JP3922659B2 - ゴキブリ用エアゾール剤 - Google Patents
ゴキブリ用エアゾール剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3922659B2 JP3922659B2 JP09091097A JP9091097A JP3922659B2 JP 3922659 B2 JP3922659 B2 JP 3922659B2 JP 09091097 A JP09091097 A JP 09091097A JP 9091097 A JP9091097 A JP 9091097A JP 3922659 B2 JP3922659 B2 JP 3922659B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aerosol
- solvent
- injection
- cockroach
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
- Catching Or Destruction (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴキブリを防除するエアゾール剤、詳しくは、エアゾール剤を噴射した後のゴキブリの移動距離を顕著に抑制でき、且つ優れた殺虫効果を有するゴキブリ用エアゾール剤に関する。
【0002】
【従来技術】
ゴキブリを防除する為に用いられる製剤の1つとしてエアゾールが挙げられる。エアゾールは従来から広く知られており、その使用が簡単であることから商品としても多くが上市されている。そしてこれらはその効力を高めるための手段について様々な検討がなされており、例えば、殺虫効力の強い殺虫剤を有効成分として用いたり、殺虫剤を含む原液の組成物について検討したり、噴射量を調整するなどが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ゴキブリに対するエアゾールの効果は、常に使用者の満足できるものとは限らず、ゴキブリの殺虫剤に対する抵抗性の発生、生活環境の変化、さらには法律上の規制などによって変化している。その為に、従来より優れたエアゾールの開発がしばしば望まれている。
例えば、ゴキブリは、俊敏性が高く、更に殺虫剤に対する抵抗性が発生しやすいことから、エアゾール剤を噴射しても、暫く移動してしまう。これに対して多くの使用者は、ゴキブリがノックダウンするまで更に繰り返しエアゾール剤を噴射することになる。このように繰り返し噴射すると、エアゾール剤を無駄に使用することになるばかりか、使用者の生活環境をも悪化させてしまう。
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点を解決した従来より優れた新たなゴキブリ用エアゾール剤を提供することにある。
本発明の更なる目的は、エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離を抑制でき、それによってエアゾール剤の無駄な使用を減らすことができ且つ環境衛生上好ましく、更に殺虫効果が優れるゴキブリ用エアゾール剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記の特定の構成のゴキブリ用エアゾール剤によって上記の目的を達成することを見いだし、本発明に到達した。
(1)殺虫剤と溶剤を含む原液と、液化石油ガス、ジメチルエーテルまたは液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合物からなる噴射剤とを含有し、原液と噴射剤との割合(v/v)が1:3〜1:5であり、エアゾール剤全体の噴射量が20〜100ml/10秒で、かつ、溶剤の噴射量が4.0〜10ml/10秒で噴射されることを特徴とするゴキブリ用エアゾール剤。
(2)噴射剤が液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合物であり、エアゾール剤全体の噴射量が27〜45ml/10秒で、かつ、溶剤の噴射量が6〜10ml/10秒であることを特徴とする上記(1)記載のゴキブリ用エアゾール剤。
【0006】
本発明は、ゴキブリ用エアゾール剤において特定の噴射剤を用い、更に原液と噴射剤の割合(v/v)を特定の範囲に設定し、且つエアゾール剤全体の噴射量を20〜100ml/10秒とし、原液に含まれる溶剤の噴射量を4.0〜10ml/10秒とすることにより、エアゾール剤をゴキブリに対して噴射処理した場所からのゴキブリの移動を顕著に抑制する効果を有し、且つ優れた殺虫効果を発揮するゴキブリ用エアゾール剤を提供することができる。
具体的には、本発明のゴキブリ用エアゾール剤をゴキブリに向かって噴射すると、ゴキブリをその場からほとんど移動することなくその活動を停止させることができ、且つ有効に殺虫することができる。
【0007】
前述の如く、従来のゴキブリ用エアゾールでは、噴射処理をしてもその場所からゴキブリがあちこちに移動するので、その活動が停止するまでエアゾール剤の噴射を続けてしまう。
