JP3927765B2 - コイル包装装置およびその包装方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、コイル状の円筒物の外周面包装時にコイル外周面にシートを接触させながらシートとコイルのずれを少なくし、しかも呼称径が同一でも直径が相違するコイルをだぶつきが少ない状態に包装することを可能ならしめるコイル包装装置およびその包装方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
金属コイル、例えば線材や鋼板のコイルは、出荷工程において、その外周部分の傷付防止と、製品倉庫内の保管中および搬送途上における防錆のために、防錆紙などの包装材(以下、シートという。)で包装される。従来、包装作業は人力により行われていたため多大な労力を要し、また大重量であるため危険を伴っていた。そのため、近年では、省力化と安全性の向上のために包装作業は機械化されている。包装作業を機械化したものとしては、例えば特開昭53−17490号公報に開示されてなる鋼板コイル包装装置が公知である。
【0003】
以下、この従来例に係る鋼板コイル包装装置の概要構成を、その一部切欠き正面図の図8を参照しながら説明すると、機台1の一側に設けられたシート支持装置52の支持ローラ49により支持されている包装コイル(以下、シートコイルという。)48が駆動装置50の駆動により前記支持ローラ49が回転される。これに合わせて、機台1のシート支持装置52側の上に設けられたシート供給装置53が駆動され、シートコイル48が一端をコイル被覆装置5のローラ21の上を通されて機台1上のP点からPs 点に到達する。次いで、シートがPs 点において吸着盤8により吸着されると共に無端チェーン7の駆動により機台1上のPg 点まで移動される。そして、コイル支持装置4のローラ支持台13に設けられた一対のローラ14に展延されたシートの上に鋼板コイル55が載せられると、図示しない包装材切断機により切断された所定長さのシートの端部が鋼板コイル55を包装するコイル被覆装置5の左右のアーム20の先端に設けられているローラ21とシリンダ付き押え金具22とにより把持される。
【0004】
このようにしてシートを受け取ったコイル包装装置5は、シリンダ24の伸長作動によりアーム20をコイル支持装置4寄りの枢支部を支点としてローラ21同士が衝合するまで回動させることにより鋼板コイル55をシートで包む。次いで、シリンダ付き押さえ金具22を退避させてローラ21との挟持状態を開放すると共にシリンダ付き加熱器23を衝合させて鋼板コイル55の全周面にシートを沿わせ、シリンダ付き加熱器23でシートの両端部を接着した後にシリンダ24の縮小作動によりアーム20を機台1内の原点に復帰させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例に係る鋼板コイル包装装置では、シート全体を持上げる機能が付与されていない。従って、たとえシートの長さが適正であっても、鋼板コイルの最上位位置で端部が接着されるまでの間は、シートは鋼板コイルの外周に接触しておらず、接着される直前においてシートが鋼板コイルの外周面に対して一挙にずれて接触するため、シートが損傷を受ける恐れがある。
【0006】
また、上記従来例に係る鋼板コイル包装装置は、鋼板コイルを同一長さのシートで包装する構成である。ところが、一般的に鋼板コイルは呼称径が同じでも製品サイズによりコイルの直径が均一にはならないものである。径が相違する鋼板コイルを同一長さのシートで包装すると、小径の鋼板コイルの場合には余長分が生じるためシートがだぶついて鋼板コイルの外周面に沿わず、搬送時に周辺機器類に引っ掛かってシートが損傷したり、外れたりするというような包装不良が発生するという恐れがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、包装作業時において、金属コイルに接触しながらのシートのずれを少なくし、しかも呼称径が同一で直径が相違する金属コイルをだぶつきが少ない状態に包装することを可能ならしめるコイル包装装置およびその包装方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るコイル包装装置が採用した手段は、シート取込み・渡し装置から、金属コイルの直径に対応した長さを有する包装用のシートを受取り、受取ったシートで金属コイルを包装するコイル包装装置において、前記金属コイルの直下とシート受取り位置との間で金属コイルの径中心を通る中心線と平行に往復動する走行台車を備え、この走行台車の走行方向と直交する幅方向の二個所で、かつこの走行台車の走行方向と平行に配設された回動軸を回動中心とし、シートを受取るときの折り畳み状態では先端部に設けた関節軸が、少なくとも前記二個所の回動軸の内側に位置する基端アームと、前記関節軸に