JP3864932B2 - 基板固定装置および基板搬送用治具ならびに基板固定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品実装装置において基板を下受けして固定する基板固定装置および基板搬送用治具ならびに基板固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップが実装されるフィルム状基板は、基板自体の剛性が小さくて撓みやすく取り扱いが難しいため、通常板状のキャリアに保持させた状態で取り扱われる。そして、電子部品を基板に実装する実装位置においては、このような基板を位置決めし固定するための基板固定装置が用いられる。この基板固定装置では、下受け面を基板において電子部品が実装される実装部の下面に当接させ、下受け面に設けられた吸着孔によって実装部の下面を真空吸着によって固定する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−134992号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで基板固定装置の対象となるフィルム状基板には、実装部に大きな開口部が設けられたものがある。例えば、デジタルカメラの撮像素子として用いられるCMOSチップが実装される基板では、このCMOSチップより幾分大きいサイズの実装部に、CMOSチップの撮像面に対応した大きさの開口部が設けられた形状となっており、実装部を上述のように真空吸着によって保持することが困難であった。
【0005】
このため、CMOSチップの実装基板のように実装部に大きな開口部が設けられたフィルム状基板では、実装位置において基板を下受け面に密着させてフラットな状態に保つことが困難で、電子部品実装のための基板認識や搭載動作の不具合を生じる場合があった。
【0006】
そこで本発明は、フイルム状基板を良好な状態で下受け面に密着させて固定することができる基板固定装置および基板搬送用治具ならびに基板固定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の基板固定装置は、電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、前記実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定装置であって、前記基板保持部を前記下受け面に対して傾斜させた状態で支持する傾斜支持手段を備えた。
【0009】
請求項2記載の基板搬送用治具は、電子部品実装装置の搬送面に沿って搬送される被搬送面を有し、電子部品が実装される実装部が設けられた可撓性の基板を保持して搬送する基板搬送用治具であって、前記実装部以外の部位を片持ち状態で保持することにより前記基板を傾斜姿勢に保つ傾斜保持面を備えた。
【0010】
請求項3記載の基板固定方法は、電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、前記実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定方法であって、前記基板を傾斜させた状態で実装部を前記下受け面に対して当接させ、前記基板を屈曲することにより生じる弾発力によって前記実装部を前記下受け面に密着させる。
【0011】
本発明によれば、電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定において、基板を傾斜させた状態で実装部を下受け面に対して当接させ、基板を屈曲することにより生じる弾発力によって該基板を下受け面に密着させて固定することにより、可撓性のフイルム状基板を良好な状態で下受け面に密着させて固定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態の基板固定装置の斜視図、図2は本発明の一実施の形態の基板固定装置の対象となる基板および基板に実装される電子部品の斜視図、図3は本発明の一実施の形態の基板固定装置の側面図、図4は本発明の一実施の形態の基板固定装置における基板固定動作の動作説明図、図5(a)は本発明の一実施の形態の基板搬送用治具の斜視図、図5(b)は本発明の一実施の形態の基板搬送用治具を用いた基板固定方法の説明図である。
【0013】
まず図1を参照して基板固定装置の構造を説明する。この基板固定装置は、電子部品実装装置の実装位置に配置され、フレキシブル基板など薄くて可撓性の基板を下方から下受けして固定する機能を有するものである。本実施の形態では、対象となる基板は電子部品が実装される実装部以外の部位をキャリアによって片持ち状態で保持されており、基板固定装置においては、実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する。
