JP3921888B2 - 配色支援装置および配色支援方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーソナルコンピュータ、デスクトップ・パブリッシング(DTP:Desk Top Publishing)、ワードプロセッサ、Webドキュメント作成ツールなどの文書作成編集装置や、複写機、Fax上などで文書を編集する文書編集装置における支援ツールに関するものであり、特に、電子的にカラーの資料を作成する場合における配色支援装置および配色支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、DTP(Desk Top Publishing)、ワードプロセッサ、Webドキュメント作成ツールなどの文書作成編集装置において、カラーの資料を作成するツール、すなわち配色支援ツールが使用される。
【0003】
図1に、パーソナルコンピュータ等においてカラー資料の作成を行なう配色支援の一般的構成を示す。ディスプレイには、図形、文字等、ユーザが任意のデータを入力可能な編集領域101と、その編集領域101に対して特定の図形を選択して貼り付けたりする場合の図形選択領域102、特定の色を割り付けるためのカラーパレット領域103が表示される。
【0004】
ユーザは、キーボード104、あるいはマウス105を操作することにより、ディスプレイ上の編集領域101に任意の形状を図形選択領域102から選択して貼り付け、さらに任意のカラーをカラーパレット領域103から選択して編集領域の特定図形に任意のカラーを割り当てて着色をすることができる。
【0005】
このような文書編集装置は、昨今さらに機能が充実し、文書の配色やレイアウトなどのデザインに対しても詳細な指示や高度な処理が可能になってきている。簡易製版システムなどのカラー文書作成システムを扱う専門家にとってこのような配色支援機能は扱い易いものではあるが、一般的なパソコンユーザにとってカラー文書の作成における配色は必ずしも容易なものとはなっていない。
【0006】
例えば、グラフの色を順次に色が変化するように割り振る処理において、従来のカラーパレットから、順次、カラーを選択していくという手法によって調和のとれた配色を行なうことは困難である。すなわち、例えばn個の棒グラフが順次、自然にその色が変化するように配色するためにはn個の均等に色が変化するパレットが必要となるが実際には、カラーパレットに準備されている色は限定的なものであり、ユーザの必要とするパターンが揃えられていることは希である。
【0007】
例えば、適切な色で順次色分けされた棒グラフ、あるいは円グラフ等は、視覚的に効果的であることは間違いない。しかしながら、パーソナルコンピュータ、DTP等を使用する一般ユーザにとって、現状の配色パレットを使用した着色手法では、このような品質の高いカラー文書を容易に作成することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、文書作成の専門家でない一般のユーザにとっては、どのような配色やレイアウトにしたらよいかというデザインに関する知識が必ずしも十分であるとは言えず、配色処理を行なう際に詳細な配色指示を実行したり、高度な操作や処理を利用することは困難であった。また、たとえ、そのような知識があったとしても、実際上、高度な配色を行なうためには、処理が煩雑になってしまい、利用する上で効率が悪くなってしまっていた。
【0009】
本発明の配色支援装置および配色支援方法は、上記のような従来の配色支援装置、方法の欠点を解決するものである。配色したい文書の複数の要素に対して、明度や彩度を揃えると、配色として調和することがわかっている。また、色相を揃えると落ち着いた印象を与える。そこで、本発明は、1つまたは2つの色を指定して、色相、明度、彩度、またはそれら2つ以上を同時に揃えた複数の色を生成することにより、適切な配色を提供する。
【0010】
本発明は、カラー文書の作成に不慣れなユーザであっても容易に調和のとれた配色を可能として視覚的な効果をより高めたカラー文書の作成を可能とする配色支援装置および配色支援方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の配色支援方法は、
配色支援装置において配色支援処理を実行する配色支援方法であり、
色指定手段が、配色対象となる複数の要素中の1つの要素または2つの要素に配色する色を指定色とする指定色情報を入力する色指定ステップと、
配色生成処理手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理ステップと、
色割当手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる色割当ステップと、
を有し、
前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行するステップであり、
前記色指定ステップにおいて指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、配色対象の要素数に応じて前記独立に変化させる変数を均等に変化させる処理を行ない、均等に変化させた変数を持つ複数の色を各配色対象要素に配色する色として生成することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、前記色指定ステップにおいて指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数とし、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、前記変数の変化範囲を配色対象となる要素の数に応じて変更して複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の配色支援方法は、さらに、色情報変換手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色情報を色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に変換する色情報変換ステップを有し、前記配色生成処理ステップは、前記色情報変換ステップにおいて変換された色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に基づいて複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の配色支援方法は、さらに、色情報逆変換手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の色相、明度、彩度を出力装置に出力可能な表色系の色情報に変換する色情報逆変換ステップを有し、前記色割当ステップは、前記色情報逆変換ステップにおいて生成された色情報に従って前