しかしながら、本発明においては、ゴキブリ用エアゾール剤をゴキブリに対して噴射処理した場所からのゴキブリの移動を抑制することができるので、噴射する回数を減らすことができ、エアゾール剤の消費を少なくでき、無駄をなくすことができる。そして効果的にゴキブリをノックダウンさせることができるので、周囲環境へ噴射するエアゾール剤の量が適正となり、人の生活環境の汚染を抑制できるという有用性がもたらされる。
【0008】
ゴキブリ用エアゾール剤において、特定の噴射剤を用い、更に殺虫剤の量を増やすことなく原液中の溶剤の量を従来よりも増やし、原液と噴射剤との割合〔v/v(容量/容量)〕を1:3〜1:5に調整し、エアゾール剤を噴射した際のエアゾール剤全体の噴射量を20〜100ml/10秒、溶剤の噴射量を4.0〜10ml/10秒とすることにより、噴射された原液中の殺虫剤と所定量の溶剤が有効に相互作用し、ゴキブリに対して相乗効果的に作用して、素早く且つ効果的にゴキブリをノックダウンさせることができ、且つ優れた殺虫効果を発現させることができたものと考えられる。
本発明の効果において、上記エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離の抑制効果は、単なる殺虫効果とは異質のものである(即ち、殺虫効果が優れたものでも、エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離の抑制効果が良くなるとは限らない)。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における殺虫剤と溶剤を含む原液と噴射剤との割合(v/v)は、1:3〜1:5となるように調整すればよい。
本発明において、前記割合(v/v)が1:3未満であると、エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離の抑制効果が不十分となる。また、前記割合(v/v)が1:5を越えると、エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離の抑制効果が不十分となる。更に十分な殺虫効果を得られないことがある。
【0010】
本発明のゴキブリ用エアゾール剤はそれを噴射した際の溶剤の噴射量が4.0ml/10秒以上となる。ここで、溶剤の噴射量としては、5.0ml/10秒以上が好ましく、より好ましくは6.0ml/10秒以上である。溶剤の噴射量としては、上限としては、本発明の効果が奏されている量であれば特に制限はされないが、好ましくは10.0ml/10秒程度である。溶剤の噴射量が4.0ml/10秒未満であると、エアゾール剤噴射後のゴキブリの移動距離の抑制効果、更に殺虫効果が不十分となる。
【0011】
更に、本発明のゴキブリ用エアゾール剤は、エアゾール剤全体の噴射量が20〜100ml/10秒、好ましくは25〜70ml/10秒である大量噴射型である。これにより本発明の効果がより有効に発現されるようになる。
上記の溶剤及びエアゾール剤全体の噴射量は10秒あたりに噴射される量を意味し、エアゾール剤を10秒間噴射し、その間に噴射された溶剤又は噴射物の量を測定することにより得られる。
このような大量噴射を可能とするための手段としては、目的とする噴射が可能となるバルブ孔径やボタン孔径を選択したり、噴射圧を調整するなどの手段があるが本発明にいう大量噴射が可能となる手段を選べばよい。
【0012】
本発明において、原液と噴射剤との特定の割合(v/v)、溶剤の噴射量及び大量噴射型と、本発明の効果との関係を本発明の具体例を挙げて更に説明すれば次のとおりである。
(A)殺虫剤を0.5グラム含む原液50ml(溶剤でトータル50mlとする)と噴射剤250mlとを充填した大量噴射型エアゾール〔原液と噴射剤との割合(容量)、1:5.00〕。
(B)殺虫剤を0.5グラム含む原液70ml(溶剤でトータル70mlとする)と噴射剤230mlとを充填した大量噴射型エアゾール〔原液と噴射剤との割合(容量)、1:3.33〕。
【0013】
上記(A)と(B)のエアゾールは、本発明における効果を比べたときに、その噴射量が同じで(例えばどちらも従来のものより3倍程度増大された大量噴射型)、エアゾール剤中の殺虫剤の量が同じであっても、(B)の方が(A)より優れたものとなる。即ち、原液中の溶剤の量を増やして噴射剤に対する原液の割合を特定量増やすことで、溶剤の噴射量がより多くなり、本発明の効果をさらに増大させることができる。
また上記(A)のエアゾールにおいて、噴射量を増大させた(例えば5倍程度に)大量噴射型エアゾールを(C)とした時、(A)に比して(C)の噴射量がより多くなり、効果はより優れたものとなる。本発明においては、噴射量が大きいほうが好ましい。
【0014】
本発明においては、有効成分である殺虫剤の量は増やさず、従来のゴキブリ用エアゾールと比較して噴射後の雰囲気中の有効成分である殺虫剤の気中濃度は殆ど同じであるにもかかわらず、上記のように噴射後のゴキブリの移動距離を著しく抑制でき、且つその殺虫効果も優れる。