連結され、先端部でシートの両端部を把持し、かつ把持を解除する回動自在なシート把持部を有する先端アームとからなる二組の被覆用アームを備えると共に、前記先端アームを基端アームと逆方向に可逆的に回動させるアーム屈伸機構を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係るコイル包装装置が採用した手段は、請求項1に記載のコイル包装装置において、前記被覆用アームの折り畳み状態においては、少なくとも前記二個所の回動軸の内側に位置する基端アームの関節軸の中心が、前記二個所の回動軸の中心をとおる水平線より下側位置になるように構成されてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係るコイル包装装置が採用した手段は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載のコイル包装装置において、折り畳み状態の前記二組の被覆用アームの基端アームと先端アームとが回動して、そのシート把持部の先端アーム側端が最高高さになったときには、金属コイルの最上位位置より上方で、かつ金属コイルの最上位位置を起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側に位置し、金属コイルの最上位位置においてシート把持部によりシートの両端部を接合し得る状態になったときには、前記基端アームの関節軸が前記回動軸の中心をとおる水平線と直交する垂直線の外側に位置するように構成されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係るコイル包装装置が採用した手段は、シート取込み・渡し装置から、金属コイルの直径に対応した長さであって、かつ両端部に面ファスナが設けられた包装用のシートを、前記金属コイルの径中心を通る中心線と平行に配設された回動軸を回動中心とし、シートを受取るときの折り畳み状態では先端部に設けた関節軸が前記回動軸の内側に位置する基端アームと、前記関節軸に連結され、先端部でシートの両端部を把持し、かつ把持を解除する回動自在なシート把持部を有する先端アームとからなる折り畳み状態の二組の被覆用アームで受取り、受取ったシートの両端部をシート把持部で把持して金属コイルの直下に移動させ、前記二組の被覆用アームの基端アームを、関節軸が前記回動軸の直上より外側位置になるまで前記回動軸を回動中心として回動させると共に、この基端アームの回動と並行して、前記関節軸を回動中心として相対する方向に先端アームを回動させてシート把持部の間隔を徐々に狭めながらシートの両端部を金属コイルの最上位位置をとおる水平線より上側であって、かつ金属コイルの最上位位置を起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側の位置まで上昇させた後に、前記金属コイルの最上位位置に向かって下降させ、金属コイルの最上位位置でシートの両端部の面ファスナ同士を接合させると共にシートの端部の把持を解除した後に、被覆用アームを次のシートを受取り得る状態に折り畳むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るコイル包装装置を、金属コイルが鋼板コイルである場合を例として、シート取込み・渡し装置を含むその全体平面図の図1と、図1のA矢視図の図2と、その平面図の図3と、図3のB矢視図の図4と、コイルの包装説明図の図5と、シート取込み・渡し装置の正面図の図6と、図6のC矢視図の図7とを順次参照しながら説明する。
【0013】
図に示す符号1は、金属コイルである鋼板コイル(以下、コイルという。)を包装するコイル包装装置で、このコイル包装装置1は、積層状に積重ねられ、両端部の上面に図示しない面ファスナが設けられた包装用のシート5をシートストック台車4から取込んだシート取込み・渡し装置2からコイル6の直径に対応した長さのシート5を受取って被覆するものであって、コイル結束機7で結束されたコイル6を搬送するコイル搬送ライン8を直交する軌道11aを、コイル6の直下と、コイル搬送ライン8の外方のシート受取り位置との間で往復走行するように構成されている。より詳しくは、図3乃至5に示すように、無端状チェーン11bによりコイル6の直下と、コイル搬送ライン8の外方のシート受取り位置との間で往復走行する走行台車11と、この走行台車11の走行方向と直交する幅方向の両側に設けられ、前記走行台車11の走行方向と平行な方向、つまりコイ6の径中心線と平行で、かつアーム駆動モータ12で回動される2本の回動軸13のそれぞれに接続された後述する勝手反対の構成になる被覆用アーム15とを備えている。
【0014】
