JP3920513B2 - ケース組立用プラスチックシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品その他の適宜物品を収納して展示するのに好便な箱形のプラスチックケースとなし得る打ち抜きにより形出可能なプラスチックシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
商品を収納したプラスチックケースは、商品を保護しつつ見栄えよく展示するために、適度な強度(剛性)を有し、透明度の高いプラスチックシート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、特にアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)などで成形されてなるシートを打ち抜き形出した上、一部を貼り合わし組み立てて作られている。
ケースは、図5に示すごとく、連設した正面板部51、背面板部52及び左右側面板部53(54)によって形成し、かつ開口面を塞ぐ開閉板部55を正面板部51の端縁から連設し、開閉板部55の先端に差込み片56を延設した構成を具備しているが、閉蓋した差込み片56が不用意に抜け外れてしまわないように、両側部に切込み57aを設け、この切込み部よりも若干開閉板部の内方寄りに差込み片56の折曲部57を設けることにより、差込み片56を差込んだ状態で、両側の切込み部分が左右側面板部側端から折込まれた折込み片58の内側に引っ掛かって抜けにくくなるように形成してある。このために、差込み片56と背面板部52との間に隙間Sが生じてしまっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
商品の展示において、特に開閉板部を上方にして展示する場合、包装物に塵や虫などの入りやすい隙間があるのは、品質に影響を与え或いは商品価値を低下させるなど、欠陥の主要原因の一となる。プラスチックは静電気で塵を吸い付けやすいことも影響を与えていた。一方、差込み片56が切込み57aによって折込み片58に引っ掛かって抜けにくい、といっても、その引っ掛かりはごく僅かであるので、収納物品が重たい場合には、振動のはずみで抜け外れてしまうおそれがあった。
本発明は、上記のような問題点に着眼し、従来のものの開閉板部の差込み片部分に生じていた隙間を生じさせないか、ほとんど塞げるようにし、安定した商品価値を維持できるようにし、さらには、差込み片がより確実に抜け外れにくいようにした、箱形の展示包装ケースとなし得る打ち抜きにより形出可能なプラスチックシートを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、箱形の展示包装ケースの一側面(例えば正面板部)となる板部端縁から開口面を塞ぐ開閉板部を連設し、その先端に折曲線を介して差込み片を延設した構成を有するケース組立用プラスチックシートであって、上記差込み片及び開閉板部を連設させた板部と対向する板部(例えば背面板部)の開口端縁部に、当該板部の左右両側よりも内方よりの位置から、ケース奥行き方向となるシート裏面側へ凹んだ凹部を加熱プレスにより成形してプラスチックシートを構成したことを特徴とするものである。
本発明はまた、上記構成において、差込み片と開閉板部との間には、両側部に切込みを形成すると共に、この切込みは内端が若干開閉板部内方に向かうように形成し、両切込み内端間に折曲線を形成して差込み片を延設し、一方、対向板部(例えば背面板部)の端縁中央部に上記折曲線の長さと略々同じか若干短い幅で凹部を形成して上記プラスチックシートを構成したことも特徴とする。
【0005】
上記構成により、形成されたケースの開口面を開閉板部で閉塞すると共に、その先端の差込み片を対向板部の内側に沿って差込むと、その板部の端縁部に形成された折込み縁が差込み片に当接するように作用し、差込み片と対向板部との間を閉塞状態に維持し、隙間を生じさせない。
【0006】
前記凹部は、対向板部の開口端縁部を加熱プレスして凹陥状に加工した凹陥部として成形することができる。
さらに、前記凹部は、組立ケースにおいてケース内に差込まれる差込み片を若干押圧するような深さをもって形成したものとすることができる。このような高さに設定することにより、差込み片が軽い押圧状態となり、開閉板部側に圧接状態となるので、不用意な抜け外れのおそれをより確実に除去することができるものとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施例として示した図面によって説明する。図1は本発明に係る一例プラスチックシートの展開図、図2はそのII−II線断面図、図3はこれを組立ケースとして示した要部の斜視図、図4はその断面図である。
【0008】
プラスチックシートは、正面板部1の左右に左右側面板部3,4及び背面板部2をそれぞれ折曲線11を介して連設すると共に、正面板部1の上端縁及び背面板部2の下端縁から折曲線11を介してそれぞれに開閉板部5を連設し、その先端に折曲線11aを介してそれぞれに差込み片6を延設し、左右側面板部3,4の上下端縁から折曲線11を介してそれぞれに折込み片7を延設し、背面板部2の側端に折曲線11を介して糊代8を形成してある。
開閉板部5と差込み片6との間は、左右両側部から内方に切込み9を形成し、この切込み9はその内端部9aが若干開閉板部内方に向かうように折曲して形成し、或いは図示していないが外端から内端に向かって切込みを内傾斜状態に形成し、両切込み9,9の内端間に折曲線11aを形成してある。
