JP3925356B2 - 甘味料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い甘味度と優良な甘味質とを有し、種々の飲食物の甘味剤として有用な、レバウディオサイドAとβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAとを主成分として含有する甘味料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
砂糖(ショ糖)は、従来から飲食物の甘味料として広く利用されている。特に、缶入りコーヒーをはじめとするコーヒー飲料等や炭酸飲料等の清涼飲料水には多量の砂糖が用いられている。しかし、近年、健康志向や低カロリー志向の影響を受けて、肥満、糖尿病、ムシ歯の原因となる砂糖を減量したり、砂糖の替わりに高甘味度甘味料が利用される傾向にある。
【0003】
このような高甘味度甘味料としては、南米パラグアイを原産地とするキク科の多年生植物、ステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia rebaudiana BERTONI)の抽出物由来のステビア甘味料が挙げられる。
【0004】
ステビア植物の抽出物(以下、ステビア抽出物と称する)から得られるステビア甘味料は、砂糖の数百倍の優れた甘味度を有するが、砂糖に比較して、甘味の発現が遅いという特徴、いわゆる甘味の立ち上がりが遅いという特徴と、後味として比較的長く甘味が残るという特徴、いわゆる、甘味の切れが悪いという特徴とがある。また、該ステビア甘味料に多量に含まれるステビオサイドには、甘味とは別に、後味に独特の渋味や苦味を伴う欠点があり、コーヒー飲料や清涼飲料水に用いると、明らかに違和感を感じる。
【0005】
このため、ステビア甘味料の甘味質改善の為に種々の研究がなされてきた。例えば、特開昭58−094367号公報には、ステビオサイドを主成分としたステビア抽出物とβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを有する水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させて、ステビオサイドにガラクトシル基をβ−1,4−結合させたβ−1,4−グルコシルステビオサイドを主成分とする甘味料の製造方法が開示されている。
【0006】
この製造方法によれば、まろやかな甘味に改善され、さらに甘味の切れも比較的良くなり、苦味や渋味も低減されたものの、甘味質の改善効果は充分ではなく、特にコーヒー飲料や清涼飲料水に使用するには、未だ不十分であった。
【0007】
また、特開平9−107913号公報等には、レバウディオサイドAを主成分としたステビア抽出物にグルコースをα−付加反応させる方法が開示されている。しかし、酵素反応が進むとレバウディオサイドAに付加したグルコースから長鎖のグルコース鎖が形成され、得られるα−グルコシルレバウディオサイドAの甘味度はレバウディオサイドAと比較して45%程度も低下してしまう、という問題があった。
【0008】
このように、従来の糖付加ステビア甘味料は、糖付加により、ある程度甘味質は改善されるものの、甘味度は低下し、また、ステビア甘味料特有の欠点である甘味の立ち上がりの遅さや、後味に苦味や渋味を伴う点の改善は未だ十分ではなく、コーヒー飲料や清涼飲料水等への使用に際して違和感が残っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ステビア甘味料の高い甘味度を残しながら、砂糖に似たまろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れが良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味を低減させた甘味料およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、次の知見を見出した。
(A)甘味料中に含まれるβ−1,4−ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合(GRA)と、甘味料中に含まれるレバウディオサイドAの重量割合(RA)と、甘味料中に含まれるステビオール配糖体の重量割合(X)が特定の関係にある甘味料は、砂糖に似たまろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れも良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味が低減された甘味料である。
(B)β−1,4−ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAは、レバウディオサイドAに付加したガラクトシル基にさらにガラクトシル基が付加重合することがないために甘味度の低下がレバウディオサイドAの30%程度に抑えられる。
(C)前記甘味料は、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物と、該ステビア抽出物固形分重量の5〜20倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させることにより容易に製造できる。
本発明は、上記知見に基づき完成された。
【0011】
すなわち、本発明は、ステビオール配糖体を含有し、かつ、下記式(1)および式(2)を満足することを特徴とする甘味料を提供するものである。
〔(GRA+RA)/(X)〕≧0.4 (1)
〔(GRA)/(RA)〕≧1.0 (2)
〔式中、GRAは甘味料中に含まれるβ−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合を表し、RAは甘味料中に含まれるレバウディオサイドAの重量割合を表し、Xは甘味料中に含まれるステビオール配糖体の重量割合を表す。〕
【0012】
また、本発明は、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物と、該ステビア抽出物固形分重量の5〜20倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させることを特徴とする甘味料の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の甘味料は、ステビオール配糖体を含有し、かつ、前記式(1)および式(2)を満足するものであればよいが、なかでも、よりまろやかな甘味となることから、下記式(3)および(4)を満足するものであることが好ましく、さらに下記式(5)を満足するものであることがより好ましい。
0.95≧〔(GRA+RA)/(X)〕≧0.5 (3)
10.0≧〔(GRA)/(RA)〕≧1.1 (4)
〔(GRA+RA)/(GST+ST)〕≧1.0 (5)
〔式中、GRAおよびRAは前記と同じである。また、GSTは、甘味料中に含まれる、β−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜2個有するβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドの重量割合を表し、STは甘味料中に含まれるステビオサイドの重量割合を表す。〕
【0014】
また、特にまろやかな甘味となることから、前記式(3)と共に下記式(6)および式(7)を満足するものであることが最も好ましい。
5.0≧〔(GRA)/(RA)〕≧1.1 (6)
〔(GRA+RA)/(GST+ST)〕≧1.5 (7)
(式中、GRA、RA、GSTおよびSTは、前記と同じである。)
【0015】
本発明の甘味料を得る方法としては、特に限定はないが、なかでも、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物と、該ステビア抽出物固形分重量の5〜20倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させるという、前記本発明の製造方法が、前記式(1)および式(2)を満足する甘味料であって、砂糖に似たまろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れも良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味が低減された甘味料を、容易に得ることができることから好ましい。
【0016】
ステビア抽出物としてレバウディオサイドAを40重量%未満の範囲で含有するステビア抽出物を用いた製造方法では、β−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA(以下、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAと称する。)の重量割合とレバウディオサイドAの重量割合との合計(GRA+RA)が低くなり、同時に、β−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜2個有するβ−1,4−ガラクトシルステビオサイド(以下、β−1,4−ガラクトシルステビオサイドと称する。)の重量割合とステビオサイドの重量割合との合計(GST+ST)が高くなることから、前記式(1)および式(2)を満足する甘味料とすることが困難となり、まろやかな甘味質が低下し、甘味の立ち上がりが遅く、甘味の切れも悪くなり、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味を伴うようになることから、好ましくない。
