JP3918864B2 - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、液晶表示装置およびその製造方法に関し、特に、画素電極の駆動用の薄膜トランジスタの上層でかつ画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられている液晶表示装置に適用して好適なものである。
液晶表示装置は平面型ディスプレイとして広く用いられている。この液晶表示装置における画素電極の駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)としては、従来はアモルファスシリコン(a−Si)TFTが用いられていたが、最近では多結晶SiTFTが多く用いられるようになっている。
多結晶SiTFTはa−SiTFTほど光感度は高くないが、近年の液晶表示装置では、例えばプロジェクタのように大光量下での使用が増加し、多結晶SiTFTでも光リーク電流が無視できなくなっている。この結果、コントラスト低下やクロストーク、フリッカ等の画質劣化が問題となっている。
液晶表示装置においては通常、対向基板側から光源の光を入射させるが、この光の多結晶SiTFTへの入射抑制については、例えば特開平5−100250号公報に開示されているように、従来、対向基板に設置してあった導電性遮光層(ブラックマトリクス)を、より多結晶SiTFTに近い位置であるTFT基板の多結晶SiTFTの上層に設置することで、低減を達成している。
しかしながら、本発明者の知見によれば、上記の特開平5−100250号公報に開示された技術では、導電性遮光層の厚さがその下地の絶縁層の凹凸に依存して、段差部で薄くなる現象、言い換えればステップカバレッジが悪化する現象によって、段差部での遮光性能が不十分となることが判明した。このため、高輝度の光照射の下では段差部からの漏れ光により光リーク電流が発生し、画質低下を抑えきれない状況となっている。
この問題についてより具体的に説明する。図8は従来のアクティブマトリクス型の液晶表示装置のTFT基板を示す。図8に示すように、遮光領域における石英ガラス基板101上に遮光層102が設けられ、この遮光層102を覆うように層間絶縁膜103が設けられている。この層間絶縁膜103上には所定形状の多結晶Si膜104が設けられ、この多結晶Si膜104を覆うようにゲート絶縁膜105が設けられている。このゲート絶縁膜105上にはゲート配線106が設けられている。図示は省略するが、多結晶Si膜104中にはゲート配線106に対して自己整合的にソース領域およびドレイン領域(図示せず)が形成されている。ゲート配線106からなるゲート電極とこれらのソース領域およびドレイン領域とにより、画素電極駆動用の多結晶SiTFTが構成されている。ドレイン領域の上方の所定部分におけるゲート絶縁膜105上には電極107が設けられている。この電極107とドレイン領域との間にゲート絶縁膜105を挟んだ構造により、保持用容量素子が構成されている。
ゲート配線106および電極107を覆うように層間絶縁膜108が設けられている。この層間絶縁膜108およびゲート絶縁膜105の所定部分にはコンタクトホール109、110が設けられている。遮光領域における層間絶縁膜108上には、コンタクトホール109を通じて多結晶SiTFTのドレイン領域に接続されて引き出し電極111が設けられているとともに、コンタクトホール110を通じて多結晶SiTFTのソース領域に接続されて信号配線112が設けられている。これらの引き出し電極111および信号配線112を覆うように層間絶縁膜113が設けられている。層間絶縁膜113上の所定部分にはプラズマCVD法により成膜されたSiN膜114が設けられている。このSiN膜114は、主として、多結晶Si膜104中に存在するダングリングボンドを水素で不活性化して多結晶SiTFTの特性向上を図るための水素供給源となるものである。また、引き出し電極111上の所定部分における層間絶縁膜113にはコンタクトホール115が設けられている。層間絶縁膜113上にこのコンタクトホール115を通じて引き出し電極111と接続されて導電性遮光層116が設けられているとともに、SiN膜114上に導電性遮光層117が設けられている。これらの導電性遮光層116、117と引き出し電極111および信号配線112との重ね合わせにより、上方からの入射光に対して、画素開口領域以外の領域の全ての遮光がなされている。導電性遮光層116、117を覆うように層間絶縁膜118が設けられている。導電性遮光層116上の所定部分におけるこの層間絶縁膜118にはコンタクトホール119が設けられている。層間絶縁膜118上には、このコンタクトホール119を通じて導電性遮光層116と接続されて透明な画素電極120が設けられている。この画素電極120を覆うように液晶(図示せず)の配向膜121が設けられている。
特開平5−100250号公報
