JP3924988B2 - 記録液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェットプリンター等のインクジェット記録装置やボールペン等の筆記具等において、記録を行うのに使用する記録液に係り、特に、インクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや、筆記具のペン先等に記録液が詰まるのを防止すると共に、この記録液が記録媒体に十分に定着されるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェットプリンター等のインクジェット記録装置やボールペン等の筆記具に使用される記録液としては、油性インクの他に、取扱いの容易性や安全性等の面から水性インクが広く用いられていた。
【0003】
ここで、水性インクとしては、一般に染料を水性媒体中に溶解させたものが使用されていた。
【0004】
しかし、染料を水性媒体中に溶解させた水性インクの場合、耐水性や耐光性が悪く、また記録紙に記録を行った場合に、フェザリングやブリーディングと呼ばれるにじみが生じる等の問題があった。
【0005】
このため、近年においては、カーボンブラック等の顔料を水性媒体中に分散させた水性インクが使用されるようになった。
【0006】
ここで、このように顔料を水性媒体中に分散させるにあたり、顔料の分散安定性を高めると共に、記録媒体に対する記録液の定着性を高めるため、従来においては、このような水性インクに樹脂等を添加させるようにしていた。
【0007】
そして、従来においては、このように水性インクに添加させる樹脂について検討が行われ、特開平8−253716号公報に示されるように、スチレン・α−メチルスチレン・アクリル酸共重合物を添加させるようにしたものや、特開平8−231912号公報に示されるように、特殊構造を有するグラフトポリマーを添加させるようにしたものや、特開平10−316907号公報に示されるように、オキサゾリン基を有する水溶性樹脂等を添加させるようにしたものや、特開平5−331395号公報に示されるように、水に対する溶解度の異なる2種以上の水溶性樹脂を用い、溶解度の低い樹脂としてポリビニルアルコールを使用するようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、上記の各公報に示される樹脂を添加させた場合、記録媒体に対する記録液の定着性は向上するようになったが、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのを防止することができなかった。
【0009】
また、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのを防止するため、特開平6−220381号公報や特開平8−113740号公報に示されるように、記録液にポリアルキルアミンのアミド誘導体やモノウレア誘導体や無機塩を添加させたり、特開昭62−89776号公報に示されるように、記録液にポリエチレン・ポリプロピレンオキサイドブロック誘導体を添加させるようにしたものも提案されている。
【0010】
しかし、これらの公報に示される記録液の場合、記録液の吐出安定性は向上するが、記録媒体に対する記録液の定着性が低下するという問題があった。
【0011】
この結果、従来においては、記録媒体に対する記録液の定着性を高めると共に、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのを防止するということはできなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、インクジェットプリンター等のインクジェット記録装置や、ボールペン等の筆記具に使用される記録液における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、記録媒体に対する記録液の定着性を高めると共に、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのを防止することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明における記録液においては、上記のような課題を解決するため、少なくとも水性媒体と顔料と熱可塑性樹脂とを含む記録液において、上記の熱可塑性樹脂として、前記の化1に示す構造式(1),(2),(3)の重合体の共重合物を用いるようにしたのである。
【0014】
そして、この発明における記録液のように、上記のような共重合物を記録液に含有させると、炭素数が2〜5のエポキシ及び環状エーテル類から選択される少なくとも1種の開環重合体Aが結合された上記の構造式(1)に示す重合体が水溶性を有すると共に、この構造式(1)の重合体により構造式(2)のポリビニルアルコールの結晶性が緩和されて、この共重合物が適度な水溶性を有するようになり、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのが抑制されるようになる。また、この共重合物に含まれる上記の構造式(2)で表されるポリビニルアルコールにより、乾燥時において記録液が記録媒体に十分に定着されるようになる。
【0015】
ここで、上記の構造式(1)の重合体におけるAとして、炭素数が2〜5のエポキシ及び環状エーテル類から選択される少なくとも1種の開環重合体を用いるのは、この開環重合体に用いるエポキシ及び環状エーテル類の炭素数が多くなると、この構造式(1)の重合体による共重合物の水溶性が低下して、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まりやすくなるためである。
【0016】
そして、上記の炭素数が2〜5のエポキシ及び環状エーテル類としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができ、特に、この共重合物における構造式(2)のポリビニルアルコールの結晶性を低下させるためにはプロピレンオキサイドを、共重合物の水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドを、記録媒体に定着された記録液の耐摩擦性を高めるためにはテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0017】
