JP3920106B2 - 温水式床暖房フロア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、床下地の上に載置された温水パイプユニットを覆うように床仕上材が敷設された温水式床暖房フロア、特に、低コストで、効率よく施工することができる温水式床暖房フロアに関する。
【0002】
【従来の技術】
床下地の上に配設された温水パイプに温水を通すことによって暖房を行う温水式の床暖房フロアとしては、例えば、図10(a)、(b)に示すように、温水パイプ52を予め内蔵した床仕上材51を床下地53の上に順次敷設していくものや、図11(a)に示すように、裏面に温水パイプを収容するためのパイプ収容溝62が形成された床仕上材61を、同図(b)に示すように、床下地63の上に敷設した後、同図(c)に示すように、床仕上材61の端面側からパイプ収容溝62に温水パイプ64を挿入するようにしたものがある。
【0003】
ところで、図10に示す床暖房フロアは、温水パイプ52が床仕上材51に予め内蔵されているので、床下地53の上に床仕上材51を敷設していけばよく、床仕上材51を床下地53に釘止めする場合にも、指定された位置を釘止めすれば、床仕上材51に内蔵された温水パイプ52が損傷を受けることがないという利点はあるが、温水パイプ52が床仕上材51毎に分断されているので、床仕上材51を床下地53の上に敷設する際、隣接する床仕上材51に内蔵された温水パイプ52同士をコネクタ等を介して順次接続していかなければならず、床仕上材51の敷設作業性が悪いといった問題がある。
【0004】
また、図11に示す床暖房フロアは、床仕上材毎に温水パイプを接続する必要はないが、既に敷設された床仕上材61のパイプ収容溝62に長尺の温水パイプ64をUターンさせながら通管するのは手間のかかる作業であり、やはり、効率よく床暖房フロアを施工することができない。
【0005】
こういった従来の温水式床暖房フロアにおける問題を解消するため、本件発明者は、特願2001−135814号において、施工性に優れた温水式床暖房フロアを提案している。この温水式床暖房フロアは、図12(a)、(b)に示すように、床下地76の上に敷設される温水パイプユニット71と、床下地76の上に載置された温水パイプユニット71を覆うように床下地76の上に敷設される床仕上材74とから構成されており、温水パイプユニット71は、同図(b)に示すように、所定のパイプパターンに整形された温水パイプ72が基材シート73の上面に固着されていると共に、床仕上材74には、その裏面に温水パイプユニット71の温水パイプ72を収容するためのパイプ収容溝75が形成されている。
【0006】
以上のように構成された温水式床暖房フロア70は、床暖房エリアを覆うように、温水パイプユニット71を床下地76の上に載置した状態で、その温水パイプユニット71の温水パイプ72をパイプ収容溝75に収容しながら、床仕上材74を順次敷設していけばよいので、図10及び図11に示す温水式床暖房フロアに比べて効率よく施工することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような温水式床暖房フロア70では、温水パイプユニット71を床下地76に貼着しなくてもよいように、温水パイプユニット71の基材シート73には、温水パイプ72部分を避けるように、透孔73aが多数形成されており、裏面に接着剤を塗布した床仕上材74を順次敷設していけば、図13に示すように、接着剤Vによって、床仕上材74と温水パイプユニット71の基材シート73とが相互に接着固定されると共に、基材シート73の透孔73a部分で、床仕上材74と床下地76とが同時に接着固定されるようになっている。
【0008】
しかしながら、温水パイプ72部分を避けるように、基材シート73に多数の透孔73aを形成しようとすると、温水パイプユニット71の加工工程が複雑になり、温水パイプユニット71の製造コストが高くなるといった問題がある。
【0009】