このことを具体的に説明する。
後述の実施例のサンプル2と、後述の比較例1のサンプルとを用い、その噴射空間内の殺虫剤(イミプロトリン)の濃度を求めた。
(測定方法)
容積33m2 (3.5m×3.5m×2.7m)のチャンバーに、壁から距離1m、高さ1mの位置に、内部にシリカゲル約3gが入ったサンプリング管(直径15mm、長さ10cm)を取り付ける。
このチャンバーの壁から0.5m、高さ0.5mの位置より、上記各サンプルを、チャンバー内の床と壁の角に向かって所定時間噴射した。尚、噴射時間は、殺虫剤が噴射される量を両サンプルにおいて同じになるように設定した。
上記サンプリング管の位置より、15リットル/分で、チャンバー内の空気を3分間吸入して、チャンバー内の空気中の噴霧粒子をシリカゲルの入ったサンプリング管で均一にトラップする。
【0015】
サンプリングは、噴射直後より所定の間隔で、20分間まで行い、シリカゲルにトラップした殺虫剤を、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行い、次式により1m3 あたりの殺虫剤の濃度を求めた。
殺虫剤の気中濃度(μg/m3 )=殺虫剤分析値(μg)/〔サンプリング流量(リットル/分)×吸引時間(分)×1000〕
【0016】
尚、各々のサンプルにおいて2回の測定を行い、その平均値をグラフにしたものを図1に示す。図1は、噴射後の時間と各々のサンプルの噴射後の殺虫剤の噴射空間内の気中濃度の関係を示すグラフである。図1をみると明らかなように、本発明に従う実施例のサンプル2と比較例1のサンプルとでは、有効成分である殺虫剤の気中濃度は殆ど同じであった。
従って、このように噴射後の雰囲気中の有効成分である殺虫剤の気中濃度は殆ど同じであるにもかかわらず、本発明に従う実施例のサンプルは、後述のように噴射後のゴキブリの移動距離を著しく抑制でき、且つその殺虫効果も優れる。従って、本発明の効果は、有効成分の殺虫剤のみによらず、殺虫剤、溶剤、噴射剤とそれら量比、及びエアゾール剤全体の噴射量、溶剤の噴射量が適正に相互作用して、有効に発現されるものである。
【0017】
尚、本発明のゴキブリ用エアゾール剤は、一気に全量噴出させるものではなく、適宜繰り返し噴射される。
【0018】
本発明のゴキブリ用エアゾール剤における原液とは、殺虫剤と溶剤を含み、更にこれらの他に、必要に応じて界面活性剤などを含む組成物である。
殺虫剤としては、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤等を挙げることができる。
ピレスロイド系殺虫剤としては、フラメトリン、シフェノトリン、フェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、アレスリン、フタルスリン、エムペントリン、テフルスリン、プラレトリン、イミプロトリン、トランスフルスリン(ベンフルスリン)等が挙げられる。
有機リン系殺虫剤としては、フェニトロチオン、クロルピリホス、マラソン、ジクロルボス、ピリダフェンチオン、トリクロルホン等が挙げられる。
カーバメイト系殺虫剤としては、カルバリル、ベンフラカルブ、プロポキスル等を挙げることができる。
そして、上記ピレスロイド系化合物の殺虫効力を増強する化合物(共力剤)としては、例えばピペロニルブトキサイド、オクタクロロジプロピルエーテル、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、イソボルニルチオシアノアセテートおよびN−(2−エチニル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
【0019】
本発明においてこの他の殺虫剤としては、ヒノキ、スギ及びヒバの精油、メントール、キハダ類の抽出物、柑橘類の果皮及び種子からの抽出物、芳香族スルフォンアミド誘導体、水酸化トリシクロヘキシル錫、4,4’−ジブロムベンジル酸イソプロピル、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニルニ−N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカーバメイト、シラン化合物、ケイ皮酸誘導体、酢酸シンナミル、ブフロフェジン、イソプロチオラン、パラオキシ安息香酸エステル、ヨウ素化ホルマール、フェノール類、フタル酸エステル、3−ブロモ−2,3−ヨード−2−プロペニル−エチルカルボナート、モノテルペン系ケトン類、モノテルペン系アルデヒド類、モノテルペン系エポキサイド類、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルなどが挙げられる。
【0020】
また、殺虫剤としては、メトプレンなどの昆虫幼若ホルモン剤、プレコセンなどの抗幼若ホルモン剤、エクダイソンなどの脱皮ホルモン剤等の害虫のホルモン剤、あるいは抗ホルモン剤も挙げることができる。
【0021】