前記被覆用アーム15は、前記回動軸13の回動により回動され、折り畳み状態、つまりシート5を受取り待機位置では前記2本の回動軸13の間に位置する先端部に関節軸16aを有する基端アーム16と、この基端アーム16の関節軸16aに連結され、先端部に後述する構成になるシート把持部を有する先端アーム17とから構成されている。前記シート把持部は、シート5の端部のそれぞれを受け、その外側に複数の切欠部17bを備えたシート受部17aと、このシート受部17aの側部との間で折り返されたシート5の端部を把持するシートクランプ装置17cとから構成されている。
【0015】
前記先端アーム17は、基端アーム16を回動させる回動軸13を支持する軸受14に回動軸13と同心に固着されてなる固定ギヤ18aと、基端アーム16の内側の側部に設けられ、固定ギヤ18aに噛合して回動する第一アイドルギヤ18bと、第一アイドルギヤ18bに噛合して回動する第二アイドルギヤ18cと、第二アイドルギヤ18cに噛合して回動する第三アイドルギヤ18dと、第三アイドルギヤ18dに噛合して回動することにより先端アーム17を基端アーム16の回動方向と逆方向に回動させる先端アーム回動ギヤ18eとからなるアーム屈伸機構であるアーム屈伸ギヤトレーン18を備えている。なお、前記被覆用アーム15は、上記のとおり、折り畳み状態でシート5を受取るように構成されているため、コイル包装装置1を従来例よりもコンパクトにし得るという効果が生じる。また、本実施の形態における被覆用アーム15のアーム屈伸ギヤトレーン18は5個のギヤから構成されているが、特に5個である必要がなく奇数個であれば良いものである。
【0016】
前記被覆用アーム15は、図5に示すように、シート受部17aでシート5の端部を受取るときの折り畳み状態では、基端アーム16の先端の関節軸16aは、回動軸13の径中心を通る水平線より下位に位置するように設定されている。
具体的には、回動軸13と関節軸16aとを通る線、つまり基端アーム16と回動軸13の径中心を通る水平線とのなす角度が約10°になるように設定されている。このような折り畳み状態に設定したのは、水平方向の移動距離に比較して上下方向の移動距離が大きくなるので、シート5の持上げ効果が大きく、この被覆用アーム15が作動されてから包装が開始されるまでの間にシート5の弛みを少なくすることができるからである。勿論、角度を−90°〜+45°(角度が+の場合は、関節軸16aは回動軸13の径中心を通る水平線より上位に位置する。)の範囲内にしてもよく、より好ましくは−45°である。
【0017】
さらに、前記被覆用アーム15は、先端アーム17がコイル6の最上位位置aでシートの両端を接合する状態では、図5に示すように、基端アーム16の関節軸16aの径中心b′がコイル6の径中心cをとおる水平線より下位側、かつ水平線とこのコイル6の外周との交点bをとおる垂直線よりも外側に位置すると共に、回動軸13の外側で、かつこの回動軸13の径中心をとおる垂直線と15°の角度をなす線上に位置するように構成されている。
【0018】
これにより、図5に示すように、二組の被覆用アーム15のシート受部17aの先端アーム17側端が、両者間の間隔を徐々に狭めながら緩やかな曲線を描いて斜め上方に上昇され、コイル6の最上位位置aより上方で、かつコイル6の最上位位置aを起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側をとおる軌跡に沿ってシート5の両端部を持上げる。そして、コイル6の最上位位置aの近傍における最高位置からコイル6の最上位位置aに向かって、インボリュート曲線を描いて下降され、コイル6の最上位位置aにおいてシート5の両端部の面ファスナ同士が接合される。先端アーム17側端がインボリュート曲線の軌跡を描いて下降するのは、先端アーム17の回動と並行して、関節軸16aが回動軸13の直上より外側位置になるまで基端アーム16が回動することによる。
【0019】
従って、シート5はコイル6の外周面に接触または接近した状態で両端部が持上げられるので、コイル6の最上位位置aにおいてシート5の両端部の面ファスナ同士が接合されたときのコイル6の外周面に対するシート5のずれ量が少なくなる。なお、前記角度15°については、例えばシート受部17aの先端アーム17側端を最高位置から前記インボリュート曲線に近似した曲線を描いて下降させるためには、関節軸16aの位置がシート受部17aの先端アーム17側端が最高位置に到達した時点における位置よりもコイル6から離れた位置に移動していれば良いから、特に15°に限定されるものではない。
【0020】