しかしながら、上述の図8に示す従来の液晶表示装置においては、下地の段差形状を反映した大きな凹凸のある層間絶縁膜113上に導電性遮光層116、117を形成していることから、これらの導電性遮光層116、117のステップカバレッジが悪くなる。このため、段差部でのこれらの導電性遮光層116、117による遮光性能が不十分となり、高輝度の光照射の下では段差部からの漏れ光により光リーク電流が発生し、画質低下を抑えきれなかった。
したがって、この発明の目的は、導電性遮光層による遮光性能の向上を図り、光リーク電流による画質低下を抑えることができる液晶表示装置およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、
基板上に画素電極の駆動用の薄膜トランジスタが設けられ、この薄膜トランジスタの上層でかつ画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられている液晶表示装置において、
導電性遮光層が平坦化された層の上に設けられている
ことを特徴とするものである。
この発明はまた、
基板上に画素電極の駆動用の薄膜トランジスタが設けられ、この薄膜トランジスタの上層でかつ画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられている液晶表示装置の製造方法において、
導電性遮光層を平坦化された層の上に形成するようにした
ことを特徴とするものである。
この発明において、通常、平坦化された層の表面は、表示領域内のコンタクト部を除いて、少なくとも0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下の残留段差レベル(最高部と最低部との高さの差)に平坦化されている。この平坦化された層は、典型的には、SiO2 を主成分とする絶縁層であるが、他の絶縁層であってもよい。
この平坦化された層の形成方法としては、例えば0.5μm以下の残留段差レベルを得ることができる種々の方法を用いることができる。例えば、原料ガスとしてテトラエトキシシラン(TEOS)等を用いたプラズマCVD法や常圧CVD法等による埋め込み性の良い成膜法を用いる方法、リンシリケートガラス(PSG)、ホウ素リンシリケートガラス(BPSG)等を成膜してからリフローさせる方法、スピンオンガラス(SOG)を用いた流動法、または、絶縁膜を成膜してからエッチバックする方法、絶縁膜を成膜してから化学機械研磨(CMP)法により研磨する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、CMP法は、優れた平坦度を得ることができる点と、薄膜トランジスタに対するプラズマダメージを抑えることができる点とから、好ましいものである。このCMP法により平坦化される絶縁層としては、特に、TEOSを用いたプラズマCVD法による膜、TEOSを用いた常圧CVD法による膜、高密度プラズマCVD法による膜、それらの積層膜等を用いることができる。
導電性遮光層は、隣接配線とのカップリング容量を抑える観点より、シート抵抗が100Ω/□以下であるのが好ましく、10Ω/□以下であるのがより好ましい。また、導電性遮光層は、薄膜トランジスタの光リーク電流を抑制する観点から、少なくとも波長が400〜500nmの領域の光に対する透過率が10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、遮光効果を上げるためにはさらに低い方が好ましい。導電性遮光層の厚さは、低シート抵抗と遮光性とを両立させることができれば基本的には自由に選ぶことができるが、実際には、通常、この導電性遮光層上には絶縁層を介してさらに透明画素電極が形成され、液晶を挟み込むため、導電性遮光層による段差が液晶の配向に影響を与えない範囲の厚さが望ましい。導電性遮光層の厚さは、実用上は50〜500nmとするのが好ましく、100〜300nmとするのがより好ましい。さらに、導電性遮光層の材料としては、導電性と遮光性とを両立させることができれば基本的には自由に選ぶことができるが、具体的には、例えば、Al、Cu、W、Mo、Pt、Pd、Ti、TiN、Cr等およびそれらの合金やシリサイド等が挙げられる。
また、導電性遮光層は、例えば、画素部において、画素電極と接続された部分と、共通電位に接続された部分とに分離されて設けられる。さらに、導電性遮光層は、上方からの入射光に対して、他の一つ以上の遮光層との重ね合わせにより、画素開口領域以外の領域の全ての遮光がなされている。
この発明において、画素電極の駆動用の薄膜トランジスタは、典型的には、多結晶シリコンを用いた薄膜トランジスタ、すなわち多結晶SiTFTである。この多結晶SiTFTは、高温プロセスによる多結晶Si膜を用いたいわゆる高温多結晶SiTFTでも、低温プロセスによる多結晶Si膜を用いたいわゆる低温多結晶SiTFTでもよい。さらに、この画素電極の駆動用の薄膜トランジスタは、a−SiTFTであってもよい。
