JP3924443B2 - プリント基板の共振防止構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定されたプリント基板が共振して振動することを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図3、4に例示したような電子部品が実装されたプリント基板100には、所定の位置に複数のネジ孔110が設けられており、電子機器のケース120には、前記各ネジ孔110に対応する位置にそれぞれネジ孔130が設けられ、各ネジ孔に通したネジ140によって、前記プリント基板100は前記ケース120に固定されるように構成されている。
しかしながら、このような従来のプリント基板の固定構造によると、プリント基板をケースにネジ止め固定する際に、そのネジの数や締結位置が、プリント基板の回路(実装部品)によって制限されることがある。そのため領域rのように、電子部品の実装は無く、しかもネジ孔から離れた片持ち状態の部分が生ずる場合がある。このような片持ち状態の部分は外部の振動に共振しやすい状態になっている。
従って、前記ケース120と同一筐体内にスピーカ等の振動発生源が配設されている場合には、振動発生源からの振動がプリント基板を振動させ、その振動にプリント基板の一部(前記領域r)等が共振することで振幅が大きくなってハウリングを起こすことがある。このような共振が発生すると、プリント基板に実装されている電子部品の端子部や半田付け部に過大な応力が作用し、その部分の疲労、破損の原因となるという問題があった。
このようなハウリングの発生や、疲労、破損の原因となるプリント基板の共振を抑制するためには、スポンジやゴムや絶縁板等を使用したり、振動の影響を受ける部分、例えば振動の影響を受けやすいVCO部分に接着剤を流し込んで固定するなどの対策技術が用いられていた。また、実開平6−79193号公報に記載されているように、 ケース本体の開口部を蓋で覆ってなるケースと、外周縁を前記ケース本体と前記蓋との間に介装して前記ケース本体の内面に沿って設けられ内側面に基板挿入溝を形成した防水性・弾性・絶縁性を有する保持部材と、外周縁を前記基板挿入溝に挿入して前記ケース内に収納したプリント基板とを備えたプリント基板固定構造も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したような従来の対策技術では、対策用の部品が必要であったり、その対策用の部品を取り付けるという作業が別途必要となるという問題があった。
また、前記実開平6−79193号公報に記載されているプリント基板固定構造では、保持部材のみでプリント基板を保持している構造のため、経年変化等で保持部材が変形した場合には、プリント基板を安定して保持することが不可能となるという問題がある。また、組み立て作業時に、プリント基板が正確に保持部材の挿入溝に挿入されているか否かに注意する必要があるので、組み立て作業が非常に煩雑であるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、組み立て作業が簡単であって、効果が持続するような共振防止技術を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるプリント基板の共振防止構造は、電子機器のケースに固定され、電子部品が実装されたプリント基板の共振を防止する構造であって、
前記プリント基板には複数個所の基板側のネジ孔が設けられ、
前記プリント基板の各ネジ孔には、それぞれネジが差し込まれ、
そのネジは前記ケースの取付部に設けられた取付部側のネジ孔にそれぞれねじ込まれることによって、前記プリント基板が前記ケースに固定された構造において、
前記プリント基板の部分であって、固定のための基板側のネジ孔が無いために、片持ち状態の不安定な状態になって、外部からの振動を受けて共振しやすい領域に、ハンダ層を設けることによって、当該領域の質量を増やすと共に強度を増して補強することで、外部からの振動に共振しにくくしたことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
本発明では、少なくとも、プリント基板の固定時において共振しやすい部分にハンダ層を形成したので、前記ハンダ層によってプリント基板が補強されるとともに、プリント基板がたわみ難くなり、プリント基板が共振しにくくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるプリント基板の共振防止構造を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
