JP2013018932A - ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにそれにより被覆された電線及びケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上を図る。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100質量部と、難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下と、難燃補助剤を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下と、を含有し、比重が1.16以下であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100質量部と、難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下と、難燃補助剤を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下と、を含有し、比重が1.16以下であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物と同等の難燃性を有し、比重がPVC組成物よりも小さくて比重分別が可能であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにそれにより被覆された電線及びケーブルに関する。
従来から、自動車用内装材、建材、日用品などに軟質塩化ビニル樹脂組成物が広く用いられてきた。軟質塩化ビニル樹脂組成物は、安価で加工性に優れ、可塑剤の添加量により柔軟性を自在に変化させることができる。さらに自己消化性で機械特性も比較的良好であるなどの利点がある。
しかし、この軟質塩化ビニル樹脂組成物においては、可塑剤の移行に起因するそれ自体の脆化や周辺部位の汚染の問題がある。またハロゲンである塩素を含むことから、これを焼却処分する際に、有害なダイオキシンなどの有機化合物が発生する。さらに、安定剤として環境汚染の恐れがある鉛化合物を使用することがあるなどの不都合も多い。
しかし、この軟質塩化ビニル樹脂組成物においては、可塑剤の移行に起因するそれ自体の脆化や周辺部位の汚染の問題がある。またハロゲンである塩素を含むことから、これを焼却処分する際に、有害なダイオキシンなどの有機化合物が発生する。さらに、安定剤として環境汚染の恐れがある鉛化合物を使用することがあるなどの不都合も多い。
上述の課題を解決する手段としていくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。例えば特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂に、難燃剤としての金属水和物と、シリコンや酸化物等の難燃補助剤とを添加して得られたノンハロゲン難燃性樹脂組成物が開示されている。特許文献1に開示されたノンハロゲン難燃性樹脂組成物によれば、上述の問題が改善される。
ところが、難燃剤として金属水和物を多量に添加すると、強度が低下し白化などが生じるおそれがある。金属水和物とリン系難燃剤を併用した場合、リン系難燃剤の影響で綺麗な着色が出しづらくなるという問題もある。また金属酸化物系の難燃補助剤が水分を吸収し絶縁性が低下するため、使用が制限されてしまう。昨今、電線被覆材料に対する信頼性の向上を図るため、難燃性のさらなる向上が求められている。そのため、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上が求められていた。
以上より、本発明の目的は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上を図ることを要旨とする。
以上より、本発明の目的は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上を図ることを要旨とする。
本発明の第1の態様は、ポリオレフィン系樹脂100質量部と、難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下と、難燃補助剤を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下と、を含有し、比重が1.16以下であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(2)本発明の第2の態様は、ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-エチルアクリレート60〜80質量部と、エチレン酢酸ビニル20〜40質量部の混合物であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(3)本発明の第3の態様は、難燃補助剤が、モリブデン酸無機化合物単体もしくはモリブデン無機化合物で表面処理された無機酸化物であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(4)本発明の第4の態様は、難燃補助剤が、モリブデン酸カルシウム、もしくはモリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウムであるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(5)本発明の第5の態様は、比重が1.14より大きく1.16以下であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(6)本発明の第6の態様は、上述のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆された電線を要旨とする。
(7)本発明の第7の態様は、上述のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆されたケーブルを要旨とする。
(2)本発明の第2の態様は、ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-エチルアクリレート60〜80質量部と、エチレン酢酸ビニル20〜40質量部の混合物であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(3)本発明の第3の態様は、難燃補助剤が、モリブデン酸無機化合物単体もしくはモリブデン無機化合物で表面処理された無機酸化物であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(4)本発明の第4の態様は、難燃補助剤が、モリブデン酸カルシウム、もしくはモリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウムであるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(5)本発明の第5の態様は、比重が1.14より大きく1.16以下であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物を要旨とする。