一方、折込み片7は、その背面板部側の側辺の付け根部付近7aを折込み片幅略々一杯に形成すると共に、先端の開放辺に向かい段違い部を介して幅狭となるように形成し、ケース組立て状態において、背面板部2の内側に差込んだ差込み片6の切込み9形成部分が、折込み片7の付け根部付近7aの内側に係止状態となるようにしてある。
【0009】
而して、背面板部2の上端縁には、シート裏面側へ部分的に凹んだ凹部10としての凹陥部10aを一体に成形してある。
図1の例では、凹陥部10aは、背面板部2の上辺から若干の上下幅を有し、背面板部2の両側の折曲線11 , 11から当該上端縁に沿って上端中央部側の内方よりの位置から、その左右幅W2を前記折曲線11aの長さW1と略々同じ幅だけ上端縁をシート裏面側へ凹ませた形状に成形してある。
凹陥部10aは、プラスチックシート加工と同時加工または後加工で加熱プレス(例えば120°Cで1分間プレス)により成形し、凹陥状の凹部としてある。凹陥部10aの深さは、組立ケースにおいて差込まれた差込み片6をケース内方に向かって僅かに押圧する状態となるように設定するのがよい。
【0010】
なお、図1のシートは、図示の上下方向に縦置き可能なケースとする例を示してあり、正面板部1の下端縁1aを左右側面板部3,4及び背面板部2下端の折曲線11よりも若干下方に張出し形成し、背面板部2下端の折曲線11の中間部に、折曲線を設ける代わりに折曲線から若干下方に折曲しつつ、正面板部の下端縁1aと同高状態とした切込み線2aを形成し、ケース形成状態においてケースの底面(開閉板部5)から対向下端縁が若干下方に張出して設置脚を兼ねるように設けた構成を示してある。この場合、縦型のケースにおいて隙間を塞ぐ必要が特にあるのは上面側であるから、凹部10すなわち凹陥部10aは少なくとも背面板部2の上端縁に形成してあればよい。
【0011】
図3,4は上記プラスチックシートを折曲し、糊代8を接着してケースとした状態を示したものであり、開閉板部5を閉蓋し差込み片6を背面板部2の内側に差込めば、差込み片6と背面板部2との間の隙間を塞ぐように凹陥部10aが位置することになる。
この際、開閉板部5と差込み片6との間が、左右両側部の切込み9と折曲した内端部9aを形成した構成などとしてある場合は、折り曲げて開閉板部5に対して直交状態となった差込み片6の面は、折曲線11aと同位置、すなわち開閉板部5の左右両側部よりもケース内方に低い位置となり、背面板部2との間にその分の隙間が形成されるが、凹陥部10aがこの隙間を塞ぐ役目を果たす。凹陥部10aの深さをこの隙間分よりも僅かに深く形成すれば、差込み片6の切込み9形成部分が、折込み片7の付け根部付近7aにより確実に係止するようになり、差込み片6の不用意な抜け外れを一層確実に防止することができる。
【0012】
上記実施例において、組立ケースの向きは任意であり、また、正面板部1、背面板部2のいずれから開閉板部5を連設してもよく、また、上下両側の開閉板部5の形態を互いに異なる形態とし、或いは、各板部、各片を図示とは異なる形態として形成してもよいものである。
【0013】
また、折曲線11,11aは、V字溝、台形溝、U字溝、或いは凹凸繰返し溝など任意溝形とし、断続筋或いは連続筋のいずれでもよく、ミシン目状としてもよい。
【0014】
【発明の効果】
このようにして、本発明によれば、隙間が生じやすい差込み片とこれに沿う板部例えば背面板部との間を、凹部によって塞ぐことができ、凹部が差込み片を僅かに押圧すれば、差込み片がより確実に抜け外れにくいようになり、かつ、ケースの形成、開閉板部の開閉作用は簡便性を維持することができ、安定した商品価値を維持できるようにした箱形の展示包装ケースとするためのプラスチックシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチックシートの正面図である。
【図2】凹陥部を示す図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のシートを組立ててなるプラスチックケ−スの一部斜視図である。
【図4】図3の組立プラスチックケースの縦断面図である。
【図5】図4と比較するための従来のプラスチックケースの縦断面図である。
【符号の説明】
1 正面板部、1a 正面板部の下端縁、2 背面板部、2a 背面板部下端の切込み線、3,4 左右側面板部、5 開閉板部、6 差込み片、7 折込み片、7a 付け根部付近、8 糊代、9 切込み、9a 切込み内端部、10 凹部、10a 凹陥部、11,11a 折曲線、S 隙間

Claims (3)

  1. 箱形の展示包装ケースの一側面となる板部端縁から開口面を塞ぐ開閉板部を連設し、その先端に折曲線を介して差込み片を延設した構成を有するケース組立用プラスチックシートであって、
    上記差込み片及び開閉板部を連設させた板部と対向する板部の開口端縁部に、当該板部の左右両側よりも内方よりの位置からシート裏面側へ凹んだ凹部を加熱プレスにより成形してなることを特徴とするケース組立用プラスチックシート。
  2. 差込み片と開閉板部との間には、両側部に切込みを形成すると共に、この切込みは内端が若干開閉板部内方に向かうように形成し、両切込み内端間に折曲線を形成して差込み片を延設し、一方、対向板部の端縁中央部に上記折曲線の長さと略々同じか若干短い幅で凹部を形成してなる請求項1に記載のケース組立用プラスチックシート。
  3. 凹部は、組立ケースにおいてケース内に差込まれる差込み片を若干押圧するような深さをもって形成してなる請求項1又は2に記載のケース組立用プラスチックシート。
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