JP2023054159A - 害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法 - Google Patents

害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】刺激感が少なく、噴霧対象物を汚染しにくく、かつ、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、優れた害虫防除効果を示す害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法を提供する。【解決手段】蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満である難揮散性殺虫化合物を含む原液と、噴射剤とからなるエアゾール組成物が充填され、原液は、エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれ、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLである、害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。【選択図】なし

Description

本発明は、害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法に関する。より詳細には、本発明は、刺激感が少なく、噴霧対象物を汚染しにくく、かつ、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、優れた害虫防除効果を示す害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法に関する。
従来、たとえばトランスフルトリン等の揮散性殺虫化合物を主成分とし、このような殺虫化合物を自然揮散させて殺虫効果を得る防虫剤や害虫防除用エアゾール製品が知られている(たとえば特許文献1~2)。また、殺虫化合物がなるべく広範囲に拡散されるように、噴霧量を多くしたエアゾール製品やポンプ製品が知られている。さらに、難揮散性殺虫化合物を主成分とする害虫防除用エアゾール製品が知られている。
特開2003-73203号公報 特開2010-280633号公報
しかしながら、特許文献1~2に記載の害虫防除方法において、トランスフルトリンなどの揮散性殺虫化合物を用いると、噴霧時に揮散性殺虫化合物が揮散して舞い上がることで使用者がこれを吸引する可能性がある。この場合、使用者は、刺激感を感じることがある。また、噴霧量を多く(たとえば1回あたり1mLより多く)した場合、噴霧した位置の近傍では、床や衣類等が汚染(液シミ等)されることもある。さらに、難揮散性殺虫化合物を含むエアゾール製品は、拡散性が充分でなく、ゴキブリ等の害虫に直撃するよう噴射したり、それらの生息場所に噴射する等、使用方法が限定されており、たとえばクローゼット等の狭小空間に収容された衣類等へは適用されていなかった。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、刺激感が少なく、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、噴霧対象物に対して均一に難揮散性殺虫化合物を付着させることにより局所的な汚染を起こしにくく、優れた害虫防除効果を示す害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するための条件について鋭意研究し、以下の知見を得た。すなわち、所定の蒸気圧を示す難揮散性殺虫化合物を含む所定量の原液と噴射剤とからなるエアゾール組成物を、1回の噴射量を特定量に調整して噴射することにより、刺激感が少なく、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、噴霧対象物に対して均一に難揮散性殺虫化合物を付着させることにより局所的な汚染を起こしにくく、優れた害虫防除効果を示し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満である難揮散性殺虫化合物を含む原液と、噴射剤とからなるエアゾール組成物が充填され、前記原液は、前記エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれ、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLである、害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。
(2)前記難揮散性殺虫化合物は、フェノトリンまたはペルメトリンを含む、(1)記載の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。
(3)衣類の収容される狭小空間に対して使用される、(1)または(2)記載の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。
(4)蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満の難揮散性殺虫化合物を含む原液と噴射剤とからなり、前記原液が前記エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれるエアゾール組成物を、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLとなるよう噴射する、害虫防除方法。
