JP3926135B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、効果音等の音響を発生するスピーカを有する弾球遊技機に関し、特にそのスピーカから発生する低音の音質や迫力を改善するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機等の弾球遊技機においては、遊技盤に図柄始動手段と3つの特別遊技図柄を変動表示可能な図柄表示手段(液晶ディスプレイ)とアタッカーと呼ばれる可変入賞手段(開閉式入賞手段)等を備え、図柄始動手段が遊技球を検出することを条件に、主制御部で当たりか否かを抽選するとともに、図柄の変動パターン及び3つの停止図柄を抽選により決定して図柄制御部に送信するので、図柄制御部による図柄変動制御により図柄表示手段においては、3つの特別図柄が所定時間だけ変動した後、停止するように指示された遊技図柄の組合せで変動停止する。
【0003】
この場合、プレミアリーチ等のスーパーリーチが発生するような場合や、大当たりが発生するような場合には、リーチに発展することを予告したり、大当たりが発生することを予告する予告表示等の種々の演出表示が行われる。しかも、このような予告表示に伴って、スピーカからは演出用の効果音を発生させる等して、演出効果を奏するようにして、遊技者による遊技を盛り上げるようになっている。
【0004】
ところで、この種のパチンコ機は、パチンコホールに設けられた島構造体に固定される矩形枠状の外枠と、この外枠に開閉自在に枢着された前枠とからなり、前枠には、ガラス扉と、遊技球を貯留する球受け皿を取付けた前面板とが夫々開閉自在に枢着されている。また、前枠の下部には、遊技球を貯留する下皿と、発射手段の発射ハンドル等が設けられている。一方、前枠の裏側には、矩形枠状の三方枠が固定され、この三方枠を介して遊技盤を裏側から押さえる裏機構板が着脱自在に装着されている。
【0005】
裏機構板の開口部に、裏カバーを介して主制御基板や図柄制御基板、更には、ランプ制御基板、サウンド制御基板等が設けられている。そして、音響を発生するスピーカは、通常、円形又は楕円形のコーン型であり、球受け皿の略裏側であって、三方枠の下側に連結された下セット板に設けられている。この場合、スピーカの直ぐ後側には、払出し装置から払出された遊技球を球受け皿や下皿に振り分けて供給する通路ユニットが近接状に設けられている。それ故、スピーカからの音響は、球受け皿の下面壁に形成した複数本の細いスリットを介して前方に発生するようにしてある。
【0006】
最近では、スピーカからの音響を遊技者に向けて直接に発生できるように、スピーカは、ガラス扉の内側の上端部の左端部又は右端部、或いはその両方に設けるようにしたものも実用化されつつある。この場合、ガラス扉と前枠とのスペースが小さく(例えば、約25mm) 、これらスピーカの直ぐ後側に前枠の上枠部分が接近している。ここで、この種の直接放射形スピーカとしては、コーン紙を用いたコーン型が一般に用いられ、このコーン型スピーカの場合には、スピーカをバッフル板に取付けることで、そのバッフル板によりコーン紙の前面と後面の音を仕切ることができるため、スピーカの性能を発揮でき、理想の音響出力が得られる。
【0007】
そこで、一般的には、直接放射形スピーカを使用して音響を放射するには、バッフル系(後面開放形)、キャビネット系(密閉形、位相反転形)等のエンクロージャー方式が採用されている。多様に普及している密閉形エンクロージャーは、無限大バッフルと同様に、コーン紙の前面からの音と背面からの音の干渉を防ぐため、スピーカ背面から放射された音波をエンクロージャーで囲い、密閉するようにしたものである。
【0008】
この場合、スピーカ背面の空気がキャビネットで密封されるため、空気のスティフネス分(粘性分)によってコーン紙の振動が抑制され易いので、スピーカから放射される音の音響出力特性、特に低音再生能力を発揮させるためには、エンクロージャーの容積が大きいこと、スピーカの口径が大きいこと、などの諸条件が知られている。即ち、エンクロージャーの容積が小さくなればなるほど、スピーカシステムの最低共振周波数f0c はより高くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
