JP3922240B2 - ノンハロゲン難燃性電線及びノンハロゲン難燃性ケーブル - Google Patents

ノンハロゲン難燃性電線及びノンハロゲン難燃性ケーブル Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲン物質や鉛・アンチモンなど有害な重金属を含まない、環境配慮型のノンハロゲン難燃性電線及びノンハロゲン難燃性ケーブルに関するものである。
自動車用ワイヤーハーネスや機器用電線の絶縁体材料としては、柔軟性、難燃性、コストの点から最もバランスのとれたポリ塩化ビニル(以下、PVCと称す)が用いられている。さらに近年では安定剤として従来から用いられてきた鉛化合物が埋立て廃棄時に鉛が土中に溶出するという問題から、鉛を使用しない非鉛PVCが主流となっている。しかし、非鉛PVCを用いてもハロゲン物質のポリ塩化ビニルが大量に含まれているため、焼却時には有毒、有害な塩素ガスを多量に発生し、焼却条件によっては猛毒のダイオキシンを発生する。
最近非ハロゲン電線として、ビル内設備用として被覆材料に「エコマテリアル」を使用した電線・ケーブルが普及してきている(例えば、特許文献1参照)。「エコマテリアル」とは、エチレン・エチルアクリレートやエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体、低密度ポリエチレンなど軟質のエチレン系ポリマーに、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物系難燃剤を多量に混和してなるノンハロゲン難燃性樹脂組成物の総称である。エコマテリアルは金属水酸化物を多量に混和してもなお、十分な機械物性を保持させるため、そのベースポリマーとしてはフィラー充填性に優れた軟質のエチレン系ポリマーが選択されている。
特開2002−231069号公報
しかしながら、軟質のエチレン系ポリマーは結晶部が少なく逆にゴム状の非晶部が多いことに加え、充填された金属水酸化物が掘り起こされることにより、耐摩耗性の観点からは、PVCなど分子間凝集上が強い他のポリマーと比べ極めて不利である。
一方、電線やケーブルの加工・組み立て・敷設現場においては、しばしば激しい外力を受けるため「エコマテリアル」で被覆された環境配慮型電線・ケーブルはその表面が著しく損傷する。このことから耐外傷性に優れた環境配慮型の電線・ケーブルが望まれていた。
従って、本発明の目的は、耐外傷性に優れたノンハロゲン難燃性電線及びノンハロゲン難燃性ケーブルを提供することにある。
上記の問題点を解決するため、本発明者らは「エコマテリアル」の材料組成を根底から見直し、電線・ケーブル表面に耐外傷性を付与することを鋭意検討した。その結果、スチレン系エラストマ100質量部又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物により被覆層を形成したノンハロゲン難燃性電線またはケーブルが、耐外傷性に優れることを見出した。
即ち、本発明のノンハロゲン難燃性電線は、金属導体の外周に形成される被覆層が、スチレン系エラストマ100質量部又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、少なくともカチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物からなることを特徴とする。
前記スチレン系エラストマもしくはポリオレフィンのいずれかまたは両方が、マレイン酸もしくはその誘導体で変性され、スチレン系エラストマ中のマイレン酸濃度又はスチレン系エラストマとポリオレフィン混合樹脂中のマレイン酸濃度が0.05〜1.80質量%であることが好ましい。
前記スチレン系エラストマに混和される金属水酸化物又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂に混和される金属水酸化物が、前記カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物と、脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された金属水酸化物の混合物であることが好ましい。
前記混合樹脂のうち、スチレン系エラストマの比率が15〜50質量%であることが好ましい。
また、本発明のノンハロゲン難燃性ケーブルは、撚合わせ又は束ねられた複数の絶縁電線の外周に設けられたシースが、スチレン系エラストマ100質量部又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、少なくともカチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明においては、混和する金属水酸化物をカチオンポリマーで表面処理することで、カチオンポリマーの分子中に有するカチオン性の官能基が金属水酸化物表面とイオン結合を形成し、この金属水酸化物の表面に結合したカチオン性の官能基がスチレン系エラストマに作用することにより、金属水酸化物が混合樹脂に密着して樹脂組成物が強靭なものになる。従って、この強靱な樹脂組成物を電線の被覆層又はケーブルのシースに用いることにより、耐外傷性を著しく向上させることができる。
