JP3920227B2 - フラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル或いは断熱ガラスパネル等のフラットパネルの製造に好適なフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図8に示す複数のフラットパネルPを横置き状態で、かつ多段積載状態で保持するフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート10が公知であり、このパネル搬送排気カート10はカート本体11と排気ヘッド支持部12とパネル収納マガジン13とからなっている。
【0003】
カート本体11は図示しない真空ポンプを内蔵し、下部に車輪を有し、封着排気炉または排気炉を貫いて延びるレールR上を走行する。排気ヘッド支持部12はカート本体11上に立設された排気ヘッド支柱21と、この排気ヘッド支柱21から上下に適宜間隔で横方向に張出した複数の排気ヘッド取付け部材22と、フレキシブルチューブ23を介して排気ヘッド取付け部材22に吊持され、チップ管24が装着された排気ヘッド25とからなっている。パネル収納マガジン13はカート本体11上に立設された4本のマガジン支柱26と、このマガジン支柱26から張出したパネルサポート梁27とを備え、このパネルサポート梁27上には、中空のフラットパネルPを支持するパネルサポート28が突設されている。
【0004】
なお、チップ管24及びフラットパネルPについては、パネル搬送排気カート10が前記封着排気炉または排気炉内に進入する前に、排気ヘッド25、パネルサポート28上にそれぞれセッティングされて図示する状態となる。即ち、チップ管24が排気ヘッド25の中心部に垂直に装入され、気密に保持されるとともに、フラットパネルPがチップ管24とパネルサポート28との間の定位置に配置され、チップ管24の中心とフラットパネルPの上面コーナ部に穿設されフラットパネルPの内部空間に連通する通気孔の中心とが略一致させられる。
この際、パネルPを構成する上下2枚の基板同士の端部における封着及びチップ管24とパネルPとの封着は既に完了していてもよい。
【0005】
そして、パネル搬送排気カート10が前記封着排気炉または排気炉内に移動し、この炉内にてチップ管24が前記両中心を略一致させた状態下でフラットパネルPに封着されるとともに、またはチップ管24が事前にパネルPに封着された状態で、チップ管24及び排気ヘッド25を介してフラットパネルPの排気処理、ガス注入処理がなされる。その後、パネル搬送排気カート10が前記封着排気炉または排気炉外に移動し、チップ管Pの封止・切断処理がなされ、同時にフラットパネルPの密封がなされ、フラットパネルPが排気カート10から取り出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、パネル搬送排気カート10上のフラットパネルPは前記封着排気炉または排気炉内で排気処理等を受け、400℃〜500℃程度の加熱、均熱、冷却の熱プロセスを経るため、前記封着排気炉または排気炉内でパネル搬送排気カート10の各部やフラットパネルPの熱膨張、収縮を伴う。この場合、前記各部及びフラットパネルPの熱膨張率が必ずしも同一でなく、それぞれの熱膨張、収縮による変化量の差異や各部温度に起因してチップ管24とフラットパネルPとの接合部やチップ管24自体に外力が作用すると、チップ管24とフラットパネルPの前記通気孔との間の位置ずれやチップ管24の破損という事態を招くことになる。
【0007】
このため、パネル搬送排気カート10では、チップ管24を保持する排気ヘッド25に接続する配管類をフレキシブルチューブ23とし、このフレキシブルチューブ23を介して排気ヘッド25を排気ヘッド取付け部材22に吊持させることにより排気ヘッド25の移動を拘束しないようにしてある。そして、斯かる構造を採用することにより、排気ヘッド25の荷重や外力がチップ管24に作用するのを極力回避しようとしているが、これが自動化等の省力化の大きな障害になるとともに、チップ管24に作用する外力を完全には排除できないため、前述した位置ずれや破損が生じる場合があり、これがフラットパネル製造上の歩留まり低下の原因になるという問題がある。
【0008】
また、パネルサポート28が突設されたパネルサポート梁27の熱膨張率とフラットパネルPの熱膨張率とを同じにしたり、パネルサポート28上にパネルPと同じ膨張率を有するベースプレートを設置し、これにパネルサポート28を突設することも考えられるが、フラットパネルPがガラス製であるため、これと同材料のパネルサポート梁27や前記ベースプレートの破損やそりが生じ易くなるとともに、パネル搬送排気カート10全体の重量が増し、熱効率の低下を招く等の問題がある。
本発明は、斯る従来の問題をなくすことを課題としてなされたもので、チップ管及びフラットパネル取扱いの自動化を可能とし、チップ管とフラットパネルにおけるチップ管封着部との間の位置ずれやチップ管の破損を防止し、フラットパネル製造上の歩留まり向上を可能としたフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1発明は、
排気・ガス供給可能に形成され、チップ管を保持する排気ヘッドと、前記チップ管が封着され、前記チップ管及び排気ヘッドを介して排気され、ガス注入が行われた後、前記チップ管を封止、切断して密閉される横置き状態のフラットパネルを複数箇所に配設されたパネルサポート上に支持するパネル収納マガジンとを備えたフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートにおいて、
