JP3929410B2 - ハイブリッド車両用動力源の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両用動力源の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は低速でのエネルギー効率は悪いが、速度が増加するにつれて燃費が向上する。一方、モーターは低回転で高トルクが得られるために低速では優れているものの、モーターだけを使用した場合は航続距離が大きく劣る欠点がある。これらの優位性を組み合わせたハイブリッド車両の動力源は、低速ではモーターを、速度が増加した場合には内燃機関を主として使用しており、また、これらの結合関係としてはシリアル方式やパラレル方式が知られている。
【0003】
従来から知られるハイブリッド車両用動力源の制御装置では、アクセル開度に基づいて決定されるドライバー要求トルクに制限を加えて内燃機関目標トルクを決定し、このドライバー要求トルクと内燃機関実トルク推定値との差分に応じて内燃機関と共に車軸にトルクを与えるモータのアシストトルクを決定している(下記、特許文献1参照)。
【0004】
また、バッテリーの充電量に応じて内燃機関の出力の制限分をモータの出力調整により補償するハイブリッド車両用動力源の制御装置も知られている(下記、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−157309号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平8−88905号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内燃機関の変速時又は車両発進時等の車軸に伝達されるトルクが急激に変化する場合には、変速制御等によってドライバー要求トルクと内燃機関の実トルクとの差が小さくなるため、この差分によって決定されるアシストトルクが小さくなる。すなわち、かかる場合のドライバー要求トルクは、内燃機関が要求するトルクであって、ドライバーが本来要求しているトルクではないため、モータによってトルク差分を補ったところでドライバーの要求するトルク発生感は改善されない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ドライバーが本来要求するトルク発生感に近づけることが可能なハイブリッド車両用動力源の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を達成するため、本発明に係るハイブリッド車両用動力源の制御装置は、アクセル開度に基づいて決定されるドライバー要求トルク自体の決定時に、ドライバー要求トルクに制限を加えて内燃機関で発生させる内燃機関目標トルクを決定し、ドライバー要求トルクと内燃機関の実トルクとの差分に応じて、内燃機関と共に車軸にトルクを与えるモータのアシストトルクを決定するハイブリッド車両用動力源の制御装置において、内燃機関及びモータの回転駆動力を車軸に伝達する変速機を備え、この変速機がシフトアップの際に、完全接続状態から、半接続状態を経て、断絶状態に至り、ギア比を切り換えた後、半接続状態となり、もとの完全接続状態となる場合には、ドライバー要求トルクの前記制限を緩和することを特徴とする。
【0010】
すなわち、このようにトルクが急激に変化する場合には、ドライバー要求トルク自体の決定時に制限処理が行われるため、ドライバー要求トルクと内燃機関の実トルクとの間の差分に応じて発生するモータのアシストトルクは減少してしまうので、上記制限を緩和することにより、上記差分を増加させてモータのアシストトルクを増加させ、ドライバーが本来要求するトルク発生感に実際のトルクを近づけることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係るハイブリッド車両用動力源の制御装置について説明する。なお、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は車両のブロック図である。
【0013】
この車両は、車体BDYに対して回転する車軸Sに固定された4つの車輪Wと、車軸Sに回転駆動力を伝達する動力源とを備えている。この動力源は、内燃機関EとモータMからなり、内燃機関E及びモータMの回転駆動力は変速機Tを介して車軸Sに伝達される。すなわち、本動力源を備える車両は内燃機関E及びモータMを具備するハイブリッド車両である。