【0017】
ステビア抽出物には、通常、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA等のステビオール配糖体からなる甘味成分が含有されており、ステビオサイドは以下の構造を有するものである。
【0018】
【化1】
Figure 0003925356
【0019】
また、レバウディオサイドAは、前記ステビオサイドの構造中の13−G1で示されるグルコース残基に、さらにグルコースが結合した、以下の構造を有するものである。
【0020】
【化2】
Figure 0003925356
【0021】
前記本発明の製造方法で用いるβ−1,4−ガラクトシル糖化合物の代表例としては、ガラクトースとグルコースとが結合した二糖類、例えば、乳糖(ラクトース)、α−D−ガラクトース等が挙げられる。これらは、以下の構造を有するものである。
【0022】
【化3】
Figure 0003925356
【0023】
【化4】
Figure 0003925356
【0024】
本発明の甘味料に含有されるβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAとしては、例えば、レバウディオサイドAのステビオール骨格の13位に結合したグルコース残基(13−G1と称する。)、該ステビオール骨格の13位に結合したグルコース残基に結合した2つのグルコース残基(13−G2、13−G3と称する。)、および、ステビオール骨格の19位に結合したグルコース残基(19−G1と称する。)の4個のグルコース残基のうちの1〜3個のグルコース残基のおのおのに、1個のガラクトシル基がβ−1,4−結合で結合しているもの等が挙げられる。
【0025】
レバウディオサイドAのグルコース残基の中でも、β−1,4−ガラクトシル転移酵素の作用によりガラクトシル基がβ−1,4−転移しやすいのは、13−G2、13−G3および19−G1の3つのグルコース残基であると推定される。実際、後記する実施例に示したように、高速液体クロマトグラフィーによる分析では、レバウディオサイドAに3つまでのガラクトシル基が結合したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAのピークが確認されている。
【0026】
それらのガラクトシル基は、立体障害から前記の13−G2、13−G3および19−G1の3つのグルコース残基に各々1つずつβ−1,4−結合しており、酵素反応の進行に伴い、レバウディオサイドAに1つβ−1,4−ガラクトシル基が結合したもの(β−1,4−モノガラクトシルレバウディオサイドA)から、次に2つβ−1,4−ガラクトシル基が結合したもの(β−1,4−ジガラクトシルレバウディオサイドA)、さらに3つのβ−1,4−ガラクトシル基が結合したもの(β−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドA)が、順次生成するものと推定され、本発明で提供する甘味料中のβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAは、それらの複数のβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの混合物から成る。
【0027】
ただし、本発明で提供する甘味料には、β−1,4−ガラクトシル転移酵素の作用によりβ−1,4−ガラクトシル糖化合物からガラクトシル基をレバウディオサイドAに転移させて得られるガラクトシルレバウディオサイドAであれば、前記した主たるβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの他に、例えば、前記の13−G1にガラクトシル基がβ−1,4−付加したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAや、他の少量のガラクトシルレバウディオサイドAが含まれていても差し支えない。
【0028】
また、前記した本発明の甘味料の製造方法で用いるステビア抽出物としては、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物であることが必須であるが、なかでも、まろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れも良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味が低減された甘味料をさらに容易に得ることができることから、レバウディオサイドAを50重量%以上含むステビア抽出物であることが好ましく、レバウディオサイドAを70〜95重量%含むステビア抽出物であることがより好ましい。さらに、本発明の製造方法で用いるステビア抽出物としては、ステビオサイドに対して1.5重量倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア抽出物であることが特に好ましい。これは、β−1,4−ガラクトシル転移酵素によりレバウディオサイドAにガラクトシル基が転移したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの甘味度は、元のレバウディオサイドAよりも低下するが、その甘味度低下率は、ステビオサイドにガラクトシル基が結合したβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドの甘味度の低下率よりもかなり小さいことに起因するものと思われる。なお、ステビア抽出物中のレバウディオサイドAの含量比率が40重量%未満であると、得られる甘味料の甘味度と甘味質が低下し、甘味質が優良でなくなるため、好ましくない。
【0029】
前記の条件を満足するステビア抽出物を得る方法としては、以下に示す2つの方法が一般的であるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0030】
第1の方法は、レバウディオサイドAを40重量%以上含み、ステビオサイドに対して1.5重量倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア レバウディアナ ベルトニー(Stevia rebaudiana BERTONI)の植物体または乾燥葉を水または含水メタノール、含水エタノール等の含水有機溶媒で抽出し、得られた抽出液から非甘味成分を除去する方法である。
【0031】
第2の方法は、ステビオサイドに対して任意の比率でレバウディオサイドAを含むステビア レバウディアナ ベルトニー(Stevia rebaudiana BERTONI)の植物体または乾燥葉を水または含水メタノール、含水エタノール等の含水有機溶媒で抽出し、得られた抽出液から非甘味成分を除去した後に、レバウディオサイドAを40重量%以上含み、レバウディオサイドAがステビオサイドに対して1.5重量倍以上になる様に、再結晶やカラム精製などの一般的な方法で分離・精製取得する方法である。これら第1と第2の方法は組み合わせて実施することもできる。
【0032】
これら第1および第2の方法において、非甘味成分を除去する方法としては、例えば、ステビア抽出液を陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂でイオン性不純物を除去した後、吸着樹脂に甘味成分を吸着させ、メタノール、エタノール等の親水性有機溶媒で溶離し、溶離液を減圧濃縮する方法、逆に、吸着樹脂に甘味成分を吸着させ、メタノール、エタノール等の親水性有機溶媒で溶離後、溶離液を減圧濃縮して該有機溶媒を除去し、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂でイオン性不純物を除去する方法等の一般的な精製方法等が挙げられる。
【0033】
前記の陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライトIR−120B(オルガノ株式会社製品)等が挙げられ、陰イオン交換樹脂としてはオルガノ株式会社製のアンバーライトIRA−93等が挙げられる。吸着樹脂としては、例えば、オルガノ株式会社製のアンバーライトXAD−2等が挙げられる。
【0034】
また、前記第2の方法において、抽出液から非甘味成分を除去した後に、レバウディオサイドAを40重量%以上含み、レバウディオサイドAがステビオサイドに対して1.5重量倍以上になる様に分離・精製する工業的な方法としては、例えば、非甘味成分を除去したステビア抽出物を、メタノール、エタノール等の親水性有機溶媒に飽和濃度になるまで溶解し、濃縮、冷却等の手段によりレバウディオサイドAを選択的に析出させた後、濾過などの方法により、結晶を分離する再結晶方法等が挙げられる。