また、基材シート73には、均熱性能を付与するために、通常、アルミニウム箔等の熱伝導性の良好な均熱シートがラミネートされているので、上述したように、基材シート73に多数の透孔73aを形成すると、基材シート73の均熱性が損なわれ、出来上がった温水式床暖房フロア70に温度ムラが発生するおそれもある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、温度ムラが発生しにくく、低コストで、効率よく施工することができる温水式床暖房フロアを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、所定のパイプパターンに整形された温水パイプが熱伝導性の良好な基材シートの上面に固着された、一または複数の温水パイプユニットを床下地の上に載置した状態で、その温水パイプユニットを覆うように、前記温水パイプが嵌り込むパイプ収容溝が裏面に形成された複数の床仕上材を敷設してなる温水式床暖房フロアであって、前記温水パイプユニットは、その幅が、前記床仕上材の長手方向の全長の1/2より所定寸法だけ短く設定されており、前記温水パイプユニットを覆う前記床仕上材には、前記温水パイプユニットの外側に前記床下地に対する接着領域が確保されるように、前記温水パイプユニット及び前記床仕上材が配置されている温水式床暖房フロアを提供するものである。
【0012】
以上のように、この温水式床暖房フロアでは、温水パイプユニットの幅が、床仕上材における長手方向の全長の1/2より所定寸法だけ短く設定されており、しかも、温水パイプユニットを覆う床仕上材には、温水パイプユニットの外側に床下地に対する接着領域が確保されるように、温水パイプユニット及び前記床仕上材が配置されているので、温水パイプユニットを構成している基材シートに、手間と加工コストのかかる多数の透孔を形成しなくても、床仕上材を床下地に確実に接着固定することができる。
【0013】
また、この温水式床暖房フロアでは、上述したように、温水パイプユニットを構成している基材シートに多数の透孔を形成しなくてもよいので、基材シートの均熱性能が大幅に阻害されることはなく、温度ムラがほとんどない温水式床暖房フロアを実現することができる。
【0014】
また、複数の温水パイプユニットを床下地の上に載置する場合は、請求項2にかかる発明の温水式床暖房フロアのように、隣接する前記温水パイプユニット間に所定寸法の隙間を形成しておくことによって、床仕上材を交互にずらし貼りした場合でも、温水パイプユニットを覆う全ての床仕上材について、その長手方向の両端部を確実に床下地に接着固定することができる。
【0015】
特に、請求項3にかかる発明の温水式床暖房フロアのように、前記所定寸法を10〜20mmに設定しておくと、基材シートの均熱性能が極端に阻害されることがないので、基材シートの幅を小さくしたことに伴って発生するフロア表面の温度ムラを最小限に抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2に示す温水式床暖房フロア1は、捨貼合板等からなる床下地10と、この床下地10の上に載置される温水パイプユニット20と、床下地10の上に載置された温水パイプユニット20を覆うように床下地10の上に敷設される床仕上材30とから構成されている。
【0017】
前記温水パイプユニット20は、図2及び図3に示すように、架橋ポリエチレンによって形成された口径が5Aの長尺の温水パイプ21と、この温水パイプ21が固着された基材シート22とから構成されており、温水パイプ21は、端末側で相互に繋がった往管21a及び還管21bからなる2組のパイプ群によって構成されている。
【0018】
前記パイプ群は、図3に示すように、基材シート22の幅方向に伸びる複数の直線部分と、パイプ群における隣接する直線部分を、基材シート22の幅方向の両端部で交互に接続する複数のUターン部分とを備えており、同図に一点鎖線で示すように、パイプ群における各Uターン部分、即ち、隣接する直線部分間に床仕上材30の実接合部分が位置するように、所定のパイプパターンに整形されている。
【0019】
前記基材シート22は、図4に示すように、厚さ100μmのアルミニウム箔24が、厚さ30μmのポリエチレンフィルム23と目付が23g/m2の紙間強化紙25とによってラミネートされた3層ラミネートシートによって形成されており、床仕上材30における長手方向の全長の1/2よりも20mmだけ短くなるような幅を有している。なお、この基材シート22には、その上面、即ち、ポリエチレンフィルム23の表面に、温水パイプ21が熱融着されている。
【0020】
前記床仕上材30は、図2及び図5に示すように、5プライ合板や3プライ合板等の木質板によって形成されたパネル基材31と、このパネル基材31の表面に貼着された突板等の表面化粧材32とから構成されており、床仕上材30の表面には、図5(a)に示すように、長手方向に伸びる3本の擬似溝32aと各擬似溝32a間において短手方向に伸びる複数の擬似溝32bとが形成されている。
【0021】
