JP3927648B2 - 非常時用トイレ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地震等の災害発生時などの非常時に即時にして効果的に使用できる非常時用トイレ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地震等の災害時に水道や下水等が使用不可能となることが多く、その場合の排泄物の処理をどうするかという大きな問題が発生する。
従来、組立式の簡易トイレで対応しているが、設置場所や設置数が限られ、しかも設置するまでの時間がかかるばかりでなく、排泄物の貯溜容量が限られているので、すぐに満杯となって多くの被災者に応えることができなかった。従って、災害等の非常時には、即時にして大量の排泄物を貯溜できるようにした非常時用トイレ構造が望まれていた。
【0003】
そこで、本件に係る非常時に短時間で多数のトイレを簡単に設置することができ多数の人が使用しても長時間の使用が可能となるように大量の排泄物を貯溜できるようにした非常時用トイレ設置構造が特許公開番号平成8−338142で公開されている。しかしながら、この発明は非常時のみの為の専用の大掛かりな地下室を設ける必要があり、設置場所の問題や多大なコストがかかるという問題や地下室から取り出して組み立てるにも時間がかかるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決すると共に、それに係る欠点をなくすためになされたものであり、その目的とするところは、既に一般に所在するところの点検用の配管ピットを有効に活用することであり、予め災害時を想定して施工しておき、通常は一般の水洗式和風トイレとして使用しているものを、災害等の非常時には、即時にして汲み取り式和風トイレとして大量の排泄物を貯溜できるようにした非常時用トイレ構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の非常時用トイレ構造は、水洗式和風トイレに於ける底面及び周側面の少なくとも一定の高さに水手段を施した耐震構造の配管ピットを設け、この配管ピットは非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピットの上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器と非常用汲み取り式便器の双方が取付く取付け枠を設け、水洗式和風便器を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプを設け、このパイプは通常は前記水洗式和風便器の下側に接続されるものであり、前記パイプは前記配管ピット内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器を備え、この非常用汲み取り式便器は、通常は前記配管ピット内に備えることである。
【0006】
そして、上記水洗式和風便器を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合する配管としてはフレキシブルパイプを設けることが好ましい。
フレキシブルパイプを利用することによって、水洗式和風便器を除去したときにフランジの自重にてパイプの開口部が自然に下向きになるか、手で容易に回動させることができ、しかも施工が容易になるという利点がある。
【0007】
また、水洗式和風トイレに於ける耐震構造の配管ピット内に耐震構造の仕切り板を設け、当該仕切り板で囲まれた室の底面及び周側面の少なくとも一定の高さに水手段を施し、前記配管ピットは非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピットの上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器と非常用汲み取り式便器の双方が取付く取付枠を設け、水洗式和風便器を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプを設け、このパイプは通常は前記水洗式和風便器の下側に接続されるものであり、前記パイプは前記配管ピット内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器を備え、この非常用汲み取り式便器は、通常は前記配管ピット内に備えることである。このようにすることによって排泄物貯溜用の便槽の容量を適宜に減少することができ、便槽使用後の復元清掃作業を容易にすることができるという利点がある。
【0008】