次に、シート取込み・渡し装置2の概要構成を説明すると、これは、枠状フレーム21と、この枠状フレーム21の上に設けられたチェーン駆動装置23により駆動される無端状チェーン24により、この枠状フレーム21の上部梁上に、コイル搬送ライン8と直交する方向に敷設されてなる軌道22に案内されて往復移動し、シートストック台車4から取込んだシート5を前記コイル包装装置1に受渡す後述する構成になるシート移送機3とから構成されている。このシート移送機3は、前記無端状チェーン24により軌道22を往復移動する走行台車30を備えている。この走行台車30の走行方向と直交する幅方向の中央位置に固定台30bが設けられており、この固定台30bに、図示しない昇降用モータで回転される昇降用ギヤ32に噛合するラックが刻設され、下端部にシート5の端部を把持し、かつ把持を解除し得るシート把持・切離し部34を有する中央部昇降ロッド33が設けられている。
【0021】
また、前記走行台車30の走行方向と直交する方向に敷設されてなる摺動ガイド30aを摺動する摺動台30cが設けられており、この摺動台30cに、昇降用モータ35で回転される昇降用ギヤ36に噛合するラックが刻設され、下端部にシート5の端部を把持し、かつ把持を解除し得るシート把持・切離し部38を有し、シリンダ駆動リンク機構39により前記中央部昇降ロッド33に対して接近、かつ離反する端部昇降ロッド37が設けられている。勿論、走行台車30の走行距離範囲は軌道22の端部に設けられたダンパ付きストッパにより規制されるように構成されている。
【0022】
つまり、前記シリンダ駆動リンク機構39で摺動台30cを介して端部昇降ロッド37,37を中央部昇降ロッド33に対して接近、かつ離反させることにより把持したシート5の両端部間の間隔を自在に拡縮し、前記コイル包装装置1のシート受部17aの間隔に合わせる得るように構成されている。また、呼称径と同径のコイル6の包装に適した長さのシート5、呼称径より大径のコイル6の包装に適した長さのシート5、および呼称径より小径のコイル6の包装に適した長さのシート5をそれぞれ把持し得る間隔に設定し得るようになっている。
【0023】
ところで、本実施の形態においては、上記のとおり、シリンダ駆動リンク機構39を用いたが、駆動モータで回転されるボールねじや角ねじで前記端部昇降ロッド37を中央部昇降ロッド33に対して接近、かつ離反させる構成にすることもできる。なお、前記中央部昇降ロッド33のシート把持・切離し部34は、前記端部昇降ロッド37のシート把持・切離し部38に把持されたときに垂下がるシート5中央部の幅方向の両端部を把持して垂下がり量を少なくすることにより、把持したシート5が移送の支障になるのを防止する働きをするものである。
【0024】
以下、上記本実施の形態に係るコイル包装装置1の使用態様を説明すると、コイル搬送ライン9の外方の定位置には、呼称径とほぼ同径のコイル6の包装に適した長さのシート5、呼称径よりも大径のコイル6の包装に適した長さのシート5、および呼称径よりも小径のコイル6の包装に適した長さのシート5を個別に積載した3台のシートストック台車4が待機している。そして、シート取込み・渡し装置2のシート移送機3がこれら3台のシートストック台車4の直上に移動している。
【0025】
シリンダ駆動リンク機構39の作動により端部昇降ロッド37,37が、包装すべきコイル6の直径に適した長さのシート5が積載されているシートストック台車4の上方に移動され、端部昇降ロッド37,37の間隔がシート5の両端部を把持し得る間隔に調整されると共に下降される。そして、シート把持・切離し部38によりシート5の両端部が把持されて所定高さに上昇されると共に、シリンダ駆動リンク機構39の作動により端部昇降ロッド37,37が中央部昇降ロッド33から同一距離にされ、かつコイル包装装置1の折り畳まれた被覆用アーム15のシート受部17aの間隔になるように調整される。次いで、中央部昇降ロッド33が下降されてシート把持・切離し部34でシート5の幅方向の両端部が把持されて上昇されると共に、走行台車30がシート受取り位置に待機しているコイル包装装置1の直上位置に移動される。
【0026】
そして、走行台車30の移動により端部昇降ロッド37,37のシート把持・切離し部38がコイル包装装置1の折り畳まれた被覆用アーム15のシート受部17aの直上にくると、端部昇降ロッド37と中央部昇降ロッド33とが下降される。下降後に、中央部昇降ロッド33の下部のシート把持・切離し部34からシート5の幅方向の両端部の把持が解除されて中央部昇降ロッド33が上昇される一方、シート5の面ファスナが設けられている側の端部のそれぞれが被覆用アーム15のシート受部17aに渡される。
【0027】
このようにして、シート受部17aでシート5の両端部を受取ると共に、シートクランプ装置17cにより折り曲げられた状態のシート5の両端部を把持すると、端部昇降ロッド37が上昇され、シート把持・切離し部38が次のシートを把持し得る状態に復元されると共に、シート移送機3はシートストック台車4の直上に移動される一方、走行台車30の走行により包装すべきコイル6の直下にコイル包装装置1を移動させる。そして、アーム駆動モータ12の駆動により回動する回動軸13と、アーム屈伸ギヤトレーン18とにより作動する被覆用アーム15によるコイル6の被覆作業が行われる。
