JP3921137B2 - 自動車ドアにおけるガラス板駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ドアにおける窓を開閉する為のガラス板駆動装置に関し、さらに詳しくは、上記ガラス板駆動装置の左右のプーリーの間隔を、枠部材の巾寸法が小さくなるように、X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体がドラムの位置と重合する位置を通過する位置にまで狭い間隔に設定してある自動車ドアにおけるガラス板駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より広く知られている自動車ドアにおけるガラス板駆動装置としては、図6に示されるものがある(例えば特開2001−1756号公報参照)。この図6を用いて従来例を説明する。
【0003】
自動車用ドア1は、周知のようにドアパネルユニットと、ドアモジュールとを備えている。ドアパネルユニットは、ドア1の外壁面を構成するアウタパネル13と、アウタパネル13の車両内側に設けた補強部材と、ドア1を車体に取付けるためのヒンジ部材と、アウタパネル13の車両内側の周縁部に設けたインナパネルなどを備えている。
一方、ドアモジュールは、ドアモジュールの骨格をなす枠構体を備えている。この枠構体は、窓開口部5と、その下方に位置させる腰部3を備える。窓開口部5の周囲には車両前側に位置する前サッシュ6aと、車両後側に位置する後サッシュ6bと、ドアモジュールの最上部に位置する上部サッシュ6cと、上部サッシュ6cの下方に位置して水平方向に延びる中間枠6dとを備え、更にその下方位置には、ドアモジュールの最下部に位置する下枠6eを備える。上部サッシュ6cは、後述するドアガラス10の上縁10aに沿う形状となっている。
枠構体にはドアガラス昇降機構(ガラス板駆動装置とも称される)20や、ドアラッチ機構、ラッチ操作機構(ドアインサイドハンドル)などが取付けられている。サッシュ6a,6b,6cとドアガラス昇降機構20およびドアガラス10などは、ドアガラス昇降装置を構成している。
ドアモジュールをドアパネルユニットに組込むには、ドアモジュールの後端部をアウタパネル13と後部インナパネルとの間に挿入したのち、ドアモジュールの前端部を車両内側からドアパネルユニットの前部インナパネルに重ねる方向に動かし、ドアモジュールの下端部をアウタパネル13と下部インナパネルとの間に落とし込む。そしてドアモジュールの前端部をボルトによって固定し、ドアモジュールの後端部をボルトによってドアパネルユニットに固定する。
【0004】
図6に示すようにガラス板駆動装置(ドアガラス昇降機構)20は、枠部材21と、プーリー26,27,28,29と、索条体33と、キャリアプレート等の連結部材38と、ドラム25とを備える。上記中間枠6dと下枠6eとの間に配された枠部材21は、ベースプレート21aと、このベースプレート21aに固定一体化されて上下方向に延びる前後一対のフレーム22,23などを備えている。フレーム22,23の下端部は、下枠6eに固定されている。
枠部材21の位置は、前後方向の中間位置にガラス受け41が位置できるように腰部3における空間4の内部中央位置に備えさせてある。枠部材21の位置に対して前後位置70,71には夫々空間があり、そこには好みに応じて、スピーカーボックスが配置されたり、マガジンを入れるポケットが配置される。
フレーム22,23の上端部と下端部に、それぞれ上プーリ26,28と下プーリ27,29が設けられている。またベースプレート21aに、駆動プーリ(ドラムとも称される)25と、駆動プーリ25を回転させるためのモータ24が設けられている。このモータ24は、車載バッテリ(図示せず)を電源とする正逆回転可能な減速ギヤ付DCモータである。
【0005】
上記のプーリに、ワイヤケーブル等からなる索条体(ワイヤーとも称される)33(a、b、c、d)が掛け渡され、図示のように上下方向に並行する部分とX状にクロスした状態になる部分ができるように巻掛けられている。すなわちこの索条体は、前側の上プーリ26と下プーリ27との間に上下方向に張り渡された前側移動部33aと、後側の上プーリ28と下プーリ29との間に上下方向に張り渡された後側移動部33bと、上プーリ28と下プーリ27との間に斜めに張り渡された第1斜状部33cと、上プーリ26と下プーリ29との間に斜めに張り渡された第2斜状部33dとを有している。第1斜状部33cは、上プーリ28と駆動プーリ25との間に斜めに張り渡された上部分33c1と、下プーリ27と駆動プーリ25との間に斜めに張り渡された下部分33c2とを有している。そして上記第1斜状部33cと、第2斜状部33dとが図示の如くX状にクロスしている。第1斜状部の上部分33c1と第1斜状部の下部分33c2には、索条体全体に適度な張力を与えることによって索条体の伸びや弛みを吸収する周知のテンション部材(テンショナーとも称される)30が図示のように設けられている。