パチンコ機等の弾球遊技機においては、前述したように、コーン型スピーカをガラス扉の上部に設ける場合、ガラス扉と前枠とのスペースが小さいため、スピーカを大型化してその口径を大きくすることができず、しかもスピーカ背面の概ね密閉された空間であるエンクロージャー容積が非常に小さいため、コーン紙の振動が抑制され、スピーカシステムの最低共振周波数f0c が高くなることから、スピーカから放射される音響の低音特性が著しく悪化し、低音の音質や迫力の低下を招き、十分な音響効果を発揮できないという問題がある。
【0010】
また、コーン型スピーカを三方枠の下側に連結された下セット板に設ける場合には、スピーカの直ぐ後側に、裏機構板の下端部及びこれに取付けた通路ユニットが配設されているため、同様に、スピーカ背面の概ね密閉された空間であるエンクロージャー容積が非常に小さく、低音の音質や迫力の低下を招き、十分な音響効果を発揮できないという問題がある。
本発明の目的は、コーン型スピーカから放射される音響出力の特性、特に低音の音質や迫力を改善でき、低音再生能力や音響効果を十分に発揮できるようにすること、等である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の弾球遊技機は、音響を発生可能なスピーカを備えた弾球遊技機において、スピーカの後方に、弾球遊技機の裏側に向けて開口し且つ大気中に開放する音圧開放用導通孔を設け、音圧開放用導通孔は、外枠に対して開閉自在に枢着した前枠に設けられた複数のスリット孔又は複数の円孔と、複数のスリット孔又は複数の円孔の後方に且つ前枠の後側に装着した遊技盤に設けられた切欠き孔で構成され、複数のスリット孔又は複数の円孔と切欠き孔は、スピーカとほぼ直列状に位置するように設けられたものである。
スピーカの後方には、複数のスリット孔又は複数の円孔と、切欠き孔からなる音圧開放用導通孔が大気中に開放して設けられ、複数のスリット孔又は複数の円孔と切欠き孔は、スピーカとほぼ直列状に位置するように設けられているため、スピーカのコーン紙(振動体)の振動の抑制が少なくなり、無限大バッフル効果を期待できるため、スピーカシステムの最低共振周波数f0c を低くでき、スピーカから放射される音の音響出力特性、特に低音再生能力を十分に発揮させることができる。
【0012】
請求項2の弾球遊技機は、請求項1の発明において、前記スピーカは、前枠に開閉自在に取付けたガラス扉の上部に設けられたことを特徴とするものである。
請求項3の弾球遊技機は、請求項1又は2の発明において、前記音圧開放用導通孔は、スピーカを取付けたスピーカ取付け部に設けられた孔を含むことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて説明する。
本実施形態は、パチンコホールの島構造体に設置される所謂カード式弾球遊技機と呼ばれる第1種パチンコ機に本発明を適用した場合の一例であり、パチンコホールに設けられた島構造体には、その長さ方向に複数のカード式球貸し機1と複数のパチンコ機2とが交互に配設され、カード式球貸し機1はパチンコ機2に電気的に接続されている。
【0014】
図1〜図2、図5〜図7に示すように、カード式弾球遊技機であるパチンコ機2は、矩形枠状の外枠3と、この外枠3に開閉自在に枢着された前枠4とを有し、カード式球貸し機1をサンドイッチ状に挟持する状態で、外枠3が島構造体(図示略)に着脱自在に装着されている。前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、遊技盤5の前側に対応させて、窓部6aを有するガラス扉6と発射用の遊技球を貯留する球受け皿13の前面板(図示略)とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0015】
