JP3922954B2 - 固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素・酸素燃料電池は、反応生成物が水のみであるため、地球環境保全に貢献する発電システムとして注目されている。燃料電池の中でも、陽イオン交換膜を電解質として用いる固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、小型化が可能であるという特徴を有し、家庭用据置型電源、車載用電源、移動体用携帯電源等の用途に対して有望視されており、研究開発が進んでいる。
固体高分子形燃料電池電解質膜の高分子膜としては、通常、厚さ100μm〜200μmのプロトン伝導性陽イオン交換膜が用いられており、さらに、プロトン伝導性陽イオン交換膜としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の陽イオン交換膜が代表例として挙げられる。しかしながら、従来の陽イオン交換膜を用いた固体高分子形燃料電池では、実用上十分満足する程度の出力密度が得られなかった。
【0003】
固体高分子形燃料電池の出力密度をより高くする方法としては、例えば、イオン交換膜の電気抵抗を低下させる方法が挙げられ、さらに、陽イオン交換膜の電気抵抗を低下させる方法としては、例えば、膜厚を薄くする方法が挙げられる。
ところで、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換膜はイオン交換のために水の存在が不可欠であり、膜厚が厚いと(例えば、従来の厚さ100μm〜200μm)、プロトン伝導性陽イオン交換膜では膜内の水分管理が難しいという問題点がある。したがって、上述した膜厚を薄くする方法によれば、電気抵抗を低下させることが可能であること以外にも、膜中水分管理を容易にすることができるという利点を有している。
【0004】
その一方で、膜厚を薄くすることは、膜の機械的強度(引張強さ、破裂強さ、引裂強さ等)を低下させる上に、湿潤時の寸法安定性を低下させるなどの問題があった。したがって、乾燥状態では機械的強度が激減してクラックが発生しやすくなり、湿潤状態では極端に膨張する。さらに、膜をガス拡散電極と接合させる加工の際の加工性及び取り扱い性が低い等の問題があった。また、燃料電池に装着して発電する際に導入される水素や空気による外力に耐えられず、変形などを起こし、発電能力が低下するという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の問題を解決する方法として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)多孔フィルムにスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂を含浸する方法が提案されている(特公平5−75835号公報)。この方法では、膜厚を薄くして機械的強度を高めることができるものの、多孔フィルムの空隙率が低いので、イオン交換樹脂の含有量が不足し、陽イオン交換膜の電気抵抗が十分に低下しないという問題があった。
【0006】
また、陽イオン交換膜がフィブリル状、織布状、または不織布状のパーフルオロカーボン重合体で補強された陽イオン交換膜が提案されている(特開平6−231779号公報)。しかしながら、この陽イオン交換膜は、厚さが100μm〜200μmであり十分に薄いものではなく、電気抵抗を十分に低下させることができなかった。
【0007】
そこで、膜厚を薄くする方法として、フィブリル繊維径が1μm以下のフィブリル数が全フィブリル数の70%以上を占めることを特徴とするフルオロカーボン重合体のフィブリル繊維で補強された、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系陽イオン交換膜が提案されている(特開2001−345111号公報)。この陽イオン交換膜は、従来のパーフルオロカーボン系陽イオン交換膜と比較して、含水率、イオン交換容量が同等であり、引張破壊応力は高い。
しかしながら、この発明においても、なお問題点を有している。すなわち、永久ひずみを伴わない引張降伏応力は、シート状に押出成形する際の流れ方向(MD:縦方向)及びMDに垂直な方向(TD:横方向)ともに小さく、外力により容易に変形し復元しないという問題があった。これは、このフィブリル繊維補強陽イオン交換膜は、フィブリル繊維とイオン交換樹脂とを混練後、製膜及び加熱処理を行っているので、フィブリル繊維同士が固着していないためと考えられる。
本発明の目的は、機械的強度及び発電特性が共に優れた固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜は、フッ素繊維同士間が結合され、空隙率が55〜90%のフッ素繊維シートより補強され、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂からなる厚さが5〜95μmの陽イオン交換膜であり、