【0006】
索条体の前側移動部33aと後側移動部33bの各々に、索状体とドアガラス10との連結部材として、キャリアプレート38が、図示の如くおおむね水平となるように止着されている。キャリアプレート38の中間位置にはU字のガラス受け41が設けられており、これによりガラスの下縁10bが支えられている。キャリアプレート38とガラスの下縁10bとは別に設ける固定部材42によっても連結されている。
索条体33の一端側、すなわち第1斜状部の上部分33c1の端部は駆動プーリ25に係止され、かつ、ドアガラス10の昇降ストロークを許容できる長さ分が駆動プーリ25に巻取られている。索条体の他端側、すなわち第1斜状部の下部分33c2の端部も駆動プーリ25に係止され、かつ、ドアガラス10の昇降ストロークを許容できる長さ分が駆動プーリ25における複数(5〜7)回の螺旋溝に巻取られている。
【0007】
従って駆動プーリ25が矢印56方向に回転したときには、索状体は実線矢印で示す矢印58方向に移動する。即ち、索条体33の第1斜状部の上部分33c1が駆動プーリ25から繰出されるとともに、第1斜状部の下部分33c2が駆動プーリ25の螺旋溝に巻取られ、後側移動部33bがプーリ29方向に移動し、前側移動部33aがプーリ27方向に移動し、第2斜状部33dがプーリ26方向に移動する。上記索状体の矢印58方向への移動により、前側移動部33aと後側移動部33bが互いに同期して下降する。それに従って、キャリアプレート38とドアガラス10も一体となって下降する。
また、駆動プーリ25が矢印56と逆方向に回転したときには、索状体は実線矢印で示す矢印58とは反対の方向に移動する。即ち、第1斜状部の上部分33c1が駆動プーリ25に巻取られるとともに、第1斜状部の下部分33c2が駆動プーリ25から繰出され、前側移動部33aがプーリ26方向に移動し、後側移動部33bがプーリ28方向に移動し、第2斜状部33dがプーリ29方向に移動する。上記索状体の矢印58とは反対方向への移動により、前側移動部33aと後側移動部33bが互いに同期して上昇する。従って、キャリアプレート38とドアガラス10も一体に上昇することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の自動車ドアにおけるガラス板駆動装置20では、窓ガラスを開閉するとき、上記のように、ドラム25を回動させ、前後のプーリより内側のX状にクロスして掛け渡されている索状体の内、ドラム25に連繋させてある索状体33cを駆動して、前後両側の上下方向に張り渡された索状体33a,33bを同期的に上下動させることによってガラス板10を上下動させることができる。その場合、ガラス板は上記索状体の内、上記のX状態に掛け渡されている索条体ではなく、前後両側の同期的に上下動する索状体33a,33bに止着してあるから、安定してガラス板を上下することができる特長がある。
【0009】
一方、ドア内に大きなスピーカーを設置したり、ドアの車内側に大きなポケットを設置したい等の要望に応える為に、ドアの内部における空間に大きなスペースを確保しようとしても、上記ガラス板駆動装置20における駆動装置の枠部材21が、ドアの内部における空間の多くを占有し、腰部3における空間4の巾寸法Wに対する上記ガラス板駆動装置20における駆動装置の枠部材21の巾寸法W2が大きく、上記空間70,71の巾寸法W1,W3が小さくなり、上記の要望を受け入れ難い問題点があった。
【0010】
その上、ドア1における腰部3の空間に対するガラス板駆動装置20の組み付けに当たっては、ガラス板駆動装置20の外形が大嵩で、その上重量が大きくなる為、それを持ち上げて、腰部3に組み付ける作業には大変な苦労を伴い、非力な人等は怪我をする等安全管理面での問題点があった。また組み付けるための作業時間も多くを要し、作業能率を向上させ難い問題点であった。
【0011】
本件出願の自動車ドアにおけるガラス板駆動装置は、上記従来技術の問題点を解決する為に提供するものである。