【0035】
本発明で用いるβ−1,4−ガラクトシル糖化合物は、β−1,4−ガラクトシル転移酵素の基質になり、該β−1,4−ガラクトシル糖化合物からβ−1,4−ガラクトシル基をレバウディオサイドAに転移できるものであればよく、特に限定されないが、入手の容易さなどから乳糖(ラクトース)が最も好ましい。
【0036】
本発明で用いるβ−1,4−ガラクトシル転移酵素としては、β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素であればよく、例えば、β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物由来の酵素が挙げられ、なかでも、該微生物を培養した培養菌体から抽出した酵素が、取り扱いが容易であることから好ましいが、このようなβ−1,4−ガラクトシル転移酵素の代わりに、β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物を培養した菌体懸濁液をそのまま用いても良いし、該微生物を固定した固定化菌体を用いても良い。前記培養菌体から抽出した酵素としては、乳糖を加水分解するラクターゼ、例えば、大和化成株式会社製のビオラクタなどが挙げられる。
【0037】
前記β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物としては、ロドトルラ属微生物が好ましく用いられ、特にロドトルラ ミヌタ(Rhodotorula minuta)IFO−1540、ロドトルラ マリナ(Rhodotorula marina)IFO−1421、ロドトルラ ラクトサ(Rhodotorula lactosa)IFO−1424が好ましい。
【0038】
また、バシルス属微生物も好ましく用いることができ、特に、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)が好ましく用いられる。さらに、前記β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物としては、病原性などの飲食物として好ましくない性質を有しない限り、β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物であれば上記以外の属や種に属する微生物であってもよい。
【0039】
これらの微生物は、通常の微生物の生育に適した培地、例えば、炭素源としてはグルコース、シュクロース、ラクトース、グリセリン等を、窒素源としては硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、酢酸アンモニウム等を、含窒素天然物としては、酵母エキス、コーンスティーブリカー等を、無機塩類としてはリン酸カリウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム等を含有し、更にビタミン類、微量金属塩等を含有した培地で成育することにより得られる。
【0040】
β−1,4−ガラクトシル糖化合物からのレバウディオサイドAへのガラクトシル基の転移とβ−1,4−付加反応は、レバウディオサイドAを含むステビア抽出物とβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含有する水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を添加することにより進行する。
【0041】
本発明の製造方法で用いる、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物とβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液は、該ステビア抽出物と、該ステビア抽出物固形分重量の5〜20倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含めば良いが、なかでも、6〜16倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物を有するのが好ましい。
【0042】
前記した水溶液中のステビア抽出物固形分濃度は、通常0.1〜15重量%で良いが、経済性を考慮すると1〜5重量%が好ましい。また、該水溶液中でのβ−1,4−ガラクトシル糖化合物の濃度は、通常0.1〜30重量%で良いが、経済性と生産性を考慮すると5〜20重量%が好ましい。
【0043】
β−1,4−ガラクトシル転移酵素の使用量は、β−1,4−ガラクトシル転移酵素が作用してβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを生成させる量であれば制限はないが、反応効率が良好なことと経済的なことから、ステビア抽出物固形分1gあたり1〜1000ユニット(U)用いるのが好ましく、5〜500U用いるのがより好ましい。ここで、1ユニット(U)とは、1μmolのo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(以下、ONPGという。)とβ−1,4−ガラクトシル転移酵素とを反応させた時、該ONPG中のβ−ガラクトシド結合を加水分解し、1μmolのo−ニトロフェノールを1分間に生成するのに要する該ガラクトシル転移酵素の量を言う。
【0044】
β−1,4−ガラクトシル転移酵素のユニットの測定は、濃度5mmol/l(リットル)のONPG水溶液2.5mlと濃度100mmol/lのリン酸カリウム・ナトリウム緩衝液(pH7.25)4.9mlとを混合した溶液に、酵素液0.1mlを加えて40℃で10分間反応させた後、濃度1.0mol/lの炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液2.5mlを加えて反応を停止させ、必要があれば適量の純水で希釈し、生成したo−ニトロフェノールの波長420nmに於ける吸収を測定し、得られた吸光度から該ニトロフェノールの生成量を定量したのち、その生成量を10で割り、1分間に生成した該ニトロフェノールの量を求めることにより行った。
【0045】
該水溶液にβ−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させる際の系のpHは、β−1,4−ガラクトシル転移酵素が作用してβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを生成させうる条件であれば特に制限されるものではないが、通常pH3〜10であり、なかでも酵素反応効率に優れることから、pH4〜7が好ましい。この際の温度も、β−1,4−ガラクトシル転移酵素が作用してβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを生成させうる条件であれば特に制限されるものではないが、通常20〜70℃であり、なかでも酵素反応効率に優れることから、40〜60℃が好ましい。該水溶液にβ−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させる時間は、通常3〜48時間であるが、経済性と生産性を考慮すると9〜24時間が好ましい。
【0046】
β−1,4−ガラクトシル転移酵素の作用によるβ−1,4−ガラクトシル糖化合物からのガラクトシル基のレバウディオサイドAへのβ−1,4−転移は、β−1,4−ガラクトシル糖化合物からのガラクトシル基の切断と、β−1,4−転移とが同時に生じるものであり、一度レバウディオサイドAのグルコース残基に転移したガラクトシル基の4位の水酸基へは新たなガラクトシル基はβ−1,4−転移できず、α−1,4−グルコシダーゼやグルコシルトラスフェラーゼのように、先に転移したグルコース残基の4位の水酸基に、さらに新たなグルコシル基が次々にα−1,4−付加重合して長鎖のグルコース鎖を形成し、得られる甘味料の甘味度を低下させることがないという利点を有する。
【0047】
ステビア抽出物とβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液にβ−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させた後の水溶液は、そのまま甘味料として使用することもできるが、通常は、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を加熱失活させた後(ただし、β−1,4−ガラクトシル転移酵素の代わりに、β−1,4−ガラクトシル転移活性を有する酵素を産生する微生物を培養した菌体懸濁液等を用いた場合は、該微生物の加熱殺菌も行った後)、スチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂、例えばダイヤイオンHP−21(三菱化学株式会社製品)、アンバーライトXAD−2(オルガノ株式会社製品)や、陽イオン交換樹脂や、陰イオン交換樹脂を用いて不純物を除去した後、濃縮してシロップ状の甘味料としたり、乾燥して粉末状の甘味料として使用する。この際、濃縮、乾燥、粉末化の手段は公知慣用の方法、例えば減圧濃縮、膜濃縮、凍結乾燥、噴霧乾燥等の各種の方法が採用できる。
