JP3921953B2 - マスク、マスクの製造方法、微細構造体の製造方法、及び液晶ディスプレイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネル、半導体基板、マイクロ・エレクトロニクス・ミラー・デバイス(MEMS)基板などに形成され微細な立体構造体を製造するのに適した製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは、軽量で小型(薄型)および低消費電力という優れた点を生かし、携帯電話機の表示パネル、ノートパソコンまたはPDA(パーソナルデータ機器)などのディスプレイとして、急速に需要が高まっている。特に、反射型の表示パネル(液晶パネル)は、液晶層を透過した光を反射型の電極を用いて再び液晶層の方向に反射させ、所望の画像を表示するものであり、自然光または照明光などの周囲光を光源とすることができる点で、携帯電話機の1つの大きな課題である電池による長時間駆動を可能とする重要なファクタとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
反射型の液晶パネルは、表示のカラー化が進む中で、さらに明るいものが要求されている。したがって、反射型の表示パネルに用いられ、反射体としての機能を果たす、反射型の電極などの反射効率を向上し、光の利用効率を良くすることが重要である。そのために、反射体(反射面)の形状は、単純な凹凸状でなく、例えば、曲面、あるいは多階段状の反射面にすることで、配光性を高めることが検討されている。さらに、半球状などの単純な曲面ではなく、反射方向を瞳の方向にして光の利用効率を高められるように、最適な反射面の形状が求められている。尚、前記反射面の形状は、フォトリソグラフィー技術により実現することができる。
【0004】
ところで、反射面が構造の内部にある、所謂内面反射構造の液晶パネルにおいては、前記反射面は前記液晶層(セル)を駆動する電極を兼ねるか、電極と隣接した層となっている。また、前記反射面の背面には駆動回路がさらに積層されている。前記電極と前記駆動回路は画素ごとに電気的に接続されなければならない。一般にこの接続は、コンタクトホールと呼ばれる、反射体を貫通する穴で導通をとることによって行われる。よって、内面反射構造の液晶パネルにおいては、前記コンタクトホールを形成する加工が不可欠となる。そして、前記コンタクトホールもまた、フォトリソグラフィー技術により形成される。
さて、液晶パネルのコストは、工程数によるところが大きいのはいうまでもない。よって、液晶パネルの製造において、工程数の削減は常に強く求められている。そして、前記反射面の形成、及び前記コンタクトホールの形成の工程は著しく類似している。にもかかわらず、従来の液晶パネルの製造工程において、それらは別々の工程となっていた。これら2つの工程が必要とされることは、液晶パネルのコストダウンに大きな足かせとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、前記反射面と前記コンタクトホールを形成するパターンを併せて1枚のマスクに記録し、1回のフォトリソグラフィー工程で一度に製造することを可能にするマスク、前記マスクの製造方法、前記反射面及び前記コンタクトホール等の微細構造体の製造方法を提供することを目的としている。即ち、液晶パネルの工程数を大幅に少なくし、明るい液晶パネルを低コストで製造する方法を提供することを目的としている。言い換えれば、曲面、任意の角度を備えた面、多段階な構造などの複数の要素から成る微細形状を持つ微細構造体を量産する際に、工数を増やさずに製造可能にすることを目的としている。あるいはさらに、液晶パネル以外の一般の微細加工に応用すれば、精度の高い製品を歩留り良く、短時間で製造できる微細構造体の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の3値マスクは、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を制御可能なマスクにおいて、
第一の透過率を有する第一の層と第二の透過率を有する第二の層より構成され、前記第一の層及び第二の層のパターンの組み合わせにより3段階に前記加工媒体の透過量を制御可能な3値マスクであって、
前記第一の層及び第二の層には、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率で前記加工媒体の透過量を制御するような異なるパターンが形成されていることを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の多値マスクは、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を制御可能なマスクにおいて、
第一の透過率を有する第一の層から、同様に第nの透過率を有する第nの層までの複数の層より構成され、前記第一の層から第nの層のパターンの組み合わせによりn以上の段階に前記加工媒体の透過量を制御可能なであって、
前記第一から第nまでの各層には、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率で前記加工媒体の透過量を制御するような異なるパターンが形成されていることを特徴とする。
【0008】
(3)本発明の多値マスクは、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を制御可能なマスクにおいて、
離散的な複数の段階をもって、あるいは段階なく連続して前記加工媒体の透過量を微小な領域ごとに制御可能な多値マスクであって、