図2〜図4に示すように、ガラス扉6の内側には、2重のガラス7を左右及び下側で支持するガラス支持部材8が固定され、その左右の上端部には、コーン型の円形スピーカ9,10が夫々前方に向けて固着されている。これらスピーカ9,10が固着されたガラス扉6の部位には、微小な複数の孔6bが形成され、スピーカ9,10から発生する音響をこれら複数の孔6bから前方に夫々放射可能になっている。ここで、これら両スピーカ9,10の間には、ガラス扉6の前側に設けられた複数の演出用ランプのためのランプ基板11が配設されている。
【0016】
前枠4の下部には、球受け皿13から溢流し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿14と、発射手段15の発射ハンドル16とが設けられている。この発射手段15は、回動操作可能な発射ハンドル16と、この発射ハンドル16を回動操作した回動角度に応じた打撃力で打撃槌17により遊技球を発射させる発射モータ18(図6、図7参照)などを備えている。球受け皿13の右部には、カード式球貸し機1に対する球貸し操作用の操作パネル19が設けられ、この操作パネル19には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部19aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ19bと、遊技終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ19cとが設けられている。
【0017】
図5に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール20がほぼ環状に設けられ、このガイドレール20の内側の遊技領域5aには、センターケース29と、そのセンターケース29内に設けられたカラーの液晶ディスプレイ21と、左右のゲート手段(通過手段又は作動口)22と、複数の普通入賞手段23(この場合、例えば6つ)と、図柄始動手段(図柄始動兼入賞手段)24と、可変入賞手段(開閉式入賞手段)25等が夫々所定の位置に配設されている。
【0018】
尚、遊技領域5aには複数の遊技釘や風車が設けられているが、図示を省略する。液晶ディスプレイ21は、3つの特別図柄を変動表示する特別図柄表示手段27として機能するとともに、2つの普通図柄を変動表示する普通図柄表示手段28として機能する図柄表示手段26である。また、図柄表示手段26には、各種のキャラクタの動画、吹き出し等の動作を、特別図柄表示手段27を含む液晶ディスプレイ21の表示画面に背景画像として演出表示する機能も有する。
【0019】
特別図柄表示手段27は、例えば左右方向に並ぶ3個(左、中、右)の図柄表示部27a〜27cを有し、図柄始動手段24に遊技球が入賞することを条件に、図柄表示部27a〜27cに特別図柄が所定時間だけ変動表示(スクロール表示)する。即ち、図柄始動手段24に遊技球が入賞した場合、その入賞タイミングで制御乱数が抽出され、特別図柄の変動前に大当たりに関して判定され、各図柄表示部27a〜27cにおいては、所定時間の変動の後、判定結果に基づいて決定された図柄態様で停止する。
【0020】
普通図柄表示手段28は、例えば図柄表示手段26の右下部に、左右方向に並ぶ2個(左、右)の図柄表示部28a,28bを有し、左右のゲート手段22の何れかを通過した遊技球が検出されたとき、各図柄表示部28a,28bに普通図柄を所定時間だけ変動表示する。即ち、遊技球が左右何れかのゲート手段22を通過した場合、その通過タイミングで制御乱数が抽出され、普通図柄の変動前に当たりに関して判定され、各図柄表示部28a,28bにおいては、所定時間の変動表示の後、判定結果に基づいて決定された図柄態様で停止する。
【0021】
普通図柄表示手段28の変動後に停止した普通図柄が当たりとなった当たり発生時には、図柄始動手段24に有する1対の開閉爪24aが所定時間だけ開放されて入賞し易くなる。これも遊技者に有利な利益状態である。図柄始動手段24は、開閉自在な左右1対の開閉爪24aを備え、図示外のソレノイドを駆動源とする電動式チューリップと一体的に構成され、遊技球検出手段として機能するものである。可変入賞手段25は前方に開放可能な開閉板25aを備え、通常、開閉板25aは閉じ状態である。