本発明によれば、刺激感が少なく、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、噴霧対象物に対して均一に難揮散性殺虫化合物を付着させることにより局所的な汚染を起こしにくく、優れた害虫防除効果を示す害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法を提供することができる。
図1は、ダニに対する忌避効果の確認方法を説明するための実験装置の模式図である。
<害虫防除用定量噴射型エアゾール製品>
本発明の一実施形態の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品(以下、エアゾール製品ともいう)は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満である難揮散性殺虫化合物を含む原液と、噴射剤とからなるエアゾール組成物が充填されたエアゾール容器と、エアゾール容器に取り付けられるバルブ機構と、バルブ機構に取り付けられるステム機構と、ステム機構およびバルブ機構を操作するとともに、エアゾール組成物を噴射するための噴口が形成された噴射ボタンとを備える。原液は、エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれる。本実施形態のエアゾール製品は、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLに調整されている。以下、それぞれの構成について説明する。なお、本実施形態のエアゾール製品は、難揮散性殺虫化合物の種類、原液の含有量、および、エアゾール組成物の1回あたりの噴射量が上記特定の種類および範囲となるよう調整されていることを特徴とする。そのため、その他の構成(たとえばエアゾール製品の形状、他の成分および配合量、容器内圧等の各種物性等)は、上記範囲を満たすものであればよく、特に限定されない。したがって、以下の詳細な説明のうち、難揮散性殺虫化合物の種類、原液の含有量、および、エアゾール組成物の1回あたりの噴射量が上記特定の種類および範囲となるよう調整されていること以外は、いずれも例示である。
(原液)
原液は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満の難揮散性殺虫化合物を含む。難揮散性殺虫化合物の蒸気圧は、1×10-5mmHg(25℃)未満であればよく、5×10-6mmHg(25℃)以下であることが好ましく、1×10-6mmHg(25℃)以下であることがより好ましい。難揮散性殺虫化合物の蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であることにより、エアゾール製品は、噴霧対象物に付着した後、長期間にわたって害虫防除効果を持続しやすい。
難揮散性殺虫化合物は、害虫防除効果を奏するものであれば、特に限定されない。難揮散性殺虫化合物としては、例えば、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、ネオニコチノイド系化合物、キチン合成阻害系化合物、幼若ホルモン様化合物等の殺虫化合物が挙げられる。これらの難揮散性殺虫化合物は、併用されてもよい。
ピレスロイド系化合物は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であれば特に限定されない。ピレスロイド系化合物としては、例えば、フェノトリン(蒸気圧:1.43×10-7mmHg(21℃))、ペルメトリン(蒸気圧:5.18×10-8mmHg(25℃))、ビフェントリン(蒸気圧:1.34×10-8mmHg(25℃))、シフルトリン(蒸気圧:1.5×10-10mmHg(20℃))、シペルメトリン(蒸気圧:1.7×10-9mmHg(20℃))、シフェノトリン(蒸気圧:9.0×10-7mmHg(20℃))等が挙げられる。これらの中でも、殺虫効果が高い点から、ピレスロイド系化合物は、フェノトリンまたはペルメトリンを含むことが好ましい。なお、フェノトリン、シフルトリン、シペルメトリン、シフェノトリンの蒸気圧は、25℃において1×10-5mmHg未満である。
カーバメート系化合物は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であれば特に限定されない。カーバメート系化合物としては、例えば、カルバリル(蒸気圧:1.36×10-6mmHg(25℃))等が挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であれば特に限定されない。ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、ジノテフラン(蒸気圧:1.3×10-8mmHg(25℃))、イミダクロプリド(蒸気圧:3.0×10-12mmHg(25℃))等が挙げられる。
キチン合成阻害系化合物は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であれば特に限定されない。キチン合成阻害系化合物としては、例えば、ジフルベンズロン(蒸気圧:9.0×10-10mmHg(25℃))等が挙げられる。