前記加工媒体の透過量をある値Aからある値Bまでの第一の範囲で制御する第一の領域と、ある値Cからある値Dまでの第二の範囲で制御する第二の領域とより構成されることを特徴とする。
【0009】
(4) 本発明の2値マスクは、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を2段階に制御可能な2値マスクであって、
前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率で前記加工媒体の透過量を制御するようなパターンである第一の領域と、
前記加工媒体を一様に透過または遮蔽するようなパターンである第二の領域より構成されることを特徴とする。
【0010】
(5)本発明の2値または3値または多値マスクは、第1項または第2項または第4項において、前記ドットのオン・オフはディザパターン法または誤差拡散法により決定されていることを特徴とする。
【0011】
(6)本発明の2値または3値または多値マスクは、第1項または第2項または第4項において、前記ドットの面積比率は、該ドットの面積を変化させることで決定されていることを特徴とする。
【0012】
(7)本発明の2値または3値または多値マスクは、第1項または第2項または第3項または第4項において、前記被加工体は光感応性部材であり、前記加工媒体は光であり、前記加工装置は露光装置であることを特徴とする。
【0013】
(8)本発明の2値または3値または多値マスクは、第7項において 請求項7において、前記露光装置の光源の波長λ、前記露光装置の結像系のレンズの開口NAとすると、前記ドットのピッチPは、次の式を満足することを特徴とする。
P<λ/NA
【0014】
(9)本発明の3値マスクの製造方法は、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を3段階に制御可能な3値マスクの製造方法であって、
所望の第一の加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率に変換し、それらのドットを当該3値マスクの第一の層に形成する工程と、
所望の第二の加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率に変換し、それらのドットを当該3値マスクの第二の層に形成する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
(10)本発明の多値マスクの製造方法は、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量をn以上の離散的な段階をもって多段階に制御可能な多値マスクの製造方法であって、
所望の第nの微細加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率に変換し、それらのドットを当該多値マスクの第nの層に形成する工程を有することを特徴とする。
【0016】
(11)本発明の多値マスクの製造方法は、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を多段階あるいは段階なく連続して前記加工媒体の透過量を微小な領域ごとに制御可能な多値マスクの製造方法であって、
所望の第一の微細加工を行う前記加工媒体の透過量を、 前記加工媒体の透過量をある値Aからある値Bまでの第一の範囲の値に変換し、当該多値マスクに形成する工程と、
所望の第二の微細加工を行う前記加工媒体の透過量を、 前記加工媒体の透過量をある値Cからある値Dまでの第二の範囲の値に変換し、当該多値マスクに形成する工程に形成する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
(12)本発明の2値マスクの製造方法は、加工装置にセットされ、被加工体に対する加工効果が蓄積される加工媒体の透過量を2段階に制御可能な2値マスクの製造方法でであって、
所望の第一の微細加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率に変換し、それらのドットを当該2値マスクの第一の領域に形成する工程と、
所望の第二の微細加工を行う前記加工媒体の透過量を、 前記加工媒体を一様に透過または遮蔽するようなパターンに変換し、それらのパターンを当該2値マスクの第二の領域に形成する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
(13)本発明の2値、3値あるいは多値マスクの製造方法は、第9項または第10項または第12項において、前記ドットの面積比率はディザパターン法または誤差拡散法により決定することを特徴とする。
【0019】
(14)本発明の2値、3値あるいは多値マスクの製造方法は、第9項または第10項または第12項において、前記ドットの面積比率は該ドットの面積を変化させることにより決定することを特徴とする。
【0020】
(15)本発明の2値、3値あるいは多値マスクの製造方法は、第9項または第10項または第11項または第12項において、請求項9または請求項10または請求項11または請求項12において、前記被加工体は光感応性部材であり、前記加工媒体は光であり、前記加工装置は露光装置であることを特徴とする。
【0021】
(16)本発明の2値、3値あるいは多値マスクの製造方法は、第15項において、露光装置の光源の波長λ、前記露光装置の結像系のレンズの開口NAとすると、前記ドットのピッチPは、次の式を満足することを特徴とする。
P<λ/NA
【0022】
(17) 本発明の微細構造体の製造方法は、第1項または第2項または第3項または第4項において、前記マスクを前記加工装置にセットして前記被加工体を加工する工程を有することを特徴とする。