本発明において使用される殺虫剤の添加量としては、従来のゴキブリ用エアゾール剤において用いられている量を使用することができるが、目安としては溶剤に対して0.1〜2.0wt/v%(重量/容量%)が好ましい。
【0022】
そして、上記殺虫剤以外にも各種の薬剤が添加できる。例えば、害虫忌避剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤、芳香剤、着色料などを配合することもできる。
害虫忌避剤として2,3,4,5−ビス(δ−ブチレン)−テトラヒドロフルフラール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジ−n−プロピルイソシンコロメート、ジ−n−ブチル酢酸、2−ハイドロキシエチルオクチル硫酸、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、シクロヘキシミド、β−ニトロスチレンシアノアクリルニトリル、トリブチル錫塩酸塩、トリニトロベンゼン−アニリン複合体、ナフタリンなど、殺菌剤あるいは防黴剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルメチル−{2−〔2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ〕エチル}アンモニウムクロライド、4−イソプロピルトロポロン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフォンアミド、2−(4’−チアゾリル)ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキシン、イソプロピルメチルフェノール、O−フェニルフェノール、p−クロロ−m−キシレノール等が用いられ、消臭剤としては、ラウリル酸メタアクリレートなど、そして、芳香剤としてはイグサの精油成分、ヒノキの精油成分、シトロネラ、レモン、レモングラス、オレンジ、ユーカリ、ラベンダーなどが配合できる。
【0023】
本発明において用いることができる溶剤としては、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類等を挙げることができる。
これら溶剤としては、例えば、ヘキサン、ケロシン(灯油)、n−ペンタン、iso−ペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素類:ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類:エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブチルジグリコール等のアルコール類:アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル等のエーテル類:酢酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類を挙げることができる。
この他にもアセトニトリルなどのニトリル類:ジメチルホルムアミドなどのアミド類:大豆油、綿実油等の植物油、及び水などを使用することができる。さらにはこれらの混合溶剤であってもよい。
本発明においては、溶剤としては有機溶剤が好ましく、より好ましくはアルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類である。更に好ましくは炭素数10〜16個の脂肪族炭化水素類が挙げられる。
本発明における溶剤の含有量としては、上記原液と噴射剤との割合を満たし、溶剤の噴射量が上記範囲になるような量であればいずれでもよいが、目安としてエアゾール剤中16v/v%〜25v/v%が好ましい。このような溶剤の含有量とすることで、本発明の効果をより有効に発現させることができる。
【0024】
本発明において界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、デカグリセリンモノオレートなどが挙げられる。
【0025】
また、界面活性剤は、主に溶剤に殺虫剤を乳化、分散もしくは可溶化するために使用することができるが、本発明の殺虫効果を高める場合もありうる。界面活性剤の添加量としては、目的とする効果が得られる量を適宜加えればよく、溶剤と殺虫剤との親和性に影響されるが、例えば、原液中0.5〜10wt/v%%程度を加えればよい。
【0026】
本発明において噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)またはこれらの混合物を用いる。
本発明において、エアゾール剤中の噴射剤の量としては、上記原液との割合を満たすような量であればよい。
【0027】
本発明のゴキブリ用エアゾール剤は、主に溶剤と殺虫剤を含む原液と噴射剤とからなり、これらを加圧充填できる容器に充填され、所定量を所望の空域にスプレーされる。