幼若ホルモン様化合物は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満であれば特に限定されない。幼若ホルモン様化合物としては、例えば、ピリプロキシフェン(蒸気圧:9.8×10-8mmHg(23℃))等が挙げられる。なお、ピリプロキシフェンの蒸気圧は、25℃において1×10-5mmHg未満である。
難揮散性殺虫化合物としてこれら殺虫化合物が用いられることにより、たとえば、イガ、コイガ等の衣類害虫、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ等のゴキブリ、クモ、ムカデ、アリ、ゲジ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、シロアリ、ケムシ、ダニ、ノミ、トコジラミ、シラミ、チャタテムシ等の匍匐害虫、カ、ハエ、ガ、ハチ、カメムシ、カツオブシムシ、シバンムシ、キクイムシ等の飛翔害虫等が好適に防除され得る。
難揮散性殺虫化合物の含有量は特に限定されない。難揮散性殺虫化合物の含有量は、難揮散性殺虫化合物の種類によって、適宜調整され得る。一例を挙げると、難揮散性殺虫化合物の含有量は、原液中、30w/v%以上であることが好ましく、40w/v%以上であることがより好ましい。一方、難揮散性殺虫化合物の含有量は、原液中、100w/v%であってもよい。難揮散性殺虫化合物の含有量が30w/v%未満である場合、エアゾール製品は、所望する殺虫効果を充分に発揮できないか、広範囲に拡散されにくい可能性がある。
原液は、上記難揮散性殺虫化合物に加え、適宜、易揮散性殺虫化合物を含んでもよい。易揮散性殺虫化合物は、例えば、ピレスロイド化合物、有機リン系化合物が挙げられる。易揮散性殺虫化合物のピレスロイド化合物は、例えば、プロフルトリン(蒸気圧:7.72×10-5mmHg(25℃))、エンペントリン(蒸気圧:1.05×10-4mmHg(23.5℃))が挙げられる。易揮散性殺虫化合物の有機リン系化合物は、例えば、ジクロルボス(蒸気圧:1.20×10-2mmHg(20℃))が挙げられる。
また、易揮散性殺虫化合物を含む場合において、易揮散性殺虫化合物の含有量は特に限定されない。易揮散性殺虫化合物の含有量は、易揮散性殺虫化合物の種類によって、適宜調整され得る。一例を挙げると、易揮散性殺虫化合物の含有量は、原液中、1w/v%以上であることが好ましく、5w/v%以上であることがより好ましい。一方、易揮散性殺虫化合物の含有量は、原液中、30w/v%以下であることが好ましく、20w/v%以下であることがより好ましい。易揮散性殺虫化合物の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール製品は、刺激感が少なく、広範囲に拡散しやすいという利点がある。
原液は、上記難揮散性殺虫化合物のほか、適宜溶媒を含んでもよい。溶媒は、上記難揮散性殺虫化合物を適宜溶解させて、エアゾール容器内で噴射剤と混合させやすくしたり、生産時において原液を取り扱い易くするために含有され得る。
溶媒は、特に限定されない。溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、流動パラフィン、灯油等が挙げられる。これらの中でも、溶媒は、難揮散性殺虫化合物を溶解しやすく、安価であり、取り扱い易い点から、エタノール、IPA、IPMであることが好ましい。
溶媒が含まれる場合、溶媒の含有量は特に限定されない。溶媒の含有量は、原液中、1容量%以上であることが好ましく、5容量%以上であることがより好ましく、10容量%以上であることがさらに好ましい。一方、溶媒の含有量は、原液中、99容量%以下であることが好ましく、90容量%以下であることがより好ましい。溶媒の含有量が1容量%未満である場合、エアゾール製品は、上記難揮散性殺虫化合物の種類によっては、難揮散性殺虫化合物を充分に溶解できない可能性がある。一方、溶媒の含有量が99容量%を超える場合、エアゾール製品は、難揮散性殺虫化合物の含有量が少なくなり、充分な害虫防除効果が得られにくい可能性がある。
原液は、上記難揮散性殺虫化合物および適宜含有される上記した溶媒のほかに、任意成分が含まれてもよい。任意成分は、例えば、各種香料;抗菌剤;非イオン、陰イオンまたは陽イオン界面活性剤;ブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤;クエン酸、アスコルビン酸等の安定化剤;タルク、珪酸等の無機粉体、消臭剤、色素等が挙げられる。
(噴射剤)
噴射剤は、原液とともにエアゾール容器に加圧充填される内容物である。噴射剤は、後述するバルブ機構が作動されることにより、原液とともに後述する噴射ボタンの噴口から噴射される。その際、噴射剤は、原液を噴射する際の推進力を付与するとともに、エアゾール組成物を微粒子化し、空間中に拡散させる。
噴射剤の種類は特に限定されない。噴射剤としては、例えば、液化ガス、圧縮ガス等が挙げられる。液化ガスとしては、液化石油ガス、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等の炭素数3~5個の脂肪族炭化水素、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン等のハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテルおよびこれらの混合物等が例示される。圧縮ガスとしては、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気等が例示される。