(6)本発明の第6の態様は、上述のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆された電線を要旨とする。
(7)本発明の第7の態様は、上述のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆されたケーブルを要旨とする。
本発明によれば、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上を図ることができる。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部と、難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下と、難燃補助剤を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下と、を含有し、比重が1.16以下である。上述の成分比にすることで、比重を1.6以下に調整することができる。またノンハロゲン難燃性樹脂組成物の絶縁性や強度、外観特性を維持しつつ、さらなる難燃性の向上を図ることができる。本実施形態に用いられる各成分や比重等について、以下に説明する。
[ポリオレフィン系樹脂]
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン−エチレン−プロピレンゴム(EPR)、およびオレフィン系共重合体を用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン−エチレン−プロピレンゴム(EPR)、およびオレフィン系共重合体を用いることができる。
またこれらのポリオレフィン樹脂の重合時または重合後に、無水マレイン酸やアクリル酸等の不飽和カルボン酸、あるいはこれらの誘導体を反応させて、変性させた酸変性ポリオレフィンも使用できる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。
特にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)は、樹脂自体の難燃性が比較的高いので好ましく、これらをそれぞれ単独で、あるいは他の樹脂と適宜混合して用いることが好ましい。例えばEEA樹脂と、EVA樹脂を混合して用いる場合は、EEA60〜80質量部と、EVA20〜40質量部の混合物であることが好ましい。なお、EEA,EVAの含有量は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、EEA39.9〜53.2質量%程度、EVA13.3〜27.5質量%程度とすることができる。
特にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)は、樹脂自体の難燃性が比較的高いので好ましく、これらをそれぞれ単独で、あるいは他の樹脂と適宜混合して用いることが好ましい。例えばEEA樹脂と、EVA樹脂を混合して用いる場合は、EEA60〜80質量部と、EVA20〜40質量部の混合物であることが好ましい。なお、EEA,EVAの含有量は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、EEA39.9〜53.2質量%程度、EVA13.3〜27.5質量%程度とすることができる。
[難燃剤]
難燃剤としては、脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を用いることができる。例えば(1)ポリオルガノシロキサンにより表面処理された水酸化マグネシウム(信越化学工業(株)社製、商品名「X−22−1894A」)、(2)脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウム(神島化学社製、商品名「マグシーズN-6」)を、オルガノシロキサンで表面処理したもの(信越化学工業(株)製、商品名「FRX−107」)等を用いることができる。
難燃剤としては、脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を用いることができる。例えば(1)ポリオルガノシロキサンにより表面処理された水酸化マグネシウム(信越化学工業(株)社製、商品名「X−22−1894A」)、(2)脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウム(神島化学社製、商品名「マグシーズN-6」)を、オルガノシロキサンで表面処理したもの(信越化学工業(株)製、商品名「FRX−107」)等を用いることができる。
難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下が好ましく、45質量部よりも大きく50質量部以下がより好ましい。なお、難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物の配合量は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、19.2〜32.6質量%程度とすることができる。
[難燃補助剤]
難燃補助剤としては、少量の添加で難燃性の向上に寄与する材料であれば有機物、無機物のいずれでもよい。難燃補助剤としては、高温(例えば500℃以上)で、殻状の断熱層を形成するようなもの、また高温(例えば400℃)によって著しく発泡してその中に水蒸気(水)を閉じこめるような作用を生ずるもの、もしくはそれらの効果を同時に生じるようなものが好ましい。例えば(1)オクタモリブデートアンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKR−803」)、(2)モリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKN−545」)、(3)リンモリブデンアンモニウム、(4)モリブデン酸カルシウムを用いることができる。
難燃補助剤の配合量としては、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上5質量部以下がより好ましい。なお、難燃補助剤の配合量は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、2.0〜7.6質量%程度とすることができる。