【0023】
(18) 本発明の微細構造体の製造方法は、第17項において、前記加工された前記光感応性部材が該微細構造体であることを特徴とする。
【0024】
(19)本発明の微細構造体の製造方法は、第17項において、前記加工された前記光感応性部材を用いて該微細構造体を形成する工程を有することを特徴とする。
【0025】
(20)本発明の微細構造体の製造方法は、第18項において、前記加工された前記光感応性部材に反射性の部材を塗布して反射体を形成することを特徴とする。
【0026】
(21)本発明の微細構造体の製造方法は、第19項において、前記加工された前記微細構造体に反射性の部材を塗布して反射体を形成することを特徴とする。
【0027】
(22)本発明の微細構造体の製造方法は、第19項または第20項において、反射体は、液晶用の反射板であることを特徴とする。
【0028】
(23)本発明の液晶ディスプレイの製造方法は、偏光板、前記偏光板と協同して光をオン・オフする液晶層、前記液晶層を駆動する電極、前記電極に電圧を印加して前記液晶層を駆動する駆動回路、外部からの入射光を反射し、該反射光をもって液晶層を内面から照明する反射層、前記反射層を貫通して前記電極と前記駆動回路を接続するコンタクトホールを有する反射型液晶ディスプレイにおいて、
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4の前記マスクを前記加工装置にセットして前記反射層及びコンタクトホールを形成することを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1に、反射型の液晶パネルが搭載された端末機器として携帯電話機を示してある。本例の携帯電話機1は、データの表示パネルとして反射型の液晶パネル10が採用されており、明るい場所では、上方からの自然光または明光70を光源として画像を表示できる。したがって、液晶パネルのバックライトを省略あるいはバックライトを必要とする時間を減らすことができるので薄型で省電力タイプの携帯電話機となっている。
【0030】
このため、本例の液晶パネル10は、液晶層(セル)12と反射電極となる層(反射体)20が積層された構成になっている。本例の反射層(反射体)20は、図2に示すように、アルミニウム製で、断面でみると曲面で構成された微細な凹凸が複数配置された反射面21を備えている。この反射面21に、液晶セル12を透過した外部からの光71が入ると、この反射面21で反射し、再び液晶セル12の方向に出射光72を出力する。その結果、本例の液晶パネル10では、外光により、液晶セル12に表示された所望の画像をユーザ90は見ることができる。液晶パネルとしては、明るく、色再現性が良い表示性能が高いものが常に要求されているが、本例の液晶パネル10においては、反射面21の反射方向を適切に制御することにより、入射した光71の利用効率を向上し、バックライトを用いずに低消費電力でありながら表示性能が高く、明るい液晶パネルを提供可能にしている。
【0031】
上記に述べたような、反射する光72の配光を高める所望の反射面21を得るために、反射体20の形状は、種々の条件を満たすように最適化されている。このため、反射体20の面21の側は、単純な半球状の凹凸でなく、ミクロン単位あるいはサブミクロン単位で所望の微細形状が形成されている。たとえば、上方からの光71を前方に効率良く反射するように、下方を向いた面に対して上方を向いた面の傾斜が緩やかになっており、ユーザの眼90の方向に光を反射する面積を多く確保している。また、図示していないが、反射面21の横方向の断面は側方から入射した光が側方に反射されず、ユーザの眼90の方向に反射するような双曲面あるいは放物面になっている。そして、効率良く反射するのに適した凹凸を備えた反射面21を形成するために、まず、所定の反射特性に優れた基本形状を決定し、その基本形状に類似する相似の形状を幾つか発生させて、それらの相似形状を反射体20の反射面21のランダムな位置に形成するプロセスが採用される。前記反射面21には、以上のような加工が施されるが、これを仮に、第一の加工内容と呼ぶことにする。尚、前記加工はフォトリソグラフィー工程により行われるため、その内容はマスク上に記録される。
【0032】
さて、反射型の液晶パネルには、タイプにより所謂外側反射板構造と内面反射構造の2種類の構造がある。前記外側反射板構造の液晶パネルとは、透過型の液晶パネルの外側に反射板を貼り、反射型の液晶パネルとしたものである。この場合、液晶層は光透過性の基板で挟まれた構造となっている。一方、前記内面反射構造の液晶パネルとは、液晶層が光透過性の基板と、液晶層を駆動する電極を表面に形成した反射層とで挟まれた構造を有しているものである。即ち、液晶層と反射層が接している構造となっている。このような内面反射構造の液晶パネルにおいては、前記反射層(反射体)20の表面に前記液晶層(セル)12を駆動する電極を形成しなければならない。ここで、前記電極と反射面21の形態は多数考えられる。例えば図2においては、前記反射面21は画素ごとに区切られていて、前記液晶層(セル)12を駆動する電極も兼ねている。他の形態として、前記反射面21と前記電極は別体で積層されていてもよい。例えば、前記反射面21を形成して後、その上にITO等の透明電極を積層して形成してもよい。あるいは、先にアルミ等の導電性材料で電極層を形成し、その上に絶縁性の材料で前記反射面21を積層してもよい。
【0033】