また、前記スチレン系エラストマもしくはポリオレフィンのいずれかまたは両方が、マレイン酸もしくはその誘導体で変性されると、カチオン性基とマレイン酸が反応して一体化することにより、混合樹脂と金属水酸化物は強固に密着し当該樹脂組成物をいっそう強靭なものに変化させる。このため、この樹脂組成物を被覆することにより、十分な伸びを保ちつつ、耐外傷性をより向上させる電線・ケーブルとすることが出来る。
更に、カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物と脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された金属水酸化物を併用した樹脂組成物を被覆することにより、耐外傷性と伸びを高度にバランスさせた電線・ケーブルとすることが可能となる。
以下、本発明において用いられる樹脂組成物の構成要素について詳しく説明する。
(スチレン系エラストマ)
本発明でスチレン系エラストマとしては、SBS(PS(ポリスチレン)−ポリブタジエン−PS)、SIS(PS−ポリイソプレン−PS)、SEBS(PS−ポリエチレン/ブチレン−PS)、SEPS(PS−ポリエチレン/プロピレン−PS)、SBR、水素添加SBR、SEEPS(PS−ポリエチレン/エチレンプロピレン−PS)、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体およびこれらの完全水素添加物、部分水素添加物などが挙げられる。
(ポリオレフィン)
本発明でポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、ポリプロピレン(PP)、エチレン共重合ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ・4・メチル−ペンテン−1、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、エチレンと炭素数が4〜20のαオレフィンとの共重合体、エチレン−スチレン共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体などが挙げられ、これらの単独または2種以上をブレンドした材料が挙げられる。ポリオレフィンとしては特に、ポリプロピレンが望ましい。ポリプロピレンとしては、エチレン成分を全く含まないホモポリプロピレンと、エチレンとのランダム共重合体であるランダムポリプロピレン、またはこれらのブロック共重合体であるブロックポリプロピレンが挙げられる。耐熱性が高く可とう性も有するブロックポリプロピレンが最も好適である。
(スチレン系エラストマとポリオレフィンのブレンド比率)
スチレン系エラストマ(A)とポリオレフィン(B)のブレンド比率(A)/(B)は100/0〜10/90が好ましく、さらに50/50〜15/85の場合、樹脂組成物の強度をさらに向上させることができるため、最も好適である。
(マレイン酸等変性スチレン系エラストマまたはポリオレフィン)
本発明でマレイン酸もしくはその誘導体で変性されたスチレン系エラストマまたはポリオレフィンとは、重合時または重合後のポリマーにマレイン酸もしくはその誘導体を反応させ、共重合あるいはグラフト変性させたものである。このポリオレフィンおよびスチレン成分を含むエラストマとしては前述したスチレン系エラストマおよびポリオレフィンと同じものを用いることができるが、特にスチレン系エラストマとしてはSEBS、SEEPS、SEPSが好適である。マレイン酸変性に供するポリオレフィンとしては、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン・1共重合体、LLDPE、EEA、EVAが好適である。マレイン酸の誘導体としてはマレイン酸の金属塩、アミド、エステル、無水物等があり、中でも無水マレイン酸が最も好ましい。
(金属水酸化物)
金属水酸化物としては水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、ハイドロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、ハードクレー等を挙げることができ、これらの単独または2種以上をブレンドして用いることができる。難燃化効果の高い水酸化マグネシウムが最も好適である。
(カチオンポリマー)
本発明で金属水酸化物の表面処理に用いられるカチオンポリマーは、カチオン性基を有する水溶性ポリマーのうち、無機充填剤や無機顔料の分散剤・表面処理剤として使用できるものであれば特に制限なく使用可能である。好ましくは、例えばジアリルアミン塩基、アルキルジアリルアミン塩基など第二級アミン塩基を有する合成ポリマーである。
