JP2002322102A - 不飽和鎖状アルコールの製造方法 - Google Patents

不飽和鎖状アルコールの製造方法

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JP2002322102A
JP2002322102A JP2001132079A JP2001132079A JP2002322102A JP 2002322102 A JP2002322102 A JP 2002322102A JP 2001132079 A JP2001132079 A JP 2001132079A JP 2001132079 A JP2001132079 A JP 2001132079A JP 2002322102 A JP2002322102 A JP 2002322102A
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Satoru Nishiyama
覚 西山
Yasutaka Tanaka
康隆 田中
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の不飽和結合を有する不飽和鎖状アルデ
ヒドから高転化率及び高選択率で対応する不飽和鎖状ア
ルコールを得る。 【解決手段】 周期表第3族、4族、9族、13族、及
び14族金属から選択された少なくとも一種を含む触媒
及び二級アルコールの存在下で、複数の不飽和結合を有
する不飽和鎖状アルデヒドのホルミル基を選択的に還元
し、前記不飽和結合(炭素−炭素不飽和結合)を還元す
ることなしに、対応する不飽和鎖状アルコールを製造す
る。前記不飽和アルデヒドとしては、C5-12アルカジエ
ナール(2,4−ヘキサジエナールなど)などが使用で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】医薬、農薬などのファインケ
ミカル分野における原料などとして有用な不飽和アルコ
ール(例えば、2,4−ヘキサジエノール)の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素−炭素二重結合を分子内に有する不
飽和アルコールを製造するための方法としては、二級ア
ルコールを水素供与体とし、アルミニウムアルコキシド
を触媒として不飽和アルデヒドのホルミル基を選択的に
還元する方法(所謂メールワイン・ポンドルフ還元)が
知られている。しかし、この方法では、高価なアルミニ
ウムアルコキシド触媒をアルデヒドに対して大量に使用
する必要があり、さらに生成物と触媒との分離に抽出、
蒸留などの煩雑な操作を必要とする上に触媒の再利用も
不可能である。
【0003】特開平8−133998号公報には、ソル
ビン酸にクロロギ酸エステルを反応させることにより得
られた混合酸無水物を、水素化ホウ素金属触媒を量論的
に用いて還元し、対応するアルデヒド体又はアルコール
体を得ることが開示されている。しかし、この方法で
は、クロロギ酸エステルとの反応においても、高価な還
元触媒が量論的に必要である。さらに、反応後に副生す
る塩類と生成物との分離に抽出、蒸留などの煩雑な操作
が必要となる。
【0004】2,4−ヘキサジエノールなどの複数の不
飽和結合を有する不飽和アルコールは、一つの不飽和結
合を有する不飽和アルコールと比較して炭素−炭素二重
結合の反応性が高いため、従来法では触媒分離、副生塩
分離工程において、重合、付加反応等による生成物の損
失が甚だしく、工業的に製造することは困難である。
【0005】1999年9月第84回触媒討論会予稿集
(1999年9月,「触媒」,41巻,6号,389〜
391頁)には、酸化ジルコニウム(ZrO2)などの金
属触媒を担持させた触媒の存在下、二級アルコールを用
いて、クロトンアルデヒドを還元することにより、クロ
チルアルコールが得られることが開示されている。しか
し、この方法を分子中に複数の炭素−炭素不飽和結合を
有する不飽和アルデヒドの還元に適用すると、ホルミル
基だけでなく炭素−炭素不飽和結合も還元され、高い選
択率で対応する不飽和アルコールを得ることが困難であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、複数の不飽和結合を有する不飽和鎖状アルデヒドを
用いても、ホルミル基を選択的に還元し、高選択率及び
高転化率で対応する不飽和鎖状アルコールを製造できる
方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、複数の炭素−炭素不
飽和結合の還元を抑制しつつ、不飽和鎖状アルコールを