更に、水洗式和風トイレに於ける耐震構造の配管ピット内に上面の一部または全部を開放している便槽用容器を設け、前記配管ピットは非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピットの上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器と非常用汲み取り式便器の双方が取付く取付枠を設け、水洗式和風便器を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプを設け、このパイプは通常は前記水洗式和風便器の下側に接続されるものであり、前記パイプは前記配管ピット内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器を備え、この非常用汲み取り式便器は、通常は前記配管ピット内に備えることである。このようにすることによって配管ピット内を水にする必要がなく、しかも前記便槽用容器の形状や容量を任意に設計することができ、変則的な形状のピットへの対応も可能となり、更に便槽使用後の復元清掃作業をも容易にすることができるという利点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面により本発明の一実施例を詳細に説明する。図1は本発明の水洗式和風トイレとして通常使用中の平面図である。図2は本発明の床下部を分かり易く、床板を省略して壁の一部を切り欠いた概略斜視説明図である。図1および図2で示すように1はトイレ室および配管ピットPを構成するコンクリートの壁板で、2は陶器製の水洗式和風便器で、当該水洗式和風便器2は取付け枠3と一緒に取付けられている。そして水洗式和風便器2の下側に非常時には容易に下に向けることができるフレキシブルパイプ4が接続されていると共に他の端は汚水メイン管5に連通されている。また水洗式小便器6は配管8によって途中に水洗用小便バルブ9を介して汚水メイン管5に連通されている。汚水メイン管5から下水桝10を経て下水道に流され処理される。前記の壁板1は耐震性の高い強度を有すると共に、底面及び周側面の少なくとも一定の高さに水手段を施しておく。この水手段としてはコンクリートの水仕上げでも良いが、表面に塗料または樹脂をコーティングしておけば復元作業の清掃が容易となり好ましい。更に、屋内には床下点検用マンホール11を設け、屋外には非常時の排泄物汲み取り口13を設け、当該汲み取り口13の底部開口部すなわち配管ピットPとの連通部には人の侵入を防ぐために鉄格子14をはめ込んでおく。なお、点検出入り作業を容易にするため床下点検用マンホール11には昇降用足場12を設けておく。そして、配管ピット内には前記取付け枠3と組み合せ嵌合させることができる非常用汲み取り式便器16とハンマー17および工具18を常時備えておく。
【0010】
図3は本発明における水洗式和風便器の取付け断面図である。図示のように壁板1と同様なコンクリートスラブ1aの便器用開口部に取付け枠3をレベル調整ボルト3aによって水平に取付け、そこに水洗式和風便器2をはめ込むようにして水平に設置し、取付け枠3とともに周囲をシンダーコンクリート1bによって固着し、更にその上面を床面材1cでカバーする。一方配管ピットP内において汚水メイン管5からフレキシブルパイプ4を連通させてフランジ4aによって水洗式和風便器2と結合させる。このように予め施工しておけば従来の水洗式和風トイレと全く変わることなく使用することができる。そして災害等の非常時には即時にして汲み取り式和風トイレに改造することができる。
【0011】
図4は非常用汲み取り式便器と取付け枠の関係を示した斜視図であって、図示のように非常用汲み取り式便器16は取付け枠3に接するか、または最少の隙間を持たせて嵌合すると共に両者を組み合せた状態で便器周囲の端面や所定の高さの位置で保持できるようにプラスチック材等で形成しておく。この場合非常用汲み取り式便器16または取付け枠3に適当な突起を出しておくか、一体成型による簡単なクリップを設けておくことが考えられる。
また、取付け枠3は水洗式和風便器2の取付け枠としても使用できるような形状にしておくことが必要である。
【0012】
以下に本発明を使用するときの手順を説明する。
図5は水洗式和風便器を解体除去した状態のトイレの断面図で、図6は図5から非常用汲み取り式トイレとして完成した断面図である。
災害発生の非常時には、先ず床下点検用マンホール11を開けて、床下の配管ピットPの中に保管しておいた非常用汲み取り式便器16とハンマー17および工具18を取出し、水洗式和風便器2を取り外すか、急ぐ場合にはハンマー17で陶器製である水洗式和風便器2を破壊解体して落下させ残った破片を除去する。
その結果取付け枠3が表れ同時にフレキシブルパイプ4がフランジ4aの自重で下側に向く、もしも向きが変わらないときは手で回して下側に向かせる。
そして、表れた取付け枠3に非常用汲み取り式便器16を挿入して嵌合する。更に水洗式小便器6の配管8に取付けてある汚水メイン管5に繋がる水洗用小便バルブ9を閉鎖するとともに非常用小便バルブ15を開放する。
こうすることによって尿20は汚水メイン管5に入らないで便槽に流れ込むようになり水洗式小便器6も汲み取り式小便器として利用することができる。
また、貯溜した糞便21は汲み取り口13から汲み出すか、汲み取り口13を有しない場合には、床下点検用マンホール11から汲み出すことや非常用汲み取り式便器16の開口部からバキュームカーによって吸引して抜きとることも可能である。
【0013】
図7は他の実施の形態を示す床下部の斜視図であって、図示のように配管ピットP内に壁板1と同様な耐震構造の剛性が有るコンクリートの仕切り板22を設けることによって便槽の容量を任意に狭めて設定することができ、これにより災害復旧がなされた後、汲み取り式トイレとしての使命を終えて復元のための清掃、消毒等の作業が容易となる。特に高速道路のサービスエリヤや市民会館等のトイレにおける巨大な配管ピットを利用する場合には有効である。
【0014】