また、上記の開環重合体の重合度が大きくなり過ぎると、重合体の分子間力が低下して、記録液の記録媒体に対する定着性が低下したり、固化しやすくなって記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まりやすくなるため、開環重合体Aの重合度の合計が50以下、好ましくは30以下になるようにする。
【0018】
また、上記の共重合物において、上記の構造式(3)に示すポリ酢酸ビニルの割合が多くなると、保存時にこのポリ酢酸ビニルが加水分解して酢酸による悪臭等が生じるため、上記の共重合物中における構造式(3)のポリ酢酸ビニルのモル比率が30%以下、好ましくは10%以下になるようにする。
【0019】
また、上記の共重合物において、構造式(2)に示すポリビニルアルコールの割合が多くなって、構造式(1)に示す重合体の割合が少なくなると、ポリビニルアルコールが結晶化しやすくなり、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まりやすくなる一方、構造式(2)に示すポリビニルアルコールの割合が少なくなって、構造式(1)に示す重合体の割合が多くなり過ぎると、記録液の記録媒体に対する定着性が低下するため、構造式(2)のポリビニルアルコールに対する構造式(1)の重合体の重量比を0.05〜0.5の範囲にすることが好ましい。
【0020】
ここで、上記のような共重合物を得るにあたっては、構造式(3)のポリ酢酸ビニルをケン化させて得たポリビニルアルコールに対し、上記の炭素数が2〜5のエポキシ及び環状エーテル類から選択される少なくとも1種を開環させて、これらの開環重合体を結合させるようにする。そして、このようにエポキシや環状エーテル類を開環させて、これらの開環重合体を結合させるにあたっては、一般に行われているように、加圧下においてアルカリ触媒を用いて反応させるようにする。
【0021】
そして、この発明における記録液においては、水性媒体に少なくとも顔料と上記の共重合物からなる熱可塑性樹脂を添加させ、例えば、ボールミル,ロールミル,ビーズミル等の分散機を用いてこれらを混練し、必要に応じて濾過機を通して粒径の大きな粒子を除去し、記録液中における粒子の粒径を調整させて、記録液を調製する。
【0022】
ここで、上記の水性媒体としては、水を単独で使用する他、水と水性の有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。
【0023】
そして、水と混合させる水性の有機溶媒としては、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール等の低級アルコール、エチレングリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール等のグリコール、グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリストール等の多価アルコール及びこれらのアルキルエーテル類、アセトン等のケトン類等を用いることができる。
【0024】
また、上記の顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料;アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ顔料やフタロシアニン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン等の多環式顔料等の有機顔料を用いることができる。
【0025】
ここで、上記のような顔料を水性媒体中に添加させる量については、その量が少ないと、記録液に十分な色彩が付与されない一方、その量が多くなりすぎると、顔料の分散が十分に行えなくなるため、一般に記録液中に顔料を1〜10重量%の範囲で加えるようにする。
【0026】
また、上記の共重合物からなる熱可塑性樹脂を添加させる量については、顔料に対して、通常は5〜150重量%の割合、好ましくは100重量%以下になるようにする。
【0027】
また、この発明における記録液においては、上記の共重合物からなる熱可塑性樹脂と水溶性樹脂とを併用することもでき、この水溶性樹脂としては、例えば、ヒドロキシセルロース、カルボキシセルロース、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ロジン、マレイン酸・(メタ)アクリル酸共重合物、スチレン・マレイン酸共重合物、スチレン・アクリル酸共重合物、スチレン・α−メチルスチレン・アクリル酸共重合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等を用いることができる。
【0028】
さらに、この発明における記録液においては、記録液の特性を向上させるために、例えば、防カビ剤、防腐剤、pH調整剤、キレート剤、酸素吸収剤、防錆剤、消光剤等を加えることもできる。
【0029】
【実施例】
以下、この発明の実施例に係る記録液について具体的に説明すると共に、この発明の実施例における記録液においては、インクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドからの吐出安定性が向上されるようになると共に、この記録液が記録媒体に十分に定着されるようになり、また保存安定性にも優れることを比較例を挙げて明らかにする。
【0030】
(実施例1〜6)
実施例1〜6においては、ケン化率が100%のポリビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05g加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをそれぞれ適当量吹き込んで、エチレンオキサイドの開環重合体とプロピレンオキサイドの開環重合体とをそれぞれ別に結合させた後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、それぞれ下記の化2に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0031】