【0014】
図1において、Xテーブル2、Yテーブル3より成る移動テーブル1上には、ベースプレート4が装着されている。ベースプレート4の上面の中央部には、基板を下受けして高さ位置や姿勢を保持する下受け部5が配設されている。下受け部5は、矩形のブロック6の上面に下受け部材7を設けた形状となっている。下受け部材7の上面は基板の下面に当接して下受けする下受け面7aとなっており、下受け面7aには、基板吸着用の吸着孔7bが設けられている。吸着孔7bは、下受け部材7およびブロック6の内部に設けられた吸引孔7c(図3(b)参照)および吸引管17を介して真空吸引手段18に接続されている。
【0015】
下受け部材7の両側にはストッパピン8a,8bが立設されており、後述するように、一方側のストッパピン8aは,他方側のストッパピン8bよりも高くなっている。またベースプレート4上面のブロック6の両側方には、シリンダ9が垂直姿勢で配設されており、シリンダ9のロッド9aはX方向(基板の搬送方向)に配設された搬送レール10に結合されている。シリンダ9を駆動することにより、搬送レール10はガイド部材11によって案内されて上下動する。
【0016】
搬送レール10はL字形断面であり、L字の内底面は、基板搬送用治具であるキャリア13を搬送する搬送面10a(図3(a)参照)となっている。キャリア13は薄いフィルム状の可撓性の基板15を保持し、キャリア13の下面(被搬送面)を搬送面10aに沿わせて搬送される。そしてキャリア13が実装位置に搬送された状態で搬送レール10を下降させると、キャリア13の下面はストッパピン8a、8bの頂部に当接する。
【0017】
ここで1対の搬送レール10のうち、右側の搬送レール10は、図3(b)に示すように、上面が搬送面10aとして機能する下部レール10bと、下部レール10bの上面に摺接し下部レール10bに対して幅方向に移動自在な側ガイド10cとの2つの部材より成っている。下部レール10bにはシリンダ12が固定されており、シリンダ12を駆動することにより側ガイド10cは内側方向に移動する。一方、左側の搬送レール10の上部の内側は、X方向に直交するY方向に不動の基準面10dであり、実装座標におけるY方向の基準となっている。
【0018】
キャリア13は中央に開口部13aが設けられた板状部材であり、開口部13aの一方側の縁部には、シート状の貼着部14が固着されている。貼着部14はシリコーンシートなど界面力による貼着性を有する物質より成り、基板15は電子部品が実装される実装部15aの反対側の端部を貼着部14に貼着保持された片持ち状態でキャリア13に保持される。
【0019】
キャリア13の貼着部14が固着された部分は、基板15の実装部15a以外の部位を片持ち状態で保持する基板保持部となっている。基板15は、キャリア13に保持された状態で搬送レール10上を実装位置まで搬送され、この実装位置において基板15の実装部15aには電子部品16が実装ヘッド(図示省略)によって実装される。なお、図1においては、キャリア13を搬送レール10から離した状態を示している。
【0020】
ここで基板15および基板15に実装される電子部品16について、図2を参照して説明する。図2(a)に示すように、基板15は一方側の端部に電子部品16が実装される実装部15aが設けられたフイルム状基板であり、他方側の端部には接続用端子15dが設けられている。電子部品16は撮像素子として使用されるCMOSチップであり、反転図で示すように、下面側には撮像面16bが設けられ、撮像面16bの周囲には接続用のバンプ16aが設けられている。
【0021】
実装部15aには、撮像面16bに対応した形状の開口部15cが設けられ、開口部15cの周囲にはバンプ16aが接続される電極15bが形成されている。電子部品実装においては、電子部品16を実装部15aに対して下降させ、バンプ16aを電極15bに接続する。これにより、図2(b)に示すように、電子部品16は基板15に実装される。この実装動作においては、後述するように、実装部15aの下面側を下受け面7aに密着させて下受けする。
【0022】
次に図3,図4を参照して、基板15に電子部品16を実装する電子部品実装装置における基板固定方法について説明する。まず、電子部品実装装置に搬入されるに先立って、基板15の実装部15aと反対側の端部をキャリア13の貼着部14に貼り付ける。これにより、基板15はキャリア13に片持ち状態で保持される。このとき、基板15は薄くて撓みやすい材質であり、しかも実装部15aは大きな開口部15cに沿って電極15bが形成された構成となっていることから、基板15の製造工程において変形を生じやすく、図3(a)に示すように、15aが幾分上側に反った撓み形状となりやすい。
【0023】