ところで、前記反射層(反射体)20の背面にはさらに、前記液晶層(セル)12を駆動する駆動回路25が積層されている。前記駆動回路25は、画面全体を制御する回路の他、1つ1つの画素に対応したスイッチング回路が、画素と同じピッチで2次元的に配置されたものである。そのため、前記電極と前記駆動回路25は画素ごとに電気的に接続されなければならない。そこで、この接続に前記反射層(反射体)20を貫通する穴であるコンタクトホール24を用いる。
【0034】
さてここで、先に挙げた前記電極と反射面21の形態において共通しているのは、前記電極はそれぞれコンタクトホール24を介して前記駆動回路25と接続されていなければならない点である。即ち、内面反射構造の液晶パネルにおいては、前記反射層(反射体)20に前記コンタクトホール24を形成する加工が不可欠となる。これを仮に、第二の加工内容と呼んでもよい。
【0035】
以上のように、前記反射層(反射体)20の加工工程は、反射方向を適切に制御するための凹凸を形成する第一の加工内容と、前記コンタクトホール24を形成する第二の加工内容とから成っている。これらの2つの加工工程は、それぞれ独立した加工要素とみることができる。
本発明においては、上記2つの加工工程を1回のフォトリソグラフィー工程に集約する。以下に、その際用いるマスク及びマスクの製造方法について述べる。
【0036】
図3に、前記マスクを製造するプロセスをフローチャートで示してある。先ず、前記第二の加工内容である前記コンタクトホール24の加工内容を表現するマスクデータを生成する。前記コンタクトホール24を形成するには、前記コンタクトホール24の大きさに相当する領域内の露光量を全透過(プロセスの論理によっては全遮蔽)の2値で制御すればよい。即ち、前記コンタクトホール24の形状と同じ白または黒のパターンのデータを作成すればよい。これで、前記コンタクトホール24の加工内容、即ち第二の加工内容を表現するデータが生成される。
【0037】
次に、前記反射面21の加工内容、即ち第一の加工内容を表現するマスクデータを生成する。図3のステップ91で、所望の反射特性を備えた基本形状を決定し、その相似形状をランダムに配置した反射体の表面(反射面)の形状を数値計算などによって決定する。次に、ステップ92で、図4(b)に示すように、微細形状28を加工するために必要な露光量を適当な単位面積Aごとに決定する。尚ここで、露光量を求める単位面積Aは微細形状28をできるだけ連続した曲面に近い形状で合成するのであれば、小さいことが望ましい。一方、多段階のデジタル的な面の集合でも所望の性能が確保できるのであれば、露光量を求める単位面積Aは大きな方が計算量は少なくて済む。
【0038】
図8に、マスクを用いた加工装置として一般的な露光装置100を示してある。この露光装置100は、光源101と、この光源101から照射される波長λを備えた光99を平行光束にするコンデンサーレンズ102と、マスク60を保持する保持台103と、マスク60を透過した光99をステージ106の上の被加工体82に結像する投影レンズ104を備えている。したがって、ステージ106に、フォトレジストが塗布された基板81が設置されていれば、フォトレジストが被加工体82としてマスク60を透過した光99によって露光され、微細加工される。
【0039】
このような露光装置100においては、投影レンズ104の瞳面105の開口をNA、光99の波長をλとすると、解像度(最小分解能)Dはλ/NAで表される。したがって、ステップ92で露光量を求める面積単位Aが最小分解能Dより小さく、その単位で露光量を調整できるマスク60を用いると、フォトレジスト82にはその面積単位Aでは結像することができない。したがって、フォトレジスト82に照射される光99の透過量を連続的に変化させることが可能であり、図4(a)に示したような曲面に近い微細形状をフォトレジスト82に露光することが可能となる。一方、露光量を求める面積単位Aを最小分解能Dよりも大きくすると、フォトレジスト82に照射される光99の透過量を面積単位Aでデジタル的に制御することができる。したがって、図4(b)に示したような多段階の微細形状をフォトレジスト82に露光することができる。
【0040】
図3に戻って、所望の面積単位Aで露光量が求められると、ステップ93で、露光装置100にセットするマスク(本例においては2値マスク)60において、面積単位A毎に露光量に相当するオン・オフの面積比率を決定する。そして、本例のマスク60においては、図4(c)に示すように、そのオン・オフの面積比率を露光装置100の最小分解能Dより小さいサイズおよびピッチPのドット61により表現する。
【0041】
ドット61のオン・オフにより露光量を多値制御する方法は2つの方法がある。1つは図4(c)に示すように、サイズの同じドット61の密度を変える方法であり、ディザパターン法、あるいは誤差拡散法などの方法が知られている。これらの方法は、画像処理においてはグレー表示する技術として公知なものであり、詳しい説明は省略する。他の1つは、図4(d)に示すように、ドットの密度は変えずに、ドット61のサイズを変えるものであり、ドット階調などの名称で呼ばれるものである。
【0042】
上述したように、投影レンズ104を備えた結像系を有する露光装置100の最小分解能Dはλ/NAとなる。したがって、最小分解能Dより小さなピッチPで形成されたドット61は、そのままの形状では被加工体82に投影されない。このため、ドット61のピッチPが、下記の式(1)を満たすように設定されていれば、マスク60のドット61は被加工体82であるフォトレジストにはそのままの形では投影されず、濃淡のみがドット61の密度あるいは大きさ、すなわち、オン・オフの面積比率で制御される。
【0043】
P<λ/NA ・・・(1)
