JP3928316B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、機械強度に優れた樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる成形体に関し、さらに詳しくは、自動車部品、電子部品、電子部品処理用器材、包装材などの用途に好適な樹脂組成物、及び成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂環式構造含有重合体樹脂は、耐熱性、低吸水性、防湿性、低誘電性などに優れ、光学部品、自動車部品、電気・電子部品、包装材等の材料として好適であることが報告されている。
しかし、自動車部品や電子部品、電子部品処理用器材などの用途に使用される材料は、年々、より高度の耐熱性や機械強度が要求されてきており、今後開発される製品等への使用が困難となる可能性がある。また、包装材のようにガスバリア性が要求される用途などについては、ガスバリア性を従来以上に改善しなければ使用できなかった。
【0003】
樹脂材料の、耐熱性、機械的強度などの改善を目的として、無機の充填剤を配合する方法は知られていたが、粒子径も大きく、ポリマーとの親和性を特に高めたものでもなかったため、少量の配合では物性の改善度は不十分であり、多量に配合すれば、かえって硬く、脆くなって使用できなくなるものであった。また、ガスバリア性を改善できるものではなかった。
そこで、無機充填剤の中でも、粒子径が小さい層状珪酸塩などの特定の層状化合物を、ポリマーとの親和性を向上させてポリマー中に分子レベルで分散させる技術が研究、開発されており、ポリオレフィンについても応用が試みられている。
【0004】
具体的には、極性の高い珪酸塩を非極性のポリオレフィン中に微分散させるために、ポリオレフィンを極性化合物で変性したり、長鎖アルキルのアンモニウム塩で、珪酸塩のイオン交換を行うなどして親和性の改善が図られており、 例えば、特開平10−298358号公報、特開平10−310704号公報などには、環状オレフィン樹脂にイオン交換した層状珪酸塩を配合する技術が開示されている。
しかし、本発明者らの検討によると、得られる樹脂組成物は期待した程度には機械強度が向上せず、着色が生じる場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性、機械強度、ガスバリア性に優れた樹脂組成物、及び該樹脂組成からなる成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、環状オレフィン樹脂などの脂環構造含有重合体に、層状化合物及び一定量の酸化防止剤を配合してなる樹脂組成物が、脂環構造含有重合体の従来の特性を維持しつつ、耐熱性、機械強度、ガスバリア性をさらに向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、脂環構造含有重合体、層状化合物、及び酸化防止剤を含有してなる樹脂組成物であって、該脂環構造含有重合体と層状化合物との重量比が99.99/0.01〜50/50の範囲であり、該組成物中の酸化防止剤の含有量が0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、該樹脂組成物を成形してなる成形体が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、脂環構造含有重合体、層状化合物、及び酸化防止剤とを含有してなり、該脂環構造含有重合体と層状化合物との重量比が99.99/0.01〜50/50の範囲であり、該組成物中の酸化防止剤の含有量が0.05〜10重量%の範囲であることを特徴とするものである。
【0009】
脂環構造含有重合体
本発明で使用される脂環構造含有重合体は、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、耐熱性、機械強度などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0010】
脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、機械強度、耐熱性、成形加工性の観点から、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。
脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあることが耐熱性、機械強度の観点から好ましい。
【0011】
こうした脂環構造含有重合体の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらの中でも、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体が耐熱性、機械強度の点からより好ましい。
【0012】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、例えば、特開平3−14882号公報や、特開平3−122137号公報などに開示されている公知の重合体であり、具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加共重合体などが挙げられる。
【0013】
重合に用いるノルボルネン系モノマーの具体例としては、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、
【0014】
5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エン、
【0015】
トリシクロ[4,3,12,5,01,6]−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4,3,12,5,01,6]−デカ−3−エン、トリシクロ[4,4,12,5,01,6]−ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4,4,12,5,01,6]−ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4,4,12,5,01,6]−ウンデカ−3−エン、テトラシクロ[7,4,110,13,01,9,02,7]−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8,4,111,14,01,10,03,8]−テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などのノルボルナン環を有しないノルボルネン系モノマー;
【0016】
テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4,4,12,5,17,10,0]−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6,5,11,8,13,6,02,7,09,13]−ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7,4,13,6,110,13,01,9,02,7]−ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノルボルナン環を有するノルボルネン系モノマーが、それぞれ挙げられる。
【0017】
また、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどの極性基を有するノルボルネン系モノマーなども挙げられる。
【0018】