簡便かつ効率よく製造できる方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、特定の金属で構成され
た触媒と水素供与体とを組み合わせて用いることによ
り、複数の不飽和結合を有する不飽和鎖状アルデヒドか
ら対応する不飽和鎖状アルコールを効率よく製造できる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明では、周期表第3族、4
族、9族、13族、及び14族金属から選択された少な
くとも一種を含む触媒及び水素供与体の存在下で、複数
の不飽和結合を有する不飽和鎖状アルデヒドのホルミル
基を選択的に還元し、対応する不飽和鎖状アルコールを
製造する。前記不飽和鎖状アルデヒドは、共役位置に炭
素−炭素不飽和結合を有するC5-16アルカジエナールで
あって、前記不飽和結合のうち一方の不飽和結合が、ホ
ルミル基のカルボニル基と共役位置に位置していてもよ
い。前記不飽和鎖状アルデヒドは、2,6−ヘキサジエ
ナールであってもよい。前記触媒は、周期表第4族金属
の単体又は金属酸化物で構成されてもよく、酸化ジルコ
ニウムを含む固体触媒又は酸化ジルコニウムが担体に担
持された触媒であってもよい。水素供与体は、二級アル
コールであってもよい。
【0010】本発明には、酸化ジルコニウムが担体に担
持された触媒及び二級アルコールの存在下、温度40〜
120℃及び水素ガス共存下でC5-12アルカジエナール
のホルミル基を選択的に還元し、対応するC5-12アルカ
ジエノールを製造する不飽和鎖状アルコールの製造方法
も含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の還元反応において、基質
として用いる前記不飽和鎖状アルデヒドは、複数の不飽
和結合(炭素−炭素二重結合)を有している。前記不飽
和鎖状アルデヒドとしては、2,4−ヘキサジエナー
ル、2,5−ヘキサジエナール、3,5−ヘキサジエン
−2−アール、2,4−オクタジエナール、2,6−オ
クタジエナール、3,6−オクタジエン−2−アール、
2,4−ドデカジエナール、2,6−ドデカジエナー
ル、4,7−ドデカジエン−3−アールなどのC5-16
ルカジエナール(好ましくは、C5-12アルカジエナー
ル);2,4,6−オクタトリエナール、2,4,6−
オクタトリエン−2−アール、2,4,6−デカトリエ
ナール、2,5,8−デカトリエナール、3,6,9−
デカトリエン−2−アール、2,4,6−ドデカトリエ
ナール、3,5,7−ドデカトリエン−3−アールなど
のC8-16アルカトリエナール(好ましくは、C8-12アル
カトリエナール);2,4,6,8−デカテトラエナー
ル、3,5,7,9−デカテトラエン−3−アール、
2,4,6,8−ドデカテトラエナール、2,5,8,
11−ドデカテトラエナールなどのC10-16アルカテト
ラエナール(好ましくはC10-12アルカテトラエナー
ル)などが挙げられる。
【0012】前記不飽和鎖状アルデヒドのうち、共役位
置に炭素−炭素不飽和結合を有し、かつ前記不飽和結合
のうち一方の不飽和結合が、ホルミル基のカルボニル基
に対して共役位置に位置する不飽和鎖状アルデヒドが好
ましく、例えば、2,4−ヘキサジエナールなどのC
5-10アルカジエナールなどが挙げられる。前記不飽和鎖
状アルデヒドは、直鎖状又は分岐状であってもよい。
【0013】本発明では、水素供与体と触媒との存在下
で、複数の不飽和結合を有する前記不飽和鎖状アルデヒ
ドにおいて、前記不飽和結合(炭素−炭素不飽和結合)
を還元することなく、ホルミル基を選択的に還元して、
対応する不飽和鎖状アルコールを製造する。
【0014】前記水素供与体としては、例えば、二級ア
ルコール、水素ガス、及び水素化物(例えば、水素化リ
チウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウムなどの水素
化還元剤)などが挙げられる。前記水素供与体は、単独
で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。好ましい
水素供与体は、二級アルコールである。なお、二級アル
コールは、水素ガスと組み合わせて使用してもよく、水
素ガスの非共存下で使用してもよい。
【0015】二級アルコールとしては、例えば、2−プ
ロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノールなどの二級ヒドロキシル基を有するC3-8
アルキルアルコール(好ましくはC3-6アルキルアルコ
ール);シクロペンタノール、シクロヘキサノールなど
のC5-8シクロアルカノールなどが挙げられる。前記二
