JP3933392B2 - 近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性合成樹脂組成物 - Google Patents

近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性合成樹脂組成物 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、銅イオンを含有してなる近赤外線吸収剤、および可視光線透過性に優れ、かつ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有する近赤外線吸収性合成樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂に、近赤外線を高い効率で吸収する性能を付与する試みが多々なされており、例えばアクリル系樹脂中に近赤外線吸収性を有する有機色素が含有されてなる樹脂組成物が知られている(特開平5−42622号公報参照)。
然るに、このような樹脂組成物においては、含有される有機色素自体の近赤外線吸収波長域が狭いため、近赤外線を広い波長域にわたって吸収することができず、しかも、この有機色素は、その化学構造上、紫外線によって劣化されやすく、これにより、近赤外線吸収性が低下するため、長期間にわたって初期の近赤外線吸収性が維持されない、という問題がある。
また、近赤外線を吸収する性能を有する樹脂組成物としては、アクリル系樹脂中に近赤外線吸収剤として銅イオンが含有されてなるものが知られている(特公昭62−5190号公報参照)。
然るに、このような樹脂組成物においては、アクリル系樹脂中に銅イオンを十分に分散させた状態で含有させることが困難であるため、十分に高い近赤外線吸収性が得られず、しかも、可視光線の透過率が低下する、という問題がある。
また、合成樹脂に対する銅イオンの分散性を高めるために、合成樹脂中に燐酸エステル等の燐酸基含有化合物を添加する手段が知られている(特公昭62−5190号公報参照)。
しかしながら、このような手段においては、合成樹脂に対する燐酸基含有化合物の相溶性が十分に高いものではないため、可視光線の透過性に優れた樹脂組成物が得られない、という問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、合成樹脂に対する相溶性が良好で、近赤外線を高い効率で吸収する樹脂組成物が得られる近赤外線吸収剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、可視光線の透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、かつ紫外線による近赤外線吸収性の低下が少ない近赤外線吸収性合成樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、特定の構造を有する燐酸エステル化合物が、合成樹脂中に銅イオンを高い割合で分散させる性能を有することを見いだし、本発明を完成した。
本発明の燐酸エステル化合物は、下記式(1)で表されるものである。
【0005】
Figure 0003933392
【0006】
本発明の燐酸エステル化合物は、以下の第1の方法、第2の方法および第3の方法のいずれかによって容易に製造することができる。
〔第1の方法〕
下記式(4)または下記式(5)で表されるアルコールと、五酸化燐とを反応させる方法。
【0007】
Figure 0003933392
【0008】
〔第2の方法〕
上記式(4)または上記式(5)で表されるアルコールと、オキシハロゲン化燐とを反応させ、得られる生成物を加水分解する方法。
〔第3の方法〕
上記式(4)または上記式(5)で表されるアルコールと三ハロゲン化燐とを反応させることにより、ホスホン酸エステル化合物を合成し、このホスホン酸エステル化合物を酸化する方法。
本発明の近赤外線吸収剤は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と、銅イオンとを含有してなり、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収剤は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させて得られる燐酸エステル銅化合物を有効成分とし、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする。
【0009】
本発明の近赤外線吸収剤は、下記式(6)または下記式(7)で表される燐酸エステル銅化合物を有効成分とし、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする。
【0010】
Figure 0003933392
【0012】
本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物は、下記(A)成分および/または下記(B)成分が、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂中に含有されてなることを特徴とする。
(A)成分:銅イオンおよび上記式(1)で表される燐酸エステル化合物よりなる成分
(B)成分:上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させて得られる化合物よりなる成分
【0013】
本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物においては、(B)成分が上記式(6)または上記式(7)で表される燐酸エステル銅化合物よりなるものであってもよい。
また、本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物においては、銅イオンの含有割合が全体の0.1〜5重量%であることが好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物においては、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物は、基Rを示す上記式(2)および上記式(3)におけるR2 が、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、また、mが1〜3の整数であることが好ましい。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
〈燐酸エステル化合物〉
本発明の燐酸エステル化合物は、上記式(1)で表される分子構造を有するものである。
本発明の燐酸エステル化合物の分子構造を示す式(1)において、Rは、上記式(2)および上記式(3)で示すように、アルキレンオキサイド基が結合されたアルキル基である。
ここで、アルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mは1〜6好ましくは1〜3の整数である。このmの値が6を超える場合には、当該燐酸エステル化合物を合成樹脂中に含有させると、得られる樹脂組成物の硬度が大幅に低下するため好ましくない。一方、mの値が0すなわちアルキレンオキサイド基が結合されていない場合には、合成樹脂、特にアクリル系樹脂中に銅イオンを分散させる性能が著しく低下するため好ましくない。
【0015】
また、本発明の燐酸エステル化合物は、式(1)において水酸基の数nが2であるモノエステルおよび水酸基の数nが1であるジエステルのいずれであってもよい。nの値が0のトリエステルである場合には、銅イオンと配位結合またはイオン結合が可能な水酸基を有しないため、銅イオンを合成樹脂中に分散させる効果が得られない。
式(1)におけるRを示す式(2)および式(3)において、R1 は、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基である。
アルキル基R1 の炭素数が20を超える場合には、合成樹脂例えばアクリル系樹脂に銅イオンを高い割合で分散させることが困難となる。