次いで基板15を保持したキャリア13は搬送レール10にセットされ、搬送面10aに沿って実装位置まで搬送される。これにより、図3(a)に示すように、キャリア13は下受け部5の上方に位置し、実装部15aが下受け面7aの直上に位置する。次に、図3(b)に示すように、シリンダ9を駆動して搬送レール10を下降させる。これにより、キャリア13は搬送レール10とともに下降し、キャリア13の下面が2つのストッパピン8a、8bに当接する。
【0024】
これにより、キャリア13はストッパピン8a、8bの高さの差によって水平姿勢から傾斜した状態で支持されるとともに、キャリア13に保持された基板15は屈曲し、実装部15aの下面側が下受け部7aに密着する。ストッパピン8a、8bは、基板保持部であるキャリア13の貼着部14が固着された部分を、下受け面7aに対して傾斜させた状態で支持する傾斜支持手段となっている。
【0025】
なお、傾斜支持手段はストッパピン8a、8bに限られるものではなく、基板15の実装部15a以外の部位またはキャリア13を傾斜して支持するものであれば足りる。例えばブロック6の上部に傾斜面を設けることによって基板15の実装部15a以外の部位またはキャリア13を傾斜させた状態で支持してもよい。この場合、ブロック6の上部に設けた傾斜面が、傾斜支持手段となる。
【0026】
またキャリア13が傾斜した状態になると、キャリア13の自重によって傾斜方向(ストッパピン8aからストッパピン8bの方向)に力が作用し、キャリア13がその方向に横ずれしようとするが、キャリア13の端部が基準面10dに当接することにより、キャリア13の横方向の変位が妨げられる。これにより、基板15の下受け面7aに対する横方向の変位も拘束される。したがって基準面10dは、基板15の下受け面7aに対する横ずれを防止する横ずれ防止手段となっている。
【0027】
なお、横ずれ防止手段は基準面10dに限られるものではなく、キャリア13の傾斜方向への変位を防止するものであれば足りる。例えば、ブロック6の上面にピン等の部材を設けて、この部材を開口部13aからキャリア13に当接させてキャリア13の横ずれを防止してもよい。この場合、開口部13aからキャリア13に当接する部材が、横ずれ防止手段となる。
【0028】
このキャリア13の下降による基板15の固定に先立って、シリンダ12を駆動してロッド12aを突出させ、側ガイド10cを内側方向に移動させる。これにより、キャリア13の右側端部が側ガイド10cによって内側方向に移動し、左側端部が左側の搬送レール10の基準面10dに当接した状態で、Y方向の位置が固定される。この状態で1対のレール10をほぼ同時に下降させると、キャリア13の傾斜方向の分力によって、キャリア13の左側端部が基準面10dに当接した状態を維持できる。このように、レール10の下降前に、予めキャリア13を基準面10dに押し付けておくと、レール10の下降動作に伴うキャリア13の横ずれが殆ど発生しないので望ましい。したがってシリンダ12,側ガイド10cは、キャリア13の端部を基準面10dに対して押し付ける基準面押し付け手段となっている。
【0029】
図4は、上述の動作における基板15の固定動作を示している。図4(a)は、キャリア13の下面がストッパピン8a,8bに当接して傾斜することによる基板15の傾斜を示している。すなわち、基板15はストッパピン8a,8bの高さの差によって角度θだけ水平面から傾斜する。このように基板15が傾斜した状態で実装部15aが下受け面7aに当接することにより、図4(b)に示すように、基板15は屈曲して実装部15aの下面側が下受け面7aに押し付けられ密着する。そしてこの状態で吸着孔7bからの真空吸引をオンすることにより、実装部15aは下受け面7aに密着した状態でさらに強く固定される。
【0030】
すなわち上述の基板固定方法においては、実装部15aを下受け面7aに対して傾斜させた状態で当接させ、基板15を屈曲することにより生じる弾発力によって実装部15aを下受け面7aに密着させる。これにより、図3(a)に示すように、基板15が反りによる撓み変形を生じている場合にあっても、実装部15aを下受け面7aに良好に密着されることができる。そして図4(c)に示すように、下受け面7aに密着した状態の実装部15aに対して、電子部品16が実装される。
【0031】
なお、本実施の形態に示す基板固定装置において、基板15を保持する用途に図5に示すようなキャリア23(基板搬送用治具)を用いてもよい。キャリア23には、キャリア13と同様に電子部品実装装置の搬送面に沿って搬送される被搬送面23cを有し、中央部に開口部23aが設けられている。開口部23aの一方側の開口縁部には、キャリア23が所定幅で部分的に折り曲げられた折り曲げ部23bが設けられている。折り曲げ部23bの折り曲げ角度は、図4(a)に示す角度θとほぼ等しくなっており、折り曲げ部23bの上面には、キャリア13に用いられている貼着部14と同様の貼着部24が固着されている。
