JP3918752B2 - 基板固定装置および基板固定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば部品搭載装置においてフィルム状の基板を下受けして固定する基板固定装置および基板固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
部品搭載装置では、基板に部品を搭載する搭載作業位置において基板の位置と姿勢を固定するための基板固定装置が用いられる。この基板固定装置では、基板を水平方向に位置決めするとともに、基板の反り変形を矯正して上面を正しく面合わせする必要がある。従来よりこの面合わせの方法として、上面に吸着孔が設けられた下受け部材によって基板の下面を支持するとともに、吸着孔によって基板を真空吸着して保持する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−17397号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の方法には、薄いフィルム状の基板を対象とする場合には、次のような難点があった。フィルム状の基板は剛性が極めて小さく撓みやすいため、前工程において全面的な反り変形や部分的な凹凸状の変形が生じたまま搭載工程に供給される場合がある。このような場合、基板を下受け部材上に載置した状態で下面側から真空吸引しても、基板の剛性が極めて小さいことから吸着力は基板の全面には及びにくい。
【0005】
すなわち、吸着孔や吸着溝によって吸着される部分は下受け面に引きつけられるが、これ以外の部分は下受け面から浮き上がったままとなり、基板の良好な密着性が確保できない。このような基板の浮きが部品の搭載部位に発生すると、安定した部品動作が行われず、搭載品質の低下を招く結果となっていた。
【0006】
そこで本発明は、フィルム状の基板を対象として、下受け部材への良好な密着性を確保することができ、安定した搭載品質を保つことができる基板固定装置および基板固定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の基板固定装置は、部品が搭載されるフィルム状の基板を搭載作業位置において下方から下受けして固定する基板固定装置であって、前記搭載作業位置に配置され上面に前記基板に当接して下受けする下受け面が設けられた下受け部材と、前記下受け面に前記基板における部品搭載部位に対応した位置に形成され基板下受け時に前記部品搭載部位を吸着保持する第1の吸着溝と、前記下受け面に前記第1の吸着溝の外側に形成され基板下受け時に前記基板を吸着することによりこの基板に部品搭載部位から外側方向への張力を作用させる第2の吸着溝と、前記第1の吸着溝および第2の吸着溝からそれぞれ異なるタイミングで真空吸引する真空吸引手段とを備え、前記第1の吸着溝から真空吸引して前記部品搭載部位を吸着保持するのに先立って、前記第2の吸着溝から真空吸引して前記基板に外側方向への張力を作用させて前記基板の上下方向の変形を矯正する。
【0008】
請求項2記載の基板固定方法は、部品が搭載されるフィルム状の基板を搭載作業位置において下方から下受けして固定する基板固定方法であって、前記搭載作業位置に配置され上面に前記基板に当接して下受けする下受け面が設けられた下受け部材上に前記基板を搬入して載置する基板搬入工程と、前記下受け面に前記基板における部品搭載部位に対応した位置に形成された第1の吸着溝から真空吸引する第1の真空吸引工程と、前記下受け面に前記第1の吸着溝の外側に形成された第2の吸着溝から真空吸引する第2の真空吸引工程とを含み、前記第1の真空吸引工程に先立って第2の真空吸引工程を実行することにより、基板に外側方向への張力を作用させて基板の上下方向の変形を矯正した状態で、基板の前記部品搭載部位を吸着保持して固定する。
【0009】
本発明によれば、基板に当接して下受けする下受け面に基板における部品搭載部位に対応した位置に形成された第1の吸着溝およびこの第1の吸着溝の外側に形成された第2の吸着溝を設けておき、第1の吸着溝から真空吸引して部品搭載部位を吸着保持する第1の真空吸引工程に先だって第2の吸引溝から真空吸引して基板に外側方向への張力を作用させて基板の上下方向の変形を矯正することにより、フィルム状の基板を対象とする場合にあっても、下受け部材への良好な密着性を確保して、安定した搭載品質を保つことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の基板固定装置の斜視図、図2は本発明の一実施の形態の基板固定装置の下受け部材の平面図、図3は本発明の一実施の形態の基板固定装置の下受け部材部分断面図、図4は本発明の一実施の形態の基板固定装置の動作説明図である。