上記のノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明においては、上記ノルボルネン系モノマー以外に、共重合可能なモノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20個を有するα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などを用いることができる。これらの共重合可能なモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
上記モノマーの開環重合体は、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で開環重合させることにより得ることができる。
水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0021】
ノルボルネン系モノマーと上記共重合可能なモノマーとの付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム、又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0022】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0023】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
【0024】
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59989号公報に開示されているビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭63−43910号公報、特開昭64−1706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。これらの重合体には、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンモノマー、エチレン、プロピレンなどの鎖状オレフィンモノマー、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル系モノマー(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマーなどを共重合することもできる。また、これらビニル脂環式炭化水素系重合体の立体配置については、アタクティック、アイソタクティック、シンジオタクティックの何れでもよく、例えば、ダイアッド表示によるシンジオタクティシティーで、0〜100%の何れのものも用いることができる。
【0025】
以上の脂環式構造含有重合体は、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、これらの酸無水物または不飽和カルボン酸のアルキルエステル等の誘導体などによりグラフト変性されたものであっても構わない。
【0026】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量で、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜300,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲であるときに、機械強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
本発明で使用される脂環式構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜180℃である。
【0027】
層状化合物
本発明に用いる層状化合物とは、層状結晶(結晶層)からなる多層構造を有する化合物のことをいい、(1)結晶層同士が、ファンデワールス力あるいは水素結合力で結合されているもの、(2)各結晶層間に陽イオンが存在しており、負電荷に荷電した結晶層同士が該陽イオンを介して弱い静電力で結合されているもの、に大きく大別することができる。
【0028】
以上のような層状化合物の具体例としては、グラファイト、TiS2,NbSe2,MoS2などの遷移金属ジカルコゲン化物;CrPS4などのニ価金属リンカルコゲン化物;MoO3,V2O5などの繊維金属の酸化物;FeOCl,VOCl,CrOClなどのオキシハロゲン化物;Zn(OH)2,Cu(OH)2などの水酸化物;Zr(HPO4)2・nH2O、Ti(HPO4)3・nH2O、Na(UO2PO4)・nH2Oなどのリン酸塩;Na2Ti3O7、KTiNbO5、RbxMnxTi2−xO4などのチタン酸塩;Na2U2O7、K2U2O7などのウラン酸塩;KV3O8、K3V5O14、CaV6O16・nH2O、Na(UO2V3O9)・nH2Oなどのバナジン酸塩;KNb3O3、K4Nb6O17などのニオブ酸塩;Na2W4O13、Ag4W10O33などのタングステン酸塩;Mg2Mo2O7、Cs2Mo5O16、Cs2Mo7O22、Ag4Mo10O33などのモリブデン酸塩;モンモリロナイト、サポナイト、ハイデライト、ヘクトライト、ノントロナイト、スティブンサイト、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラルバーミキュライト、マスコバイト、フィロゴバイト、バイオタイト、レピドライト、バラゴナイト、テトラシリシックマイカ、カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト、H2SiO5、H2Si14O29・5H2Oなどのケイ酸塩あるいはケイ酸塩から構成される鉱物類などが挙げられるが、耐熱性、機械強度、分散性等の観点より、ケイ酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩などが好ましく、ケイ酸塩が最も好ましい。
【0029】
これらの層状化合物は、分散性を良くするために、陽イオン性界面活性剤などで予め親有機化処理をしておくのが好ましい。陽イオン性界面活性剤としては、例えばR1R2R3R4N+X−で表される第四級アンモニウム塩がある。ここでR1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数1〜30の飽和又は不飽和炭化水素基である。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の飽和脂肪族炭化水素基、ラウリル、オレイル等の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル、ベンジル等の芳香族炭化水素基、等がある。X−としては、例えばCl−、Br−、NO3 −、OH−、CH3COO−等の陰イオンがある。
【0030】
脂環構造含有重合体と上記層状化合物との重量比は通常99.99/0.01〜50/50の範囲であり、好ましくは99.5/0.5〜70/30の範囲、より好ましくは99/1〜 80/20の範囲である。
また、該層状化合物は、その長径の平均値が通常0.05〜30μm、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。
重量比及び長径の平均値が上記範囲になるときに、樹脂組成物及び成形体の耐熱性、機械強度等に優れる。
【0031】
酸化防止剤
本発明に用いる酸化防止剤は、工業的に、一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が、樹脂組成物を成形する際の熱履歴やシェアに対する安定性などの観点より、最も好ましい。
【0032】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−第3ブチル−6−(3−第3ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−第3アミル−6−(1−(3,5−ジ−第3アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系フェノール化合物;2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−第3ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、
