JP3929951B2 - 電線の架線工法 - Google Patents
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また、低弛度の架空電線の架線方法として、鉄塔間に機械的強度の大きい鋼撚線を架線し、この鋼撚線に吊金車を所定数載架し、前記吊金車に電線を挿通し延線した状態で前記鋼撚線に電線を絶縁スペーサを介して添架し、その後、吊金車を取り外す方法がある。(例えば特許文献2)
この架線方法によれば、電線の各部分を所定数の吊金車で鋼撚線に吊り下げた状態で、鋼撚線に電線を絶縁スペーサを介して添架するので、電線を鉄塔間に架線する場合の電線の弛みを少なくすることができる。
また、特許文献2記載の架線方法では、電線を鉄塔間に架線するのみであり、鉄塔間に架線されている電線をこれとは高さの異なる別の鉄塔間に電線の弛みを押えつつ容易に移線することはできなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電線の支持物に新たに電線を架線する際および電線の支持物の間に架線された電線を別の支持物に移線する際に電線の弛みを少なくすることができる架線工法を提供することである。
これにより、電線の支持物間に掛け渡された主索に所定間隔で吊下げられた吊金車に掛けられたロープで架線用電線を保持する電線保持手段を各吊金車ごとに吊下げる。そして、前記各電線保持手段が架線用電線の各部分を保持し、この各電線保持手段を吊り下げるロープを牽引して前記電線保持手段の上下方向の位置を調節する。このため、電線を支持物に架線することが容易になる。特に移線元の電線の支持物と移線先の電線の支持物における電線を支持する位置が上下方向にて異なる際でも容易に電線を移線することができる。さらに、電線の支持物間に掛け渡された主索に所定間隔で吊下げられた吊金車のそれぞれがその2つの滑車に掛けられたロープで架線用電線を保持する電線保持手段を吊下げている。そして、前記各電線保持手段が架線用電線の各部分を保持し、前記ロープの少なくとも一方の端部の牽引状態を調節して前記電線保持手段の上下方向の位置を調節するので、前記電線保持手段の上下方向の位置の調節が容易になる。
これにより、前記主索として架線先に架線済みの電線を使用するので、前記主索を別個に設ける必要がないため、2番目以降の電線の架線が容易になる。
これにより、前記ロープを容易に牽引することができるので、架線作業が容易になる。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る移線工法を示し、図2は図1の複数の金車で電線を吊下げた状態を示し、さらに、図3は図2の続きを示す。また、図4は図2の金車による電線の吊下げ部分を斜視図で示す。
つぎに、鉄塔16a、16b間の既設の図示しない電線(例えば架空地線17)を利用し、主索31を連結した自走機をこの電線に沿って走らせる方法等により、鉄塔16aの滑車25aおよび鉄塔16bの滑車25iに主索31を掛け渡し、主索31の図示左側端部をターンバックル31cを介してアンカー31aにより鉄塔16aの近傍の地面41に固定し、同様に主索31の図示右側端部をアンカー31bにより鉄塔16bの近傍の地面41に固定する。ここで、ターンバックル31cにより主索31の弛みを調節することができる。さらに、ターンバックル31cにロードセル式張力計を付設して、これにより主索31に加わる張力を測定してこの張力が適正値になるように管理することができる。
その後、巻上げロープ34(特許請求の範囲における「ロープ」に相当する。)を吊金車33の滑車33c、金車36、前記滑車33cを備える吊金車33の滑車33dに順次掛けることを繰り返し、各吊金車33ごとに金車36を吊下げる(図4参照)。
連結ロープ38の鉄塔16a側端部および鉄塔16b側端部(前記自走機で引っ張った端部)をそれぞれ鉄塔16a、16bの上部に結び付けると、各金車36、37の横方向の間隔を所定の適正な間隔に保つことができ、各金車36、37を安定させることができる。この状態で、各金車37が移線用の送電線11の各部分を保持している。
同時に、図1に示すウインチ23、24により吊上げ装置21、22を吊上げて、吊上げ装置21、22によっても送電線11を吊上げる。
このようにして、送電線11を図1の鉄塔16a、16bの架線位置までバランスを保ちつつ移動させる。つぎに、送電線11を鉄塔16a、16bに碍子16c、16dを介して架線する。その後、送電線11を各金車37および吊上げ装置21、22から取り外す。