【0048】
本発明の甘味料や本発明の製造方法で得られる甘味料は、単独で用いることもできるが、ソルビトール、マルチトール、還元水飴、キシリトール、トレハロース、エリスリトール等の砂糖より甘味度の低い低カロリー甘味料と併用することができ、これらの甘味料の特性を損なうことなくさらに強い甘味を付与することが可能であり、良質の低カロリー甘味料製剤とすることができる。
【0049】
また、本発明の甘味料や本発明の製造方法で得られる甘味料の乾燥物は、淡黄色〜白色を呈する無臭の粉末である。この為、該甘味料は、例えば、乾燥物単独、若しくは、希釈剤として砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、異性化糖、水飴、デキストリン、澱粉等の糖質系甘味料と併用した状態で好適に使用することもできる。またさらに、甘草抽出物、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の非糖質系高甘味度甘味料と組み合わせて好適に使用することもできる。
【0050】
なお、本発明において、前記式(1)および(3)で用いるX〔甘味料中に含まれるステビオール配糖体の重量割合〕は、日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格(第二版、平成5年10月1日発行)第119〜121頁「酵素処理ステビア」に記載された定量法〔(1)ステビオール定量法、(2)配糖体中の糖定量法、および、(4)含量の計算〕に準拠して測定した重量割合(%)である。
【0051】
なお、「酵素処理ステビア」に記載された定量法はα−グルコシルステビオサイド等のグルコース付加反応物を対象とした定量法であり、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA等のガラクトース付加反応物を対象とした定量法ではないが、本発明では、この方法に準拠してXを測定した。
【0052】
また、前記式(1)〜(7)で用いるRA〔甘味料に含まれるレバウディオサイドAの重量割合〕、および、前記式(5)と(7)におけるST〔甘味料中に含まれるステビオサイドの重量割合〕は、いずれも、日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格(第二版、平成5年10月1日発行)第122〜123頁「ステビア抽出物」に記載された定量法および前記「酵素処理ステビア」に記載された定量法〔(3)未反応ステビオール配糖体定量法〕に準拠して測定した重量割合(%)である。
【0053】
さらに、前記式(1)〜(7)で用いるGRA〔甘味料中に含まれるβ−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合〕およびGST〔甘味料中に含まれるβ−1,4結合ガラクトシル基を1分子中に1〜2個有するβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドの重量割合〕は、測定方法が日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格に記載されていないが、前記RAとSTを測定する際に同時に測定した。
【0054】
本発明においては、X、RA、ST、GRA、GSTの各重量割合は、前記した「酵素処理ステビア」および「ステビア抽出物」に記載された定量法に準拠しているが、下記の点で変更してある。変更点と、その理由を以下に示す。
【0055】
「酵素処理ステビア」の「(1)ステビオール定量法」における変更点。
(1)−▲1▼試料の乾燥処理工程
「(1)ステビオール定量法」では、試料の乾燥についての記載はないが、厳密な分析を行うために、標準品と同様に、105℃で2時間の乾燥を行った。
【0056】
(1)−▲2▼ステビオールの重量割合の計算式
「(1)ステビオール定量法」では、ステビオールの含有率の計算は、標準品のステビオサイドの純度は考慮していないが、厳密にステビオールの含有率を計算するために、用いた標準品のステビオサイドの純度を考慮し、以下の式を用いてステビオールの重量割合を求めた。
Figure 0003925356
ここで、
A :試料のステビオールの重量割合(%)、
As:検液のイソステビオールメチルエステルのスタワランに対する面積比、
Ast:標準液のイソステビオールメチルエステルのスタワランに対する面積比、
S :ステビオサイド採取量(mg)、
X :試料採取量(mg)、
K :ステビオールへの換算係数 318.46/804.88=0.3957
である。
【0057】
「酵素処理ステビア」の「(2)配糖体中の糖定量法」における変更点。
(2)−▲1▼試料液の調製
「(2)配糖体中の糖定量法」におけて、試料の調製方法は以下の通りである。即ち、試料約1.0gを精密に量り、水50mlに溶解する。この溶液を酵素処理ステビア用吸着樹脂50mlを用いて作った直径約2.5cmの樹脂柱に注ぎ、1分間に3ml以下の速さで流出させ、次いで水250mlで洗浄する。次に、50v/v%エタノール(エタノールと水の混合溶液100mL中のエタノールの含有量が50mlである混合溶液)又は90v/v%メタノール(メタノールと水の混合溶液100mL中のエタノールの含有量が90mlである混合溶液)250mlを1分間に3ml以下の速さで通液し、吸着されている成分を溶出する。この液をロータリーエバボレーターで濃縮乾固し、残留物を得るという処理操作を行った後、該残留物に水を加えて溶解し全量を正確に500mlとし、これを試料液とする。
【0058】
しかしながら、前記した試料の調製方法は、酵素処理ステビアに糖類が添加されているものについて、該糖類を除去した試料を調製するための方法である。本発明においては、酵素処理したステビアに糖類を添加しないことから、前記した試料の調製方法において、前記した処理操作を行わず、試料約1.0gを精密に量り、水を加えて溶解し全量を正確に500mlとし、これを試料液とした。尚、厳密な測定を行うために、試料は、105℃、2時間の条件で乾燥処理した。
【0059】
「ステビア抽出物」における変更点。
▲1▼試料の乾燥処理工程
「ステビア抽出物」に記載された定量法では、試料の乾燥についての記載はないが、本発明においては、厳密な分析を行うために標準品と同じ105℃、2時間の乾燥を行った。
【0060】
▲2▼液体クロマトグラフィーの移動相
「ステビア抽出物」に記載された定量法では、液体クロマトグラフィーの移動相としてアセトニトリル・水混液(80:20)(体積比)を使用している。この溶媒組成は、ステビオサイド及びレバウディオサイドAの定量を目的に規定されており、ステビオサイドのピークの保持時間は10分前後、レバウディオサイドAのピークの保持時間は20分前後と、30分以内でこれらの成分が溶出される。
【0061】
しかしながら、この移動相組成でβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA組成物を分析すると、β−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAのピークの保持時間は170分前後となり、全糖付加成分の溶出に3時間以上を要する為、分析方法として現実的ではない。
【0062】
この為、本発明においては、液体クロマトグラフィーの効率化の為、移動相としてアセトニトリル・水混液(78:22)(体積比)を用いた。この移動相を用いると、ステビオサイドのピークの保持時間は5分前後、レバウディオサイドAのピークの保持時間は8分前後、最も遅いβ−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAのピークの保持時間は45分前後となり、全糖付加成分の溶出は1時間以内で完了する。
【0063】
▲3▼重量割合の計算
「ステビア抽出物」に記載された定量法では、用いる標準品(ステビオサイド、レバウディオサイド)の純度は考慮されていないが、厳密な定量を行うために、用いた標準品の純度を考慮し、標準品の採取量に純度を乗じた。これは、後述するβ−1,4−ガラクトシルステビオサイド、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAについても同様である。
【0064】
▲4▼β−1,4−ガラクトシルステビオサイド、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合の算出。
β−1,4−ガラクトシルステビオサイド、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合は、「ステビア抽出物」に記載された定量法と、分子量換算法を組み合わせて測定した。β−1,4−ガラクトシルステビオサイドの重量割合は、ステビオサイドを標準物質とし、ステビオサイドの重量割合を求める計算式において、検液のステビオサイドのピーク面積に代えてβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドである、β−1,4モノガラクトシルステビオサイド、β−1,4−ジガラクトシルステビオサイドのそれぞれのピーク面積を用い、更に、ステビオサイドの重量割合を求める計算式に、下記第1表に示したステビオサイドとβ−1,4−ガラクトシルステビオサイド各成分との分子量比を乗じて算出した。