上述のように構成されたこの発明によれば、導電性遮光層を平坦化された層の上に形成するので、この導電性遮光層のステップカバレッジが良好となり、その厚さの均一性の向上を図ることができる。このため、この導電性遮光層により十分な遮光性能を得ることができ、漏れ光の大幅な低減を図ることができることにより、高輝度の光照射の下でも光リーク電流の発生を抑えることができる。
この発明によれば、導電性遮光層を平坦化された層の上に形成することにより、導電性遮光層による遮光性能の向上を図り、光リーク電流による画質低下を抑えることができる。
以下、この発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1はこの発明の第1の実施形態による液晶表示装置のTFT基板の一例を示し、図2はこの液晶表示装置の全体構成の一例を示す。この液晶表示装置はアクティブマトリクス型の液晶表示装置である。
図1および図2に示すように、この液晶表示装置においては、遮光領域における石英ガラス基板11上に遮光層12が設けられている。この遮光層12は、例えば膜厚が50nmのリン(P)がドープされた多結晶Si膜および例えば膜厚が200nmのWSi膜が順次積層された積層膜からなる。この遮光層12を覆うように例えばSiO2 膜からなる層間絶縁膜13が設けられている。この層間絶縁膜13上には所定形状の多結晶Si膜14が設けられ、この多結晶Si膜14を覆うように例えばSiO2 膜からなるゲート絶縁膜15が設けられている。このゲート絶縁膜15上にはゲート配線16が設けられている。図示は省略するが、多結晶Si膜14中にはゲート配線16に対して自己整合的にソース領域およびドレイン領域が形成されている。ゲート配線16からなるゲート電極とこれらのソース領域およびドレイン領域とにより、画素電極駆動用の多結晶SiTFTが構成されている。ドレイン領域の上方の部分におけるゲート絶縁膜15上には電極17が設けられている。この電極17とドレイン領域との間にゲート絶縁膜15を挟んだ構造により、保持用容量素子が構成されている。
ゲート配線16および電極17は、例えば膜厚が100nmのPがドープされた多結晶Si膜および例えば膜厚が100nmのWSi膜が順次積層された積層膜からなる。ゲート配線16および電極17を覆うように層間絶縁膜18が設けられている。この層間絶縁膜18およびゲート絶縁膜15の所定部分にはコンタクトホール19、20が設けられている。遮光領域における層間絶縁膜18上には、コンタクトホール19を通じて多結晶SiTFTのドレイン領域に接続されて引き出し電極21が設けられているとともに、コンタクトホール20を通じて多結晶SiTFTのソース領域に接続されて信号配線22が接続されている。これらの引き出し電極21および信号配線22は、例えば膜厚が50nmのWSi膜、例えば膜厚が300nmのAl膜および例えば膜厚が50nmのWSi膜が順次積層された積層膜からなる。これらの引き出し電極21および信号配線22を覆うように例えばSiO2 膜からなる層間絶縁膜23が設けられている。この層間絶縁膜23は、例えば常圧CVD法により成膜された膜厚が400nmのPSG膜からなる。この層間絶縁膜23上の所定部分にはプラズマCVD法により成膜された例えば膜厚が200nmのSiN膜24が設けられている。このSiN膜24は、主として、多結晶Si膜14中に存在するダングリングボンドを水素で不活性化して多結晶SiTFTの特性向上を図るための水素供給源となるものである。これらの層間絶縁膜23およびSiN膜24上に層間絶縁膜25が設けられている。この層間絶縁膜25は、例えばTEOSを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により成膜されたSiO2 膜からなる。引き出し電極21上の所定部分における層間絶縁膜25および層間絶縁膜23にはコンタクトホール26が設けられている。
層間絶縁膜25の表面は、コンタクトホール26の部分を除いて、少なくとも0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下の残留段差レベルに平坦化されている。この層間絶縁膜25の膜厚は、例えば、開口領域の部分で1.8±0.5μm、引き出し電極21上の部分で0.3μm程度である。
この表面が平坦な層間絶縁膜25上に導電性遮光層27、28が互いに分離して設けられている。導電性遮光層27は、コンタクトホール26を通じて引き出し電極21と接続されている。これらの導電性遮光層15、16は、例えば膜厚が250nmのTi膜からなる。これらの導電性遮光層27、28と引き出し電極21および信号配線22との重ね合わせにより、上方からの入射光に対して、画素開口領域以外の領域の全ての遮光がなされている。導電性遮光層27は後述の画素電極と接続され、導電性遮光層28は所定の共通電位に接続される。