この現象は、図9に模式的に示すように、2値マスク60による回折光の内、0次光99aのみが結像レンズ105で集光され、高次の光99bは集光されず、高次の光99bはノイズ成分として除外されることで説明することができる。すなわち、0次光以外がレンズに飲み込まれないようにすることを考えると、1次光99bの回折角θdは、媒体の屈折率をnとすると式(2)で表される。
【0044】
P・sinθd=λ/n ・・・(2)
さらに、結像レンズの像側の開口角の半分の角度をθcとすると、レンズに回折光が入らない条件は、下記の式(3)で表される。ただし、0<θd<π/2,0<θc<π/2の範囲とする。
【0045】
θd>θc ・・・(3)
したがって、式(3)に式(2)の条件を入れると、以下のように、式(1)が得られる。
【0046】
P<λ/n・sinθc (=λ/NA) ・・・(1)
このように、2値マスク60のドット61のピッチPを、露光装置100の最小分解能D以下にすることにより、ドット61の形状自身はフォトレジスト82には投影されず、0次光99aで主に決定される強度の分布だけがフォトレジスト82に反映される。すなわち、ドット91の形状を規定するエッジ成分は1次光以上の高次の成分として周波数空間に変調されるが、レンズ系の解像度(開口)によって高次の成分をカットすることが可能であり、ドット61の形状を除去して濃淡だけを抽出してフォトレジスト82に照射することができる。
【0047】
図10に、フォトレジスト面での強度分布の乱れをドット間隔Pに対して示してある。本図から分かるように、ドット間隔Pがλ/NAより小さい領域では強度分布の乱れはほとんどなく、濃淡の変化だけが現れていることが分かる。これに対し、ドット間隔Pがλ/NAより大きくなると、ドットの形状自体がノイズとして投影されることになり、フォトレジスト面における強度分布の乱れとして表れている。
【0048】
このように、透過量が0%と100%に対応するとは限らないが、オンとなる透過量と、オフとなる透過量の2値に制御可能な2値マスク60であっても、ドット61のピッチPを露光装置100の最小分解能D以下にすることにより、ドット61がそのままフォトレジスト82に投影されるのではなく、ドット61の面積比率で制御された強度分布で露光用の光90がフォトレジスト82に照射される。したがって、フォトレジスト82はドット61の形状ではなく、ドット61によるオン・オフの面積比率で制御された透過量(露光量)の光を加工媒体として加工され、露光量を求めた面積単位Aが最小分解能D以下であれば、ほぼ曲面あるいは連続して厚みが代わる面を備えた微細形状が加工される。また、露光量を求めた単位面積Aが最小分解能D以上であれば、多段階の形状が1枚のマスク60により製造することができる。
【0049】
さて前記の多段階の形状の加工において、最小分解能Dは、露光装置100の解像度(λ/NA)だけでは決定しない場合もある。例えば、フォトレジスト82の分解能によって、露光系の解像度が変化する場合もある。そのような場合は、適当な分解能のフォトレジストを選ぶことによっても、最小分解能をコントロールすることができる。いずれの場合も、マスク60に形成されたパターンがそのまま被加工体であるフォトレジスト82に露光および形成されるのではない点で、従来の2値マスクあるいはグレーレベルマスクを用いた加工方法あるいは製造方法と大きく異なっている。
【0050】
そして、結果的に2値マスク60により、多値な形状、曲面などの形状をフォトレジスト82に露光することができ、それを現像することによりフォトレジスト82に多種多様な微細形状を極めて容易に形成することができる。すなわち、ステップ91および図4(a)でデザインした曲面状の微細形状28が2値マスク60により得られる。本例では、たとえば、2値マスク60の最小ドットの大きさが0.2μm角となるように製作されたもの、最小分解能が1μmの露光装置にセットし被加工体(フォトレジスト材)82を露光すると、露光された被加工体には、0.2μm単位の像は再現しないが、1μm単位の露光エネルギー密度は、予め計算した最適露光量(図4(b)参照)にしたがって制御することが可能である。したがって、少なくとも1μm程度で厚み(深さ)が異なる多値な形状や、それ以下のレンジで厚みや深さが連続的に変化する曲面や斜面を備えた微細構造を形成することができる。 また、本例の2値マスク60では、クロムメッキなどによって反射性となった表面62に透明なドット61を形成して透過量を制御しても良いし、反射性のドット61を形成して透過量を制御しても良い。いずれに場合も、光源101から出力される露光用の光99の大部分をマスク60では反射または透過することにより制御できるので、マスク60の内部で光99が熱に変換されることは少なく、熱膨張などの少ない安定した精度の高いマスクでフォトレジスト82にグレースケールの形状を露光することができる。このようにして、加工形状に対応した遮光領域のパターンが算出され、第一の加工内容のマスクデータが生成される。
【0051】
再び図3に戻って、さらに本発明においては、前記第一の加工内容と前記第二の加工内容のデータが合成される。合成の方法はプロセスにより異なるが、一例として2つのデータの論理和をとる方法がある。場合によっては、他の演算により合成する場合もありうる。これにより、合成されたデータは、1枚のマスクに記録される。
【0052】
合成された前記データにより実現される形状は、断面で示すと図4(a)に示すように、曲面を備えた微細形状28に、画素ごとの所定の位置において前記反射層(反射体)20を貫通する穴である前記コンタクトホール24が形成されたような形状となる。
【0053】