難燃補助剤としては、少量の添加で難燃性の向上に寄与する材料であれば有機物、無機物のいずれでもよい。難燃補助剤としては、高温(例えば500℃以上)で、殻状の断熱層を形成するようなもの、また高温(例えば400℃)によって著しく発泡してその中に水蒸気(水)を閉じこめるような作用を生ずるもの、もしくはそれらの効果を同時に生じるようなものが好ましい。例えば(1)オクタモリブデートアンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKR−803」)、(2)モリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKN−545」)、(3)リンモリブデンアンモニウム、(4)モリブデン酸カルシウムを用いることができる。
難燃補助剤の配合量としては、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上5質量部以下がより好ましい。なお、難燃補助剤の配合量は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、2.0〜7.6質量%程度とすることができる。
[安定剤]
安定剤としては、例えば(1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス#1010)、(2)ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、登録商標「チヌビン111FD」)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上0.2質量部以下が好ましい。なお、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、0.06〜0.15質量%程度とすることができる。
安定剤としては、例えば(1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス#1010)、(2)ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、登録商標「チヌビン111FD」)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上0.2質量部以下が好ましい。なお、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の全質量基準で、0.06〜0.15質量%程度とすることができる。
[比重]
ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の比重は、1.16以下であることが好ましく、1.14よりも大きく1.16以下であることがより好ましい。湿式分離方法による分別において、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の比重が1.14以下であるとPVCとの分別が困難となり、また比重が1.16を超えると比重液の廃液処理が困難となるからである。
ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の比重は、1.16以下であることが好ましく、1.14よりも大きく1.16以下であることがより好ましい。湿式分離方法による分別において、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の比重が1.14以下であるとPVCとの分別が困難となり、また比重が1.16を超えると比重液の廃液処理が困難となるからである。
近年、地球環境保全及び資源の有功活用の観点から、資源のリサイクルが重要視され、再利用再資源化技術の開発が望まれている。例えば、回収されたプラスチックは、リサイクルするため、もしくは燃焼時にダイオキシンを発生するポリ塩化ビニル(PVC)を除去するために、例えば一様に流れる水等の比重液中にプラスチックを投入してプラスチックの比重差を用いて分離する湿式分離方法により分別される。湿式分離方法では、比重が水より軽いポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)と、水より比重が重いPVCとを分離することは容易である。しかし、水より比重が重い樹脂同士を分離することは困難であった。そのため、回収されたプラスチックの全てが再利用されるわけではなく、PVCが含まれると思われる一部のプラスチックについては、埋め立て処分されることもあった。しかし、本実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、上述の範囲の比重を有することから、湿式分離方法によって簡易にPVCから分別することができる。なお、一般にPVCの比重は1.3と考えられていることより、湿式分離方法において、重液等を用いて比重液の比重を1.16よりも高く1.3未満に調整することで、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物とPVCとを分離することができる。
[特性]
実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、電線被覆材料に要求される基本特性としての、難燃性、耐摩耗性、耐外傷性、及び耐熱性に優れる。また環境暴露下での絶縁性に優れている。すなわちPVCと同等の自消性の難燃性を有する樹脂組成物が得られる。ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は火災時に燃え難く、発煙量も少ない。またハロゲンを含まないので、燃焼時にダイオキシンやハロゲンガス等の有毒ガスを発生しないので、焼却処分することができ、火災時にも有毒ガスを発生しない。また比重がPVCよりも小さいので、流水を比重液に用いた比重分別によってPVCと容易に分別することができる。したがって分別回収によりリサイクルが可能となり、燃料として熱回収、あるいは材料として再利用することができる。さらにリン系化合物を含んでいないので環境上好ましく、鉛の溶出がないので埋立処分が可能である。
実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、電線被覆材料に要求される基本特性としての、難燃性、耐摩耗性、耐外傷性、及び耐熱性に優れる。また環境暴露下での絶縁性に優れている。すなわちPVCと同等の自消性の難燃性を有する樹脂組成物が得られる。ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は火災時に燃え難く、発煙量も少ない。またハロゲンを含まないので、燃焼時にダイオキシンやハロゲンガス等の有毒ガスを発生しないので、焼却処分することができ、火災時にも有毒ガスを発生しない。また比重がPVCよりも小さいので、流水を比重液に用いた比重分別によってPVCと容易に分別することができる。したがって分別回収によりリサイクルが可能となり、燃料として熱回収、あるいは材料として再利用することができる。さらにリン系化合物を含んでいないので環境上好ましく、鉛の溶出がないので埋立処分が可能である。
[用途]