また、R2 は、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基、好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基である。すなわち、アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基などが挙げられ、好ましくはプロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、特に好ましくはプロピレンオキサイド基である。
アルキル基R2 の炭素数が4を超える場合には、合成樹脂例えばアクリル系樹脂に銅イオンを高い割合で分散させることが困難となる。
【0016】
本発明の燐酸エステル化合物の好ましい具体例としては、下記式(a)〜下記式(x)で表されるものが挙げられ、より好ましくは下記式(m)〜下記式(x)、特に好ましくは、下記式(m)〜下記式(r)で表されるものである。また、本発明の燐酸エステル化合物は、1種単独のもの若しくは2種以上を混合したものであってもよい。
【0017】
Figure 0003933392
【0018】
Figure 0003933392
【0019】
Figure 0003933392
【0020】
本発明の燐酸エステル化合物は、例えば以下の第1の方法、第2の方法および第3の方法のいずれかによって製造することができる。
【0021】
〔第1の方法〕
この第1の方法は、適宜の有機溶剤中で、上記式(4)または上記式(5)で表されるアルコール(以下、「特定のアルコール」という。)と、五酸化燐とを反応させる方法である。
ここで、特定のアルコールと五酸化燐との反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化燐と反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤などが挙げられ、これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。
また、特定のアルコールと五酸化燐との反応条件は、反応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜24時間、好ましくは4〜9時間である。
【0022】
この第1の方法においては、例えば特定のアルコールおよび五酸化燐をモル比で3:1となる割合で用いることにより、式(1)において水酸基の数nが2である燐酸エステル化合物(以下、「モノエステル」ともいう。)と、式(1)において水酸基の数nが1である燐酸エステル化合物(以下、「ジエステル」ともいう。)との割合がほぼ1:1の混合物を得ることができる。
また、特定のアルコールと五酸化燐との割合および反応条件を選択することにより、モノエステルとジエステルとの割合をモル比が99:1〜40:60となる範囲で調整することができる。
【0023】
〔第2の方法〕
この第2の方法は、適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシハロゲン化燐とを反応させ、得られる生成物に水を添加して加水分解する方法である。
ここで、オキシハロゲン化燐としては、オキシ塩化燐、オキシ臭化燐を用いることが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化燐である。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化燐との反応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化燐と反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化燐との反応条件は、反応温度が0〜110℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜20時間、好ましくは2〜8時間である。
【0024】
この第2の方法においては、例えば特定のアルコールおよびオキシハロゲン化燐をモル比で1:1となる割合で用いることにより、モノエステルを得ることができる。
また、上記式(5)で表される特定のアルコールを用いる場合には、当該特定のアルコールとオキシハロゲン化燐との割合および反応条件を選択すると共に、反応触媒としては、四塩化チタン(TiCl4 )、塩化マグネシウム(MgCl2 )、塩化アルミニウム(AlCl3 )などのルイス酸触媒、副生する塩酸のキャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類や、ピリジンなどが好ましく用いられる。これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることにより、モノエステルとジエステルとの混合物を得ることができ、その割合をモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整することができる。
また、上記式(4)で表される特定のアルコールを用いる場合には、当該特定のアルコールとオキシハロゲン化燐との割合および反応条件を選択すると共に、ルイス酸触媒および塩酸キャッチ剤を併用することにより、モノエステルとジエステルとの混合物を得ることができ、その割合をモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整することができる。 但し、特定のアルコール類としてアルキレンオキサイド基の繰り返し単位mが小さいものを用いる場合には、得られる燐酸エステル化合物が水溶性のものとなるため、アミン類などの塩酸キャッチ剤を用いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄によって除去することが困難となることがある。
以上において、反応触媒の使用量は、オキシハロゲン化燐1モルに対して0.005〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0025】
〔第3の方法〕
この第3の方法は、適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロゲン化燐とを反応させることにより、ホスホン酸エステル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エステル化合物を酸化する方法である。
ここで、三ハロゲン化燐としては、三塩化燐、三臭化燐を用いることが好ましく、特に好ましくは三塩化燐である。
また、特定のアルコールと三ハロゲン化燐との反応に用いられる有機溶剤としては、三ハロゲン化燐と反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
また、特定のアルコールと三ハロゲン化燐との反応条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5時間である。 ホスホン酸エステル化合物を酸化する手段としては、ホスホン酸エステル化合物に例えば塩素ガスなどのハロゲンを反応させることにより、ホスホロハロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート化合物を加水分解する手段を利用することができる。ここで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃である。
また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前に、当該ホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製することもできる。
【0026】
この第3の方法においては、例えば特定のアルコールおよび三ハロゲン化燐をモル比で3:1となる割合で用いることにより、ジエステルを高い純度で得ることができる。
また、特定のアルコールと三ハロゲン化燐との割合および反応条件を選択することにより、モノエステルとジエステルとの混合物を得ることができ、その割合をモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整することができる。