本件出願の目的は、窓を開閉するとき、枠部材に配置されているドラムを回動させ、これに掛け渡されている索条体を駆動して、その索状体を上下動させることによってガラス板を上下動させるようにした自動車ドアにおけるガラス板駆動装置を提供しようとするものである。
他の目的は、上記索状体をプーリーに掛け渡すにあたり、従来の場合と同様に両側の並行に配置した索条体が上下方向に動作するように、それらの索条体の内側に索条体をX状態に掛け渡し、これを駆動し、しかも上記のガラス板は、上記の左右両側の同期的に上下動する索状体に止着して、安定した状態でガラス板を上下させることができる自動車ドアにおけるガラス板駆動装置を提供しようとするものである。
【0012】
他の目的は、従来の場合と同様に両側の並行に配置した索条体が上下方向に動作し、それらの索条体の内側に位置させる駆動用の索条体がX状態に掛け渡され、しかも上記のガラス板は、上記の左右両側の同期的に上下動する索状体に止着して、安定した状態でガラス板を上下させることができるようにするものであっても、枠部材に配置されているプーリーの左右の間隔を極めて狭くすることができ、それに基づき、枠部材の巾寸法を小さくできるようにし、もって自動車ドア内の空間におけるガラス板駆動装置の占有容積を小さくして、ドア内空間の前後方向にスペースを大きく取れるようにした自動車ドアにおけるガラス板駆動装置を提供しようとするものである。
【0013】
さらに、他の目的は、上述したように構成して枠部材の巾寸法を小さく、かつ、軽量化したことにより、自動車ドアにガラス板駆動装置を取り付けるとき、作業員は手軽に持ち上げ操作して安全作業を行うことのできる自動車ドアにおけるガラス板駆動装置を提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明における自動車ドアにおけるガラス板駆動装置は、自動車用ドアにおける窓を開閉する為のガラス板を上下駆動させるようにしてある駆動装置であって、その駆動装置は、プーリーとドラムを配設支持する為の枠部材と、上記枠部材の上下左右の四方に配置され、移動する索状体を案内する為のプーリーと、上記プーリーに、左側の上下のプーリー相互間及び右側の上下のプーリー相互間に掛け渡されると共に、左上と右下のプーリー相互間及び右上と左下のプーリー相互間においてX状態に掛け渡されている索条体と、左右両側において上下方向に配置された上記の索状体を同期的に上下に移動させることによってガラス板が共に上下に移動するようにガラス板と上記左右両側の索状体とを止着するようにしてある連結部材と、上記X状態に掛け渡されている索条体の内の1方の索状体について連繋させて上記1方の索条体を移動させて、上記左右両側の索状体を同期的に上下動させるようにしてあるドラムであって、そのドラムは、上記枠部材に対して、軸心が上記索条体に対して直交する状態に装着してあるドラムとを備える自動車ドアにおけるガラス板駆動装置において、
上記ドラムの軸心方向の上部には、ドラムと重合する状態でワイヤーガイド部材の本体を乗載させ、そのワイヤーガイド部材の本体の周囲には一体材で筒状に形成された嵌着部材を備えさせ、かつ、その嵌着部材はドラムにおけるドラムカバーの周囲に向けて垂設状に配置して上記ワイヤーガイド部材の本体をドラムカバーに一体化させてあり、さらに、上記ワイヤーガイド部材の本体の上部には、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体を通過させる為の凹溝を形成し、かつ、凹溝の溝底の高さ位置は、該索状体を案内する為の上下のプーリー相互間を結ぶ位置よりもやや高くなるようにしてあって、その凹溝に索状体を位置させ、通過させることにより、索状体が凹溝から容易に浮上離脱しないように構成してあり、上記左右のプーリーの間隔は、上記枠部材の巾寸法が小さくなるように、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体がドラムの位置と重合する位置に備えさせてある上記凹溝を通過する位置にまで狭い間隔に設定したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本願発明の実施の形態を示す図面について説明する。図1乃至図5の説明に当り、前述の図6と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、特徴等は、以下に於て加える新規な部材構成、組合せ等の説明に係わる事項を除き、前述した説明と同旨と理解できるので、重複する説明は一部省略する。