本実施形態において、噴射剤は、エアゾール組成物中、95容量%以下となるように含まれることが好ましく、80容量%以下となるように含まれることがより好ましい。また、噴射剤は、エアゾール組成物中、60容量%以上となるように含まれることが好ましく、65容量%以上となるように含まれることがより好ましい。
本実施形態において、原液は、エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれればよく、35容量%以下となるよう含まれることが好ましい。また、原液は、エアゾール組成物中、5容量%以上となるよう含まれることが好ましく、10容量%以上となるよう含まれることがより好ましい。原液の含有量が、エアゾール組成物中、5容量%未満である場合、エアゾール組成物は、難揮散性殺虫化合物の含有量が少なく、充分な害虫防除効果が得られない傾向がある。
原液および噴射剤が充填された状態において、25℃におけるエアゾール容器の内圧は、0.2MPa以上であることが好ましく、0.25MPa以上であることがより好ましい。また、25℃におけるエアゾール容器の内圧は、0.8MPa以下であることが好ましく、0.7MPa以下であることがより好ましい。エアゾール容器の内圧が0.2MPa未満である場合、エアゾール組成物は、噴射後に、噴口から液ダレする可能性、および難揮散性殺虫化合物の拡散性が悪くなる可能性がある。一方、エアゾール容器の内圧が0.8MPaを超える場合、エアゾール組成物は、エアゾール容器から漏洩する可能性がある。
エアゾール製品全体の説明に戻り、上記した原液および噴射剤を含むエアゾール製品は、エアゾール容器に加圧充填される。エアゾール容器は、特に限定されない。一例を挙げると、エアゾール容器は、上部に開口が形成された略円筒状の耐圧容器である。開口は、エアゾール組成物を充填するための充填口であり、原液が充填されたのち、後述するバルブ機構によって閉止される。
エアゾール容器の材質は特に限定されない。エアゾール容器の材質は、例えば、アルミニウムやブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、耐圧ガラス等が挙げられる。
バルブ機構は、エアゾール容器内に充填されたエアゾール組成物を取り出すための機構であり、エアゾール容器の開口に取り付けられ、開口を閉止する。また、本実施形態のバルブ機構は、エアゾール容器から取り出されたエアゾール組成物を一時的に貯留するための定量室が形成されている。定量室の容積は、1回の噴射によって噴射されるエアゾール組成物の容量に相当する。本実施形態の定量室の容積は、0.1~1.0mLである。
ステム機構は、バルブ機構に取り付けられる部位であり、バルブ機構に取り込まれた原液および噴射剤を、後述する噴射ボタンに送るための内部通路が形成されている。内部通路は、ステム機構のステムラバーによって適宜開閉される。
噴射ボタンは、エアゾール容器から、バルブ機構によってステム機構を介して取り込まれた原液を、噴射剤とともに噴射するための部材である。噴射ボタンには、エアゾール組成物を噴射するための噴口が形成されている。
噴口の数、寸法および形状は特に限定されない。噴口の数は、例えば、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、噴口の寸法(噴口直径)は、0.4~0.7mmであることが好ましい。噴口の形状(断面形状)は、円形、楕円形、角形、各種不定形であってもよい。
本実施形態のエアゾール製品は、使用者によって噴射ボタンが操作されることにより、ステム機構およびバルブ機構が作動し、エアゾール容器内と外部とが連通する。これにより、エアゾール容器内のエアゾール組成物は、エアゾール容器内と外部との圧力差に従ってエアゾール容器から一定量が取り出され、噴射ボタンの噴口から噴射される。
本実施形態のエアゾール製品によって噴射されるエアゾール組成物は、噴口から30cm離れた位置における噴射力が、25℃において、2.0gf以上であることが好ましく、5.0gf以上であることがより好ましい。また、エアゾール組成物は、噴口から30cm離れた位置における噴射力が、25℃において、14.0gf以下であることが好ましく、10.0gf以下であることがより好ましい。噴射力が2.0gf未満である場合、噴射されたエアゾール組成物は、広範囲に拡散されにくい。一方、噴射力が14.0gfを超える場合、噴射されたエアゾール組成物は、適用空間で噴射した際に空間の壁などに難揮散性殺虫化合物が多く付着し、噴霧対象物への付着が少なくなる傾向がある。本実施形態のエアゾール製品は、噴射力が上記範囲内となるよう調整されることにより、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散させやすい。なお、噴射されたエアゾール組成物の噴射力は、たとえばデジタルフォースゲージ(DS2-2N、(株)イマダ製)に装着したφ60mmの円状の平板の中心に向かって、平板面に対して垂直となるように30cmの距離からエアゾール組成物を噴射した際の最大値を測定することにより算出し得る。なお、本実施形態において、噴射力を調整する方法は特に限定されない。このような噴射力は、エアゾール組成物の種類、内圧、噴口の数、形状等により適宜調整され得る。