陽イオン交換膜は、縦方向及び横方向の引張降伏応力が、ともに12MPa以上であり、かつ、縦方向の引張降伏応力と横方向の引張降伏応力との比(縦方向の引張降伏応力/横方向の引張降伏応力)が、2.0以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電解質膜である。
また、本発明の固体高分子形燃料電地用電解質膜の製造方法は、上述した固体高分子形燃料電池用電解質膜を製造する方法であって、
フッ素繊維を湿式抄造してフッ素繊維抄紙シートを得る抄紙工程と、前記フッ素繊維抄紙シートを加熱してフッ素繊維シートを得る加熱工程と、前記フッ素繊維シートに、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂を一体化する一体化工程とを有することを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜(以下、電解質膜と略す)の一例について説明する。この電解質膜は、フッ素繊維シートより補強され、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂からなる陽イオン交換膜である。
【0010】
フッ素繊維シートは、フッ素繊維同士間が結合されたものであり、例えば、乾式不織布、湿式不織布、湿式抄造紙などを熱処理したものが挙げられる。中でも、通常、フッ素繊維シートとしては、フッ素繊維同士が熱融着により結合されたものが使用され、特に、結着剤を含有するフッ素繊維短繊維が湿式抄紙法によりシート化されたフッ素繊維抄紙シートを熱融着させるとともに、結着剤を熱分解により除去して得られたフッ素繊維シートが好ましい。なお、熱融着の方法としては、例えば、電気炉などの加熱炉による方法、熱カレンダーによる方法、ホットプレスによる方法が挙げられる。このようなフッ素繊維シートは、フッ素繊維抄紙シートは不規則方向に配向した短繊維状のフッ素繊維により構成され、繊維同士間が熱融着により結合されている構造を有しているため、引張降伏応力が大きく、繊維の配向性がより小さいため、補強電解質膜の方向性を小さくできる。そして、電解質膜の機械的強度を高めることができる。
【0011】
フッ素繊維シートに使用されるフッ素繊維としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)及びエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。上記の含フッ素繊維は1種類であるいは複数種類混合して使用することができる。このようなフッ素繊維は、耐薬品性、耐酸性が高く、電解質膜の補強材として用いた時、イオン交換樹脂中への不純物イオンの浸出が少ない。
上述したフッ素繊維の中でも、燃料電池運転時における長期安定性および耐熱性に優れるPTFE繊維を用いるのが好ましい。
【0012】
さらに、PTFE繊維としては、延伸または未延伸のPTFE微粒子をビスコース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの結着剤中に分散させ、この分散液を細孔から凝固浴に紡糸させて得られたものが好ましい。このような結着剤を含有するPTFE繊維では、PTFE繊維のシート化の際に、結着剤によって繊維間をより強固に結着できる。ここで、結着剤とは、自己接着機能を有する物質のことである。
上記延伸または未延伸のPTFE繊維を、適度な長さ、例えば、3〜15mmの長さに切断し、これを必要に応じてポリアクリルアミドなどの分散剤とともに水に分散してフッ素繊維抄紙シートの原料として用いることができる。
【0013】
また、使用されるフッ素繊維としては、フッ素繊維シートに要求される特性、具体的には、平均孔径、最大孔径やシート強度などによって、フィブリル化されている繊維、フィブリル化されていない繊維あるいはそれらの混合物を選択することができる。例えば、より強いシート強度を必要とする場合には、フィブリル化の程度を進めた繊維を使用することが好ましい。
また、フィブリル化されている繊維を用いる場合、そのフィブリル化の度合いは、フッ素繊維シートの平均孔径、最大孔径やシート強度などの関係で決定することが好ましい。繊維をフィブリル化する手段としては、例えば、一般的な叩解機であるボールミル、ビーター、ランペンミル、PFIミル、SDR(シングルディスクリファイナー)、DDR(ダブルディスクリファイナー)、その他のリファイナーなどを使用することができる。
【0014】
また、使用されるフッ素繊維の長さ、径などは、フッ素繊維シートにした際に、厚さが約100μm以下で均一であり、かつ、繊維が均一に分散し配向性が小さくなるように選択することが好ましい。
【0015】
フッ素繊維シートの空隙率は55〜90%である。空隙率が55〜90%であることにより、空隙の多い多孔質シートとなり、イオン交換樹脂をより多く含浸させることができ、プロトン伝導性をより高めることができる。例えば、空隙率が70%以上のフッ素繊維シートに、イオン交換容量が約1.0モル/kg乾燥重量程度のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂液を含浸させれば、0.7モル/kg乾燥重量以上のイオン交換容量を持つ陽イオン交換膜を得ることができる。