級アルコールのうち、入手が容易かつ簾価で反応の後処
理が容易である2−プロパノール、2−ブタノールなど
が好ましい。
【0016】二級アルコールの割合は、不飽和アルデヒ
ド1モルに対して、例えば、1〜100モル、好ましく
は5〜75モル、さらに好ましくは10〜50モル程度
であり、通常、10〜40モル程度である。水素供与体
と基質(不飽和鎖状アルデヒド)との反応は、平衡反応
であるため、収率の点からは水素供与体が前記不飽和鎖
状アルデヒドに対し過剰に存在する方が有利であるが、
アルデヒドの割合が少な過ぎると工業的には生産性が低
下する虞がある。
【0017】なお、水素供与体として、二級アルコール
を用いる場合、反応系中に生成する第二アルコール由来
のケトン化合物を除去しつつ反応させることにより、平
衡を生成物側に移動させ、生産性を向上させることがで
きる。このような反応蒸留方式では、蒸留器が付帯した
反応器などが利用できる。
【0018】また、水素供与体として、水素ガスを用い
る場合、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴ
ンなど)と混合して使用してもよい。
【0019】なお、水素ガス圧力は、0.01〜5MP
a、好ましくは0.05〜4MPa、さらに好ましくは
0.1〜3MPa程度であり、通常、0.1〜1.5M
Pa程度である。
【0020】本発明の還元反応において、触媒は、触媒
成分、又は触媒成分と担体とで構成されている。前記触
媒成分としては、周期表第3族金属(ランタン、スカン
ジウム、イットリウムなど)、4族金属(チタン、ジル
コニウムなど)、9族金属(コバルト、ロジウムな
ど)、13族金属(ホウ素、アルミニウム、ガリウムな
ど)、及び14族金属(スズ、鉛など)などで構成され
ている。これら金属は、単独で又は二種以上組み合わせ
てもよい。好ましい金属は、周期表第4族金属(特にジ
ルコニウム)である。
【0021】前記触媒成分としては、前記金属を含む限
り特に制限されず、金属単体及び金属化合物などが使用
できる。前記金属化合物としては、金属酸化物、金属塩
(例えば、無機酸塩、有機酸塩、金属錯体)、金属ハロ
ゲン化物、金属水酸化物などが挙げらる。好ましい触媒
成分は、金属酸化物である。
【0022】前記金属酸化物としては、例えば、La2
3、Sc23、Y23、TiO2、ZrO2、RhO2
SiO2、SnOなどの金属酸化物及びZrO2−SiO
2、B22−Al23、SiO2−Al23など複合金属
酸化物などが挙げられる。これらの金属酸化物は、単独
で又は二種以上で組み合わせて使用できる。
【0023】また、前記触媒は、均一系触媒又は不均一
系触媒のいずれであってもよく、好ましくは不均一系触
媒(例えば、固体触媒)である。前記固体触媒は、前記
触媒成分(金属単体又は前記金属化合物など)であって
もよく、担体に前記触媒成分(金属単体又は前記金属化
合物など)が担持された担持触媒であってもよい。
【0024】担体としては、担持した触媒成分の触媒活
性が有効に発現できる限り、特に制限されず、慣用の担
体、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼ
オライト、活性炭、ベントナイトなどが挙げられる。ま
た、前記担体は、多孔質担体であってもよい。好ましい
担体は、シリカ、ゼオライト、活性炭などであり、特に
シリカ、活性炭である。
【0025】前記シリカは、多孔質シリカ担体であって
もよい。前記多孔質シリカ担体としては、細孔(特にメ
ソ孔)を有するメソポーラスモレキュラーシーブであっ
てもよく、このようなモレキュラーシーブとしては、例
えば、J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 10834-10843頁に
記載された処方に準じて調製したメソポーラスシリカ担
体(MCM−41)などが挙げられる。
【0026】担体の表面積は、触媒活性を損なわない範
囲から選択でき、例えば、10〜5000m2/g、好
ましくは50〜2500m2/g、さらに好ましくは1
00〜1000m2/g程度である。
【0027】担体の平均細孔径は、例えば、1〜100
nm、好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜
15nm程度である。
【0028】触媒成分としての金属酸化物を担持した担
持触媒は、金属酸化物を、化学蒸着又は物理蒸着などに
より、直接担体に担持させてもよく、金属化合物を担体
に担持させた後、焼成により酸化し、担体上で金属酸化
物に変換して調製してもよい。酸化は、必要により酸素