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる処理を実行することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の配色支援方法は、さらに、前記色指定手段が、前記配色生成処理ステップにおける複数の色の生成処理において変化させるべき表色系の変数の選択情報を入力するステップを有することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、色を表す表色系の1つの変数のみを変化させる処理により複数の色の生成処理を実行することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、色を表す表色系の2つの変数のみを変化させる処理により複数の色の生成処理を実行することを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の配色支援方法において、配色支援装置において配色支援処理を実行する配色支援方法であり、
座標指定手段が、グラデーション処理対象となる要素中の2つの離間した座標位置の指定情報を入力する座標指定ステップと、
色指定手段が、前記要素に配色する1つまたは2つの色を指定色として設定する色指定ステップと、
配色生成処理手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理ステップと、
色割当手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域に順次割り当てる色割当ステップと、
を有し、
前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行するステップであり、
前記色指定ステップにおいて指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域の領域数に応じて、前記独立に変化させる変数を均等に変化させて、該変化させた変数を持つ色を新たな色として各領域に配色する色として生成することを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の配色支援方法において、前記配色生成処理ステップは、前記色指定ステップにおいて指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の配色支援装置において、配色対象となる複数の要素中の1つの要素または2つの要素に配色する色を指定色として設定する色指定手段と、
前記色指定手段において指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理手段と、
前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる色割当手段と、
を有し、
前記配色生成処理手段は、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行する構成であり、
前記色指定手段において指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成する構成であることを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色生成処理手段は、配色対象の要素数に応じて前記独立に変化させる変数を均等に変化させ、該均等に変化させた変数値を持つ複数の色を各配色対象要素に配色する色として生成する構成を有することを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色生成処理手段は、前記色指定手段において指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする。
【0029】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色生成処理手段は、前記変数の変化範囲を配色対象となる要素の数に応じて変更して複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色支援装置は、さらに、前記色指定手段において指定された色情報を色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に変換する色情報変換手段を有し、前記配色生成処理手段は、前記色情報変換手段において変換された色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に基づいて複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記色情報変換手段は、異なる表色系の色情報パラメータを対応づけたルックアップテーブルを有することを特徴とする。
【0032】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色支援装置は、さらに、前記配色生成処理手段において生成された複数の色の色相、明度、彩度を出力装置に出力可能な表色系の色情報に変換する色情報逆変換手段を有し、前記色割当手段は、前記色情報逆変換手段において生成された色情報に従って前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる処理を実行する構成を有することを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記色情報逆変換手段は、異なる表色系の色情報パラメータを対応づけたルックアップテーブルを有することを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記色指定手段は、指定色を選択する配色パレット、および前記配色生成処理手段において変化させるべき表色系の変数を選択する変数項目を表示手段に表示し、該表示された配色パレットおよび変数項目から任意の色および変数を選択する手段によって構成されたことを特徴とする。
【0035】
さらに、本発明の配色支援装置において、グラデーション処理対象となる要素中の2つの離間した座標位置を指定する座標指定手段と、
前記要素に配色する1つまたは2つの色を指定色として設定する色指定手段と、前記色指定手段において指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理手段と、
前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域に順次割り当てる色割当手段と、
を有し、
前記配色生成処理手段は、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行する構成であり、
前記色指定手段において指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成する構成であることを特徴とする。