導電性遮光層27、28を覆うように層間絶縁膜29が設けられている。この層間絶縁膜29は、例えばTEOSを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により成膜された膜厚が400nmのSiO2 膜からなる。導電性遮光層27上の所定部分におけるこの層間絶縁膜29にはコンタクトホール30が設けられている。層間絶縁膜29上には、このコンタクトホール30を通じて導電性遮光層27と接続されて透明な画素電極31が設けられている。この画素電極31は、例えば膜厚が70nmのITOからなる。この画素電極31を覆うように液晶の配向膜32が設けられている。
図2に示すように、このように構成されたTFT基板と、ガラス基板33の一主面上に対向電極としての透明電極34および液晶の配向膜35を順次積層したものとの間に液晶36が封入されている。
次に、上述のように構成されたこの第1の実施形態による液晶表示装置の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、石英ガラス基板11上にPがドープされた多結晶Si膜およびWSi膜を順次成膜した後、これらの膜をパターニングして遮光層12を形成する。次に、例えばCVD法により基板全面にSiO2 膜からなる層間絶縁膜13を成膜する。次に、例えばCVD法により全面に多結晶Si膜14を成膜した後、この多結晶Si膜14をパターニングする。次に、例えばCVD法により基板全面にSiO2 膜からなるゲート絶縁膜15を成膜した後、このゲート絶縁膜15を所定形状にパターニングする。次に、基板全面にPがドープされた多結晶Si膜およびWSi膜を順次成膜した後、これらの膜をパターニングしてゲート配線16および容量素子用の電極17を形成する。
次に、例えばCVD法により基板全面に例えばSiO2 膜からなる層間絶縁膜18を成膜する。次に、この層間絶縁膜18およびゲート絶縁膜15の所定部分をエッチング除去してコンタクトホール19、20を形成する。次に、基板全面にWSi膜、Al膜およびWSi膜を順次成膜した後、これらの膜をパターニングして引き出し電極21および信号配線22を形成する。次に、例えば常圧CVD法により基板全面にSiO2 膜からなる層間絶縁膜23を成膜する。次に、例えばプラズマCVD法により基板全面にSiN膜24を成膜した後、このSiN膜24をパターニングする。
次に、例えばTEOSを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により基板全面にSiO2 膜からなる平坦用の層間絶縁膜25を成膜する。この層間絶縁膜25の膜厚は例えば2500nmとする。
次に、図4に示すように、層間絶縁膜25をCMP法により例えば厚さ約2200nm研磨して平坦化する。このCMP法による平坦化後の残留段差レベルは少なくとも0.5μm以下、条件次第では0.1μm以下とすることが可能である。CMP条件の一例を挙げると下記のとおりである。
研磨荷重 470gf/cm2
チャック回転数 60rpm
テーブル回転数 4rpm
リテーナ高さ 840μm
研磨レート 500nm/分で4分研磨
ドレス方式 in-situ ドレス
スラリー SS−25(KOH液にシリカ粒を分散したスラリー)
1/2純水希釈液使用
次に、図1に示すように、層間絶縁膜25および層間絶縁膜23の所定部分をエッチング除去してコンタクトホール26を形成する。次に、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等により基板全面にTi膜を成膜した後、このTi膜をパターニングして導電性遮光層27、28を形成する。この場合、Ti膜の成膜時には、下地の層間絶縁膜25の表面があらかじめ平坦化されていることにより、このTi膜、したがって導電性遮光層27、28のステップカバレッジは良好であり、均一な厚さとなる。
次に、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法により基板全面にSiO2 膜からなる層間絶縁膜29を成膜する。次に、この層間絶縁膜29の所定部分をエッチング除去してコンタクトホール30を形成する。次に、基板全面にITO膜を成膜した後、このITO膜をエッチングによりパターニングして画素電極31を形成する。次に、基板全面に配向膜32を成膜する。
以上のようにしてTFT基板を製造した後、従来公知の方法に従ってプロセスを進め、図2に示すように目的とする液晶表示装置を完成させる。
以上のように、この第1の実施形態によれば、CMP法により表面が平坦化された層間絶縁膜25上に導電性遮光層27、28を形成しているので、従来に比べてこれらの導電性遮光層27、28のステップカバレッジが向上し、均一な厚さとなる。このため、これらの導電性遮光層27、28による遮光性能が良好となり、漏れ光が抑制され、光リーク電流が大幅に減少することから、大光量下での使用でも、光リーク電流に起因する輝点発生率やクロストーク量の大幅な低減を図ることができ、画質低下を抑制することができる。
次に、この発明の第2の実施形態の一例について説明する。