【0033】
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェノールなどのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−第3ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられ、これらの中でも、アクリレート系フェノール化合物やアルキル置換フェノール系化合物が好ましく、アルキル置換フェノール系化合物が特に好ましい。更にテトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタンは耐熱性、安定性に優れ、好ましい。
【0034】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−第3ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;
【0035】
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−第3ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−第3ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−第3ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−第3ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチルフェニルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられ、これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−第3ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
【0036】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げることができる。
【0037】
ラクトン系酸化防止剤は、ラクトン構造を含む化合物ものであれば特に限定はされないが、芳香族系のラクトン化合物が好ましい。この中でもベンゾフラノン骨格を有するものがより好ましく、さらにアリール基を置換基としてフラン環の側鎖に有する3−アリールベンゾフラン−2−オンがより好ましく、一例として5,7−ジ−第三ブチル−3−(3、4−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを挙げることができる。
【0038】
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、格別な制限はないが、通常、構造中に3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル基、ならびに、2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を有している化合物が用いられる。具体的には、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
【0039】
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、N,N´,N'',N''´−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1、3、5−トリアジン・N,N´−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、アデカスタブLA−63P[旭電気化学社製]などが挙げられる。
【0040】
本発明においては、樹脂組成物中の上記酸化防止剤の配合量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。酸化防止剤はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。樹脂組成物中の酸化防止剤の配合量が過度に多いと着色することが有り、また逆に過度に少ないと、層状化合物の配合時や成形時の熱履歴やシェアにより樹脂組成物が酸化、分解等されて着色したり、機械強度が低下する場合がある。
【0041】
層状化合物、及び酸化防止剤の配合方法は、脂環構造含有重合体中に十分均一に混合できる方法であれば特に制限はないが、通常、(1)層状化合物及び酸化防止剤とを押出機、ロールなどを用いて溶融混合する方法、(2)脂環構造含有重合体及び酸化防止剤のそれぞれを溶液でブレンドし、溶媒を除去した後、層状化合物を押出機、ロールなどを用いて溶融混合する方法、などを使用することができるが、酸化防止剤や脂環構造含有重合体の熱による着色等を低減するためには、(2)の方法を用いるのがより好ましい。また、(2)の方法を用いる際には、層状化合物の配合時にも、酸化防止剤の所定量の一部を同時に配合するのが好ましい。
【0042】
軟質重合体
本発明においては、樹脂組成物の機械強度等をさらに向上させる目的で、樹脂組成物中に軟質重合体を含有させてもよい。該軟質重合体は、通常30℃以下のTgを有する重合体であり、Tgが複数存在する場合には、少なくとも最も低いTgが30℃以下であればよい。
【0043】
これらの軟質重合体の具体例としては、例えば、液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;
【0044】
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのケイ素含有軟質重合体; ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのα,β−不飽和酸からなる軟質重合体; ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などの不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールからなる軟質重合体; ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴム、などのエポキシ系軟質軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
【0045】
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で優れる。
【0046】
軟質重合体は、単独でも、2種以上を組み合せて用いることもでき、その配合量は、機械強度と耐熱性のバランスの観点より、該組成物中に、通常0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.2〜20重量%である。
【0047】
成形体
本発明の成形体は、上記本発明の樹脂組成物を、例えば加熱溶融成形等することにより得ることができ、成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、キャスト成形法などの、通常の成形方法を用いることができる。
成形体は、球状、棒状、板状、シート状、ファイバー状、筒状などの各種の形状に成形して使用することができるが。
【0048】
用途