スプレーする為の手段としては、バルブや操作ボタン等があるが、大量噴射を行う上ではその操作性からいってトリガータイプのものが好適な手段として挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例によって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(ゴキブリの噴射後の移動距離の試験)
(1)試験サンプルの作成
〔サンプル1〕(原液:噴射剤=1:3.44(v/v))
エアゾール剤(全量300ml)として、殺虫剤(イミプロトリン0.6重量%)を含む原液(溶剤として1号灯油)67.5mlと噴射剤(DMEおよびLPG、比率54.5:45.5)232.5mlをエアゾール用容器に充填した。
そして噴射量が27ml/10秒となるように調整した大量噴射型エアゾールを得た。ここで、溶剤の噴射量としては、6ml/10秒である。
【0030】
〔サンプル2〕(原液:噴射剤=1:3.44(v/v))
エアゾール剤(全量300ml)として、殺虫剤(イミプロトリン0.6重量%)を含む原液(溶剤として1号灯油)67.5mlと噴射剤(サンプル1と同じもの)232.5mlをエアゾール用容器に加圧充填した。
そして噴射量が45ml/10秒となるように調整した大量噴射型エアゾールを得た。ここで、溶剤の噴射量としては、10ml/10秒である。
【0031】
〔比較例1のサンプル〕(原液:噴射剤=1:1.22(v/v))
エアゾール剤(全量300ml)として、殺虫剤(イミプロトリン1.5重量%)を含む原液(溶剤として1号灯油)135mlと噴射剤(上記サンプル1と同じ)165mlをエアゾール用容器に充填した。
そして噴射量が9ml/10秒となるように調整したエアゾールを得た。ここで、溶剤の噴射量としては、4ml/10秒である。
【0032】
〔比較例2のサンプル〕(原液:噴射剤=1:5.67(v/v))
エアゾール剤(全量300ml)として、殺虫剤(イミプロトリン0.9重量%)を含む原液(溶剤として1号灯油)45mlと噴射剤(サンプル1と同じ)255mlをエアゾール用容器に加圧充填した。
そして噴射量が27ml/10秒となるように調整した大量噴射型エアゾールを得た。ここで、有機溶剤の噴射量としては、4ml/10秒である。
【0033】
(2)供試虫
クロゴキブリ成虫雌(Periplaneta fuliginosa)およびチャバネゴキブリ雌成虫(Blattella germanica)を試験に用いた。
(3)試験方法
容積35m3 のチャンバー内の床面に、半径10〜70cmの同心円を書いた模造紙を敷き、その円の中心部に供試虫10頭を入れた円筒(直径20cm、高さ45cm)を置き、円筒上部に、中央に5cmの孔が開いた蓋をした。次にサンプルを蓋の孔から6秒間噴射し、その後直ぐに円筒を除去し、床面に敷いた同心円上での供試虫の状況を観察し、併せて同心円中央部からの移動距離を測定した。(図2参照)
【0034】
供試虫の移動距離(cm)についてはMD50値(供試虫の50%がノックダウンするまでに上記円の中心から移動する距離)およびMD95値(供試虫の95%がノックダウンするまでに上記円の中心から移動する距離)を測定した。
さらに、ノックダウンした供試虫を別の容器に移して観察を続け、噴射後24時間にその致死率(%)も算出した。
なお試験結果は上記試験を2回行った時の値の平均値で示した。
本試験の概略を図2に、また試験結果を第1表に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
(4)試験結果
クロゴキブリに対する効果(第1表)において、本発明のサンプル1と2は、いずれも比較例1サンプルおよび比較例2サンプルより、噴射後のクロゴキブリの移動距離が著しく小さく、且つその殺虫効果も十分であった。
比較例2のサンプルは、溶剤の噴射量が本発明の範囲内であるが、原液と噴射剤の割合が本発明の範囲から外れているため、噴射後のクロゴキブリの移動距離が大きくなってしまった。従って、本発明においては、本発明の原液と噴射剤の割合及び溶剤の噴射量のすべてを満たさないと、本発明の効果が得られないことが判る。
上記試験をチャバネゴキブリについても行ったところ、上記と同様の結果が得られ、本発明のサンプル1、2は噴射後の移動距離が著しく小さく、且つその殺虫効果も十分であった。
【0037】
実施例2
(ノックダウン試験)
上記実施例1において用いた本発明のサンプル1及び2、比較例1及び2用サンプルを用いてKT50(50%の供試虫がノックダウンする時間(秒))及びKT90(90%の供試虫がノックダウンする時間(秒))及び24時間後の致死率を測定した。測定方法と評価方法を下記に示す。
ノックダウン試験の概要を図3に示す。カップ1(直径10cm、深さ10cm)に、10匹のクロゴキブリ(供試虫2)を入れる。クロゴキブリを入れたカップを床面に対して斜めに設置し、カップ1から約50cm離れ、床面からの高さ約40cmのところから、各サンプル(検体3)を1秒間噴射する。
噴射後、直ちにクロゴキブリを観察容器(直径50cm、高さ12cm)に移し、時間経過毎にクロゴキブリのノックダウン数を記録する。また、ノックダウンの観察終了後、クロゴキブリを別の清潔な容器に移し、餌と水を与えて24時間後の死亡数を記録した。