【化2】
Figure 0003924988
【0032】
ここで、上記のようにして得た化2に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂において、zとx1とx2のモル比(z:x1:x2)、エチレンオキサイドの開環重合体の重合度l及びプロピレンオキサイドの開環重合体の重合度m、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、エチレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体とプロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体との合計重量(W2)との重量比(W2/W1)を下記の表1に示した。
【0033】
【表1】
Figure 0003924988
【0034】
そして、これらの実施例1〜6においては、容量200mlの容器内に、直径2mmのガラスビーズを40重量部、黒色顔料(デグサ社製:プリンテックス−35)を20.0重量部、顔料分散剤(ゼネカ社製:solseperse−27000)を1.6重量部、イオン交換水を40重量部の割合で加え、これらをペイントコンディショナーにより30分間混練した後、これに適量の水を加えて、上記の黒色顔料が分散された顔料分散液を得た。
【0035】
次いで、上記の顔料分散液を25重量部、グリセリンを5重量部、上記の共重合物をそれぞれ2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して実施例1〜6の各記録液を調製した。
【0036】
(実施例7〜9)
実施例7〜9においては、上記の実施例1と同様にして得た共重合物からなる熱可塑性樹脂を用いる一方、顔料として、実施例7では青色顔料(大日精化社製:クロモファインブルー)を、実施例8では赤色顔料(大日本インキ社製:スーパーマゼンダ)を、実施例9では黄色顔料(大日精化社製:クロモファインイエロー)を用いるようにし、それ以外については、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例7〜9の各記録液を調製した。
【0037】
(実施例10)
実施例10においては、ケン化率が100%のポリビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05g加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらプロピレンオキサイドを所定量吹き込んで、プロピレンオキサイドの開環重合体を結合させた後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、下記の化3に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0038】
【化3】
Figure 0003924988
【0039】
ここで、上記のようにして得た化3に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、zとxとのモル比(z:x)が1:0.03、プロピレンオキサイドの開環重合体の重合度mが2、ポリビニルアルコールの重量(W1)とプロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.1であった。
【0040】
そして、この実施例10においては、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して実施例10の記録液を調製した。
【0041】
(実施例11)
実施例11においては、ケン化率が約84%でポリ酢酸ビニルが残っているビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05g加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらプロピレンオキサイドを所定量吹き込んで、プロピレンオキサイドの開環重合体を結合させた後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、下記の化4に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0042】
【化4】
Figure 0003924988
【0043】
ここで、上記のようにして得た化4に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、zとxとyとのモル比(z:x:y)が1:0.05:0.2であり、プロピレンオキサイドの開環重合体の重合度mが2、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、プロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.09であった。
【0044】
そして、この実施例11においても、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して実施例11の記録液を調製した。
【0045】
(実施例12)
実施例12においては、ケン化率が100%のポリビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05gを加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらテトラヒドロフランを所定量吹き込んで、テトラヒドロフランの開環重合体を結合させた後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、下記の化5に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0046】
