JP3929167B2 - 支持装置付搬送車 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、入浴姿勢にした身体障害者や養護老人等(以下患者という)を乗せ洗浄や入浴等を行なう際に用いる支持装置付搬送車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術の特公平5−83254号公報には、車輪と、走行台車と、椅子フレームと、支持軸と、椅子本体と、背凭れと、着座部と、椅子基部と、足載せ部と、軸と、椅子基部回動手段と、足載せ部増角回動手段と、昇降手段と、X字状のリンクと、油圧シリンダと、ロックペダルとからなる搬送車が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来装置におけるロックペダルは、足動式のものであって、掛け忘れの可能性があり、万一のロック忘れの時には、台車部の不慮の移動に係る座席部の脱落等が発生し危険である。又、転倒を防止する支持装置も設けられておらず危険性がある。
【0004】
本発明の目的は、上記欠点を解決したものであり、搬送車を安全に操作できるようにした支持装置付搬送車を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、昇降可能な座席部(3)を有する搬送車(1)に於いて、前記座席部(3)の昇降動作に連動して前記搬送車(1)の左右方向への横転防止機能が発現・解消される転倒防止機構(39)を有する支持装置(11)を備え、前記支持装置(11)の有する前記機能は、前記座席部(3)が所定の下降位置以下の位置にないときに発現し、上昇位置にある前記座席部(3)が前記所定の下降位置にまで下降すると解消されることを特徴とする支持装置付搬送車である。
【0006】
又、支持装置(11)は、搬送車(1)のキャスタ−(34)の荷重受けゾ−ンより外方の周囲床面(15)に作用して機能するものである。
更に、支持装置(11)は、座席部(3)の昇降機能に連動して機能するものである。
【0007】
前記搬送車(1)は、移動自在な台車部(2)と、該台車部(2)に分離可能に支持され昇降する前記座席部(3)とからなり、前記台車部(2)に前記支持装置(11)を設けたものである。
【0008】
更に、支持装置(11)と台車部(2)との間にトグルリンク(23)が設けられ、前記トグルリンク(23)は、支持装置(11)の転倒防止作用及び/又は移動防止作用を維持するように支持装置(11)に対して錠止作用をなすものである。
【0009】
【作用】
搬送車1の座席部3は昇降する。転倒防止機構39を有する支持装置11は、少なくとも上昇部位では機能する。支持装置11は、搬送車1のキャスタ−34の荷重受けゾ−ンより外方の周囲床面15に作用して、横転防止機能を現わす。
【0010】
支持装置11は、座席部3の昇降機能に連動して横転防止機能を現わす。支持装置11は、座席部3が降下位置では横転防止機能を現わさない。
【0011】
搬送車1の台車部2は移動自在である。台車部2は座席部3を昇降可能に及び分離可能に支持し、台車部2に設けられた支持装置11が搬送車1の横転防止をなす。支持装置11と台車部2との間に設けられるトグルリンク23は、支持装置11の横転防止機能を少なくとも維持するように支持装置11に対して錠止作用をなす。
【0012】
【実施例】
図1に示す本発明の第1実施例における搬送車1は、移動自在な台車部2と、患者が座す座席部3と、台車部2に載設され前記座席部3を昇降させる昇降機構部4と、台車部2に設けられ搬送車1の転倒防止及び移動阻止をなす支持装置11とからなる。
【0013】
前記昇降機構部4は、台車部2上に設けられるXフレーム5と、該Xフレーム5の上部に載設されて昇降する昇降枠6と、Xフレーム5を起伏作動させる電動アクチェーター7とからなる。
【0014】
尚、昇降機構部4は、Xフレーム5と電動アクチェーター7からなるものに限定されることはなく、昇降枠6を昇降させる伸縮支柱(図示省略)、ネジシャフト(図示省略)等の適宜な他の構成に代えてもよい。
【0015】
上限・下限リミットスイッチ8・9は、台車部2上に設けられ、起・伏作動するXフレーム5の当接により作動する。上限・下限リミットスイッチ8・9の出力は電動アクチェーター7に停止の指示を与え、昇降枠6の昇降を停止させる。
【0016】
即ち、下降中の昇降枠6が、下限位置に至ると下限リミットスイッチ9に当たって下降を停止し、上昇中の昇降枠6が上限位置に至ると上限リミットスイッチ8に当たって上昇を停止する。