【0016】
図1乃至図5において、1は、自動車における乗降口に対して前端1aを枢着し、後端1bを水平方向に回動するようにしたドアである。
ドア1における上方は窓5に、下方は内部に空間4を備える腰部3に構成してある。窓5において、6は窓枠を示し、前枠6a、後枠6b、上枠6cを備える。上記前枠6a、後枠6bにはガラス板10を案内する為の一対のガイドレールが付設されており、ガラス板10について予定されている上下動軌跡11をガラス板10が上下動できるように各ガイドレールに案内溝が形成してある。さらに、上記上枠6cにはガラス板10を受け止める為の受溝が付設されている。これらのガイドレール及び受溝の夫々の内側は、ランチャンネルと称され、弾性材で形成されている部材で構成されている。
【0017】
腰部3において、13は外枠を構成するパネル、14は周知のように腰部3のうちに収める諸部材を支える為に腰部3内に配置するもので、パネル13に連結させた内枠、15は作業用透孔を示し、常時は着脱自在のパネルによって覆われる。空間4にはガラス板収納空間があり、インパクトバー17等の諸部材が配置される。16は中間枠6dに形成したガラス出入口を示し、ゴムなどの弾性材で形成されたベルトラインモールのブレードが両側に配置されている。また、空間4には、駆動装置20における枠部材21の位置に対して前後位置に空間70,71がある。空間70,71の巾寸法は、腰部3における空間4の巾寸法Wから駆動装置20の枠部材21の巾寸法W2を除いた巾寸法W1、W3となっている(車種によって異なるが、例えばWは740mm、W2は190mm、W1は180mm、W3は370mm)。上記空間70,71には好みに応じて、スピーカーボックス80が配置されたり、マガジン、ペットボトル、地図等を入れるポケット81が配置される。
【0018】
上記ドア1にあっては、上下動自在のガラス板10の上部10aが上死点に至る上昇状態では、受溝6cに入り、上記ドア1における窓5を塞ぎ、ガラス板10の下部10bが下死点に至る下降状態では、ガラス板10は窓5を開放し、上記ドア1のガラス板収納空間に納るようにしてある。
【0019】
ドア1の腰部3におけるガラス収納空間に備えさせた上記ガラス板10を上下に駆動する為の駆動装置20について説明する。駆動装置20は図1における破線で示される位置に配置されている。駆動装置20における鋼板製の枠部材21は、両側に一体的に連結されている鋼板製のステー部分22、23を備える。ステー部分22、23の上下の部分は内枠14に対し、ボルトを用いて着脱自在に装着してある。
駆動装置20の詳細は図3に良く現れている。26、27、28、29はプーリーで、ステー部分22、23の上下の図示の位置に配置されている。33、34、35は図示の如く上記プーリー等に張設されたワイヤー(索条体とも称される)を示す。25は一般に知られているようにワイヤーを介してガラス板を上下駆動するためのドラムを示し、モータ24によって正転及び反転を可能に構成されている。なお、上記モータ24に代えて、従来品のように周知の手動ハンドルによりドラム25を駆動するようにしてもよい。
【0020】
38はガラス板10の下部にそれを支える状態で連結してあるキャリアプレートで、図3に示されるように、キャリアプレート38の一端38aにはワイヤー33と、ワイヤー35の夫々の一端が、キャリアプレートの他端38bにはワイヤー34の一端と、ワイヤー35の他端が夫々固着されている。なお、ワイヤー33と、ワイヤー34の夫々の他端は、夫々5〜7回巻きの螺旋状のワイヤー溝25aを備えるドラム25の両側に個別に止着してある。
上記のような構成にした結果、上記4つのプーリーにあっては、図示のように左側の上下のプーリー26、27相互間及び右側の上下のプーリー28、29相互間に夫々上下方向に向け、かつ、索条相互間においては並行状態となるように索条体33a,33bが掛け渡されている。左上と右下のプーリー26,29相互間及び右上と左下のプーリー28、27相互間においては、索条体33d,33cはX状態となるように夫々斜状に掛け渡されている。
【0021】
