JP3932589B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機に関し、特に、その内部を循環させる作動油の油溜まりにおける油面レベルを自動変速機の作動状態に応じて適正に制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、その変速機構の油圧制御、該変速機構を含む動力伝達装置各部の潤滑及び冷却、並びにトルクコンバータ内でのトルク伝達のために共通に使用される自動変速機作動油(ATF、本明細書において、単に油という)の循環系を備えている。この循環系において、装置各部からの排出油を回収する油溜まりにおける油の油面レベルは、低油温時の油面低下や車両の加減速時の油面の変化によるオイルポンプのエア吸いの防止のため、更には装置の歯車噛合部及び軸支持部の潤滑不足の防止のためには、できるだけ高い位置に設定するほうが良いが、逆に、高油温時においては、油の膨張により油面レベルが上昇するため、油溜まりの油が、特にその上部に差動装置やカウンタ歯車機構等の回転部材が配設されるトランスアクスル形式を採る自動変速機においては、これら回転部材により攪拌されて、該回転部材の回転が高いときに変速機ケース内の圧力が上昇し、甚だしい場合には、ブリーザ吹きが発生することが懸念される。そこで、従来、油溜まりの油面レベルは、ブリーザ吹きが発生しない範囲とエア吸いが生じない範囲との兼ね合いで、できるだけ高く設定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、自動変速機内の油溜まりの油面は、比較的高い位置に設定されるため、特に油面レベルが上昇する高油温時には、回転部材により油がかなり攪拌される状態になるのを避けがたく、ブリーザ吹きは生じないまでも、特に回転部材の回転が高くなる高速段達成時に著しく増加するこの攪拌抵抗が、自動変速機の動力伝達効率の向上の妨げとなる。したがって、こうした問題点に対処するには、油温に応じた油面レベルの制御を行うことが望ましい。しかしながら、油面レベルの制御が何らかの動力を必要とし、それ自体自動変速機の動力伝達効率のロスにつながるものであっては意味がない。
【0004】
そこで、本発明は、低油温時や車両の加減速時のエア吸いや潤滑不足を防止しながら、高速段達成時の回転部材の油の攪拌による効率低下をできるだけ減らす油面レベルの制御が可能な自動変速機の制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0005】
次に、本発明は、上記制御装置による油面レベルの制御を、そのために油圧源の油を消費することなく実行可能とすることを第2の目的とする。
【0006】
更に、本発明は、上記制御装置による油面レベルの制御を、自動変速機の過渡的な作動状態の変化にも迅速に対応可能なものとすることを第3の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、複数の変速段を達成する変速機構を含み、油の供給状態で作動する動力伝達装置を備える自動変速機の制御装置において、前記動力伝達装置の回転部材の下方に変速機内を循環する油を回収すべく設けられ、回収された油を再循環させるオイルポンプの吸い込み口が対向して設けられた第1の油溜まりと、前記回転部材と離隔させて変速機内に設けられ、第1の油溜まりとは別個に油を貯留する第2の油溜まりと、第2の油溜まりに設けられ、該第2の油溜まりに貯留された油を、流れを制限しながら第1の油溜まりへ帰還させる油孔と、変速機構による高速段の達成時に、第2の油溜まりへ油を供給する供給手段と、油温が低いときに変速機構による高速段の達成を禁止する禁止手段とを有し、前記油温が低いときに、前記禁止手段により高速段の達成が禁止されることによって、前記供給手段による前記第2の油溜まりへの油の供給が禁止されることを特徴とする。
【0008】
また、上記第2の目的を達成するため、変速機構による高速段達成のために係合する摩擦係合要素の油圧サーボへ、油圧源からの油圧を余剰油を排出しながら調圧して供給する調圧手段を有し、前記供給手段は、調圧手段と該調圧手段から排出される余剰油を第2の油溜まりへ導く油路とされた構成が採られる。
【0009】
更に、上記第3の目的を達成するため、前記第2の油溜まりは、それに捕集された油の油面の変動により第1の油溜まりへ油を帰還させる開口を有するものとされる。
