JP3924918B2 - 楕円型スピーカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車載用のスピーカ等に用いて好適な同軸型の楕円型スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から車載用のスピーカ装置の様に狭いスペース内に複数のスピーカ等を配設する場合にはコアキシャル型(以下同軸型と記す)の2ウエイシステム乃至3ウエイシステム等の複合同軸型スピーカと成されていた。この様に複合同軸型スピーカ構成とすることで1つのキャビネット内の異なった位置に高音用、中音用、低音用のスピーカを配設する場合に比較すれば、夫々の高、中、低帯域の音波が略低音用スピーカの中心位置から放射されるために音像定位等の指向特性は改善されていた。
【0003】
又、ウーハー等の低音用スピーカとしてはコーン型の振動板を楕円型とすることも広く行われてきている。この様な形状とすることは車載用等の限られたスペース内に複数のスピーカを配設しなければならない事情から同軸型及び振動板の楕円形状化が図られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した様に従来の低音用スピーカとしては楕円型の振動板が用いられ、この楕円型振動板の中心位置に同軸的に配置される中音用スピーカに用いる振動板は抄紙したコーン状の円型のものが用いられていた。
【0005】
この様な複合同軸型スピーカの場合各、低、中、高音用のスピーカのクロスオーバー周波数近傍で混変調歪が多く発生し、周波数特性曲線に多くの山谷を生じ、音質を低下させる問題があった。
【0006】
特に、上記した様にウーハー等の低音用スピーカが楕円型で、中音用スピーカが円型の振動板を有するものではウーハー等の楕円型の低音用スピーカの長軸方向から前方に放射される音波と短軸方向から前方に放射される音波は同軸上にある略円型の中音用スピーカのフレームを通して放射される為に、ウーハーの長軸方向と短軸方向とで位相差を生じ、これが歪となって、周波数特性を劣化させるだけでなく長軸方向及び短軸方向の指向特性が異なって来て、指向特性をも劣化させる問題があった。
【0007】
本発明は叙上の問題点を解消した楕円型スピーカを提供しようとするものであり、発明が解決しようとする課題は楕円型の低音用スピーカと振動板形状が相似の少なくとも中音用スピーカを同軸的に配設することで、ウーハー等の楕円型低音用スピーカの長軸方向及び短軸方向の指向特性の違いを無くす様にし、周波数特性の改善された同軸楕円型スピーカを得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の楕円型スピーカは楕円型の低音用のスピーカの中心位置に立設した軸上に中音用スピーカを配設させた複合同軸用の楕円型スピーカであって、低音用の楕円型スピーカの振動板の長軸方向の直径と短軸方向の直径との比と、中音用の楕円型スピーカの振動板の長軸方向の直径と短軸方向の直径との比とが同一になるように選定されたものである。
【0009】
本発明の楕円型スピーカによれば低音用スピーカの中心位置に立設した支柱上に同軸的に配設した中音用スピーカを低音用スピーカと同様の相似形状の楕円形としたので周波数特性及び指向特性の改善された車載型に適したスピーカを得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の楕円型スピーカの構成を図1の一部を断面とする側断面図及び図2の平面図によって説明する。
【0011】
図1及び図2に於いて、低音用スピーカ(以下ウーハーと記す)1Wとミドルレンジ周波数帯域の再生を行なう中音用スピーカ1Mは同軸構成と成されている。
【0012】
ウーハー1W及び中音用スピーカ1Mの磁気回路は例えば外磁型の構成と成された動電型スピーカであり、磁気回路及び振動系は寸法の大小以外は同一構成であるので以下、ウーハー側にはWのサフィックスを中音用スピーカにはMのサフィックスを付して同一部分には同一数字を付して説明する。