上記の工程では、液晶パネルの製造工程において、前記第一の加工内容及び前記第二の加工内容を合成して1枚のマスクに記録した。本発明によれば、このように複数の加工内容を、独立な情報としてマスクに記録することができる。本発明は、複数の加工内容について、それぞれを表現する独立した別々のデータを生成し、それらを合成した加工パターンを記録したマスク、前記マスクの製造方法、前記マスクを用いた微細構造体の製造方法より成る。これにより、工程数を大幅に削減し、微細加工におけるコストを大幅に低減させることができる。
【0054】
複数の加工内容を、1枚のマスクに記録する方法は複数考えられる。以下にそれぞれについて詳しく説明する。
【0055】
まず、使用されるマスクが3値マスクである場合を考える。これは、透過率と加工方法に対する感受性が異なる2つの遮光層を有するもので、ハーフトーンマスク等の名称で呼ばれている。例えば、第1回目の露光後、ドライエッチングすると、透過率がほぼ0%の第1層と透過率がほぼ50%の第2層が一度に除去される。次に、第2回目の露光後、ウエットエッチングすると、透過率がほぼ0%の第1層のみが除去される。これにより、3段階の形状を加工できるのが、ハーフトーンマスクである。この様子を図5を用いて説明する。
【0056】
反射面21おいては、多段階の凹凸曲面形状に加工する第一の加工内容と、前記コンタクトホール24の有無によって2段階に加工する第二の加工内容が求められている。そこで、前記第一の加工内容を前記ハーフトーンマスクの第1層65に、前記第二の加工内容を前記ハーフトーンマスクの第2層66に記録することができる。前記第1層65においては、前記反射面21の凹凸加工形状が微小ドットのオン・オフで記録されている。また前記第2層66においては、前記コンタクトホール24の加工形状が透過・遮蔽の2値で記録されている。これにより、2つの加工内容を1つのマスクにまとめることができる。また、前記第一の加工内容の最大深さは、あらかじめ決まっている前記第2層66の透過率で決定され確定するので、前記反射層の厚さは確保される。よって、前記反射層20の凹凸の度合いのばらつきにより、誤って前記コンタクトホール24以外の場所に貫通穴が形成される等の心配がない。このようにして本マスクを用いれば、1回の露光で前記反射面21と前記コンタクトホール24を形成することができる。一般に、前記ハーフトーンマスクの層数に対応した数の独立な加工内容を、1枚のマスクに集約することができる。
【0057】
尚、ここでは多値のマスクの例として3値マスクを用いて説明したが、さらに多値のN値のマスクを用いて、同様の考え方で第一の加工内容、第二の加工内容、第Nの加工内容を1枚のマスクにまとめて記録することも可能である。透過率の組み合わせによって、N値のマスクにN以上の数の加工内容を記録することも可能である。
【0058】
また、本例では液晶パネルを例にとったため前記第二の加工内容は前記コンタクトホール24であり、その形状を表す領域にわたって一様に透過あるいは遮蔽するものとして説明したが、一般には前記第二の加工内容においても前記第一の加工内容と同様に、凹凸加工形状が微小ドットのオン・オフで記録されていてもよい。これにより、前記第一の加工内容及び前記第二の加工内容をいずれも凹凸曲面加工とし、それぞれの設計上の独立性を保ちながら1枚のマスクに加工情報をまとめることができる。
【0059】
一方、使用されるマスクがグレーマスクであっても、本発明の方法を適用することが可能である。これを図6を用いて説明する。前記グレーマスクは、微小な領域ごとに、連続的、あるいは離散的に多値の透過率を持たせることが可能なマスクである。そこで、前記透過率のうち、第一の透過率領域を用いて前記第一の加工内容を記録し、第二の透過率領域を用いて前記第二の加工内容を記録してもよい。より具体的に、反射型液晶パネルの例においては、前記第一の加工内容を前記グレーマスクの透過率のうち0から50%の領域を用いて記録し、さらに前記第二の加工内容を前記グレーマスクの透過率のうち0と100%の2値を用いて同一のマスクに記録する。これにより、やはり2つの加工内容を1つのマスクにまとめることができる。あるいは、前記第一の加工内容を前記グレーマスクの透過率のうち0と50%の2値を用いて微小ドットのオン・オフで記録し、さらに前記第二の加工内容を前記グレーマスクの透過率のうち0と100%の2値を用いて同一のマスクに記録してもよい。この場合、単に前記グレーマスクを用いて加工するより、マスクデータを小さくすることができる。もちろん、加工形状によってはさらに多くの透過率範囲を、それぞれ微小ドットのオン・オフで記録してもよい。よって本マスクを用いれば、1回の露光で前記反射面21と前記コンタクトホール24を形成することができる。
【0060】
また、使用されるマスクが一般の2値マスクであっても、前に述べた通り、ドットのオン・オフにより透過率を制御することが可能である。これを図7を用いて説明する。グレーマスクの場合と同様に、前記第一の加工内容を透過率のうち0から50%の領域を用いて、さらに前記第二の加工内容を透過率のうち0と100%の2値を用いて同一のマスクに記録すれば、やはり2つの加工内容を1つのマスクにまとめることができる。より具体的には、反射型液晶パネルの例においては、前記第一の加工内容である前記反射面21の凹凸加工をマスクの全面に、前記第二の加工内容である前記コンタクトホール24の加工をマスクの前記コンタクトホール24が形成されるべき部分に記録されることになる。これにより、やはり2つの加工内容を1つのマスクにまとめることができる。よって本マスクを用いれば、やはり1回の露光で前記反射面21と前記コンタクトホール24を形成することができる。
【0061】