さらに、図1に示す送電線13を鉄塔10a、10bから鉄塔16a、16bに移線する。送電線13は送電線12の下側に架設されているので、移線ずみの送電線12を主索31の代わりに使用する。このようにすると、送電線13の移線を円滑に行うことができる。
このようにして、三相の送電線11、12、13を鉄塔10a、10bから鉄塔16a、16bに順次移線することができる。
また、主索31、巻上げロープ34、曳行ロープ32、連結ロープ38等にケブラー(登録商標)ロープを使用すると、主索31、巻上げロープ34、曳行ロープ32、連結ロープ38等の強度を向上させることができる。
図7は本発明の第2の実施の形態に係る架線工法を示し、図8は図7の吊金車等を拡大して示し、図9は図8の上側の吊金車の右側面を示し、図10は図8の下側の吊金車の右側面を示す。
まず、鉄塔50に滑車54、55、56、57、58を取り付け、鉄塔50の図示左側の地面41上にコンクリートアンカー61および延線車62を配置し、鉄塔50の図示右側の地面41上にウインチ63を配置する。つぎに、最上段の送電線51を鉄塔50の図示しない碍子から外し、ワイヤを継ぎ足して滑車54を経てコンクリートアンカー61に連結する。そして、第2段の送電線52を鉄塔50の図示しない碍子から外し、ワイヤを継ぎ足して滑車55を経てコンクリートアンカー61に張力計65(送電線52の張力を計ることができる。)を介して連結する。さらに、第3段(最下段)の送電線53を鉄塔50の図示しない碍子から外し、ワイヤを継ぎ足して延線車62のドラムに巻き取る。上記図示しない鉄塔側においても同様に送電線51、52、53を処置する。但し、送電線53の線尻(前記図示しない鉄塔側の端部)は延線車が送り出す新しい送電線(送電線53の代わりとなるもの)に繋がれる。
また、図8および図9に示すように、吊金車72は、上から順に滑車72a、72bおよび横方向に並んだ一対の滑車72c、72dを備え、図8および図10に示すように、吊金車73は上から順に滑車73a、滑車73bおよび滑車73cを備えている。このため、吊金車72の滑車72a、72bの間に送電線52を挿通し、滑車72c、72dにかけた巻上げロープ77で吊金車73の滑車73aを吊下げ、吊金車73の滑車73b、73c間に送電線53を挿通させる。なお、滑車72c、72dは巻上げロープ77に適合するように第1の実施例の滑車33c、33d(図4参照)よりも薄く形成され、軽量化が図られている。また、滑車73aも滑車72c、72dと同様に形成されている。
また、連結ロープ75、76および巻上げロープ77にケブラー(登録商標)ロープを使用すると、これらの強度を向上させることができる。
また、張力計65、66はなくてもよい。
また、上記第2の実施の形態は、電線の張替え延線工事であるが、これに限らず、本発明の電線の架線工法は、電線の新設延線および電線の撤去延線等の全ての延線に適用できる。ここで、電線の新設延線の場合には、前記「送電線51、52、53」の各々の代わりにワイヤ等とし、このワイヤ等の線尻(前記図示しない鉄塔側端部)に新しい送電線を繋ぎ、このワイヤ等を新しい送電線に置き換えることになる。また、電線の撤去延線の場合には、新しい送電線の代わりにワイヤ等を前記「送電線51、52、53」の線尻に繋ぎ、前記「送電線51、52、53」を前記ワイヤ等に置き換える。
11、12、13 送電線(架線用電線)
16a、16b 移線先の鉄塔(電線の支持物)
31 主索
32 曳行ロープ
33 吊金車
33c、33d 滑車
34 巻上げロープ(ロープ)
35a、35b ウインチ
36、37 金車(電線保持手段)
50 鉄塔(電線の支持物)
51、52、53 送電線
63 ウインチ
71 吊金車
72 吊金車
72c、72d 滑車
73 吊金車(電線保持手段)
77 巻上げロープ(ロープ)
Claims (3)
- 架線先の電線の支持物間に主索を掛け渡し、
つぎに、前記主索に所定間隔で所定数の吊金車を吊下げ、
前記各吊金車が2つの滑車を有する吊金車であり、
前記各吊金車の2つの滑車に掛けたロープの前記各2つの滑車間の部分で電線保持手段を吊下げ、このロープの少なくとも一方の端部を牽引可能にし、
前記各電線保持手段に、架線用電線の各部分を保持させ、
前記ロープの少なくとも一方の端部の牽引状態を調節して、前記電線保持手段の上下方向の位置を調節することを特徴とする電線の架線工法。 - 請求項1記載の電線の架線工法であって、
前記主索が架線先に架線済みの電線であることを特徴とする電線の架線工法。 - 請求項1または2記載の電線の架線工法であって、
前記ロープの端部を地面に設置したウインチで牽引することを特徴とする電線の架線工法。
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