【0037】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色生成処理手段は、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域の領域数に応じて、前記独立に変化させる変数を均等に変化させて、該変化させた変数を持つ色を新たな色として各領域に配色する色を生成する構成を有することを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明の配色支援装置において、前記配色生成処理手段は、前記色指定手段において指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配色支援装置および配色支援方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
【0040】
【実施例】
本発明の配色支援装置の構成を図2に示す。図2に示すように本発明の配色支援装置は、色指定手段201、配色生成手段203、色情報変換手段202、色情報逆変換手段204、色割当手段205によって構成される。
【0041】
色指定手段201は、ユーザによって色の指定を行なう手段である。色の指定は、色を示す値を直接入力する。または予め用意された配色パレットを利用してパレットから選択して入力する。あるいは、既に着色されている要素を指示、例えばマウスによるカーソル移動により指定することにより、所定の色を指定する。なお、色指定手段201による色指定は1色または2色の指定が可能である。それぞれの指定態様における処理については後述する。
【0042】
色指定手段201において、色の値、すなわち表色データ値をユーザが直接指定する場合は、例えば、色相H・明度V・彩度Cや、CMY(K)、RGBなどの値を入力する。配色パレットを用いて色の指定を行なう場合は、配色パレット(図1に示すパレットと同様)をディスプレイに表示し、その中から選択する。
【0043】
また、ディスプレイの編集領域に表示されて既に着色されている要素を指定し、その色を選択する場合は、その要素のディスプレイ上における位置を座標値として入力、またはデジタイザなどを利用して直接入力する。
【0044】
ここで、配色する要素とは、文字、記号、絵、図表、グラフなどや、それらを構成する線、図形、領域などを示す。
【0045】
図2に示す色情報変換手段202は、色相H・明度V・彩度Cで表す表色系以外の表色系の変数、例えばCMY(K)やRGB等の色情報が色指定手段201から入力された場合に、その変数を色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換する構成を有する。
【0046】
色情報変換手段202は色指定手段201から入力されるCMY(K)やRGB等の色情報を、例えば色情報変換手段202内のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)、あるいは予め設定された変換処理演算を実行することによって色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換する。
【0047】
色情報変換手段202は、例えばCIELAB表色系のL*a*b*を色指定手段201からの色指定値として入力した場合には、次の式を用いて色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換する。
【0048】
【数1】
【0049】
配色生成手段203は、色指定手段201によって指定された色、または、色情報変換手段202の変換により生成された色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に基づいて、複数(N個)の色を生成する機能を持つ。
【0050】
色指定手段201によって色が1つだけ指定された場合は、その1色の指定色をもとに、変数を変化させる。変数とは、例えば色を決定する要素である色相H・明度V・彩度C等である。色指定手段201によって色が2つ指定された場合は、その指定された2つの色の持つ各々の変数の間を変化させる。どの変数、例えば色相H・明度V・彩度Cのいずれの値を変化させるかは、システムにあらかじめ設定しておいても、利用者が指定するようにしてもよい。
【0051】
配色生成手段203の配色生成処理について、すなわち具体的な変数設定の詳細について説明する。
【0052】
(1)1色指定の場合
まず、色指定手段201によって色が1つだけ指定された場合の配色生成手段203の配色生成処理について説明する。
【0053】
色指定手段201によって指定された色をAとする。色:Aの持つパラメータ、例えば色相H・明度V・彩度Cを、Ha、Va、Caとする。これらHa、Va、Caのいずれかの値をXaとして示す。
【0054】
ここで、配色生成手段203は、色指定手段201によって指定された色をAおよび、予め設定された変数、例えば色相H・明度V・彩度Cのいずれか1つまたは複数を変数Xとして、N個の配色カラーを生成する。なお、色数:Nは、色指定手段201によって指定された色をAを含んだ色数である。
【0055】
変化させる変数をXとすると、N個の配色カラー中のi番目の変数Xの値:Xiは次の式(1)で求められる。
【0056】
【数2】
【0057】
ただし、上記式において、
Xa:指定された色Aの変数の値、
N:要素数、
d:変数の変化範囲
int( ) :小数点以下を切り捨てる関数
である。
【0058】
配色生成手段203は、上記式(1)に従って指定色Aを含むN個の配色を行なう。上記式に従ったN個の配色は、変数として指定された値がN個の要素間で均等に変化することになり、視覚的に良好な配色を得ることが可能となる。
【0059】
なお、上記式において、変数の変化範囲:dは、予め装置に設定された値を用いることができる。例えば、色相H・明度V・彩度Cの各々を変数として設定可能な構成の場合は、色相H・明度V・彩度Cの各々についてそれぞれ変数の変化範囲として、d(H)、d(V)、d(C)を予め設定しておく。これはディスプレイにおける表示可能な色データに基づいて設定される。
【0060】
あるいは、変数の変化範囲:dは、ユーザの指定した要素数Nに応じて決定する構成とすることができる。
【0061】
例えば、配色対象の要素数が2つしかない場合、変数の変化範囲を大きくとりすぎると配色される2つの色の差が大きくなってしまい、視覚的に良好とは言えなくなる場合がある。一方、配色要素数Nが例えば10、あるいは20のように多い場合は、変数の変化範囲を大きくとらないと、各要素の色差が小さくなってしまい視覚的に区別がつかなくなる場合がある。
【0062】
このような不具合を防止するため、配色要素数:Nによって、変数の変化範囲:dを変化させる構成とすることにより、さらに良好な配色が可能となる。