【0065】
【表1】
Figure 0003925356
【0066】
β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合は、レバウディオサイドAを標準物質とし、レバウディオサイドAの重量割合を求める計算式において、検液のレバウディオサイドAのピーク面積に代えてβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAである、β−1,4−モノガラクトシルレバウディオサイドA、β−1,4−ジガラクトシルレバウディオサイドA、β−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAのそれぞれのピーク面積を用い、更に、レバウディオサイドAの重量割合を求める計算式に、下記第2表に示したレバウディオサイドAとβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA各成分との分子量比を乗じて算出した。
【0067】
【表2】
Figure 0003925356
【0068】
前記「ステビア抽出物」に記載された定量方法において、ステビオサイド、レバウディオサイドA、β−1,4−モノガラクトシルステビオサイド、β−1,4−ジガラクトシルステビオサイド、β−1,4−モノガラクトシルレバウディオサイドA、β−1,4−ジガラクトシルレバウディオサイドA、β−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合を測定するには、液体クロマトグラフィーにて得られる、前記したステビオサイド、β−1,4モノガラクトシルステビオサイド等の各成分のピークを特定する必要があるため、本発明においては、以下の条件による液体クロマトグラフィー(HPLC)を行い、ピーク保持時間を得た後、下記第3表に示した実施例1の測定結果の様に、ピーク保持時間毎に順次各成分を特定した。
【0069】
測定条件
カラム:粒径5μmのNH基結合シリカ(Unisil Q NH ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム管:内径4.6mm、長さ150mm
カラム槽温度:40℃
移 動 相:アセトニトリル・水混液(78:22)
流 速:2.0ml/分
注 入 量:5μl
測定波長:210nm
【0070】
【表3】
Figure 0003925356
【0071】
なお、これらの測定の具体例は、本明細書に実施例1として例示してある。
【0072】
【実施例】
以下に参考例、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。例中「%」とあるのは、断りのない限り重量基準である。なお、使用したステビア抽出物A1、ステビア抽出物A1、ステビア抽出物B中のそれぞれのステビオサイド重量割合、レバウディオサイドA重量割合は、日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格(第二版、平成5年10月1日発行)第122〜123頁「ステビア抽出物」に記載された定量法に準拠して測定した重量割合(%)である。
【0073】
参考例1 (β−1,4−ガラクトシル転移酵素を産生する微生物を培養した菌体懸濁液の調製)
リン酸二水素カリウム0.4%、硫酸アンモニウム0.5%、硫酸マグネシウム0.06%、硫酸亜鉛0.001%、硫酸第一鉄0.005%、酵母エキス0.1%、グルコース1.0%、およびラクトース0.5%の培地組成からなる液体培地(pH5.2)3リットルを容量10リットルのジャーファーメンターに仕込み、加圧蒸気滅菌した。放冷後、ロドトルラ マリナ菌を接種し、30℃で24時間通気攪拌培養し、菌体を生産した。得られた培養液を遠心分離して菌体を捕集し、濃度0.05mol/lのリン酸緩衝液にて菌体を2回洗浄した後、同緩衝液600mlに懸濁して、菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液のβ−1,4−ガラクトシル転移酵素の総活性は3420Uであった。
【0074】
参考例2 (β−1,4−ガラクトシル転移酵素の粗酵素液の調製)
参考例1と同じ液体培地3リットルを容量10リットルのジャーファーメンターに仕込み、加圧蒸気滅菌した。放冷後、バシルス サーキュランス菌を接種し、30℃で24時間通気攪拌培養して菌体を生産した。得られた培養液を遠心分離しして菌体を捕集し、濃度0.05mol/lのリン酸緩衝液にて菌体を2回洗浄した後、同緩衝液100mlに懸濁して、菌体懸濁液を調製した。これを超音波破砕により菌体を破砕した後に遠心分離して、菌体破砕物を除去し、上清液を硫酸アンモニウム70%飽和で塩析し生成した沈殿物を遠心分離によって回収した。回収した沈殿物を濃度0.05mol/lのリン酸緩衝液100mlに懸濁して粗酵素液を調製した。この粗酵素液のβ−1,4−ガラクトシル転移酵素の総活性は2988Uであった。
【0075】
実施例1
ステビア抽出物A1(ステビオサイドの重量割合26.8%、レバウディオサイドAの重量割合58.5%)10.0gとガラクトシル糖化合物として乳糖100gとを純水500mlで加温溶解した後、室温まで放冷し、濃度1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH6.0に調整した。これに参考例1で得たβ−1,4−ガラクトシル転移酵素活性を有する菌体懸濁液100mlを加え、50℃で24時間反応させた。反応後、この反応液を95℃に30分間保持して酵素を加熱失活させた。
【0076】
この液を濾過して浮遊固形物を除去した後、濾過液をスチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP−21)500mlを充填したカラムに通液し甘味成分を吸着させた。固定相を十分水洗して本反応で用いた乳糖を除去した後、濃度80%の含水メタノール1000mlを通液し、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを含む甘味成分を溶出させ、溶出液を減圧濃縮、乾燥し、淡黄色粉末状の甘味料(以下、甘味料1という)11.2gを得た。
【0077】
次に、前記した、日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格(第二版、平成5年10月1日発行)122〜123頁「ステビア抽出物」に準拠して、甘味料1中のレバウディオサイドAの重量割合(RA)、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合(GRA)、ステビオサイドの重量割合(ST)及びβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドの重量割合(GST)を測定した。具体的な方法を以下に示す。
【0078】
甘味料1を105℃で2時間乾燥し、その1.52205gを純水に溶かして正確に100mlとし、検液を調製した。ステビオサイド標準品として和光純薬工業株式会社製の純度99.4%のステビオサイドを用い、該ステビオサイドを105℃で2時間乾燥し、その52.26mgを移動相に溶かして正確に100mlとし、ステビオサイド標準液を調製した。
【0079】
同様にレバウディオサイドA標準品として和光純薬工業株式会社製の純度99.6%のレバウディオサイドAを用い、該レバウディオサイドAを105℃で2時間乾燥し、その50.78mgを移動相に溶かして正確に100mlとし、レバウディオサイドA標準液を調製した。
【0080】
次に、検液及び標準液につき、次の操作条件で液体クロマトグラフィー法による分析を行った。
検 出 器:紫外部吸収検出器(測定波長210nm)
カラム:粒径5μmのNH基結合シリカ(Unisil Q NH ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム管:内径4.6mm、長さ150mm
カラム槽温度:40℃
移 動 相:アセトニトリル・水混液(78:22)
流 速:2.0ml/分
注 入 量:5μl
【0081】
液体クロマトグラフィー法による分析を行って得られた検液の高速液体クロマトグラムを図1に、該液体クロマトグラム中の各ピークの保持時間と成分名との関係を第4表に示す。また、検液中の各成分のピーク面積と、標準液のステビオサイド、標準品のレバウディオサイドAのピーク面積を測定した結果を第5表に示す。
【0082】
【表4】
Figure 0003925356
【0083】
【表5】
Figure 0003925356
【0084】