【0013】
図1で、2W,2Mは略円盤状に形成され、中心部に円柱状のセンタポール3W,3Mが立設された純鉄等のヨークであり、この円盤状のヨーク2W,2Mの上側にフェライト等のリング状のマグネット4W,4Mを接着剤等を介して接合し、更にマグネット4W,4Mの上側に純鉄等のリング状のプレート5W,5Mを同じく接着剤等を介して接合させる。
【0014】
ここで、センタポール3W,3Mの外径部とリング状のプレート5W,5Mの中心に穿った透孔の内径間に生ずる磁気空隙6W,6M間にボビン7W,7Mに巻回したボイスコイル8W,8Mが揺動自在に配設される。
【0015】
フレーム10W,10Mは合成樹脂材等でその外部開口部が図2に示す様に略楕円の長円状と成され、ウーハー1W用のフレーム10Wは上部の外部開口部は側断面が略L字状のフランジ部11Wと、略漏斗状に形成されたダンパの外径と略同一外径で、この外径を保持する段部を有する下側フレーム12Wより構成され、この下側フレーム12Wから放射状にフランジ11W方向に延設し、このフランジ11Wと一体化されたリブ13Wとで構成されている。
【0016】
一方、中音用のフレーム10Mは通常の楕円型スピーカのフレームと同様に開口部が楕円となる様に略漏斗状に合成樹脂で成形されている。
【0017】
従って、このフレーム10Mは長円型の漏斗形状と成され、ウーハー1Wの振動板と対向する下面には穴等を形成しない様に内側に配設する磁気回路や振動系の下側を囲繞する様に成されている。
【0018】
上述のフレーム10W及び10Mは夫々プレート5W及び5M上又はヨーク2M等にビス等で固定される。
【0019】
次に磁気空隙6W,6M内に円筒状の絶縁物より成るボビン7W,7Mに巻回したボイスコイル8W,8Mを配設し、略リング状で波形のコルゲーションを施した布等のダンパ13W,13Mをボビン7W,7Mの上部外径部に接合すると共にダンパ13W,13Mの外径部を下側フレーム12Wの段部及びフレーム10Mに形成した段部に接合して、ボビン7W,7M及びボイスコイル8W,8Mを含む振動系をフレーム10W,10Mに片持保持させる。
【0020】
次に開口部が略楕円形状に合成樹脂材で射出成型したコーン型の振動板14W,14Mの中心に穿った透孔の内径部をボビン7W,7Mの上部に接着剤等で接合し、ウーハー用の振動板14Wの外周部は、ゴム等で凸にリング状構成としたエッジ15Wを接合し、フレーム10Wのフランジ部11Wにエッジ15Wの外周を接合し、ガスケット16Wを介して固定する。
【0021】
又、中音用スピーカ1Mの振動板14Mはエッジと一体に合成樹脂を射出成型したフィックスエッジ型として、楕円形状でリング型に形成したガスケット16Mで振動板14Mの外周をフレーム10Mの最大開口部内周に保持する様に成される。
【0022】
上述の構成のウーハー1Wのセンタポール3W上にはビス等でアルミニウムを円柱状に成し、好ましくは放熱用のフィン等を形成させた支柱17を植立し、中音用スピーカ1Mのフレーム10Mの底面と支柱17の上面を固定させる。
【0023】
尚、ウーハー1Wの内径部と支柱17間には上下に振動可能なリング状のダストキャップ18Wを振動板14Wに接合し、中音用スピーカ1Mの中心位置には合成樹脂のドーム状のダストキャップ18Mを接合させてある。
【0024】
本発明の楕円型スピーカでは図3の同軸型の楕円型スピーカの説明図に示す様にウーハー1Wの振動板14Wの長軸方向の直径をLD1 、短軸方向の直径をSD1 とし、中音用スピーカ1Mの振動板14Mの長軸方向の直径をLD2、短軸方向の直径をSD2としたときに次の(1)式を満足する様にその形状を選択する。
【0025】