第1の実施形態においては、導電性遮光層27、28の下地層である層間絶縁膜25は、原料ガスとしてTEOSを用いたプラズマCVD法により厚く成膜したSiO2 膜をCMP法により研磨したものである。ところで、一般に、Si基板上にプラズマCVD法により成膜されるSiO2 膜の応力は−1.0〜2.0×109 dyne/cm2 (圧縮)であるのに対し、石英ガラス基板11上にSi基板上と同一条件でSiO2 膜を成膜した場合、その応力は1.0〜2.0×109 dyne/cm2 (引っ張り)となる。このSiO2 膜の応力はプロセス中にウェーハ状態の石英ガラス基板11(以下、単にウェーハという)の反りを生じるため、それにより生じる問題を防止するため、その緩和を図ることが望ましい。そこで、この第2の実施形態においては、このウェーハの反り緩和策について説明する。
この第2の実施形態において、ウェーハの反り緩和策としては、層間絶縁膜25としてのSiO2 膜をプラズマCVD法により成膜する際に、成膜室内を高真空にする方法、TEOSの流量を下げる方法、RFパワーを上げる方法等が挙げられる。
例えば、AMJ社製のプラズマCVD装置をSiO2 膜の成膜に用いる場合、一般的な成膜条件は、圧力8.2Torr、温度400℃、O2 流量600sccm、TEOS流量800sccm、RFパワー700W、スペーシング250milsであるのに対し、層間絶縁膜25としてのSiO2 膜をプラズマCVD法により石英ガラス基板11上に成膜する場合は、成膜室の圧力を6.8Torr以下とする、RFパワーを800W以上とする、O2 /TEOS比を1以上とする、のいずれかを行うことにより、層間絶縁膜25の応力を緩和することができ、ウェーハの反りを有効に防止することができる。
この第2の実施形態の上記以外のことは、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、ウェーハの反りを大幅に緩和することができるため、ウェーハの反りによる問題を生じることなく液晶表示装置を製造することができるという利点を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態の一例について説明する。この第3の実施形態においては、第2の実施形態と異なる手法によるウェーハの反り緩和策について説明する。
この第3の実施形態においては、ウェーハの反り緩和策として、第1の実施形態と同様にプロセスを進めて層間絶縁膜25の研磨まで行った後、図5および図6に示すように、石英ガラス基板11のスクライブ領域に石英ガラス基板11に達する溝37が形成されて層間絶縁膜13、18、23、25が各チップ毎に分割された状態とする。この溝37の幅は例えば200μm程度である。この溝37は、層間絶縁膜25の研磨を行った後に層間絶縁膜13、18、23、25を一括してエッチングすることにより形成してもよいが、プロセスの簡略化の観点からは、コンタクトホール19、20を形成するためのエッチングとコンタクトホール26を形成するためのエッチングとを利用して2回に分けて形成するのが有利である。具体的には、層間絶縁膜18を形成した後、コンタクトホール19、20を形成するためのエッチング時にスクライブ領域の部分の層間絶縁膜13、18もエッチング除去する。次に、層間絶縁膜25の成膜および研磨まで行った後、コンタクトホール26を形成するためのエッチング時にスクライブ領域の部分の層間絶縁膜23、25もエッチング除去する。これによって、溝37が形成される。これらのエッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)法のようなドライエッチング法、ウェットエッチング法あるいはそれらを併用して行うことができる。
上述のようにして溝37を形成した後、第1の実施形態と同様にして導電性遮光層27、28の形成以降のプロセスを進めて、目的とする液晶表示装置を完成させる。
この第3の実施形態の上記以外のことは、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、大きな応力が存在するプラズマCVD法によるSiO2 膜からなる層間絶縁膜25を含む層間絶縁膜13、18、23、25の全体を溝37により各チップ毎に分割していることによりウェーハの反りを大幅に緩和することができ、このためこのウェーハの反りによる問題を生じることなく液晶表示装置を製造することができるという利点を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態の一例による液晶表示装置について説明する。図7はこの液晶表示装置の一例を示す。
図7に示すように、この液晶表示装置においては、引き出し電極21および信号配線22と導電性遮光層27、28との間の絶縁層として、プラズマCVD法により成膜されたSiO2 膜からなる層間絶縁膜25のみが形成されている。すなわち、第1の実施形態による液晶表示装置においては形成された層間絶縁膜18およびSiN膜24は形成されていない。