また、床仕上材30は、図7〜図9に示すように、温水パイプユニット20が載置されていない部屋の周辺部分に敷設される周辺パネル30aと、部屋の中央部分に載置された温水パイプユニット20を覆うように敷設される本体パネル30bとから構成されており、図5(c)に示すように、本体パネル30bには、パネル基材31の裏面に、上述した温水パイプユニット20における温水パイプ21を収容するための複数のパイプ収容溝31a、31bが形成されているが、同図(b)に示すように、周辺パネル30aには、パネル基材31の裏面にパイプ収容溝が形成されていない。
【0022】
なお、本体パネル30bの短手方向に延びるパイプ収容溝31bは、本体パネル30aの長手方向に伸びるパイプ収容溝31aに比べて、その溝幅が5mm程度大きく設定されており、長手方向に隣接するパネル本体30同士を実接合する際に、パイプ収容溝31a、31bに温水パイプ21を収容した状態で、パネル本体30bを長手方向にスライドさせることができるようになっている。
【0023】
以上のように構成された温水パイプユニット20の温水パイプ21を、本体パネル30bのパイプ収容溝31aに嵌め込むと、図6に示すように、本体パネル30bには、温水パイプユニット20における基材シート22の幅方向の外側に、少なくとも10mmの接着代Cが形成されるようになっている。従って、床下地10に載置された温水パイプユニット20を覆うように、本体パネル30bを敷設する際は、この接着代に接着剤を塗布することによって、本体パネル30bが、その接着代部分で床下地10に確実に接着固定されるようになっている。
【0024】
以上のように構成された温水式床暖房フロアの施工方法について、以下に説明する。まず、図7(a)に示すように、床暖房フロアを施工しようとする部屋の一辺側から床下地10の上に周辺パネル30aを敷設した後、同図(b)に示すように、温水パイプユニット20を床下地10の所定位置に載置する。この場合、2組の温水パイプユニット20が使用されており、2組の温水パイプユニット20、20間には、20mm程度の隙間が形成されるように、床下地10の上に載置する。
【0025】
次に、図8(a)に示すように、温水パイプユニット20の一方の外側に周辺パネル30aを敷設した後、パイプ収容溝31a、31bに温水パイプユニット20の温水パイプ21を嵌め込むようにして、温水パイプユニット20の一端側に1枚目の本体パネル30bを敷設すると、床下地10の上に載置された温水パイプユニット20が概ね位置決めされることになるので、各温水パイプユニット20における温水パイプ21の端部をそれぞれ床下地10の下方側に引き落とし、床下でメインパイプに接続する。
【0026】
続いて、同図(b)に示すように、周辺パネル30aまたは本体パネル30bを順次敷設していくことによって、温水パイプユニット20を完全に覆った後、図9に示すように、温水パイプユニット20の外側に周辺パネル30aを敷設すると、図1に示すような温水式床暖房フロア1が完成する。なお、図8〜図9においては、本体パネル30bを交斜線で示している。
【0027】
以上のように、この温水式床暖房フロア1では、温水パイプユニット20(基材シート22)の幅が、床仕上材30における長手方向の全長の1/2より20mmだけ短く設定されており、しかも、温水パイプユニット20を覆う本体パネル30bにおける長手方向の両端部に、少なくとも、10mmの接着代Cが形成されるようになっているので、温水パイプユニットを構成している基材シートに手間と加工コストのかかる多数の透孔を形成しなくても、本体パネル30bを床下地10に確実に接着固定することができる。特に、2組の温水パイプユニット20を覆うように敷設される本体パネル30bについては、図6に示すように、その長手方向の中央部にも20mm幅の接着代Cが形成されるので、接着不良が発生することがない。
【0028】
また、この温水式床暖房フロア1では、温水パイプユニットを構成している基材シートに多数の透孔を形成した場合のように、基材シート22の均熱性能が大幅に阻害されることがないので、床暖房エリア内におけるフロア表面に温度ムラが発生しにくいという効果が得られる。
【0029】
また、基材シート22の幅を短くしたことに伴って、温水パイプユニット20の周縁部分における均熱性能が低下することが予想されるが、床暖房エリア内における基材シート22が存在しない部分は、その幅が10〜20mm程度に抑えられているので、フロア表面に温度ムラが発生することはほとんどない。
【0030】