本実施形態のエアゾール製品は、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLとなるよう調整されている。好ましくは、1回あたりの噴射量が0.1~0.4mLとなるように調整されている。1回あたりの噴射量が0.1mL未満である場合、噴射されたエアゾール組成物は、均一に拡散されにくく、充分な害虫防除効果が得られない可能性がある。一方、1回あたりの噴射量が1.0mLを超える場合、噴射されたエアゾール組成物は、噴射対象物の汚染が起きやすい。1回あたりの噴射量を調整する方法は特に限定されない。1回あたりの噴射量は、たとえば、バルブ機構における定量室の容量、噴射ボタンを操作した際に、エアゾール容器内と外部とが連通する時間等を適宜調整することにより、調整され得る。
本実施形態のエアゾール製品は、所定の蒸気圧を示す上記難揮散性殺虫化合物を含む所定量の原液と噴射剤とからなるエアゾール組成物を、1回の噴射量を0.1~1.0mLに調整して噴射することにより、刺激感が少なく、噴霧対象物を汚染しにくく、かつ、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、優れた害虫防除効果を示すことを達成している。なお、噴霧対象物を汚染しにくい点で、1回あたりの噴射量を0.4mL以下にすることがより好ましい。
本実施形態のエアゾール製品の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、エアゾール製品は、エアゾール容器に原液を充填し、定量室の設けられたバルブ機構によってエアゾール容器の開口を閉止し、ステム機構を介して噴射剤を加圧充填しその後、噴射ボタンを取り付けることによって製造することができる。噴射ボタンは、トリガーボタン、プッシュダウンボタン等が例示される。
本実施形態のエアゾール製品の適用場所は特に限定されない。本実施形態のエアゾール製品は、害虫を防除すべき所望の空間に対し、適用し得る。適用場所は、例えば、衣類の収容空間(衣装ケース、引き出し、洋服ダンス、クローゼット、ウォークインクローゼット、押入れ等)、各種家具や家電製品と床面や壁面との隙間、下駄箱、スーツケース、浴室等の半密閉または密閉空間が挙げられる。これらの中でも、本実施形態のエアゾール製品は、クローゼット等の、衣類を収容するための狭小空間に対して好適に使用され得る。このような狭小空間に使用される場合、エアゾール製品は、エアゾール組成物を、たとえばクローゼット内の広範囲に均一に噴霧できる。また、エアゾール製品は、衣類に対してエアゾール組成物中の難揮発性化合物を均一に付着させ得る。そのため、クローゼットの壁面や衣類は、局所的に高濃度の難揮発性化合物が付着することが防がれ、汚染されにくい。また、この場合、衣類等は、シミ等を生じにくい。なお、本実施形態において、狭小空間とは、容積が50L~18000L(約4.5畳)程度の半密閉または密閉空間をいう。本実施形態のエアゾール製品は、特に、容積が50L~2500Lである狭小空間に用いられる場合に、噴霧対象物への液シミが小さく、かつ、空間における拡散性が優れる。適応場所の容積が50L未満である場合、そのような空間における薬剤濃度が高くなり、噴霧対象物への液シミが生じ易くなる傾向がある。一方、適応場所の容積が18000Lを超える場合、噴霧による気流の対流が起こりにくく、薬剤が噴霧対象物に均一に噴霧されにくい。また、均一に塗布させるために薬剤を過剰に噴霧すると、液シミが生じ易くなる傾向がある。
また、エアゾール製品は、広範囲に均一に拡散しやすいように噴霧できれば、噴霧時の角度は特に限定されないが、斜め上方向に噴霧されることが好ましい。斜め上方向に噴霧する場合には、噴霧時の角度は、水平方向から斜め上方向に0~75度であることが好ましい。
以上、本実施形態のエアゾール製品によれば、刺激感が少なく、噴霧対象物を汚染しにくく、かつ、難揮散性殺虫化合物を広範囲に均一に拡散でき、噴霧対象物に付着させ得る。たとえば、このような本実施形態のエアゾール製品は、1回の噴射によって、噴霧対象物(たとえばクローゼットや衣類等)に対して、5mg/m2以上の難揮散性殺虫化合物を付着させ得る。その結果、優れた害虫防除効果が長期間にわたって奏される。
<害虫防除方法>
本発明の一実施形態の害虫防除方法は、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満の難揮散性殺虫化合物を含む原液と噴射剤とからなり、原液がエアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれるエアゾール組成物を、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLとなるよう噴射する方法である。
本実施形態の害虫防除方法を実施するにあたり、エアゾール組成物およびエアゾール製品は、いずれも上記実施形態において説明したものと同様のものを使用し得る。
本実施形態において、噴射回数は、1回であってもよい。本実施形態の害虫防除方法によれば、原液には難揮発性化合物が含まれる。そのため、使用者は、刺激感を感じにくい。また、広範囲に均一に難揮発性化合物を噴霧できるため、噴霧対象物(たとえば床面や衣類等)を汚染しにくく、かつ、優れた害虫防除効果を持続しやすい。なお、本実施形態の害虫防除方法によれば、噴射回数が1回であっても所望の効果が得られるが、空間の広さに応じて、噴射回数が2回以上であってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