昇降スイッチ10は、該スイッチ10を押している時のみ昇降機構部4を作動させる操作具であって、モメンタリタイプのスイッチである。
【0017】
支持装置11は、搬送車1の転倒防止作用をなす転倒防止機構39と、移動阻止作用をなす移動防止機構40とからなる。前記転倒防止機構39は、昇降式の搬送車1の第1実施例では、座席部3が、下限位置以外にある時には、その全ての時に、搬送車1の横転防止機能、及び、移動阻止機能をなし、座席部3が、下限位置にある時には前述両作用をなさないものである。
【0018】
転倒防止機能の発現位置に係る他の例では、座席部3が少なくとも上限位置では搬送車1の転倒防止機能が現われる。
【0019】
転倒防止機構39は、具体的には、台車部2の前部に支持軸12で軸支されてなる支持脚13で構成される。
支持脚13は、搬送車1のキャスタ−34の荷重受けゾ−ンより外方の周囲床面15に作用して機能するものであり、通常、該支持脚13は搬送車1の左右に突出して設けられる左右支持脚13c、13dであり、搬送車1の左右横転を防止するものである。
【0020】
支持脚13における台車部2側の一方部13aは、引き上げバネ14で付勢され、支持脚13は常時垂下姿勢になる。
【0021】
支持脚13における外方突出側の他方部13bは、支持脚13が垂下姿勢の時には床面15に当接する。
【0022】
一方部13aは昇降枠6の昇降軌跡内に突出しており、昇降枠6が下降する時には、一方部13aは昇降枠6に当接したうえ押し下げられる。この時、支持脚13は垂下姿勢から水平姿勢に向って回動し、支持脚13の他方部13bは床面15から離れる。
【0023】
支持装置11のうち移動防止機構40は、具体的には、台車部2の前端に停止軸17にて軸支されてなる停止支持脚18である。
【0024】
停止支持脚18は、搬送車1の移動(=主に前進移動)を停止させるものであり、座席部3に連なるフットレスト19が垂下姿勢にある時には、該フットレスト19が停止支持脚18に当ってこれを下方に移動させ、すべり止めゴム33を床面15に当接させ搬送車1の移動を停止する作用をなし、フットレスト19が、上限位置に掛止されている時には停止支持脚18が浮き上がり前述停止作用をなさないものである。
【0025】
停止支持脚18は浮き姿勢になるように、外方突出側の突出部18aと台車部2の間に収縮バネ20が掛けられる。
【0026】
第1実施例の搬送車1は、座席部3が昇降枠6から分離可能に載設されるものである。入浴時に浴槽(図示省略)へ搬送車1を押し入れると、座席部3は昇降枠6から分離し、座席部3のみ浴槽内に入り、台車部2及び昇降機構部4等は浴槽の底壁(図示省略)の下に挿入される。
【0027】
尚、図1中、21は操作取っ手、22は座席部3を分離可能に支持する支持体、33はすべり止めゴム、34は車輪、35は車輪34を固定するストップペダル、36はバッテリ−である。
【0028】
実施例を搬送車入浴に使用する際には、介助者は、先ず、搬送車1の座席部3を移乗し易い適宜な高さに設定しておいて、該搬送車1に患者を乗せる。乗せ終えると昇降機構部4を作動させて座席部3を下限位置に下げ、浴室内の洗い場へ移動する。次に、座席部3を介助作業し易い適宜高さに上昇させて洗浄介助を行なう。
【0029】
洗浄後、座席部2を再び下限位置に下げ、浴槽に向かって移動し、搬送車1と共に患者を浴槽に入れ、入浴する。
【0030】
図示を省略するが、入浴の態様は、先ず、扉を開け、浴槽へ搬送車1を押し入れる。この時、底壁に座席部3が当接した後、座席部3と昇降機構部4とが分離し、座席部3は浴槽の中に入り、昇降機構部4及び台車部2は底壁の下に至る。扉を閉めて、湯を入れ、入浴を行なう。
【0031】
昇降枠6が下降位置では、支持脚13の一方部13aが下降する昇降枠6に当たり押し下げられ、支持脚13が持ち上がり水平姿勢に向って右回転する(図1参照)。支持脚13が右回転すると、該支持脚13の他方部13bが床面15から離れ、支持脚13の有する横転防止・移動防止の両機能が解消され、台車部2の移動が自在となる。
【0032】
逆に、座席部3が上昇する時は、座席部3に連動して、支持脚13の一方部13aが昇降枠6から離れ、垂下状態に移行し、該支持脚13の他方部13bが床面15に当たって、支持脚13は横転防止・移動防止の両機能を発揮し、搬送車1の横転を防止し、台車部2の移動も阻止する。
【0033】
座席部3を昇降させている時、座席部3又は昇降枠6が障害物に当った時には面状スイッチ等でなる挾み込み防止装置(図示省略)が作動し、昇降機構部4の作動は、緊急停止する。
【0034】
昇降スイッチ10を操作して、座席部3を下限位置から上限位置までの間の適宜高さに昇降及び固定させる。
【0035】