【0011】
まず図1を参照して基板固定装置の構造を説明する。この基板固定装置は、電子部品などの部品を基板に搭載する部品搭載装置の搭載作業位置に配置され、ポリイミド等の材質からなるフィルム状のフレキシブル基板など薄くて撓み易い基板を下方から下受けして固定する機能を有するものである。図1において、Xテーブル2、Yテーブル3より成る移動テーブル1上にはベースプレート4が装着されており、ベースプレート4の上面の中央部には、基板を下受けして高さ位置を保持する下受け部材5が配設されている。下受け部材5は、矩形のブロック5aの上面に凸部7を設けた形状となっており、凸部7の上面は基板の下面に当接して下受けする下受け面7aとなっている。
【0012】
ベースプレート4上面の下受け部材5の両側方には、シリンダ9が垂直姿勢で配設されており、シリンダ9のロッド9aはX方向に配設された搬送レール10に結合されている。搬送レール10上では薄いフィルム状の基板13を保持したキャリア11が図示しない搬送機構によって搬送され、搭載作業位置に位置決めされる。
【0013】
キャリア11は薄板よりなる矩形板の中央に開口部11aを設けた枠状部材であり、基板13をキャリア11に保持させた状態では、基板13の下面側は両側端部のみをキャリア11によって下方から支持される。そして基板13の部品搭載部位13aは開口部11aの中央部に位置し、その下面側は下方に露呈される。
【0014】
キャリア11のコーナ部には基板位置決めピン12が立設されている。基板13は、基板位置決めピン12によって位置決めされた状態で搬送され、この搭載作業位置において、基板13の部品搭載部位13aには、電子部品などの部品14が搭載ヘッド(図示省略)によって搭載される。搬送レール10は、基板13を搬送して位置決めする基板搬送手段となっている。
【0015】
シリンダ9を駆動することにより、搬送レール10はガイド部材10aによって案内されて上下動する。搬送レール10はキャリア11の両側部を下方から支持する支持部となっており、シリンダ9は、キャリア11に保持された基板13を下受け部材5に対して相対的に昇降させる昇降手段となっている。搬送レール10を下降させた状態では、基板13の下面は下受け面7aに当接し、上下方向の位置が固定される。
【0016】
次に図2、図3を参照して、下受け部材5について説明する。図2に示すように、下受け面7aには基板吸着用の吸着溝8a、8bが設けられている。吸着溝8aは第1の吸着溝であり、基板13における各部品搭載部位13aに対応した位置に、それぞれの部品搭載部位13aを囲んだ配置で形成されている。吸着溝8bは第2の吸着溝であり、下受け面7aにおいて吸着溝8aの外側に全体を囲んだ配置で形成されている。
【0017】
吸着溝8a、8bには、下受け部材5の内部に設けられた吸引孔15a、15bがそれぞれ連通しており、吸引孔15a、15bは配管部材17を介して吸引切換バルブ18に接続されている。さらに吸引切換バルブ18は真空吸引源19に接続されており、真空吸引源19を駆動した状態で吸引切換バルブ18を切り換えることにより、吸着溝8a、8bから選択的に真空吸引することができるようになっている。
【0018】
したがって、吸引切換バルブ18を任意のタイミングで切換えることにより、吸着溝8a、8bからそれぞれ異なるタイミングで真空吸引することが可能となっている。吸着溝8aから真空吸引することにより、基板下受け時に部品搭載部位13aを吸着保持する。吸着溝8bから真空吸引することにより、後述するように、基板13に部品搭載部位13aから外側方向への張力が作用する。吸引切換バルブ18および真空吸引源19は、第1の吸着溝および第2の吸着溝からそれぞれ異なるタイミングで真空吸引する真空吸引手段となっている。
【0019】
この基板固定装置は上記のように構成されており、次に図4を参照して、部品が搭載されるフィルム状の基板を搭載作業位置において下方から下受けして固定する基板固定方法について説明する。まず、搭載作業位置に配置された下受け部材5上に、基板位置決めピン12によってキャリア11に位置決め状態で保持された基板13を搬入し、図4(a)に示すように、下受け面7aに基板13を載置する(基板搬入工程)。このとき、基板13は剛性が極めて小さく撓みやすいため、前工程において全面的な反り変形や部分的な凹凸状の変形が生じたまま搬入されている。