【0014】
内燃機関Eは、これへの吸入空気量及び供給燃料に応じて回転駆動力(トルク)を発生するが、これらはエンジンECUによって制御される。モータMには、インバータIから供給される制御信号に応じてバッテリBAから電力が供給される。この供給電力に応じてモータMは、回転駆動力(トルク)を発生するが、制御信号が指示する供給電力はHV(電力制御用)ECUによって決定される。バッテリBAの充電量は、バッテリECUによってモニタされており、インバータIの指示する供給電力量をバッテリBAの充電量に応じて制限している。
【0015】
変速機Tはクラッチを含むものであり、クラッチの接続及び断絶はM/TECUによって制御され、M/T(変速機用)ECUはクラッチの完全接続状態、半接続状態、断絶状態を制御する。
【0016】
図2は、上述の電子制御ユニット(ECU)の制御を示すフローチャートである。
【0017】
まず、各車輪Wの速度を検出する車輪速センサの出力をモニタし、車輪速が規定値以上であるかどうかを以って、車両が走行中であるかどうかについて判断する(S1)。
【0018】
次に、ECUは、トルク偏差ΔTを求める(S2)。トルク偏差ΔTは、ドライバー要求トルクTEPと内燃機関Eの実トルクTETとの差分である(ΔT=TEP−TET)。
【0019】
ドライバー要求トルクTEPは、アクセル開度センサから出力されるアクセル開度θに基づいて求められ、具体的には、ドライバー要求トルク算出関数(マップ)Xにθを代入することにより求められる。
【0020】
内燃機関Eの実トルクTETは、内燃機関Eの実際の運転状態から推定することができ、運転状態としては、内燃機関のエンジン回転数Ne及び吸気管負圧Pbが挙げられ、この運転状態は内燃機関Eがその時点で出力しているであろうトルクを示している。内燃機関実トルク推定値は、内燃機関Eのクランク軸端トルク、すなわち内燃機関Eから直接出力されるトルクを間接的に示している。
【0021】
ステップS2において、トルク偏差ΔTが無い場合には、モータMで補うべきトルク値が「ゼロ」であるものと判定し(S5)、この場合にはモータ駆動用のHVECUに演算値(ゼロ)を送信する。
【0022】
ステップS2において、トルク偏差ΔTがある場合には、トルク偏差ΔT及び変速機Tのギア比に基づいて、当該トルク偏差ΔTを補うようにモータMのアシストトルクを演算し、演算値をモータ駆動用のECUに送信する。ECUは、当該演算値に基づいて、インバータIを駆動し、偏差ΔTを補うモータMのアシストトルクを発生させる。
【0023】
ここで、ステップS3において用いられる偏差ΔTの基準となるドライバー要求トルクTEPの算出関数(マップ)Xが問題となる。内燃機関Eの変速時又は車両発進時等の車軸Sに伝達されるトルクが急激に変化する場合(変動量50%超)には、変速制御等によってドライバー要求トルクTEPが制限されるマップが用いられる。すなわち、アクセル開度θの値がθ1、ギア比GがG1であり、エンジン回転数NeがNe1である場合、無変速定常走行時においては、これに対応したマップで要求トルクが演算されるものとする(無制限要求トルク:図7参照(但し、図7は排気ガス規制等の制限は反映している))。ギア比Gが異なる場合には、無変速定常走行時において最適なトルクが演算される。
【0024】
変速時において、ギア比GがG1からG2にシフトアップしたものとする。ギア比G1の場合の初期ドライバー要求トルクをTEP(G1)とする。
【0025】
変速時においては、変速機Mにおける▲1▼完全接続状態から、▲2▼半接続状態を経て、▲3▼断絶状態に至り、ギア比を切り換えた後、▲4▼半接続状態となり、もとの▲5▼完全接続状態となる。すなわち、ドライバー要求トルクは、シフトアップの場合、状態▲1▼〜▲5▼に対応して、▲1▼初期ドライバー要求トルクTEP(G1)から、▲2▼被制限ドライバー要求トルクTEP(G1)−Δα1、▲3▼被制限ドライバー要求トルクTEP(G1)−(Δα1+Δα1’)というように段階的に減少し、しかる後、▲4▼TEP(G1)−(Δα1+Δα1’)+Δα1”、▲5▼TEP(G2)となる。但し、Δα1、Δα1’、Δα1”は正の値であり、TEP(G2)はギア比G2の場合に最適化されたトルクである。
【0026】