本発明の燐酸エステル化合物は、その分子構造中にアルコキシ基を有しているため、合成樹脂、特に(メタ)アクリル酸エステル樹脂などのアクリル系樹脂との相溶性が高いものである。そして、このような本発明の燐酸エステル化合物が銅イオンと共にアクリル系樹脂中に含有されることにより、当該燐酸エステル化合物における水酸基と、銅イオンとの間にイオン結合または配位結合が形成され、その結果、アクリル系樹脂に対する銅イオンの分散性が著しく向上すると共に、銅イオンと燐酸エステル化合物との相互作用によって、近赤外線を高い効率で吸収するアクリル系樹脂組成物が得られる。
【0027】
〈燐酸エステル銅化合物〉
本発明の燐酸エステル銅化合物は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物(以下、「特定の燐酸エステル化合物」という。)と銅塩とを反応させて得られるものであり、例えば上記式(6)または上記式(7)で表される構造を有するものである。
特定の燐酸エステル化合物の分子構造を示す式(1)並びに燐酸エステル銅化合物の分子構造を示す式(6)および式(7)において、Rは、上記式(2)および上記式(3)で示すように、アルキレンオキサイド基が結合されたアルキル基である。
ここで、アルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mは1〜6好ましくは1〜3の整数である。このmの値が6を超える場合には、得られる燐酸エステル銅化合物を合成樹脂中に含有させると、得られる樹脂組成物の硬度が大幅に低下するため好ましくない。一方、mの値が0すなわちアルキレンオキサイド基が結合されていない場合には、得られる燐酸エステル銅化合物は、合成樹脂、特にアクリル系樹脂に対する分散性が著しく低いものとなるため好ましくない。
【0028】
Rを示す式(2)および式(3)において、R1 は、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基である。
アルキル基R1 の炭素数が20を超える場合には、得られる燐酸エステル銅化合物を合成樹脂例えばアクリル系樹脂に高い割合で分散させることが困難となる。
また、R2 は、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基である。すなわち、アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基などが挙げられ、特にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド基が好ましい。
アルキル基R2 の炭素数が4を超える場合には、得られる燐酸エステル銅化合物を合成樹脂中に高い割合で分散させることが困難となるため好ましくなく、また、得られる樹脂組成物の硬度が大幅に低下するため好ましくない。
本発明の燐酸エステル銅化合物を得るための特定の燐酸エステル化合物の好ましい具体例としては、上記式(a)〜上記式(x)で表される化合物が挙げられ、特に好ましくは、上記式(n)〜上記式(r)で表される化合物である。これらの化合物は、単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
本発明の燐酸エステル銅化合物を得るための銅塩としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、あるいは塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられるが、有機酸塩を用いることが好ましく、特に好ましくは酢酸銅、安息香酸銅である。
【0030】
特定の燐酸エステル化合物と銅塩との反応は、適宜の条件下で両者を接触させることにより行われる。具体的には、(i)特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを混合して両者を反応させる方法、(ii)適宜の有機溶剤中において特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法、(iii)特定の燐酸エステル化合物が有機溶剤中に含有されてなる有機溶剤層と、銅塩が溶解されてなる水層とを接触させることにより、特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法、などが挙げられる。
また、特定の燐酸エステル化合物と銅塩との反応条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは40〜100℃であり、反応時間が0.5〜10時間、好ましくは1〜7時間である。
また、特定の燐酸エステル化合物と銅塩との反応比率は、特定の燐酸エステル化合物1モルに対して銅塩が0.3〜1.0モルであることが好ましい。
【0031】
上記(ii)の方法において用いられる有機溶剤としては、用いられる特定の燐酸エステル化合物を溶解し得るものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、石油エーテルなどが挙げられる。また、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などの重合性を有する有機溶剤を用いることもできる。これらの中では、トルエンが好ましい。
また、上記(iii)の方法において用いられる有機溶剤としては、水に不溶または難溶であって、用いられる特定の燐酸エステル化合物を溶解し得るものであれば、特に限定されず、例えば(ロ)の方法において用いられる有機溶剤として例示したもののうち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物などが挙げられ、好ましくはトルエンである。
特定の燐酸エステル化合物と銅塩との反応においては、銅塩から陰イオンである酸成分が遊離される。このような酸成分は、合成樹脂例えばアクリル系樹脂の耐湿性および熱安定性を低下させる原因となることがあるため、必要に応じて除去することが好ましい。
【0032】
上記(i)または(ii)の方法により燐酸エステル銅化合物を製造する場合には、特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させた後、生成された酸成分〔(ii)の方法では生成された酸成分および有機溶剤〕を蒸留によって除去することができる。
また、上記(iii)の方法により燐酸エステル銅化合物を製造する場合には、酸成分を除去する好ましい方法として、以下の方法を挙げることができる。
水に不溶または難溶の有機溶剤に特定の燐酸エステル化合物が含有されてなる有機溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した後、この有機溶剤層と銅塩が溶解された水層とを接触させることより、特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離する方法。
ここで、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このような方法によれば、銅塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水溶性の塩が形成され、この塩が水層に移行すると共に、生成される特定の燐酸エステル銅化合物は、有機溶剤層に移行するため、当該水層と有機溶剤層とを分離することにより、酸成分を除去することができる。
【0033】
以上のようにして、本発明の燐酸エステル銅化合物を製造することができるが、本発明の燐酸エステル銅化合物は、特定の燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させて得られるものであれば、上記式(6)または式(7)で表される化合物に限定されるものではない。例えば、モノエステルにおける2つの水酸基に互いに異なる銅イオンに結合した構造のもの、モノエステルにおける2つの水酸基の一方のみに銅イオンが結合した構造のもの、銅イオンが1つのジエステルの水酸基に結合したもの、分子中に2以上の銅イオンを含有する多量体またはこれらの配位化合物であってもよい。
本発明の燐酸エステル銅化合物は、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少なく、しかも、分子中にアルコキシ基を有するため、合成樹脂例えばアクリル系樹脂との相溶性が良好なものである。
【0034】
〈近赤外線吸収剤〉