この第4の実施形態の上記以外のことは、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
すなわち、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、形状、材料、プロセス等を用いることも可能である。
例えば、上述の実施形態においては、多結晶SiTFTの下層にも遮光層12を形成しているが、この遮光層12は多結晶SiTFTの下方からの光入射を防止するためのものであるので、必要に応じて省略することが可能である。
また、上述の実施形態においては、画素電極31を導電性遮光層27を介して引き出し電極21に接続しているが、良好なコンタクトを得ることができれば、導電性遮光層27を形成せず、画素電極31を引き出し電極21に直接接続するようにしてもよい。
さらに、この発明は、基板上に画素電極の駆動用の薄膜トランジスタが設けられ、この薄膜トランジスタの上層でかつ画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられる液晶表示装置であれば、基本的にはどのような液晶表示装置にも適用することが可能である。
この発明の第1の実施形態による液晶表示装置のTFT基板を示す断面図である。 この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の全体構成を示す断面図である。 この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態を説明するための平面図である。 この発明の第4の実施形態による液晶表示装置のTFT基板を示す断面図である。 従来の液晶表示装置のTFT基板を示す断面図である。
符号の説明
11・・・石英ガラス基板、12・・・遮光層、13、18、23、25、29・・・層間絶縁膜、14・・・多結晶Si膜、16・・・ゲート配線、19、20、26、30・・・コンタクトホール、27、28・・・導電性遮光層、31・・・画素電極、33・・・ガラス基板、34・・・透明電極、36・・・液晶、37・・・溝

Claims (6)

  1. 基板上に画素電極の駆動用の薄膜トランジスタが設けられ、この薄膜トランジスタの上層でかつ上記画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられている液晶表示装置において、
    上記導電性遮光層が平坦化された層の上に設けられ、
    上記基板の上層でかつ上記導電性遮光層の下層の位置に配線電極が設けられ、
    上記導電性遮光層は、画素部において上記配線電極と接続された部分を有しかつその端部が上記平坦化された層の上に形成され、
    上記導電性遮光層と上記配線電極とが重なり合って画素開口領域以外の領域を覆い、
    上記基板の上層でかつ上記薄膜トランジスタの下層の位置に下層遮光層が設けられている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 上記導電性遮光層と上記配線電極との重ね合わせにより、上方からの入射光に対して、上記薄膜トランジスタの領域の遮光がなされていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 上記配線電極は、上記薄膜トランジスタのドレイン領域に接続された引き出し電極および上記薄膜トランジスタのソース領域に接続された信号配線であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  4. 基板上に画素電極の駆動用の薄膜トランジスタが設けられ、この薄膜トランジスタの上層でかつ上記画素電極の下層の位置に導電性遮光層が設けられている液晶表示装置を用いたプロジェクタにおいて、
    上記導電性遮光層が平坦化された層の上に設けられ、
    上記基板の上層でかつ上記導電性遮光層の下層の位置に配線電極が設けられ、
    上記導電性遮光層は、画素部において上記配線電極と接続された部分を有しかつその端部が上記平坦化された層の上に形成され、
    上記導電性遮光層と上記配線電極とが重なり合って画素開口領域以外の領域を覆い、
    上記基板の上層でかつ上記薄膜トランジスタの下層の位置に下層遮光層が設けられている
    ことを特徴とするプロジェクタ。
  5. 上記導電性遮光層と上記配線電極との重ね合わせにより、上方からの入射光に対して、上記薄膜トランジスタの領域の遮光がなされていることを特徴とする請求項4記載のプロジェクタ。
  6. 上記配線電極は、上記薄膜トランジスタのドレイン領域に接続された引き出し電極および上記薄膜トランジスタのソース領域に接続された信号配線であることを特徴とする請求項4記載のプロジェクタ。
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