原体として4.24gフェノトリン(4mL)を、φ35mm、高さ68mmのエアゾール容器に充填し、バルブ(0.2cc定量バルブ)を取り付けた後、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が20:80となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.55g/mL)を16mL加圧充填し、噴射ボタンを取り付けエアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.49MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり42.4mgが噴射される。
(実施例2)
3.00gペルメトリンを秤量し、99.5%エタノールを用いて6mLにメスアップした。得られた混合溶液を原液とし、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が30:70となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を14mL加圧充填した以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり30.0mgが噴射される。
(実施例3)
原体として3.18gフェノトリン(3mL)を、実施例1と同様のエアゾール容器に充填し、バルブ(0.1cc定量バルブ)を取り付けた後、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が15:85となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を17mL加圧充填し、噴射ボタンを取り付けエアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり15.9mgが噴射される。
(実施例4)
3.00gフェノトリンを秤量し、99.5%エタノールを用いて6mLにメスアップした。得られた混合溶液を原液とし、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が30:70となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を14mL加圧充填した以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり30.0mgが噴射される。
(実施例5)
原体として4.24gフェノトリン(4mL)を、φ35mm、高さ68mmのエアゾール容器に充填し、バルブ(1.0cc定量バルブ)を取り付けた後、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が20:80となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を16mL加圧充填し、噴射ボタンを取り付けエアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり212.0mgが噴射される。
(比較例1)
1.93gフェノトリンを秤量し、99.5%エタノールを用いて4mLにメスアップした。得られた混合溶液を原液とし、φ35mm、高さ68mmのエアゾール容器に充填し、バルブ(2.2cc定量バルブ)を取り付けた後、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が20:80となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を16mL加圧充填し、噴射ボタンを取り付けエアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり212.3mgが噴射される。
(比較例2)
原体として5.55gトランスフルトリン(4mL、蒸気圧:4.12×10-5mmHg(25℃))および噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を16mLを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり55.5mgが噴射される。
(比較例3)
3.00gフェノトリンを秤量し、99.5%エタノールを用いて15mLにメスアップした。得られた混合溶液を原液とし、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が75:25となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.56g/mL)を5mL加圧充填した以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.39MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、原体は、1回あたり30.0mgが噴射される。
得られた実施例1~5および比較例1~3のエアゾール製品について、以下の方法により、エアゾール組成物の拡散性、刺激感、衣類への液シミおよび噴射力を評価した。結果を表1に示す。
<エアゾール組成物の拡散性>