【0010】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、油温が低いときには、高速段の達成が禁止され、第2の油溜まりには油は供給されず、油は第1の油溜まりのみに溜められるので、第1の油溜まりには十分な量の油が溜められ、オイルポンプのエア吸いは発生しない。そして、油温が高くなると、高速段の達成が許容されるので、第2の油溜まりに油が溜められることで第1の油溜まりの油量が少なくなり、油面レベルが低下し、回転部材による油の攪拌が少なくなって攪拌抵抗の増加が抑えられる。そして、車両の加減速による油面の変化は、相対的に加速度が小さくなる高速段では少なく、逆に低速段で大きくなるので、高速段でのみ第2の油溜まりに油を溜めることにより、車両の加減速によるエア吸いも防止できる。また、第2の油溜まりに溜められた油は、高速段でなくなれば、油孔を通して第2の油溜まりから第1の油溜まりに帰還されて、低速段での適正な油面が確保される。このように変速段に応じて第2の油溜まりへの油の供給を制御することにより、低油温時や車両の加減速時のエア吸いを防止しながら、高速回転する回転部材の油の攪拌による動力伝達効率の低下を抑えることができ、その結果、自動変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の構成では、第2の油溜まりへの油の供給に高速段達成のための油圧サーボへ油圧を供給する調圧手段からの排出油が利用されるので、油圧源の油を消費することなく、しかも変速制御を利用して、油面レベルを回転部材の油の攪拌抵抗が増大するのに合わせて下げることができ、より一層動力伝達効率の向上を図ることができる。
【0012】
更に、請求項3記載の構成では、車両の加減速に伴う慣性力や登降坂路走行への移行に伴う前後傾斜等で油面が変化すると、第2の油溜まりの開口から油が排出されることになり、油孔からの緩徐な排出を待たず、速やかに油を第1の油溜まりに帰還させて油面レベルを回復させることができるので、油面レベルを低下させる制御を行うことに伴うエア吸い発生の可能性をも低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明を適用した自動変速機を車両用の横置式トランスアクスルの形態で具体化したものを示す。この自動変速機Tは、複数の変速段を達成する変速機構Mを含み、油の供給状態で作動する動力伝達装置を備えており、動力伝達装置の回転部材19,21,32の下方に変速機内を循環する油を回収すべく第1の油溜まり1が設けられ、この油溜まり1に対向して、回収された油を再循環させるオイルポンプの吸い込み口41aが設けられている。
【0014】
回転部材19,21,32と離隔させて変速機内には、第1の油溜まり1とは別個に油を貯留する皿状の第2の油溜まり2が設けられている。第2の油溜まり2には、それに貯留された油を、流れを制限しながら第1の油溜まり1へ帰還させる油孔2aと、変速機構Mによる高速段の達成時に、第2の油溜まり2へ油を供給する供給手段3が設けられている。供給手段3は、本形態では、この自動変速機Tの油圧制御装置として変速機の前側に取付けられたバルブボディ40a内の図示しない調圧手段から排出される余剰油を第2の油溜まり2へ導く油路3aとされている。この関連の詳しい構成については、後に油圧制御装置の説明で詳記する。更に、第2の油溜まり2は、それに捕集された油の油面の変動により第1の油溜まり1へ油を帰還させる開口2bを有する。
【0015】
図2にシステム構成を示すように、この自動変速機Tにおける動力伝達装置の機構部(図上で破線で囲って示す)は、車両のエンジン(E/G)に連結されるロックアップクラッチ(L/C)付のトルクコンバータ12と、その出力を前進5速後進1速に変速する変速機構Mと、変速機構Mの出力を平行軸で差動装置30に伝達するカウンタギヤ機構20と、伝達された出力を車両の左右の車輪に伝達する前記差動装置30とから構成されている。これら変速機構M、カウンタギヤ機構20及び差動装置30は、この形態では、図1に示すように、それら相互の軸位置が三角形の頂点に位置するように配置され、差動装置30が最下方、変速機構Mがそれより若干上方、カウンタギヤ機構20が最上方に位置している。
【0016】