実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、上述の特性を備えることより、様々な用途で用いることができる。例えば絶縁電線、電子機器配線用電線、自動車用電線、機器用電線、電源コード、屋外配電用絶縁電線、電力用ケーブル、制御用ケーブル、通信用ケーブル、計装用ケーブル、信号用ケーブル、移動用ケーブル、および船用ケーブルなどの各種電線・ケーブルの絶縁材、シース材、テープ類、および介在物として用いることができる。またケース、プラグ、およびテープなどの電線・ケーブル用付属部品(具体的には収縮チューブ、ゴムストレスリリーフコーン等)、電線管、配線ダクト、およびバスダクトなどの電材製品などに用いることができる。その他にも、農業用シート、水道用ホース、ガス管被覆材、建築内装材、家具材料、玩具材料およびフロア材などに用いることができる。
実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、上述の特性を備えることより、様々な用途で用いることができる。例えば絶縁電線、電子機器配線用電線、自動車用電線、機器用電線、電源コード、屋外配電用絶縁電線、電力用ケーブル、制御用ケーブル、通信用ケーブル、計装用ケーブル、信号用ケーブル、移動用ケーブル、および船用ケーブルなどの各種電線・ケーブルの絶縁材、シース材、テープ類、および介在物として用いることができる。またケース、プラグ、およびテープなどの電線・ケーブル用付属部品(具体的には収縮チューブ、ゴムストレスリリーフコーン等)、電線管、配線ダクト、およびバスダクトなどの電材製品などに用いることができる。その他にも、農業用シート、水道用ホース、ガス管被覆材、建築内装材、家具材料、玩具材料およびフロア材などに用いることができる。
[実施例・比較例]
表1、2に示す配合割合で各成分を配合し、混練機で混練して実施例及び比較例に係る樹脂組成物を得た。得られた結果をまとめて表1、2に示す。
[成分]
表1,2中の各成分の詳細は以下の通りである。
A.オレフィン系樹脂として、(1)エチレン-エチルアクリレート(EEA樹脂)(日本石油化学(株)社製、商品名「レクスパールA1150」、(2)エチレン酢酸ビニル(EVA樹脂)(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「エバフレックスEV460R」)を用いた。
B.難燃剤として、(1)ポリオルガノシロキサンにより表面処理された水酸化マグネシウム(信越化学工業(株)社製、商品名「X−22−1894A」)、(2)脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウム(神島化学社製、商品名「マグシーズN-6」)を、オルガノシロキサンで表面処理したもの(信越化学工業(株)製、商品名「FRX−107」)、(3)ステアリン酸により表面処理された水酸化マグネシウム(協和化学社製、商品名「キスマ5A」)を用いた。
C.難燃補助剤として、(1)オクタモリブデートアンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKR−803」)、(2)モリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKN−545」)、(3)リンモリブデンアンモニウム、(4)モリブデン酸カルシウムを用いた。
D.安定剤として、(1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス#1010)、(2)ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、登録商標「チヌビン111FD」)を用いた。
表1、2に示す配合割合で各成分を配合し、混練機で混練して実施例及び比較例に係る樹脂組成物を得た。得られた結果をまとめて表1、2に示す。
表1,2中の各成分の詳細は以下の通りである。
A.オレフィン系樹脂として、(1)エチレン-エチルアクリレート(EEA樹脂)(日本石油化学(株)社製、商品名「レクスパールA1150」、(2)エチレン酢酸ビニル(EVA樹脂)(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「エバフレックスEV460R」)を用いた。
B.難燃剤として、(1)ポリオルガノシロキサンにより表面処理された水酸化マグネシウム(信越化学工業(株)社製、商品名「X−22−1894A」)、(2)脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウム(神島化学社製、商品名「マグシーズN-6」)を、オルガノシロキサンで表面処理したもの(信越化学工業(株)製、商品名「FRX−107」)、(3)ステアリン酸により表面処理された水酸化マグネシウム(協和化学社製、商品名「キスマ5A」)を用いた。
C.難燃補助剤として、(1)オクタモリブデートアンモニウムで表面処理された水酸化アルミニウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKR−803」)、(2)モリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウム(キクチカラー(株)製、商品名「ボーエン SKN−545」)、(3)リンモリブデンアンモニウム、(4)モリブデン酸カルシウムを用いた。
D.安定剤として、(1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス#1010)、(2)ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、登録商標「チヌビン111FD」)を用いた。
[物性評価]
表1、2に挙げる物性について以下の基準に基づいて評価を行った。
(比重)
JISK7113に準じて比重を測定した。そして比重が1.16以下のものを「○」、1.16よりも大きいものを「×」とした。
(引張強度)
JISK7113に準じて引張強度を測定した。具体的には引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で試料の引張破断強度を測定した。そして、引張破断強度が10MPa以上である試料を合格とし、10MPa未満である試料を不合格とした。
(引張伸び)
JISK7113に準じて引張伸びを測定した。具体的には引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で試料の引張破断伸びを測定した。そして、引張破断伸びが250%以上である試料を合格とし、250%未満である試料を不合格とした。
(耐外傷性)
平面上に置かれている試料に対して、ハーネス用金属端子のエッジを500gの荷重で試料の表面に押し当てた状態で、試料を引き抜いたときの試料表面の傷の具合を観察することによって試料の耐外傷性を評価した。このとき、削れ屑が発生した試料は不合格とし、削れ屑が発生しない絶縁電線は合格とした。
(体積抵抗率)
JIS7140に準じて体積抵抗率を測定した。体積抵抗率(Ω・cm)が1.0×1014以上のものを「合格」、1.0×1014未満のものを「不合格」とした。
(耐水性)