【0028】
ところで、コイル6を被覆する場合、シート5をコイル6の下部外周面に接触させた後に、シート受部17aの先端アーム17側の端部をコイル6の最上位位置aを起点とするインボリュート曲線と同じ軌跡を描くように作動させて被覆するのが好ましい。しかしながら、本実施の形態1の場合は、アーム駆動モータ12の駆動による回動軸13の回動により被覆用アーム15の基端アーム16を上方(図5において、左側の基端アームでは反時計回り方向であり、右側の基端アームでは時計回り方向である。)に向って回動させ、この基端アーム16の回動に応じてアーム屈伸ギヤトレーン18により先端アーム17を基端アーム16の回動方向と逆方向に回動させることにより、シート受部17aの先端アーム17側の端部に、図5に示すように、インボリュート曲線のコイル6側に、シート受部17a同士の間隔を徐々に狭めながらシート5を上昇させると共に、コイル6の最上位位置a付近からインボリュート曲線に近似した曲線に沿って下降するという軌跡を描かせて、コイル6の最上位位置aにおいてシート5の両端部の面ファスナ同士を接合させる。
【0029】
このようにして、シート5の両端部の面ファスナ同士が接合されると、シートクランプ装置17cを逆作動させてシート5の両端部の把持を解除し、アーム駆動モータ12を逆方向に駆動させて被覆用アーム15を折り畳み状態に戻すと共に、シート移送機3から次のシート5を受取り得る位置に退避させることにより1個のコイル6の包装作業が終了する。なお、コイル6の包装作業においては、被覆中を通じてシート5はコイル6の外周面付近に位置しており、コイル6の外周面をずれて接触することによるシート5の損傷の恐れが少なくなるという効果が得られる。
【0030】
本実施の形態に係るコイル包装装置1によれば、上記のとおり、二組の被覆用アーム15のシート受部17aの先端アーム17側端が、両者間の間隔を狭めながら緩やかな曲線を描いて斜め上方に上昇し、コイル6の最上位位置aより上方で、かつコイル6の最上位位置aを起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側をとおる軌跡に沿ってシート5を押上げ、コイル6の最上位位置の近傍において曲線を描いて下降し、コイル6の最上位位置においてシート5の両端部の面ファスナ同士を接合する。従って、シート5はコイル6の外周面に接触または接近した位置で被覆されるので、シート5がコイル6の外周に対してずれて接触することによるシートの損傷の恐れが少なくなるという効果がある。
【0031】
また、上記のとおり、たとえシート5の長さが相違していても、コイル包装装置1の被覆用アーム15の先端のシート受部でシート5の両端部を確実に把持することができる。
従って、許容差範囲内においてコイルの直径が相違していても、そのコイルの直径に相応しい長さのシート5で包装することができるから、一定長さのシートでコイルを包装することしかできない従来例よりも、包装状態においてシートのだぶつきを少なくすることができ、搬送時に周辺機器類に引っ掛かってシートが破損したり、シートが外れるというような包装不良が発生する恐れが少なくなるという優れた効果を奏することができる。
【0032】
なお、以上では包装されるコイルが鋼板コイルである場合を例として説明したが、鋼板以外の他の線材が巻回されてなるコイルの包装に対しても、本発明の技術的思想を適用することができるので、上記実施の形態によって本発明の技術的思想の適用範囲が限定されるものではなく、また本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1乃至3に係るコイル包装装置または本発明の請求項4に係るコイル包装方法によれば、シートの長さが相違していても、コイル包装装置の被覆用アームの先端のシート把持部でシートの両端部を確実に把持することができ、そして許容差範囲内においてコイルの直径が相違していても、そのコイルの直径に相応しい長さのシートで包装することができるから、一定長さのシートでコイルを包装することしかできない従来例よりも、包装状態においてシートのだぶつきを少なくすることができ、搬送時に周辺機器類に引っ掛かってシートが損傷したり、シートが外れるというような包装不良が発生する恐れが少なくなるという優れた効果を奏することができる。
【0034】
本発明の請求項2に係るコイル包装装置によれば、シートを受け取る折り畳み状態では、コイル包装装置の関節軸の中心が、前記回動軸の中心をとおる水平線よりも、少なくとも下位に位置するように設定されていて、水平方向の移動距離に比較して上下方向の移動距離が大きくなるから、シートの持上げ効果が大きく、被覆用アームが作動されてから包装が開始されるまでの間にシートの弛みを少なくすることができる。
【0035】