存在下(空気中、酸素雰囲気下)で行なってもよい。
【0029】前記金属化合物としては、例えば、硫酸塩
(例えば、硫酸ランタン、硫酸ジルコニウム、硫酸コバ
ルト、硫酸スズなど)、硝酸塩(例えば、硝酸ランタ
ン、硝酸ジルコニウム、硝酸コバルト、硝酸ロジウム、
硝酸スズなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ランタン、炭酸
コバルトなど)などの無機酸塩;酢酸塩(例えば、酢酸
ランタン、酢酸ジルコニウムなど)、シュウ酸塩(例え
ば、シュウ酸ランタン、シュウ酸コバルト、シュウ酸ス
ズなど)などの有機酸塩;臭化物(例えば、臭化ランタ
ン、臭化ジルコニウム、臭化コバルトなど)、塩化物
(例えば、塩化ランタン、塩化ジルコニウム、塩化コバ
ルト、塩化アルミニウム、塩化スズなど)などのハロゲ
ン化物;水酸化物(例えば、水酸化ランタン、水酸化ジ
ルコニウム、水酸化コバルト、水酸化アルミニウム、水
酸化スズなど);前記金属元素又は前記金属化合物など
に配位子が配位した錯体など例示できる。
【0030】前記金属化合物のうち、水溶性で、かつ焼
成後に反応を阻害する成分が生成しない化合物が好まし
い。このような化合物としては、硫酸塩(例えば、硫酸
ジルコニウム)、硝酸塩(例えば、硝酸ジルコニウ
ム)、酢酸塩(例えば、酢酸ジルコニウムなど)などが
挙げられる。
【0031】担持方法は、特に制限されず、慣用の担持
方法、例えば、含浸法、沈殿法[沈殿剤(例えば、アン
モニア水など)により担体上に活性成分(例えば、水酸
化ジルコニウムなど)を沈殿させ、洗浄、乾燥、焼成す
ることにより担持する方法]、イオン交換法[溶液中
で、無機イオン交換体(例えば、シリカなど)とジルコ
ニウム塩とのイオン交換を行わせた後、焼成することに
より担持する方法]、アルコキシド法[担体原料(例え
ば、アルコキシシランなど)の加水分解時に、金属塩
(例えば、硝酸ジルコニウム塩など)をエチレングリコ
ールに溶解させた溶液を共存させることにより生成した
ゲルを乾燥、焼成後、必要により還元処理することによ
り担持する方法]などが挙げられ、通常、含浸法が用い
られる。前記含浸法では、担体に対して、金属化合物
(例えば、硝酸ジルコニウムなど)を溶解した水溶液
を、浸漬又はスプレーすることにより、担体に吸着さ
せ、乾燥、焼成を行なうことにより担持させてもよい。
【0032】焼成温度は、触媒成分の種類などによって
適宜選択することができ、例えば、150〜800℃、
好ましくは150〜700℃、さらに好ましくは150
〜600℃程度であり、通常、150〜400℃程度で
ある。
【0033】担持触媒において、担体に対する触媒成分
の担持割合は、触媒活性が有効に発現できればよく、例
えば、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜35重
量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度であり、通
常5〜20重量%程度である。
【0034】なお、前記触媒成分(例えば、前記金属単
体又は前記金属化合物など)を担体(例えば、シリカな
ど)に担持することにより、担体上に分散した触媒成分
の結合エネルギーが高結合エネルギー側にシフトし、高
原子価となることにより、触媒活性及び選択性が向上す
るようである。
【0035】調製した触媒については、前処理等を行な
うことなくそのまま反応に使用してもよく、活性を向上
させるため、予め水素ガス雰囲気下で、前処理を行った
後、反応に使用してもよい。水素ガス雰囲気下での前処
理温度は、例えば、20〜500℃、好ましくは40〜
400℃、さらに好ましくは50〜300℃程度であ
る。
【0036】なお、触媒は、大気中の水分を吸収する
と、触媒活性が低下する虞があるため、乾燥した密閉容
器に保存し、可能な限り大気中の水分との接触を避ける
のが好ましい。
【0037】固体触媒の形状は、特に制限されず、例え
ば、粒状、ハニカム状、ペレット状、リング状などであ
ってもよい。なお、担持触媒においては、所定の形状
(前記固体触媒の形状など)に成型された担体に触媒成
分を担持してもよく、また、担体に触媒成分を担持した
後、前記担体を所定の形状に成型してもよい。
【0038】触媒の割合は、触媒成分換算で、不飽和鎖
状アルデヒド100重量部に対して、例えば、0.01
〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量、さらに
好ましくは0.1〜5重量部程度であり、通常、0.5
〜3重量部程度である。
【0039】また、触媒として、触媒成分(金属単体又