【0022】
しかし、特別図柄表示手段27の変動後に停止した確定図柄が「777」、「444」等の特定図柄態様のとき、所謂「大当たり」と称する特別遊技が開始され、開閉板25aが前方に開放されて遊技者に有利な状態が発生する。この可変入賞手段25の内部に特定入賞領域25bと普通入賞領域25cとが設けられ、特定入賞領域25bを遊技球が通過したとき、特別遊技が継続される。
【0023】
可変入賞手段25の開閉板25aが前方に開放された後、所定時間(例えば、約30秒間)が経過した場合、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞した場合に特別遊技が終了する。しかし、開閉板25aが閉じるに際して遊技球が特定入賞領域25bを通過していれば、最大所定ラウンド(例えば16ラウンド)まで特別遊技を継続でき、遊技者に有利な利益状態が付与される。
【0024】
図6、図7に示すように、前枠4の裏側には、矩形枠状の三方枠30が固定され、この三方枠30を介して遊技盤5を裏側から押さえる裏機構板31が着脱自在に装着され、この裏機構板31の上側に、基板カバー32で保護された外部出力基板32a(図4参照)と、球タンク33と、これから延びるタンクレール34とが設けられ、このタンクレール34に接続された払出し手段35が裏機構板31の側部に設けられ、裏機構板31の下側には払出し手段35に接続された払出し球誘導路36が設けられている。
【0025】
払出し手段35から払出された遊技球は払出し球誘導路36を経由して球受け皿13に払出される。ここで、三方枠30の上端部の右端部分は部分的に切り欠かれるとともに、図2,図3,図5に示すように、この切欠きに対向する遊技盤5の右上角部には、部分円弧状に切り欠いた切欠き孔5bが形成されている。そこで、前枠4の上側枠部分の右上角部に対応する部分、つまりガラス扉6に内側から取付けたスピーカ9の後側に対向する部分には、横方向に所定幅を有するスリット孔4aが上下2段に形成されている。
【0026】
但し、各スリット孔4aの上下幅は、隣接する球タンク33から溢れた遊技球が入り込まないように、遊技球の直径(約11mm)よりも小さくなっている。この場合、遊技機部品である前枠4に形成されたスリット孔4aと、遊技機部品である遊技盤5に形成された切欠き孔5b等により音圧開放用導通孔12Aが構成されている。このように、球タンク33の右側であって、スピーカ9の後方には、パチンコ機2の裏側に向けて開口する音圧開放用導通孔12Aが設けられている。
【0027】
一方、三方枠30の上端部の左端部分も同様に、部分的に切り欠かれるとともに、図2,図4,図5に示すように、この切欠きに対向する遊技盤5の左上角部には、部分円弧状に切り欠いた切欠き孔5cが形成されている。そこで、前枠4の上側枠部分の左上角部に対応する部分、つまりガラス扉6に内側から取付けたスピーカ10の後側に対向する部分には、スリット孔4aと同様のスリット孔4bが上下2段に形成されている。この場合、遊技機部品である前枠4に形成されたスリット孔4bと、遊技機部品である遊技盤5に形成された切欠き孔5c等により音圧開放用導通孔12Bが構成されている。
【0028】
裏機構板31の略中央部に形成された矩形状開口部31aには、遊技盤5の裏側に装着された裏カバー37が嵌合している。この裏カバー37の後面に装着された基板ケース38の内部には、主制御基板39が配設され、その前側には図柄制御基板40が配設されている。そして、液晶ディスプレイ21はこの図柄制御基板40に電気的に接続されている。主制御基板39の下側で、裏カバー37に装着された基板ケース41aの内部にランプ制御基板42が設けられ、この基板ケース41aに隣接する基板ケース41bの内部にサウンド制御基板43が設けられている。
【0029】