金属水酸化物へのカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤の固形分処理量は、金属水酸化物100質量部当たり0.01〜1質量部添加し、その処理方法は、乾式、湿式処理どちらの方法でも良い。具体的には、(a)乾式法:例えば、ヘンシェルミキサーやハイスピードミキサーのような高速攪拌機に金属水酸化物と所定量のカチオン性コポリマー分散剤を同時に添加し、粉砕時の新生表面に表面処理を行う方法、(b)湿式法:ビーズミル等に水酸化マグネシウムと水とカチオン性コポリマー分散剤を添加し、表面処理を行い、ついで乾燥、解砕、分級を行う方法、が挙げられる。
また、カチオン性基を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した金属水酸化物を、さらに、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤で処理したものも、本発明の電線・ケーブル被覆材料に使用することができ、これらをカチオン性基を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した金属水酸化物と併用することも可能である。
金属水酸化物のなかでは、前述したように水酸化マグネシウムが最も好適であるが、カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施す際に用いる水酸化マグネシウムには、大別して、合成品と天然産水酸化マグネシウム鉱石(ブルーサイト)を粉砕した天然品があり、特に制限なく用いることができる。カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施す際に用いる水酸化マグネシウムの平均二次粒子径は、50nm〜10μmの範囲のものが好ましい。コンパウンドの透明性を保つために特に微粒子化(平均粒経100nm)された合成品も使用可能である。一般に天然品の方が合成品より安価であり、経済的に有利である。
金属水酸化物の総混和量は、ポリマー100質量部に対して30〜300質量部が好ましい。30質量部未満では難燃化効果が小さく、300質量部をえると機械的物性が低下し、電線ケーブル用被覆材として機能しない。
(脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤)
金属水酸化物は、カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物と脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された金属水酸化物を混合して使用することができる。脂肪酸としてはラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの飽和脂肪酸やオレイン酸、エルカ酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。脂肪酸誘導体としては前記飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の金属塩が挙げられ、特にステアリン酸ナトリウムが好適である。カップリング剤としてはシランカップリング剤やチタネートカップリング剤などが挙げられ、特にビニルシラン、アミノシラン、メタクリルシランが好適である。
カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物と脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された金属水酸化物を併用した場合、耐外傷性と伸びを高度にバランスさせることが可能となる。カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物は樹脂100質量部に対して80質量部以上添加することが好ましい。
なお、これらの樹脂組成物には必要に応じて難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、架橋剤、金属キレート剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加物を加えることが出来る。
難燃助剤としてはポリリン酸アンモニウム、赤リン、リン酸エステルなどのリン系難燃剤、ポリシロキサン等のシリコーン系難燃剤、メラミンシアヌレート、シアヌル酸誘導体などの窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛などのホウ酸化合物、モリブデン化合物などを挙げることができる。
本発明のノンハロゲン難燃性電線の一実施例の構造を図1に示す。
この電線は、7本の導体1を撚り合わせて、その外側に絶縁体2を設けたものである。
このような電線を以下の要領で作成した。