次に、第5表の各成分の面積と次式を用いて、甘味料1中の各成分の重量割合(ST、ST−G1、ST−G2、RA、RA−G1、RA−G2、RA−G3)を算出した。具体的な計算例を以下に示す。尚、ST−G1は、β−1,4−モノガラクトシルステビオサイドの重量割合を、ST−G2は、β−1,4−ジガラクトシルステビオサイドの重量割合を、RA−G1は、β−1,4−モノガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合を、RA−G2は、β−1,4−ジガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合を、RA−G3は、β−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合をそれぞれ表す。
【0085】
ST=(ステビオサイド標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のステビオサイドのピーク面積×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のステビオサイドのピーク面積)=(0.05226×0.994×1429012×100)÷(1.52205×361605)=13.5(%)
【0086】
ST−G1=(ステビオサイド標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のβ−1,4−モノガラクトシルステビオサイドのピーク面積×分子量換算係数×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のステビオサイドのピーク面積)=(0.05226×0.994×670704×1.20×100)÷(1.52205×361605)=7.6(%)
【0087】
ST−G2=(ステビオサイド標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のβ−1,4−ジガラクトシルステビオサイドのピーク面積×分子量換算係数×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のステビオサイドのピーク面積)=(0.05226×0.994×76874×1.40×100)÷(1.52205×361605)=1.0(%)
【0088】
RA=(レバウディオサイドA標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のレバウディオサイドAのピーク面積×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のレバウディオサイドAのピーク面積)=(0.05078×0.996×1923081×100)÷(1.52205×324814)=19.7(%)
【0089】
RA−G1=(レバウディオサイドA標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のβ−1,4−モノガラクトシルレバウディオサイドAのピーク面積×分子量換算係数×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のレバウディオサイドAのピーク面積)=(0.05078×0.996×1346498×1.17×100)÷(1.52205×324814)=16.1(%)
【0090】
RA−G2=(レバウディオサイドA標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のβ−1,4−ジガラクトシルレバウディオサイドAのピーク面積×分子量換算係数×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のレバウディオサイドAのピーク面積)=(0.05078×0.996×802268×1.34×100)÷(1.52205×324814)=11.0(%)
【0091】
RA−G3=(レバウディオサイドA標準品の採取量(g)×標準品の純度×検液のβ−1,4−トリガラクトシルレバウディオサイドAのピーク面積×分子量換算係数×100)÷(試料の採取量(g)×標準液のレバウディオサイドAのピーク面積)=(0.05078×0.996×162466×1.50×100)÷(1.52205×324814)=2.5(%)
【0092】
次に、前記した、日本食品添加物協会の化学的合成品以外の食品添加物自主規格(第二版、平成5年10月1日発行)119〜121頁「酵素処理ステビア」に準拠して、甘味料1中のステビオール配糖体の重量割合Xを測定した。
【0093】
(1)甘味料1中のステビオールの重量割合の定量
甘味料1を105℃で2時間乾燥し、110.1mgを、フラスコに量り、20v/v%硫酸(硫酸と水の混合溶液100mL中の硫酸の含有量が20gである混合溶液)10mlを加え、還流冷却器をつけて水浴上で2時間加熱した流水中で冷却後内容物を分液漏斗に移し、フラスコは水10mlで洗って分液漏斗に加えた。フラスコはさらにエーテル30mlずつで3回洗い、洗液を分汲漏斗に合わせ、よく振り混ぜた後、静置した。水層を除きエーテル層を水20mlずつで2回洗浄した後水層を除いた。ついでエーテル層を別のフラスコに移し、分液漏斗はエーテル10mlずつで2回洗い、洗液はフラスコに合わせ、硫酸ナトリウム(無水)15gを加え、よく振り混ぜた後、傾斜してエーテル層を更に別のフラスコに移した。残った硫酸ナトリウムは、エーテル10mlずつで2回洗い、洗液をフラスコに合わせた。エーテルを留去した後、残留物に酢酸エチル10mlを加えて溶かし、2w/v%ジアゾメタン・エーテル溶液(ジアゾメタンとエーテルの混合溶液100mL中のジアゾメタンの含有量が2gである混合溶液)3mlを加え、密栓して時々振り混ぜ、20分間放置した。
【0094】
この液に酢酸0.5mlを加えてよく振り混ぜた後、スタワラン・n−ブタノール試液(スタワラン2.5gをn−ブタノールに溶解し、最終的にn−ブタノールで200mlにしたもの)2mlを正確に加え、検液とした。
【0095】
別に、和光純薬工業株式会社製の純度99.4%のステビオサイドを105℃で2時間乾燥し、42.1mgをフラスコに量り、甘味料1の場合と同様の操作を行い、標準液を調製した。
【0096】
検液及び標準液につき、次の操作条件でガスクロマトグラフイー法による分析を行った。
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム充填剤:液相が、担体に対して2%の50%フェニルメチルシリコーンポリマーで、担体が、177〜250μmのガスクロマトグラフィー用ケイソウ土〔Silicone OV−17 2%Chromosorb WAW−DMCS 60/80(ジーエルサイエンス株式会社製)〕
カラム管:3.2mmφ×2.1mのガラス管
カラム槽温度:245℃
注入口温度:260℃
キャリアーガス:窒素ガス
流速:50ml/min
注入量:2μl
【0097】
検液のスクワラン、イソステビオールメチルエステルのピーク面積、及び標準液のスクワラン、イソステビオールメチルエステルのピーク面積を測定した結果を第6表に示す。
【0098】
【表6】
Figure 0003925356
【0099】
得られたピーク面積と、次式により甘味料1中のステビオールの重量割合を求めた。
A=(As×S×標準品ステビオサイドの純度×100×K)/(Ast×X) ・・・・・式(8)
ここで、
A :試料のステビオールの重量割合(%)、
As :検液のイソステビオールメチルエステルのスタワランに対する面積比、
Ast:標準液のイソステビオールメチルエステルのスタワランに対する面積比、
S :ステビオサイド採取量(mg)、
X :試料採取量(mg)、
K :ステビオールへの換算係数 318.46/804.88=0.3957
である。
【0100】
本実施例において、As=5168502/3887140=1.330、Ast=3082803/3926785=0.785である。従って、ステビオールの重量割合は、(1.330×42.1×0.994×100×0.3957)/(0.785×110.1)=25.5%である。
【0101】
(2) ステビオール配糖体中の糖の重量割合の定量
甘味料1を105℃で2時間乾燥し、1.0074gを量り、水500mlに溶解し、試料液を調製した。
【0102】
アントロン200mgを量り、硫酸100mlに溶かし、これを氷令しながら水20ml中に徐々に加えて混合し、アントロン試液を調製した。試料液を水で50倍に希釈し、検液とした。検液2mlを正確に共栓付試験管にとり、これを氷水中で冷却しつつ、アントロン試液6mlを正確に加え、二液が完全に混合するまでよく振り混ぜた。ついで沸騰水浴中で正確に16分間加熱した。氷冷後、水を対照として、波長620nmの吸光度を測定したところ0.313となった。
【0103】
次に、予め作成したグルコース検量線から、検液のグルコース濃度(μg/ml)を求めた。グルコース検量線は,グルコース10.96μg/ml、32.88μg/ml、54.80μg/mlの溶液につき検液と同様に操作し、得られたそれぞれの吸光度と濃度から作成した。本実施例で用いたグルコース検量線のグルコース濃度と吸光度を第7表に示す。