これら基板ケース41a,41bの下側で裏機構板31に装着された基板ケース44の内部には、電源基板45と払出し制御基板46が夫々設けられている。更に、発射手段15の後側に装着された基板ケース47の内部には、発射制御基板48が設けられている。これら制御基板39〜40,42〜43,45〜46,48は夫々独立のプリント基板で構成され、電源基板45と発射制御基板48を除くその他の制御基板39,40,42,43,46には、CPUとROMやRAM等を有する1チップ集積回路からなるマイクロコンピュータ(図示略)が夫々設けられている。
【0030】
主制御基板39とその他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続され、主制御基板39から各制御基板40,42,43,46に、所定の遊技動作を実行させる種々の制御コマンドを一方向通信にて送信可能になっている。制御コマンドの一方向通信を採用することで、普通図柄や特別図柄の図柄停止に関する不正を確実に防止できるとともに、後述する主制御手段50の制御負荷を軽減でき、制御コマンドの送信制御を簡単化することができる。
【0031】
次に、パチンコ機2の制御装置に予め格納した複数の制御プログラムを介して達成される種々の機能について、図8の機能ブロック図により説明する。但し、これら種々の機能は、前述したマイクロコンピュータ及びROMに格納した種々の制御プログラム等により、これらの手段50〜56、61〜63、70、71、73、75で達成される。
【0032】
主制御基板39上に構成された主制御手段50は、遊技態様や遊技球の挙動に応じた遊技動作の制御、つまり遊技盤5に設けられた種々の遊技部品24,25や各種の遊技球検出手段22〜24等に設けられた遊技球検出スイッチ等に対する信号の入出力に関わる遊技盤5の遊技制御を主として司るとともに、後述する図柄制御手段60、払出し制御手段70、ランプ制御手段71、サウンド制御手段73等に必要に応じて制御コマンドを送信出力する。
【0033】
図柄制御基板40上に構成された図柄制御手段60は、主制御手段50から送信されてくる図柄制御コマンドに基づいて、各図柄表示部28a,28bの普通図柄を変動制御し、指示された普通図柄態様を表示するように変動停止を制御する。図柄制御手段60は、更に、受信した図柄制御コマンドに基づいて、各図柄表示部27a〜27cの特別図柄を変動制御し、指示された特別図柄態様を表示するように変動停止を制御したり、これら図柄表示部27a〜27cを含む液晶ディスプレイ21の画面に演出表示させる演出表示制御を実行する。
【0034】
払出し制御基板46上に構成された払出し制御手段70は、主制御手段50から払出し制御コマンドを受信し、払出し手段35による遊技球の払出し制御を司る。ランプ制御基板42上に構成されたランプ制御手段71は、主制御手段50からランプ制御コマンドを受信し、遊技盤5や前枠4等に設けられた多数の装飾用ランプや演出用ランプ等を含むランプ群72の点灯制御を司る。
【0035】
サウンド制御基板43上に構成されたサウンド制御手段73は、主制御手段50からサウンド制御コマンドを受信し、ガラス扉6の裏側に設けられた2つのスピーカ9,10を駆動制御することで各種の音響を発生させる音響出力制御を司る。発射制御基板48上に構成された発射制御手段75は、発射モータ18を駆動して遊技球の発射制御を司る。ここで、外部出力基板32a上に構成された外部出力手段58は、特別図柄に関する変動回数や停止図柄の情報・・等が、パチンコホールに設けられた図示しない島コンピュータに送信出力される。
【0036】
主制御手段50は、特別図柄用の乱数発生手段51及び乱数抽出手段52と、乱数判定手段53と、利益状態発生手段54と、図柄決定手段55と、コマンド送信手段56等を備えている。ここで、乱数発生手段51と乱数抽出手段52等により特別図柄用の抽選手段が構成されている。この主制御手段50には、左右のゲート手段22の何れかを遊技球が通過することに基づいて普通図柄に関する抽選を行う普通図柄用抽選手段が別途設けられているが、ここでは、普通図柄抽選手段に関する説明を省略し、特別図柄用抽選手段について説明する。