本発明の近赤外線吸収剤は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と、銅イオンとを含有してなるもの(以下、「近赤外線吸収剤(A)」という。)、或いは、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させて得られる燐酸エステル銅化合物を有効成分とするもの(以下、「近赤外線吸収剤(B)」という。)であり、例えば合成樹脂中にまたは合成樹脂を得るための単量体中に添加されて使用される。
近赤外線吸収剤(A)において、銅イオンは、近赤外線を吸収するための主成分であり、適宜の銅化合物によって供給される。このような銅イオンの供給源となる銅化合物の具体例としては、前述の燐酸エステル銅化合物を得るための銅塩として例示したものが挙げられる。
また、特定の燐酸エステル化合物は、銅イオンと配位結合またはイオン結合を形成して当該銅イオンを合成樹脂中に分散させるための成分である。この特定の燐酸エステル化合物は、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
近赤外線吸収剤(A)における特定の燐酸エステル化合物と銅イオンとの割合は、銅イオン1モルに対して燐酸エステル化合物における水酸基が0.5〜10モル、特に1.5〜5モルであることが好ましい。この割合が0.5モル未満である場合には、銅イオンを合成樹脂中に分散させることが困難となることがある。この割合が10モルを超える場合には、銅イオンとの配位結合またはイオン結合に関与しない水酸基の割合が過大となるため、当該近赤外線吸収剤が添加されることによって得られる樹脂組成物は、吸湿性の大きいものとなることがある。
【0036】
〈近赤外線吸収性アクリル系樹脂組成物〉
本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物は、以下の(A)成分および(B)成分のいずれか一方または両方が合成樹脂中に含有されてなるものである。
(A)成分は、銅イオンおよび上記式(1)で表される燐酸エステル化合物よりなるもの、すなわち上記近赤外線吸収剤(A)よりなるものであり、銅イオンと特定の燐酸エステル化合物との相互作用により、近赤外線を高い効率で吸収する作用を有するものである。
(A)成分には、銅イオン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」という。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオンの具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属によるイオンが挙げられ、これらの他の金属イオンは、銅イオンと同様にしてアクリル系樹脂中に含有させることができる。
このような他の金属イオンの使用割合は、全金属イオンにおける50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50重量%を超える場合には、近赤外線の吸収率が高いアクリル系樹脂組成物を得ることが困難となることがある。
【0037】
(B)成分は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と、銅塩とを反応させることにより得られる燐酸エステル銅化合物(以下、「特定の燐酸エステル銅化合物」という。)よりなるもの、すなわち上記近赤外線吸収剤(B)よりなるものである。
本発明のアクリル系樹脂組成物において、銅イオンの含有割合は、アクリル系樹脂組成物全体の0.1〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜4重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。
この割合が0.1重量%未満である場合には、近赤外線を高い効率で吸収する性能が得られないことがある。一方、この割合が5重量%を超える場合には、金属イオンをアクリル系樹脂中に分散させることが困難となり、可視光線透過性に優れたアクリル系樹脂組成物が得られないことがある。
【0038】
本発明の組成物を構成するアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる重合体を好ましく用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
これらの単量体は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
また、アクリル系樹脂は、上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、これと共重合可能な共重合性単量体との共重合体であってもよい。
かかる共重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
以上において、単量体として単官能性のもののみを用いる場合には、熱可塑性のアクリル系樹脂が得られ、単量体の一部または全部として多官能性のものを用いる場合には、熱硬化性のアクリル系樹脂が得られる。
本発明においては、得られるアクリル系樹脂組成物の使用目的、用途、加工方法等に応じて、熱可塑性のアクリル系樹脂または熱硬化性のアクリル系樹脂を選択して用いることができる。
【0040】
本発明のアクリル系樹脂組成物は、上記の(A)成分および(B)成分のいずれか一方または両方をアクリル系樹脂中に含有させることにより調製され、その具体的な方法は、特に限定されるものではないが、好ましい方法として、以下の(1)および(2)の2通りの方法を挙げることができる。
【0041】
(1)アクリル系樹脂を得るための単量体中に、特定の燐酸エステル化合物および銅塩(以下、「(A−1)成分」という。)並びに(B)成分のいずれか一方または両方が含有されてなる単量体組成物を調製し、この単量体組成物をラジカル重合処理する方法。この方法において、単量体組成物のラジカル重合処理の具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合法、例えば塊状(キャスト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の公知の方法を利用することができる。
(2)アクリル系樹脂中に、(A−1)成分および(B)成分のいずれか一方または両方を添加して混合する方法。この方法は、アクリル系樹脂として熱可塑性樹脂を用いるときに利用される。この方法としては、更に、(i)溶融させたアクリル系樹脂中に、(A−1)成分および(B)成分のいずれか一方または両方を添加して混練する方法、(ii)アクリル系樹脂を適宜の有機溶剤に溶解または膨潤させ、この溶液に(A−1)成分および(B)成分のいずれか一方または両方を添加して混合した後、当該溶液から有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
上記(i)の方法において、アクリル系樹脂と(A−1)成分および/または(B)成分とを混練する手段としては、熱可塑性樹脂の溶融混練法として一般に用いられている手段、例えばミキシングロールによって溶融混練する手段、ヘンシェルミキサーなどによって予備混合した後、押出機によって溶融混練する手段が挙げられる。
【0042】
また、上記(ii)の手段において、有機溶剤としては、用いられるアクリル系樹脂を溶解または膨潤し得るものであれば、特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類、ジメチルアクリルアミド、ジメチルフォルムアミド等のアミド化合物などが挙げられる。
【0043】
以上のアクリル系樹脂組成物の調製において、(A−1)成分を用いる場合には、特定の燐酸エステル化合物と銅塩とが反応する結果、銅塩から陰イオンである酸成分が遊離される。このような酸成分は、前述と同様の理由により、必要に応じて除去することが好ましい。
このような酸成分を除去する方法としては、(a)アクリル樹脂組成物を適宜の有機溶剤に浸漬させることにより、酸成分を抽出する方法、(b)単量体組成物の重合処理を行う前に、当該単量体組成物を冷却処理することにより、酸成分を析出させて分離する方法が挙げられる。