次に図3、4、5を用いてドラム25の詳細を説明する。46はドラム軸の上部を支える為に硬質材(鋼板等)で形成されカバーを示し、カバーの両側の下端における止付脚46aは枠部材21に対して堅固に固着されている。枠部材21に固着されているギアケース24aからはモータによって往復回転させる駆動軸44が突設され、それの上方にはドラム25の内周が一体的な回動を可能に固着されている。ドラム25の周囲には従来と同様に螺旋溝25aが周設してある。45はドラム25に対して、軸線に直交する方向へ向けての引張力が加わった場合にでもドラム25が正常に回動できるようにドラム25の中心部に連携させた部材で、一端をカバー46に固着し、他端をドラム25に回動自在に連携させてある。
【0022】
上記の駆動用のモータ24と、ワイヤー駆動用のドラム25と、プーリー26、27、28、29と、キャリアプレート38と、ワイヤー33、34、35の位置関係及び張設状態は、図示の通りである。本願にあっては、枠部材21の巾W2が従来品に比べ狭く形成してあるので、プーリー26、29間に張渡す索状体33dはドラム25に干渉する位置を通る。図3に示す構成によれば、従来品と同じように、モータ24を回転させることによりドラム25が矢印56方向に回り、例えばワイヤー33、34、35が夫々矢印58方向に移動し、キャリアプレート38を下降させる。モータ24を逆転させるとワイヤーは逆方向に移動し、キャリアプレートを上昇させる。このようにして上記X状態に掛け渡されている索条体33c、33dの内の1方の索状体33cについてドラム25に連繋させて上記の索条体を移動させ、その移動によって上記左右両側の索状体33a,33bを同期的に上下動させるようにしてある。
上記連結部材としてのキャリアプレート38には、従来品のガラス受け41と同様のフック部材と共に、ガラスホルダーなど任意の固着部材を備え、ガラス板10の下端は、それらを介して一体的な上下動を可能に着脱自在な構成でもって固着されている。
なお30は、ドラム25の初動時、停止時に生じるワイヤーの伸びや弛みを取るための周知のテンショナーを示す。
【0023】
上記のように索状体33dとドラム25とは、図3において重合する位置にある。しかしながら、ドラム25が枠部材21に対して低い状態にあれば索状体33dとドラム25の頭とが干渉する問題は発生しない。しかし、ドラム25の高さ寸法が大きい場合は、次のようなワイヤーガイド部材(索条体案内部材ともいう)を用いる構成にすればよい。
図3、4、5によく現れているワイヤーガイド部材62は、索状体33dを通過させる位置に配置する。図示の例においてはドラム25と重合する位置に配置されている。設置の状態は、例えばワイヤーガイド部材62が、ドラム25におけるカバー46の上に乗載できるように本体62bを円盤状に形成する。本体62bの周囲には筒状に形成された嵌着部材62aが一体材料、例えば滑り易く、かつ滑り音の生じ難いナイロン、ポリアセタールなどの合成樹脂でもって垂設状に具備させてある。本体62bの上面には索状体33dを通過させる為の凹溝63を形成し、索状体が移動する場合に索状体の半径方向に逸脱しないようにしたものである。凹溝63の両側にはガイド面63aが備えさせてある。64は索状体の浮上がりを防止する為の爪部材で、上記本体62bの側方から上方に向けて一体材で突出させてある。なお、上面には二方向に向けて上記の溝と同種類の溝63bが設けてあるが、一方はワイヤーの向きが異なる場合に用いられるものである。
ワイヤーガイド部材62の組付けは、周壁62aの内側にドラムカバー46の周壁46bが嵌着される状態で嵌合させ、ドラムカバー46とワイヤーガイド部材62とは一体化して離脱し難く装着可能にしてある。
なお、本体62bの高さ位置はプーリー26と29とを結ぶ位置よりもやや高くなるようにしてあって、ワイヤーガイド部材62が浮上しないし、また索状体33dが容易に浮上離脱しないように構成してある。
【0024】
上記のように、本願にあっては、枠部材21の横幅方向の寸法W2を小さくする為に、ドラム25の配置位置に対して、索状体33dはドラム25の上方の重合位置を通過させるようにしてある。しかもその場合ドラムの高さ寸法が大きい場合、或いは索状体33dの横振れを防止したい場合などには、上記の如くワイヤーガイド部材62を重合可能に設定することによって、索状体33dはドラム25の上方重合位置を安定した状態で容易に通過させることが可能となる。
さらに、ドラム25と索状体33dとの干渉を避ける為に、ドラム25とプーリー26の間又はドラム25とプーリー29の間にワイヤーをガイドする部材を設けることは良い。しかし、ドラム25に対してワイヤーガイド部材62を重合状に付設させる構成は、上記プーリーとドラム間の煩雑さを避け、簡易化する為に更に有効である。
【0025】