これらの結果を下記第2表に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
第2表を見ると、本発明のサンプル1及び2は、比較例1及び2のサンプルと比較すると、KT50値とKT90値において、著しく優れていることが判る。また、本発明のサンプル1とサンプル2を比べると、噴射量のより多いサンプル2のほうが優れていることが判る。
【0040】
【発明の効果】
本発明のゴキブリ用エアゾール剤は、噴射処理した場所からのゴキブリの移動を抑制する効果に優れており、従来のようにゴキブリの活動が停止するまで噴射し続ける必要がなく、エアゾール剤の無駄な消費を軽減でき且つ環境衛生上でも好ましく、更に殺虫効力も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のサンプル2と比較例1のサンプルの噴射後の殺虫剤の気中濃度の時間変化を示すグラフを示す図である。
【図2】 エアゾール剤を噴射したゴキブリの移動距離を測定する試験の概略を示すための図である。
【図3】 ノックダウン試験の概略を示すための図である。
Claims (2)
- 殺虫剤と溶剤を含む原液と、液化石油ガス、ジメチルエーテルまたは液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合物からなる噴射剤とを含有し、原液と噴射剤との割合(v/v)が1:3〜1:5であり、エアゾール剤全体の噴射量が20〜100ml/10秒で、かつ、溶剤の噴射量が4.0〜10ml/10秒で噴射されることを特徴とするゴキブリ用エアゾール剤。
- 噴射剤が液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合物であり、エアゾール剤全体の噴射量が27〜45ml/10秒で、かつ、溶剤の噴射量が6〜10ml/10秒であることを特徴とする請求項1記載のゴキブリ用エアゾール剤。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09091097A JP3922659B2 (ja) | 1997-04-09 | 1997-04-09 | ゴキブリ用エアゾール剤 |
MYPI9706075 MY136637A (en) | 1997-04-09 | 1997-12-16 | Aerosol spraying apparatus |
IDP973898A ID20772A (id) | 1997-04-09 | 1997-12-17 | Peralatan semprotan aerosol |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09091097A JP3922659B2 (ja) | 1997-04-09 | 1997-04-09 | ゴキブリ用エアゾール剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10287504A JPH10287504A (ja) | 1998-10-27 |
JP3922659B2 true JP3922659B2 (ja) | 2007-05-30 |
Family
ID=14011575
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09091097A Expired - Fee Related JP3922659B2 (ja) | 1997-04-09 | 1997-04-09 | ゴキブリ用エアゾール剤 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3922659B2 (ja) |
ID (1) | ID20772A (ja) |
MY (1) | MY136637A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000273001A (ja) * | 1999-01-19 | 2000-10-03 | Earth Chem Corp Ltd | エアーコンディショナー用スプレー製品 |
JP4132855B2 (ja) * | 2002-02-08 | 2008-08-13 | 大日本除蟲菊株式会社 | 防虫、抗菌エアゾール剤 |
JP4535673B2 (ja) * | 2002-07-11 | 2010-09-01 | 大日本除蟲菊株式会社 | 揮散性薬剤含有エアゾール剤の薬効表示具、及びこれを用いた環境雰囲気中の薬効表示方法 |
JP4695409B2 (ja) * | 2004-02-26 | 2011-06-08 | 株式会社ダイゾー | エアゾール製品 |
JP2005330264A (ja) * | 2004-04-21 | 2005-12-02 | Earth Chem Corp Ltd | コバエ用エアゾール製品 |
-
1997