なお、空隙率が55%未満であると、イオン交換樹脂が不足し、イオン交換容量が不足することがある。また、空隙率が90%を超えると陽イオン交換膜の機械的強度が不十分となることがある。ここで、空隙率とは、フッ素繊維シート中の空間部の体積比率である。
【0016】
陽イオン交換膜は、そのイオン交換容量が0.7モル/kg乾燥重量〜1.3モル/kg乾燥重量である。イオン交換容量が0.7モル/kg乾燥重量より低い場合には、得られる陽イオン交換膜の電気抵抗が大きくなることがあり、1.3モル/kg乾燥重量より高い場合には、陽イオン交換膜の機械的強度が不十分となることがある。
【0017】
さらに、陽イオン交換膜において、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂は、そのスルホン酸基濃度、すなわちイオン交換容量が0.7モル/kg乾燥重量〜2.0モル/kg乾燥重量であることが好ましい。イオン交換容量が、0.7モル/kg乾燥重量より低い場合には得られる陽イオン交換膜の抵抗が大きくなることがあり、2.0モル/kg乾燥重量より高い場合には陽イオン交換膜の機械的強度が不十分となることがある。
なお、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂は、イオン伝導性が高いため、発電効率を高くできる。
【0018】
また、陽イオン交換膜の縦方向及び横方向の引張降伏応力が、ともに12MPa以上であり、かつ、縦方向の引張降伏応力と横方向の引張降伏応力との比(縦方向の引張降伏応力/横方向の引張降伏応力)が、2.0以下である。好ましくは、縦方向の引張降伏応力/横方向の引張降伏応力の比が限りなく1.0に近いことである。ここで、縦方向とは、シート状に成形した際の長尺方向(MD)のことであり、横方向とは、シート状に成形した際の幅方向、すなわち、長尺方向に対する垂直方向(TD)のことである。
なお、引張降伏応力が12MPa未満であると、加工時に傷みやすい上に、燃料電池に装着して発電する際に変形し、復元しにくい。また、縦方向の引張降伏応力/横方向の引張降伏応力の比が2.0を超えると、外力を受けた時、MDとTDの寸法変化が異なるため、膜が変形することがある。
【0019】
また、陽イオン交換膜は、厚さが5〜95μmであり、好ましくは10〜75μmであり、より好ましくは15〜65μmである。厚さが5μm未満の場合は、電解質膜の機械的強度が不十分となり、95μmを超えると、得られる電解質膜の電気抵抗が大きくなる。
【0020】
次に、本発明の電解質膜の製造方法の一例について説明する。この製造方法では、まず、抄紙工程において、結着剤を含有する規定量のフッ素繊維を水中で攪拌、混合し、好ましくは固形分濃度が0.5%以下になるように濃度調整したスラリーを、長網式、円網式、短網式などの湿式抄造機に供給する。そして、連続したワイヤメッシュを有する脱水パートで脱水し、加圧して搾水する。次いで、加熱して乾燥し、紙状で多孔性のフッ素繊維抄紙シートを得る。
ここで、フッ素繊維抄紙シートには、通常の製紙で用いられる各種の紙力増強剤、分散剤などの添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。
このような湿式抄造法で得られたフッ素繊維抄紙シートは、乾式法で製造された不織布と比較して、繊維の分散が均一で良好な地合を有するという優れた特徴を有している。
【0021】
次いで、加熱工程において、得られたフッ素繊維抄紙シートを電気炉で焼成する。焼成してフッ素繊維同士間を熱融着させるとともに、フッ素繊維中の結着剤を熱分解し、除去してフッ素繊維シートを作製する。
さらに、加熱工程と、後述する一体化工程との間に、不純物の混入量をより低減するためにフッ素繊維シートを洗浄し、乾燥する洗浄工程を有することが好ましい。
【0022】
次いで、一体化工程において、上述のようにして得られたフッ素繊維シートにイオン交換樹脂を一体化して電解質膜を得る。一体化する方法としては、フッ素繊維シートにイオン交換樹脂液を含浸する方法、フッ素繊維シートとイオン交換樹脂膜とを重ね、加圧して接着させる方法などが挙げられるが、密着性の点で含浸する方法が好ましい。
【0023】
フッ素繊維シートにイオン交換樹脂液を含浸する方法では、まず、フッ素繊維シートをメタノールに浸して真空脱気し、このフッ素繊維シートに、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂液を均一状態に含浸させて含浸シートを作製する。次いで、この含浸シートを25℃で二日間放置して溶媒を蒸発除去し、一体化して電解質膜を得る。