即ち、ウーハー1Wと中音用スピーカ1Mの振動板14W及び14Mの形状は互いに相似関係にあり、ウーハー1Wの中心軸上に中音用スピーカ1Mが配設される様にすることでウーハー1Wの振動板14Wの長軸方向と短軸方向から視た中音用スピーカ1Mの長軸方向と短軸方向が夫々に同じ比率になって長軸に対する短軸の比率差による位相差が生じないので長軸方向と短軸方向で指向特性に差を生ずることがなくなり、周波数特性上でのピーク及びディップを減少させることが出来て、周波数特性の改善を図ることが可能と成った。
【0026】
尚、上述でウーハー1Wと中音用スピーカ1Mの夫々の長軸及び短軸を相似とする場合は、ウーハー1Wの長軸方向の直径LD1及び短軸方向の直径SD1を夫々1とした場合に中音用スピーカ1Mの長軸方向の直径LD2及び短軸方向の直径SD 2 との夫々の比は1/2.5〜1/3の範囲に選択した場合に指向特性及び周波数特性は中音用スピーカ1Mが円型スピーカの場合に比べて、最も改善された。
【0027】
更に、本発明では中音用スピーカ1Mに用いる振動板14Mは合成樹脂材を射出成型し、例えばフイクスエッジ型の振動板をコーン状の楕円型と成し、その厚みを内径から外周に向かって順次薄くする様に成され、エッジ部分ではコンプライアンスを大きくし、中音域再生時の周波数特性でのデイプ及びピークを少なくすると共に内径部分で強度を強くして補強効果を高める様に成されている。
【0028】
上述の図1乃至図2で説明した楕円型スピーカでは同軸型の2ウエイスピーカシステムについて説明したが図4によって同軸型の3ウエイスピーカシステムを楕円スピーカで構成した場合について説明する。
【0029】
図4は本発明の楕円型の3ウエイスピーカシステムの平面図を示すもので、図2との対応部分には同一符号を付して重複説明を省略するも、本例では楕円型の低音用スピーカであるウーハー1Wの中心に同軸的に図1及び図2で説明したと同様の楕円型の中音用スピーカ1Mを配設すると共に、この楕円型の中音スピーカ1Mの振動板14Mの長軸方向の右側又は左側に第1の高音用スピーカ(以下第1のツイータと記す)1Hを配設したものである。
【0030】
図5は本発明の更に他の楕円型スピーカの平面図を示すものであり、図6は図4及び図5の楕円型スピーカのツイータ部のA−A′を断面とする矢視図を示すものである。
【0031】
図5及び図6の楕円型スピーカは図4の同軸型3ウエイスピーカシステムに更に第2の高音用スピーカ(以下第2のツイータと記す)1H′を配設し同軸型の4ウエイスピーカシステムとしたものである。
【0032】
図4に示した第1のツイータ1Hと、図5及び図6に示した第1のツイータ1H及び第2のツイータ1H′とは同一構成であるので図5及び図6を詳記することで図4のツイータ1Hも同時に説明する。
【0033】
図5及び図6に於いて、ウーハー1Wの中心軸に植立した支柱17上に固定した中音用スピーカ1Mの長軸方向の左右端に第1及び第2のツイータ1H及び1H′を配設したものである。
【0034】
この場合の中音用スピーカ1Mの磁気回路を下側から囲繞する様に漏斗状に構成した中音用スピーカ1Mのフレーム10Mは第1及び第2のツイータ1H及び1H′を保持するために第1及び第2のツイータ保持用のフレーム10H及び10H′と一体に構成されている。
【0035】
即ち、平面が略々楕円状に形成された中音用スピーカ1Mのフレームの長軸方向の左右端に図5に示す様にU字型の板状突出部から成る第1及び第2のツイータ1H及び1H′用のフレーム10H及び10H′を中音用スピーカ1Mのフレーム10Mの外周端から延設させる。
【0036】
これらフレーム10H及び10H′は図5に示す様に中心部に透孔20及び20′が穿たれた三つ巴型のツイータ1H及び1H′の振動板14H及び14H′の前面を保護する保護板21及び21′を打抜いた透孔22及び22′が穿たれ、中音用スピーカ1Mのガスケット16Mと一体に半円状に成型されたガスケット16H及び16H′と成され、全体の形状としては中音用スピーカ1Mの楕円状のガスケット16Mの長軸方向の左右端にU字状の突出部を形成し、この突出部に透孔22及び22′を形成した板材で構成されている。
