流下120〜250℃、特に150〜200℃で24〜72時間反応を行うことが好ましい。これらの縮合反応や重縮合反応によって得られる単量体エステルやポリエステル、又は単量体チオエステルやポリチオエステルの精製は、等モルのカルボン酸とアルコール、又はカルボン酸と少し過剰のチオールを用い、副反応が生じていないことから、従来法に比してその精製は公知の方法により非常に容易に行うことができる。また、エステル化反応終了後、触媒に塩酸水溶液を添加する前に、t−アミルアルコールを反応溶液に加えることが好ましい。t−アミルアルコールの添加により、触媒の溶解性が上がり、その後の回収操作が簡便に行なうことができる。
【0040】
また、かかるエステル化反応において、第二級アルコールを使用する場合、予め触媒に対し3倍モル量以上のピナコールを添加剤として加え、エステル化を行うことにより、回収した触媒は、再利用に伴い触媒活性が徐徐に低下するのを抑制することができ、十分な活性を維持することができる。ピナコールは反応毎に添加することが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1
式(II)に示すように、4−フェニル酪酸5mmolとベンジルアルコール5mmolをヘプタン2.5mL溶媒に溶かし、1mol%のHfCl4・(THF)2存在下7時間加熱還流することによりエステル化を行った(1)。この間、生成する水は共沸脱水操作により除去した。エステル化反応終了後の薄黄色溶液に室温で1規定の塩酸水溶液を1.5mL加え、20分撹拌した(2)。これにジエチルエーテル2mLを加え分液漏斗に移し、抽出を行った。油層に対して1規定の塩酸水溶液2mL加え、抽出する操作を2回反復して行った(3)。水層を合わせて、分液漏斗に移し、ジエチルエーテル8mlを加え、抽出する操作を2回反復し、洗浄を行った(4)。水層を予め90℃に温めておいたオイルバスにつけ、加熱した。15分後オイルバスの温度を130℃に上げた。水がほとんど無くなったところで加熱をやめ、室温まで冷した後、真空ポンプで減圧にし、液体が完全になくなり固体に変化したところで乾燥操作を中止し、二塩化酸化ハフニウムの薄黄色固体を得た(5)。得られた二塩化酸化ハフニウムのHfCl4・(THF)2換算の変換率を測定した。結果を表1に示す。この薄黄色固体を触媒に用いてヘプタン、4−フェニル酪酸、ベンジルアルコールの順に室温で加え、予め110℃に温めておいたオイルバスにつけ、加熱還流を行うことによりエステル化反応を行った(6)。得られたエステル縮合物の収率を表2に示す。
エステル化反応(1)終了後、エステル縮合物を除去した後、上記(2)〜(6)の操作を行うことを反復して行った。得られたエステル縮合物の収率を表5に示す。
【0042】
【化1】
【0043】
【表2】
【0044】
実施例2
触媒としてZrCl4・(THF)2を用いた他は、実施例1と同様に、触媒の変換率、エステル縮合物の収率を測定した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例3
式(III)に示すように、4−フェニル酪酸5mmolとシクロドデカノール5mmolをオクタン2.5mL溶媒に溶かし、3mol%のZrCl4・(THF)2またはHfCl4・(THF)2、6mol%のピナコール存在下12時間加熱還流することによりエステル化を行った(1)。この間、生成する水は共沸脱水操作により除去した。エステル化反応終了後の薄黄色溶液に室温でt−アミルアルコール2mLを加え5分間撹拌した(2)後、1規定の塩酸水溶液を2mL加え、さらに20分撹拌した(3)。これにジエチルエーテル2mLを加え分液漏斗に移し、抽出を行った。油層に対して1規定の塩酸水溶液を2mL加え、抽出する操作を3回行った(4)。水層を合わせて、分液漏斗に移し、8mLのジエチルエーテルを加え抽出する操作を2回行った(5)。水層を予め90℃に温めておいたオイルバスにつけ、加熱した(6)。15分後オイルバスの温度を130℃に上げた。水がほとんど無くなったところで加熱をやめ、室温まで冷した後、真空ポンプで減圧にし、液体が完全になくなり固体に変化したところで乾燥操作を中止した。この薄黄色固体を触媒に用いてピナコール9mol%、オクタン2.5mL、4−フェニル酪酸5mmol、シクロドデカノール5mmolの順に室温で加え、予め140℃に温めておいたオイルバスにつけ、加熱還流を行うことによりエステル化反応を繰り返し行った(7)。結果を表4に示す。
【0047】
【化2】
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】
本発明のエステル縮合物の製造方法や、これに用いる触媒は、触媒効率が高く、少ない触媒量で、等モル量のカルボン酸とアルコール又はチオールからエステル縮合物を得ることができ、グリーンケミストリー推進を図ることができる。特に、ジルコニウム(IV)錯体や、ハフニウム(IV)錯体等を用いてエステル化反応を行なった後、使用した触媒を回収して簡単な処理により得られる触媒を複数回再利用しても、エステル縮合物を高収率を維持して生成することができ、触媒の消費量の低減を図ることができ、エステル縮合物の生産コスト削減に大きく貢献することができ、工業化において非常に有利である。
Claims (15)
- ジルコニウム(IV)錯体及び/又はハフニウム(IV)錯体を含有する触媒を用いてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮して得られる二塩化酸化ジルコニウム8水和物及び/又は二塩化酸化ハフニウム8水和物を含有する触媒を用いて、エステル化反応を行なうことを特徴とするエステル縮合物の製造方法。
- ジルコニウム(IV)錯体が、ジルコニウム(IV)にエーテル配位子又はアミド配位子が配位した錯体であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。
- ジルコニウム(IV)錯体が、塩化ジルコニウム(IV)・(THF)2であることを特徴とする請求項2記載のエステル縮合物の製造方法。
- 二塩化酸化ジルコニウム8水和物が、これを触媒としてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮した再生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- エステル化反応後、塩酸抽出によって得られた水溶液の濃縮操作が、固体が水和物として析出した時点で停止されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- ハフニウム(IV)錯体が、ハフニウム(IV)にエーテル配位子又はアミド配位子が配位した錯体であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。
- ハフニウム(IV)錯体が、ハフニウム(IV)・(THF)2であることを特徴とする請求項6記載のエステル縮合物の製造方法。
- 二塩化酸化ハフニウム8水和物が、これを触媒としてエステル化反応を行ない、前記触媒を塩酸で抽出し、洗浄後、濃縮した再生物であることを特徴とする請求項1、6または7のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- 加熱が、水分が消失した時点で停止されることを特徴とする請求項1または6〜8のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- 溶媒を用いて加熱還流を行い、共沸する水を反応系から除去することを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- 溶媒として、非極性溶媒又は低極性溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- 非極性溶媒又は低極性溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソールから選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項11記載のエステル縮合物の製造方法。
- 反応終了後、t−アミルアルコールを反応溶液に加えることを特徴とする請求項1〜12記載のエステル縮合物の製造方法。
- エステル化反応が、カルボン酸とアルコールとの反応又はカルボン酸とチオールとの反応であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
- エステル化反応が、カルボン酸と第二級アルコールとの反応であるとき、触媒に対し3倍モル量以上のピナコールを添加することを特徴とする請求項1〜14のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。
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