変速機構Mは、3つのプラネタリギヤセットM1,M2,M3を有するものとされ、そのうちの2つのプラネタリギヤセットM1,M2の大小径の異なるピニオンギヤP1 ,P2 は直結され、両プラネタリギヤセットM1,M3のそれぞれのリングギヤR1 ,R3 とキャリアC3 ,C1 は、相互に連結されており、プラネタリギヤセットM1のサンギヤS1 とキャリアC1 は入力要素とすべく、それぞれ入力摩擦クラッチ(C−1,C−2)を介してトルクコンバータ12のタービン軸13に連なる入力軸14に連結されている。また、相互に連結されたリングギヤR1 とキャリアC3 は、変速機構の出力要素としての出力ギヤ19に連結されている。更に、プラネタリギヤセットM1のサンギヤS1 は、バンドブレーキ(B−1)により変速機ケース10に係止可能とされ、プラネタリギヤセットM2のサンギヤS2 は、バンドブレーキ(B−2)により変速機ケース10に係止可能とされ、プラネタリギヤセットM3のサンギヤS3 は、バンドブレーキ(B−3)により同じく変速機ケース10に係止可能とされ、キャリアC1 に連結されたリングギヤR3 は、後進用多板ブレーキ(B−R)により変速機ケース10に係止可能とされている。なお、図において各クラッチ及びブレーキの油圧サーボは図示を省略されている。
【0017】
このように構成された自動変速機Tは、その制御装置を構成する油圧制御装置40及び電子制御装置(ECU)50による制御の下に、各クラッチ及びブレーキに対応する油圧サーボの油圧を給排し、それらを図3に作動を図表化して示すように係合(図に○印で示す)及び解放(図に無印で示す)させることで各変速段を達成する。すなわち、第1速(1ST)は、クラッチ(C−1)とブレーキ(B−3)の係合で達成される。このとき、エンジン(E/G)からの動力は、トルクコンバータ12を介して入力軸14に入り、クラッチ(C−1)経由でサンギヤS1 に入り、ブレーキ(B−3)の係合によるサンギヤS3 の係止で最も減速されたキャリアC3 の回転として出力ギヤ19に出力され、カウンタギヤ機構20により減速され、差動装置30を経て車両の左右の駆動輪に伝達される。
【0018】
これに対して第2速(2ND)は、クラッチ(C−2)とブレーキ(B−3)の係合で達成される。このとき、クラッチ(C−2)経由でキャリアC1 に入った入力は、キャリアC1 経由でそのままリングギヤR3 に入り、ブレーキ(B−3)の係合で係止されたサンギヤS3 を反力要素とするキャリアC3 の差動回転として出力ギヤ19に出力される。また、第3速(3RD)は、両クラッチ(C−1,C−2)の係合による第1のプラネタリギヤセットM1の直結で達成される。このとき入力軸14の回転は、そのままキャリアC3 の回転として出力ギヤ19に出力される。なお、本実施形態では、これら第1速〜第3速を本発明にいう低速段としている。
【0019】
この自動変速機Tの第4速以上は、オーバドライブとされ、第4速(4TH)は、クラッチ(C−2)の係合と、サンギヤS1 を係止するブレーキ(B−1)の係合で達成される。このとき、入力軸14に入る動力はキャリアC1 の回転に対してピニオンギヤP1 の自転分増速されたリングギヤR1 の回転としてキャリアC3 から出力ギヤ19に伝達される。これに対して、第5速(5TH)は、クラッチ(C−2)の係合と、ブレーキ(B−2)の係合で達成され、このとき、入力軸14に入る動力は、キャリアC1 の回転に対して、第4速達成時より大径のサンギヤS2 に反力をとる小径のピニオンギヤP2 の自転分更に増速されたリングギヤR1 の回転としてキャリアC3 から出力ギヤ19に伝達される。ここに、本形態では、これら第4速及び第5速を本発明にいう高速段としている。
【0020】
なお、後進(REV)は、クラッチ(C−1)とブレーキ(B−R)の係合で達成される。このとき、クラッチ(C−1)を介するサンギヤS1 への入力に対して、ブレーキ(B−R)の係合によるリングギヤR3 のケース10への係止でキャリアC1 が回り止めされ、ピニオンギヤP1 の自転による逆転の減速されたリングギヤR1 の回転がキャリアC3 経由で出力ギヤ19から出力される。
【0021】