まず、予め表1に示した材料組成を有する各種樹脂組成物を160℃に予熱した73mm二軸混線機(神戸製鋼製KTX73)で混練、ペレット化し、電線被覆用材料とした。次に、0.5SQの銅撚り線軽圧縮導体に表1に示す各種樹脂組成物を65mm押出機を用いて被覆厚0.35mmで押出し、図1に示す電線とした。芯線加熱温度は80℃に設定し、240m/minの速度で製造した。
表1に実施例1〜17、比較例1〜4に用いた材料と評価結果を示す。
Figure 0003922240
表1に示す樹脂組成物は以下の要領で作製した。
(マレイン酸変成物の作製)
EEA(エチルアクリレート含量15%、メルトインデックス0.8g/10min)またはエチレンブテン共重合体(比重0.893、メルトインデックス1.2g/10min)100質量部に対し無水マレイン酸(日本油脂製クリスタルMAN)1.0質量部、ジクミルパーオキサイド0.15質量部をドライブレンドし、240℃に予熱した73mm二軸混練機(神戸製鋼製KTX73)で混練した。得られた変性樹脂を厚さ約100μmにプレス成形した後真空乾燥し、そのフィルムをFT−IR測定した。1786cm-1に現れる無水マレイン酸中のカルボニル基の吸収から次式に従い吸光度Dを求めた。
D=1/(試料厚さ)×log(I0/I)(I0=100%透過光強度、I=1786cm-1の透過光強度)
一方、無水マレイン酸の四塩化炭素溶液を用いて無水マレイン酸濃度対吸光度Dの検量線を作製することにより変性樹脂の無水マレイン酸グラフト量を算出した。その結果、EEA、エチレンブテン共重合体の無水マレイン酸グラフト量はそれぞれ0.8wt%、0.5wt%であることがわかった。無水マレイン酸変性量が既知のSEBS変性物(グラフト変性量2.0wt%)も併せて検討に用いた。
カチオンポリマー表面処理水酸化マグネシウムは以下の物を使用した。水酸化マグネシウム(天然産ブルーサイト)と水のスラリーにカチオン性コポリマー表面処理剤(ジアリルアミン塩酸塩−アクリルアミド共重合体)を作用させ、水酸化マグネシウム(A)を得た。また、水酸化マグネシウム(天然産ブルーサイト)に代えて合成水酸化マグネシウムを用いて同様に、カチオン性コポリマー表面処理剤で表面処理を施した水酸化マグネシウム(B)を得た。
各種樹脂組成物は160℃に予熱した73mm二軸混練機(神戸製鋼製KTX73)で混練、ペレット化し、電線被覆用材料とした。
電線は以下の要領で作製した。0.5SQの銅撚り線圧縮導体に表1に示す樹脂組成物を65mm押出機を用いて被覆厚0.35mmで押出し、電線を作製した(図2)。芯線加熱温度は80℃に設定し、240m/minの速度で製造した。
電線の評価は以下に示す方法で行った。
(1)耐外傷性試験
図5及び図6に示すアルミ製プーリーを2500rpmで回転させ、張力50Nで張った電線を2.5Nの押付け力で2秒間プーリーに押付け、電線表面を高速回転するプーリーで削った。電線がプーリーによって削られた面積を計測し、耐外傷性を評価した。プーリーによる削れの面積が1.0mm2未満を◎、1.0mm2以上3.0mm2未満を○、3.0mm2以上を×と判定し、3.0mm2未満のもの(◎および○)を合格とした。
(2)引張試験
作製した電線120mmから導体を除去したチューブ形状で、引張速度200mm/min引張試験を行い、破断時の伸び、引張強さを測定した。各配合につき5点行い、その平均を表1に示した。伸びが100%以上、引張強さ10MPa以上のものを合格とした。伸びは100%以上200%未満のものを○、200%以上のものを◎、100%未満を×とし、引張強さは10MPa以上20MPa未満のものを○、20MPa以上のものを◎、10MPa未満のものを×とした。
表1の結果から明らかな様に、実施例1〜17で例示されるように、スチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物により被覆層を形成したノンハロゲン難燃性電線は、耐外傷性に優れ十分な伸びを有している。
カチオンポリマー表面処理水酸化マグネシウムの添加量が規定値未満の比較例1は耐外傷性に劣り、逆に添加量が規定値以上の比較例2は伸びが低下している。水酸化マグネシウムの表面処理剤としてビニルシランを用いた比較例3は耐外傷性が劣っている。スチレン系エラストマを使用しない比較例4は耐外傷性が劣っている。
また、表面処理剤としてカチオンポリマーを使用した実施例の中でも、合成水酸化マグネシウムを使用した実施例2は、天然水酸化マグネシウムを使用した実施例3より耐外傷性に優れていた。また合成水酸化マグネシウムを使用していても、ポリオレフィンとしてHDPEを使用した実施例4やEEAを使用した実施例5より、PPを使用した実施例2の方が耐外傷性改良に有利であった。