さらに、均一な所定厚さの電解質膜とするには、含浸シートを真空脱気しつつ、ホットプレス機で加熱加圧処理して成型することが好ましい。この方法では、真空脱気により膜中に存在する気泡が除去されるので、電気抵抗がより低くなり、強度がより向上する。また、加熱加圧処理により、膜の厚さが均一になるとともに、フッ素繊維シートとイオン交換樹脂との密着性がさらに向上する。
【0024】
所望の膜厚、イオン交換容量、強度等の特性を持った陽イオン交換膜を得るためには、フッ素繊維シートの種類(厚さ、空隙率、フィブリル化の程度等)、パーフルオロカーボン系イオン交換樹脂溶液の濃度、含浸量や加熱処理条件等を適宜制御することによって達成することができる。
【0025】
なお、上述した製造方法では、抄紙工程において、結着剤を含有するフッ素繊維を湿式抄造法により抄造してフッ素繊維抄紙シートを得たが、本発明はこれに限定されず、例えば、乾式法などによりフッ素繊維シートを得てもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
まず、抄紙工程において、ビスコースを結着剤マトリックスとしたPTFE粉末の分散体から得られた未延伸のPTFE繊維(東レ・ファインケミカル社製 商品名;トヨフロン、繊維径15μm)を6mmの長さに切断した。次いで、この6mmのPTFE繊維を水に分散して得た抄紙原料を、円網抄紙機に供給し、湿式抄造してフッ素繊維抄紙シートを作製した。
次いで、加熱工程において、このフッ素繊維抄紙シートを400℃で4分間加熱処理して焼成させ、繊維同士間を結合させるとともに、ビスコースを熱分解させ、さらに325℃で24時間熱処理して重量が40g/m2、厚さが50μmの焼成フッ素繊維シートを得た(空隙率63.6%)。
次いで、一体化工程において、メタノール溶液中で10分間真空脱気された、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂液(デュポン社製、商品名ナフィオン、5重量%液)を、焼成フッ素繊維シート中に含浸させ、25℃で二日間放置して溶媒を蒸発除去した。次いで、溶媒除去後のシートを、真空脱気しながらホットプレス機で温度140℃、圧力5MPaの条件下で20分間(昇温10分、保持10分)、加熱処理して厚さ50μmの陽イオン交換膜を作製した。
【0027】
<実施例2>
実施例1と同じPTFE繊維(未叩解繊維)と、このPTFE繊維を叩解して、ろ水度(JIS P 8121に準拠して測定)が300mlにフィブリル化したもの(叩解繊維)とを用意した。次いで、未叩解繊維50重量%及び叩解繊維50重量%を水に分散させて得た抄紙原料を、円網抄紙機に供給し、湿式抄紙してフッ素繊維抄紙シートを作製した。この後の加熱工程はすべて実施例1と同様に行って、重量が20g/m2、厚さが22μmの焼成フッ素繊維シートを得た(空隙率58.7%)。次いで、一体化工程を実施例1と同様にして行って、厚さが20μmの陽イオン交換膜を作製した。
【0028】
<実施例3>
実施例1と同様にして得た焼成フッ素繊維シートを、縦方向に一軸延伸処理したシートに、実施例1の一体化工程と同様の手順でスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂溶液を含浸させ、厚さ50μmの陽イオン交換膜を作製した。
【0029】
<比較例1>
フッ素繊維シートを用いず、実施例1で用いたスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂溶液のみをキャストし、25℃で二日間放置して溶媒を蒸発除去した後、ホットプレス機で実施例1と同様の加熱処理を施して厚さ50μmの陽イオン交換膜を作製した。
<比較例2>
比較例1と同様の手順により厚さ20μmの陽イオン交換膜を作製した。
<比較例3>
市販の陽イオン交換膜(旭硝子社製、商品名:フレミオン、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体をPEFEフィブリルで補強したもの)である。
【0030】
<評価結果>
実施例、比較例の陽イオン交換膜を後述する評価方法により評価した結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003922954
【0032】
<評価方法>
(1)引張降伏応力:実施例、比較例の陽イオン交換膜についてJIS K 7161に準拠し引張降伏応力を測定した。測定環境:25℃、65%RH。測定機:島津製作所製AG5000D。試料チャック間スパン:10mm。引張速度:50mm/min。
(2)イオン交換容量: 実施例、比較例の陽イオン交換膜を1Nの水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬させた後、1Nの塩酸水溶液に24時間浸漬させた。次いで、水洗いした後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬させ、水素イオンを溶液中に浸出させた。この溶液を水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定してイオン交換容量を算出した。