【0037】
次に、特別図柄用抽選手段の乱数発生手段51と乱数抽出手段52について説明する。この乱数発生手段51は、微小な更新周期(例えば、約2msec)で、例えば「0〜299」までの制御乱数を繰り返し発生する。この乱数発生手段51で発生する複数の制御乱数のうち、1つの制御乱数(例えば、「17」)だけが、予め定められた特定乱数である大当たり用乱数として設定されている。
【0038】
乱数抽出手段52は、特別図柄に関しては図柄始動手段24に遊技球が入賞したときの1つの制御乱数を抽出する。乱数判定手段53は、図柄始動手段24に遊技球が入賞したときに乱数抽出手段52により1つの制御乱数が抽出されるので、特別図柄の変動前の時点で、特別図柄に関して、特定乱数と一致した「大当たり」であるのか、又は「外れ(外れリーチを含む)」の何れであるかを判定する。
【0039】
更に、乱数判定手段53は、確率変動型の大当たりに関しても判定を行い、確率変動型であると判定した場合には、当該利益状態である特別遊技が終了した後、次回或いは次々回の大当たり迄、或いは所定回数(例えば、100回)だけ特別図柄が変動する迄、大当たりとする特定乱数の数を通常のときよりも多くする。また、乱数判定手段53は、このような確率変動の場合には、後述する利益状態発生手段54に所定の利益を与えるように指示する。これも遊技者に有利な利益状態である。
【0040】
利益状態発生手段54は、乱数判定手段53から大当たりの判定結果を受ける、若しくは、特別図柄表示手段27の変動後の停止図柄が大当たり図柄となることを条件に、遊技制御に含まれる所定の利益状態発生ルーチンにより可変入賞手段25の開閉板25aを前述したように開閉作動させる。更に、利益状態発生手段54は、乱数判定手段53から前述した確率変動指示を受けると、普通図柄が「当たり」になることを条件として、図柄始動手段24の開閉爪24aを通常時(例えば、約0.5 秒)よりも長い時間(例えば、約3秒)、開状態にする等して、遊技球が入り易くなるといった利益状態を遊技者に与える。
【0041】
図柄決定手段55は、乱数判定手段53からの判定結果に応じて、所定の抽選プログラムにより、普通図柄に関して、「当たり」のときには当たり普通図柄及び当たり普通図柄変動パターンを抽選により決定するとともに、「外れ」のときには外れ普通図柄及び外れ普通図柄変動パターンを抽選により決定する。図柄決定手段55は、更に、特別図柄に関して、「大当たり」のときには大当たりの特別図柄及び大当たり特別図柄変動パターンを抽選により決定するとともに、「外れ」のときには外れ特別図柄及び外れ特別図柄変動パターンを決定する。
【0042】
コマンド送信手段56は、図柄決定手段55で決定された変動パターンに基づいて、図柄制御手段60に対して、特別図柄の為の変動パターン番号を指定する変動パターン指定コードと、停止図柄と、変動停止コマンドとを図柄変動毎に制御コマンドとして送信出力するだけでなく、払出し手段35とランプ制御手段71とサウンド制御手段73等に対して、必要に応じてその図柄変動に伴う種々の制御コマンドを送信する。コマンド送信手段56は、更に、普通図柄の変動パターンについても同様に、図柄制御手段60に対して、変動パターン指定コードを含む種々の制御コマンドを送信する。
【0043】
図柄制御手段60は、普通図柄表示手段28を制御する普通図柄制御手段61と、特別図柄表示手段27を制御する特別図柄制御手段62と、変動パターン記憶手段63等を有し、コマンド送信手段56から送信される図柄制御コマンドを受信し、受信した図柄制御コマンドを解析する。図柄制御手段60においては、普通図柄制御手段61により各図柄表示部28a,28bにおける普通図柄変動が制御され、特別図柄制御手段62により各図柄表示部27a〜27cにおける特別図柄変動が制御される。変動パターン記憶手段63には、普通図柄や特別図柄に関して、複数の変動パターン番号の各々に変動内容(変動時間を含む)を対応づけて記憶されている。
【0044】
次に、スピーカ9,10の後側に設けた音圧開放用導通孔12A,12Bの作用及び効果について説明する。