前記パネルサポートは、前記チップ管に近い少なくとも一つの特定のパネルサポートと、前記特定のパネルサポートよりもチップ管から離れて位置する他のパネルサポートとか らなり、
前記他のパネルサポートは、前記特定のパネルサポートに比して、前記フラットパネルに対して横方向に、より相対移動し易く形成された構成とした。
【0010】
第2発明は、第1発明の構成に加えて、前記他のパネルサポートが揺動可能に設けられた構成とした。
【0011】
第3発明は、第1発明の構成に加えて、前記他のパネルサポートが、前記フラットパネルを支持するローラを有し、かつこのローラの中心軸がローラの中心軸方向の中心から前記チップ管に向かう方向に対して直交するように配置された構成とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1及び2は、本発明に係るフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート1を示し、図8に示すパネル搬送排気カート10と互いに共通する部分については、同一番号を付して説明を省略する。
このパネル搬送排気カート1では、マガジン支柱26に排気ヘッド取付け部材22が固定され、この排気ヘッド取付け部材22上に排気ヘッド25が配置されている。また、チップ管24は排気ヘッド25の上端面の開口部から排気ヘッド25内に装入され、排気ヘッド25に対して上下方向に相対移動可能に、かつ、気密に保持されている。
【0013】
パネルサポート梁27とは分離している排気ヘッド取付け部材22の延長部22X、22Yには、排気ヘッド25から突出したチップ管24の近くに位置する特定のパネルサポート28Aが突設され、パネルサポート梁27には、パネルサポート28Aよりもチップ管24から離れて位置する他のパネルサポート28Bの2種類が突設されている。そして、パネルサポート28Aの上端面とフラットパネルPとの間の摩擦係数はパネルサポート28Bの上端面とフラットパネルPとの間の摩擦係数よりも大きくなっている。例えば、パネルサポート28Aは金属繊維、金属網、或いは、セラミック材により、上端面が粗い面になるように形成され、パネルサポート28Bは金属やセラミックにより、上端面が鏡面仕上げされて形成されている。なお、図示するパネル収納マガジン13では各段に二つずつ、チップ管24から略等距離の位置に上述した特定のパネルサポート28Aを備えている。
【0014】
また、フラットパネルPは、フリットシールが上端面に配設されたチップ管24及びパネルサポート28A、28Bの上端面上に配置され、かつ、チップ管24の中心とフラットパネルPの下面コーナ部に穿設されフラットパネルPの内部空間に連通する通気孔29(図2において、チップ管24と重複して表されている。)の中心とが略一致させられる。
【0015】
そして、斯かる構成により、パネル搬送排気カート1の各部やフラットパネルPが熱膨張や収縮して、それぞれ異なる量の相対寸法変化を起こしても、パネルサポート28Aの上端面の位置にてフラットパネルPは相対移動を生じることなく支持され、パネルサポート28Bの上端面の位置にてフラットパネルPが横方向に相対移動、即ち滑りを起こし、チップ管24とフラットパネルPとの接合部やチップ管24自体に外力が作用することはなく、チップ管24とフラットパネルPの通気孔29との間の位置ずれやチップ管24の破損という事態は回避される。
なお、パネルサポート28Bについては、上端面に転動可能な球状やローラ状の支持体を配設し、この球状やローラ状の支持体によりフラットパネルPを支持するようにしてもよい。
【0016】
図3は、本発明に係る別のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートのパネルサポート28Bおよびその周辺部を示したもので、このパネル搬送排気カートは、このパネルサポート28Bを除き、他は前述したパネル搬送排気カート1と実質的に同一であり、互いに共通する部分については同一番号を付して説明を省略する。
図3に示すパネルサポート28Bは、上面が球面または曲面状に形成された頭部Hと、この頭部Hの下方に延びる脚部Lと、下面が球面または曲面状に形成され、この下面の中心部に脚部Lを貫通させたフランジ部Fとを備え、脚部Lはパネルサポート支持梁27に穿設された貫通孔TH内に遊嵌し、貫通孔THの上端開口の周縁部上に摺動可能にフランジ部Fが載置されている。そして、ほぼ貫通孔THの中心軸とフランジ部Fとの交点を中心として脚部Lは揺動可能となっている。即ち、このパネルサポート28Bは、フラットパネルPに対して横方向に、フラットパネルとサポート間の位置のズレに対応し相対移動し易く設けられている。
なお、フランジ部Fの下面の曲率は、脚部Lが揺動しても頭部Hの最上部の高さが一定に保たれるようになっているのが好ましい。
【0017】
図4〜7は、本発明に係る別のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート2を示し、図1及び2に示すパネル搬送排気カート1と互いに共通する部分については、同一番号を付して説明を省略する。
このパネル搬送排気カート2は、パネル搬送排気カート1のパネルサポート28Bに代えて、パネルサポート28Cを配設して形成されたものである。図6及び7に示すように、パネルサポート28Cは上面が開口した箱体31上に、円柱状のローラ32の両側に突出した支軸33を載置し、この支軸33を中心としてローラ32が自由に回転できるように形成されたものである。
【0018】