は金属化合物など)を担体に担持した担持触媒を使用す
る場合、前記担持触媒の割合は、不飽和鎖状アルデヒド
100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量部、
好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは5〜15
重量部程度である。
【0040】なお、触媒が、固体触媒又は担体に担持さ
れた担持触媒である場合、反応後の濾過等により容易に
生成物と分離することができ、生成物単離工程における
生成物の損失が抑制され、高い収率で生成物を得ること
ができる。さらに、分離した触媒は、必要により再生し
て、再利用可能であり、経済性を向上できる。
【0041】本発明では、複数の炭素−炭素不飽和結合
を有する不飽和鎖状アルデヒド(例えば、共役位置に炭
素−炭素不飽和結合を有し、かつ前記不飽和結合のうち
一方の不飽和結合が、ホルミル基のカルボニル基と共役
位置に位置するC5-16アルカジエナールなど)を用いて
も、副生成物の生成を抑制し、高転化率及び高収率で効
率よく、目的生成物である不飽和鎖状アルコール(例え
ば、2,4−ヘキサジエノール)を製造できる。
【0042】前記還元反応は、溶媒の存在下又は非存在
下で行なってもよい。溶媒としては、反応に対して不活
性な溶媒であればよく、例えば、炭化水素類(ヘキサ
ン、シクロヘキサン、トルエンなど)、ニトリル類(ア
セトニトリルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、
エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒ
ドロフランなど)、低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢
酸など)、三級アルコール(t−ブタノールなど)、一
級アルコール(1−ブタノールなど)又はこれらの混合
溶媒を使用してもよい。なお、水素供与体である二級ア
ルコールを溶媒として用いてもよい。
【0043】反応温度としては、生産性及び基質(不飽
和鎖状アルデヒド)の分解反応に影響がない限り、特に
制限されず、例えば、40〜200℃(例えば、60〜
200℃)、好ましくは40〜150℃、さらに好まし
くは40〜130℃程度であり、例えば、40〜120
℃(例えば、60〜120℃)程度の比較的低温で効率
よく生成物を製造することができる。反応温度が高すぎ
ると、ホルミル基のみならず、炭素−炭素不飽和結合の
還元が進行するため、選択性が低下する虞がある。
【0044】なお、前記還元反応を、水素ガス雰囲気下
で行なうと、触媒活性を向上させることができ、例え
ば、水素ガス雰囲気下、40〜130℃(例えば、60
〜120℃)程度の低い反応温度であっても、円滑に反
応することができる。
【0045】反応時間は、例えば、10分〜8時間、好
ましくは15分〜6時間、さらに好ましくは20分〜4
時間程度である。
【0046】前記還元反応は、加圧下又は常圧で行なっ
てもよい。加圧下で還元反応を行なう場合、水素ガス又
は不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンな
ど)などを使用してもよい。
【0047】反応形態としては、特に制限されず、例え
ば、反応液中に触媒微粉末を撹拌懸濁させる完全混合槽
方式、成型した粒状触媒の充填層を原料液又は原料ガス
を連続的に通過させる流通反応方式等を使用することが
できる。
【0048】反応終了後、得られた不飽和鎖状アルコー
ルは、慣用の分離精製手段、例えば、濾過、蒸留、濃
縮、抽出、再結晶、クロマトグラフィーなどにより容易
に分離精製可能である。特に、本発明では、高い転化率
及び選択率で不飽和鎖状アルコールが得られるため、簡
単な操作(例えば、濾過)であっても不飽和鎖状アルコ
ールを高い純度で得ることができる。
【0049】このように得られた不飽和鎖状アルコール
は、医薬、農薬等のファインケミカル分野における原料
などとして有用である。
【0050】
【発明の効果】本発明では、特定の金属触媒及び水素供
与体を用いて、不飽和アルデヒドのホルミル基を選択的
に還元するので、副生成物の生成を抑制し、対応する不
飽和鎖状アルコールを高選択率及び高転化率で製造でき
る。また、炭素−炭素不飽和結合の還元を抑制しつつ、
不飽和鎖状アルコールを簡便かつ効率よく製造できる。
【0051】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0052】調製例1 硝酸ジルコニル[ZrO(NO32・2H2O]の1.