【化5】
Figure 0003924988
【0047】
ここで、上記のようにして得た化5に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、zとxとのモル比(z:x)が1:0.03、テトラヒドロフランの開環重合体の重合度nが1、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、テトラヒドロフランの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.07であった。
【0048】
そして、この実施例12においても、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して実施例12の記録液を調製した。
【0049】
(実施例13)
実施例13においては、ケン化率が100%のポリビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05g加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらエチレンオキサイドと適当量吹き込んで、エチレンオキサイドの開環重合体を結合させた後、さらにプロピレンオキサイドを適当量吹き込んで、エチレンオキサイドの開環重合体にプロピレンオキサイドの開環重合体を結合させ、その後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、下記の化6に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0050】
【化6】
Figure 0003924988
【0051】
ここで、上記のようにして得た化6に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、zとxとのモル比(z:x)が1:0.015、エチレンオキサイドの開環重合体の重合度lが25、プロピレンオキサイドの開環重合体の重合度mが5、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、エチレンオキサイドの開環重合体及びプロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.32であった。
【0052】
そして、この実施例13においても、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して実施例13の記録液を調製した。
【0053】
(比較例1)
比較例1においては、熱可塑性樹脂としてケン化率が100%で重合度が500のポリビニルアルコールを使用し、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対し、グリセリンを5重量部、上記のポリビニルアルコールを2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合させて比較例1の記録液を調製した。
【0054】
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例13の場合と同様に、ケン化率が100%のポリビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05g加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらエチレンオキサイドと適当量吹き込んで、エチレンオキサイドの開環重合体を結合させた後、さらにプロピレンオキサイドを適当量吹き込んで、エチレンオキサイドの開環重合体にプロピレンオキサイドの開環重合体を結合させ、その後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、上記の化6に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0055】
ここで、この比較例2において得た化6に示す2種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、zとxとのモル比(z:x)が1:0.001、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、エチレンオキサイドの開環重合体及びプロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.054であったが、エチレンオキサイドの開環重合体の重合度lが50、プロピレンオキサイドの開環重合体の重合度mが5で、両者の重合度の合計が50を越えていた。
【0056】
そして、この比較例2においても、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して比較例2の記録液を調製した。
【0057】
(比較例3)
比較例3においては、ケン化率が約68%でポリ酢酸ビニルが残っているビニルアルコール100gに、触媒である水酸化ナトリウムを0.05gを加えて150℃に加熱し、これを強く攪拌しながらプロピレンオキサイドを所定量吹き込んで、プロピレンオキサイとの開環重合体を結合させた後、これを水を用いて洗浄して触媒を除去し、前記の化4に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂を得た。
【0058】
ここで、この比較例3において得た化4に示す3種類の重合体の共重合物からなる熱可塑性樹脂においては、プロピレンオキサイドの開環重合体の重合度mが2、ポリビニルアルコールの重量(W1)と、プロピレンオキサイドの開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.084であったが、zとxとyとのモル比(z:x:y)が1:0.05:0.5で、y/(x+y+z)の値が0.3を越えていた。
【0059】