従って、図3と図6における索状体の配置位置の比較から明らかなように、図3に示される上方のプーリー26の位置及び下方のプーリー29の位置は、夫々、上方においてはプーリー28に近づき、下方においてはプーリー27に近づき、プーリー26、29の間を通す索状体33dはドラム25の上方重合位置を通過する。その結果、プーリー26と28及びプーリー27と29の位置は極めて近い構成となり、しかもその左右のプーリー相互が、近づくことによって、枠部材21の横幅方向の寸法W2は小さくなる。
【0026】
さらに繰返して見地を変えて述べれば、上記左右のプーリー26、28及びプーリー27、29の間隔は、上記枠部材21の巾寸法W2が小さくなるように、上記X状態に掛け渡されている索条体33c、33dの内のドラム25に連繋されていない方の索状体33dがドラム25の位置と重合する位置を通過する位置にまで狭い間隔に設定してある。これにより、上記枠部材21の巾寸法W2が小さくなると、図1に示されるドアの空間4の巾Wにおける空間70及び71の巾寸法W1,及びW3は大きくなる。このことは、自動車ドア内の空間4における駆動装置20の占有容積が小さくなり、ドア内空間4の前後方向のスペース70,71を大きくとることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本願発明は、窓ガラスを開閉するとき、ドラムを回動させ、左右のプーリーより内側のX状態に掛け渡されている索条体の内、ドラムに連繋させてある索状体を駆動して、左右両側の索状体を同期的に上下動させることによってガラス板を上下動させることができる効果がある。
その場合、ガラス板は上記索状体の内、上記のX状態に掛け渡されている索条体ではなく、左右両側の同期的に上下動する索状体に止着してあるから、安定してガラス板を上下することができる効果がある。
【0028】
本願発明においては、ガラス板を上記左右両側の索状体に止着したものであっても、その左右両側の索状体を案内する左右のプーリーの間隔を、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体が、ドラムの位置と重合する位置を通過する位置にまで狭い間隔に設定したので、枠部材の横方向(前後方向)の巾寸法を小さくできる特長がある。
このことは、自動車ドア内の空間における駆動装置の占有容積が小さくなり、ドア内空間の前後方向にスペースを大きくとることができることになる。
このように空間的に優れた特長を備える本願発明にあっては、設計者が自動車用ドアの設計において、例えば、ドア内に大きなスピーカーを設置すること又はドアの車内側に大きなポケットを設置することが可能になる等、設計上の裁量値を大きくする効果がある。
このことは、利用者が上記のドア内に大きなスピーカーを設置した自動車を使用する場合には、利用者は大きなスピーカーで音響効果を楽しむことができ、ドアの車内側に大きなポケットを設置した自動車を使用する場合には、大きなポケットに、ペットボトル、雑誌、地図等を収納できるという利用上の効果が生じる。
【0029】
さらに、本願発明においては、上述したように構成して枠部材の巾寸法を小さくできるできるようにしたものであるから、全体重量は軽くなり、自動車ドアにガラス板駆動装置を取り付けるとき、作業員は手軽に持ち上げ操作して安全作業を行うことのできる作業上の効果がある。
【0030】
さらに本願発明にあっては、上記ワイヤーガイド部材の本体の上部に、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体を通過させる為の凹溝を形成し、索状体はその凹溝を通過させるものであるから、図4からも理解できるように、ドラムから上方に向けての嵩張る寸法は、著しく低くなる。このことは、ドアの幅が狭い場合でも、ガラスの上下動する軌跡との干渉を予め防止する上に優れた効果がある。
【0031】
さらに、ワイヤーガイド部材の本体の周囲には一体材で筒状に形成された嵌着部材を備えさせ、かつ、その嵌着部材はドラムにおけるドラムカバーの周囲に向けて垂設状に配置して上記ワイヤーガイド部材の本体をドラムカバーに一体化させるものであるから、工場における組立、保守点検作業おいてドラムカバーに対するワイヤーガイド部材の着脱は極めて容易迅速となる効果がある。
しかもそのようにワイヤーガイド部材の着脱が極めて容易迅速となるようにしたものであっても、常態においては、凹溝の溝底の高さ位置よりも、該索状体を案内する為の上下のプーリー相互間を結ぶ位置が低くなっているので、索状体の浮上離脱の心配がないばかりか、ワイヤーガイド部材の浮上離脱も、共に防止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドアにおける窓と、空間4を備える腰部3と、空間4における駆動装置との関係を示す車両の内側方向から見た要部外面図。
【図2】 図1におけるA−A断面図。
【図3】 (A)は自動車ドアにおけるガラス板駆動装置の説明用図面。(B)はドラムとワイヤーガイド部材の関係を示す平面図。
【図4】 図3(A)におけるB−B断面図
【図5】 図3におけるC方向からみた一部破断図
【図6】 従来品におけるドアの窓と、ガラス板と、駆動装置におけるドラムと、ワイヤー、テンショナーとの関係を示す車両の外側方向から見た説明用内面図。
【符号の説明】
1・・・ドア、3・・・腰部、4・・・腰部の空間、5・・・窓開口部、6・・・窓枠、6a・・・前枠、6b・・・後枠、6c・・・上枠、6d・・・中間枠、6e・・・下枠、10・・・ガラス板、10a・・・上縁、10b・・・下部、13・・・パネル、14・・・内枠、15・・・作業用透孔、16・・・ガラス出入口、17・・・インパクトバー、20・・・ガラス板駆動装置(ドアガラス昇降機構)、21・・・枠部材22,23・・・ステー、24・・・モータ、24a・・・ギアケース、25・・・ドラム、25a・・・螺旋溝、26,27,28,29・・・プーリー、30・・・テンショナー、33,34,35・・・索状体(ワイヤー)、33a・・・第1上下索、33b・・・第2上下索、33c・・・第1斜状索、33c1・・・上部分、33c2・・・下部分、33d・・・第2斜状索、38・・・キャリアプレート、41・・・ガラス受け、42・・・ガラス連結部材、44・・・駆動軸、46・・・ドラムカバー、46a・・・止付脚、46b・・・周壁、56,58・・・矢印、62・・・ワイヤーガイド部材、62a・・・周壁、62b・・・本体、63・・・凹溝、63a・・・ガイド面、64・・・爪部材、70・・・空間、71・・・空間、80・・・スピーカー、81・・・ポケット、W,W2・・・巾
Claims (1)
- 自動車用ドアにおける窓を開閉する為のガラス板を上下駆動させるようにしてある駆動装置であって、
その駆動装置は、
プーリーとドラムを配設支持する為の枠部材と、
上記枠部材の上下左右の四方に配置され、移動する索状体を案内する為のプーリーと、
上記プーリーに、左側の上下のプーリー相互間及び右側の上下のプーリー相互間に掛け渡されると共に、左上と右下のプーリー相互間及び右上と左下のプーリー相互間においてX状態に掛け渡されている索条体と、
左右両側において上下方向に配置された上記の索状体を同期的に上下に移動させることによってガラス板が共に上下に移動するようにガラス板と上記左右両側の索状体とを止着するようにしてある連結部材と、
上記X状態に掛け渡されている索条体の内の1方の索状体について連繋させて上記1方の索条体を移動させて、上記左右両側の索状体を同期的に上下動させるようにしてあるドラムであって、
そのドラムは、上記枠部材に対して、軸心が上記索条体に対して直交する状態に装着してあるドラムとを備える自動車ドアにおけるガラス板駆動装置において、
上記ドラムの軸心方向の上部には、ドラムと重合する状態でワイヤーガイド部材の本体を乗載させ、そのワイヤーガイド部材の本体の周囲には一体材で筒状に形成された嵌着部材を備えさせ、かつ、その嵌着部材はドラムにおけるドラムカバーの周囲に向けて垂設状に配置して上記ワイヤーガイド部材の本体をドラムカバーに一体化させてあり、さらに、上記ワイヤーガイド部材の本体の上部には、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体を通過させる為の凹溝を形成し、かつ、凹溝の溝底の高さ位置は、該索状体を案内する為の上下のプーリー相互間を結ぶ位置よりもやや高くなるようにしてあって、その凹溝に索状体を位置させ、通過させることにより、索状体が凹溝から容易に浮上離脱しないように構成してあり、
上記左右のプーリーの間隔は、上記枠部材の巾寸法が小さくなるように、上記X状態に掛け渡されている索条体の内のドラムに連繋されていない方の索状体がドラムの位置と重合する位置に備えさせてある上記凹溝を通過する位置にまで狭い間隔に設定してあることを特徴とする自動車ドアにおけるガラス板駆動装置。
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