【0063】
具体的な構成例としては、例えば、変数の変化範囲:dの最大変化範囲をd(max)としたとき、要素数:Nが10以上の場合に最大変化範囲をd(max)を適用し、要素数:Nが9以下の場合は要素数に応じて変数の変化範囲:dを小さくするように設定する。例えば次式(2)、(3)によって変数の変化範囲:dを定義する。
【0064】
【数3】
【0065】
なお、最大変化範囲であるd(max)は、表示システムにおいて表示可能な色の範囲に応じて設定される。
【0066】
さらに、変数の変化範囲:dは、ユーザが任意に指定する構成とすることもできる。例えば、変数の変化範囲:dの設定幅を「min(最小)〜max(最大)」の範囲で任意に設定する構成として、ユーザがディスプレイの表示を観察しながら設定を変更するようにしてもよい。この例については図8を用いて後段で説明する。
【0067】
(2)2色指定の場合
次に、色指定手段201によって色が2つ指定された場合の配色生成手段203の配色生成処理について説明する。
【0068】
色指定手段201によって指定された色をA、Bとする。色:Aの持つパラメータ、例えば色相H・明度V・彩度Cを、Ha、Va、Caとし、色:Bの持つパラメータ、例えば色相H・明度V・彩度Cを、Hb、Vb、Cbとする。これら色A、色BのH、V、Cのいずれかの値をXa、Xbとして示す。
【0069】
変化させる変数をXとすると、N個の配色カラー中のi番目の変数Xの値:Xiは次の式(4)で求められる。
【0070】
【数4】
【0071】
ただし、上記式において、
Xa:指定された色Aの変数の値
Xb:指定された色Bの変数の値
N:要素数
である。
【0072】
配色生成手段203は、上記式(4)に従って指定色AおよびBを含むN個の配色を行なう。上記式に従ったN個の配色は、変数として指定された値がN個の要素間(A〜B)で均等に変化することになり、視覚的に良好な配色を得ることが可能となる。
【0073】
(3)変数の具体的指定例
次に、変数の具体的な指定例について説明する。
【0074】
色を決定するパラメータとしての色相H・明度V・彩度Cの値のうち、明度V、彩度Cを固定して、色相Hのみを変化させる場合の配色生成手段203の処理について説明する。この場合、配色生成手段203は、次のように複数の色を生成する。
【0075】
色指定手段201によって1つの色:A(Ha,Va,Ca)が指定された場合、配色生成手段203は、N個の配色要素中のi番目の要素の色の表色系パラメータを、(Hi,Va,Ca)として設定する。ここで、Hiは上述の式(1)の計算によって求められる値である。Va,Caは、色指定手段201によって指定された色:Aの持つ値と同じ値が設定される。
【0076】
色指定手段201によって2つの色:A(Ha,Va,Ca)、B(Hb,Vb,Cb)、が指定された場合、配色生成手段203は、N個の配色要素中のi番目の要素の色のパラメータを、(Hi,Va,Ca)、または(Hi,Vb,Cb)として設定する。ここで、Hiは上述の式(4)の計算によって求められる値である。Va,Caは、色指定手段201によって指定された色:Aの持つ値と同じ値、Vb,Cbは、色指定手段201によって指定された色:Bの持つ値と同じ値であり、いずれか一方の値を設定する。変数として指定されていない、V,Cについては、色指定手段201によって指定された色:A、Bのいずれかの値を、例えば先にユーザが指定した値を設定するように構成する。あるいはユーザがいずれかの値を選択するように指定するように構成してもよい。
【0077】
次に、色相H・明度V・彩度Cの値のうち色相Hを固定して、明度V、彩度Cを同時に変化させる場合の配色生成手段203の処理について説明する。
【0078】
色指定手段201によって1つの色:A(Ha,Va,Ca)が指定された場合、配色生成手段203は、N個の配色要素中のi番目の要素の色のパラメータを、(Ha,Vi,Ci)として設定する。ここで、ViおよびCiは上述の式(1)の計算によって求められる値である。Haは、色指定手段201によって指定された色:Aの持つ値と同じ値が設定される。
【0079】
色指定手段201によって2つの色:A(Ha,Va,Ca)、B(Hb,Vb,Cb)、が指定された場合、配色生成手段203は、N個の配色要素中のi番目の要素の色のパラメータを、(Ha,Vi,Ci)、または(Hb,Vi,Ci)として設定する。ここで、ViおよびCiは上述の式(4)の計算によって求められる値である。Haは、色指定手段201によって指定された色:Aの持つ値と同じ値、Hbは、色指定手段201によって指定された色:Bの持つ値と同じ値であり、いずれか一方の値を設定する。
【0080】
変数として指定されていない、Hについては、上述と同様、色指定手段201によって指定された色:A、Bのいずれかの値を、例えば先にユーザが指定した値を設定するように構成したり、またはユーザがいずれかの値を選択するように指定するように構成することが可能である。あるいは、色:A、Bの中間値を採用して、N個の配色要素中のi番目の要素の色のパラメータを、((Ha+Hb)/2,Vi,Ci)とするように構成してもよい。
【0081】
このように配色生成手段203は、色指定手段201の指定した色に基づいて、1または複数のパラメータを配色要素数Nに応じて均等に変化させた色を自動生成する。
【0082】
なお、上述の説明においては、HVCとしてCIELAB表色系やCIELUVの心理メトリック量を用い、特にHについては単位としてradを用いたものを想定しているが、マンセルの表色系などを用いても構わない。
【0083】
色情報逆変換手段204は、先に説明した色情報変換手段202の逆の変換処理を行う構成を有する。
【0084】
すなわち、色指定手段201によって入力された色情報がCMY(K)やRGB等の色情報である場合、色情報変換手段202は、CMY(K)やRGB等の色情報に基づいて色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換処理を行なっており、この場合、色情報逆変換手段204は、色相H・明度V・彩度Cで表す表色系からCMY(K)やRGB等の色情報に逆変換する。色情報変換手段202が、CIELAB表色系のL*a*b*を色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換している場合は、色情報逆変換手段204は、色相H・明度V・彩度Cで表す表色系からCIELAB表色系のL*a*b*の色情報に逆変換する。
【0085】
色割当手段205は、生成された複数の色を、色の値として直接配色要素に対して、または予め用意された配色パレットとして割り当てる。
【0086】
配色要素の割当、または配色パレットの割当は、システムが扱う出力形式を自動的に選択しても、利用者が指定する構成としても構わない。色の値として直接割り当てる場合は、生成された複数の色を、色相H・明度V・彩度Cや、CMY(K)、RGBなどの値で出力する。配色パレットとして割り当てる場合は、生成された複数の色で構成される配色パレットを表示する。