次に、こうした構成からなる動力伝達装置を制御する油圧制御装置40は、図4に回路構成を示すように、前記油溜まり1に対向する吸い込み口41aからストレーナ41bを通して油を吸い上げてライン圧油路aに油圧を吐出するオイルポンプ(PUMP)41と、ライン圧油路aの油圧を変速機の入力トルクに応じたライン圧(PL )に調圧する図示しないプライマリレギュレータバルブ、スロットルリニアソレノイドバルブ等からなる油圧源を備えている。そして、この回路は、更にライン圧油路aのライン圧(PL )を減圧してモジュレータ圧油路eにモジュレータ圧(PM )を出力するソレノイドモジュレータバルブ42と、ライン圧油路aから第4速用ブレーキ(B−1)の油圧サーボ43への油圧の供給を制御するB1コントロールバルブ44と、同じくライン圧油路aから第5速用ブレーキ(B−2)の油圧サーボ46への油圧の供給を制御するB2コントロールバルブ45と、モジュレータ圧油路eのモジュレータ圧(PM )を電子制御装置50から出力されるソレノイド信号に応じて調圧してB1コントロールバルブ44にソレノイド信号圧(PS 1 )を印加するB1ブレーキリニアソレノイドバルブ47と、同じくモジュレータ圧油路eのモジュレータ圧(PM )をソレノイド信号に応じて調圧してB2コントロールバルブ45にソレノイド信号圧(PS 2 )を印加するB2ブレーキリニアソレノイドバルブ48とを備えている。
【0022】
上記各ソレノイドバルブにソレノイド信号を印加する電子制御装置(ECU)50は、変速制御プログラムを内蔵するマイクロコンピュータを主体に各ソレノイドバルブのソレノイドへ信号を出力する駆動回路と、各ソレノイドバルブからの信号をフィードバックするフィードバック回路とを備える構成とされている。そして、この電子制御装置50による制御のための入力手段として、各種のセンサが各部に配設されている。図2に示すように、本発明の主題とする制御に係るセンサとして、カウンタギヤ機構20の大径歯車21の回転から車速を検出する車速センサ51、図4に示すライン圧油路aの油の温度を検出する油温センサ52、エンジン(E/G)の電子スロットルEaからスロットル開度を検出するスロットル開度センサ53が設けられている。
【0023】
こうした構成からなる油圧制御装置40と電子制御装置50からなる制御装置は、図5に示すフローチャートに従う処理フローにより本発明の主題とする油面レベルの制御のための油圧制御を実行する。先ず、制御開始の当初のステップS−1では、実測値の検出処理として、図2に示す電子スロットルEaのスロットル開度センサ53から入力されるスロットル開度(θ)、車速センサ51から入力される車速(V)及び油圧制御装置40の油温センサ52から入力される油温(T)の読込を行う。
【0024】
次に、ステップS−2により、予め電子制御装置50のプログラム上に設定した油温(T0)と、前のステップで読み込んだ現在の油温(T)の比較判断を行う。ここに、設定油温(T0)は、油温上昇時と油温下降時とで異なった値としてヒステリシスを設け、制御のハンチングを防止するようにしている。例えば、上昇時油温をT0=A(°C)、下降時油温T0=B(°C)とし、A>Bとする。
【0025】
そして、上記油温判断が成立(Y)する場合は、次のステップS−3で電子制御装置50にメモリされた通常変速点マップを選択する。ここに、通常変速点マップとは、各変速制御形態毎に車速(V)とスロットル開度(θ)との関係でシフトアップ点とシフトダウン点とを規定したもので、通常電子制御装置50に備わるマップデータをいう。これに対して、ステップS−2の判断が不成立(N)のときは、ステップS−4により第4速及び第5速を禁止する本発明の主題に沿った異なる変速点マップを選択する。したがって、このステップが、本発明にいう油温が低いときに変速機構Mによる高速段の達成を禁止する禁止手段を構成する。そして、ステップS−5で、先にステップS−1で読み込んだスロットル開度(θ)と、車速(V)に基づいて、変速点マップから各変速段を設定する。
【0026】
図6は、上記通常変速点マップと第4速(4th)、第5速(5th)禁止変速点マップの例を対比して示す。この例では、図の下方に示すように、4th,5th禁止変速点マップでは、1→2アップシフト及び2→3アップシフト(図に実線で示す)並びに3→2ダウンシフト及び2→1ダウンシフト(図に点線で示す)については通常変速点マップと同様に設定され、車速(V)及びスロットル開度(θ)が高くなっても、第4速以上の変速段への変速が行われない設定とされている。
【0027】
こうして最後に、ステップS−6で、変速段に応じた油圧制御を行う。この油圧制御は、具体的には、各変速段の定常状態では、自動変速機Tの入力トルクに応じた油圧となるように、各ブレーキの図示しない油圧サーボへの油圧を油圧制御装置40内の調圧手段としての各コントロールバルブが常に調圧作動することで行われる。したがって、この調圧によりそれら各バルブのドレンとしての排出油が生じる。なお、変速時については、各コントロールバルブともそれらに対応するリニアソレノイドバルブに印加する電子制御装置からのソレノイド信号の信号値を時間変化させることで、所定の昇圧又は降圧特性となるように調圧制御される。