【0104】
【表7】
Figure 0003925356
【0105】
検量線は、糖濃度(μg/ml)=96.31×吸光度−2.15という式で表された。検液の波長620nmにおける吸光度(0.313)と検量線から、検液中の糖濃度を求めた。
検液の糖濃度(μg/ml)=96.31×0.313−2.15=28.0。
【0106】
更に、次式によりステビオール配糖体中の糖の重量割合を求めた。
配糖体中の糖の重量割合(%)=〔検量線より求めた糖濃度(μg/ml)×0.9×50×500×100〕÷〔試料採取量(g)×1000×1000〕=(28.0×0.9×50×500×100)÷(1.0074×1000×1000)=62.5%。
【0107】
(3) ステビオール配糖体の重量割合の計算
ステビオールの重量割合と配糖体中の糖の重量割合の値の和をもって、ステビオール配糖体の重量割合とする。甘味料1中のステビオール配糖体の重量割合は、25.5+62.5=88.0(%)であった。
【0108】
甘味料1中の各成分の重量割合(ST、RA、ST−G1、ST−G2、RA−G1、RA−G2、RA−G3およびX)、〔(GRA+RA)/(X)〕の値および〔(GRA)/(RA)〕の値を第8表に示す。
【0109】
実施例2
ステビア抽出物A1(ステビオサイドの重量割合26.8%、レバウディオサイドAの重量割合58.5%)10.0gとガラクトシル糖化合物として乳糖100gとを純水500mlに加温溶解した後、室温まで放冷し、濃度1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH6.0に調整した。これに参考例2で調製したβ−1,4−ガラクトシル転移酵素活性を有する粗酵素液全量を加え、50℃で24時間反応させた。反応後、この反応液を95℃に30分間保持して酵素を加熱失活させた。
【0110】
反応液を濾過して浮遊固形物を除去した後、反応濾過液をスチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP−21)500mlを充填したカラムに通液し甘味成分を吸着させた。固定相を十分水洗して本反応で用いた乳糖を除去した後、濃度80%の含水メタノール1000mlを通液し、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを含む甘味成分を溶出させ、溶出液を減圧濃縮、乾燥し、淡黄色粉末である甘味料(以下、甘味料2という。)11.1gを得た。
【0111】
実施例1と同様にして、甘味料2中の各成分の定量を行った。その結果を、第8表に示す。
【0112】
実施例3
高度に精製し、レバウディオサイドAを90重量%以上含むステビア抽出物A2(ステビオサイドの重量割合1.1重量%、レバウディオサイドAの重量割合91.3重量%)10.0gとガラクトシル糖化合物として乳糖100gとを純水500mlに加熱溶解した後、室温まで放冷し、濃度1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH6.0に調節した。これにβ−1,4−ガラクトシル転移酵素活性を有する酵素製剤〔ビオラクタN5、大和化成(株)製〕を1.0g(2477U)加え、50℃で24時間反応させた。反応後、この反応液を95℃に30分間保持して酵素を加熱失活させた。
【0113】
反応液を濾過して浮遊固形物を除去した後、反応濾過液をスチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP−21)500mlを充填したカラムに通液し甘味成分を吸着させた。固定相を十分水洗して本反応で用いた乳糖を除去した後、濃度80%の含水メタノール1000mlを通液し、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを含む甘味成分を溶出させ、溶出液を減圧濃縮、乾燥させ、淡黄色粉末である甘味料(以下、甘味料3という)10.4gを得た。
【0114】
実施例1と同様にして、甘味料3中の各成分の定量を行った。その結果を、第8表に示す。
【0115】
比較例1
ステビア抽出物B(ステビオサイドの重量割合79.7%、レバウディオサイドAの重量割合11.1%)10.0gとガラクトシル糖化合物として乳糖100gとを純水500mlに加温溶解した後、室温まで放冷し、濃度1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH6.0に調節した。これに参考例1で得たβ−1,4ガラクトシル転移酵素活性を有する菌体懸濁液100mlを加え、50℃で24時間反応させた。反応後、この反応液を95℃に30分間保持して酵素を加熱失活させた。
【0116】
反応液を濾過して浮遊固形物を除去した後、反応濾過液をスチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP−21)500mlを充填したカラムに通液し甘味成分を吸着させた。固定相を十分水洗して本反応で用いた乳糖を除去した後、濃度80%の含水メタノール1000mlを通液し、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAを含む甘味成分を溶出させ、溶出液を減圧濃縮、乾燥させ、淡黄色粉末である甘味料(以下、甘味料1′という。)11.0gを得た。
【0117】
実施例1と同様にして、甘味料1′中の各成分の定量を行った。その結果を、第8表に示す。
【0118】
【表8】
Figure 0003925356
【0119】
試験例1〜3及び、比較試験例1〜4(甘味度の評価)
甘味料1、甘味料2、甘味料3、甘味料1′、原料として用いたステビア抽出物A1、ステビア抽出物A2およびステビア抽出物Bを用いて、甘味度の評価を行った。
【0120】
甘味度の評価
砂糖の8%濃度水溶液を作製してこれを砂糖標準水溶液とした。甘味料1、甘味料2、甘味料3、甘味料1′、原料として用いたステビア抽出物AA1、ステビア抽出物A2およびステビア抽出物Bの0.025〜0.080%濃度の水溶液を0.005%段階濃度で8種類の試料水溶液を作製し、それぞれの水溶液と標準水溶液とを比較して甘味度を測定した。試験は試料水溶液と砂糖標準水溶液との二点比較法で、20人のパネラーにより室温25℃で行った。結果を第9表及び第10表に示す。
【0121】
【表9】
Figure 0003925356
【0122】
【表10】
Figure 0003925356
【0123】
第9表および第10表に示した結果から、砂糖濃度8%に相当する濃度は、甘味料1は0.060%(甘味度133倍)、甘味料2は0.0575%(甘味度139倍)、甘味料3は0.0525%(甘味度152倍)、甘味料1′は0.0650%(甘味度123倍)であった。また、ステビア抽出物A1は0.0425%(甘味度188倍)、ステビア抽出物A2は0.0350%(甘味度229倍)、ステビア抽出物Bは0.0475%(甘味度168倍)であった。
【0124】
これらの結果から、ガラクトシル基をβ−1,4結合させた甘味料の甘味度は、原料であるステビア抽出物A1、ステビア抽出物A2、ステビア抽出物Bのそれぞれの甘味度の70%程度を保持しており、高い甘味度を有することが明らかとなった。
【0125】
試験例4〜6及び比較試験例5(甘味質の評価)
甘味料1、甘味料2、甘味料3および甘味料1´を用いて、甘味質の評価を行った。
【0126】
前記した、砂糖濃度8%水溶液に相当する濃度の各甘味料の水溶液を調製し、甘味質として主に前味として感じられるまろやかさ、および後味として感じられる苦味や渋味等の嫌味、さらに、甘味の立ち上がり、切れ、およびシャープさについて同等の甘味度を有する砂糖と比較して評価した。結果を第11表に示す。
【0127】
【表11】
Figure 0003925356
【0128】
第11表に示した結果から、甘味料1′では甘味質のシャープさはほぼ同等の評価であったが、苦味、甘味の切れ、甘味の立ち上がりの項目では低い評価であり、味質の改善効果が少ないことが明らかとなった。これに対して甘味料1、甘味料2および甘味料3は、甘味料1´に比べ主に前味のまろやかさが改善され、後味の苦味や渋味等の嫌味をさらに抑えることができ、全体として砂糖に類似した良質な甘味質に改善された。
【0129】
応用例1
グラニュー糖30g、異性化糖170g、クエン酸3.0g、クエン酸ナトリウム0.20g、サイダーエッセンス0.20g、甘味料1の0.22g、および炭酸水を混合し、2リットルのサイダーを調製した。20名のパネラーによる呈味試験の結果、甘味料1を用いたサイダーはあっさりした甘味で残味の切れが良好なサイダーであった
【0130】
比較応用例1
甘味料1を0.22g用いる換わりに甘味料1′を0.30g用いた以外は、応用例1と同様にして、サイダーを作製した。応用例1と同様に呈味試験を行ったところ、甘味の立ち上がりや切れの悪さが感じられるサイダーであった。
【0131】
応用例2
グラニュー糖11g、異性化糖141g、粉末コーヒー20g、脱脂粉乳76g、甘味料1の0.26gおよび温水を混合し2リットルのコーヒーを調製した。20名のパネラーによる呈味試験の結果、コーヒーの苦味とマッチした良好な甘味を有するコーヒーであった。