表中の「温水V.R.1週間(Ω・cm)」、「温水V.R.2週間(Ω・cm)」は、それぞれ60℃での温水にて試料を1週間及び2週間、浸漬後の体積低効率を表し(堆積抵抗率)と同様の基準で測定したものである。
(難燃性)
JISC3005に準じて60度傾斜難燃性試験を行った。具体的には試料に炎に近づけてから燃焼を始めるまでの接炎時間(秒)を測定した。また、試料を炎に30秒間近づけた後、試料を炎から遠ざけた後に炎が消えたものを「○」、消えなかったものを「×」とした。表中、接炎時間/判定(○もしくは×)で表記した。
表1、2に挙げる物性について以下の基準に基づいて評価を行った。
(比重)
JISK7113に準じて比重を測定した。そして比重が1.16以下のものを「○」、1.16よりも大きいものを「×」とした。
(引張強度)
JISK7113に準じて引張強度を測定した。具体的には引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で試料の引張破断強度を測定した。そして、引張破断強度が10MPa以上である試料を合格とし、10MPa未満である試料を不合格とした。
(引張伸び)
JISK7113に準じて引張伸びを測定した。具体的には引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で試料の引張破断伸びを測定した。そして、引張破断伸びが250%以上である試料を合格とし、250%未満である試料を不合格とした。
(耐外傷性)
平面上に置かれている試料に対して、ハーネス用金属端子のエッジを500gの荷重で試料の表面に押し当てた状態で、試料を引き抜いたときの試料表面の傷の具合を観察することによって試料の耐外傷性を評価した。このとき、削れ屑が発生した試料は不合格とし、削れ屑が発生しない絶縁電線は合格とした。
(体積抵抗率)
JIS7140に準じて体積抵抗率を測定した。体積抵抗率(Ω・cm)が1.0×1014以上のものを「合格」、1.0×1014未満のものを「不合格」とした。
(耐水性)
表中の「温水V.R.1週間(Ω・cm)」、「温水V.R.2週間(Ω・cm)」は、それぞれ60℃での温水にて試料を1週間及び2週間、浸漬後の体積低効率を表し(堆積抵抗率)と同様の基準で測定したものである。
(難燃性)
JISC3005に準じて60度傾斜難燃性試験を行った。具体的には試料に炎に近づけてから燃焼を始めるまでの接炎時間(秒)を測定した。また、試料を炎に30秒間近づけた後、試料を炎から遠ざけた後に炎が消えたものを「○」、消えなかったものを「×」とした。表中、接炎時間/判定(○もしくは×)で表記した。
実施例8と比較例2の結果より、難燃補助剤が必要であることが示された
実施例6と比較例1の結果より、難燃補助剤は3質量部以上必要であることが示された。
比較例3〜比較例6の結果より、耐水性が悪いことが示された。一因として、実施例3と比較例3、実施例6と比較例5の対比より、難燃補助剤が防水性に影響を与えたものと考えられる。
実施例3と比較例6の結果より、難燃剤の表面がシリコンにより表面処理されていないと難燃性が得られないことが示された。
実施例7と比較例7の結果より、難燃剤がオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部未満では難燃性が得られないことが示された。
比較例8と比較例9の結果より、難燃剤と難燃補助剤の合計量が60質量部以上になると比重が1.6以下にならないことが示された。
実施例6と比較例1の結果より、難燃補助剤は3質量部以上必要であることが示された。
比較例3〜比較例6の結果より、耐水性が悪いことが示された。一因として、実施例3と比較例3、実施例6と比較例5の対比より、難燃補助剤が防水性に影響を与えたものと考えられる。
実施例3と比較例6の結果より、難燃剤の表面がシリコンにより表面処理されていないと難燃性が得られないことが示された。
実施例7と比較例7の結果より、難燃剤がオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部未満では難燃性が得られないことが示された。
比較例8と比較例9の結果より、難燃剤と難燃補助剤の合計量が60質量部以上になると比重が1.6以下にならないことが示された。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆された電線や、ケーブルが提供される。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、実施形態にかかるノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆された電線や、ケーブルが提供される。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
Claims (7)
- ポリオレフィン系樹脂100質量部と、
難燃剤として脂肪族及びシリコンにより表面処理された金属水酸化物を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して25質量部以上50質量部以下と、
難燃補助剤を前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下と、を含有し、
比重が1.16以下であることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物。 - 前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-エチルアクリレート60〜80質量部と、エチレン酢酸ビニル20〜40質量部の混合物であることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記難燃補助剤が、モリブデン酸無機化合物単体もしくはモリブデン無機化合物で表面処理された無機酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記難燃補助剤が、モリブデン酸カルシウム、もしくはモリブデン酸カルシウムで表面処理された炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 前記比重が1.14より大きく1.16以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆されたことを特徴とする電線。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物で被覆されたことを特徴とするケーブル。
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2011
- 2011-07-14 JP JP2011155531A patent/JP2013018932A/ja active Pending
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