ステンレス製タンスA(寸法:横幅64cm、奥行き60cm、高さ130cm、容積:約500L)内に、羊毛布(10cm×10cm片)を手前から27cm、左右の側面から11cm、天面から15cmまたは95cmの位置に計4枚吊るし、それぞれのエアゾール製品を水平方向に1回噴射した。噴霧してから24時間後に、布に付着した薬剤の含量をガスクロマトグラフィーで分析し、4枚の布における分析値の平均を算出し、以下の評価基準にそって拡散性を評価した。なおエアゾールの噴射条件に関しては表1を参照のこと。なお、実施例4に関しては、ステンレス製タンスB(寸法:横幅85cm、奥行き133cm、高さ191cm、容積:約2159L)に関しても拡散性を評価した。その際のエアゾール組成物の噴射回数は4回とし、いずれの噴射も一定位置から行った。
(評価基準)
○:布4枚あたりの薬剤付着量の平均値が、5mg/m2以上であった。
×:布4枚あたりの薬剤付着量の平均値が、5mg/m2未満であった。
<刺激感の評価>
ステンレス製タンスA(寸法:横幅64cm、奥行き60cm、高さ130cm、容積:約500L)の中央に綿布(JIS L 0803準拠品、5cm×5cm片)を1枚吊るし、布から20cm離れたところから実施例1~5、比較例1~3のエアゾール製品を1回噴射し、エアゾールを噴霧した布を肌に付着させた際に感じた刺激感を以下の評価基準にそって評価した。
(評価基準)
○:刺激を感じなかった。
×:刺激を感じた。
<衣類への液シミ>
ステンレス製タンスA(寸法:横幅64cm、奥行き60cm、高さ130cm、容積:約500L)の中央に絹布(JIS L 0803準拠品、6匁付、5cm×5cm片)を1枚吊るし、布から20cm離れたところから実施例1~5、比較例1~3のエアゾール製品を1回噴射し、布の液シミ(汚染)度合を以下の評価基準にそって評価した。
(評価基準)
○:液シミ(汚染)が生じなかった。
△:ほとんど液シミ(汚染)が生じなかった。
×:液シミ(汚染)が生じた。
<噴射力>
デジタルフォースゲージ(DS2-2N、(株)イマダ製)に装着したφ60mmの円状の平板の中心に向かって、平板面に対して垂直となるように30cmの距離からエアゾール組成物を噴射した際の最大値を測定した。測定は25℃において、3回行い、平均値を噴射力(gf)とした。
Figure 2023054159000001
表1に示されるように、実施例1~5のエアゾール製品は、いずれも優れた拡散性を有していた。このことから、優れた害虫防除効果が期待できる。これらのエアゾール製品は、たとえば、タンス等の収容空間に収容された衣類に対し、イガ卵等の孵化を阻害し得る。また、これらのエアゾール製品は、刺激感がなく、かつ、噴霧対象物(ステンレス製タンス内の布)に液シミがほとんど生じなかった。また、実施例4のエアゾール製品は、ステンレス製タンスB(容積:約2159L)を用いた拡散性試験においても、優れた拡散性を有していた。これにより、優れた害虫防除効果が期待できる。
一方、1回あたりの噴射量が1.0mLを超えた比較例1のエアゾール製品は、ステンレス製タンスのような狭小空間に噴霧されると、噴霧対象物である布に液シミが生じた。なお、比較例1のエアゾール製品は、狭小空間ではなく、より容積の大きな空間に噴霧された場合には、布に液シミを生じることがなかったことを確認した。また、蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)を超えるトランスフルトリンを配合した比較例2のエアゾール製品は、刺激が感じられた。さらに、原液を40容量%を超えて配合した比較例3のエアゾール製品は、拡散性が劣り、かつ、噴霧対象物である布に液シミが生じた。
<衣類害虫・不快害虫に対する致死効果>
上記実施例4のエアゾール製品を使用し、以下の試験方法により、衣類害虫・不快害虫(イガ卵、イガ幼虫、イガ成虫、チャタテムシ、キクイムシおよびタバコシバンムシ)に対する致死効果を確認した。
(試験方法)
25℃、湿度70%の環境下で、プラスチックカップ(直径8cm、高さ4cm、容積約200mL)またはガラスシャーレに供試虫を入れ、ステンレス製タンスA(寸法:横幅64cm、奥行き60cm、高さ130cm、容積:約500L)の底面の中央に載置した。実施例4のエアゾール製品を、横幅方向の中心(左右から32cmの場所)であって高さ65cmの位置から1回噴射した(イガ(イガ卵、イガ幼虫、イガ成虫)に対しては水平方向に噴射し、その他の供試虫に対しては水平方向から斜め45°下方に噴射した)。処理後2時間後に、イガ(イガ卵、イガ幼虫、イガ成虫)の致死数を計数し、処理後一晩経過後にチャタテムシ、キクイムシ、タバコシバンムシの致死数を計数し、それぞれの致死率(%)を算出した。試験は2回行い、エアゾール製品を使用しなかった無処理区と比較した。結果を表2に示す。
(供試虫)
イガ卵:約20個
イガ幼虫(約30日齢):約10頭
イガ成虫:約20頭
チャタテムシ:約20頭
キクイムシ:約10頭
タバコシバンムシ:約10頭
Figure 2023054159000002
表2に示されるように、本発明のエアゾール製品によれば、すべての衣類害虫および不快害虫に対し、高い致死率を示した。これにより、本発明のエアゾール製品は、優れた害虫防除効果を発揮することが示された。
(実施例6)
原体として1.2gフェノトリンと0.3gプロフルトリンとを秤量し、99.5%エタノールを用いて3mLにメスアップした。得られた混合溶液を原液とした。得られた原液を、φ35mm、高さ68mmのエアゾール容器に充填し、バルブ(0.2cc定量バルブ)を取り付けた後、原液と噴射剤との配合割合(容量比)が15:85となるよう噴射剤(液化石油ガス 比重:0.55g/mL)を17mL加圧充填し、噴射ボタン(噴射口0.6mm)を取り付けエアゾール製品を作製した。このエアゾール製品の内圧(25℃)は、0.49MPaであった。このエアゾール製品を用いることにより、フェノトリンは1回あたり12mg噴射され、プロフルトリンは1回あたり3mg噴射される。