図8は更に他の実施の形態を示す床下部の斜視図であって、図示のように配管ピットP内の便器の下、糞尿の落下する位置に上部を開放した剛性を有するプラスチック等の便槽用容器23を設けることによって便槽の形状や容量を任意に設計することができ、これにより配管ピットPの水性も不要となり、しかも便槽使用後の復元清掃作業をも容易にすることができ、且つ大変衛生的になる。なお、この場合の汲み取りは非常用汲み取り式便器16の開口部からバキュームカーによって吸引して抜きとる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水洗式和風トイレとして通常使用中の平面図である。
【図2】本発明の床板を省略して壁の一部を切り欠いた概略斜視説明図である。
【図3】本発明の水洗式和風便器の取付け断面図である。
【図4】本発明の非常用汲み取り式便器と取付け枠の関係を示した斜視図である。
【図5】本発明の水洗式和風便器を解体除去した状態のトイレの断面図である。
【図6】本発明の非常用汲み取り式トイレとして完成した断面図である。
【図7】本発明の配管ピット内に仕切り板を設けた形態を示す床下部の斜視図である。
【図8】本発明の便槽用容器を設けた形態を示す床下部の斜視図である。
【符号の説明】
1 壁板
1a コンクリートスラブ
1b シンダーコンクリート
1c 床面材
2 水洗式和風便器
2a 便器解体破片
3 取付け枠
3a レベル調整ボルト
4 フレキシブルパイプ
4a フランジ
5 汚水メイン管
6 水洗式小便器
7 洗面器
8 配管
9 水洗用小便バルブ
10 下水桝
11 床下点検用マンホール
12 昇降用足場
13 汲み取り口
14 鉄格子
15 非常用小便バルブ
16 非常用汲み取り式便器
17 ハンマー
18 工具
19 ロータンク
20 尿
21 糞尿
22 仕切り板
23 便槽用容器
D 出入り口
P 配管ピット
S 物入れ

Claims (4)

  1. 水洗式和風トイレに於ける底面及び周側面の少なくとも一定の高さに水手段を施した耐震構造の配管ピット(P)を設け、この配管ピット(P)は非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピット(P)の上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器(2)と非常用汲み取り式便器(16)の双方が取付く取付け枠(3)を設け、水洗式和風便器(2)を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプ(4)を設け、このパイプ(4)は通常は前記水洗式和風便器(2)の下側に接続されるものであり、前記パイプ(4)は前記配管ピット(P)内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器(16)を備え、この非常用汲み取り式便器(16)は、通常は前記配管ピット(P)内に備えたことを特徴とする非常時用トイレ構造。
  2. 水洗式和風便器(2)を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプとしてフレキシブルパイプ(4)を設けたことを特徴とする請求項1記載の非常時用トイレ構造。
  3. 水洗式和風トイレに於ける耐震構造の配管ピット(P)内に耐震構造の仕切り板(22)を設け、当該仕切り板(22)で囲まれた室の底面及び周側面の少なくとも一定の高さに水手段を施し、前記配管ピット(P)は非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピット(P)の上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器(2)と非常用汲み取り式便器(22)の双方が取付く取付枠(3)を設け、水洗式和風便器(2)を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプ(4)を設け、このパイプ(4)は通常は前記水洗式和風便器(2)の下側に接続されるものであり、前記パイプ(4)は前記配管ピット(P)内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器(16)を備え、この非常用汲み取り式便器(16)は、通常は前記配管ピット(P)内に備えたことを特徴とする非常時用トイレ構造。
  4. 水洗式和風トイレに於ける耐震構造の配管ピット(P)内に上面の一部または全部を開放している便槽用容器(23)を設け、前記配管ピット(P)は非常時に排泄物貯留用の便槽となるもので、前記配管ピット(P)の上部に設けられる便器設置部に水洗式和風便器(2)と非常用汲み取り式便器(22)の双方が取付く取付枠(3)を設け、水洗式和風便器(2)を除去したときに回動または離脱手段を有する便器に接合するパイプ(4)を設け、このパイプ(4)は通常は前記水洗式和風便器(2)の下側に接続されるものであり、前記パイプ(4)は前記配管ピット(P)内にあり、あわせて非常用汲み取り式便器(16)を備え、この非常用汲み取り式便器(16)は、通常は前記配管ピット(P)内に備えたことを特徴とする非常時用トイレ構造。
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