- 1997-04-09 JP JP09091097A patent/JP3922659B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1997-12-16 MY MYPI9706075 patent/MY136637A/en unknown
- 1997-12-17 ID IDP973898A patent/ID20772A/id unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
ID20772A (id) | 1999-03-04 |
JPH10287504A (ja) | 1998-10-27 |
MY136637A (en) | 2008-11-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4883937B2 (ja) | 害虫防除方法 | |
KR100499968B1 (ko) | 에어로졸분사장치 | |
JP5352531B2 (ja) | 害虫駆除方法 | |
JP2023123586A (ja) | 害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法 | |
JP2003012422A (ja) | 飛翔害虫駆除用エアゾール | |
JP3922659B2 (ja) | ゴキブリ用エアゾール剤 | |
JP2004147643A (ja) | 水溶性殺虫剤の蒸散方法、噴霧方法、並びに超音波霧化装置、エアゾール噴霧装置、および殺虫液 | |
JPH09175905A (ja) | 害虫防除用エアゾール | |
JP4741780B2 (ja) | 虫類捕獲用樹脂発泡エアゾール剤、その樹脂発泡エアゾール剤を用いた虫類の捕獲・殺虫方法 | |
JPH04305502A (ja) | 発泡エアゾール殺虫剤ならびにこれを用いた塗布方法 | |
JPH11221499A (ja) | エアゾール装置の噴口 | |
JP4358197B2 (ja) | 全量噴射エアゾール装置 | |
JP2023054159A (ja) | 害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法 | |
JP4570334B2 (ja) | 害虫駆除用エアゾール剤 | |
JP4183797B2 (ja) | ゴキブリの飛翔行動阻害方法 | |
JP4338272B2 (ja) | 腹足類駆除剤 | |
JP2011250799A (ja) | 害虫防除方法 | |
JP2007001985A (ja) | 害虫の飛翔行動阻害方法 | |
JP4277402B2 (ja) | 匍匐性害虫駆除用エアゾール | |
JP2726303B2 (ja) | 防虫器具および防虫方法 | |
WO2019117164A1 (ja) | 定量噴射型エアゾール、定量噴射型エアゾールの噴射方法及び薬剤の効力向上方法 | |
JPH10211978A (ja) | 全量噴射エアゾール装置 | |
JP4578833B2 (ja) | エアゾール組成物 | |
JP2007082553A (ja) | 水溶性殺虫剤の噴霧方法、並びにエアゾール噴霧装置、および殺虫液 | |
JPH08259403A (ja) | 塗布用エアゾール殺虫剤ならびにこれを用いた殺虫方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040308 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060324 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060713 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060906 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061102 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061129 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070117 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070219 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100302 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110302 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110302 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140302 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |