JP3921529B2 - 窒化炭素の合成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化炭素の新規な合成方法に関し、更に詳しくは、特異的な状態にある光反応性前駆体を用い、このものを光反応により活性化させて窒化炭素を合成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化炭素は窒素と炭素のみからなる化合物であり、特に窒素含有率の高い窒化炭素(α-C3N4結晶、β-C3N4結晶、グラファイト状C3N4)は超硬質材料として注目されており、半導体、機械部品、または歯や骨の関節等の耐摩耗財としてもちいるなど、工業用、理化学用、医療用など様々な分野への応用が期待されることもあり、基礎及び応用の両面から活発な検討が進められている。
【0003】
従来より、この窒化炭素は気相法、あるいは液相法によって合成されてきた。液相法を利用したものとしては、▲1▼イソシアノゲン分子を-100度でエーテルに溶解したものを徐々に室温まで昇温することで、管壁にN/C比が1の窒化炭素を得る方法(例えば非特許文献1参照)、▲2▼シアノゲン分子をテトラヒドロフラン、ヘキサン、メタノールなどの有機溶媒中に溶解し、1日程度紫外光を照射することによって窒化炭素を得る方法(例えば非特許文献2参照)が知られているが、反応時間が非常に長いこと、溶媒分子の反応による副反応物の生成や環境汚染を生じる等といった問題点がある。
【0004】
また、気相法で窒化炭素を合成する方法としては、▲3▼窒素イオン照射と同時に炭素の蒸着を行う方法(例えば特許文献1参照))、▲4▼窒素雰囲気下でスパッタリングを行う方法(例えば特許文献2参照)が知られているが、これらの方法では窒素と炭素の供給源が異なっているため窒化炭素の組成(窒素/炭素比)が変動しやすく、用いる装置に対する依存性が大きいという問題がある。
【0005】
また、窒素と炭素を同一の供給源とする気相法による窒化炭素の合成方法としては、アンモニウム化合物および炭素質材料を含有する固形物のレーザーアブレーションにより窒化炭素を合成する方法(例えば特許文献3参照)や、シアン化合物などをプラズマ化することにより活性化し基板上に窒化炭素膜を得る方法(例えば特許文献4参照)等が知られているが、これらの手法では、用いる原材料中に炭素、窒素以外の元素が含まれており、それらが不純物として混入する点が問題である上、窒素含有率の高い膜が安定して得られていないという難点がある。また、上記したすべての気相法では装置内壁の汚染が起こり、作業能率の低下をまねくといった共通の難点があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平8-225924号公報
【特許文献2】
特開平8-158040号公報
【特許文献3】
特開平11-189472号公報
【特許文献4】
特開平11-229147号公報
【非特許文献1】
L. JenneskensらJ. Chem. Soc. Faraday Trans. (1994) Vol. 90, pp 327
【非特許文献2】
F. CataldoらEuro. Polym. J. (1999) Vol. 35 pp 571.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を克服するものであって、触媒や溶剤を使用することなく、N/C比が約1以上の高い窒素含有率の窒化炭素を再現性よく簡便に高効率で得ることができると共に目的生成物の精製操作が不要で反応容器や環境汚染をもたらさない、窒化炭素の新規な合成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、組成再現性に優れた窒化炭素の合成方法について鋭意検討した結果、マトリックス媒体(化学的不活性媒質)の極低温凝固相での反応活性種の生成・反応を利用すると、従来法とは異なり、高効率で組成再現性に優れた窒化炭素が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
(1)炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体を極低温凝固相の内部に含有してなる固体状マトリックス媒体に、紫外光を照射し該光反応性前駆体を活性化させた後、昇温し、固体状マトリックス媒体を気化させて反応系から除去することにより、活性化された前駆体分子の分子間反応を誘起させることを特徴とする窒化炭素の合成方法。
(2)紫外光がレーザー光であることを特徴とする上記(1)に記載の窒化炭素の合成方法。
(3)炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体が、分子内の少なくとも2ヶ所以上で分子間反応を誘起する反応活性種を形成する化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の窒化炭素の合成方法。
(4)炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体が、分子状態で極低温凝固相の内部に含有されていることを特徴とする上記(1)から(3)の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
(5)マトリックス媒体が、希ガス類元素又は窒素であることを特徴とする上記(1)から(4)の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
(6)極低温凝固相の形成温度領域が、化学的に不活性なマトリックス媒体の凝固相の形成が可能であり、かつ凝固相内部での光反応性前駆体分子の拡散現象が生じない温度領域であることを特徴とする上記(1)から(5)の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の光反応を利用する窒化炭素の合成方法は、図1に示されるように、原料として窒素と炭素のみを有する光反応性前駆体を極低温凝固相の内部に含有してなる固体状マトリックス媒体に紫外光を照射し、光反応性前駆体を活性化させた後、昇温し、固体状マトリックス媒体を気化させて反応系から除去することにより、活性化された前駆体分子の分子間反応を誘起させることにより窒化炭素を得ることを特徴としている。
【0011】
この固体状マトリックス媒体は、希ガス類元素(Ne,Ar、Kr、Xe)ガス又は窒素ガスと、窒素と炭素のみを有する光反応性前駆体を極低温凝固相に保持することにより得ることができる。
本発明でいう、極低温凝固相とは、化学的・物理的に安定であるような固体相を意味する。
【0012】
この極低温凝固相は、化学的に不活性なマトリックス媒体の凝固相の形成が可能であり、かつ凝固相内部での前記光反応性前駆体分子の拡散現象が生じない温度領域に保持することにより形成される。極低温凝固相を形成する温度領域は、使用するマトリックス媒体の種類によって異なり、通常65K以下に冷却することにより形成される。具体的には、Neの場合は10K以下、Arでは35K以下、Krでは50K以下、Xeでは65K、窒素ガスでは30K以下に冷却保持する必要がある。
【0013】
このような冷却条件下で、炭素と窒素のみを有する光反応性前駆体を極低温凝固相の内部に含有してなる固体状マトリックス媒体を得るには、たとえばマトリックス媒体の種類に応じた低温に冷却された低温基板上に好ましくは高真空下で上記マトリックス媒体と窒素と炭素のみを有する光反応性前駆体分子とともに吹き付ければよい。
この場合、光反応性前駆体分子が真空条件下において十分な蒸気圧をもつ場合にはあらかじめマトリックス媒体と混合したものを吹きつけることが可能であるし、十分な蒸気圧をもたないときには前駆体分子を予め加熱し、気化あるいは昇華させたものをマトリックス媒体と同時に基板上に吹きつければよい。
後述の光による前駆体分子の活性化および分子間反応による窒化炭素の合成反応はすべてこの凝固相内部で進行するため装置内壁を汚染せず、汚染除去作業の必要性などによる作業能率の低下を招かない。
【0014】
本発明で用いる光反応性前駆体は、マトリックス媒体の極低温凝縮相内に各分子がばらばらの状態で埋め込まれた状態になるので、化学的にも物理的にも極めて安定に存在する。光反応性前駆体は光照射により活性化状態となるが、この活性化された分子は極低温凝固相内に存在するため、その運動が厳しく制約されるため、活性状態を保持したまま該凝固相内に取り込まれた状態となる。この凝固相が昇温(加熱)により解除された後、反応活性種が分子間反応を起こし、目的とする窒化炭素が形成される。この分子間反応は、光照射により生起した反応活性種が相互に反応するものであるが、この反応活性種が分子内の少なくとも2ヶ所以上に反応活性部位を有する高反応性の活性種である場合には、分子間反応による高分子量化が進むので、高分子量の窒化炭素が効率よく得られる。
【0015】
したがって、本発明で用いる前記光反応性前駆体は、光照射により活性化され、反応活性物質に転じ、上記凝固相が解除(解相)された後、分子間反応等を誘起し、目的とする窒化炭素を形成する化合物を用いる必要がある。また高分子量の窒化炭素を得るには分子内の少なくとも2ヶ所以上に反応活性部位を有する高反応性の活性種を形成するものを用いることが望ましい。
また、副反応等により他の副生成物の形成を抑制するために、窒化炭素の構成元素のみを含有する化合物を前駆体として選定しておくことが必要がある。
このような、光反応性前駆体としては、たとえばシアヌール酸トリアジド、シアノゲンアジド、シアノゲン、イソシアノゲン、ジイソシアノゲン、3シアン化トリアジンなどが例示される。特に、シアヌール酸トリアジドは常温で固体で存在し、他の毒性の高い気体状物質と比べて取り扱いが容易であるので好ましく使用される。
【0016】
本発明においては、これらの前駆体をマトリックス媒体に分散させるが、その濃度はとくに限定されず、もっとも高濃度な状態として、不活性媒体が存在せず前駆体分子のみの低温凝縮相も利用が可能である。
【0017】
本発明方法においては、このような光反応性前駆体を極低温凝固相の内部に含有してなる固体状マトリックス媒体に紫外光を照射し、光反応性前駆体を活性化させる。
使用する紫外光の光源に特に制限はないが、高圧水銀灯、エキシマランプなどのランプ類を用いることもできる。特に反応活性種を効率的に生成させるために高強度のレーザー光による照射を行うことが好ましい。レーザー光としては、F2レーザー光、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光、若しくはXeClエキシマレーザー光、又は、Nd:YAGレーザー、もしくはNd:YLFレーザーの2次以上の高調波を用いることが可能である。特に前駆体分子が吸収をもち、効率的に分解する波長の光を選択することが望ましい。
【0018】
この光照射は極低温凝固相の内部に含まれるすべての前駆体分子が反応活性種に変換されるまで行う。また、光照射の波長、時間などを変化させることによって生成する反応活性種の種類を変化させ、得られる窒化炭素の化学構造を制御することも可能である。
【0019】
この光照射を十分な時間行い、前駆体分子を完全に反応活性種に変換した後、たとえば低温基板等の温度を上昇させるなどの手段を講じることにより固体状のマトリックス媒体を加熱する。この加熱による温度上昇により、固体状のマトリックス媒体は気化し、反応系から取り除かれる。
この不活性なマトリックス媒体が反応系から取り除かれることにより、内部に存在していた反応活性種は濃縮され相互に反応を起こし、目的とする窒化炭素が形成される。この場合、加熱速度を制御することにより不活性媒質の除去の速度を制御し、得られる窒化炭素の分子量、形態等を制御することが望ましい。
なお、気化しやすい未反応の前駆体分子を用いた場合、あるいは、得られる副生成物が気化しやすい物質の場合はこられもマトリックス媒体と同時に除去されることになるので、その精製操作を省くことが可能となる。
【0020】
前記したように、本発明の対象とする窒化炭素は気相法や液相法によって合成されている。しかしながら、液相法は、一般に、▲1▼反応時間が非常に長いこと、▲2▼溶媒分子の反応、混入による汚染を避けられない、などといった多くの問題がある。
また、気相法は、▲1▼窒素と炭素の供給源が異なっているため窒化炭素の組成(窒素/炭素比)が変動しやすく、用いる装置に対する依存性が大きい、▲2▼窒素と炭素を同一供給源である気相においては、用いる原材料中に炭素、窒素以外の元素が含まれており、それらが不純物として混入し、また、窒素含有率の高い膜が安定して得られていない、▲3▼更に、すべての気相法では装置内壁の汚染が起こり、作業能率の低下をまねく等といった難点がある。
【0021】
これに対して、本発明方法は超低温凝固相の光反応を利用することから、気相法と比較して生成する反応活性種の密度が高く効率的な反応が可能である上、窒素含有率の高い窒化炭素が得られる。また、炭素と窒素の供給源が単一物質であるため、得られる窒化炭素の組成(窒素/炭素)の再現性が良くなり、また前駆体分子も窒素、および炭素のみを含んでいるので他元素による汚染を防ぐことができる。更には、単に凝縮相を室温に戻すだけでマトリックス媒体が気化するので、反応生成物の精製操作が不要であるといった従来の気相法や液相法では期待できない特異的な効果を奏する。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
【0023】
実施例1
真空容器中に低温基板としてフッ化カルシウム板をセットし、容器内部の圧力が10-3 Pa以下になるまで排気した後、低温基板を20 Kに冷却した。この低温基板に窒素ガスを約10mmol/hの速度で吹きつけるのと同時に、40 ℃に加熱することで昇華させたシアヌール酸トリアジドを吹きつけた。なお、このシアヌール酸トリアジドの赤外吸収スベクトルは図2(上段)に示される。
この操作を2時間継続することで、前駆体シアヌール酸トリアジド分子が分散された窒素固体膜を調製した。こうして得られた窒素固体膜に対して、YAGレーザーの第4高調波(266 nm)を1 mJ・cm-2・パルス-1の強度、10 Hzのパルス繰り返しで、約8分間照射して前駆体有機アジド分子を完全に分解し、反応活性種に変換した。この反応活性種の赤外吸収スペクトルを測定した。その結果を図2(中段)に示す。
この後、基板温度を約40分間で45Kまで上昇させた後、冷凍機を停止し、基板温度を室温に戻した。基板上には白色物質が薄膜状に残った。得られた薄膜状物質を空気中に取り出し、フーリエ変換型赤外吸収分光の測定をおこなった。その結果を図2(下段)に示す。赤外吸収分光測定からは、CN結合の存在を示す1000~1500cm-1のブロードな吸収帯とシアノ基に帰属される2200 cm-1付近の吸収帯からなる典型的な窒化炭素の吸収パターンが見られ、窒素固体中に存在した反応活性種が窒化炭素化合物に変換されていることが判った。
【0024】
実施例2
真空容器中に低温基板としてフッ化カルシウム板をセットし、容器内部の圧力が10-3 Pa以下になるまで排気した後、低温基板を20 Kに冷却した。この低温基板に窒素ガスを約10mmol/hの速度で吹きつけるのと同時に、40 ℃に加熱することで昇華させた前駆体有機アジド分子を吹きつけた。この操作を1時間継続することで、前駆体シアヌール酸トリアジド分子が分散された窒素固体膜を調製した。こうして得られた窒素固体膜に対して、XeClエキシマーレーザー(308 nm)を1 mJ・cm-2・パルス-1の強度、5 Hzのパルス繰り返しで、約40分間照射して前駆体シアヌール酸トリアジド分子を完全に分解し、反応活性種に変換した。得られた分解生成物は、実施例1で得られた分解生成物と同じものであることを赤外吸収分光測定により確認した。この後、さらに1時間かけて前駆体シアヌール酸トリアジド分子/窒素の吹きつけを行い、YAGレーザーの第4高調波(266 nm)を20分間照射して分解した。この後、冷凍機を停止することによって、基板の温度は直ちに上昇した。約10分後、基板温度が約80Kまで上昇した時点で、固体であった窒素は液化し、その後、直ちに沸騰、蒸発した。この後、基板上に白色物質が薄膜状に残った。基板温度を室温まで上昇させた後、得られた薄膜状物質を空気中に取り出し、フーリエ変換型赤外吸収分光、およびX線光電子分光の測定をおこなった。赤外吸収分光測定では、実施例1と同様の吸収パターンが見られた。また、薄膜試料のX線光電子分光の測定を行ったところ、試料再表面の原子数比は炭素:窒素:酸素=1.0 : 0.87 : 0.29であるのに対して、アルゴンイオンスパッタリングにより表面相の除去を行ったところ、原子数比が炭素:窒素:酸素=1.0:0.92:0.16に変化した。エッチングによって酸素濃度が減少したことから酸素は得られた薄膜を空気中に取り出した後、最表面が酸化されることで導入されていたものであり、得られた膜はN/C=0.92の窒化炭素であった。
【0025】
実施例3
真空容器中に低温基板としてフッ化カルシウム板をセットし、容器内部の圧力が10-3 Pa以下になるまで排気した後、低温基板を20 Kに冷却した。この低温基板に窒素ガスを約10mmol/hの速度で吹きつけるのと同時に、45 ℃に加熱することで昇華させた前駆体有機アジド分子を吹きつけた。この操作を2時間継続することで、前駆体有機アジド分子が分散された窒素固体膜を調製した。こうして得られた窒素固体膜に対して、ArFエキシマーレーザー(193 nm)を1 mJ・cm-2・パルス-1の強度、5 Hzのパルス繰り返しで、約2時間照射して前駆体有機アジド分子を完全に分解し、反応活性種に変換した。この後、基板温度を約40分間で70Kまで上昇させた後、冷凍機を停止し、基板温度を室温に戻した。基板上には白色物質が薄膜状に残った。得られた薄膜状物質は、実施例1で得られた分解生成物と同じものであることを赤外吸収分光測定により確認した。アルゴンイオンスパッタリングにより表面相の除去を行った後のX線光電子分光の測定の結果から、原子数比は炭素:窒素:酸素=1.0:0.95:0.18であり、得られた膜はN/C=0.95の窒化炭素であった。
【0026】
【発明の効果】
(1)本発明の窒化炭素の合成方法は、触媒や溶剤を使用することなく効率よく目的とする窒化炭素を組成再現性よく製造することができる。
(2)凝固相を利用した反応であるため、気相法と比較して生成する反応活性種の密度が高く効率的な反応が可能である。
(3)凝固相に用いるマトリックス媒体は反応に関与せず、これを室温に戻すことですべて気化するので、目的生成物の精製操作が不要である。
(4)装置内壁の汚染による作業能率の低下をもたらさない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成方法の説明図。
【図2】分解前のシアヌール酸トリアジドの赤外吸収スペクトル(上段)、レーザー光分解後の反応活性種の赤外吸収スペクトル(中段)昇温後、基板上に生成した窒化炭素の赤外吸収スペクトル(下段)。
Claims (6)
- 炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体を極低温凝固相の内部に含有してなる固体状マトリックス媒体に、紫外光を照射し該光反応性前駆体を活性化させた後、昇温し、固体状マトリックス媒体を気化させて反応系から除去することにより、活性化された前駆体分子の分子間反応を誘起させることを特徴とする窒化炭素の合成方法。
- 紫外光がレーザー光であることを特徴とする請求項1に記載の窒化炭素の合成方法。
- 炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体が、分子内の少なくとも2ヶ所以上で分子間反応を誘起する反応活性種を形成する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化炭素の合成方法。
- 炭素と窒素のみからなる光反応性前駆体が、分子状態で極低温凝固相の内部に含有されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
- マトリックス媒体が、希ガス類元素又は窒素であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
- 極低温凝固相の形成温度領域が、化学的に不活性なマトリックス媒体の凝固相の形成が可能であり、かつ凝固相内部での光反応性前駆体分子の拡散現象が生じない温度領域であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の窒化炭素の合成方法。
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