【0020】
次いで真空吸引源19を駆動し、吸引切換バルブ18を吸着溝8b側に切換えて、図4(b)に示すように、吸着溝8bから真空吸引する(第2の真空吸引工程)。これにより、基板13は吸着溝8b内に凹入するように変形する。この変形により基板13には基板面内方向の張力が作用するが、基板13は基板位置決めピン12によって面内方向の変位が拘束されていることから、この張力は図4(b)の矢印aに示すように、中央部から外側方向のみに作用する。
【0021】
これにより、搬入状態における基板13の凹凸状の変形は張力によって矯正され、基板13の中央部は平面状態となる。そしてこの後、吸引切換バルブ18を吸着溝8a側に切換え、図4(c)に示すように、吸着溝8aから真空吸引する(第1の真空吸引工程)。これにより、部品搭載部位13aの周囲の基板13は真空吸着されて下受け面7aに密着する。
【0022】
すなわち本実施の形態に示す基板固定方法においては、この第1の真空吸引工程に先立って前述の第2の真空吸引工程を実行することにより、基板13に外側方向への張力を作用させて基板13の上下方向の変形を矯正した状態で、基板13の部品搭載部位13aを吸着保持して固定するようにしている。これにより、撓みやすいフィルム状の基板を対象とする場合にあっても、基板13の下受け面7aへの密着性を確保することができ、安定した搭載品質を保つことができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、基板に当接して下受けする下受け面に基板における部品搭載部位に対応した位置に形成された第1の吸着溝およびこの第1の吸着溝の外側に形成された第2の吸着溝を設けておき、第1の吸着溝から真空吸引して部品搭載部位を吸着保持する第1の真空吸引工程に先だって第2の吸引溝から真空吸引して基板に外側方向への張力を作用させて基板の上下方向の変形を矯正するようにしたので、フィルム状の基板を対象とする場合にあっても、下受け部材への良好な密着性を確保して、安定した搭載品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の基板固定装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の基板固定装置の下受け部材の平面図
【図3】本発明の一実施の形態の基板固定装置の下受け部材の部分断面図
【図4】本発明の一実施の形態の基板固定装置の動作説明図
【符号の説明】
5 下受け部材
7a 下受け面
8a、8b 吸着溝
11 キャリア
13 基板
14 部品
18 吸引切換バルブ
19 真空吸引源
Claims (2)
- 部品が搭載されるフィルム状の基板を搭載作業位置において下方から下受けして固定する基板固定装置であって、前記搭載作業位置に配置され上面に前記基板に当接して下受けする下受け面が設けられた下受け部材と、前記下受け面に前記基板における部品搭載部位に対応した位置に形成され基板下受け時に前記部品搭載部位を吸着保持する第1の吸着溝と、前記下受け面に前記第1の吸着溝の外側に形成され基板下受け時に前記基板を吸着することによりこの基板に部品搭載部位から外側方向への張力を作用させる第2の吸着溝と、前記第1の吸着溝および第2の吸着溝からそれぞれ異なるタイミングで真空吸引する真空吸引手段とを備え、前記第1の吸着溝から真空吸引して前記部品搭載部位を吸着保持するのに先立って、前記第2の吸着溝から真空吸引して前記基板に外側方向への張力を作用させて前記基板の上下方向の変形を矯正することを特徴とする基板固定装置。
- 部品が搭載されるフィルム状の基板を搭載作業位置において下方から下受けして固定する基板固定方法であって、前記搭載作業位置に配置され上面に前記基板に当接して下受けする下受け面が設けられた下受け部材上に前記基板を搬入して載置する基板搬入工程と、前記下受け面に前記基板における部品搭載部位に対応した位置に形成された第1の吸着溝から真空吸引する第1の真空吸引工程と、前記下受け面に前記第1の吸着溝の外側に形成された第2の吸着溝から真空吸引する第2の真空吸引工程とを含み、前記第1の真空吸引工程に先立って第2の真空吸引工程を実行することにより、基板に外側方向への張力を作用させて基板の上下方向の変形を矯正した状態で、基板の前記部品搭載部位を吸着保持して固定することを特徴とする基板固定方法。
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