先ず、右側のスピーカ9はガラス扉6の内側に取付けられ、スピーカ9の前側には、スピーカ9を取付けたガラス扉6に複数の微小な音響用孔6bが形成されているため、サウンド制御手段73の制御によりスピーカ9が駆動された場合、コーン紙9aが振動するので、コーン紙9aの前面から発生する音響は、これら複数の音響用孔6bから前方に放射可能である。
【0045】
ところで、スピーカ9の後方は、前枠4に形成したスリット孔4aと、遊技盤5に形成した切欠き孔5b等からなる音圧開放用導通孔12Aにより、大気中に開放している。それ故、この音圧開放用導通孔12Aにより、スピーカ背面の概ね密閉された空間であるエンクロージャー容積が非常に大きくなる。その結果、コーン紙9aの振動が何ら抑制されることがなく、無限大バッフル効果を大いに期待できるため、スピーカシステムの最低共振周波数f0c を低くでき、スピーカ9から放射される音の音響出力特性、特に低音再生能力を十分に発揮させることができる。
【0046】
それ故、特に低音の音質や迫力を格段に改善することができ、遊技者に対する音響効果を充実させることができる。一方、左側のスピーカ10の場合、スピーカ10の前側には、スピーカ10を取付けたガラス扉6に複数の微小な音響用孔6bが形成されている。更に、スピーカ9の後方は、前枠4に形成したスリット孔4bと、遊技盤5に形成した切欠き孔5c等からなる音圧開放用導通孔12Bにより、外部出力基板32aを収容した基板カバー32で若干邪魔されるとはいえ、その殆どが大気中に開放している。
【0047】
それ故、コーン紙10aの振動の抑制が少なくなり、無限大バッフル効果を大いに期待できるため、スピーカシステムの最低共振周波数f0c を低くでき、スピーカ10から放射される音の音響出力特性、特に低音再生能力を十分に発揮させることができ、遊技者に対する音響効果を充実させることができる。
【0048】
ここで、実施形態の変更形態について説明する。
1〕図9に示すように、前枠4Aの上側枠部分の右端部と左端部とに、スリット孔4a,4bに代えて、円形の円孔4c,4dを夫々複数個形成するようにしてもよい。この場合にも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
2〕前枠4の上側枠部分に設ける複数のスリット孔4a,4bや複数の円孔4c,4dに代えて、大型の孔を設け、その大型の孔の内側に細かいメッシュ状の網部材を張り付けるようにし、遊技球の進入を防止しながら、音圧開放導通孔12A,12Bを大型化して、音響効果をより充実させるようにしてもよい。
【0049】
3〕図10に示すように、ガラス扉6Aに、スピーカ9Aを保護するスピーカカバー70が取付けてある場合には、そのスピーカカバー70の後壁に、スピーカ9Aの音圧を開放する為の複数の音圧開放孔70aを形成するようにしてもよい。この場合、これらガラス扉6Aとスピーカカバー70等でスピーカ取付け部が構成されている。
4〕図11に示すように、三方枠30Aがスピーカ10Aの後側の位置に及んでいる場合には、前枠4Bのスリット孔4bの後側に対応する三方枠30Aの部分に、スピーカ10Aの音圧を開放する為の貫通孔30a又は切欠き孔を形成するようにしてもよい。
【0050】
この場合、遊技機部品である前枠4Bに形成されたスリット孔4bと、遊技機部品である三方枠30Aに形成された貫通孔30a等により音圧開放用導通孔12Cが形成されている。
5〕スピーカを、球受け皿13の略裏側であって、三方枠30の下側に連結されたミドルフレームに設ける場合、スピーカの直ぐ後側に配設された通路ユニット36に、遊技球が飛び出さない程度の大きさの小型の孔を複数形成するようにし、スピーカの後方の音響空間を拡大するようにしてもよい。
【0051】
6〕ガラス扉6,6Aに設けられたランプ基板11が両スピーカ9,10の後側に配置される場合には、そのランプ基板11のスピーカ9,10の後側に対向する部位に、音圧開放用孔を夫々設けるようにしてもよい。
7〕その他、スピーカ9,10の後側に位置する全ての部材に,音圧開放用孔を設けるようにしてもよい。