停止支持脚18は、搬送車1の移動を停止させる。座席部3に連なるフットレスト19が、上限位置に掛止されず垂下姿勢にある時には、フットレスト19の重みで停止支持脚18が押し下げられ、突出部18aが床面15に付き、搬送車1の前進を停止させる。昇降枠6が下降位置で支持脚13の有する横転防止・移動防止の両機能が解消され、台車部2の移動が自在となっている時に、停止支持脚18による搬送車1の移動停止は有効である。
【0036】
フットレスト19が上限位置に掛止して水平姿勢にある時には、突出部18aは収縮バネ20で引かれ、浮き姿勢になり、前記停止作用をなさない。
【0037】
搬送車1は、患者を、仰臥位で座位で又はリクライニング位で、移送したり洗浄介助したり、浴槽に入れたりする。特に、搬送車1がリクライニング構造の車椅子(図示省略)の場合は、洗浄介助の際にその作業を容易にするため座席部3を上昇させるが不安定な姿勢となる。その場合、車椅子は支持装置11の横転防止機能により安定姿勢が確保される。
【0038】
図3、4に示す本発明の第2実施例における搬送車1は、第1実施例における搬送車1の支持装置11と台車部2との間にトグルリンク23が付加設置され、支持装置11の支持脚13は台車支持脚32に代わる。第2実施例の支持装置11は、横転防止機能及び移動阻止機能を有する。
【0039】
トグルリンク23は、台車部2に主動軸24にて中間部が軸支される主動ア−ム25と、主動ア−ム25の先端25aに従動軸27にてア−ム先端26aが軸支される従動ア−ム26と、台車部2に押え軸28にて基端が軸支される押え作用具30とからなる。
【0040】
前記押え作用具30の中間部には、従動ア−ム26のア−ム基端26bが従動基軸29にて軸支される。
【0041】
台車支持脚32には押え作用具30に当って押えられる受け具31が設けられる。
主動ア−ム25の台車部2側の基端25bは、昇降枠6の移動軌跡の中にあり昇降枠6が下限位置に至ると押し下げられ、主動ア−ム25は右回転する。
【0042】
台車収縮バネ16の他端には紐37が延設され、該紐37は台車部2に取着される滑車38を経由して主動ア−ム25bの基端に止着される。
【0043】
台車支持脚32の作用を述べると、昇降枠6が下限位置に至ると主動ア−ム25の基端25bが押し下げられる。この時、主動ア−ム25の外方突出部の先端25aは上昇し、従動ア−ム26の先端26aを引き上げる。
【0044】
従動ア−ム26が引き上げられるとア−ム基端26bが押え軸28を中心に右回転し、押え作用具30も引き上げられ右回転する。押え作用具30が引き上げられた位置に至ると、受け具31への押圧力が消失する。そうなると、台車支持脚32はこれに一端が連結される台車収縮バネ16の付勢力により上昇し、横転防止及び移動防止の機能が解消される。
【0045】
次に、フットレスト19の下降に連動する台車支持脚32の作用を述べる。台車支持脚32が上昇位置にある時、フットレスト19を下降させ垂下状態にすると、フットレスト19の自重で台車支持脚32が押し下げられ、脚先部32aが床面15に当接し、搬送車1の前進は停止する。
【0046】
図3に示すように、トグルリンク23は、台車支持脚32の脚先部32aが床面15に当接し、搬送車1の横転を阻止する作用をなしている時に、前記脚先部32aの上方移動を阻止するように台車支持脚32を錠止するものである。
【0047】
即ち、昇降枠6が上昇すると、主動ア−ム25の基端25bから昇降枠6が除去され、主動ア−ム25はその先端25aが下がり左回転する。主動ア−ム25が左回転すると、主動ア−ム25は従動ア−ム26を介して押え作用具30を押し下げ、トグルリンク23が錠止状態になる。
【0048】
押え作用具30は、受け具31に当って台車支持脚32を押し下げ、台車支持脚32の脚先部32aを床面15に当接させ、搬送車1に横転防止及び移動防止の機能をなす。
【0049】
トグルリンク23が錠止状態になると、押え作用具30が上昇回動できないロック状態になり台車支持脚32を上昇不能状態になすが、主動ア−ム25が昇降枠6に押し下げられ右回転すると前述錠止状態は解除される。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、座席部3の昇降動作に連動して搬送車1の左右方向への横転防止機能が発現・解消される転倒防止機構39を有する支持装置11を備え、支持装置11の有する転倒防止機能は、座席部3が所定の下降位置以下の位置にないときに発現し、上昇位置にある座席部3が所定の下降位置にまで下降すると解消されるものであるから、座席部3を上昇させた介助し易い高い位置で洗浄介助等の作業をしても搬送車1は揺れず、横転による転倒の心配もなく、安全に、安心して洗浄介助作業等ができ、好都合である。