上記(a)の方法において用いられる有機溶剤としては、遊離される酸成分を溶解することができ、用いられるアクリル系樹脂に対して適度な親和性(アクリル系樹脂を溶解しないが、当該アクリル系樹脂中に浸透する程度の親和性)を有するものであれば、特に限定されるものではない。
このような溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等の脂肪族系炭化水素類およびそのハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類などが挙げられる。
上記(b)の方法においては、(A−1)成分を構成する銅塩として、遊離される酸成分が単量体に溶解しにくいものを用いることが好ましく、具体的には、安息香酸などの芳香環を有するカルボン酸の銅塩が挙げられる。
【0044】
本発明の近赤外線吸収性アクリル系樹脂組成物においては、(A)成分を構成する特定の燐酸エステル化合物または(B)成分を構成する特定の燐酸エステル銅化合物における燐酸エステル残基(銅イオン以外の残基)が、アクリル系樹脂100重量部に対して例えば0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは5〜15重量部となる割合で使用される。
このようにして得られるアクリル系樹脂組成物は、アクリル系樹脂中に銅イオンが十分に分散された状態で含有されているため、可視光線透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少なく、板状、円柱状、レンズ状等の所望の形状に成形することが可能である。
従って、本発明のアクリル系樹脂組成物は、熱線吸収性窓部材、近赤外線カットフィルター、近赤外線カットレンズ等の種々の光学製品を構成する材料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
〈実施例1〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計およびコンデンサーを取り付け、この四つ口フラスコ内に、1−メトキシ−2−プロパノール270g(3.0モル)と、溶剤としてトルエン400gとを仕込み、攪拌しながら5℃に冷却した。次いで、この溶液に、五酸化燐142g(1.0モル)を当該溶液の温度を5〜10℃に保ちながら徐々に添加した。その後、徐々に溶液の温度を上昇させ、60℃で6時間の条件で、1−メトキシ−2−プロパノールと五酸化燐とを反応させた。得られた反応液に、水20gを添加し、80℃で2時間攪拌した。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によって反応液中のトルエンおよび水の除去処理を行うことにより、液状の反応生成物390gを得た。
得られた反応生成物について、赤外吸収スペクトルによる分光分析を行ったところ、式(m)で表される燐酸エステル化合物および式(n)で表される燐酸エステル化合物を含有するものであることが確認された。この反応生成物の赤外吸収曲線を図1に示す。
また、得られた反応生成物について、以下のようにして、燐酸エステル化合物の組成および収率を算出した。
【0047】
〔燐酸エステル化合物の組成〕
平沼産業株式会社製のオートタイトレーターCOMTITE−101を用いて反応生成物の中和滴定を行い、得られた第1変曲点および第2変曲点の滴定量から、式(m)で表される燐酸エステル化合物および式(n)で表される燐酸エステル化合物の含有割合を算出した。結果を表1に示す。
〔収率〕
反応生成物に濃硝酸および過塩素酸を添加して加熱分解し、更に、蒸留水を加えて希釈した後、この溶液に硝酸、0.25%バナジン酸アンモニウム水溶液および5%モリブデン酸アンモニウム水溶液を加えて発色させ、分光光度計を用いて波長440nmの吸光度を測定し、燐標準溶液の吸光度を基準として、反応生成物における燐濃度(重量%)を求めた。
この燐濃度と、使用した燐化合物における燐濃度(重量%)とから収率を算出した。結果を表1に示す。
【0048】
〈実施例2〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計、水スクラバーが連結されたコンデンサーおよび滴下ロートを取り付け、この四つ口フラスコ内に、オキシ塩化燐153g(1.0モル)と、触媒として四塩化チタン4.6gと、溶剤としてトルエン180gとを仕込み、攪拌しながら5℃に冷却した。次いで、この溶液に、1−メトキシ−2−プロパノール180g(2.0モル)を添加した後、トリエチルアミン202g(2.0モル)を、当該溶液の温度を5〜15℃に保ちながら2時間かけて添加した。そして、徐々に溶液の温度を上昇させ、50℃で2時間の条件で、1−メトキシ−2−プロパノールとオキシ塩化燐とを反応させた。その後、水200gを添加し、50℃で1時間の条件で生成物の加水分解を行った。次いで、得られた反応液を静置することにより、当該反応液をトルエン層と水層とに分離させた後、トルエン溶液を回収した。そして、残りの水溶液にトルエン100gを添加して当該水溶液中の生成物の抽出処理を行い、トルエン溶液を回収した。この操作を3回繰り返すことにより、合計で600gのトルエン溶液を回収した。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によってトルエン溶液からトルエン等の除去処理を行うことにより、液状の反応生成物165gを得た。
得られた反応生成物について、赤外吸収スペクトルによる分光分析を行ったところ、式(m)で表される燐酸エステル化合物および式(n)で表される燐酸エステル化合物を含有するものであることが確認された。この反応生成物の赤外吸収曲線を図2に示す。
また、得られた反応生成物について、実施例1と同様にして、燐酸エステル化合物の組成および収率を算出した。結果を表1に示す。
【0049】
〈実施例3〉
(1)ホスホン酸エステル化合物の製造:
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計、水スクラバーが連結されたコンデンサーおよび滴下ロートを取り付け、この四つ口フラスコ内に、三塩化燐275g(2.0モル)と、溶剤としてヘキサン200gと仕込み、50℃に加熱した。次いで、この溶液に、1−メトキシ−2−プロパノール540g(6.0モル)を当該溶液の温度を50〜70℃に保ちながら2時間かけて添加した。以上において、1−メトキシ−2−プロパノールを添加した際に発生する塩化水素は、水スクラバーに導入して回収した。1−メトキシ−2−プロパノールの添加が終了した後、四つ口フラスコ内を、500mmHgの減圧下に60℃で1時間吸引することにより、残存する塩化水素の除去処理を行った。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によって反応液中のヘキサンおよび反応副生物である1−メトキシ−2−クロロプロパンの除去処理を行い、更に減圧蒸留し、3mmHgで119.0〜125.0℃における留分を回収することにより、液状物398gを得た。この液状物をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)ハイドロジェンホスホネートの純度(チャートの面積比を算出したもの)は96.3%であった。
【0050】
(2)燐酸エステル化合物の製造:
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計、5%水酸化ナトリウム水溶液スクラバーが連結されたコンデンサーおよび塩素ガス導入用ディップ管を取り付け、この四つ口フラスコ内に、得られた液状物226g(ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)ハイドロジェンホスホネートとして約1.0モル)を仕込み、10℃に冷却した。次いで、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)ハイドロジェンホスホネートに、その温度を10〜20℃に保ちながら塩素ガスを吹き込み、溶液が僅かに黄色に着色するまで続けた。その後、四つ口フラスコ内を、15mmHgの減圧下に25℃で吸引することにより、過剰の塩素ガスおよび反応副生物である塩化水素の除去処理を行い、液状物263gを得た。この液状物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)ホスホロクロリデートの純度(チャートの面積比を算出したもの)が92.4%であった。また、液状物の塩素濃度を、「分析化学実験法」(株式会社化学同人発行)に記載された「硝酸銀標準液による塩素イオンの定量法」に準じて測定したところ、塩素濃度は14.3%であった。