8〕本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を付加し、更に、パチンコ機に限らず、遊技球やコイン等の各種の遊技媒体を用いるアレンジボール機、雀球遊技機等の種々の弾球遊技機に本発明を適用することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、スピーカの後方には、前枠に設けられた複数のスリット孔又は複数の円孔と、遊技盤に設けられた切欠き孔からなる音圧開放用導通孔が大気中に開放して設けられ、複数のスリット孔又は複数の円孔と切欠き孔は、スピーカとほぼ直列状に位置するように設けられているため、スピーカのコーン紙(振動体)の振動が何ら抑制されることがなく、無限大バッフル効果を大いに期待できるため、スピーカシステムの最低共振周波数f0c を十分に低くでき、スピーカから放射される音の音響出力特性、特に低音再生能力を十分に発揮させることができる。それ故、特に低音の音質や迫力を格段に改善することができ、遊技者に対する音響効果を充実させることができる。
【0053】
請求項2の発明によれば、スピーカは、前枠に開閉自在に取付けたガラス扉の上部に設けたので、スピーカから放射される音響を前面に、つまり遊技者側に効果的に直接発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機(弾球遊技機)の斜視図である。
【図2】ガラス扉を開いた図1相当図である。
【図3】図1のC−C線縦断側面図である。
【図4】図1のD−D線縦断側面図である。
【図5】パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図6】パチンコ機の背面図である。
【図7】パチンコ機の側面図である。
【図8】パチンコ機の制御系の機能ブロック図である。
【図9】変更形態に係る図2相当図である。
【図10】スピーカカバーを設けたスピーカと部分ガラス扉の斜視図である。
【図11】変更形態に係る図4相当図である。
【符号の説明】
2 パチンコ機(弾球遊技機)
3 外枠
4a,4b スリット孔
4c,4d 円孔
4,4A,4B 前枠
5 遊技盤
5b,5c 切欠き孔
6,6A ガラス扉
9,9A スピーカ
10,10A スピーカ
12A〜12C 音圧開放用導通孔
30,30A 三方枠
70 スピーカカバー
70a 孔
Claims (3)
- 音響を発生可能なスピーカ(9,9A,10,10A) を備えた弾球遊技機において、
前記スピーカ(9,9A,10,10A) の後方に、弾球遊技機の裏側に向けて開口し且つ大気中に開放する音圧開放用導通孔(12A,12B,12C) を設け、
前記音圧開放用導通孔(12A,12B,12C) は、外枠(3) に対して開閉自在に枢着した前枠(4,4A,4B) に設けられた複数のスリット孔(4a,4b) 又は複数の円孔(4c,4d) と、前記複数のスリット孔(4a,4b) 又は複数の円孔(4c,4d) の後方に且つ前記前枠(4,4A,4B) の後側に装着した遊技盤(5) に設けられた切欠き孔(5b,5c) で構成され、
前記複数のスリット孔 (4a,4b) 又は複数の円孔 (4c,4d) と切欠き孔 (5b,5c) は、前記スピーカとほぼ直列状に位置するように設けられた、
ことを特徴とする弾球遊技機。 - 前記スピーカ(9,9A,10,10A) は、前枠(4,4A,4B) に開閉自在に取付けたガラス扉(6,6A)の上部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記音圧開放用導通孔(12A,12B,12C) は、前記スピーカ(9,9A,10,10A) を取付けたスピーカ取付け部(6A,70) に設けられた孔(70a) を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
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