スチレン系エラストマとポリオレフィンのいずれかまたは両方がマレイン酸もしくはその誘導体で変性された実施例6〜17は耐外傷性がさらに改良されていた。特にマレイン酸濃度が0.05〜1.80質量%である実施例6〜14および実施例16の場合、耐外傷性の著しい向上が見られ、マレイン酸変性ポリマーとカチオンポリマーで表面処理した金属水酸化物を併用することによる相乗的な効果が確認できた。削れ面積が1.0mm2未満と最も小さくなるのは、カチオンポリマーで表面処理した金属水酸化物が80部以上混和され、かつマレイン酸濃度が0.3〜0.7質量%の実施例8〜13であった。
この中でもカチオンポリマーで表面処理された水酸化マグネシウムと、脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムを混合して用いた実施例9ないし実施例11〜13は耐外傷性と伸び両方の特性が優れていた。カチオンポリマーで表面処理された水酸化マグネシウムの添加量が比較的少ない実施例6、14、15は耐外傷性に裕度がないことから、当該水酸化マグネシウムの添加量は80質量部以上が好ましい。
ポリマー中のマレイン酸含有量が0.05質量%以下の実施例15は耐外傷性に合格するが裕度がなくなり、1.8質量%以上の実施例17はポリマーと水酸化マグネシウムの凝集力が過剰となるため、伸びに裕度のないものとなった。このため、樹脂中のマレイン酸含有量は0.05〜1.80質量%の範囲が最も好ましいといえる。
また、実施例1と実施例5を比較すると、混合樹脂に占めるスチレン系ポリマーの比率が50%以下の方が、引張強さがより大きいことが分かった。
なお、絶縁電線のサイズは今回作製した0.5SQに限らず、あらゆるサイズ・構造の絶縁電線に適用可能である。例えば盤内配線用、車両用、自動車用、機器用、電力用のノンハロゲン電線に応用が可能である。また、電線の変形構造例として、図2に示すように、絶縁体を複数の層として最外層に本実施例の樹脂組成物を適用した絶縁体2とし、内層に異なる樹脂組成物を用いた絶縁体内層3としても良い。
また、複数の絶縁電線をカッド撚合わせ、介在層5を介して形成された押え巻き6の外層に、本実施例の樹脂組成物を適用したシース4を被覆したり(図3)、絶縁電線を対撚りして対撚り線8としたものをシールド層7を介してその外側に、本実施例の樹脂組成物を適用したシース4を被覆したり(図4)して、制御用、電力用、通信用ケーブルとすることもできる。また、絶縁電線を撚らずに束ねて上記のような構造のケーブルとすることもできる。更に、必要に応じて有機化酸化物、電子線照射、その他の化学反応により絶縁体2またはシース4を架橋することが出来る。
本発明のノンハロゲン難燃性電線の一実施例を示す断面図である。 本発明のノンハロゲン難燃性電線の他の実施例を示す断面図である。 本発明のノンハロゲン難燃性ケーブルの一実施例を示す断面図である。 本発明のノンハロゲン難燃性ケーブルの他の実施例を示す断面図である。 実施例における耐外傷性試験に用いたアルミ製プーリーを示す斜視図である。 図5のA部分の拡大断面図である。
符号の説明
1 導体
2 絶縁体
3 絶縁体内層
4 シース
5 介在層
6 押え巻き
7 シールド層
8 対撚り線

Claims (5)

  1. 金属導体の外周に形成される被覆層が、スチレン系エラストマ100質量部又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物からなることを特徴とするノンハロゲン難燃性電線。
  2. 前記スチレン系エラストマもしくはポリオレフィンのいずれかまたは両方が、マレイン酸もしくはその誘導体で変性され、スチレン系エラストマ中のマイレン酸濃度又はスチレン系エラストマとポリオレフィン混合樹脂中のマレイン酸濃度が0.05〜1.80質量%であることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン難燃性電線。
  3. 前記スチレン系エラストマに混和される金属水酸化物又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂に混和される金属水酸化物が、前記カチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物と、脂肪酸または脂肪酸誘導体またはカップリング剤で表面処理された金属水酸化物の混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のノンハロゲン難燃性電線。
  4. 前記混合樹脂のうち、スチレン系エラストマの比率が15〜50質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のノンハロゲン難燃性電線。
  5. 撚合わせ又は束ねられた複数の絶縁電線の外周に設けられたシースが、スチレン系エラストマ100質量部又はスチレン系エラストマとポリオレフィンの混合樹脂100質量部に対して、少なくともカチオンポリマーで表面処理された金属水酸化物を含む金属水酸化物を30〜300質量部混和した樹脂組成物からなることを特徴とするノンハロゲン難燃性ケーブル。
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