図11および図12に、本例の製造方法により反射体を製造する過程の概要を示してある。図11(a)に示すように、本例の2値マスク60を介して、上方から光を照射し、アルミニウム基板86の上に塗布されたフォトレジスト82を露光する。前記2値マスクの第一の加工内容を記録した領域、あるいは3値マスクにおける第1層では、基板86の上のフォトレジスト82には、2値マスク60に形成されたドット61のオン・オフの面積比率、すなわち、開口率で制御されたグレーレベルの形状が露光される。また、前記グレーマスクにおいても、第一の加工内容を記録した透過率領域では同様である。一方、第二の加工内容を記録した領域については、前記のいずれのマスクでも共通して最大限の露光がなされる。そして、図11(b)に示すように、現像すると露光された形状が現れる。ネガ型のレジストであれば、光が当たらなかった部分が現像液に溶けるので、現像すると、その光が当たらなかった部分が洗い流され、断面が曲面の凹凸を備えた反射形状82aに加工されたフォトレジスト層82が得られる。
【0062】
さらに、アルミニウム基板86をフォトレジスト層82を介して適当なエッチャントによりドライエッチングする。これにより、フォトレジスト層82の形状がアルミニウム基板86に転写され、図11(c)に示すように、アルミニウム基板86の表面が所望の凹凸に形成され、反射面21となった反射体20を得ることができる。
【0063】
また、反射性の基板でない場合は、図12に示すように、適当な素材の基板81にフォトレジスト層82を塗布し、図11と同様に露光して現像し、さらに、エッチングすると図12(b)に示すように、表面が所望の凹凸形状に加工された基板81を得ることができる。したがって、この表面をアルミニウムなどの反射性の膜83をコーディングすることにより、図12(c)に示すように、所望の形状の反射面21を備えた反射体20を得ることができる。
【0064】
さらに、マスク60により所望の形状に現像されたフォトレジスト層にアルミニウムなどの反射性の金属を塗布あるいはコーディングした後に、フォトレジスト層を除去することによっても所望の形状の反射膜を得ることができる。このように、本例の製造方法においては、フォトレジスト層を多値あるいはグレースケールの形状に加工することにより、種々の方法により複雑な微細形状を備えた反射体20を製造することができるとともに、第一の加工内容、第二の加工内容等を別個に設計し、1枚のマスクにまとめることができる。よって、マスク60によって微細形状を加工する工程では、1枚のマスク60で複雑な微細形状を露光することが可能であり、多数枚のマスクを用いなくて良いので、加工工程は短くて良く、また、製品精度が高く歩留まりも高い。また、反射性の2値を用いる場合、マスクの熱吸収が少なく、熱膨張による誤差も小さく、アライメントマークが従来の2値マスクと同じになるので、従来と同じ方法でマスク60を露光装置100にセットすることが可能である。このため、本例の製造方法により、微細で複雑な立体構造を備えた反射層(反射体)20を、設計どおりに簡単に低コストで歩留まり良く製造できる。したがって、反射効率の高い反射層20およびそれを備えた液晶パネル10をさらに低コストで量産することが可能となる。
【0065】
なお、以上では、本発明の製造方法を、反射体を製造するプロセスを例に説明しているが、本発明の製造方法により製造可能な微細構造体は反射体に限定されるものではない。光スイッチング素子などの光学素子あるいは光学デバイス、その他のスイッチングデバイスなど、高精度の微細構造が要求される多くの構造体を本発明の製造方法により製造することが可能である。
【0066】
さらに、上記では、マスクにより加工された被加工体自体を製品としたり、その被加工体でエッチングを制御する例を示してあるが、マスクにより加工された被加工体を用いた他の製造方法に微細構造体を製造する場合にも適用できる。たとえば、マイクロレプリカ(転写型)技術と称される製造方法にも適用可能であり、この場合は、被加工体あるいは、その被加工体を原型として製造された転写型を用いて微細構造を備えた製品を成形することができる。
【0067】
また、本発明は、光を加工媒体とした露光装置を用いた製造方法に限らず、加工媒体の量を2次元的に変化させる全ての製造方法に適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明では、被加工体に供給される加工媒体の透過量に基づいた加工効果が蓄積されるマスクに、加工装置、被加工体および加工媒体の少なくとも何れかによって決まる最小分解能よりも小さなパターン、特に、最小分解能よりも小さなピッチのドットのオン・オフを形成し、多値あるいはグレーレベルの構造を2値の透過率により製造できるようにしている。さらに複数の加工内容を、それぞれを多値マスクの各層、あるいは多値マスクの各透過率領域、またあるいは2値マスクの各2次元的領域に分配して記録し、1枚のマスクにまとめるようにしている。したがって、本発明の製造方法によって、1枚あるいは少量のマスクを用いて、斜面、曲面または多段階状など微細形状を備えた構造体を製造することが可能となる。
このため、多値形状を少ない回数で被加工体を形成できるので、加工媒体を照射する工数を大幅に削減することが可能であり、工数を減らして歩留まりを向上することができる。それと共に、複数の加工要素から成る微細構造体の設計においては前記の複数の加工内容を独立して扱うことができるので、設計を容易に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射層(反射体)を用いた反射型の液晶パネルを備えた携帯電話機の概要を示す図である。
【図2】図1に示した本発明に係る反射体の概要を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る反射体の製造プロセスを示すフローチャートである。