また、各ローラ32の中心軸がチップ管24に向かう図中一点鎖線で示された方向に対して直交するようにパネルサポート28Cは配設されており、前述した熱膨張や収縮の際にフラットパネルPにおいて、パネルサポート28Aの部分に対して他の部分が円滑に横方向に相対移動でき、チップ管24とフラットパネルPとの接合部やチップ管24自体に外力が作用することはなく、チップ管24とフラットパネルPの通気孔29との間の位置ずれやチップ管24の破損という事態は回避されるようになっている。
【0019】
なお、本発明は前記特定のパネルサポート28Aを二つに限定するものではない。
また、本発明は、チップ管24が下向きに突出したフラットパネルPに限らず、図8に示すように、チップ管24が上向きに突出したフラットパネルPにも適用されるものである。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、第1発明によれば、パネルサポートは、チップ管に近い少なくとも一つの特定のパネルサポートと、特定のパネルサポートよりもチップ管から離れて位置する他のパネルサポートとからなり、他のパネルサポートは、特定のパネルサポートに比して、前記フラットパネルに対して横方向に、より相対移動し易く形成された構成としてある。
このため、パネル搬送排気カートの各部やフラットパネルが熱膨張や収縮して、それぞれ異なる量の体積変化を起こしても、前記特定のパネルサポートの上端面の位置にてフラットパネルは相対移動を生じることなく支持され、他のパネルサポートの上端面の位置にてフラットパネルが横方向に相対移動、即ち滑りを起こし、チップ管とフラットパネルとの接合部やチップ管自体に外力が作用することはなく、チップ管とフラットパネルの通気孔との間の位置ずれやチップ管の破損という事態の回避が簡単な構成で実現されるという効果を奏する。
【0021】
第2発明によれば、前記他のパネルサポートが揺動可能に設けられており、パネルサポートの上端面とフラットパネルの下面との接触位置のズレが無い状態でフラットパネルに対して横方向に、フラットパネルとサポート間の位置ズレに対応して容易に相対移動することが可能となり、前述した第1発明による効果がより一層顕著になるという効果を奏する。
【0022】
第3発明によれば、第1発明の構成に加えて、他のパネルサポートが、フラットパネルを支持するローラを有し、かつこのローラの中心軸がローラの中心軸方向の中心からチップ管に向かう方向に対して直交するように配置された構成としてある。
このため、第1発明による効果がより一層顕著になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートの正面図である。
【図2】 図1に示すパネル搬送排気カートの平面図である。
【図3】 本発明に係る別のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートのパネルサポートおよびその周辺部を示す部分拡大正面図である。
【図4】 本発明に係るさらに別のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートの正面図である。
【図5】 図4に示すパネル搬送排気カートの平面図である。
【図6】 図4に示すパネル搬送排気カートにおけるチップ管から離れて位置するパネルサポートの正面図である。
【図7】 図6に示すパネルサポートの平面図である。
【図8】 従来のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートの正面図である。
【符号の説明】
1,2 パネル搬送排気カート 11 カート本体
12 排気ヘッド支持部 13 パネル収納マガジン
22 排気ヘッド取付け部材 22X,22Y 延長部
25 排気ヘッド 26 マガジン支柱
27 パネルサポート梁 28A,28B,28C パネルサポート
29 通気孔 31 箱体
32 ローラ 33 支持面
P フラットパネル R レール
Claims (3)
- 排気・ガス供給可能に形成され、チップ管を保持する排気ヘッドと、前記チップ管が封着され、前記チップ管及び排気ヘッドを介して排気され、ガス注入が行われた後、前記チップ管を封止、切断して密閉される横置き状態のフラットパネルを複数箇所に配設されたパネルサポート上に支持するパネル収納マガジンとを備えたフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カートにおいて、
前記パネルサポートは、前記チップ管に近い少なくとも一つの特定のパネルサポートと、前記特定のパネルサポートよりもチップ管から離れて位置する他のパネルサポートとからなり、
前記他のパネルサポートは、前記特定のパネルサポートに比して、前記フラットパネルに対して横方向に、より相対移動し易く形成されたことを特徴とするフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート。 - 前記他のパネルサポートが揺動可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート。
- 前記他のパネルサポートが、前記フラットパネルを支持するローラを有し、かつこのローラの中心軸がローラの中心軸方向の中心から前記チップ管に向かう方向に対して直交するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のフラットパネル製造設備用パネル搬送排気カート。
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