【0051】
また、手間が要らず、又、手動操作を忘れて危険な事態が起きるといったことを防ぐことができ、座席部3の昇降・介護する場合作業性向上及び安全の確保ができ、好都合である。
【0052】
また、上昇位置にある座席部3が所定の下降位置にまで下降すると支持装置11の有する横転防止機能が解消されるので、移動操作が安全に行なえ、好都合である。
【0053】
本発明における支持装置11は、搬送車1のキャスタ−34の荷重受けゾ−ンより外方の周囲床面15に作用して機能するものであるから、支持装置11が作用している時搬送車1はより安定性が増し、揺れず、横転せず、安全に、安心して介助作業ができ、好都合である。
【0054】
本発明における搬送車1が、移動自在な台車部2と、台車部2に分離可能に支持され座席部3とからなるものの場合でも、座席部3を上昇させた高い位置で洗浄介助等の作業をしても搬送車1は揺れず、横転せず、安全に、安心して洗浄介助作業等ができ、好都合である。
【0055】
又、浴槽外で座席部3が台車部2から分離して、座席部3のみが浴槽に入り入浴を実施するが、その場合、支持装置11が台車部2側に設けられているので、座席部3に余計な機構が付加されることもなく、何ら入浴及び入浴介助に障害を与えることなく、容易に入浴介助ができ、好都合である。
【0056】
本発明は、支持装置11と台車部2との間にトグルリンク23が設けられ、前記トグルリンク23は、支持装置11の横転防止機能を少なくとも維持するように支持装置11に対して錠止作用をなすものであるから、支持装置11が搬送車1の横転を防止する作用をなしている時に、即ち、支持装置11の先部が床面15に当接している時に、前記トグルリンク23は支持装置11の先部の上方移動を阻止するように錠止作用をなし、搬送車1の横転を防止する作用を一層確実にでき、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における座席部3が上限位置にある左側面図である。
【図2】本発明の第1実施例における座席部3が上限位置にある平面図である。
【図3】本発明の第2実施例における座席部3が上限位置にある左側面図である。
【図4】本発明の第2実施例における座席部3が下限位置にある左側面図である。
【符号の説明】
1 搬送車
2 台車部
3 座席部
11 支持装置
15 床面
23 トグルリンク
34 キャスタ−
39 転倒防止機構
40 移動防止機構
Claims (4)
- 昇降可能な座席部(3)を有する搬送車(1)に於いて、前記座席部(3)の昇降動作に連動して前記搬送車(1)の左右方向への横転防止機能が発現・解消される転倒防止機構(39)を有する支持装置(11)を備え、該支持装置(11)の有する前記機能は、前記座席部(3)が所定の下降位置以下の位置にないときに発現し、上昇位置にある前記座席部(3)が前記所定の下降位置にまで下降すると解消されることを特徴とする支持装置付搬送車。
- 前記支持装置(11)は、前記搬送車(1)のキャスタ−(34)の荷重受けゾ−ンより外方の周囲床面(15)に作用して機能するものであることを特徴とする請求項1記載の支持装置付搬送車。
- 前記搬送車(1)は、移動自在な台車部(2)と、該台車部(2)に分離可能に支持され昇降する前記座席部(3)とからなり、前記台車部(2)に前記支持装置(11)を設けたことを特徴とする請求項1記載の支持装置付搬送車。
- 前記支持装置(11)と前記台車部(2)との間にトグルリンク(23)が設けられ、前記トグルリンク(23)は、前記支持装置(11)の前記機能を少なくとも維持するように前記支持装置(11)に対して錠止作用をなすものであることを特徴とする請求項3記載の支持装置付搬送車。
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JPH11290382A JPH11290382A (ja) | 1999-10-26 |
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Cited By (1)
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- 1998-04-08 JP JP11415698A patent/JP3929167B2/ja not_active Expired - Fee Related
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