プリント基板の固定状態の平面図を示した図1と、その断面図を示した図2において、1は本発明のひとつの実施形態のプリント基板の共振防止構造を備えたプリント基板であり、その表面には多数の電子部品D1,D2,D3,・・・が実装されている。
このプリント基板1には複数個所の基板側のネジ孔21,22,23,・・・が設けられており、各ネジ孔には、それぞれネジ31,32,33,・・・が差し込まれ、そのネジはケース4の取付部41,42,43,・・・に設けられた取付部側のネジ孔51,52,53,・・・にそれぞれねじ込まれることによって、プリント基板1は、当該電子機器Eのケース4に固定されている。
また、前記ケース4には図示しないスピーカも固定されている。
【0009】
そして、前記プリント基板1の領域Rにはハンダ層6が設けられている。前記領域Rは、他の領域に比較すると電子部品が配置されていないことと、固定のためのネジ孔が無いために、片持ち状態の不安定な状態になっているため外部からの振動を受けて共振しやすい領域になっている。このような共振しやすい領域Rに、ハンダ層6を設けることによって、当該領域Rの質量を増やすと共に強度を増して補強することで、外部からの振動に共振しにくくした。
【0010】
前記ハンダ層は、プリント基板上において電子部品の配置が少なく、固定用の基板側のネジ孔から離れた領域に設けることが効果的である。なお、図1に示した例では、ハンダ層は長方形状のものを2列に配列したが、1列でも3列以上でもよく、長方形状に限らず円形や不定形のものでもよい。また、前記ハンダ層は、プリント基板の片面だけでなく両面に設けてもよい。
【0011】
このようなハンダ層6を設けることによって、プリント基板1の共振を防止して振動を抑えることができるので、プリント基板1の振動による電子部品の端子部や半田付け部への過大な応力を防ぎ、その部分の疲労、破損を防止することが可能となったのである。
【0012】
以上のように効果的なハンダ層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、クリームハンダを塗布して加熱する方法でも、ディッピングによる方法でもよく、他の電子部品をハンダ付けする作業に並行して本発明にかかるハンダ層は効率よく形成されるので、格別の手間は要しない。
【0013】
【発明の効果】
本発明のプリント基板の共振防止構造によれば、少なくとも、プリント基板の固定時において、片持ち状態の不安定な状態になって共振しやすい部分にハンダ層を形成したので、その部分の共振を防止することができ振動の発生を抑制することができる。従って、プリント基板の振動に起因する電子部品の端子部や半田付け部の疲労や破損を防止することが可能となったのである。
しかも、ハンダ層は経年変化が少なく長期間に渡って上記効果を得ることができる。
さらに、ハンダ層を形成する手間は殆ど不要であるので、煩雑な作業を要することなく上記効果を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるプリント基板の共振防止構造の実施の形態の構成を示した平面図である。
【図2】 図1の側面断面図である。
【図3】 従来の一般的なプリント基板の例を示した平面図である。
【図4】 図3の側面断面図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
4 ケース
6 ハンダ層
E 電子機器
D1,D2,D3,・・・ 電子部品
R 共振しやすい部分
21,22 , 23 , ・・・ 基板側のネジ孔
31,32,33,・・・ ネジ
41,42,43,・・・ 取付部
51,52,53,・・・ 取付部側のネジ孔

Claims (1)

  1. 電子機器のケースに固定され、電子部品が実装されたプリント基板の共振を防止する構造であって、
    前記プリント基板には複数個所の基板側のネジ孔が設けられ、
    前記プリント基板の各ネジ孔には、それぞれネジが差し込まれ、
    そのネジは前記ケースの取付部に設けられた取付部側のネジ孔にそれぞれねじ込まれることによって、前記プリント基板が前記ケースに固定された構造において、
    前記プリント基板の部分であって、固定のための基板側のネジ孔が無いために、片持ち状態の不安定な状態になって、外部からの振動を受けて共振しやすい領域に、ハンダ層を設けることによって、当該領域の質量を増やすと共に強度を増して補強することで、外部からの振動に共振しにくくしたことを特徴とするプリント基板の共振防止構造。
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