【0028】
こうした制御に伴い、第4速時については、電子制御装置50から油圧制御装置40のB1ブレーキリニアソレノイドバルブ47へのソレノイド信号出力がなされ、該バルブ47から出力されるソレノイド信号圧(PS 1 )がB1コントロールバルブ44に印加されるため、B1コントロールバルブ44は、その時点でのスロットル圧に応じたライン圧(PL )を供給され、適宜B−1ブレーキ油圧サーボ43への供給圧のフィードバック圧に応じて、余剰圧を第2の油溜まり2へ排出しながら、サーボ圧をブレーキ係止に必要な値にする作動を行う。したがって、この形態では、B1コントロールバルブ44と、そのドレンを第2の油溜まり2へ導く油路3aが油を供給する供給手段3を構成することになる。
【0029】
こうしてB1コントロールバルブ44のドレンポート(EX)から排出された油は、図1に示す第2の油溜まり2へ油路3aを介して供給され、その結果、第1の油溜まり1としてのケース10底部への回収量が減るため、第1の油溜まり1の油面レベルが低下する。こうした第4速時には、先に変速段の説明で述べたようにオーバドライブ状態となるため、最下方位置にある動力伝達装置の回転部材としての差動装置30のデフケース31と、それに固定されたリングギヤ32の回転も高くなっているが、油面レベルが図示LL の位置まで低下するため、それら回転部材の高速回転に伴う攪拌は減少する。
【0030】
同様に、第5速においては、B2ブレーキリニアソレノイドバルブ48及びB2コントロールバルブ45に同様の作動が生じ、B2コントロールバルブ45のドレンポート(EX)から排出された油が第2の油溜まり2へ油路3aを介して供給され、同様の油面レベルが低下して攪拌は減少する。したがって、第5速達成時は、B2コントロールバルブ45と、そのドレンを第2の油溜まり2へ導く油路3aが油を供給する供給手段3を構成することになる。
【0031】
なお、第2の油溜まり2は、その底部にドレンオリフィスとして機能する油孔2aが設けられているため、B1コントロールバルブ44又はB2コントロールバルブ45からの排出油の供給がなされない他の変速段(本形態において第1〜第3速及びリバース)時及び車両の非走行(パーキング又はニュートラル)時には、第2の油溜まり2から第1の油溜まり1への緩徐な油の帰還がなされ、やがて油面レベルは、図示LH の通常レベルに戻る。更に、第2の油溜まり2の上面は開放された開口2bとなっているため、車両の登降坂時や急加減速時のように油面の変化が生じやすい場合でも、第2の油溜まり2に対する油面の傾斜で、油のオーバフローにより第1の油溜まり1への回収が急速に行われるため、油孔2aからの緩徐な回収による応答遅れへの対応も十分可能である。
【0032】
かくして、本実施形態によれば、油温が低いときには、高速段にあたる第4速及び第5速の達成が禁止され、第2の油溜まり2には油は供給されず、油は第1の油溜まり1のみに溜められるので、第1の油溜まり1には十分な量の油が溜められ、オイルポンプ41のエア吸いは発生しない。そして、油温が高くなると、第4速及び第5速の達成が許容されるので、それらの変速段になると、第2の油溜まり2に油が溜められることで第1の油溜まり1の油量が少なくなり、油面レベルが低下し、差動装置30の回転による油の攪拌が少なくなって攪拌抵抗の増加が抑えられる。そして、車両の加減速による油面の変化は、相対的に加速度が小さくなる高速段では少なく、逆に低速段で大きくなるので、高速段でのみ第2の油溜まり2に油を溜めることにより、車両の加減速によるエア吸いも防止できる。また、第2の油溜まり2に溜められた油は、高速段でなくなれば、油孔2aを通して第2の油溜まり2から第1の油溜まり1に帰還されて、低速段での適正な油面が確保される。このように変速段に応じて第2の油溜まり2への油の供給を制御することにより、低油温時や車両の加減速時のエア吸いを防止しながら、高速回転する回転部材31,32の油の攪拌による動力伝達効率の低下を抑えることができ、その結果、自動変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【0033】