得られた液状物に水90g(5.0モル)を添加し、この溶液の温度を徐々に上昇させ、40℃で2時間の条件でビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)ホスホロクロリデートの加水分解を行った。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によって反応液から水の除去処理を行うことにより、反応生成物234gを得た。
得られた反応生成物について、赤外吸収スペクトルによる分光分析を行ったところ、式(m)で表される燐酸エステル化合物および式(n)で表される燐酸エステル化合物を含有するものであることが確認された。この反応生成物の赤外吸収曲線を図3に示す。
また、得られた反応生成物について、実施例1と同様にして、燐酸エステル化合物の組成および収率を算出した。結果を表1に示す。
【0051】
〈実施例4〉
(1)ホスホン酸エステル化合物の製造:
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計、水スクラバーが連結されたコンデンサーおよび滴下ロートを取り付け、この四つ口フラスコ内に、三塩化燐137.5g(1.0モル)と、溶剤としてヘキサン300gと仕込み、50℃に加熱した。次いで、この溶液に、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル444g(3.0モル)を当該溶液の温度を50〜70℃に保ちながら2時間かけて添加した。以上において、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加した際に発生する塩化水素は、水スクラバーに導入して回収した。ジプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加が終了した後、四つ口フラスコ内を、500mmHgの減圧下に60℃で3時間吸引することにより、残存する塩化水素の除去処理を行った。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によって反応液中のヘキサンの除去処理を行うことにより、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのホスホン酸エステル化合物と、反応副生物であるジプロピレングリコールモノメチルエーテルの塩化物との液状混合物504gを得た。この液状混合物をゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって分析したところ、ホスホン酸エステル化合物の純度(チャートの面積比を算出したもの)は72.2%であった。
【0052】
(2)燐酸エステル化合物の製造:
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計、5%水酸化ナトリウム水溶液スクラバーが連結されたコンデンサーおよび塩素ガス導入用ディップ管を取り付け、この四つ口フラスコ内に、得られた液状混合物504gを仕込み、10℃に冷却した。次いで、この液状混合物に、その温度を10〜20℃に保ちながら塩素ガスを吹き込み、溶液が僅かに黄色に着色するまで続けた。その後、四つ口フラスコ内を、15mmHgの減圧下に25℃で吸引することにより、過剰の塩素ガスおよび反応副生物である塩酸の除去処理を行い、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのホスホロクロリデートとジプロピレングリコールモノメチルエーテルの塩化物との混合物546gを得た。この混合物をゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより分析したところ、ホスホロクロリデートの純度(チャートの面積比を算出したもの)は69.9%であった。また、実施例3と同様にして、混合物の塩素濃度を測定したところ、9.3%であった。
【0053】
得られた混合物に水128g(7.0モル)を添加し、この溶液の温度を徐々に上昇させ、50℃で2時間の条件でジプロピレングリコールモノメチルエーテルのホスホロクロリデートの加水分解を行った。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によって、20mmHgの減圧下にディップ管から水蒸気を吹き込みながら水蒸気蒸留を行うことにより、反応液から水およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルの塩化物の除去処理を行うことにより、反応生成物348gを得た。
得られた反応生成物について、赤外吸収スペクトルによる分光分析を行ったところ、式(o)で表される燐酸エステル化合物および式(p)で表される燐酸エステル化合物を含有するものであることが確認された。この反応生成物の赤外吸収曲線を図4に示す。
また、得られた反応生成物について、実施例1と同様にして、燐酸エステル化合物の組成および収率を算出した。結果を表1に示す。
【0054】
〈実施例5〉
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルの代わりにトリプロピレングリコールモノメチルエーテル3.0モルを用いたこと以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより、反応生成物424gを得た。
得られた反応生成物について、赤外吸収スペクトルによる分光分析を行ったところ、式(q)で表される燐酸エステル化合物および式(r)で表される燐酸エステル化合物を含有するものであることが確認された。この反応生成物の赤外吸収曲線を図5に示す。
また、得られた反応生成物について、実施例1と同様にして、燐酸エステル化合物の組成および収率を算出した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003933392
【0056】
〈樹脂組成物の調製〉
実施例3で得られた燐酸エステル化合物(以下、「エステルA」という。)、実施例4で得られた燐酸エステル化合物(以下、「エステルB」という。)および実施例5で得られた燐酸エステル化合物(以下、「エステルC」という。)を用い、以下のようにして樹脂組成物を調製した。
【0057】
下記表2の配合処方に従って、燐酸エステル化合物とメチルメタクリレートとを混合し、この混合物に無水安息香酸銅を添加し、60℃で1時間攪拌して混合することにより、単量体組成物を調製した。この単量体組成物に、t−ブチルパーオキシピバレート0.2gを添加し、45℃で16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度で加熱してメチルメタクリレートの重合を行うことにより、本発明の近赤外線吸収剤(燐酸エステル化合物および銅イオン)を含有してなる樹脂組成物(1)〜樹脂組成物(3)を調製した。
【0058】
〈樹脂組成物の評価〉
得られた樹脂組成物(1)〜樹脂組成物(3)を200℃でプレス成形することにより、厚みが4mmの青色透明の板状体を得た。
得られた板状体について、波長550nm、波長800nmおよび波長900nmにおける光線透過率を測定した。
また、得られた板状体について、サンシャインウエザメーター(ブラックハネル温度63℃、降水有り)により、500時間の耐候性試験を行い、試験後における板状体の光線透過率を測定し、その変化の有無を調べた。
以上、結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0003933392
【0060】
表2の結果から明らかなように、本発明の近赤外線吸収剤が含有されてなる樹脂組成物(1)〜樹脂組成物(3)は、可視光線透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少ないものであることが確認された。
【0061】
〈実施例6〉