4重量%水溶液15.2gを、J. Am. Chem. Soc. 199
2, 114, 10834に記載された処方に準じて調製したメソ
ポーラスシリカ担体MCM−41 0.5gに含浸さ
せ、湯浴上で攪拌しながら乾燥させた後、空気流中20
0℃で5時間焼成して、酸化ジルコニウムが15重量%
(Zr重量基準)担持されたMCM−41を調製した。
【0053】実施例1 内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、調
製例1で調製した酸化ジルコニウム担持MCM−41触
媒100mg、2,4−ヘキサジエナール0.89g
(9.2mmol)、2−ブタノール20mlを仕込
み、水素1MPaを封入して、攪拌下、100℃で3時
間反応させた。冷却後、反応液を遠心分離し、上澄液を
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2,4−ヘ
キサジエナールは完全に消失し、2,4−ヘキサジエノ
ール7.3mmolの生成が確認された(消費された
2,4−ヘキサジエナール基準の2,4−ヘキサジエノ
ールの収率は79%であった)。
【0054】実施例2 還流コンデンサーを備えた内容積50mlの三口フラス
コに、調製例1で調製した酸化ジルコニウム担持MCM
−41触媒100mg、2,4−ヘキサジエナール0.
89g(9.2mmol)、2−ブタノール20mlを
仕込み、反応系を窒素ガス雰囲気として、攪拌下、96
℃で8時間反応させた。冷却後、反応液を遠心分離し、
上澄液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、
2,4−ヘキサジエナールの66%が消失し、2,4−
ヘキサジエノール4.6mmolの生成が確認された
(消費された2,4−ヘキサジエナール基準の2,4−
ヘキサジエノールの収率は76%であった)。
【0055】実施例3 2−ブタノールに代えて、2−プロパノールを用いる以
外は実施例1と同様に反応及び分析を行った。その結
果、2,4−ヘキサジエナールの97%が消失し、2,
4−ヘキサジエノール7.0mmolの生成が確認され
た(消費された2,4−ヘキサジエナール基準の2,4
−ヘキサジエノールの収率は78%であった)。
【0056】調製例2 メソポーラスシリカ担体に代えて、活性炭(関西熱化学
社製,mcs−30)10.5gを用いる以外は調製例
1と同様に操作を行い、酸化ジルコニウムが15重量%
(Zr重量基準)担持された活性炭触媒を調製した。
【0057】実施例4 酸化ジルコニウム担持MCM−41触媒に代えて、調製
例2で調製した酸化ジルコニウム担持活性炭触媒を用い
る以外は、実施例2と同様に反応及び分析を行った。そ
の結果、2,4−ヘキサジエナールの71%が消失し、
2,4−ヘキサジエノール5.0mmolの生成が確認
された(消費された2,4−ヘキサジエナール基準の
2,4−ヘキサジエノールの収率は77%であった)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 康隆 兵庫県姫路市余部区上余部610−1 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC41 BA10 BA30 BA82 BC10 BE20 4H039 CA60 CB40

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期表第3族、4族、9族、13族、及
    び14族金属から選択された少なくとも一種を含む触媒
    及び水素供与体の存在下で、複数の不飽和結合を有する
    不飽和鎖状アルデヒドのホルミル基を選択的に還元し、
    対応する不飽和鎖状アルコールを製造する方法。
  2. 【請求項2】 不飽和鎖状アルデヒドが、共役位置に炭
    素−炭素不飽和結合を有するC5-16アルカジエナールで
    あって、前記不飽和結合のうち一方の不飽和結合が、ホ
    ルミル基のカルボニル基に対して共役位置に位置する請
    求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 不飽和鎖状アルデヒドが2,4−ヘキサ
    ジエナールである請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 触媒が、周期表第4族金属の単体又は金
    属酸化物で構成されている請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 触媒が、酸化ジルコニウムを含む固体触
    媒又は酸化ジルコニウムが担体に担持された触媒である
    請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 水素供与体が、二級アルコールである請
    求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸化ジルコニウムが担体に担持された触
    媒及び二級アルコールの存在下、温度40〜120℃及
    び水素ガス共存下でC5-12アルカジエナールのホルミル
    基を選択的に還元し、対応するC5-12アルカジエノール
    を製造する不飽和鎖状アルコールの製造方法。
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