【0032】
基板15をキャリア23に保持させる際には、実装部15aの反対側の端部を貼着部24に貼着して片持ち状態で保持させる。これにより、基板15は折り曲げ部23bの折り曲げ角度だけ傾斜した状態でキャリア23に保持される。すなわち、折り曲げ部23bに固着された貼着部24は、基板15の実装部15a以外の部位を片持ち状態で保持することにより基板15を傾斜姿勢に保つ傾斜保持面となっている。この時、貼着部24は、実装部15aを被搬送面23cに対して傾斜姿勢に保っている。
【0033】
このキャリア23に保持された基板25を固定する際には、図5(b)に示すように、キャリア23を搬送レール10によって下受け部5上に搬送し、次いで搬送レール10を下降させる。これにより、基板15は図4に示す例と同様に下受け面7aに対して傾斜した状態で下降する。そして実装部15aが下受け面7aに当接することにより、基板15は屈曲して実装部15aの下面側が下受け面7aに押し付けられ密着する。
【0034】
上記説明したように、本実施の形態に示す基板固定においては、電子部品が実装される実装部の反対側の端部を片持ち状態で保持し、実装部を下受け面によって下受けして固定する基板固定において、基板を傾斜させた状態で実装部を下受け面に当接させ、基板を屈曲することにより生じる弾発力によって基板を下受け面に密着させて固定するようにしている。
【0035】
これにより、デジタルカメラの撮像素子として用いられるCMOSチップが実装される基板のように、CMOSチップの撮像面に対応した大きさの開口部が実装部に設けられ、実装部を真空吸着によって良好に保持することが困難な基板を対象とする場合にあっても、実装部を良好な状態で下受け面に密着させて固定することができる。
【0036】
なお上記実施の形態では、基板15をキャリア13とともに下降させることによって実装部15aを下受け面7aに密着させるようにしているが、下受け部5において下受け部材7を昇降自在に構成し、下受け部材7を基板15に対して上昇させることにより、下受け面7aを実装部15aの下面側に密着させるようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定において、基板を傾斜させた状態で実装部を下受け面に対して当接させ、基板を屈曲することにより生じる弾発力によって該基板を下受け面に密着させて固定するようにしたので、可撓性のフイルム状基板を良好な状態で下受け面に密着させて固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の基板固定装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の基板固定装置の対象となる基板および基板に実装される電子部品の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の基板固定装置の側面図
【図4】本発明の一実施の形態の基板固定装置における基板固定動作の動作説明図
【図5】(a)本発明の一実施の形態の基板搬送用治具の斜視図
(b)本発明の一実施の形態の基板搬送用治具を用いた基板固定方法の説明図
【符号の説明】
5 下受け部
7 下受け部材
7a 下受け面
8a,8b ストッパピン
13、23 キャリア
14、24 貼着部
15 基板
15a 実装部
16 電子部品
Claims (3)
- 電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、前記実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定装置であって、前記基板保持部を前記下受け面に対して傾斜させた状態で支持する傾斜支持手段を備えたことを特徴とする基板固定装置。
- 電子部品実装装置の搬送面に沿って搬送される被搬送面を有し、電子部品が実装される実装部が設けられた可撓性の基板を保持して搬送する基板搬送用治具であって、前記実装部以外の部位を片持ち状態で保持することにより前記基板を傾斜姿勢に保つ傾斜保持面を備えたことを特徴とする基板搬送用治具。
- 電子部品が実装される実装部以外の部位を基板保持部によって片持ち状態で保持された可撓性の基板を、前記実装部の下面側を下受け面に密着させた状態で固定する基板固定方法であって、前記基板を傾斜させた状態で実装部を前記下受け面に対して当接させ、前記基板を屈曲することにより生じる弾発力によって前記実装部を前記下受け面に密着させることを特徴とする基板固定方法。
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