JP3922929B2 - プレストレストコンクリート版の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プレストレストコンクリート版の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレストレストコンクリート版は、鋼線、鋼撚り線、鋼棒等のPC鋼材を型枠内に配筋し、これらのPC鋼材に引張力を負荷した状態で、型枠内にコンクリートを打設することにより製造されている。
【0003】
このようなプレストレストコンクリート版の製造装置としては、例えば、特開昭63−284367号公報に記載されたものがある。この製造装置は、図3に示すように、型枠を兼ねる一対の側板51の両端に、型枠内に配筋される複数のPC鋼材52の仮定着梁53a、53bを取り付け、一方の仮定着梁53bの後面側に2個の油圧ジャッキ54を取り付け、これらの油圧ジャッキ54に牽引梁55を連結したものである。各側板51間には型枠の両端板56が差し渡されている。
【0004】
前記各PC鋼材52は、一端側を仮定着梁53aに固定され、他端側を連結金具57とねじ棒58を介して牽引梁55に連結されており、各油圧ジャッキ54による牽引梁55の押圧で引張力を負荷される。各油圧ジャッキ54の押圧力が所定の値となったときに、各PC鋼材52に連結されたねじ棒58が、ナット59の締め付けで仮定着梁53bに固定され、各PC鋼材52の引張力が所定のレベルに維持される。こののち、各油圧ジャッキ54と牽引梁55を取り外し、側板51と端板56で形成される型枠内にコンクリートを打設することにより、プレストレストコンクリート版を製造している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなプレストレストコンクリート版の製造装置では、図4に模式的に示すように、2個の油圧ジャッキ54で押圧される牽引梁55が、各PC鋼材52の引張力の反力により撓みを生じ、各油圧ジャッキ54の軸心が僅かに傾く。このため、油圧ジャッキ54の牽引梁55と固定部である仮定着梁53bへの各取り付け部にモーメントが作用し、このモーメントにより各取り付け部のボルト60、61の一部に引張力が負荷され、これらのボルト60、61が破断する恐れがある。
【0006】
図3に示した製造装置では、2個の油圧ジャッキ54が牽引梁55の両端部ではなく、やや中央寄りに取り付けられているが、PC鋼材52を自由に配筋するためには、各油圧ジャッキ54を牽引梁55の両端部に取り付けることが望ましい。このような場合は、油圧ジャッキ54間のスパンが長くなるので、牽引梁55の撓みもより大きくなり、各ボルト60、61が破断する危険性が増大する。
【0007】
なお、油圧ジャッキ54の個数を増やせば、牽引梁55の撓みは減少するが、油圧ジャッキ54の個数の増加は、PC鋼材52の自由な配筋を阻害するのみでなく、コストアップともなるので、通常は油圧ジャッキ54を2個としたものが多い。
【0008】
そこで、この発明の課題は、PC鋼材に引張力を負荷する油圧ジャッキの取り付けボルトの引張破断を防止することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、コンクリートが打設される型枠の両側に、型枠内に配筋されるPC鋼材の一端側を固定する固定梁と、PC鋼材の他端側を牽引する牽引梁とを互いに対向させて配置し、前記牽引梁を固定部との間に取り付けられた複数の油圧ジャッキで、前記固定梁と離反する方向に押圧して、前記PC鋼材に引張力を負荷するプレストレストコンクリート版の製造装置において、前記各油圧ジャッキを、前記固定部と牽引梁を含む面と垂直なピンの回りに回転するピン継手を介して前記固定部または牽引梁に取り付けた構成を採用したものである。
【0010】
すなわち、PC鋼材に引張力を負荷する油圧ジャッキを、前記固定部と牽引梁を含む面と垂直なピンの回りに回転するピン継手を介して取り付けることにより、牽引梁の撓みで油圧ジャッキの軸心が傾いても、この傾きに応じてピン継手が回転して、油圧ジャッキの取り付け部にモーメントが作用しないようにし、取り付け部のボルトに引張力が負荷されず、ボルトが破断しないようにした。
【0011】