このように、ドライバー要求トルクTEPが制限されるように変化すると、内燃機関Eにとっては最適のトルクを与えられるのだが、モータMを含めた動力源全体としてはトルク不足となる。すなわち、ドライバー要求トルクTEPと内燃機関Eの実トルクTETとの差ΔTが小さくなるため、この差分ΔTによって決定されるアシストトルクが小さくなる。すなわち、かかる場合のドライバー要求トルクは、内燃機関Eが要求するトルクであって、ドライバーが本来要求しているトルクではないため、差分ΔTに基づいてモータMによってトルク差分を補ったところでドライバーの要求するトルク発生感は改善されない。
【0027】
そこで、本実施形態におけるドライバー要求トルクTEPは、ドライバー要求トルクを変速中に一定とさせるなどして、上述の制限を緩和させる。すなわち、モータMの発生させるトルクは、通常制御よりも増加する。要するに、変速時においては、ドライバー要求トルク算出のためのマップが異なり、例えば、アクセル開度に比例した値、或いは、アクセル開度が変化しない場合には一定とする。
【0028】
また、発進時などにアクセルを強く踏み込んだ場合(キックダウン要求)、すなわち、ドライバー要求トルクがアクセル開度θ1、θ2に応じて(θ1<θ2)、TEP(θ1)からTEP(θ2)に増加した場合(TEP(θ1)<TEP(θ2))、実際にはアクセル踏み込み量に比例したトルクを内燃機関Eで発生させることはできない。すなわち、内燃機関Eのトルク応答速度は有限であるため、内燃機関Eの制御用に演算されるドライバー要求トルクは内燃機関Eにとって最適化された値に制限されることとなる。すなわち、車軸に伝達予定のトルクが急激に増加した場合、従来、本来のドライバー要求トルクTEP(θ2)からΔβだけ小さいトルクがドライバー要求トルク(TEP=TEP(θ2)−Δβ)として決定されている。
【0029】
本実施形態では、キックダウン要求があった場合、すなわち、アクセル開度自体が閾値(θ=40%)を超えた場合、Δβを減算しないことで、ドライバー要求トルクの制限を緩和し、以ってモータMのアシストトルクを増加させる。
【0030】
内燃機関Eで発生するトルクは、燃焼室への吸入空気量(スロットル開度)と、燃料量が多いほど大きくなり、これらの関係はエンジン回転数に応じて予めマップ化されているため、ドライバー要求トルクが決定されれば、内燃機関Eのトルクは決定できる。
【0031】
なお、供給燃料量が規定値を超えると、排気ガス規制を超えることになるため、ドライバー要求トルクは制限を受けることとなるが、この制限自体は法規制であるため緩和することができない。すなわち、上記ではドライバー要求トルクを内燃機関目標トルクとし、これはドライバー要求トルクの決定後に、かかる値をリミッタで制限し、内燃機関目標トルクとすることもできるが、この制限自体は緩和しない。
【0032】
上述のように、本実施形態に係るハイブリッド車両用動力源の制御装置は、アクセル開度θに基づいて決定されるドライバー要求トルク自体の決定時に制限を加えて内燃機関Eで発生させる内燃機関目標トルクを決定し、ドライバー要求トルクTEPと内燃機関Eの実トルクTETとの差分ΔTに応じて、内燃機関Eと共に車軸Sにトルクを与えるモータMのアシストトルクΔT×Kを決定する(Kは係数)。
【0033】
特に、本制御装置では、内燃機関Eの変速時又は車両発進時等の車軸Sに伝達されるトルクが急激に変化する場合には、ドライバー要求トルクTEPの決定時の制限を緩和している。これにより、差分ΔTを増加させてモータMのアシストトルクを増加させ、ドライバーが本来要求するトルク発生感に実際のトルクを近づけることができる。
【0034】
図3は、ECUにおける変速時のフローチャートである。
【0035】
まず、シーケンシャル・トランスミッションやティプトロニクス等のシフト操作に連動して自動変速が行われる変速機においては、シフトレバーの操作を検出することで、シフトチェンジ要求があるかどうかを判定し(S1)、要求がある場合には、現在の実アクセル開度θをアクセル開度センサによって検出する(S2)。なお、シフトチェンジ要求は、キックダウン状態に連動して発生する場合もある。
【0036】
また、クランク角センサの出力からエンジン回転数Neも検出する(S3)。次に、アクセル開度θ及びエンジン回転数Neとギア比Gに応じて内燃機関の特性表を参照し、内燃機関Eの実トルクを推定(検出)する(S4)。
【0037】