【0132】
比較応用例2
甘味料1を0.26g用いる換わりに甘味料1′を0.30g用いた以外は、応用例2と同様にして、コーヒーを作製した。応用例2と同様に呈味試験を行ったところ、コーヒーの苦味と甘味との感じられるタイミングが一致せず不自然さが感じられるコーヒーであった。
【0133】
参考例3(β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの存在の確認)
実施例1の液体クロマトグラフィー法による分析と同じ条件で、甘味料3を液体クロマトグラフィー法にて分画し、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの推定ピーク留分を単離した。これらを粉末化し、純水に溶解し2%水溶液を作成した。この溶液1mlを試験管にとり、これにβ−D−ガラクトシダーゼ(和光純薬工業株式会社製品)を10unit/mlとなるように添加後、30℃で24時間反応させた。
【0134】
得られたβ−D−ガラクトシダーゼ処理物をシリカゲルプレート60F254TLCプレート(メルク社製品)にスポットし、対照としてステビオサイド、レバウディオサイドA、分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA、およびD−ガラクトースを併せてスポットした。このプレートをクロロホルム:メタノール:水=30:20:4(体積比)の展開溶媒に展開した。十分に風乾後、0.2%アニスアルデヒドを含有させた濃硫酸を噴霧し、100℃で10分間加熱して発色させた。この薄層クロマトグラムを図2に示す。
【0135】
図2中の(a)はステビオサイドをスポットしたもの、(b)はレバウディオサイドAをスポットしたもの、(c)は分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの推定成分をスポットしたもの、(d)は分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAのβ−D−ガラクトシダーゼ処理物をスポットしたもの、(e)はD−ガラクトースをスポットしたものをそれぞれ展開したものを示す。
【0136】
図2に示すように、HPLC分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの推定ピーク留分をスポットした(c)は、Rf値0.35付近から0.53付近までの連続した発色スポットが観察されたのに対して、β−D−ガラクトシダーゼ処理して得られた試料をスポットした(d)は、Rf値0.35付近から0.53付近までの連続した発色スポットが殆ど消失し、わずかにRf値0.48の残存スポットと、新たにレバウディオサイドAの発色スポット(b)と一致するRf値0.55のスポットと、D−ガラクトースの発色スポット(e)と一致するRf値0.25のスポットとが出現した。
【0137】
以上の結果から、Rf値0.35付近から0.53付近までの連続した発色スポットが、レバウディオサイドAとD−ガラクトースとが結合している物質、即ちβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドA誘導体であると確認できた。
【0138】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明の甘味料は、甘味料中に含まれるβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合(GRA)と、甘味料中に含まれるレバウディオサイドAの重量割合(RA)の合計(GRA+RA)のステビオール配糖体の含有割合(X)に対する比が0.4以上で、かつ、GRAのRAに対する比が1.0以上という関係を有していることにより、砂糖に似たまろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れも良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味も低減している。
【0139】
そして、β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAは、レバウディオサイドAに付加したガラクトシル基にさらにガラクトシル基が付加重合することがないために甘味度の低下がレバウディオサイドAの30%程度に抑えられる。
【0140】
さらに、本発明の甘味料の製造方法は、レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物と、該ステビア抽出物の重量の5〜20倍のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させるという容易な製造方法であり、本発明の砂糖に似たまろやかな甘味質で、甘味の立ち上がりが速く、甘味の切れも良好で、ステビア甘味料特有の後味の苦味や渋味も低減した甘味料を好適に製造することができる。
【0141】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の甘味料1の高速液体クロマトグラムである。
【図2】 β−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの薄層クロマトグラムである。
【符号の説明】
(a) ステビオサイドをスポットしたもの
(b) レバウディオサイドAをスポットしたもの
(c) 分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの推定成分をスポットしたもの
(d) 分取したβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAのβ−D−ガラクトシダーゼ処理物をスポットしたもの
(e) D−ガラクトースをスポットしたもの

Claims (9)

  1. ステビオール配糖体を含有し、かつ、下記式(1)および式(2)を満足することを特徴とする甘味料。
    〔(GRA+RA)/(X)〕≧0.4 (1)
    〔(GRA)/(RA)〕≧1.0 (2)
    〔式中、GRAは甘味料中に含まれるβ−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜3個有するβ−1,4−ガラクトシルレバウディオサイドAの重量割合を表し、RAは甘味料中に含まれるレバウディオサイドAの重量割合を表し、Xは甘味料中に含まれるステビオール配糖体の重量割合を表す。〕
  2. 下記式(3)および(4)を満足する請求項1記載の甘味料。
    0.95≧〔(GRA+RA)/(X)〕≧0.5 (3)
    10.0≧〔(GRA)/(RA)〕≧1.1 (4)
    (式中、GRA、RAおよびXは前記と同じである。)
  3. 下記式(5)を満足する請求項1または2記載の甘味料。
    〔(GRA+RA)/(GST+ST)〕≧1.0 (5)
    〔式中、GRAおよびRAは前記と同じである。また、GSTは甘味料中に含まれるβ−1,4−結合ガラクトシル基を1分子中に1〜2個有するβ−1,4−ガラクトシルステビオサイドの重量割合を表し、STは甘味料中に含まれるステビオサイドの重量割合を表す。〕
  4. 下記式(3)、(6)および(7)を満足する請求項1記載の甘味料。
    0.95≧〔(GRA+RA)/(X)〕≧0.5 (3)
    5.0≧〔(GRA)/(RA)〕≧1.1 (6)
    〔(GRA+RA)/(GST+ST)〕≧1.5 (7)
    (式中、GRA、RA、X、GSTおよびSTは前記と同じである。)
  5. レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物と、該ステビア抽出物固形分重量の5〜20倍量のβ−1,4−ガラクトシル糖化合物とを含む水溶液に、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を作用させることを特徴とする甘味料の製造方法。
  6. 前記水溶液中のレバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物固形分濃度が1〜5重量%であり、且つ、β−1,4−ガラクトシル転移酵素を前記ステビア抽出物固形分1gに対して1〜1000ユニット用いる請求項5記載の甘味料の製造方法。
  7. 前記レバウディオサイドAを40重量%以上含むステビア抽出物が、ステビオサイドに対して1.5重量倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア抽出物である請求項5または6記載の甘味料の製造方法。
  8. 前記β−1,4−ガラクトシル糖化合物が、乳糖である請求項7記載の甘味料の製造方法。
  9. 前記β−1,4−ガラクトシル転移酵素が、バシルス属微生物由来の酵素である請求項7記載の甘味料の製造方法。
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