また、油面レベルの制御に調圧手段としてのB1コントロールバルブ44及びB2コントロールバルブ45からの排出油を利用しているので、オイルポンプ41の駆動ロスにつながるライン圧油路aからの油の消費に影響を与えることがなく、しかも変速制御を利用して、油面レベルを回転部材の油の攪拌抵抗が増大するのに合わせて下げることができ、より一層動力伝達効率の向上を図ることができる。
【0034】
更に、車両の加減速に伴う慣性力や登降坂路走行への移行に伴う前後傾斜等で油面が変化すると、第2の油溜まり2の開口2bから油が排出されることになり、油孔2aからの緩徐な排出を待たず、速やかに油を第1の油溜まり1に帰還させて油面レベルを回復させることができるので、油面レベルを低下させる制御を行うことに伴うエア吸い発生の可能性をも低減することができる。
【0035】
以上、本発明を特定の自動変速機に適用した実施形態に基づき詳説したが、本発明は、各種の自動変速機に広く適用可能なものであり、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に細部の具体的な構成を変更して実施することができる。例えば、より簡単な構成で実効を上げるべく、油温が低いときに達成を禁止する高速段を、特に回転部材による攪拌抵抗が増大する第5速のみとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したトランスアクスルの形態を採る自動変速機を模式化して示す断面図である。
【図2】上記トランスアクスルを機構部を展開してスケルトンで示し制御部をブロックで示すシステム構成図である。
【図3】上記自動変速機の作動図表である。
【図4】上記制御装置の油圧制御装置部の部分回路図である。
【図5】上記制御装置の電子制御装置部で実行される制御のフローチャートである。
【図6】上記制御に使用する電子制御装置内の変速点マップを示すグラフである。
【符号の説明】
T 自動変速機
M 変速機構
B−1,B−2 ブレーキ(摩擦係合要素)
a ライン圧油路(油圧源)
1 第1の油溜まり
2 第2の油溜まり
2a 油孔
3a 油路(供給手段)
31 デフケース(回転部材)
32 リングギヤ(回転部材)
40 油圧制御装置(制御装置)
41 オイルポンプ(油圧源)
41a 吸い込み口
44 B1コントロールバルブ(調圧手段、供給手段)
45 B2コントロールバルブ(調圧手段、供給手段)
43,46 油圧サーボ
50 電子制御装置(制御装置)
Claims (3)
- 複数の変速段を達成する変速機構を含み、油の供給状態で作動する動力伝達装置を備える自動変速機の制御装置において、
前記動力伝達装置の回転部材の下方に変速機内を循環する油を回収すべく設けられ、回収された油を再循環させるオイルポンプの吸い込み口が対向して設けられた第1の油溜まりと、
前記回転部材と離隔させて変速機内に設けられ、第1の油溜まりとは別個に油を貯留する第2の油溜まりと、
第2の油溜まりに設けられ、該第2の油溜まりに貯留された油を、流れを制限しながら第1の油溜まりへ帰還させる油孔と、
変速機構による高速段の達成時に、第2の油溜まりへ油を供給する供給手段と、
油温が低いときに変速機構による高速段の達成を禁止する禁止手段とを有し、
前記油温が低いときに、前記禁止手段により高速段の達成が禁止されることによって、前記供給手段による前記第2の油溜まりへの油の供給が禁止されることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 変速機構による高速段達成のために係合する摩擦係合要素の油圧サーボへ、油圧源からの油圧を余剰油を排出しながら調圧して供給する調圧手段を有し、
前記供給手段は、調圧手段と該調圧手段から排出される余剰油を第2の油溜まりへ導く油路とされた、請求項1記載の自動変速機の制御装置。 - 前記第2の油溜まりは、それに捕集された油の油面の変動により第1の油溜まりへ油を帰還させる開口を有する、請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
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JP02089897A JP3932589B2 (ja) | 1997-01-21 | 1997-01-21 | 自動変速機の制御装置 |
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