更に、アクセル開度θ及びエンジン回転数Neから変速中の制御目標となるドライバー要求トルクTEP(SHIFT)を演算する(S5)。更に、変速時のドライバー要求トルクTEP(SHIFT)とリミッタによる上限値を与える要求トルクTEP’とを比較し、これらのうちの最小のトルクTEPFを決定する(S6)。更に、モータMによるアシストトルクとして、ドライバー要求トルクと実トルクの偏差ΔT(=TEPF−TET)を演算し(S7)、この偏差ΔTでモータMが駆動されるようにインバータIを制御する(S8)。
【0038】
この制御によれば、変速時には差分ΔTが増加するので、ドライバーが本来要求するトルク発生感に実際のトルクを近づけ、変速時のシフトショックを抑制することができる。
【0039】
図4は、上述の制御を実行するためのECU内部の機能ブロック図である。
【0040】
内燃機関制御用のマップを有する要求トルク算出手段Aには、アクセル開度θ、エンジン回転数Ne或いはギア比Gが入力される。求められたドライバー要求トルクTEPは排気ガス規制等を満足するリミッタLによる制限を受けた後、内燃機関Eに制御信号として入力される。内燃機関Eの実トルク推定値TETは、ドライバー要求トルクTEPと共に差分手段DIFに入力され、これらのトルク差分ΔTに比例してモータMへの供給電力が決定される。
【0041】
一方、変速時においては、差分手段DIFに入力される要求トルク算出手段Aが、要求トルク算出手段Bに切り替わる。要求トルク算出手段Bは、変速時におけるドライバー要求トルクを入力情報θ、Ne、Gに基づいて求めるものである。要求トルク算出手段Bの出力は、内燃機関Eの制御とは独立した値であるため、ここでは、内燃機関Eの制御に拘らずドライバー要求トルクは一定であるとする。
【0042】
要求トルク算出手段Bの出力は、内燃機関実トルク推定値TETと共に差分手段DIFに入力され、これらのトルク差分ΔTに比例して、モータMへの供給電力が決定される。この構成によれば、変速時には内燃機関の制御状態によらず差分ΔTが増加するので、ドライバーのトルク発生感を向上し、シフトショックを抑制することとなる。
【0043】
図5は、変速時におけるドライバー要求トルクの時間依存性を示すグラフである。時刻t1において変速が開始されると、内燃機関Eを制御するため、すなわち、変速機Mにおけるクラッチの切断及び再接続を行うため、ドライバー要求トルクが低下した後増加する。これは内燃機関Eの制御用のトルクであり、従来、このトルクを差分手段に入力していた。内燃機関E側の制御信号としては、かかる要求トルクは好ましいので、図4の要求トルク算出手段Aにおいては、図5のAに示すような要求トルク曲線を辿ることとしてもよいのだが、これをそのまま差分手段DIFに入力すると、差分ΔTが小さくなり、トルク発生感やシフトショックの問題が生じる。
【0044】
本発明では、変速時においては、要求トルク算出手段Bにより、ドライバー要求トルクを略一定とするので、差分ΔTの低下を抑制することができ、トルク発生感及びシフトショックの問題を解決することができる。
【0045】
図6は、内燃機関実トルク推定値TETドライバー要求トルクTEP及び差分ΔTと時間の関係を示すグラフである。旧来のドライバー要求トルクTEP(旧)は、変速時には低下していたので、差分ΔT(旧)が点線で囲まれた領域で著しく低下し、アシストトルクが減少していた。本発明に係るドライバー要求トルクTEP(新)は、変速時においても低下しないので、差分ΔT(新)が点線で囲まれた領域においても低下せず、アシストトルクの減少が抑制される(旧)。
【0046】
図7は、アクセル開度θとエンジン回転数Neから決定されるドライバー要求トルクを示すグラフである。なお、エンジン回転数Neが約2800回転或いは4400回転以上では、ドライバー要求トルクに上述のリミッタが施されてなる内燃機関目標トルクがドライバー要求トルクとして示されている。アクセル開度θが大きいほど、一般には、ドライバー要求トルクは大きいが、変速時においては、同図中の▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の順番にドライバー要求トルクが変化する。なお、モータMによるアシストトルクの出力(kW)は、内燃機関Eの回転数が小さいほど増加する。
【0047】
上述のドライバー要求トルク算出手段Aでは、同図中の▲1▼〜4のドライバー要求トルクを変速開始と共に算出するが、ドライバー要求トルク算出手段Bでは、一例としてはアクセル開度のみに比例してドライバー要求トルクが算出される。