上記成形体は、耐熱性、機械強度などに優れるために、自動車用途、電子部品用途、電子部品処理用器材用途などに好適に使用することができ、またガスバリアー性などに優れるために、食品や医薬品などの包装材などに好適に使用することができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明について、製造例、実施例、及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。
これらの例において、〔部〕は、特に断りのない限り、重量基準である。また、各種物性の測定法は、次のとおりである。
【0050】
(1)Tgは、示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
(2)分子量は、特に記載しない限り、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算値として測定した。
(3)熱変形温度の測定は、ASTM D648に準じて荷重18.6kgf/cm2にて行なった。
(4)曲げ弾性率の測定法は、ASTM D790に準じて行なった。
(5)ガスバリア性の評価として、酸素透過度を、ASTM D1434に準じて測定した。
(6)色調は目視で判定した。
【0051】
(ノルボルネン系開環重合体水素添加物の合成)
〔製造例1〕
窒素雰囲気下、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕テトラデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう。以下、MTFと略す)25部、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(以下、TCDと略す)35部とトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(以下、DCPと略す)40部をメタセシス開環重合触媒系で重合し、次いで水素添加しMTF/TCD/DCP(25/35/40)開環共重合体水素添加物を得た。水素添加反応終了後、反応溶液から水素添加触媒を除去し、開環重合体水素添加物溶液を得た。この開環共重合体水素添加物の水素添加率は99.9%以上、Mwは38,100、Tgは137℃であった。
【0052】
(芳香族ビニル系重合体の水素添加物の製造)
〔製造例2〕
十分に乾燥し窒素置換した、撹拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンとイソプレンの混合モノマー(重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(95/5))4部、及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、50℃で撹拌しながら、n−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム相当量で0.18部を添加して重合を開始した。50℃で30分間撹拌を継続して重合反応を行った後、さらに撹拌を継続しながら、反応器中に、上記と同じイソプレンとスチレンの混合モノマー76部を、1時間かけて連続的に添加した。添加終了後、50℃で30分重合を行った後、イソプロピルアルコール0.1部を添加して重合反応を停止させスチレン−イソプレン共重合体を得た。 次いで、上記共重合体含有の重合溶液1200部を攪拌装置を備えた耐圧反応容器に移送し、ニッケル−シリカ/アルミナ触媒(日揮化学工業社製;E22U, ニッケル担持量60%)8部を添加混合した。仕込み終了後、反応容器内部を水素ガスで置換し、撹拌しながら160℃で、水素を供給して圧力70kg/cm2に保ち、6時間水素添加反応を行った。水素添加反応終了後、反応溶液からろ過により水素添加触媒を除去した。得られた水素化重合体の水素添加率は99.9%以上、Mwは195,000、Tgは125℃であった。
【0053】
(層状化合物の親有機化)
〔製造例3〕
層状珪酸塩であるモンモリロナイト(長径平均値:0.5μm )100部を、60℃の蒸留水1000部に均一に分散させた。次いで、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド20部を蒸留水300部に溶解させた溶液を、激しく撹拌した前記のモンモリロナイト分散液中にゆっくりと加え、60℃で3時間撹拌を続けた後、濾過により固形分を取り出した。得られた固形分を60℃の蒸留水500部に加えて再分散させた後、再度濾過により固形分を取り出した。
以降、再分散、濾過の操作を3回繰り返した後、凍結乾燥法により水分を除去して、親有機化モンモリロナイトを得た。
【0054】
〔実施例1〕
製造例1で得られた水素添加物溶液に、酸化防止剤ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(IRGANOX1010FP:チバ・スペシャリティー・ケミカル製)を、水素添加重合体100部に対して、0.05部の配合量となるように添加し、完全溶解させた後、脱溶剤してペレット化した。
得られた樹脂ペレット100部に対して、製造例3で得られた親有機化モンモリロナイトを5部、及び上記酸化防止剤1.45部を添加し、二軸押出機(東芝機械製TEM−35B)を用いてバレル温度280℃にて窒素気流下で溶融混練して再度ペレット化した。
【0055】
上記ペレットを用い、
(1)型締め力30tの射出成形機で、樹脂温度270℃、金型温度80℃にて、試験片を作成して、熱変形温度、弾性率を評価した。
(2)また、シート押出機を用いて、厚さ80μmのシートを製造し、ガスバリアー性を評価した。
評価結果を表1に記載する。
【0056】
【表1】
【0057】
〔参考例1〕
製造例2で得られたポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物、及び試験片等を製造して評価した。評価結果を表1に記載する。
【0058】
〔比較例1〕
親有機化モンモリロナイトを配合しなかった以外は、実施例1と同様に樹脂組成物、及び試験片等を製造して評価した。評価結果を表1に記載する。
【0059】
〔比較例2〕
親有機化モンモリロナイトを配合しなかった以外は、実施例2と同様に樹脂組成物、及び試験片等を製造して評価した。評価結果を表1に記載する。
【0060】
〔比較例3〕
酸化防止剤1.45部を添加しないで、再度ペレット化した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物、及び試験片等を製造して評価した。評価結果を表1に記載する。
【0061】
〔比較例4〕
酸化防止剤1.45部を添加しないで、再度ペレット化した以外は、実施例2と同様に樹脂組成物、及び試験片等を製造して評価した。評価結果を表1に記載する。
【0062】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いた場合、耐熱性、機械強度、ガスバリアー性のいずれにも優れた成形体を得ることができる。該成形体は上記特性に優れるために自動車部品、電気部品、包装材料あるいは産業用全般の分野などの用途に好適に使用することができる。
Claims (3)
- ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、親有機化処理した層状化合物、及び酸化防止剤を含有してなる樹脂組成物であって、前記ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物と層状化合物との重量比が99.99/0.01〜50/50の範囲であり、該組成物中の酸化防止剤の含有量が0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
- 層状化合物の長径の平均値が0.05〜30μmである請求項1記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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