【0087】
次に、本発明の配色支援装置および配色支援方法の処理フローについて説明する。図3に本発明の配色支援装置および配色支援方法の処理を説明するフローチャートを示す。
【0088】
図3のフローに従って説明する。図3のステップ301において、色の指定が色指定手段201においてなされたか否かを判定する。色の指定がなされていない場合は、ステップ302において色指定を待つ。
【0089】
ステップ303では指定された色の変数を色情報変換手段203において変換する。この変換処理は、上述のように、色指定手段201から入力されるCMY(K)やRGB等の色情報を、例えば色情報変換手段202内のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)、あるいは予め設定された変換処理演算を実行することによって色相H・明度V・彩度Cで表す表色系の変数に変換する処理である。
【0090】
ステップ304では、色指定手段201においてなされた指定色の数を判定する。色指定手段201においてなされた色指定が1つの場合は、ステップ305において指定された1色に基づいて、配色生成手段203においてN個の色を上述の式(1)に基づいて生成する。
【0091】
色指定手段201においてなされた色指定が1つでない場合、すなわち2つの場合は、ステップ306において指定された2色に基づいて、配色生成手段203においてN個の色を上述の式(4)に基づいて生成する。
【0092】
次に、ステップ307において、配色生成手段203において生成されたN個の色の色相H、明度V、再度Cをシステムの扱う表色系の変数に変換する。これは先に説明したように、色情報逆変換手段204において実行される処理であり、色相H・明度V・彩度Cで表す表色系からCMY(K)やRGB等の色情報への変換、または、CIELAB表色系のL*a*b*の色情報への変換処理等である。
【0093】
次にステップ308において、N個の生成された色がすべての要素に割り当てられたか否かを判定し、割り当てが済んでいない場合は、ステップ309において割り当て処理を実行し、すべての要素に対する色の割り当てが終了すると配色処理が終了する。
【0094】
このステップ308、309の処理は、色割当手段205によって実行される処理であり、配色生成手段202によって生成された複数(N個)の色を、直接配色要素に対して、または予め用意された配色パレットとして割り当てる処理である。
【0095】
次に、図3に示す処理フローに従った配色処理をディスプレイに表示した棒グラフに適用する場合、すなわち調和のとれた配色で棒グラフの着色を実行する場合について説明する。
【0096】
図4は、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイの編集領域に表示された棒グラフであり、複数の高さの異なる棒グラフ構成要素が示されている。これら各棒グラフ要素に配色処理を行なう。図4に示すように、ディスプレイの編集領域401にユーザの作成した棒グラフが表示され、さらに、ディスプレイの左側に配色パレット402が表示されている。ユーザはキーボード403またはマウス404を操作することによって編集領域401または配色パレット402において、編集領域401中の要素の指定、および配色パレット402中の色指定が可能である。
【0097】
図5に配色される以前の元の棒グラフを示す。この棒グラフには棒が5本ある。これらすべての棒グラフに配色を行なう場合、要素数:Nは、5となる。
【0098】
ユーザは要素数:Nとして5を指定し、さらに、配色パレットから1または2の色を指定する。要素数:Nは棒グラフのデータからシステムが自動的に抽出してもよい。配色パレットの構成を図6に示す。配色パレットにはユーザによる1色または2色の色指定が可能なように多数の色サンプルが示される。ユーザはこのパレット中から好みの色を1つまたは2つ選択する。
【0099】
ユーザが1つの色指定を行なって、配色を実行すると、先に説明した(1)式に従って、1つの色に基づいてN個、ここでは5個の配色が実行される。また2つの色指定を行なって、配色を実行すると、先に説明した(4)式に従って、2つの色に基づいて5個の要素に対する配色が実行される。
【0100】
ユーザは、図6に示すような配色パレットをディスプレイに表示し、その中から1つ、または2つの色を選択する。
【0101】
ユーザがパレットから1つまたは2つの色を指定すると、システムに設定された選択した色を表す変数、例えばこれらがRGBの値である場合は、RGBの値を、色相H・明度V・彩度Cに変換する。この変換処理は、図2に示す色情報変換手段202において実行される。具体的には、パーソナルコンピュータの記憶手段に記憶された変換テーブルまたは所定の変換演算式によってRGBの値が、色相H・明度V・彩度Cを示す値に変換される。
【0102】
色相H・明度V・彩度Cのどの値を、配色要素において変化させるかは、ユーザによっても設定可能であり、予めシステムにデフォルトで設定された構成であってもよい。ここでは、色相Hを複数の配色要素に対して順次変化させる設定であるとする。
【0103】
図5に示すように配色を実行する棒グラフには棒が5本あるので、配色要素数:Nは、5となる。
【0104】
ユーザが1つの色を指定して配色処理を実行すると、まず、指定色Aに従って、5つの配色要素中の1つの要素の色相H・明度V・彩度Cが、Ha,Va,Caとして決定され、さらに上述した式(1)に従って、5つの色を、それぞれ決定する。
【0105】
5つの要素に対して配色される色は、色相Hのみが、式(1)に従って5つの要素各々に均等に変化する値:Ha、Hk,Hl,Hm,Hnとして設定され、明度V・彩度Cは、指定色Aの明度Va、彩度Caがそのまま他の4つの要素の明度V、彩度Cとして設定される。
【0106】
ユーザが2つの色A,Bを指定して配色処理を実行すると、まず、指定色Aに従って、5つの配色要素中の1つの要素の色相H・明度V・彩度Cが、Ha,Va,Caとして決定され、指定色Bに従って、5つの配色要素中の1つの要素の色相H・明度V・彩度Cが、Hb,Vb,Cbとして決定され、さらに上述した式(4)に従って、他の3つの色が、それぞれ決定される。
【0107】
5つの要素に対して配色される色は、色相Hのみが、式(4)に従ってHa〜Hb間で5つの要素各々に均等に変化する値:Ha,Hp,Hq,Hr,Hbとして設定され、明度V・彩度Cは、指定色Aの明度Va、彩度Ca、または指定色Bの明度Vb、彩度Cbがそのまま他の3つの要素の明度V、彩度Cとして設定される。
【0108】
また、色相Hを一定にし、明度Vと彩度Cをそれぞれ独立に変化させる場合において、1色指定の場合は、明度Vと彩度Cが、式(1)に従って5つの要素各々に均等に変化する値:Va,Vk,Vl,Vm,Vn、およびCa,Ck,Cl,Cm,Cnとして設定され、色相Hは、指定色Aの色相Haがそのまま他の4つの要素の色相Hとして設定される。