【0033】
表1に示すように、実施例1及び実施例2の陽イオン交換膜では、繊維同士が結合されたフッ素繊維シートで補強されているので、縦方向、横方向のいずれにおいても12MPa以上の引張降伏応力を有していた。
実施例3の陽イオン交換膜では、1軸延伸方向である縦方向の引張降伏応力は極めて優れており、縦方向と横方向の平均としては、実施例1及び実施例2と同等であった。
一方、比較例1及び比較例2の陽イオン交換膜では、フッ素繊維シートで補強していないので、引張降伏応力が低かった。また、比較例3の陽イオン交換膜では、フッ素繊維同士が結合されていないので補強効果が弱く、引張降伏応力が低かった。
【0034】
また、実施例1〜3の陽イオン交換膜では、フッ素繊維シートを補強材として内包しているにもかかわらず、パーフルオロカーボン系イオン交換樹脂のみで構成される比較例1及び比較例2の陽イオン交換膜並びにPTFEフィブリルで補強した比較例3の陽イオン交換膜と略同等のイオン交換容量を保持していた。
これら実施例1〜3の陽イオン交換膜のイオン交換容量は、好ましい範囲である0.7モル/kg乾燥重量〜1.3モル/kg乾燥重量の間にあり、十分なイオン交換容量を有していた。
【0035】
【発明の効果】
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜では、フッ素繊維同士間が結合されたフッ素繊維シートより補強され、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂からなる陽イオン交換膜であるため、厚さが5〜95μmと薄いにもかかわらず、機械的強度に優れており、外力による変形を防止できる。それとともに、厚さが5〜95μmと薄いため、電気抵抗が小さく、発電効率が高い。
また、本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法では、抄紙工程で得られたフッ素繊維抄紙シートの繊維が、加熱工程において熱融着するので、繊維同士間が結合されたフッ素繊維シートを得ることができる。さらに、一体化工程において、フッ素繊維シートに、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂を一体化するので、上述した固体高分子形燃料電池用電解質膜を得ることができる。

Claims (5)

  1. フッ素繊維同士間が結合され、空隙率が55〜90%のフッ素繊維シートより補強され、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂からなる厚さが5〜95μmの陽イオン交換膜である固体高分子形燃料電池用電解質膜であって、
    前記陽イオン交換膜は、イオン交換容量が0.7〜1.3モル/kg乾燥重量であり、縦方向及び横方向の引張降伏応力が、ともに12MPa以上であり、かつ、縦方向の引張降伏応力と横方向の引張降伏応力との比(縦方向の引張降伏応力/横方向の引張降伏応力)が、2.0以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電解質膜。
  2. 請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜を製造する方法であって、
    フッ素繊維を湿式抄造してフッ素繊維抄紙シートを得る抄紙工程と、
    前記フッ素繊維抄紙シートを加熱して繊維同士間が熱融着したフッ素繊維シートを得る加熱工程と、
    前記フッ素繊維シートに、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂を一体化する一体化工程とを有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法。
  3. 前記抄紙工程では、結着剤を含有するフッ素繊維を湿式抄造法により抄造することを特徴とする請求項に記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法。
  4. 前記加熱工程と前記一体化工程との間に、フッ素繊維シートを洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項またはに記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法。
  5. 前記一体化工程では、フッ素繊維シートに、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂液を含浸させた含浸シートを作製し、この含浸シートを真空脱気しつつ加熱加圧して厚さ5〜95μmに成型することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法。
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