【0037】
又、フレームも、中音用スピーカ1Mのフレーム10Mの開口部から延設した漏斗状のツイータ用フレーム10H及び10H′と成され、平面の全体的形状は上述の中音用スピーカ1Mのガスケット16M及びツイータ1H及び1H′のU字状ガスケットを含む略楕円型と成されている。
【0038】
更に、図6に示す様に、第1及び第2のツイータ1H及び1H′は略漏斗状に中音用スピーカ1Mのフレーム10Mと一体に合成樹脂で形成したフレーム10Hの底部に載置或は磁気回路23を固定すると共に合成樹脂を射出成型した振動板14H及び14H′の最大直径外周をフレーム10H及び10H′に形成した段部に保護板21及び21′と一体化したガスケット16H及び16H′を介して固定している。
【0039】
図6ではツイータ1H及び1H′は磁気回路23と振動板14H並びにダストキャップ18Hのみを示しているが磁気回路23内には図1のウーハー1Wと同一構造のマグネットやボイスコイルを含み、例えば動電型のスピーカ構成と成され、振動板は円型に構成されている。勿論、エッジはフィックドエッジと成されている。
【0040】
上記した図3及び図5並びに図6で示した構成ではツイータ1Hは又は/及び1H′は中音用スピーカ1M及びウーハー1Wの中心位置から偏芯した位置に置かれているのでウーハー1Wの周波数がツイータ1H及び1H′の周波数に影響を与えることがなく、又、図5では中音用スピーカ1Mとツイータ1H及び1H′とを一体としたフレーム10M及び10Hと10H′の平面形状を略楕円として、これらフレーム10M及び10Hと10H′の長軸及び短軸方向の比をウーハー1Wの振動板14Wの長軸及び短軸を夫々1とした時1/2.5〜1/3になる様に選択しているので、ウーハー及び中音用スピーカの指向特性をそこなうことのないものが得られた。更に図示しないが中音用スピーカ1Mの中心位置に楕円型の第1のツイータ1Hを同軸的に配設する様に構成することも可能である。尚、上述の各構成では楕円について説明したが長円であっても本発明が適用可能であることは明白である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の楕円型スピーカによれば楕円型のウーハーと相似の楕円型の中音用スピーカ或は必要に応じて楕円型のツイータを同軸的に配設したのでウーハーの振動板から視た長軸方向と短軸方向の距離が同じになり、位相差が出ず指向特性が改善され、周波数特性にピーク及びディップの少ない楕円型スピーカが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楕円型スピーカの一部を断面とする側断面図である。
【図2】本発明の楕円型スピーカの平面図である。
【図3】本発明の楕円型スピーカの振動板形状説明図である。
【図4】本発明の他の楕円型スピーカの平面図である。
【図5】本発明の更に他の楕円型スピーカの平面図である。
【図6】図4及び図5のA−A′断面矢視図である。
【符号の説明】
1W‥‥低音用スピーカ(ウーハー)、1M‥‥中音用スピーカ、1H,1H′‥‥高音用スピーカ(ツイータ)、4W,4M‥‥マグネット、14W,14M‥‥振動板、16W,16M‥‥ガスケット
Claims (2)
- 楕円型の低音用のスピーカの中心位置に立設した軸上に中音用スピーカを配設させた複合同軸用の楕円型スピーカであって、
前記低音用の楕円型スピーカの振動板の長軸方向の直径と短軸方向の直径との比と、前記中音用の楕円型スピーカの振動板の長軸方向の直径と短軸方向の直径との比とが同一になるように選定されたことを特徴とする楕円型スピーカ。 - 前記中音用スピーカのコーン型振動板を、合成樹脂を射出成形し、内周部から外周部に向かって順次、肉厚を薄くする様に成したことを特徴とする、請求項1記載の楕円型スピーカ。
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