特定の燐酸エステル化合物として上記式(a)で表される化合物0.14gおよび上記式(b)で表される化合物0.80gをメチルメタクリレート20g中に添加して混合した。この混合溶液に、無水安息香酸銅1.17gを添加し、60℃で1時間攪拌することにより、燐酸エステル化合物と無水安息香酸銅とを反応させ、特定の燐酸エステル銅化合物を含有する単量体組成物を調製した。
得られた単量体組成物に、t−ブチルパーオキシピバレート0.2gを添加し、45℃で16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度で加熱してメチルメタクリレートを重合することにより、アクリル系樹脂組成物を調製した。
【0062】
以下のようにして、得られたアクリル系樹脂組成物の評価を行った。
アクリル系樹脂組成物を200℃でプレス成形することにより、厚みが4mmの青色透明の板状体を作製した。
得られた板状体について、波長550nm、波長800nmおよび波長900nmにおける光線透過率を測定した。
また、得られた板状体について、サンシャインウエザメーター(ブラックパネル温度63℃、降水有り)により、500時間の耐候性試験を行い、試験後における板状体の光線透過率を測定し、その変化の有無を調べた。
以上、結果を表3に示す。
また、板状体の分光透過率曲線を図6に示す。
【0063】
〈実施例7〜実施例17〉
特定の燐酸エステル化合物として上記式(a)〜式(r)で表される化合物(以下、これらを「エステル(a)」〜「エステル(r)」という。)を用意し、下記表3の配合処方に従って特定の燐酸エステル化合物および銅塩を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、アクリル系樹脂組成物を調製し、その評価を行った。
結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
Figure 0003933392
【0065】
〈実施例18〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計およびコンデンサーを取り付け、この四つ口フラスコ内に、特定の燐酸エステル化合物としてエステル(n)242g(1.0モル)と、溶剤としてトルエン250gと、無水酢酸銅一水和物100g(0.5モル)とを仕込み、徐々に温度を上昇させ、40℃で1時間攪拌し、更に、80℃で3時間攪拌することにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物とを反応させ、青色透明な溶液を得た。この溶液に対して蒸留処理を行うことにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物との反応によって生成された酢酸およびトルエンを除去することにより、本発明の燐酸エステル銅化合物270gを得た。収率は99.0%であった。
得られた燐酸エステル銅化合物は、下記式(8)で表される構造を有するものであり、当該燐酸エステル銅化合物について分析したところ、燐含有量が11.40重量%(理論値11.35重量%)、銅含有量11.70重量%(理論値11.64重量%)であり、明確な融点を有さず、また、分解温度は247℃であった。なお、得られた燐酸エステル銅化合物の赤外吸収曲線を図7に示す。
【0066】
Figure 0003933392
【0067】
この燐酸エステル銅化合物1gとエステル(n)1.03gとを、メチルメタクリレート20g中に添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、青色透明の単量体組成物を得た。得られた単量体組成物に、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを添加し、45℃で16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度で加熱してメチルメタクリレートを重合することにより、本発明の燐酸エステル銅化合物を含有してなるアクリル系樹脂組成物を調製し、実施例6と同様にしてその評価を行った。結果を表4に示す。
【0068】
〈実施例19〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計およびコンデンサーを取り付け、この四つ口フラスコ内に、特定の燐酸エステル化合物としてエステル(p)358g(1.0モル)と、溶剤としてトルエン360gと、無水酢酸銅一水和物100g(0.5モル)とを仕込み、徐々に温度を上昇させ、40℃で1時間攪拌し、更に、80℃で3時間攪拌することにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物とを反応させ、青色透明な溶液を得た。この溶液に対して蒸留処理を行うことにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物との反応によって生成された酢酸およびトルエンを除去することにより、本発明の燐酸エステル銅化合物355gを得た。収率は91.3%であった。
【0069】
得られた燐酸エステル銅化合物は、下記式(9)で表される構造を有するものであって、その性状はゼリー状の固体であり、当該燐酸エステル銅化合物について分析したところ、燐含有量が8.03重量%(理論値7.96重量%)、銅含有量8.20重量%(理論値8.17重量%)であった。なお、得られた燐酸エステル銅化合物の赤外吸収曲線を図8に示す。
【0070】
Figure 0003933392
【0071】
この燐酸エステル銅化合物1gとエステル(p)1.08gとを、メチルメタクリレート20g中に添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、青色透明のメチルメタクリレート溶液を得た。得られたメチルメタクリレート溶液を用い、実施例18と同様の操作を行うことにより、本発明の燐酸エステル銅化合物を含有してなるアクリル系樹脂組成物を調製し、その評価を行った。結果を表4に示す。
【0072】
〈実施例20〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計およびコンデンサーを取り付け、この四つ口フラスコ内に、特定の燐酸エステル化合物としてエステル(r)475g(1.0モル)と、溶剤としてトルエン480gと、無水酢酸銅一水和物100g(0.5モル)とを仕込み、徐々に温度を上昇させ、40℃で1時間攪拌し、更に、80℃で3時間攪拌することにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物とを反応させ、青色透明な溶液を得た。この溶液に対して蒸留処理を行うことにより、特定の燐酸エステル化合物と無水酢酸銅一水和物との反応によって生成された酢酸およびトルエンを除去することにより、本発明の燐酸エステル銅化合物455gを得た。収率は90.0%であった。
得られた燐酸エステル銅化合物は、下記式(10)で表される構造を有するものであって、その性状は粘調な液体であり、当該燐酸エステル銅化合物について分析したところ、燐含有量が6.20重量%(理論値6.13重量%)、銅含有量6.33重量%(理論値6.29重量%)であった。なお、得られた燐酸エステル銅化合物の赤外吸収曲線を図9に示す。
【0073】
Figure 0003933392
【0074】
この燐酸エステル銅化合物1gとエステル(r)1.18gとを、メチルメタクリレート20g中に添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、青色透明のメチルメタクリレート溶液を得た。得られたメチルメタクリレート溶液を用い、実施例18と同様の操作を行うことにより、本発明の燐酸エステル銅化合物を含有してなる樹脂組成物を調製し、その評価を行った。結果を表4に示す。
【0075】
〈実施例21〉
特定の燐酸エステル化合物としてエステル(c)0.4gおよびエステル(d)1.6gと、無水安息香酸銅1.3gとを、トルエン20g中に添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、特定の燐酸エステル化合物と無水安息香酸銅とを反応させ、本発明の燐酸エステル銅化合物を含有してなる青色透明なトルエン溶液を得た。