実施例6のエアゾール製品を用いて、以下の方法により、ダニに対する忌避効果の確認試験、衣類害虫・不快害虫に対する致死効果の確認試験を行った。
<ダニに対する忌避効果>
図1は、ダニに対する忌避効果の確認方法を説明するための実験装置の模式図である。図1に示されるように、直径15cmのシャーレ1に、シャーレ1の底面から順に、9cm角の黒紙2、3.5cm角の綿布を4枚(縦横2枚ずつ配置、綿布3a~3d)、それぞれの綿布3の中心に2cm角の黒紙4、それぞれの黒紙4上にえさ(新鮮培地5)を配置した。綿布3a~3dのうち、綿布3aおよび綿布3cには、以下の方法により、実施例6のエアゾール製品を用いて、内容物を噴霧した。これにより、4枚の綿布3a~3dは、実施例6のエアゾール製品で処理されたものとされなかったものとが、交互に配置されることとなる。また、黒紙2の外側4箇所に、約500~1000匹の供試虫(ヤケヒョウヒダニ)をほぼ均等に入れた。25℃、75%RHの条件にて1晩静置し、処理区(綿布3aおよび綿布3c)と無処理区(綿布3bおよび綿布3d)に這い上がってきた供試虫を計数し、以下の算出式により、ダニに対する忌避率(%)を算出した。試験は3回行った。得られたダニに対する忌避率および平均忌避率(%)の結果を表3に示す。
ダニに対する忌避率(%)
=(無処理区の這い上がりダニ数―処理区の這い上がりダニ数)/(無処理区の這い上がりダニ数)×100
(綿布への内容物の処理方法)
実施例6で作製したエアゾール製品を、空間(寸法:横幅85cm、奥行き133cm、高さ191cm、容積:約2159L)の底面の中央に載置した上記綿布3aおよび綿布3cに対して、横幅方向の中心(左右から42.5cmの場所)であって高さ70cmの位置から水平方向に1回噴射した。2時間後、綿布を上記試験に使用した。
Figure 2023054159000003
表3に示されるように、本発明のエアゾール製品は、ダニに対する優れた忌避効果を示すことが確認された。
<衣類害虫・不快害虫に対する致死効果>
上記実施例6のエアゾール製品を使用し、以下の試験方法により、衣類害虫・不快害虫(イガ幼虫、イガ成虫、カツオブシムシ、チャタテムシ、キクイムシおよびタバコシバンムシ)に対する致死効果を確認した。
(試験方法)
25℃、湿度70%の環境下で、プラスチックカップ(直径8cm、高さ4cm、容積約200mL)またはガラスシャーレに供試虫を入れ、ステンレス製タンスA(寸法:横幅64cm、奥行き60cm、高さ130cm、容積:約500L)の底面の中央に載置した。実施例6のエアゾール製品を、横幅方向の中心(左右から32cmの場所)であって高さ100cmの位置から水平方向から斜め45°上方に1回噴射した。処理後2時間後および1日後に、それぞれの衣類害虫・不快害虫の致死数を計数し、致死率(%)を算出した。試験は2回行い、エアゾール製品を使用しなかった無処理区と比較した。結果を表4に示す。表4において、括弧のない数値は2時間後の結果を示し、括弧内の数値は1日後の結果を示す。
(供試虫)
イガ幼虫(約30日齢):約10頭
イガ成虫:約10頭
カツオブシムシ幼虫:約10頭
チャタテムシ:約20頭
キクイムシ:約10頭
タバコシバンムシ:約10頭
Figure 2023054159000004
表4に示されるように、本発明のエアゾール製品によれば、すべての衣類害虫および不快害虫に対し、遅くとも1日後には高い致死率を示した。これにより、本発明のエアゾール製品は、優れた害虫防除効果を発揮することが示された。
1 シャーレ
2 黒紙
3a~3d 綿布
4 黒紙
5 新鮮培地
P1~P4 供試虫の供試場所

Claims (4)

  1. 蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満である難揮散性殺虫化合物を含む原液と、噴射剤とからなるエアゾール組成物が充填され、
    前記原液は、前記エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれ、
    1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLである、害虫防除用定量噴射型エアゾール製品(ただし、前記エアゾール組成物が、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである常温揮散性ピレスロイドを含む場合を除く)。
  2. 前記難揮散性殺虫化合物は、フェノトリンまたはペルメトリンを含む、請求項1記載の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。
  3. 衣類の収容される狭小空間に対して使用される、請求項1または2記載の害虫防除用定量噴射型エアゾール製品。
  4. 蒸気圧が1×10-5mmHg(25℃)未満の難揮散性殺虫化合物を含む原液と噴射剤とからなり、前記原液が前記エアゾール組成物中、40容量%以下となるよう含まれるエアゾール組成物を、1回あたりの噴射量が0.1~1.0mLとなるよう噴射する、害虫防除方法(ただし、前記エアゾール組成物が、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである常温揮散性ピレスロイドを含む場合を除く)。
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