【0109】
また、色相Hを一定にし、ユーザが2つの色A,Bを指定して明度Vと彩度Cをそれぞれ独立に変化させる配色処理を実行すると、まず、指定色Aに従って、5つの配色要素中の1つの要素の色相H・明度V・彩度Cが、Ha,Va,Caとして決定され、指定色Bに従って、5つの配色要素中の1つの要素の色相H・明度V・彩度Cが、Hb,Vb,Cbとして決定され、さらに上述した式(4)に従って、他の3つの色が、それぞれ決定される。
【0110】
5つの要素に対して配色される色は、明度Vが、式(4)に従ってVa〜Vb間で5つの要素各々に均等に変化する値:Va,Vp,Vq,Vr,Vbとして設定され、彩度Cについても、式(4)に従ってCa〜Cb間で5つの要素各々に均等に変化する値:Ca,Cp,Cq,Cr,Cbとして設定され、色相Hは、指定色Aの色相Haまたは、指定色Bの色相Hbがそのまま他の3つの要素の色相Hとして設定される。
【0111】
上述の配色処理により、5つの要素は色相H・明度V・彩度Cのいずれか1つまたは2つの要素が均等に変化する色が配色される。次に、この5つの色の色相H・明度V・彩度Cの値をもとの変数RGBに逆変換する。最後に、変換した変数で、それぞれの棒に着色した棒グラフを表示する。これを図7に示す。
【0112】
図7に示す例は、隣り合う要素ごとに順次、色を変化させる構成としたものであるが、応用例として、生成した複数の色の着色する順番を色差の近い色が隣り合わないようにするように配色順番を設定したり、またはユーザによって生成された色を所望の要素に設定する構成とすることも可能である。
【0113】
図8に配色パレットに隣接して各設定値を設定可能な構成を持つユーザインタフェースとしての表示例を示す。図8に示す表示画面は、図6の配色パレット402に相当する部分に表示される。
【0114】
図8に示すユーザインタフェースは、色指定に使用するための色サンプルパレット801に加えて、配色要素数を指定する要素数指定部802、色相H・明度V・彩度Cのいずれを変数として指定するかを設定する変数指定部803、変数として指定したパラメータの変化範囲を設定する変化範囲設定部804、さらに、配色実行の開始を指示する配色実行ボタン805を有する。
【0115】
配色指定を行なおうとするユーザはまず、色サンプルパレット801から1つまたは2つの色サンプルを指定する。さらに、配色要素数を入力し、変数として色相H・明度V・彩度Cのいずれか1つまたは複数を指定する。さらに、変数として指定した色相H・明度V・彩度Cの各々の変化範囲を変化範囲設定部804において設定することができる。変化範囲は、上述の式(1)のd:変数の変化範囲に相当するものである。従って、1色指定の場合にのみ変化範囲の設定が有効になる。変化範囲設定部804において設定できる範囲としては、例えばシステムに予め設定された表色可能な最大範囲をMax値とし、視覚的に識別可能な色差を限度とする値をMin値として設定する。なお、前述のように要素数に応じてその変化範囲を前述の式(2)、(3)に応じて自動的に設定するようにしてもよい。なお、2色指定の場合は、指定した2色間で複数の配色要素(N個)に対して均等に配色されることになる。
【0116】
このようなユーザインタフェースを使用して配色処理を実行することにより、複数の配色要素に自動的に順次変化する色の割り当てが実行され、従来のシステムのように各要素ごとにユーザが逐次配色パレットから色を選択する必要がなくなり、容易に均等な色設定が可能となる。
【0117】
上述の実施例では、棒グラフ等、独立した複数の配色要素の各々に色を割り当てる構成について説明したが、本発明の配色支援装置および配色支援方法は、1つの配色要素としてのオブジェクトを指定し、該オブジェクトに対するグラデーションの生成処理にも適用可能である。
【0118】
図9にグラデーション処理を1つのオプジェクトに施した例を示す。図9は矩形オブジェクト901にグラデーションを設定したものである。すなわち、矩形オブジェクト901の左端ライン902から右端ライン903にその色が順次変化する配色が設定されている。
【0119】
たとえば、矩形オブジェクト901の位置と、左端ライン902および右端ライン903のディスプレイ上における位置を指定することにより座標値を入力する。次に、例えば図8に示す配色設定画面においてグラデーションを生成するための基準となる1色を指定するとともに、要素数、変数指定、変化範囲の指定を行なう。
【0120】
例えば要素数を5と設定すれば、矩形オブジェクト901の左端ライン902から右端ライン903までが5分割され、それぞれの分割された5つの領域に順次、均等に変化する配色がなされる。この配色処理は、前述の図3に示すフローにおいて、要素数が5、指定色が1とした場合と同様の処理によって実行可能である。
【0121】
また、要素数の指定を実行せずに変数指定、変化範囲の指定を行なえば、順次指定された変化範囲で矩形オブジェクト901の左端ライン902から右端ライン903までを、システムにおいて表示可能な色値の数に応じて自動分割され、その分割数に応じて順次、色が変化するように配色が実行される。
【0122】
また、2色指定、例えば色Aと色Bとの指定を行なった場合は、矩形オブジェクト901の左端ライン902に色Aの色相Ha・明度Va・彩度Caが設定され、右端ライン903に色Bの色相Hb・明度Vb・彩度Cbが設定される。さらに、その間を指定要素数に応じて、または要素数の指定を行なわない場合は、上述のようにシステムにおいて表示可能な色値の数に応じて自動分割され、その分割数に応じて指定した変数が均等に変化するように配色がなされる。
【0123】
このように本発明の配色支援装置および配色支援方法は、1つのオブジェクトに対してグラデーションを生成する処理においても適用可能であり、ユーザは1つまたは2つの色を指定するのみで容易にグラデーションの生成ができる。
【0124】
なお、図9に示すような矩形オブジェクトに限らず、任意の図形において、色の変化する領域を指定する2つの端点、または線を指定し、その2点間を指定用素数または配色可能数に応じて複数の領域に分割し、その複数の領域に順次変数を変化させた色を設定するようにすれば、様々な形状のオブジェクトに対してグラデーションの表示をすることができる。
【0125】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0126】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の本発明の配色支援装置および配色支援方法によれば、パーソナルコンピュータ、デスクトップ・パブリッシング(DTP:Desk Top Publishing)、ワードプロセッサ、Webドキュメント作成ツールなどの文書作成編集装置や、複写機、Fax上などで文書を編集する文書編集装置においてカラーの資料を作成する場合におけるユーザの負担を軽減し、カラー配色に熟練していないユーザであってもより視覚的効果の高い配色処理が可能となる。