前記固定梁と前記各油圧ジャッキが取り付けられる固定部とを一体の鋼製フレームとし、前記製造装置をこの鋼製フレームごと可搬式のものとすることにより、プレストレストコンクリート版を施工現場で製造して、その施工現場への運搬を不要とし、運搬困難な大きさや重さのプレストレストコンクリート版の運搬上の問題を解消することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1に示すように、このプレストレストコンクリート版の製造装置は、コンクリートが打設される矩形状の型枠1の外周側に、一対の柱部材2の両端に一対の梁部材3a、3bを組み付けた矩形状の鋼製フレーム4を配置し、固定部である梁部材3bの後面側に、2個の油圧ジャッキ5をピン継手6を介して取り付け、これらの油圧ジャッキ5に牽引梁7を連結したものである。
【0013】
前記牽引梁7は取り外し可能であり、分解された油圧ジャッキ5、牽引梁7、鋼製フレーム4等を施工現場に運搬して組み立てることができる。この鋼製フレーム4は組立式になっており、柱部材2と各梁部材3a、3bとに分解した状態で運搬し、施工現場で組み立てることができる。なお、鋼製フレーム4が運搬車両に載るような小寸法のものである場合は、そのまま運搬してもよい。
【0014】
前記型枠1内に配筋されるPC鋼材8は、一端側が固定梁としての梁部材3aに定着具9で固定され、他端側が梁部材3bに設けられた貫通孔(図示省略)を通して牽引梁7に定着具10で固定されており、各油圧ジャッキ5で牽引梁7を梁部材3aと離反する方向に押圧することにより、引張力を負荷される。
【0015】
図2に拡大して示すように、前記油圧ジャッキ5は基端側をボルト11で牽引梁7に取り付けられ、そのロッド先端に設けられたクレビス6aと、梁部材3bにボルト12で取り付けられた金具13に設けられたピン6bとでピン継手6が形成されている。各ボルト11、12は、いずれも4本ずつ設けられている。
【0016】
したがって、前述したように、PC鋼材8の引張力の反力により牽引梁7に撓みが生じ、油圧ジャッキ5の軸心が傾いても、この傾きに応じてピン継手6が回転するので、油圧ジャッキ5の牽引梁7への取り付け部と、ピン継手6を介した梁部材3bへの取り付け部にモーメントが作用することはなく、これらの取り付け部の各ボルト11、12が引張破断することもない。
【0017】
上述した各実施形態では、油圧ジャッキの基端側を牽引梁に、先端側をピン継手を介して固定部である梁部材に取り付けたが、これとは逆向きに油圧ジャッキを取り付けてもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、この発明のプレストレストコンクリート版の製造装置は、PC鋼材に引張力を負荷する油圧ジャッキを、固定部と牽引梁を含む面と垂直なピンの回りに回転するピン継手を介して固定部に取り付け、牽引梁の撓みで油圧ジャッキの軸心が傾いても、この傾きに応じてピン継手が回転し、油圧ジャッキの各取り付け部にモーメントが作用しないようにしたので、これらの取り付け部のボルトの一部に引張力が負荷されることがなく、ボルトの引張破断を防止することができる。
【0019】
また、前記固定梁と前記各油圧ジャッキが取り付けられる固定部とを一体の鋼製フレームに設け、製造装置をこの鋼製フレームごと可搬式のものとすることにより、プレストレストコンクリート版を施工現場で製造して、その施工現場への運搬を不要とし、運搬困難な大きさや重さのプレストレストコンクリート版の運搬上の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレストレストコンクリート版の製造装置の実施形態を示す一部省略平面図
【図2】図1の要部拡大平面図
【図3】従来のプレストレストコンクリート版の製造装置を示す一部省略平面図
【図4】牽引梁の撓みを説明する模式図
【符号の説明】
1 型枠
2 柱部材
3a、3b 梁部材
4 鋼製フレーム
5 油圧ジャッキ
6 ピン継手
6a クレビス
6b ピン
7 牽引梁
8 PC鋼材
9、10 定着具
11、12 ボルト
13 金具
Claims (2)
- コンクリートが打設される型枠の両側に、型枠内に配筋されるPC鋼材の一端側を固定する固定梁と、PC鋼材の他端側を牽引する牽引梁とを互いに対向させて配置し、前記牽引梁を固定部との間に取り付けられた複数の油圧ジャッキで、前記固定梁と離反する方向に押圧して、前記PC鋼材に引張力を負荷するプレストレストコンクリート版の製造装置において、前記各油圧ジャッキを、前記固定部と牽引梁を含む面と垂直なピンの回りに回転するピン継手を介して前記固定部または牽引梁に取り付けたことを特徴とするプレストレストコンクリート版の製造装置。
- 前記固定梁と前記各油圧ジャッキが取り付けられる固定部とを一体の鋼製フレームとし、前記製造装置をこの鋼製フレームごと可搬式のものとした請求項1に記載のプレストレストコンクリート版の製造装置。
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