このトルエン溶液の全量を、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、「MHGA」)40gに添加して攪拌混合し、その後、60℃で24時間真空乾燥することによりトルエンの除去処理を行い、塊状物を得た。この塊状物を粉砕した後、180℃の加熱ロールにより5分間混練することにより、青色透明な樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を200℃でプレス成形することにより、厚みが2mmの板状体を作製し、実施例6と同様にしてその評価を行った。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
Figure 0003933392
【0077】
表3および表4の結果から明らかなように、本発明の燐酸エステル銅化合物が含有されてなる樹脂組成物は、可視光線透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少ないものであることが確認された。
【0078】
〈実施例22〉
四つ口フラスコに、攪拌機、温度計およびコンデンサーを取り付け、この四つ口フラスコ内に、特定の燐酸エステル化合物としてエステル(n)242g(1.0モル)と、溶剤としてトルエン250gとを仕込み、5℃に冷却した。次いで、この溶液に、25%水酸化ナトリウム水溶液160g(水酸化ナトリウムとして1.0モル)を、当該溶液の温度を5〜20℃に保ちながら徐々に添加することにより、エステル(n)の中和を行った。その後、この溶液に、硫酸銅(II)五水和物250g(1モル)を水750gに溶解した水溶液を、当該溶液の温度を20℃に保ちながら1時間かけて添加した。そして、徐々に溶液の温度を上昇させ、80℃で5時間の条件で、エステル(n)と硫酸銅(II)とを反応させた。得られた反応液中における生成した硫酸ナトリウムおよび硫酸銅(II)ナトリウムを濾別した後、この反応液を静置することによってトルエン層と水層とに分離させ、トルエン溶液を回収した。更に、残りの水溶液にトルエン200gを添加して当該水溶液中の生成物の抽出処理を行い、トルエン溶液を回収した。この操作を3回繰り返すことにより、合計で1020gのトルエン溶液を回収した。そして、四つ口フラスコに取り付けられたコンデンサーを蒸留装置に交換した後、この蒸留装置によってトルエン溶液からトルエン等の除去処理を行うことにより、反応生成物180gを得た。収率は66.0%であった。
【0079】
得られた燐酸エステル銅化合物は、上記式(8)で表される構造を有するものであり、当該燐酸エステル銅化合物について分析したところ、燐含有量が11.26重量%(理論値11.35重量%)、銅含有量11.04重量%(理論値11.64重量%)であり、明確な融点を有さず、また、分解温度は240℃であった。なお、得られた燐酸エステル銅化合物の赤外吸収曲線を図10に示す。
【0080】
【発明の効果】
本発明の近赤外線吸収剤によれば、上記の燐酸エステル化合物が含有されているため、近赤外線吸収成分である銅イオンをアクリル系樹脂よりなる合成樹脂中に高い割合で分散させることができる。そして、本発明の近赤外線吸収剤が添加されてなる樹脂組成物は、可視光線透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少ないものである。
また、本発明の近赤外線吸収剤によれば、上記の燐酸エステル銅化合物を有効成分とするため、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂中に含有させることにより、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少なく、しかも、可視光線の透過性に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の近赤外線吸収性合成樹脂組成物は、可視光線透過性に優れ、近赤外線を高い効率で吸収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外線吸収性の低下が少ないものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】 実施例1で得られた燐酸エステル化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図2】 実施例2で得られた燐酸エステル化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図3】 実施例3で得られた燐酸エステル化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図4】 実施例4で得られた燐酸エステル化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図5】 実施例5で得られた燐酸エステル化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図6】 実施例6で得られた近赤外線吸収性アクリル系樹脂組成物の分光透過率曲線を示す図である。
【図7】 実施例18で得られた燐酸エステル銅化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図8】 実施例19で得られた燐酸エステル銅化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図9】 実施例20で得られた燐酸エステル銅化合物の赤外分光曲線を示す図である。
【図10】 実施例22で得られた燐酸エステル銅化合物の赤外分光曲線を示す図である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される燐酸エステル化合物と、銅イオンとを含有してなり、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする近赤外線吸収剤。
    Figure 0003933392
  2. 下記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させることにより得られる燐酸エステル銅化合物を有効成分とし、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする近赤外線吸収剤。
    Figure 0003933392
  3. 下記式(6)または下記式(7)で表される燐酸エステル銅化合物を有効成分とし、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂に用いられることを特徴とする近赤外線吸収剤。
    Figure 0003933392
  4. 下記(A)成分および/または下記(B)成分が、アクリル系樹脂よりなる合成樹脂中に含有されてなることを特徴とする近赤外線吸収性合成樹脂組成物。
    (A)成分:銅イオンおよび下記式(1)で表される燐酸エステル化合物よりなる成分
    (B)成分:下記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅塩とを反応させて得られる化合物
    Figure 0003933392
  5. (B)成分が下記式(6)または下記式(7)で表される燐酸エステル銅化合物よりなることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収性合成樹脂組成物。
    Figure 0003933392
  6. 銅イオンの含有割合が組成物全体の0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収性合成樹脂組成物。
  7. 式(1)で表される燐酸エステル化合物は、基Rを示す式(2)および式(3)におけるR 2 が炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収性合成樹脂組成物。
  8. 式(1)で表される燐酸エステル化合物は、基Rを示す式(2)および式(3)におけるmが1〜3の整数であることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収性合成樹脂組成物。
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