【0127】
さらに、本発明の本発明の配色支援装置および配色支援方法によれば、配色に対する知識を持たないユーザであっても基準となる1つ、または2つの色を指定するのみで、適切な配色が自動的に実行可能となり、視覚的効果の高いカラー文書の作成が可能である。
【0128】
また、本発明の本発明の配色支援装置および配色支援方法によれば、グラデーションの生成においても細かい色設定を行なうことなく、基準となる1または2の色を指定するのみで、適切なグラデーション配色が自動的に実行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の配色支援装置としての構成例を示す図である。
【図2】本発明の配色支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の配色支援装置の配色処理フローを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の配色支援装置としての構成例を示す図である。
【図5】本発明の配色支援装置の配色処理例を説明する棒グラフにおける配色処理以前の図である。
【図6】本発明の配色支援装置の一実施例における配色パレットの例を示す図である。
【図7】本発明の配色支援装置の配色処理例を説明する棒グラフにおける配色処理後の図である。
【図8】本発明の配色支援装置の一実施例における配色パレットの例を示す図である。
【図9】本発明の配色支援装置の配色処理例としてグラデーション処理における配色処理後の図である。
【符号の説明】
201 色指定手段
202 色情報変換手段
203 配色生成手段
204 色情報逆変換手段
205 色割当手段
401 編集領域
402 配色パレット
403 キーボード
404 マウス
801 色サンプルパレット
802 要素数指定部
803 変数指定部
804 変化範囲設定部
805 配色実行ボタン
Claims (24)
- 配色支援装置において配色支援処理を実行する配色支援方法であり、
色指定手段が、配色対象となる複数の要素中の1つの要素または2つの要素に配色する色を指定色とする指定色情報を入力する色指定ステップと、
配色生成処理手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理ステップと、
色割当手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる色割当ステップと、
を有し、
前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行するステップであり、
前記色指定ステップにおいて指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成することを特徴とする配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
配色対象の要素数に応じて前記独立に変化させる変数を均等に変化させる処理を行ない、均等に変化させた変数を持つ複数の色を各配色対象要素に配色する色として生成することを特徴とする請求項1に記載の配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
前記色指定ステップにおいて指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数とし、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
前記変数の変化範囲を配色対象となる要素の数に応じて変更して複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の配色支援方法。 - 前記配色支援方法は、さらに、
色情報変換手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色情報を色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に変換する色情報変換ステップを有し、
前記配色生成処理ステップは、前記色情報変換ステップにおいて変換された色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に基づいて複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の配色支援方法。 - 前記配色支援方法は、さらに、
色情報逆変換手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の色相、明度、彩度を出力装置に出力可能な表色系の色情報に変換する色情報逆変換ステップを有し、
前記色割当ステップは、前記色情報逆変換ステップにおいて生成された色情報に従って前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる処理を実行することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の配色支援方法。 - 前記配色支援方法は、さらに、
前記色指定手段が、前記配色生成処理ステップにおける複数の色の生成処理において変化させるべき表色系の変数の選択情報を入力するステップを有することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の1つの変数のみを変化させる処理により複数の色の生成処理を実行することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の2つの変数のみを変化させる処理により複数の色の生成処理を実行することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の配色支援方法。 - 配色支援装置において配色支援処理を実行する配色支援方法であり、
座標指定手段が、グラデーション処理対象となる要素中の2つの離間した座標位置の指定情報を入力する座標指定ステップと、
色指定手段が、前記要素に配色する1つまたは2つの色を指定色として設定する色指定ステップと、
配色生成処理手段が、前記色指定ステップにおいて指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理ステップと、
色割当手段が、前記配色生成処理ステップにおいて生成された複数の色の各々を、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域に順次割り当てる色割当ステップと、
を有し、
前記配色生成処理ステップは、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行するステップであり、