本発明の請求項3に係るコイル包装装置によれば、二組の被覆用アームのシート把持部の先端アーム側端が、両者間の間隔を狭めながら曲線を描いて斜め上方に上昇し、金属コイルの最上位位置より上方で、かつ金属コイルの最上位位置を起点とするインボリュート曲線を描いて、金属コイルの最上位位置においてシート把持部で把持しているシートの両端部を接合するように構成されていて、シートを効果的に上昇させると共に、シートをコイルの外周面に接触または外周面に接近した位置で金属コイルを包装することができるので、シートがコイルの外周面に対してずれて接触することによるシートの損傷の恐れが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係り、シート取込み・渡し装置を含むコイル包装装置の全体平面図である。
【図2】 図1のA矢視図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係るコイル包装装置の平面図である。
【図4】 図3のB矢視図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係り、金属コイルの包装説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態に係り、シート取込み・渡し装置の正面図である。
【図7】 図6のC矢視図である。
【図8】 従来例に係る鋼板コイル包装装置の一部切欠き正面図である。
Claims (4)
- シート取込み・渡し装置から、金属コイルの直径に対応した長さを有する包装用のシートを受取り、受取ったシートで金属コイルを包装するコイル包装装置において、前記金属コイルの直下とシート受取り位置との間で金属コイルの径中心を通る中心線と平行に往復動する走行台車を備え、この走行台車の走行方向と直交する幅方向の二個所で、かつこの走行台車の走行方向と平行に配設された回動軸を回動中心とし、シートを受取るときの折り畳み状態では先端部に設けた関節軸が、少なくとも前記二個所の回動軸の内側に位置する基端アームと、前記関節軸に連結され、先端部でシートの両端部を把持し、かつ把持を解除する回動自在なシート把持部を有する先端アームとからなる二組の被覆用アームを備えると共に、前記先端アームを基端アームと逆方向に可逆的に回動させるアーム屈伸機構を備えてなることを特徴とするコイル包装装置。
- 前記被覆用アームの折り畳み状態においては、少なくとも前記二個所の回動軸の内側に位置する基端アームの関節軸の中心が、前記二個所の回動軸の中心をとおる水平線より下側位置になるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のコイル包装装置。
- 折り畳み状態の前記二組の被覆用アームの基端アームと先端アームとが回動して、そのシート把持部の先端アーム側端が最高高さになったときには、金属コイルの最上位位置より上方で、かつ金属コイルの最上位位置を起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側に位置し、金属コイルの最上位位置においてシート把持部によりシートの両端部を接合し得る状態になったときには、前記基端アームの関節軸が前記回動軸の中心をとおる水平線と直交する垂直線の外側に位置するように構成されてなることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載のコイル包装装置。
- シート取込み・渡し装置から、金属コイルの直径に対応した長さであって、かつ両端部に面ファスナが設けられた包装用のシートを、前記金属コイルの径中心を通る中心線と平行に配設された回動軸を回動中心とし、シートを受取るときの折り畳み状態では先端部に設けた関節軸が前記回動軸の内側に位置する基端アームと、前記関節軸に連結され、先端部でシートの両端部を把持し、かつ把持を解除する回動自在なシート把持部を有する先端アームとからなる折り畳み状態の二組の被覆用アームで受取り、受取ったシートの両端部をシート把持部で把持して金属コイルの直下に移動させ、前記二組の被覆用アームの基端アームを、関節軸が前記回動軸の直上より外側位置になるまで前記回動軸を回動中心として回動させると共に、この基端アームの回動と並行して、前記関節軸を回動中心として相対する方向に先端アームを回動させてシート把持部の間隔を徐々に狭めながらシートの両端部を金属コイルの最上位位置をとおる水平線より上側であって、かつ金属コイルの最上位位置を起点とするインボリュート曲線の金属コイル配置側の位置まで上昇させた後に、前記金属コイルの最上位位置に向かって下降させ、金属コイルの最上位位置でシートの両端部の面ファスナ同士を接合させると共にシートの端部の把持を解除した後に、被覆用アームを次のシートを受取り得る状態に折り畳むことを特徴とするコイル包装方法。
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