【図4】図3に示した製造プロセスで用いるマスクの製作を説明する図であり、図4(a)に被加工体に施す多値微細形状のデザインの例を示し、図4(b)に、微細形状の各部分の最適な露光量が決定された様子を示し、図4(c)に、ディザパターン法により2値化したパターニングの例を示してある。また、図4(d)に、ドット階調法により2値化したパターニングの例を示してある。
【図5】図3に示した製造プロセスで用いるマスクの製作を説明する図であり、ハーフトーンマスクを用いた場合の例を示してある。
【図6】図3に示した製造プロセスで用いるマスクの製作を説明する図であり、グレーマスクを用いた場合の例を示してある。
【図7】図3に示した製造プロセスで用いるマスクの製作を説明する図であり、2値マスクを用いた場合のマスクパターンと露光量の関係を示してある。
【図8】図3に示した製造プロセスで用いる露光装置の概要を示す図である。
【図9】図3に示した製造プロセスで用いるマスクと、露光装置の最小分解能の関係を説明する図である。
【図10】図10に示したマスクのドットPと、露光強度の関係を示すグラフである。
【図11】図3に示した製造プロセスにおいて、マスクを介して露光し微細構造体に加工する例を示す図である。
【図12】図3に示した製造プロセスにおいて、マスクを介して露光し微細構造体に加工する、異なる例を示す図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機
10 液晶パネル
12 液晶セル
20 反射体(反射層)
21 反射面
24 コンタクトホール
25 駆動回路
26 微細形状
60 2値マスク
61 開口(オン)
62 遮蔽部(オフ)
65 第1層
66 第2層
67 ガラス基板
68 第一の透過率領域
69 第二の透過率領域
70 光源
71 入射光(照明光)
72 出射光(反射光)
81 基板
82 レジスト層
90 ユーザ
99 露光用の光
100 露光装置(加工装置)
Claims (8)
- 加工装置にセットされ、被加工体に対する第一の加工内容と第二の加工内容が蓄積される加工媒体の透過量を制御可能なマスクにおいて、
第一の透過率を有する第一の層と第二の透過率を有する第二の層が積層され、前記第一の層及び第二の層のパターンの組み合わせにより3段階に前記加工媒体の透過量を制御可能なマスクであって、
前記第一の加工内容は前記被加工体の表面に対して微細な凹凸形状を形成する加工であって、前記第二の加工内容は前記被加工体を貫通する穴形状を形成する加工であって、
前記第一の層に前記第一の加工内容が記録されており、前記第二の層に前記第二の加工内容が記録されており、
前記第一の層には、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率で前記加工媒体の透過量を制御するような異なるパターンが形成されており、
前記第二の層には、前記貫通する形状を表す領域にわたって一様に透過あるいは遮蔽することにより前記加工媒体の透過量を制御するようなパターンが形成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1に記載のマスクにおいて、
前記ドットのオン・オフはディザパターン法または誤差拡散法により決定されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1に記載のマスクにおいて、
前記ドットの面積比率は、該ドットの面積を変化させることで決定されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1に記載のマスクにおいて、
前記被加工体は光感応性部材であり、前記加工媒体は光であり、前記加工装置は露光装置であることを特徴とするマスク。 - 請求項4に記載のマスクにおいて、
前記露光装置の光源の波長をλ、前記露光装置の結像系のレンズの開口をNAとすると、前記ドットのピッチPは、次の式を満足することを特徴とするマスク。
P<λ/NA - 加工装置にセットされ、被加工体に対する第一の加工内容と第二の加工内容が蓄積される加工媒体の透過量を3段階に制御可能なマスクの製造方法であって、
前記被加工体の表面に対して微細な凹凸形状を形成する第一の加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記加工装置、前記被加工体および前記加工媒体の少なくとも何れかによって定まる最小分解能より小さい面積単位のドットのオン・オフの面積比率に変換し、それらのドットを当該マスクの第一の層に形成する工程と、
前記被加工体を貫通する穴形状を形成する第二の加工を行う前記加工媒体の透過量を、前記貫通する形状を表す領域にわたって一様に透過あるいは遮蔽することにより前記加工媒体の透過量を制御するようなパターンに変換し、それらのパターンを当該マスクの第二の層に形成する工程とを有することを特徴とするマスクの製造方法。 - 請求項1に記載のマスクを前記加工装置にセットして前記被加工体を加工する工程を有することを特徴とする微細構造体の製造方法。
- 偏光板、前記偏光板と協同して光をオン・オフする液晶層、前記液晶層を駆動する電極、前記電極に電圧を印加して前記液晶層を駆動する駆動回路、外部からの入射光を反射し、該反射光をもって液晶層を内面から照明する反射層、前記反射層を貫通して前記電極と前記駆動回路を接続するコンタクトホールを有する反射型液晶ディスプレイの製造方法において、
請求項1に記載のマスクを前記加工装置にセットして前記反射層及びコンタクトホールを形成することを特徴とする液晶ディスプレイの製造方法。
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