【0048】
次に、車軸に伝達されるトルクが急激に変化する場合として、車両発進時について説明する。
【0049】
図8は、本実施形態に係るドライバー要求トルク(新)、モータトルク指示値ΔT(新)、エンジン回転数、アクセル開度及び内燃機関実トルク推定値の時間変化を示すグラフであり、図9は、これらのパラメータの旧来の場合の時間変化を示すグラフである。
【0050】
ドライバー要求トルクは、内燃機関Eの運転状態を最適化するため、アクセル開度θに比例した値に制限を加えた値をドライバー要求トルクとして決定している(図7参照)が、差分(モータトルク指示値)ΔTに用いられるドライバー要求トルクは、ここで決定されるドライバー要求トルクに所定のトルクを加算したもの、すなわち、上述の制限を緩和したものである。
【0051】
例えば、低速発進時においては、アクセル開度θが所定値以下であるので、そもそもドライバー要求トルクの制限は小さく、ドライバー要求トルクと内燃機関実トルクとの間の差分ΔTをモータでアシストするが、急速発進をするべく、アクセル開度θが所定値を超えた場合には、差分Δにより決定されるアシストトルクに+Δというトルクを付加する。すなわち、ドライバー要求トルクを増加させて、差分ΔTを拡大させる。換言すれば、アクセル開度θに応じてドライバー要求トルクの制限を緩和する。
【0052】
これにより、従来、車両発進時においては、差分ΔTが小さいために、十分な加速感が得られなかったが、本実施形態では、ドライバー要求トルクの制限を緩和することで差分ΔTを増加させ、したがって、大きな加速感、すなわち、トルク発生感が向上することができる。なお、内燃機関の効率が悪い場合にも、最適化という意味では、要求トルクは制限されるが、これを補うために、当該制限を緩和し、変速時以外であっても、バッテリからの電力供給が可能な限りアシストトルクを発生させることもできる。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係るハイブリッド車両用動力源の制御装置によれば、ドライバーが本来要求するトルク発生感に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両のブロック図である。
【図2】上述の電子制御ユニット(ECU)の制御を示すフローチャートである。
【図3】ECUにおける変速時のフローチャートである。
【図4】上述の制御を実行するためのECU内部の機能ブロック図である。
【図5】変速時におけるドライバー要求トルクの時間依存性を示すグラフである。
【図6】内燃機関実トルク推定値TETドライバー要求トルクTEP及び差分ΔTと時間の関係を示すグラフである。
【図7】アクセル開度θとエンジン回転数Neから決定されるドライバー要求トルクを示すグラフである。
【図8】本実施形態に係るドライバー要求トルク(新)、モータトルク指示値ΔT(新)、エンジン回転数、アクセル開度及び内燃機関実トルク推定値の時間変化を示すグラフである。
【図9】従来のドライバー要求トルク(旧)、モータトルク指示値ΔT(旧)、エンジン回転数、アクセル開度及び内燃機関実トルク推定値の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
A…ドライバー要求トルク算出手段、B…ドライバー要求トルク算出手段、BA…バッテリ、BDY…車体、DIF…差分手段、E…内燃機関、S…車軸、I…インバータ、L…リミッタ、M…変速機、Ne…エンジン回転数、T…変速機、W…車輪。
Claims (1)
- アクセル開度に基づいて決定されるドライバー要求トルク自体の決定時に、ドライバー要求トルクに制限を加えて内燃機関で発生させる内燃機関目標トルクを決定し、前記ドライバー要求トルクと前記内燃機関の実トルクとの差分に応じて、前記内燃機関と共に車軸にトルクを与えるモータのアシストトルクを決定するハイブリッド車両用動力源の制御装置において、
前記内燃機関及び前記モータの回転駆動力を車軸に伝達する変速機を備え、この変速機がシフトアップの際に、完全接続状態から、半接続状態を経て、断絶状態に至り、ギア比を切り換えた後、半接続状態となり、もとの完全接続状態となる場合には、前記ドライバー要求トルクの前記制限を緩和することを特徴とするハイブリッド車両用動力源の制御装置。
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