なお、上述した実施形態では、床暖房エリア内において本体パネル30bにおける温水パイプユニット20の外側に10mm幅または20mm幅の接着代Cが形成されるように、温水パイプユニット20を構成している基材シート22の幅や温水パイプユニット20及び床仕上材30の配置が設定されているが、これに限定されるものではなく、床暖房エリア内における本体パネル30bの接着代Cの幅は、5〜20mmの範囲内で適宜設定すればよい。接着代Cの幅が5mmを下回ると、十分な接着強度を確保することができず、床暖房エリア内における接着代Cの幅が20mmを上回ると、基材シート22の均熱性能が低下し、フロア表面に温度ムラが発生するおそれがあるからである。従って、温水パイプユニット20を構成している基材シート22の幅は、床仕上材30における長手方向の全長の1/2より10〜20mm短くなるように設定すればよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、2組の温水パイプユニット20を使用した温水式床暖房フロアについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の温水式床暖房フロアは、1組または3組以上の温水パイプユニット20を使用する場合にも、適用することができることは言うまでもない。
【0032】
また、上述した実施形態では、温水パイプユニット20を構成している基材シート22が、均熱シートとしてのアルミニウム箔24を、ポリエチレンフィルム23と紙間強化紙25とによってラミネートした3層ラミネートシートによって形成されているが、これに限定されるものではなく、均熱シートのみによって基材シートを形成することも可能である。
【0033】
また、均熱シートとしては、アルミニウム箔に限定されるものではなく、熱伝導性の良好な種々の素材によって形成されたシート部材やメッシュ部材等を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる温水式床暖房フロアを示す断面図である。
【図2】同上の温水式床暖房フロアを示す分解断面図である。
【図3】同上の温水式床暖房フロアを構成している温水パイプユニットを示す平面図である。
【図4】同上の温水パイプユニットに使用されている基材シートを示す断面図である。
【図5】(a)は同上の温水式床暖房フロアに使用される床仕上材を示す平面図、(b)は同上の床仕上材(周辺パネル)を示す裏面図、(c)は同上の床仕上材(本体パネル)を示す裏面図である。
【図6】同上の床仕上材(本体パネル)と温水パイプユニットとの関係を説明するための説明図である。
【図7】(a)、(b)は同上の温水式床暖房フロアの施工方法を示す工程図である。
【図8】(a)、(b)は同上の温水式床暖房フロアの施工方法を示す工程図である。
【図9】同上の温水式床暖房フロアの施工方法を示す工程図である。
【図10】(a)は従来の床仕上材一体型の温水式床暖房フロアに使用される床仕上材を示す断面図、(b)は同上の温水式床暖房フロアの施工方法を示す工程図である。
【図11】(a)は従来の他の温水式床暖房フロアに使用される床仕上材を示す断面図、(b)、(c)は同上の温水式床暖房フロアの施工方法を示す工程図である。
【図12】(a)は背景技術としての温水式床暖房フロアを示す断面図、(b)は同上の温水式床暖房フロアを示す分解断面図である。
【図13】同上の温水式床暖房フロアにおける床仕上材の敷設状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 温水式床暖房フロア
10 床下地
20 温水パイプユニット
21 温水パイプ
21a 往管
21b 還管
22 基材シート
30 床仕上材
30a 周辺パネル
30b 本体パネル
31 パネル基材
31a、31b パイプ収容溝
32 表面化粧材
C 接着代
Claims (3)
- 所定のパイプパターンに整形された温水パイプが熱伝導性の良好な基材シートの上面に固着された、一または複数の温水パイプユニットを床下地の上に載置した状態で、その温水パイプユニットを覆うように、前記温水パイプが嵌り込むパイプ収容溝が裏面に形成された複数の床仕上材を敷設してなる温水式床暖房フロアであって、
前記温水パイプユニットは、その幅が、前記床仕上材における長手方向の全長の1/2より所定寸法だけ短く設定されており、
前記温水パイプユニットを覆う前記床仕上材には、前記温水パイプユニットの外側に前記床下地に対する接着領域が確保されるように、前記温水パイプユニット及び前記床仕上材が配置されている温水式床暖房フロア。 - 前記床下地の上に載置された複数の前記温水パイプユニットは、隣接する前記温水パイプユニット間に所定寸法の隙間が形成されている請求項1に記載の温水式床暖房フロア。
- 前記所定寸法が10〜20mmである請求項1または2に記載の温水式床暖房フロア。
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