そして、この比較例3においても、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対して、グリセリンを5重量部、上記の共重合物を2重量部、イオン交換水を68重量部の割合で混合して比較例3の記録液を調製した。
【0060】
(比較例4)
比較例4においては、熱可塑性樹脂を用いないようにし、上記の実施例1〜6の場合と同様にして得た顔料分散液25重量部に対し、グリセリンを5重量部、イオン交換水を70重量部の割合で混合させて比較例4の記録液を調製した。
【0061】
次に、上記のようにして調製した実施例1〜13及び比較例1〜4の各記録液について、吐出安定性、耐摩擦性、耐水性及び保存安定性の評価を行い、その結果を下記の表2に示した。
【0062】
ここで、吐出安定性については、上記のようにして調製した実施例1〜13及び比較例1〜4の各記録液をそれぞれ市販のインクジェットプリンター(エプソン社製:PJ−510C)に使用し、A4サイズの普通紙1枚にアルファベットのA〜Zを繰り返して印字した後、上記のインクジェットプリンターを2週間放置し、再度A4サイズの普通紙3枚にアルファベットのA〜Zを繰り返して印字し、放置前の印字品位と2週間放置後の印字品位とを比較し、2週間放置後の1枚目に印字したものが放置前に印字したものと同等の印字品位であった場合を○、2週間放置後の2枚目に印字したものが放置前に印字したものと同等の印字品位であった場合を△、2週間放置後の3枚目に印字したものが放置前に印字したものと同等の印字品位或いはそれ以下の印字品位であった場合を×で示した。
【0063】
また、耐摩擦性については、A4サイズの普通紙にアルファベットのA〜Zを繰り返して印字した後、学振型摩擦堅牢度試験機を用い、荷重200gの条件でこの印字物を普通紙で10回こすり、印字物における記録液が普通紙に転移して、普通紙の表面が汚れる状態を目視により評価し、普通紙に記録液が転移しなかった場合を○、普通紙に記録液が若干転移した場合を△、普通紙に記録液が転移して汚れが目立った場合を×で示した。
【0064】
また、耐水性については、A4サイズの普通紙にアルファベットのA〜Zを繰り返して印字した印字物を水を含浸させた綿棒でこすり、この印字物における印字のにじみを目視により調べ、印字物の印字に変化がない場合を○、印字物の印字ににじみが若干認められた場合を△、印字物の印字の濃度が低下するまでにじんだ場合を×で示した。
【0065】
また、保存安定性については、上記のようにして調製した実施例1〜13及び比較例1〜4の各記録液をそれぞれ容量70mlの容器内に密封し、これらを40℃で1ヶ月保存した後における臭気を感応試験により調べ、ポリビニルアルコールの加水分解による酢酸臭がない場合を○、酢酸臭を若干感じる場合を△、酢酸臭を感じる場合を×で示した。
【0066】
【表2】
Figure 0003924988
【0067】
この結果から明らかなように、請求項1に示した条件を満たす共重合物からなる熱可塑性樹脂を含有させた実施例1〜13の各記録液は、熱可塑性樹脂としてポリビニルアルコールを含有させた比較例1の記録液や、共重合物中における開環重合体の重合度が50を越えた熱可塑性樹脂を含有させた比較例2の記録液に比べて、特にインクジェットプリンターからの記録液の吐出安定性が向上していた。また、ケン化率が低いビニルアルコールを用い、共重合物におけるポリ酢酸ビニルの割合が多くなった比較例3の記録液に比べて、保存安定性に優れ、保存時に臭気が発生するということも少なくなった。また、熱可塑性樹脂を含有させなかった比較例4の記録液に比べると、耐水性や耐摩耗性等の記録媒体に対する定着性が向上していた。
【0068】
また、実施例1〜13の各記録液を比較した場合、ポリビニルアルコールの重量(W1)と開環重合体が結合された重合体の重量(W2)との重量比(W2/W1)が0.05〜0.5の範囲になった実施例1〜4,7〜13の各記録液は、上記の重量比(W2/W1)が0.05未満になった実施例5の記録液に比べて吐出安定性が向上しており、また上記の重量比(W2/W1)が0.5を越える実施例6の記録液に比べて耐水性や耐摩耗性等の記録媒体に対する定着性が向上していた。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明における記録液においては、記録液中に前記の化1に示す構造式(1),(2),(3)の共重合物からなる熱可塑性樹脂を含有させるようにしたため、この共重合体により、記録液がインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドのノズルや筆記具のペン先等に詰まるのが抑制されて、安定した記録が行えるようになり、また乾燥時においてこの記録液が記録媒体に十分に定着されるようになり、さらに保存特性も向上し、保存時にポリ酢酸ビニルが加水分解して酢酸による悪臭等が生じるということもなかった。

Claims (3)

  1. 少なくとも水性媒体と顔料と熱可塑性樹脂とを含む記録液において、上記の熱可塑性樹脂に下記の化1に示す構造式(1),(2),(3)の重合体の共重合物を用いたことを特徴とする記録液。
    Figure 0003924988
    ここで、上記の構造式(1)中におけるAは、炭素数が2〜5のエポキシ及び環状エーテル類から選択される少なくとも1種の開環重合体で、かつその重合度の合計が1〜50の範囲である。また、上記の構造式(1),(2),(3)の共重合物におけるx,y,zのモル比が、0≦y/(x+y+z)≦0.3の条件を満たし、y≧0,x>0,z>0である
  2. 請求項1に記載した記録液において、上記の構造式(1)の重合体中におけるAが、エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド,テトラヒドロフランから選択される少なくとも1種の開環重合体であることを特徴とする記録液。
  3. 請求項1又は2に記載した記録液において、上記の共重合物中において、上記の構造式(2)のポリビニルアルコールに対する構造式(1)の重合体の重量比が0.05〜0.5の範囲であることを特徴とする記録液。
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