前記色指定ステップにおいて指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成することを特徴とする配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域の領域数に応じて、前記独立に変化させる変数を均等に変化させて、該変化させた変数を持つ色を新たな色として各領域に配色する色として生成することを特徴とする請求項10に記載の配色支援方法。 - 前記配色生成処理ステップは、
前記色指定ステップにおいて指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする請求項10または11に記載の配色支援方法。 - 配色対象となる複数の要素中の1つの要素または2つの要素に配色する色を指定色として設定する色指定手段と、
前記色指定手段において指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理手段と、
前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる色割当手段と、
を有し、
前記配色生成処理手段は、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行する構成であり、
前記色指定手段において指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成する構成であることを特徴とする配色支援装置。 - 前記配色生成処理手段は、
配色対象の要素数に応じて前記独立に変化させる変数を均等に変化させ、該均等に変化させた変数値を持つ複数の色を各配色対象要素に配色する色として生成する構成を有することを特徴とする請求項13に記載の配色支援装置。 - 前記配色生成処理手段は、
前記色指定手段において指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行することを特徴とする請求項13に記載の配色支援装置。 - 前記配色生成処理手段は、
前記変数の変化範囲を配色対象となる要素の数に応じて変更して複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項13乃至15いずれかに記載の配色支援装置。 - 前記配色支援装置は、さらに、
前記色指定手段において指定された色情報を色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に変換する色情報変換手段を有し、
前記配色生成処理手段は、前記色情報変換手段において変換された色相、明度、彩度で表す表色系の色情報に基づいて複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項13乃至16いずれかに記載の配色支援装置。 - 前記色情報変換手段は、異なる表色系の色情報パラメータを対応づけたルックアップテーブルを有することを特徴とする請求項17に記載の配色支援装置。
- 前記配色支援装置は、さらに、
前記配色生成処理手段において生成された複数の色の色相、明度、彩度を出力装置に出力可能な表色系の色情報に変換する色情報逆変換手段を有し、
前記色割当手段は、前記色情報逆変換手段において生成された色情報に従って前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素各々に割り当てる処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項13乃至18いずれかに記載の配色支援装置。 - 前記色情報逆変換手段は、異なる表色系の色情報パラメータを対応づけたルックアップテーブルを有することを特徴とする請求項19に記載の配色支援装置。
- 前記色指定手段は、指定色を選択する配色パレット、および前記配色生成処理手段において変化させるべき表色系の変数を選択する変数項目を表示手段に表示し、該表示された配色パレットおよび変数項目から任意の色および変数を選択する手段によって構成されたことを特徴とする請求項13乃至20いずれかに記載の配色支援装置。
- グラデーション処理対象となる要素中の2つの離間した座標位置を指定する座標指定手段と、
前記要素に配色する1つまたは2つの色を指定色として設定する色指定手段と、前記色指定手段において指定された色の情報に基づいて、調和のとれた複数の色の生成処理を実行する配色生成処理手段と、
前記配色生成処理手段において生成された複数の色の各々を、配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域に順次割り当てる色割当手段と、
を有し、
前記配色生成処理手段は、
色を表す表色系の少なくとも1つの変数[X]を変化させる処理により複数の色の生成処理を実行する構成であり、
前記色指定手段において指定された色が1つである場合は、前記指定された色[A]の表色値[Xa]を基準として予め設定された変化範囲[d]において前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+(d/N−1)×(i−int((N+1)/2))
上記式によって算出して、N個の色を生成し、
前記色指定ステップにおいて指定された色が2つである場合は、該指定された2つの色[A],[B]の表色値[Xa],[Xb]間を変化範囲[Xb−Xa]として前記変数[X]を独立に変化させて、N個の色の変数[Xi]の各々を、
Xi=Xa+((Xb−Xa)/(N−1))×(i−1)
上記式によって算出して、N個の色を生成する構成であることを特徴とする配色支援装置。 - 前記配色生成処理手段は、
配色対象の要素中の2つの離間した座標位置を均等に分割した領域の領域数に応じて、前記独立に変化させる変数を均等に変化させて、該変化させた変数を持つ色を新たな色として各領域に配色する色を生成する構成を有することを特徴とする請求項22に記載の配色支援装置。 - 前記配色生成処理手段は、
前記色指定手段において指定された色を、色相、明度、彩度で表す表色系で示した場合における色相、明度、彩度の各々を変数として、該変数の少なくとも1つの変数を独立に変化させることにより、複数の色を生成する処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項22または23に記載の配色支援装置。
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---|---|---|---|
JP24992799A JP3921888B2 (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | 配色支援装置および配色支援方法 |
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